(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マイクロコントローラが、前記試験測定シーケンスの開始から約1.5秒、約1秒、約1.7秒、約1.2秒、及び約0.7秒で、前記複数の電極から出る、1つの電極の出力信号からグルコース推定値を得る、請求項1に記載のシステム。
前記マイクロコントローラが、前記試験測定シーケンスの開始から約4.4秒、約1.2秒、約2.5秒、約3.7秒、及び約3.4秒で、前記複数の電極から出る、別の電極の出力信号からグルコース推定値を得る、請求項1に記載のシステム。
前記マイクロコントローラが、前記試験測定シーケンスの開始から約2.5秒、約0.7秒、約1.5秒、約1.2秒、及び約0.5秒で、前記複数の電極のうちの2つの電極の対応する出力信号の合計からグルコース推定値を得る、請求項1に記載のシステム。
前記複数のグルコース濃度推定値を決定する工程が、前記試験測定シーケンス中の第1の複数の時間間隔で前記複数の電極のうちの第1の電極からの出力信号と、前記試験測定シーケンス中の第2の複数の時間間隔で前記複数の電極のうちの第2の電極からの出力信号と、を測定することを含む、請求項5に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
LifeScan,Inc.から入手可能なOneTouch(登録商標)Ultra(登録商標)全血試験キットに使用されるものなどの、電気化学的グルコース試験ストリップは、糖尿病の患者からの血液試料中のグルコースの濃度を測定するように設計される。グルコースの測定は、グルコースオキシダーゼ酵素(GO)によるグルコースの選択酸化に基づいて行うことができる。グルコース試験ストリップに起こる可能性のある反応は、以下の式1及び式2にまとめられる。
式1 グルコース+GO
(ox)→グルコン酸+GO
(red)
式2 GO
(red)+2Fe(CN)
63−→GO
(ox)+2Fe(CN)
64−
【0003】
式1に示すように、グルコースがグルコースオキシダーゼ(GO
(ox))の酸化体によって酸化されてグルコン酸となる。GO
(ox)は「酸化型酵素」とも呼ばれることに留意すべきである。式1の反応において、酸化型酵素GO
(ox)は、GO
(red)で表されるその還元状態(すなわち、「還元型酵素」)に変換される。次に、還元型酵素GO
(red)は、式2に示すようにFe(CN)
63−(酸化型伝達体又はフェリシアン化物と呼ばれる)との反応によって再びGO
(ox)へ再酸化される。GO
(red)が酸化状態GO
(ox)に戻る間、Fe(CN)
63−は還元されてFe(CN)
64−(還元型伝達体又はフェロシアニドと呼ばれる)となる。
【0004】
前述の反応が、2つの電極間に試験電圧が印加された状態で行われるとき、電極表面での還元型伝達体の電気化学的再酸化によって試験出力信号を生成することができる。したがって、理想的な環境では、上記の化学反応において生成されるフェロシアニドの量は、電極間に配置された試料中のグルコースの量と正比例するため、生成された試験出力信号は、試料のグルコース含有量と比例することになる。フェリシアニドなどの伝達体は、グルコースオキシダーゼなどの酵素からの電子を受け入れ、次に電子を電極に提供する化合物である。試料中のグルコースの濃度が高くなると、形成される還元型伝達体の量も増えるため、還元型伝達体の再酸化によって生じる試験出力信号とグルコース濃度との間には直接的な関係がある。特に、電気的界面を横切る電子の移動は、試験出力信号の流れを引き起こす(酸化されるグルコース1モルにつき2モルの電子)。そのため、グルコースの導入の結果生じる試験出力信号は、グルコース出力信号と呼ばれることがある。
【0005】
血液中、特に糖尿病のヒトにおけるグルコースの濃度を知ることは非常に重要であり得るため、一般の人々が、所与のいずれかの時点での彼らのグルコース濃度を決定するために、試料を採取し、彼らの血液を試験することができるように、上述した原理を用いた試験メータが開発されている。生成したグルコース出力信号は、試験メータによって検出され、単純な数式を介して試験出力信号をグルコース濃度に関連付けるアルゴリズムを使用して、グルコース濃度読み取りに変換される。一般に、試験メータは、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)及び伝達体(例えば、フェリシアニド)に加え、試料受け取りチャンバ、及び試料受け取りチャンバ内に配置される少なくとも2つの電極を含み得る使い捨て試験ストリップと共に動作する。使用中、利用者は、出血を誘発するために彼らの指又は他の簡便な部位を穿刺し、血液試料を試料受け取りチャンバに導入することによって、上記に示した化学反応を開始させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、出願人は、バイオセンサ及びメータを含む、グルコース測定システムを考案した。バイオセンサは、複数の電極及び該電極に配置された試薬を有する。メータは、電源、メモリ、及びバイオセンサの複数の電極に連結されたマイクロコントローラを備える。マイクロコントローラは、少なくとも2つの電極に近接する液体試料の適用後、該少なくとも2つの電極に信号を印加して、液体試料のグルコースと酵素との電気化学反応に関する試験測定シーケンスを開始するように構成されている;試験測定シーケンスの開始から複数の選択された時間間隔で、複数の電極のそれぞれに対応する出力信号から、液体試料のグルコースを表す推定値を得るように構成されている;試験測定シーケンスの開始から複数の特定の時間間隔で、複数の電極からの出力信号の組み合わせから、液体試料のグルコースを表する別の推定値を得るように構成されている;及び、液体試料のグルコースの全ての推定値の中央値から、液体試料の最終的なグルコース値を決定するように構成されている。
【0007】
第2の態様では、バイオセンサ及びグルコースメータで、液体試料からグルコース値を決定する方法が提供される。バイオセンサは、少なくとも2つの電極及び該電極に配置された試薬を有する。グルコースメータは、バイオセンサと、メモリ及び電源に接続するように構成されたマイクロコントローラを有する。前記方法は、少なくとも2つの電極に近接する液体試料を堆積に際して、試験測定シーケンスの開始を始めることと;入力信号を液体試料を有する複数の電極に印加して、グルコースの酵素的副生成物への形質転換をもたらすことと;複数の電極及び液体試料から出る、複数出力信号トランジェントから複数のグルコース濃度推定値を決定することと;全ての複数のグルコース濃度推定値の中央値から最終的なグルコース濃度を得ることと;によって達成され得る。
【0008】
そして、これらの態様において、以下の特徴が、これらの既に記載した態様との様々な組み合わせで利用され得る。マイクロコントローラが、試験測定シーケンスの開始から約1.5秒、約1秒、約1.7秒、約1.2秒、及び約0.7秒で、複数の電極から出る、1つの電極の出力信号からグルコース推定値を得る;マイクロコントローラが、試験測定シーケンスの開始から約4.4秒、約1.2秒、約2.5秒、約3.7秒、及び約3.4秒で、複数の電極から出る、別の電極の出力信号からグルコース推定値を得る;マイクロコントローラが、試験測定シーケンスの開始から約2.5秒、約0.7秒、約1.5秒、約1.2秒及び約0.5秒で、複数の電極のうちの2つの電極の対応する出力信号の合計からグルコース推定値を得る;1つの電極のグルコース推定値は、以下の形の式によって得られ、
【0009】
【数1】
式中、G
1は、第1のグルコース推定値を含むことができ、
I
t1は、試験シーケンスの開始から約1.5秒の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t2は、試験シーケンスの開始から約1秒の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t3は、試験シーケンスの開始から約1.7秒の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t4は、試験シーケンスの開始から約1.2秒の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t5は、試験シーケンスの開始から約0.7秒の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
x
1は、約1.6の係数を含んでもよく、
x
2は、約1.9E−01の係数を含んでもよく、
x
3は、約−3.6E−01の係数を含んでもよく、
x
4は、約1.2E+01の係数を含んでもよく、
x
5は、約1.6の係数を含んでもよく、
x
6は、約1.7E−02の係数を含んでもよく、
x
7は、約2.1E−01の係数を含んでもよく、
x
8は、約−4.0E−01の係数を含んでもよく、
x
9は、約2.4の係数を含んでもよく、
x
10は、約2.1の係数を含んでもよく、
x
11は、約4.6E−01の係数を含んでもよく、
x
12は、約3.9E−01の係数を含んでもよい。
他の電極のグルコース推定値は、以下の形の式によって得られ、
【0010】
【数2】
式中、G2は、第2のグルコース推定値を含むことができ、
I
t1は、試験シーケンスの開始から約4.4秒の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t2は、試験シーケンスの開始から約1.2秒の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t3は、試験シーケンスの開始から約2.5秒の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t4は、試験シーケンスの開始から約3.7秒の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t5は、試験シーケンスの開始から約3.4秒の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
x
1は、約8.5E−01の係数を含んでもよく、
x
2は、約7.4E−01の係数を含んでもよく、
x
3は、約−4.2の係数を含んでもよく、
x
4は、約5.7の係数を含んでもよく、
x
5は、約1.4の係数を含んでもよく、
x
6は、約5E−02の係数を含んでもよく、
x
7は、約1.3E−01の係数を含んでもよく、
x
8は、約−1.5の係数を含んでもよく、
x
9は、約2.4の係数を含んでもよく、
x
10は、約6E−01の係数を含んでもよく、
x
11は、約−8.6の係数を含んでもよく、
x
12は、約1.9E−01の係数を含んでもよい。
2つの電極のグルコース推定値は、以下の形の式によって得られ、
【0011】
【数3】
式中、Gcは、合わせたグルコース推定値を含むことができ、
I
t1は、試験シーケンスの開始から約2.5秒の時間間隔でサンプリングした、複数の電極の出力信号の合計を含むことができ、
I
t2は、試験シーケンスの開始から約0.7秒の時間間隔でサンプリングした、複数の電極の出力信号の合計を含むことができ、
I
t3は、試験シーケンスの開始から約1.5秒の時間間隔でサンプリングした、複数の電極の出力信号の合計を含むことができ、
I
t4は、試験シーケンスの開始から約1.2秒の時間間隔でサンプリングした、複数の電極の出力信号の合計を含むことができ、
I
t5は、試験シーケンスの開始から約0.5秒の時間間隔でサンプリングした、複数の電極の出力信号の合計を含むことができ、
x
1は、約1の係数を含んでもよく、
x
2は、約3.1の係数を含んでもよく、
x
3は、約−1.9E01の係数を含んでもよく、
x
4は、約2.7E01の係数を含んでもよく、
x
5は、約9.8の係数を含んでもよく、
x
6は、約2.6の係数を含んでもよく、
x
7は、約−6.5の係数を含んでもよく、
x
8は、約−1.9E01の係数を含んでもよく、
x
9は、約6.7E01の係数を含んでもよく、
x
10は、約1.9E01の係数を含んでもよく、
x
11は、約−2.3E01の係数を含んでもよく、
x
12は、約3.9E−01の係数を含んでもよい。
【0012】
これら及び他の実施形態、特徴並びに利点は、以下に述べる本発明の例示的な実施形態のより詳細な説明を、はじめに下記に簡単に述べる付属の図面とあわせて参照することによって当業者にとって明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の詳細な説明は、図面を参照しつつ読まれるべきもので、異なる図面における同様の要素は同様に符号が付けられている。図面は、必ずしも一定の縮尺を有さず、選択された実施形態を示したものであって、本発明の範囲を限定しようとするものではない。詳細な説明は、本発明の原理を、限定するのではなく、一例として表すものである。この説明は、当業者による本発明の作製及び使用を明確に可能とし、本発明を実施する最良の形態であると現時点において考えられるものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適用例、変形例、代替例及び使用を説明する。
【0015】
本明細書で使用する場合、任意の数値又は数値の範囲についての「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べる意図された目的に沿って機能することを可能とするような好適な寸法の許容範囲を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、挙げられた値の±10%の値の範囲を指してよく、例えば、「約90%」は、81%〜99%の値の範囲を指してよい。更に、本明細書で使用する「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」という用語は、任意の被験者又は被験動物を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。本明細書で使用する場合、「振動信号」とは、それぞれ、電流の極性を変更するか、又は方向を交互に変化させるか、又は多方向的である電圧信号(複数可)又は電流信号(複数可)を含む。また本明細書で使用する場合、「電気信号」又は「信号」は、直流信号、交流信号、又は電磁スペクトル内の任意の信号を含むことが意図される。「プロセッサ」、「マイクロプロセッサ」、又は「マイクロコントローラ」という用語は、同じ意味を有し、かつ互換的に使用されることが意図される。
【0016】
図1は、本明細書で示され及び記載されている方法並びに技術で、個人の血液のグルコースレベルを試験するために、試験ストリップ100並びに試験メータ200を有するグルコース測定システムを示す。試験メータ200はユーザーインターフェース入力装置(206、210、214)を含んでもよく、該入力装置は、データをエントリーするため、メニューをナビゲートするため、及びコマンドを実行するための、ボタンの形態であってもよい。データには、分析物濃度及び/又は個人の日常の生活習慣に関連した情報を表す値を挙げることができる。日常の生活習慣に関連した情報としては、個人の食餌摂取、医薬使用、健康診断の受診、全身の健康状態、及び運動レベルを挙げることができる。試験メータ200は、測定されたグルコース濃度を報告し、生活習慣に関連した情報の入力を容易にするために使用可能なディスプレイ204を更に有してもよい。
【0017】
試験メータ200は、第1のユーザーインターフェース入力装置206、第2のユーザーインターフェース入力装置210、及び第3のユーザーインターフェース入力装置214を含んでもよい。ユーザーインターフェース入力装置206、210、及び214は、試験デバイス内に保存されたデータの入力及び分析を促進し、利用者がディスプレイ204上に表示されたユーザーインターフェースを介してナビゲートすることが可能になる。ユーザーインターフェース入力装置206、210、及び214は、第1のマーキング208、第2のマーキング212、及び第3のマーキング216を含み、それらは、ユーザーインターフェース入力装置をディスプレイ204上の文字と相互に関連付けるのに役立つ。
【0018】
試験メータ200は、試験ストリップ100をストリップポートコネクタ220内に挿入することにより、又は第1のユーザーインターフェース入力装置206を押圧し短時間保持することにより、又はデータポート218を横切るデータトラフィックの検出によりスイッチが入れられ得る。試験メータ200は、試験ストリップ100を除去することにより、又は第1のユーザーインターフェース入力装置206を押圧し短時間保持することにより、又はメインメニュースクリーンから測定オフの選択肢にナビゲートしそれを選択することにより、又は所定の時間いずれのボタンも押圧しないことにより、スイッチが切られる。ディスプレイ204は、任意にバックライトを有してよい。
【0019】
一実施形態において、試験メータ200は、第1の試験ストリップバッチから第2の試験ストリップバッチに切り替える際、任意の外部ソースからの、例えば校正入力を受信しないように構成されてもよい。したがって、代表的な一実施形態では、メータは、(入力装置206、210、214などの)ユーザーインターフェース、挿入される試験ストリップ、別個のコードキー若しくはコードストリップ、又はデータポート218への無線若しくは有線コードなどの外部ソースからの校正入力を受信しないように構成される。そのような校正入力は、試験ストリップバッチの全部が実質的に均一の校正特性を有する場合、必要ない。校正入力は、特定の試験ストリップバッチに帰する一組の値であってもよい。例えば、校正入力は、特定の試験ストリップバッチに関するバッチ勾配及びバッチ切片値を含んでもよい。バッチ傾き及び切片値などの校正入力は、下記に記載するように、メータ内で予備設定され得る。
【0020】
図2を参照すると、試験メータ200の例示的な内部レイアウトが示されている。試験メータ200は、プロセッサ300を含んでよく、それは、本明細書に記載及び説明するいくつかの実施形態では、32ビットRISCマイクロコントローラである。本明細書に記載及び説明する好ましい実施形態では、プロセッサ300は、Texas Instruments(Dallas、Texas)製の超低消費電力マイクロコントローラのMSP 430ファミリーから選択されることが好ましい。プロセッサは、I/Oポート314を介して、メモリ302に双方向に接続されてもよく、メモリ302は、本明細書に記載及び説明するいくつかの実施形態では、EEPROMである。データポート218、ユーザーインターフェース入力装置206、210、及び214、並びにディスプレイドライバ320もI/Oポート214を介してプロセッサ300に接続される。データポート218がプロセッサ300に接続されてもよく、それによりメモリ302とパーソナルコンピュータ等の外部装置との間でデータを移動させることができる。ユーザーインターフェース入力装置208、210、及び214は、プロセッサ300に直接接続されている。プロセッサ300は、ディスプレイドライバ320を介してディスプレイ204を制御する。メモリ302は、試験メータ200の製造中、バッチ勾配及びバッチ切片値などの校正情報と共にプレロードされてもよい。このプレロードされた校正情報は、ストリップポートコネクタ220を介してストリップから好適な(電流などの)信号を受信した後、プロセッサ300によりアクセス及び使用されて、任意の外部ソースから校正入力を受信することなく、信号及び校正情報を使用して、対応する(血中グルコース濃度などの)分析物レベルを計算することができる。
【0021】
本明細書に記載及び説明する実施形態では、試験メータ200は、ストリップポートコネクタ220に挿入された試験ストリップ100に塗布されている血中のグルコース値の測定に使用される電子回路を提供する、特定用途向け集積回路(ASIC)304を含み得る。アナログ電圧は、アナログインターフェース306を経由してASIC 304へ及びASIC 304から通過し得る。アナログインターフェース306からのアナログ信号は、A/D変換器316によってデジタル信号に変換することができる。プロセッサ300は更に、コア308、ROM 310(コンピュータコードを含む)、RAM 312、及びクロック318を含む。一実施形態では、プロセッサ300は、例えば分析物測定後のある期間中など、ディスプレイユニットによる分析物の値の表示の際に、単一の入力を除く全てのユーザーインターフェース入力を無効にするように構成(又はプログラム)される。代替的な実施形態では、プロセッサ300は、ディスプレイユニットによる分析物の値の表示の際に、単一の入力を除く全てのユーザーインターフェース入力装置からの任意の入力を無視するよう構成(又はプログラム)されている。
【0022】
図3Aは、基材5上に配置された7つの層を含み得る試験ストリップ100の例示的な分解斜視図である。基材5上に配置された7つの層は、(電極層50とも呼ばれ得る)導電層50、絶縁層16、2つの重なる試薬層22a及び22b、接着部分24、26、及び28を含む接着層60、親水層70、並びに最上層80であり得る。例えば、スクリーン印刷プロセスを用いて、導電層50、絶縁層16、試薬層22、及び接着層60を基材5の上に順次堆積させる一連の工程で、試験ストリップ100を製造することができる。親水層70と最上層80とは、ロールストックから配置され、一体化された積層体として、又は別々の層として基材5上に積層することができる。試薬が、酵素、並びに結合剤及び他の材料などの他の材料の両方を含み、バイオセンサでの使用目的のために試薬が機能するのを可能にすることに注意する。試験ストリップ100は、
図3Aに示すように遠位部3及び近位部4を有する。
【0023】
試験ストリップ100は、そこから血液試料を吸い込める試料受け取りチャンバ92を含んでもよい。
図3Aに示すように、試料受け取りチャンバ92は、試験ストリップ100の近位端に入口を、側縁に出口を含んでもよい。グルコースを測定できるように、血液試料94をこの入口から入れて、試料受け取りチャンバ92に充填してもよい。
図3Aに示すように、第1の接着パッド24及び第2の接着パッド26の側縁は、試薬層22に隣接して位置し、それぞれ試料受け取りチャンバ92の壁を画定している。
図3Aに示すように、試料受け取りチャンバ92の底部、すなわち「床」は、基材5、導電層50、及び絶縁層16の一部を含んでもよい。
図3Aに示すように、試料受け取りチャンバ92の頂部、すなわち「屋根」は、遠位親水性部分32を含んでもよい。
【0024】
図3Aに示すように、試験ストリップ100において、基材5は、後に適用される層の支持を助ける基盤として用いてもよい。基材5は、ポリエチレンテトラフタレート(PET)材料(Mitsubishiにより供給されるHostaphan PET)などのポリエステルシートの形態であってもよい。基材5は、公称350マイクロメートル厚×370ミリメートル幅、長さおよそ60メートルのロール形態であってもよい。
【0025】
導電層は、グルコースの電気化学的測定に用いることができる電極の形成に必要である。導電層50は、基材5上にスクリーン印刷されるカーボンインクから作ることができる。スクリーン印刷プロセスでは、カーボンインクはスクリーン上に乗せられ、続いてスキージを用いてスクリーンを通して転写される。印刷されたカーボンインクは、約140℃の熱気で乾燥させることができる。カーボンインクは、VAGH樹脂、カーボンブラック、グラファイト(KS15)、並びに樹脂、カーボン、及びグラファイト混合物用のうちの1つ以上の溶媒を含み得る。より詳細には、カーボンインクは、カーボンインク中に約2.90:1の比のカーボンブラック:VAGH樹脂、及び、約2.62:1の比のグラファイト:カーボンブラックを含むことができる。
【0026】
図3Aに示されるような試験ストリップ100では、導電層50は、参照電極10、第1の作用電極12、第2の作用電極14、第1の接触パッド13、第2の接触パッド15、参照接触パッド11、第1の作用電極トラック8、第2の作用電極トラック9、参照電極トラック7、及びストリップ検出用バー17を含んでもよい。この導電層は、カーボンインクから形成されてもよい。第1の接触パッド13、第2の接触パッド15、及び参照接触パッド11は、試験メータと電気的に接続されるように構成されてもよい。第1の作用電極トラック8は、第1の作用電極12から第1の接触パッド13までの電気的に連続した経路を提供する。同様に、第2の作用電極トラック9は、第2の作用電極14から第2の接触パッド15に至る電気的に連続した経路を提供する。同様に、参照電極トラック7は、参照電極10から参照接触パッド11に至る電気的に連続した経路を提供する。ストリップ検出用バー17は、参照接触パッド11と電気的に接続されている。
図3Aに示すように、試験計測器は、参照接触パッド11とストリップ検出用バー17との間の連続性を測定することによって、試験ストリップ100が適切に挿入されたことを検出することができる。
【0027】
試験ストリップ100の代替的な形態を、
図3Bにストリップ100’として示す。この形態では、最上層38’、親水性フィルム層34’及びスペーサ29が互いに組み合わされて一体化アセンブリを形成し、該アセンブリは基材5に搭載され、試薬層22’は絶縁層16’に隣接して配置されている。
【0028】
図3Cは、基材5上に配置された7つの層を含み得る試験ストリップ100”の例示的な分解斜視図である。基材5上に配置された7つの層とは、(電極層50とも呼ばれ得る)第1の導電層50、絶縁層16、2つの重なる試薬層22a及び22b、接着部分24、26、及び28を含む接着層60、親水層70、並びに試験ストリップ100”のカバー94を形成する最上層80であってよい。例えば、スクリーン印刷プロセスを用いて、導電層50、絶縁層16、試薬層22、及び接着層60を基材5の上に順次堆積させる一連の工程で、試験ストリップ100”を製造することができる。電極10、12、14は、試薬層22a及び22bと接触するように配置されているのに対して、物理的特性検知電極19a及び20aは試薬層22とは離間しており、接触していない点に留意されたい。親水層70と最上層80とは、ロールストックから配置され、一体化された積層体として、又は別々の層として基材5上に積層することができる。試験ストリップ100”は、
図3Cに示すように遠位部3及び近位部4を有する。
【0029】
試験ストリップ100”は、そこから生理学的液体試料95を吸い込み、又は付着できる試料受け取りチャンバ92を備えてよい(
図3D)。本明細書で記載する生理学的液体試料は血液であってよい。
図3Cに示すように、試料受け取りチャンバ92は、試験ストリップ100”の近位端に入口を、側縁に出口を含んでもよい。グルコースが測定できるように、液体試料95を軸L−Lに沿って入口に適用し(
図3D)、試料受け取りチャンバ92を満たすことができる。
図3Cに示すように、第1の接着パッド24及び第2の接着パッド26の側縁は、試薬層22に隣接して位置し、それぞれ試料受け取りチャンバ92の壁を画定している。
図3Cに示すように、試料受け取りチャンバ92の底部、すなわち「床」は、基材5、導電層50、及び絶縁層16の一部を含んでもよい。
図3Cに示すように、試料受け取りチャンバ92の頂部、すなわち「屋根」は、遠位親水性部分32を含んでもよい。
図3Cに示すように、試験ストリップ100”において、基材5は、後に適用される層の支持を助ける基盤として用いてもよい。基材5は、ポリエチレンテトラフタレート(PET)材料(Mitsubishiにより供給されるHostaphan PET)などのポリエステルシートの形態であってもよい。基材5は、公称350マイクロメートル厚×370ミリメートル幅、長さおよそ60メートルのロール形態であってもよい。
【0030】
導電層は、グルコースの電気化学的測定に用いることができる電極の形成に必要である。第1の導電層50は、基材5上にスクリーン印刷されるカーボンインクから作ることができる。スクリーン印刷プロセスでは、カーボンインクはスクリーン上に乗せられ、続いてスキージを用いてスクリーンを通して転写される。印刷されたカーボンインクは、約140℃の熱気で乾燥させることができる。カーボンインクは、VAGH樹脂、カーボンブラック、グラファイト(KS15)、並びに樹脂、カーボン、及びグラファイト混合物用のうちの1つ以上の溶媒を含み得る。より詳細には、カーボンインクは、カーボンインク中に約2.90:1の比のカーボンブラック:VAGH樹脂、及び、約2.62:1の比のグラファイト:カーボンブラックを含むことができる。
【0031】
図3Cに示されるような試験ストリップ100”では、第1の導電層50は、参照電極10、第1の作用電極12、第2の作用電極14、第3及び第4の物理的特性検知電極19a及び19b、第1の接触パッド13、第2の接触パッド15、参照接触パッド11、第1の作用電極トラック8、第2の作用電極トラック9、参照電極トラック7、並びにストリップ検出用バー17を含んでもよい。物理的特性検知電極19a及び20aは、対応する電極トラック19b及び20bと共に提供される。この導電層は、カーボンインクから形成されてもよい。第1の接触パッド13、第2の接触パッド15、及び参照接触パッド11は、試験メータと電気的に接続されるように構成されてもよい。第1の作用電極トラック8は、第1の作用電極12から第1の接触パッド13までの電気的に連続した経路を提供する。同様に、第2の作用電極トラック9は、第2の作用電極14から第2の接触パッド15に至る電気的に連続した経路を提供する。同様に、参照電極トラック7は、参照電極10から参照接触パッド11に至る電気的に連続した経路を提供する。ストリップ検出用バー17は、参照接触パッド11と電気的に接続されている。第3及び第4の電極トラック19b及び20bは、対応する電極19a及び20aと接続する。
図3Cに示すように、試験メータは、参照接触パッド11とストリップ検出用バー17との間の連続性を測定することによって、試験ストリップ100”が適切に挿入されたことを検出することができる。
【0032】
図4Aは、本明細書に記載される、例示的試験ストリップに印加される試験電圧の例示的なグラフである。液体試料を例示的試験ストリップに塗布する前に、試験メータ200を、第2の作用電極14と参照電極10との間に好適な大きさの第1の試験電圧(例えば、約400ミリボルト)を印加する液体検出モードにする。約400ミリボルトの第2の試験電圧を、好ましくは同時に、第1の作用電極12と参照電極10との間に印加する。
【0033】
あるいは、第1の試験電圧の印加の時間間隔が、第2の試験電圧の印加の時間間隔と重複するように、第2の試験電圧を同時期に印加してもよい。試験メータは、0の開始時間設定における生理液検出の前に、液体検出時間間隔t
FDの間、液体検出モードであってもよい(しかし、液体試料の堆積後ではない)。液体検出モードでは、液体が第2の作用電極14及び参照電極10を濡らすように、流体が例示的試験ストリップに塗布された時点を、試験メータ200が決定する。例えば、第2の作用電極14で測定された試験出力信号の十分な上昇によって、生理液が塗布されたことを試験メータ200が認識すると、試験メータ200は、0秒マーカ(0時間「0」として)を割り当て、試験時間間隔T
Sを開始させる。試験時間間隔T
Sが完了すると、試験電圧を除去する。簡潔化のため
図4Aは、例示的試験ストリップに印加される第1の試験電圧のみを示している。
【0034】
以降、種々のグルコース推定値を説明は、
図4Aの試験電圧が本明細書に記載及び説明するバイオセンサ100、100’、100”に印加されたときに測定される、出力信号トランジェント(すなわち、時間の関数としてのナノアンペアでの測定された電気出力信号反応)から決定される。
【0035】
液体試料(血液又は制御/標準試料であり得る)のグルコース濃度の測定に関して、本技術を示す
図4A、
図4B及び
図5をここで参照する。
図5の工程802において、メータが作動される(例えばスイッチ、又は試験ストリップの挿入を介して)。工程804で、通常、約+100ミリボルト〜約+600ミリボルトの試験ストリップの電極に、メータが試験信号を印加する。電極がカーボンインクを含み、伝達体がフィリシアニドである一実施形態では、試験測定信号は約+400ミリボルトである。その他の伝達体及び電極材料の組み合わせでは、異なる試験電圧又は信号が必要となる。
図4Aに示すように、試験電圧の持続時間は、一般に反応時間後5秒間、通常反応時間後約3秒、及び10秒未満である。通常、時間T
Sは、時間t
0に対して測定される。液体堆積がないときに、
図4Aにおいて電圧400は維持される。液体検出時間中、工程808及び810から、グルコースと試薬の間の酵素反応による、電極からの出力信号の十分な増大(
図4B)について、システムは電極12又は14の少なくとも1つからの出力信号を監視する。前記反応による信号の十分な出力があると(
図4B)、試験測定タイマは0に設定されて、工程812がT
Sの期間に始まり、並びに、各電極10、12、及び14からの出力信号が測定される。すなわち、工程812で、グルコースと試薬の間の反応が、0時間の第1の作用電極の出力信号トランジェント402、及び同様に第2の作用電極の出力信号トランジェント404を発生させていると考えられることができ、それは
図4Bで示される。出力信号402及び404(それぞれの作用電極から)が、時間間隔「i」で測定されて又はサンプリングされて、好ましい実施形態では約200〜400のサンプリング間隔になる。出力信号トランジェントは、時間間隔又はピーク時間で大きさが頂点まで高まり、その時点後、0時間及びTendで定常状態になった後の約5秒間まで、出力信号はゆっくりと下がる。
【0036】
工程814で、システムは、前記試験測定シーケンスの開始から複数の選択された時間間隔で、複数の電極のそれぞれに対応する出力信号から、液体試料のグルコースを表す推定値を得る。特に、システムは、試験シーケンス中、作用電極12及び14の各々について特定の時間間隔で、出力信号を測定する又はサンプリングする。
図4Bに示すように、システムは、電極の各々について、Tstartから、約0.7秒、1秒、1.2秒、1.5秒、1.7秒、2.5秒、3.4秒、3.7秒及び4.4秒の時間間隔で、出力の大きさを測定できる(マイクロアンペアで)。あるいはシステムは、試験シーケンスTsの全体について出力信号を測定でき、時間間隔「i」について信号の大きさをメモリに保存でき(ここでi=1、2、3...400)、各電極についてメモリから、近似の0.7、1、1.2、1.5、1.7、2.5、3.4、3.7及び4.4秒の時間間隔からの信号の大きさを得ることができる。特定の時間間隔で各電極について出力信号の大きさが得られると、システムは以下の式3から、推定グルコース濃度を算出する。
【0037】
【数4】
式中、
G
eは電極eのグルコース濃度を表し、e=1、2、3...nであり、
I
t1は、試験シーケンスの開始から第1の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t2は、試験シーケンスの開始から第2の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t3は、試験シーケンスの開始から第3の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t4は、試験シーケンスの開始から第4の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
I
t5は、試験シーケンスの開始から第5の時間間隔でサンプリングした出力信号を含むことができ、
x
1...x
12は、各電極の対応する係数を含むことができる。
【0038】
例えば一例として、第1の作用電極からの推定グルコース濃度は、以下の式3.1の形で上記の式3から得ることが可能であると結論づけた。
【0039】
【数5】
式中、
G1は、第1の作用電極の第1のグルコース推定値であり、
I
t1は、試験シーケンスの開始から約1.5秒の時間間隔でサンプリングした、第1の電極の出力信号であり、
I
t2は、試験シーケンスの開始から約1秒の時間間隔でサンプリングした、第1の電極の出力信号であり、
I
t3は、試験シーケンスの開始から約1.7秒の時間間隔でサンプリングした、第1の電極の出力信号であり、
I
t4は、試験シーケンスの開始から約1.2秒の時間間隔でサンプリングした、第1の電極の出力信号であり、
I
t5は、試験シーケンスの開始から約0.7秒の時間間隔でサンプリングした、第1の電極の出力信号であり、
x
1は、約1.6の係数であり、
x
2は、約1.9E−01の係数であり、
x
3は、約−3.6E−01の係数であり、
x
4は、約1.2E+01の係数であり、
x
5は、約1.6の係数であり、
x
6は、約1.7E−02の係数であり、
x
7は、約2.1E−01の係数であり、
x
8は、約−4.0E−01の係数であり、
x
9は、約1E01の係数であり、
x
10は、約2.1の係数であり、
x
11は、約4.6E−01の係数であり、
x
12は、約3.9E−01の係数である。
【0040】
同様に、グルコース濃度の推定値は、以下の式3.2の形で第2の作用電極から得ることが可能である。
【0041】
【数6】
式中、
G2は、第2の作用電極から得られる第2のグルコース推定値であり、
I
t1は、試験シーケンスの開始から約4.4秒の時間間隔でサンプリングした、第2の電極の出力信号であり、
I
t2は、試験シーケンスの開始から約1.2秒の時間間隔でサンプリングした、第2の電極の出力信号であり、
I
t3は、試験シーケンスの開始から約2.5秒の時間間隔でサンプリングした、第2の電極の出力信号であり、
I
t4は、試験シーケンスの開始から約3.7秒の時間間隔でサンプリングした、第2の電極の出力信号であり、
I
t5は、試験シーケンスの開始から約3.4秒の時間間隔でサンプリングした、第2の電極の出力信号であり、
x
1は、約8.5E−01の係数であり、
x
2は、約7.4E−01の係数であり、
x
3は、約−4.2の係数であり、
x
4は、約5.7の係数であり、
x
5は、約1.4の係数であり、
x
6は、約5E−02の係数であり、
x
7は、約1.3E−01の係数であり、
x
8は、約−1.5の係数であり、
x
9は、約2.4の係数であり、
x
10は、約6E−01の係数であり、
x
11は、約−8.6の係数であり、
x
12は、約1.9E−01の係数である。
【0042】
システムは、各電極からの出力信号の組み合わせから、液体試料のグルコースを表す別の推定値を得ることもできる。すなわち、複数の特定の時間間隔のそれぞれの各電極で測定される信号は、その特定の時間間隔で合算される。例えば、
図4Bにおいて、信号は0.7秒での大きさの組み合わせであり、システムはt
0.7で各電極402及び404からの信号を測定して、グルコース推定値についてそれらを合計する。以下の式3.3の形の一実施形態において、複数の電極の合計から推定グルコースを、得ることが可能である。
【0043】
【数7】
式中、Gcは、合わせたグルコース推定値であり、
I
t1は、試験シーケンスの開始から約2.5秒の時間間隔でサンプリングした、複数の電極(電極12及び14)の出力信号の合計であり、
I
t2は、試験シーケンスの開始から約0.7秒の時間間隔でサンプリングした、複数の電極(電極12及び14)の出力信号の合計であり、
I
t3は、試験シーケンスの開始から約1.5秒の時間間隔でサンプリングした、複数の電極(電極12及び14)の出力信号の合計であり、
I
t4は、試験シーケンスの開始から約1.2秒の時間間隔でサンプリングした、複数の電極(電極12及び14)の出力信号の合計であり、
I
t5は、試験シーケンスの開始から約0.5秒の時間間隔でサンプリングした、複数の電極(電極12及び14)の出力信号の合計であり、
x
1は、約1の係数を含んでもよく、
x
2は、約3.1の係数を含んでもよく、
x
3は、約−1.9E01の係数を含んでもよく、
x
4は、約2.7E01の係数を含んでもよく、
x
5は、約9.8の係数を含んでもよく、
x
6は、約2.6の係数を含んでもよく、
x
7は、約−6.5の係数を含んでもよく、
x
8は、約−1.9E01の係数を含んでもよく、
x
9は、約6.7E01の係数を含んでもよく、
x
10は、約1.9E01の係数を含んでもよく、
x
11は、約−2.3E01の係数を含んでもよく、
x
12は、約3.9E−01の係数を含んでもよい。
【0044】
対応する3.1、3.2及び3.3の試験シーケンスの開始後、時間間隔を基準とするパラメータ並びに信号測定の代表的な概要として、表Aが提供される。
【0046】
複数の推定グルコース濃度(複数はバイオセンサの電極数に依存する)が決定されれば、グルコース推定値の一群から中央値を選ぶことによって、システムは、液体試料の実際のグルコースを表す最終的なグルコース値を得ることができる。例えば、G1=110mg/dL、G2=115mg/dL及びG3=112mg/dLである場合、G1とG2との間のG3、又は112mg/dLを中央値に等しいとして、システムは最終的なグルコース値を設定する。
【0047】
上記の技術により、最適な精度及び精密性を有する技術において、本測定システムは、様々な推定値から選択することを可能にすると考えられている。すなわち、グルコース及びヘマトクリットの両方に感応性がある信号と、より精密性がある別の信号との間で選択をすると仮定して、両方の信号が著しく異なっている場合、本システムは、これらの間の信号、すなわち、これらの互いに異なる信号の中央値を選択する。このことは、暗黙のうちに
図6A及び
図6Bに示すことができ、第1の作用電極12又はWE1からの信号は、グルコース及びヘマトクリットに対する大きな相関を示し、一方、
図6C及び
図6Dで、第2の電極14又はWE2からの信号は、より低い変動係数(CV%)及び標準偏差(マイクロアンペアでのSD)を示す。本技術が、より小さな誤差又はバイアスで、より高い再現性を提供し得ることを、
図7A及び
図7Bは確認する。具体的には、
図7Aに関して、第1のグルコース推定値、第2のグルコース推定値、又は合わせたグルコース推定値(G1、G2、又はGc)のどれか1つが利用されるかに関係なく、任意の1つの推定値(又は最終結果)は、±10mg/dLのバイアスの範囲内に十分収まる80%以上の値の再現性を有する(83mg/dL未満の基準グルコース測定において)。これに対して、既知の測定技術を使用した場合、再現性は、常に約70%を下回る。同様に、
図7Bに示すように、3つの推定値(G1、G2、Gc)及び最終結果Gfは、既知の技術より、実質的に非常に高い再現性がある。したがって、本技術が、少なくとも1つの技術的な効果、又はこれまで利用できなかった分野に対する技術的な貢献を提供すると考えられている。
【0048】
グルコース測定のバイアス又は誤差(基準値と比較して)が、83mg/dL未満の測定において、実質的に±10mg/dLに範囲内の所望のバイアス又は誤差内にあることを、
図8Aは示す。同様に、基準値と比較してグルコース測定(83mg/dL以上で)のバイアスが、実質的に±12%の所望の範囲内にあることを、
図8Bは示す。
図8A及び
図8Bの精度に関する技術の成果を、下記の表1にまとめることができる。
【0050】
表1でわかるように、最終的なグルコース推定値Gf(G1、G2、Gcの中央値である)は、全体で94.7%の最良の成果を有する。83mg/dL未満の測定において、合わせたグルコース推定値Gcは、測定の98.4%が±10mg/dL以内であり、Gfより成果がよく、一方で、グルコース測定の対象が83mg/dL以上のとき、最終的なグルコース推定値Gfは、測定の93.8%が±12%の容認可能なバイアス内にあって、よい成果が出ている。
【0051】
表1から、合わせたグルコース推定値Gcが、所定の閾値TH、この場合83mg/dL未満の測定において、より正確であると思われる。更に表1から、最終的なグルコースGfが所定の閾値TH以上のグルコース測定において、より正確であると思われる。したがって本発明はバリエーションを提供し、そこでシステムはプログラムされていて、推定グルコース値の任意の1つが所定の閾値TH未満(例えば、83mg/dL未満)の場合、3つ全てのグルコース推定値の中央値より合わせたグルコース推定値Gcに等しくなるように、システムが最終的なグルコースGfを設定する。他方で、グルコース推定値の任意の1つが所定の閾値TH(例えば、83mg/dL)以上の場合、複数のグルコース推定値(例えば、G1、G2、Gc)の中央値の1つ、又は第1のグルコース推定値G1に等しくなるように、システムが最終的なグルコースGfを設定する。この代替の実施形態が、プロセス900として
図9に記載されている。
【0052】
図9において、工程802〜820は、
図5に関して以前に記載したものと同じであり、したがってここでは繰り返さない。したがって、説明は工程818から開始する。合わせたグルコース推定値の決定の後、推定値の任意の1つが、例えば80mg/dL又は100mg/dLなどの所定の閾値未満か、クエリが工程902でなされる。クエリに偽と返信された場合、システムは、工程820で、システムは、前に得られた複数のグルコース推定値の中央値として、最終的なグルコース値Gfを得る。クエリ902に真と返信された場合、システムは、工程904で、合わせたグルコース推定値に等しいとして、最終的なグルコース値Gfを設定する。工程820により、本システムは、所定の閾値以上のグルコース推定値で、特定の試験ストリップの反応を利用することが可能になり、表1でGfに関して前述したように、推定値の中央値がより正確である。同様に、工程904により、表1で合わせたグルコース推定値Gcに関して前述したように、本システムはより、グルコース推定値が閾値TH未満であるとき、より正確になる。工程906で、システムはそのメインルーチンに戻る。
【0053】
プロセス900は、より高い精度を達成する際、表1から収集される知見に基づくが、かなりの数の測定が行われるとき、本明細書に記載される技術の成果が技術の精密性からみて考慮されなければならないと考えられる。具体的には、4つの異なる技術を使用するグルコース測定の精密性について、約19014つのストリップ(約21つのバッチから)が試験された。この試験の結果を下の表2にまとめて示す。
【0055】
表2から、第2のグルコース推定値G2が最も低い標準偏差を有する一方で、最も高い変動係数5.39%を有することがわかる。SDとCVとの間の最良のトレードオフは、最終的なグルコース値Gfであるように見える。
図5に関して前述したように、精度及び精密性が最良の場合が合わされて、最も高い成果を出す結果(「Gf」)を得るので、これが選択された方法の改善された精密性を示す。
【0056】
本発明が特定の変形例及び説明図に関して説明されているが、当業者であれば、本発明が説明された変形例又は図に限定されないことを認識するであろう。更に、上記に述べた方法及び工程が、所定の順序で起こる所定の事象を示している場合、所定の工程は述べられた順序で行われる必要はなく、各工程が、各実施形態がそれらの意図される目的で機能することを可能とするものであるかぎり、任意の順序で行われることを意図している。したがって、開示の趣旨又は請求項に見出される本発明の同等物の範囲内にある本発明の変形が存在する範囲では、本特許請求がこうした変形例をも包含することが意図されるところである。