特許第6404791号(P6404791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404791
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   H01L23/50 A
   H01L23/50 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-179326(P2015-179326)
(22)【出願日】2015年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-55025(P2017-55025A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2017年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100088487
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 允之
(72)【発明者】
【氏名】田靡 京
【審査官】 黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−153913(JP,A)
【文献】 特開2003−249615(JP,A)
【文献】 特表2002−539630(JP,A)
【文献】 特開平6−302737(JP,A)
【文献】 特開平6−179088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
H01L 23/48
B23K 26/00−26/70
H01L 33/48、33/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリードフレームが接続領域で接続されたリードフレーム部材のリードフレーム上に半導体チップを固定し、
前記接続領域の少なくとも一部が露出するように前記半導体チップを樹脂で覆い、
露出した前記接続領域を、めっき膜で覆い、
前記接続領域の上面及び下面の前記めっき膜を除去して前記接続領域の上面及び下面を露出させ、
露出した前記接続領域をウェットエッチングにより切断する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記めっき膜はスズ(Sn)を含有する請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記接続領域は銅(Cu)を含む合金である請求項1又は請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
複数のリードフレームが接続領域で接続されたリードフレーム部材のリードフレーム上に半導体チップを固定し、
前記接続領域の少なくとも一部が露出するように前記半導体チップを樹脂で覆い、
露出した前記接続領域を、めっき膜で覆い、
前記接続領域を覆う前記めっき膜の一部を除去して前記接続領域を露出させ、
露出した前記接続領域をウェットエッチングにより切断し、
前記めっき膜の除去はレーザで行う半導体装置の製造方法。
【請求項5】
複数のリードフレームが接続領域で接続されたリードフレーム部材のリードフレーム上に半導体チップを固定し、
前記接続領域の少なくとも一部が露出するように前記半導体チップを樹脂で覆い、
露出した前記接続領域を、めっき膜で覆い、
前記接続領域を覆う前記めっき膜の一部を除去して前記接続領域を露出させ、
露出した前記接続領域をウェットエッチングにより切断し、
前記めっき膜の一部を除去する際に、露出した前記接続領域の一部を連続して除去する製造方法。
【請求項6】
前記めっき膜の一部を溶融し、前記接続領域に形成された溝の側面に保護膜を形成する請求項5記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージを製造する際、複数のリードフレームが接続されたリードフレーム部材のリードフレーム上に半導体チップを固定する。その後、例えば、半導体チップをモールド樹脂で封止する。そして、例えば、ブレードや金型でリードフレームの間を切断することにより半導体パッケージを個別化する。
【0003】
しかし、ブレードや金型によりリードフレームとリードフレームとの間を切断する際に、リードフレームやモールド樹脂に機械的ストレスが印加され、半導体パッケージが破損する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−67768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、半導体パッケージを製造する際の破損を抑制することが可能な半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置の製造方法は、複数のリードフレームが接続領域で接続されたリードフレーム部材のリードフレーム上に半導体チップを固定し、前記接続領域の少なくとも一部が露出するように前記半導体チップを樹脂で覆い、露出した前記接続領域を、めっき膜で覆い、前記接続領域の上面及び下面の前記めっき膜を除去して前記接続領域の上面及び下面を露出させ、露出した前記接続領域をウェットエッチングにより切断する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図2】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図4】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図5】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図6】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図7】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図8】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図9】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図10】第1の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図11】第2の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図12】第2の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図13】第2の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
図14】第2の実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態の半導体装置の製造方法は、複数のリードフレームが接続領域で接続されたリードフレーム部材のリードフレーム上に半導体チップを固定し、接続領域の少なくとも一部が露出するように半導体チップを樹脂で覆い、露出した接続領域を、めっき膜で覆い、接続領域を覆うめっき膜の一部を除去して接続領域を露出させ、露出した接続領域をウェットエッチングにより切断する。
【0010】
図1図10は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図である。図1(a)、図3(a)、図5(a)、図7(a)、図9(a)は上面図である。図1(b)、図3(b)、図5(b)、図7(b)、図9(b)は下面図である。図1(c)、図3(c)、図5(c)、図7(c)、図9(c)は、それぞれが図1(a)、図3(a)、図5(a)、図7(a)、図9(a)のA−A’断面図である。図2図4図6図8図10は、それぞれが図1(c)、図3(c)、図5(c)、図7(c)、図9(c)の点線で囲った領域の拡大図である。
【0011】
まず、複数のリードフレーム10a(図1(a)中破線で囲む領域)が接続領域10bで接続されたリードフレーム部材10を準備する。リードフレーム部材10は、例えば、銅(Cu)を含む合金や、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を含む合金である。リードフレーム部材10は、例えば、Cu−Fe系合金やFe−Ni系合金である。リードフレーム部材10は、例えば、エッチング加工、又は、プレス加工で製造される。
【0012】
次に、リードフレーム10a上に半導体チップ12を固定する(図1)。半導体チップ12は、例えば、はんだ、銀ペースト等の接合材により、リードフレーム上に固定される。半導体チップは、例えば、トランジスタやダイオードである。
【0013】
次に、半導体チップ12をモールド樹脂(樹脂)14で覆う(図3図4)。半導体チップ12をモールド樹脂14で覆う際に、接続領域10bの少なくとも一部がモールド樹脂14に覆われずに露出するようにする。
【0014】
例えば、キャビティを備える樹脂モールド用の中空金型を、キャビティ内に半導体チップ12が収まるよう配置する。そして、キャビティ内に、例えば、熱硬化性樹脂を充填し、所定の温度で加熱後、冷却し熱硬化性樹脂を硬化させる。これにより、半導体チップ12をモールド樹脂14で覆う
【0015】
次に、露出している接続領域10bを、めっき膜16で覆う(図5図6)。めっき膜16は、例えば、電界めっきにより形成される。めっき膜16は、例えば、スズ(Sn)を含有する。
【0016】
めっき膜16は、いわゆる外装めっきである。めっき膜16によりリードフレーム10aの酸化等による腐食を抑制できる。また、めっき膜16は、はんだ等を用いてリードフレームと回路基板を接着する際の接着性を向上させる。
【0017】
次に、接続領域10bを覆うめっき膜16の一部を除去し、接続領域10bを露出させる(図7図8)。めっき膜16の除去は、例えば、レーザで行う。例えば、リードフレームの上面及び下面からめっき膜16にレーザを照射し、所望の領域のめっき膜16を除去する。
【0018】
同一の接続領域10bへのレーザの照射は、上面、下面それぞれ1回ずつの照射であっても、複数回の照射であっても構わない。
【0019】
めっき膜16の除去は、例えば、ブレードを用いて行うことも可能である。
【0020】
次に、露出した接続領域10bをウェットエッチングにより切断する(図9図10)。接続領域10bを切断することで、各リードフレーム10aが分離され、複数の半導体パッケージ(半導体装置)100が製造される。
【0021】
ウェットエッチングの際、めっき膜16をマスクに接続領域10bをエッチングする。接続領域10bをめっき膜16に対し選択的にエッチングする。
【0022】
ウェットエッチングは、例えば、薬液を噴射するための複数の噴射ノズルを備えるスプレー式のウェットエッチング装置により行う。ウェットエッチングに、エッチング液を満たした容器内でエッチングを行うディップ式のウェットエッチング装置を用いることも可能である。
【0023】
エッチングに用いる薬液は、リードフレーム部材10の材質及びめっき膜16の材質により、適宜選択される。
【0024】
なお、ウェットエッチングにより接続領域10bを切断する際、ウェットエッチングが等方性エッチングであることから、図10中にWで示すように不可避的にサイドエッチングを生ずる。
【0025】
以下、本実施形態の半導体装置の製造方法の作用・効果について説明する。
【0026】
ブレードや金型でリードフレーム部材を切断すると、リードフレームやモールド樹脂に機械的ストレスが印加され、半導体パッケージが破損する場合がある。このため、半導体パッケージの製造歩留りが低下する。
【0027】
また、ブレードや金型でリードフレーム部材を切断する場合、ブレードや金型の摩耗による高価な部材の定期的な交換が必要となり、半導体パッケージの製造コストが増大する。
【0028】
本実施形態では、リードフレーム部材10の切断に、ウェットエッチングを用いる。したがって、リードフレーム10aやモールド樹脂14に機械的ストレスが印加されることがなく、半導体パッケージ100の破損が抑制される。したがって、半導体パッケージ100の製造歩留りが向上する。
【0029】
また、ウェットエッチング装置の場合、高価な部材の定期的な交換が不要である。したがって、半導体パッケージ100の製造コストが抑制される。
【0030】
(第2の実施形態)
本実施の形態の半導体装置の製造方法は、めっき膜の一部を除去する際に、露出した接続領域の一部を連続して除去する点、及び、めっき膜の一部を溶融し、接続領域に形成された溝の側面に保護膜を形成する点、以外は第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態と重複する内容については記述を省略する。
【0031】
図11図14は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す模式図である。図11(a)、図13(a)は上面図である。図11(b)、図13(b)は下面図である。図11(c)、図13(c)は、それぞれが図11(a)、図13(a)のA−A’断面図である。図12図14は、それぞれが図11(c)、図13(c)の点線で囲った領域の拡大図である。
【0032】
露出している接続領域10bを、めっき膜16で覆う(図5図6)までは、第1の実施形態と同様である。
【0033】
次に、接続領域10bを覆うめっき膜16を除去し、接続領域10bを露出させる。この際、露出した接続領域10bの一部を連続して除去して溝を形成する(図11図12)。露出した接続領域10bの一部を連続して除去することにより、接続領域10bの一部が薄くなる。
【0034】
更に、接続領域10bの一部が除去されることで形成された溝の側面に、保護膜16aを形成する。保護膜16aはめっき膜16の一部である。
【0035】
めっき膜16の除去は、例えば、レーザで行う。例えば、リードフレームの上面及び下面からめっき膜16にレーザを照射し、所望の領域のめっき膜16を除去する。めっき膜16を除去した後、例えば、接続領域10bへのレーザの照射を続け、接続領域10bに溝を形成する。例えば、同時にめっき膜16を溶融して溝の側面に保護膜16aを形成する。
【0036】
レーザの照射条件を適切に設定することで、めっき膜16をアブレーションで蒸発させるのではなく、溶融することが可能である。例えば、同一の接続領域10bへのレーザの照射を複数回行う場合、めっき膜16のアブレーションによる除去ステップ、接続領域10bへの溝の形成ステップ、めっき膜16を溶融しての保護膜16aの形成ステップのそれぞれのステップを、加工条件を変えた別のレーザの照射で行ってもかまわない。
【0037】
次に、露出した接続領域10bをウェットエッチングにより切断する(図13図14)。接続領域10bを切断することで、各リードフレーム10aが分離され、複数の半導体パッケージ(半導体装置)200が製造される。
【0038】
ウェットエッチングの際、めっき膜16及び保護膜16aをマスクに接続領域10bをエッチングする。接続領域10bをめっき膜16に対し選択的にエッチングする。
【0039】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用により、半導体パッケージ200の製造歩留りが向上する。また、第1の実施形態と同様の作用により、半導体パッケージ200の製造コストが抑制される。
【0040】
更に、本実施形態によれば、ウェットエッチングの前に、接続領域10bが薄くなっている。したがって、ウェットエッチング時間を短縮することが可能である。よって、半導体パッケージの生産性が向上する。
【0041】
図14中にWで示すサイドエッチングの量が、第1の実施形態のサイドエッチングの量W図10)よりも小さくなる。その理由は、ウェットエッチング時間が短縮されるからである。また、その理由は、接続領域10bの溝の側面が、ウェットエッチング時に保護膜16aによりマスクされるからである。
【0042】
ウェットエッチング時のサイドエッチング量が大きくなりすぎると、ウェットエッチングが半導体チップ12まで達し、半導体チップ12自体が破壊する恐れがある。また、サイドエッチング量が大きくなりすぎると、半導体パッケージ200の外観不良となる恐れがある。したがって、サイドエッチング量が大きくなりすぎると、半導体パッケージの200の製造歩留りが低下する恐れがある。
【0043】
本実施形態では、ウェットエッチング時のサイドエッチング量が小さくなる。したがって、半導体パッケージ200の製造歩留りの低下が抑制される。
【0044】
更に、本実施形態によれば、半導体パッケージ200のリードフレームの切断面の面積が小さくなる。したがって、めっき膜16に覆われずに露出するリードフレームの面積が小さくなる。したがって、リードフレームの腐食が抑制され、信頼性の高い半導体パッケージ200が実現される。また、半導体パッケージ200を実装する際に、リードフレームとはんだが良好に接触する表面積が大きくなる。この観点からも、信頼性の高い半導体パッケージ200が実現される。
【0045】
なお、本実施形態のめっき膜16の除去と接続領域10bの一部の除去を、ブレードを用いて行うことも可能である。例えば、ブレードによる発熱でめっき膜16を溶融させ、保護膜16aを形成することも可能である。
【0046】
また、本実施形態では、特に、接続領域10bの溝の側面に保護膜16aを形成する場合を例に説明した。しかし、保護膜16aを形成しない場合であっても、接続領域10bを薄くすることによるウェットエッチング時間の短縮効果は得られる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態及び実施例を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
10 リードフレーム部材
10a リードフレーム
10b 接続領域
12 半導体チップ
14 モールド樹脂(樹脂)
16 めっき膜
16a 保護膜
100 半導体モジュール(半導体装置)
200 半導体モジュール(半導体装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14