特許第6404786号(P6404786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404786
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】植栽棚
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/00 20180101AFI20181004BHJP
【FI】
   A01G9/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-160580(P2015-160580)
(22)【出願日】2015年8月17日
(65)【公開番号】特開2017-38527(P2017-38527A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100168228
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 達則
(72)【発明者】
【氏名】竹林 裕之
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 克信
(72)【発明者】
【氏名】林 輝久
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−136790(JP,A)
【文献】 実開昭49−017546(JP,U)
【文献】 実開平07−030526(JP,U)
【文献】 特開平09−158456(JP,A)
【文献】 特開平10−25004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00
A47B 43/00−43/04
H02G 3/00−3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱材と、左右に延びる横材と、前後に延びる桟と、止め具を備え、前後に並ぶ横材を左右に並ぶ桟で連結して枠体を構成してあり、柱材は、左右方向に延びる固定片を有し、固定片を上下に並ぶ各枠体の横材にボルト止めしてあり、止め具は、柱材の固定片と柱材の側面に係合させて取り付けて、柱材との間に配線及び/又は配管の挿通空間を形成しており、配線及び/又は配管は、柱材に沿って設けてあり、止め具で配線及び/又は配管を柱材に止めてあることを特徴とする植栽棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物工場において用いられる植栽棚に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光や水の量を管理した屋内で植物を育てる植物工場が普及拡大している。このような植物工場においては、従来、図6に示すような植栽棚が用いられている。この植栽棚は、栽培トレイ108が載置された上下各段の枠体105を、柱材101により連結支持したものである。各段には照明具109や給水管110を設けてあり、植物の成長段階に応じて光や水の量を調整できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の植栽棚において、照明具109に電力を供給する配線106は、柱材101に結束バンド121で括り付けてあった。また、給水管110に接続された給排水のための配管107は、柱材101とは異なる位置で上下に延びており、図7に示すように、枠体105の側面にネジ止めしたU字形のサドルバンド122によって固定してあった。しかしながら、結束バンド121の取り付けやサドルバンド122のネジ止めは手間がかかるものであり、施工性が悪かった。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、配線や配管の固定が容易で施工性が良好な植栽棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、柱材と、左右に延びる横材と、前後に延びる桟と、止め具を備え、前後に並ぶ横材を左右に並ぶ桟で連結して枠体を構成してあり、柱材は、左右方向に延びる固定片を有し、固定片を上下に並ぶ各枠体の横材にボルト止めしてあり、止め具は、柱材の固定片と柱材の側面に係合させて取り付けて、柱材との間に配線及び/又は配管の挿通空間を形成しており、配線及び/又は配管は、柱材に沿って設けてあり、止め具で配線及び/又は配管を柱材に止めてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、止め具により配線及び/又は配管を柱材に止めるものであり、結束バンドやサドルバンドなどを用いる必要がないので、施工性が良好である。また、止め具を横材と同じ上下位置に取り付けることで、止め具により柱材と横材を固定するボルトの頭部を覆い隠すことができ、意匠性が向上するとともに、作業者の手袋などが引っ掛かって破損することを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の植栽棚の一部拡大正面図である。
図2】植栽棚の三面図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図3】中間部の柱材部分の横断面図である。
図4】端部の柱材部分の横断面図である。
図5】柱材部分の斜視図であり、(a)は何も止めていない状態、(b)は配線を止めた状態、(c)は配管を止めた状態を示す。
図6】従来の植栽棚を示し、(a)は一部拡大正面図、(b)は全体正面図である。
図7】従来の植栽棚の配管の固定部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この植栽棚は、図2に示すように、柱材1,1aと、左右に延びる横材2と、前後に延びる桟3を組んで構成されたものである。柱材1,1aと横材2と桟3は、何れもアルミ製の押出形材からなるものであり、柱材1,1aは断面略矩形、横材2は断面略コ字形、桟3は断面略矩形である。横材2は、二本がコ字形の開口側同士を向かい合わせて前後に平行に並んでおり、この二本の横材2同士を、左右に平行かつ等間隔に並ぶ四本の桟3で連結して、上面視して矩形の枠体5を構成してある。この際、各桟3の端部を前後の横材2のコ字の開口部に納めてあり、横材2の見付面(前側面又は後側面)の各桟3に対応する位置にボルト孔を形成してあって、ボルト孔にボルト31を挿入して横材2と桟3をボルト止めしてある。また、隣接する桟3同士の間に、それぞれ二本の補助桟32を設けてある。補助桟32は、桟3よりも細い断面略矩形のアルミ製押出形材からなり、桟3と平行かつ等間隔に並び、各補助桟32の端部を前後の横材2のコ字の開口部に納めてあり、横材2の見付面(前側面又は後側面)の各補助桟32に対応する位置にボルト孔を形成してあって、ボルト孔にボルトを挿入して横材2と補助桟32をボルト止めしてある。そして、このように構成した枠体5を上下に六段並べてあり、各枠体5の前後の横材2に、柱材1,1aを連結してある。柱材1,1aは、枠体5の前後にそれぞれ四本ずつ設けてあり、柱材1,1aの左右位置は、桟3の左右位置と一致している。なお、最上段と最下段以外の枠体5は、横材2及び桟3が最上下段の枠体5の横材2及び桟3よりも細く、最上下段以外の枠体5の桟3は、補助桟32と同じ形材が用いられている。また、柱材1,1aは、左右方向の中間部に位置する柱材1と、端部に位置する柱材1aとで形状が異なっており、詳細は後述する。
【0009】
そして、図1及び図2に示すように、各段(最上段を除く)の枠体5の上面には、矩形の栽培トレイ8を並べて載置してあり、この栽培トレイ8上で、各種の植物を栽培する。また、各段(最下段を除く)の枠体5の下側にLEDからなる照明具9を吊り下げてあり、栽培トレイ8に向けて光を照射できるようにしてある。各照明具9には、電力を供給するための配線6が接続されている。上下の各段において、配線6は各照明具9から中間部の柱材1に向けて延び、柱材1の位置で集合して、柱材1に沿って上側に向けて延びており、電力の供給源(図示省略)に接続されている。また、上下の各段には、給水管10を設けてあり、栽培トレイ8に水を供給できるようにしてある。給水管10は、端部の柱材1aに沿って上下に延びる配管7から分岐しており、配管7は、その上端が水の供給源(図示省略)に接続されている。
【0010】
次に、柱材1,1a部分について詳述する。まず、中間部の柱材1について説明する(ここでは枠体5の前側に位置する柱材1に基づく)。中間部の柱材1は、図3に示すように、中空の矩形部11を有する。そして、矩形部11の後端部から左右それぞれに向けて延びる固定片12を設けてあり、さらに固定片12の先端から前側に向けて延びる係止部13を設けてある。また、矩形部11の前端部には、左右それぞれに向けて延び先端が後側に向けて屈曲している略L字形の係合部14を設けてある。さらに、矩形部11の後側面、すなわち横材2に対する当接面には、断面略コ字形の凹部15を形成してある。そして、このように構成した柱材1の矩形部11の後側面および固定片12を、横材2の前側面に当接させてある。この際、横材2と桟3を固定するボルト31の頭部が、柱材1の凹部15に呑み込まれ、干渉することを防ぐとともに、ボルト31が外側から視認できなくなる。固定片12の横材2に対応する上下位置には、ボルト孔を形成してあり、ボルト孔にボルト16を挿入して、柱材1(固定片12)と横材2をボルト止めしてある。また、柱材1の下端には、高さ調整可能な脚部17を設けてある。
【0011】
そして、柱材1には、上下に間隔を空けて複数の止め具4を取り付けてあり、止め具4によって、柱材1に沿って延びる配線6を柱材1に止めてある。この止め具4は柱材1の左右両側にそれぞれ取り付けられるものであり、両止め具4は左右対称形状であるが、ここでは左側の止め具4に基づいて説明する。止め具4は、薄いアルミ板を曲げて形成したものであり、左右方向に延びる前側面41と、前側面41の左端から後側に向けて延びる見込面42と、見込面42の後端から右側に向けて延びる後側面43を備え、後側面43は前側面41の略半分の長さである。前側面41の右端(柱材1側端)は、後側に向けて湾曲していて、先端部には、前側に向けて屈曲してさらに後側に向けて屈曲する略V字形の被係合部44を形成してある。また、後側面43の右端(柱材1側端)は、前側に向けて湾曲していて、先端部には、右側に向けて屈曲してさらに後側に向けて屈曲する略U字形の被係止部45を形成してある。なお、止め具4の上下長さは、図1に示すように、各段の横材2の上下幅に合わせてあり、50mm程度のものとなっている。このように形成した止め具4は、薄いアルミ板からなるので弾性を有しており、後側の被係止部45を柱材1の係止部13に係止してから、反時計回りに回転させるようにして、前側の被係合部44を柱材1の係合部14に係合させるか、あるいは、全体を押し縮めて、被係止部45と被係合部44を同時に柱材1の係止部13と係合部14にそれぞれ係合させて、取り付けることができる。こうして止め具4を取り付けることにより、柱材1の矩形部11の左側面及び固定片12と、止め具4の前側面41、見込面42及び後側面43に囲まれた略矩形の挿通空間Sが形成され、この挿通空間Sに集合した各配線6を納めて、配線6を柱材1に止めてある。また、止め具4の前側面41は柱材1の矩形部11の前側面と面一になり、止め具4の後側面43は柱材1の矩形部11の後側面と面一になるので、柱材1の左右にそれぞれ止め具4を取り付けることで、全体として断面略矩形となる。なお、止め具4は、柱材1の任意の上下位置に取り付けることができるが、ここでは横材2の位置に合わせて取り付けてある。このようにすることで、柱材1を横材2に固定するためのボルト16の頭部が止め具4により覆い隠され、外側から視認できなくなる。
【0012】
続いて、端部の柱材1aについて説明するが、端部の柱材1aは、中間部の柱材1と比べて、固定片12及び係合部14を左右一方にのみ設けた点が異なっている(ここでは枠体5の前側左端に位置する柱材1aに基づく)。左端部の柱材1aは、図4に示すように、中空の矩形部11を有する。そして、矩形部11の後端部から右側に向けて延びる固定片12を設けてあり、さらに固定片12の先端から前側に向けて延びる係止部13を設けてある。また、矩形部11の前端部には、右側に向けて延び先端が後側に向けて屈曲している略L字形の係合部14を設けてある。さらに、矩形部11の後側面、すなわち横材2に対する当接面には、断面略コ字形の凹部15を形成してある。そして、このように構成した柱材1aの矩形部11の後側面および固定片12を、横材2の左端部の前側面に当接させてある。この際、横材2と桟3を固定するボルト31の頭部が、柱材1aの凹部15に呑み込まれ、干渉することを防ぐとともに、ボルト31が外側から視認できなくなる。固定片12の横材2に対応する上下位置には、ボルト孔を形成してあり、ボルト孔にボルト16を挿入して、柱材1a(固定片12)と横材2をボルト止めしてある。また、中間部の柱材1と同様に、端部の柱材1aの下端にも、高さ調整可能な脚部17を設けてある。さらに、図2(c)及び図4に示すように、最上段及び最下段の枠体5と、端部の柱材1aとに跨って、左右側からプレート51を取り付けてある。プレート51は、柱材1aと桟3に二箇所ずつボルト止めしてあり、植栽棚を補強している。
【0013】
そして、端部の柱材1aにも、中間部の柱材1と同様に、上下に間隔を空けて複数の止め具4を取り付けてあり、止め具4によって、柱材1aに沿って延びる配管7を柱材1aに止めてある。この止め具4は、中間部の柱材1に取り付けるものと同じものであり、被係止部45と被係合部44を柱材1aの係止部13と係合部14にそれぞれ係合させて取り付けてあって、柱材1aと止め具4で全体として断面略矩形となる。そして、柱材1aと止め具4に囲まれた略矩形の挿通空間Sに配管7を納めてある。なお、中間部の柱材1の場合と同様に、止め具4は、端部の柱材1aの任意の上下位置に取り付けることができるが、ここでは横材2の位置に合わせて取り付けてある。このようにすることで、柱材1aを横材2に固定するためのボルト16の頭部が止め具4により覆い隠され、外側から視認できなくなる。
【0014】
図5は、柱材1aに止め具4を取り付けた状態の説明図であり、(a)に示すように、配線6や配管7を設けない場合でも、止め具4を取り付けることで、柱材1aを横材2に固定するためのボルト16の頭部を覆い隠すことができる。また、配線6や配管7を止めると、(b)や(c)に示す状態となる。
【0015】
このように構成した本発明の植栽棚によれば、止め具4により配線6及び配管7を柱材1,1aに止めるものであり、結束バンドやサドルバンドなどを用いる必要がない。そして、止め具4はそれ自体が弾性を有するものであり、被係止部45と被係合部44を柱材1,1aの係止部13と係合部14にそれぞれ係合させるだけで取り付け可能であって、何らの工具を要しないので、施工性が良好である。また、柱材1,1aが左右方向に延びる固定片12を有し、固定片12を横材2にボルト止めしてあり、固定片12の先端部に止め具4を係止させて取り付けてあるので、止め具4を横材2と同じ上下位置に取り付けることで、止め具4により柱材1,1aと横材2を固定するボルト16の頭部を覆い隠すことができ、意匠性が向上するとともに、作業者の手袋などが引っ掛かって破損することを防ぐ。さらに、柱材1,1aは、桟3と同じ左右位置に設けてあり、柱材1,1aの横材当接面に凹部15を形成してあり、凹部15に横材2と桟3を固定するボルト31を呑み込ませてあるので、ボルト31の頭部を覆い隠すことができ、意匠性が向上するとともに、作業者の手袋などが引っ掛かって破損することを防ぐ。また、止め具4は柱材1,1aの全長にわたって取り付けるものではなく、任意の上下位置に取り付けることができるので、配線6や配管7の分岐部分との干渉を避けることも容易である。
【0016】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、配線と配管は、何れか一方のみを有するものである場合もあり、配管は、水のほか、空気の供給に用いられる場合もある。さらに、配線と配管は、中間部の柱材と端部の柱材のどちらに沿って設けてもよく、中間部の柱材の左右の止め具でそれぞれ配線と配管を止めてもよいし、一つの止め具で配線と配管の両方を併せて止めてもよい。また、柱材及び止め具の形状は、止め具が容易に係合可能であって配線や配管を止めることができるものであれば、どのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0017】
1,1a 柱材
2 横材
3 桟
4 止め具
5 枠体
6 配線
7 配管
12 固定片
S 挿通空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7