【実施例】
【0021】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
図1は本発明のツイスト線製造装置の構成を示す模式図である。また、
図2は
図1の自転防止装置から回転送り出し装置までの拡大図であり、
図3はツイスト線の製造に係る説明図である。また、
図4は
図3のツイスト線の拡大図であり、
図5は
図1のツイスト線巻き取り装置の変形例を示す模式図である。
【0022】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
【0023】
<ツイスト線製造装置1の構成について>
図1において、ツイスト線製造装置1は、二つの電線リール2から各々引き出された電線101を撚り合わせて一本のツイスト線102を製造するための装置であって、自転防止装置3と、仕切り4と、回転送り出し装置5と、一対のノズル6と、ツイスト線巻き取り装置7と、制御装置8と、図示しないフレームとを備えて構成される。ツイスト線製造装置1は、この装置を上下方向で見た場合、自転防止装置3が一番上、回転送り出し装置5が中間、ツイスト線巻き取り装置7が一番下になるように配置される。また、仕切り4が自転防止装置3と回転送り出し装置5との間になるように配置されるとともに、一対のノズル6が回転送り出し装置5とツイスト線巻き取り装置7との間になるように配置される。以下、各構成について説明をする。
【0024】
<二つの電線リール2について>
図1において、二つの電線リール2は、種類の異なる電線101をそれぞれ円筒状に巻いてなるものであって、公知のものが採用される。二つの電線リール2は、例えば製造現場の床や所定の台の上などに置かれるようになる(図示位置は便宜上であり、特に限定されないものとする)。二つの電線リール2及び自転防止装置3の配置からわかるように、本実施例では、電線101がそれぞれ上方に引き出されるようになる。
【0025】
<ツイスト線102について>
図1、
図3、及び
図4において、ツイスト線102は、上述の如く、二つの電線リール2からそれぞれ引き出された電線101を撚り合わせることにより製造される。本実施例のツイスト線102は、これを束状に巻く必要があるような、とても長い状態に製造される(一例であるものとする。従来例のような長さも製造可能であるものとする)。尚、本実施例においては、電線101の本数が二本であるが、これ以上の本数で撚り合わせてツイスト線を製造するようにしてもよいものとする。具体的には、例えば四本の電線や、太さの異なる合計四本の電線等で撚り合わせてツイスト線を製造するようにしてもよいものとする。電線101は、一般的なもので、導体と、この導体を被覆する絶縁体とにより構成される。
【0026】
<自転防止装置3について>
図1及び
図2において、自転防止装置3には、二つの電線リール2からそれぞれ引き出された二本の電線101が供給されるようになる。自転防止装置3は、ツイスト線102のツイスト部107を形成するために必要な(撚り合わせに必要な)バックテンションを生じさせることができるように構成される。また、自転防止装置3は、撚り合わせにより電線102に生じる自転方向の力を打ち消すことができるように構成される。さらに、自転防止装置3は、上記バックテンション発生や上記力の打ち消しを簡素な構造で提供することができるように構成される。本実施例の自転防止装置3は、一対の送り出しローラ9と、この一対の送り出しローラ9よりも仕切り4側(下流側)に配置される一対の自転防止ローラ10と、一対の自転防止ローラ10に対し作用するテンション調節部11とを備えて構成される。
【0027】
<第一軸L1について>
尚、以下では、図中上下方向の中心線が特許請求の範囲に記載された第一軸(引用符号をL1とする)に相当するものとして説明をする。第一軸L1は、これに沿ってツイスト線102が送り出されるような上下方向の軸になる。
【0028】
<一対の送り出しローラ9及び第二軸L2について>
図1及び
図2において、一対の送り出しローラ9は、二本の電線101の供給側に配置される。一対の送り出しローラ9は、回転自在な円形の二つのローラからなり、第一軸L1に対し交差する方向にのびる第二軸L2に沿って二本の電線101を通過させることができるように配置される。もう少し詳しく説明をすると、一対の送り出しローラ9は、ローラの並び軸L3が第一軸L1に対し平行になるように配置される。また、一対の送り出しローラ9は、ローラの並び軸L3が第一軸L1から適宜間隔をあけるように配置される。さらに、一対の送り出しローラ9は、このローラ間で二本の電線101のバタツキを抑えるように配置される。
【0029】
尚、本実施例では、ローラの並び軸L3が第一軸L1に対して平行であることから、上記第二軸L2が第一軸L1に直交するような位置関係になる。そのため、二本の電線101が一対の送り出しローラ9のローラ間を水平方向(左右方向)に通過するような状態になる(本実施例の配置は一例であり、例えば、第二軸L2が水平方向に対し斜め上に鋭角で傾くような状態の配置であってもよいものとする)。
【0030】
<一対の自転防止ローラ10及び電線曲げ部12について>
図1及び
図2において、一対の自転防止ローラ10は、仕切り4の近傍に配置される。一対の自転防止ローラ10は、二つの回転自在な円形のローラからなり、ローラの並び軸L4が第一軸L1に対して直交するように配置される。また、一対の自転防止ローラ10は、このローラ間を後述する電線曲げ部12が通過するように配置される。さらに、一対の自転防止ローラ10は、電線曲げ部12の曲げ開始側(電線供給側)が図中右側のローラに載るとともに、電線101の(導体の)弾力性によって、電線曲げ部12の曲げ終わり側(仕切り4側)が図中左側のローラに接するように配置される。尚、電線曲げ部12は、一対の送り出しローラ9を通過した二本の電線101が第一軸L1に沿うように略L字状(又は略く字状)に曲げ形成された部分であるものとする。
【0031】
<テンション調節部11について>
図1及び
図2において、テンション調節部11は、電線101の(導体の)弾力性によって電線曲げ部12の曲げ終わり側が接する図中左側のローラ(左側の自転防止ローラ10)の位置を変えることができるように構成される(別な言い方をすれば、一対の自転防止ローラ10におけるローラ間の距離を変えることができるように構成される)。このようなテンション調節部11は、電線曲げ部12に対し付加するテンションを調節するために設けられる。本実施例においては、特に図示しないが、シリンダーと、このシリンダーの駆動機構とを含んで構成される(一例であるものとする)。
【0032】
<自転防止装置3による作用について>
図1及び
図2において、上述の如く自転防止装置3の位置では、二本の電線101が曲げられて電線曲げ部12が形成される。そして、自転防止装置3では、電線曲げ部12に合わせて一対の自転防止ローラ10が配置される。二本の電線101には弾力性があり、そのため第二軸L2から第一軸L1に変わる経路に沿って曲げを施すには、弾性変形範囲内の力を二本の電線101に掛ける必要がある。弾性変形範囲内の力を掛けて電線曲げ部12を形成すると、この電線曲げ部12には「元に戻ろうとする力」が発生し、これが二本の電線101の撚り合わせに必要なバックテンションになる。一方、撚り合わせを行うと、この撚り合わせにより「捩りの力」が二本の電線101に加えられる。尚、「捩りの力」は、撚り合わせに必要な力となるが、電線供給側には伝えたくない力である。そのため、伝わらないようにする工夫が必要である。ツイスト線製造装置1では、自転防止装置3により電線曲げ部12の曲げ形状が維持されることから、「捩りの力」は電線曲げ部12の位置まで掛かるものの、そこから先は電線曲げ部12の曲げ形状と電線曲げ部12に生じる「元に戻ろうとする力」とにより「捩りの力」が打ち消され、結果、電線供給側に伝わらないようになる。ツイスト線製造装置1における自転防止装置3は、簡素な構成及び構造であるが、有用であるということが分かる。
【0033】
<仕切り4について>
図1及び
図2において、仕切り4は、板状の部材であって、図示しないフレームに固定される。このような仕切り4の中央には、第一軸L1に沿って二本の電線101をそれぞれ通過させるための一対の電線通過部13が形成される。この一対の電線通過部13は、図の紙面垂直方向に所定の間隔で並ぶように配置形成される。尚、本実施例の一対の電線通過部13は穴形状であるが、これに限らずスリット形状等であってもよいものとする。
【0034】
<回転送り出し装置5について>
図1及び
図2において、回転送り出し装置5は、ツイスト線102のツイスト部107を撚り合わせにより形成するための装置であって、仕切り4の下に、撚り合わせに必要なスペースをあけて配設される。このような回転送り出し装置5は、第一軸L1を中心にして自身を回転させるための回転機構14と、ツイスト線102を第一軸L1に沿って仕切り4から離れる側に(下方に)送り出すための送り出し機構15と、ツイスト線102を検尺するための検尺部16とを備えて構成される。回転送り出し装置5は、上記回転が可能な状態で図示しないフレームに固定される。
【0035】
<回転機構14について>
図1及び
図2において、回転機構14は、後述する制御装置8の回転制御部32にて制御される第一モータ17と、この第一モータ17に噛み合う図示しないギアボックスと、第一軸L1を回転中心にするように配置形成される図示しない回転軸と、この回転軸や第一モータ17、ギアボックス、及び送り出し機構15等の組み付け先になるベース部材18とを備えて構成される。回転機構14は、図中矢印Pの方向に回転するように構成される。
【0036】
<送り出し機構15について>
図1及び
図2において、送り出し機構15は、後述する制御装置8の回転制御部32にて制御される第二モータ19と、この第二モータ19に噛み合う図示しないギアボックスと、ツイスト線102を挟み込みつつ送り出しをするための一対のベルト駆動部20とを備えて構成される。送り出し機構15は、第二モータ19の作動により、一対のベルト駆動部20が特徴的な動きをして、ツイスト線102を下方に送り出すように構成される。
【0037】
<一対のベルト駆動部20について>
図1及び
図2において、一対のベルト駆動部20のそれぞれは、第一軸L1に沿って並ぶ一対のプーリー21と、この一対のプーリー21に緩い状態で架けられる平形ベルト22とを備えて構成される。それぞれのベルト駆動部20は、主動側のプーリー21が上記図示しないギアボックスに連結されており、主動側のプーリー21に駆動力が伝達されると、平形ベルト22が図中矢印Q方向に回転するように構成される。平形ベルト22は、ツイスト線102を挟み込むために十分な幅を有する無端ベルトであって、外面が比較的摩擦抵抗の大きな状態に形成される(ツイスト線102に影響を来さない程度の摩擦抵抗を有するような状態に形成される。例えばゴム面などの形成が有効であるものとする)。また、平形ベルト22の内面は、歯付きの状態に形成される。
【0038】
<一対のプーリー21の配置及び平形ベルト22の送り出し状態について>
図1及び
図2において、図中左側のベルト駆動部20における一対のプーリー21と、図中右側のベルト駆動部20における一対のプーリー21は、第一軸L1に沿って千鳥状となる位置に配置される。また、一対のプーリー21間に相手側のプーリー21が若干入り込むような位置にも配置される。このような位置に一対のプーリー21が配置されると、ツイスト線102を挟み込んだ状態にある平形ベルト21同士は、第一軸L1上で略蛇行するような状態で送り出しを行うようになる。略蛇行するような状態での送り出しであれば、平形ベルト22同士によるツイスト線102の密着度は、非蛇行の場合(真っ直ぐ下に送り出す場合)と比べて格段に高くなる。ツイスト線102の密着度が高ければ、電線101の撚り合わせの際に電線101(ツイスト部107)に発生する「撚りを戻そうとする力(スプリングバック)」を押さえ込むことが可能になる。別な言い方をすれば、電線101の自転しようとする力を抑制することが可能になる。
【0039】
<検尺部16について>
図1及び
図2において、検尺部16は、送り出し機構15にて送り出されたツイスト線102を検尺するために備えられる。検尺部16は、例えば送り出し量を検出するための図示しないセンサーを含んで構成される。このセンサーは、制御装置8の後述する検尺制御部33に接続される。制御装置8では、例えば検出された送り出し量をもとに第一モータ17及び第二モータ19の作動が制御される。ツイスト線製造装置1は、検尺部16にてツイスト線102を検尺することから、長短様々な長さでツイスト線102を製造することが可能になる。
【0040】
<回転送り出し装置5による作用について>
図1及び
図2において、後述する制御装置8の回転制御部32により第一モータ17及び第二モータ19が作動すると、回転送り出し装置5では、予め設定された回転数で回転機構14が矢印P方向に回転するとともに、送り出し機構15によりツイスト線102が第一軸L1に沿って予め設定された長さで下方に送り出される。回転機構14の回転速度と、送り出し機構15の送り出し速度とが適宜設定されることにより、ツイスト線102には、所望の撚りピッチでツイスト部107が形成される。送り出し機構15にて下方に送り出されたツイスト線102は、一対のノズル6を通過するようになる。尚、送り出しの状態については上述の通りである。
【0041】
<一対のノズル6について>
図1及び
図3において、一対のノズル6は、回転送り出し装置5から送り出されたツイスト線102を案内するために備えられる。このような一対のノズル6は、ツイスト線102の挿通が可能な円筒形状に形成される。また、一対のノズル6は、この中心軸が第一軸L1に一致するとともに、上下に並ぶように配置される。一対のノズル6のうち、上方のノズル6は、
図3で示すようなテープ巻きTPを施すことが可能な分だけ間隔をあけて回転送り出し装置5の下に配置される。また、下方のノズル6は、ツイスト線巻き取り装置7の後述する巻き取りカゴ23の位置に合わせて配置される(図中の配置は一例であるものとする)。この他、上方のノズル6と下方のノズル6との間があくように配置される。具体的には、
図3で示すようなツイスト線102の切断をすることが可能な分だけ間隔をあけて配置される。尚、一対のノズル6の開口縁には、テーパが形成される(符号省略)。
【0042】
<ツイスト線巻き取り装置7について>
図1及び
図3において、ツイスト線巻き取り装置7は、回転送り出し装置5から送り出されたツイスト線102を所定の径で巻き取るために備えられる。このようなツイスト線巻き取り装置7は、ツイスト線102を受け入れる巻き取りカゴ23と、第一軸L1を中心に巻き取りカゴ23を回転させてツイスト線102に遠心力を作用させるためのカゴ回転機構24と、巻き取りカゴ23を傾けることができるようにするためのカゴ傾け機構25とを備えて構成される。
【0043】
<巻き取りカゴ23について>
図1及び
図3において、巻き取りカゴ23は、ツイスト線102を受け入れる部分として備えられる(別な言い方をすれば、ツイスト線102を払い出す部分として備えられる)。本実施例においては、網目のあるカゴ状の部材(ザル状の部材)が巻き取りカゴ23として採用される(一例であり、例えばタライ状などの形状であってもよいものとする)。また、巻き取りカゴ23は、巻き取りサイズに合わせて適宜変更可能なものが採用される。このような巻き取りカゴ23は、円形の底部26と、底部26の縁部から上方に立ち上がる円周壁27と、ツイスト線102の後述する「撚り端末」を保持するためのクランプ28と、カゴ内部に設けられる円錐部29とを有して、例えば図示形状に形成される。尚、円周壁27は、本実施例において、開口縁部が窄む形状に形成されるが、例えば
図5の変形例で示すような、上方に向けて次第に径が大きくなるテーパ状の形状に形成されてもよいものとする。
【0044】
<円錐部29について>
図1及び
図3において、円錐部29は、底部26の上に固定される円錐形状の部分、又は、底部26を円錐形状に突出させた部分として形成される。円錐部29は、一番上の円錐頂部が第一軸L1の位置に合わせて配置される。また、一番下の円錐底面が底部26の径に合わせた大きさに形成される。このような円錐部29には、ツイスト線102が滑り落ちるような案内用の斜面30が形成される。
【0045】
<カゴ回転機構24について>
図1及び
図3において、カゴ回転機構24は、上述の如く巻き取りカゴ23を第一軸L1を中心に回転させるために備えられる。カゴ回転機構24は、後述する制御装置8の回転制御部32にて制御されるモータ(図示省略)と、このモータにより回転する回転軸31とを備えて構成される。回転軸31の先端には、巻き取りカゴ23の底部26が固定される。
【0046】
<カゴ傾け機構25について>
図1及び
図3において、カゴ傾け機構25は、巻き取られたツイスト線102を作業者が巻き取りカゴ23から取り出し易くするために備えられる。本実施例においては、巻き取りカゴ23を作業者側に傾けることができるように構成される。尚、傾けなくても取り出しがし易い場合には、カゴ傾け機構25の設定は任意であるものとする。
【0047】
<ツイスト線巻き取り装置7による作用について>
図1において、制御装置8の後述する回転制御部32により図示しないモータが作動すると、ツイスト線巻き取り装置7では、巻き取りカゴ23が矢印R方向に予め設定された回転数で回転する。ここで重要なことは、ツイスト線巻き取り装置7における矢印R方向の回転数が、回転送り出し装置5における矢印P方向の回転数よりも若干少なくなるように設定されることである。ツイスト線巻き取り装置7における回転数と、回転送り出し装置5における回転数とに差を設けることにより、また、回転送り出し装置5におけるツイスト線102の送り出しスピード(単位時間当たりの送り出し長さ)を調節することにより、回転送り出し装置5の下の矢印Sで示す部分を「撚りを若干戻す部分」(別な言い方をすれば「撚りを若干解く部分」)にすることができるようになる。矢印Sで示す部分において、電線101の撚り合わせの際に生じる「撚りを戻そうとする力(スプリングバック)」を開放させて撚り戻しをすれば、ツイスト線102の撚りピッチを安定させたり、ツイスト線102の巻き取り後の状態を安定させたりすることができるのは勿論である。
【0048】
巻き取りカゴ23でのツイスト線102は、円錐部29の斜面30にて案内されるとともに、回転により生じる遠心力で巻き取りカゴ23の円周壁27に寄せられて巻き取られるようになる。
【0049】
ツイスト線巻き取り装置7と回転送り出し装置5は、予め設定された長さ分だけ(目的線長まで)ツイスト線102を送り出したところで停止するようになる。
【0050】
<制御装置8について>
図1ないし
図3において、制御装置8は、例えば公知のPLCであって、ツイスト線製造装置1の全体を制御することができるように構成される。このような制御装置8には、巻き取りカゴ23を回転送り出し装置5と同じ方向に回転させるとともに、回転送り出し装置5と巻き取りカゴ23の回転速度を異ならせるように制御するための回転制御部32が設けられる。また、制御装置8には、ツイスト線102の検尺に係る検尺制御部33も設けられる。
【0051】
<ツイスト線102の製造手順について>
上記構成及び構造に基づき、
図1、
図3、及び
図4を参照しながら、ツイスト線102の製造手順について説明をする。
【0052】
図1において、先ず(1)二つの電線リール2から電線101を二本、それぞれ上方に引き出すことを行う。次に(2)人手により二本の電線101を曲げて電線曲げ部12を形成しつつ、この二本の電線101を自転防止装置3及び仕切り4に通すことを行う。次に(3)二本の電線101の端末部分を回転送り出し装置5の一対のベルト駆動部20に挟み込み、図示しないスイッチをオンして「準備段階の撚り合わせ」を行う。「準備段階の撚り合わせ」は、例えば50cm程の「撚り端末」を作るためであり、回転送り出し装置5からツイスト線102の「撚り端末」を送り出した後、(4)一旦、スイッチをオフして「撚り端末」にテープ巻きTPを施すことを行う。次に(5)作業者が「撚り端末」を手で巻き取りカゴ23に入れるとともに、「撚り端末」をクランプ28にて保持することを行う。以上で「準備段階の撚り合わせ」が終わる。(6)再度、スイッチをオンし、今度は目的線長まで「自動撚り合わせ」を行う。
【0053】
図3において、(7)目的線長まで「自動撚り合わせ」が終わると、一対のノズル6の上下位置でツイスト線102にテープ巻きTPを施すとともに、上側のノズル6と下側のノズル6との間に例えばハサミ34などの切断手段を入れて分離をすることを行う。最後に(8)巻き取りカゴ23を作業者側に傾け、巻き取りカゴ23に巻き取られたツイスト線102を取り出すことを行うと、ツイスト線102の製造が完了する。ツイスト線102は、
図4に示す如くの状態に製造される。
【0054】
図4において、ツイスト線102は、引用符号35の「撚り端末」が最下層、引用符号36の「撚り端末」が手前となるように製造される。このような状態に製造されれば、ツイスト線102を使用する現場での作業が容易になるのは勿論である。
【0055】
<ツイスト線製造装置1の効果について>
以上、
図1ないし
図5を参照しながら説明してきたように、本発明のツイスト線製造装置1は、二つの電線リール2から引き出された二本の電線101を撚り合わせ、そして、この後に若干撚り戻しをしながらツイスト線102を巻き取りカゴ23に払い出しをして丸める装置であることから、また、ツイスト線102の製造の大半を自動で行う装置であることから、例えば、従来例の装置を用いて、とても長いツイスト線を製造し、これを人手で丸めた場合と比べると、格段に作業性を向上させることができるということが分かる。つまり、本発明によれば、作業性の高いツイスト線製造装置1を提供することができるという効果を奏する。
【0056】
また、本発明のツイスト線製造装置1によれば、二本の電線101の撚り合わせに用いる回転送り出し装置5が、ツイスト線102を送り出すための送り出し機構15を有し、この送り出し機構15は、ツイスト線102を挟み込みつつ送り出しをするための一対のベルト駆動部20を有し、また、一対のベルト駆動部20のそれぞれは、ツイスト線102の送り出し方向に沿って並ぶ一対のプーリー21と、この一対のプーリー21に架けられる平形ベルト22とを有し、さらには、一対のプーリー21が千鳥状となる位置に配置されることから(別な言い方をすれば、プーリー21間に相手プーリー21が若干入り込むような状態に配置されることから)、ツイスト線102を挟み込んだ状態にある平形ベルト22同士を蛇行させることができる。このような蛇行による送り出しをすることで、平形ベルト22同士によるツイスト線102の密着度を高めることができ、結果、ツイスト線102の送り出し時における回りを抑制することができるという効果を奏する。
【0057】
また、本発明のツイスト線製造装置1によれば、回転送り出し装置5は検尺部16を有することから、検尺部16で検尺しながら送り出しをすれば、ツイスト線102を所望の長さで製造することができるという効果を奏する。
【0058】
また、本発明のツイスト線製造装置1によれば、ツイスト線102の製造に係り自転防止装置3を構成に含むことから、この自転防止装置3における一対の送り出しローラ9及び一対の自転防止ローラ10を所定の状態に配置して、略L字状(又は略く字状)に形成された電線曲げ部12の曲げ形状を維持するようにすれば、二本の電線101に対してバックテンションを掛けておくことができるとともに、撚り合わせの際に二本の電線101に生じる「捩りの力」を打ち消すこともできるという効果を奏する。これにより、バックテンションを掛けたり、上記力を打ち消したりするための専用装置且つ複雑な装置を不要とすることができ、結果、ツイスト線製造装置1における構成の簡素化や、装置の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0059】
また、本発明のツイスト線製造装置1によれば、テンション調節部11を有することから、撚り合わせに必要なバックテンションの大きさを調節することができるという効果を奏する。
【0060】
また、本発明のツイスト線製造装置1によれば、回転送り出し装置5から送り出されたツイスト線102を巻き取るためのツイスト線巻き取り装置7と、このツイスト線巻き取り装置7及び回転送り出し装置5を制御するための制御装置8とを構成に含むことから、ツイスト線巻き取り装置7における巻き取りカゴ23を、回転送り出し装置5と同じ方向に回転させつつ、回転送り出し装置5の回転速度と巻き取りカゴ23の回転速度とを異ならせることができ、結果、二本の電線101の撚り合わせの際に、元の状態に戻ろうとする力(スプリングバック)が生じても、この力をツイスト線102の巻き取り前に適切に開放することができるという効果を奏する。これにより、上記力の開放のための専用装置且つ複雑な装置を不要とすることができ、結果、ツイスト線製造装置1における構成の簡素化を図ることができるという効果を奏する。また、上記力の開放により、均一な撚りピッチの形成を図ることができるという効果を奏する。
【0061】
また、本発明のツイスト線製造装置1によれば、カゴ傾け機構25を有することから、巻き取りカゴ23を作業者側に傾けるようにすれば、巻き取られたツイスト線102の取り出しをし易くすることができるという効果を奏する
【0062】
また、本発明のツイスト線製造装置1によれば、ツイスト線102の製造に必要なスペースを上下方向に確保した構成の装置であることから、従来例と比べて水平方向(左右方向)の装置全長を格段に短くすることができるという効果を奏する。
【0063】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。