(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物又は請求項11に記載の方法により得られた化合物の少なくとも1種を、微細デルニエ繊維材料又はマイクロファイバーでよい有機基材と接触させる工程を含む、前記有機基材の染色及び/又は印刷方法。
前記有機基材は、紙;天然及び合成ポリアミドを含むか、若しくは天然及び合成ポリアミドから成る繊維材料;ポリウレタン;又はそれらの混合物である、請求項12又は13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
第一の態様では、本発明は、一般式(I)の化合物を提供する。
【化1】
{式中、
R1は、水素、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルコキシ、無置換若しくは置換アリール又はハロゲンであり、
R2は、水素、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルキルであり、
R3は、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルコキシ、無置換若しくは置換アリール又はNR8R9であり、
R4、R5は、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルケニル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルコキシ、無置換若しくは置換アリール、
【化2】
又は
【化3】
であり、
R6は、水素、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルコキシであり、
R7は、水素、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルキルであり、
R8、R9は、独立に水素であるか、又はR4及びR5として定義される。}
【0007】
さらなる実施形態では、上記式(I)の化合物内の複数の−SO
3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位である。
【0008】
さらなる実施形態では、上記式(I)の化合物内の複数の−SO
3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位であり、かつ複数の−SO
3H基は、それぞれR1に対してパラ位である。
【0009】
さらなる実施形態では、上記式(I)の化合物内の複数の−SO
3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位であり、かつCHR7基は、複数のアゾ基に対してパラ位である。
【0010】
さらなる実施形態では、上記式(I)の化合物内の複数の−SO
3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位であり、かつ複数の−SO
3H基は、それぞれR1に対してパラ位であり、かつCHR7基は、複数のアゾ基に対してパラ位である。
【0011】
本発明に係る式(I)の化合物の特定の実施形態は、より詳細に以下で説明される。
【0012】
無置換又は置換アルキル基、無置換又は置換アルケニル基、及び無置換又は置換アルコキシ基は、それぞれ直鎖又は分岐鎖である。
【0013】
一実施形態では、置換の直鎖又は分岐鎖アルキル、アルケニル、アルコキシ及びアリール基の置換基は、ハロゲン、−OH、−COOH、−CN、アリール、アリールオキシ、−O(C
1−4アルキル)、−O(C
1−4アルコキシ)、−CO−O−C
1−4アルキル、−O−CO−C
1−4アルキル、−O−CO−アリール、−CO−(O−CH
2−CH
2)
n−O−C
1−4アルキル{式中、nは、1から10までである。}、C
1−4アルケニル、C
1−4アルキニル、−NR
xR
y{式中、R
x及びR
yは、独立に、水素又はC
1−4アルキルである。}から成る群から選択される。
【0014】
一実施形態では、
R1は、水素、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−6アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−6アルコキシ又はハロゲンであり、
R2は、水素、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルキルであり、
R3は、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルコキシ、無置換若しくは置換アリール又はNH
2であり、
R4、R5は、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルケニル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−12アルコキシ、無置換若しくは置換アリール、
【化4】
又は
【化5】
であり、
R6は、水素、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−6アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−6アルコキシであり、
R7は、水素、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C
1−6アルキルである。
【0015】
さらなる実施形態では、
R1は、水素、−CH
3、−Cl又は−OCH
3であり、
R2は、水素又は−CH
3であり、
R3は、−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
3、−C
6H
5、−C
6H
4CH
3、−CH
2CH
2Cl、−CH
2OCH
3、−CH
2OCH
2CH
3、−CH
2OH、−CH
2OC
6H
5、−OCH
3、−OCH
2CH
3、−OCH
2CH
2CH
3、−OCH
2CH
2OCH
2CH
3、−OCH
2CH
2CH
2CH
2CH
3、−OCH
2CH(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3、−OC
10H
21、−OC
12H
25又はNH
2であり、
R4、R5は、−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2C
6H
5、−CH
2CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3、CH
2CH
2OH、−CH
2CH(OH)CH
2CH
3、−CH
2CH=CH
2、−CH
2CH
2C≡N、−CH
2CH
2COOCH
2CH
2OCH
3、−CH
2CH
2COOCH
3、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
3、−CH
2CH
2OCOCH
2CH
3、−CH
2CH
2OCOC
6H
5、−CH
2CH
2OCOCH
3、−CH
2COOCH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3、
【化6】
又は
【化7】
であり、
R6は、水素、−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2CH
2OH、−OCH
3、−OCH
2CH
3又は−OCH
2C
6H
5であり、
R7は、水素、−CH
3又は−CH
2CH
3である。
【0016】
さらなる実施形態では、
R1は、水素、−CH
3、−Cl又は−OCH
3であり、
R2は、水素又は−CH
3であり、
R3は、−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
3、−C
6H
5、−C
6H
4CH
3、−CH
2CH
2Cl、−CH
2OCH
3、−CH
2OCH
2CH
3、−CH
2OH、−CH
2OC
6H
5、−OCH
3、−OCH
2CH
3、−OCH
2CH
2CH
3、−OCH
2CH
2OCH
2CH
3、−OCH
2CH
2CH
2CH
2CH
3、−OCH
2CH(CH
2CH
3)CH
2CH
2CH
2CH
3、−OC
10H
21、−OC
12H
25又はNH
2であり、
R4、R5は、−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2C
6H
5、−CH
2CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3、CH
2CH
2OH、−CH
2CH(OH)CH
2CH
3、−CH
2CH=CH
2、−CH
2CH
2C≡N、−CH
2CH
2COOCH
2CH
2OCH
3、−CH
2CH
2COOCH
3、−CH
2CH
2OCH
2CH
2OCH
3、−CH
2CH
2OCOCH
2CH
3、−CH
2CH
2OCOC
6H
5、−CH
2CH
2OCOCH
3、−CH
2COOCH
3、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3、
【化8】
又は
【化9】
であり、
R6は、水素、−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2CH
2OH、−OCH
3、−OCH
2CH
3又は−OCH
2C
6H
5であり、
R7は、水素である。
【0017】
さらなる実施形態では、
R1は、水素、−CH
3、−Cl又は−OCH
3であり、
R2は、水素であり、
R3は、C
1−3アルキル又は−NH
2であり、
R4、R5は、無置換又は置換の直鎖C
2−6アルキル又はベンジルであり、
R6は、水素、−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2CH
2OH、−OCH
3、−OCH
2CH
3又は−OCH
2C
6H
5であり、
R7は、水素である。
【0018】
さらなる実施形態では、
R1は、水素、−CH
3又は−Clであり、
R2は、水素であり、
R3は、−CH
3、−CH
2CH
3又は−NH
2であり、
R4、R5は、無置換又は置換の直鎖C
2−6アルキル又はベンジルであり、
R6、R7は、水素である。
【0019】
さらなる実施形態では、
R1、R2は、水素であり、
R3は、−CH
3であり、
R4、R5は、無置換又は置換の直鎖C
2−6アルキル又はベンジルであり、
R6、R7は、水素である。
【0020】
さらなる実施形態では、
R1、R2は、水素であり、
R3は、−CH
3であり、
R4、R5は、−CH
2CH
3であり、
R6、R7は、水素である。
【0021】
本発明の第一の態様に係る化合物の上記実施形態について、以下の立体化学構造が、これらの実施形態内の特定の実施形態である:
【0022】
さらなる実施形態では、上記式(I)の化合物内の複数の−SO
3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位である。
【0023】
さらなる実施形態では、上記式(I)の化合物内の複数の−SO
3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位であり、かつ複数の−SO
3Hは、それぞれR1に対してパラ位である。
【0024】
さらなる実施形態では、上記式(I)の化合物内の複数の−SO
3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位であり、かつCHR7基は、複数のアゾ基に対してパラ位である。
【0025】
さらなる実施形態では、上記式(I)の化合物内の複数の−SO
3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位であり、複数の−SO
3H基は、それぞれR1に対してパラ位であり、かつCHR7基は、複数のアゾ基に対してパラ位である。
【0026】
本明細書では、用語「化合物」は、本明細書で定義されたとおり、式(I)の任意の単一の化合物、又は式(I)の化合物の2つ以上の任意の混合物を伴う。したがって、用語「化合物」は、化学構造及び/又は立体化学構造について異なる式(I)の化合物の2つ以上の混合物も伴う。
【0027】
本明細書では、用語「異性体」は、本発明に係る式(I)についてメタ位、オルト位及び/又はパラ位で置換された様々な化合物に関する。したがって、異性体の混合物は、化学構造については一致するが、立体化学構造について異なる式(I)の2つ以上の化合物を含むか、又はそれらの化合物から成る。詳細には、用語「異性体」は、それぞれ同一の化学構造を有し、複数の−SO
3H基が複数のアゾ基に対してメタ位、オルト位又はパラ位であり、かつCHR7−基が、個別のアゾ基に対してパラ位、オルト位又はメタ位である式(I)の化合物の全実施形態を伴う。
【0028】
複数の異性体は、結晶化等の従来の分離法によって、互いに分離されることができる。
【0029】
一実施形態では、本発明に係る式(I)の化合物は、単一化合物の形態で得られることができる。
【0030】
さらなる実施形態では、本発明に係る式(I)の化合物は、2つ以上の異性体を含むか、又は2つ以上の異性体から成る混合物の形態で得られることができる。
【0031】
一実施形態では、上記混合物は、2つ以上の異性体を含むか、又は2つ以上の異性体から成り、かつ複数のアゾ基に対してそれぞれオルト位にある複数の−SO
3H基を有する異性体が、主要な異性体である。
【0032】
さらなる実施形態では、上記混合物は、2つ以上の異性体を含むか、又は2つ以上の異性体から成り、かつ複数のアゾ基に対してそれぞれオルト位にある複数の−SO
3H基及びR1に対してパラ位にある複数の−SO
3H基を有する異性体が、主要な異性体である。
【0033】
さらなる実施形態では、上記混合物は、2つ以上の異性体を含むか、又は2つ以上の異性体から成り、かつ複数のアゾ基に対してそれぞれオルト位にある複数の−SO
3H基及び複数のアゾ基に対してパラ位にあるCHR7基を有する異性体が、主要な異性体である。
【0034】
さらなる実施形態では、上記混合物は、2つ以上の異性体を含むか、又は2つ以上の異性体から成り、かつ下記配位を有する異性体が、その混合物内にある:
複数のアゾ基に対してそれぞれオルト位にある複数の−SO
3H基;
複数のアゾ基に対してパラ位にあるCHR
7−基;及び
R
1に対してパラ位にある複数の−SO
3H基。
【0035】
第二の態様では、本発明は、本発明に係る式(I)の化合物の製造方法に関する。
【0036】
本発明に係る式(I)の化合物は、従来の条件下で調製されることができる。これらの製造方法では、式(II):
【化10】
の化合物のアミン官能基の両方が、従来とおりジアゾ化され、2当量の式(III):
【化11】
{式中、複数の置換基は、それぞれ上記で定義されたとおりである。}
の化合物とカップリングされる。式(III)のカップリング成分は、主に分散染料の合成における標準的な中間体であり、かつ従来の条件下で生成されることができる。
【0037】
反応及び/又は単離条件に応じて、本発明に係る式(I)の化合物は、遊離酸として、又は、例えば、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン)、又はアンモニウムイオン若しくはアルキルアンモニウムカチオン(例えば、モノ、ジ又はトリ−メチル又はエチルアンモニウムカチオン)から選択される1つ以上のカチオンを含む塩若しくは混合塩として、得られることができる。本発明に係る式(I)の化合物は、従来技術によって、遊離酸から塩若しくは混合塩へ、又はその逆に、又は或る塩形態から別の形態へ、変換されることができる。所望により、不要な塩及び合成副生成物を粗アニオン性染料から分離するために、本発明に係る式(I)の化合物は、透析ろ過により更に精製されることができる。
【0038】
粗染料溶液からの不要な塩及び合成副生成物の除去と水の部分的な除去は、半透膜を用いて、圧力を掛けることにより行われ、それにより不要な塩及び合成副生成物のない染料が、従来の方法によって、溶液として、必要ならば固体として、得られる。
【0039】
一実施形態では、染料溶液は、本発明に係る式(I)の化合物の異性体混合物を含む。
【0040】
第三の態様では、本発明は、本発明に係る式(I)の化合物で有機基材を染色及び/又は印刷する方法に関する。
【0041】
詳細には、本発明は、本発明に係る式(I)の少なくとも1つの化合物を上記有機基材と接触させる工程を含む、有機基材の染色及び/又は印刷法に関する。
【0042】
本明細書では、用語「染色」は、有機基材に色を加える全プロセスを伴う。通常、染色は、1つ以上の染料又は染色組成物を含む染浴中で行われる。
【0043】
本明細書では、用語「印刷」は、有機基材上に文字又は像を再生するためのプロセスとして理解されることを意図する。印刷プロセスは、インクの液滴が、微細ノズルを基材と接触させることなく微細ノズルを通じて基材上へ噴出されるノンインパクト印刷技術であるインクジェット印刷プロセスでよい。
【0044】
本明細書では、用語「有機基材」は、天然又は合成源の全ての有機基材を伴う。用語「有機」は、その最も広い意味において本願の範囲内で使用され、かつ炭素含有材料に基づく任意の基材を意味する。基材は、天然若しくは合成ポリアミド(例えば、ウール、シルク、及び全てのナイロン種)、ポリウレタン、又はセルロース(例えば、紙)を含むか、又はそれらから成る繊維の形態で存在することができる。
【0045】
基材の形態/外観の更なる例は、例えば、天然又は合成ポリアミド(例えば、ウール、シルク、及び全てのナイロン種)、ポリウレタン、又はセルロース等の有機基材を含むか、又は有機基材から成る糸、織物、つり編みされたカーペット等である。
【0046】
例えば子羊のウール(lambswool)、カシミア、アルパカ及びモヘアのような繊細な基材上において、染色を完全に為すことが、恒久的にでさえも可能である。本発明に係る式(I)の化合物は、微細なデニールの繊維又はマイクロファイバーを染色するために特に有用である。
【0047】
本発明に係る式(I)の化合物及びその塩は、天然若しくは合成ポリアミドを含むか、又は天然若しくは合成ポリアミドから成る繊維材料を、黄色から黄色がかった橙色までの色合いに染色又は印刷するために特に適する。本発明に係る式(I)の化合物及びその塩は、インクジェット印刷インクを製造するために、及びこれらのインクジェット印刷インクを使用して、例えば天然若しくは合成ポリアミド又はセルロース(例えば、紙)から成るか、又はそれらのいずれかを含む繊維材料などの有機基材を印刷するために、適する。
【0048】
染色は、既知のプロセスに従って行われる(例えば、「Ullmanns Enzyklopuadie der technischen Chemie,4th Edition(1982年,Volume 22,第658−673頁)」、又はM.Peter及びH.K.Rouette著「Grundlagen der Textilveredlung,13th Edition(1989年,第535−556及び566−574頁)」に記述されている染色プロセス参照)。好ましくは、3:1〜40:1の範囲内の溶液比で、30〜140℃の範囲内の温度で、例えば、80〜120℃の範囲内の温度で、又は80〜100℃の範囲内の温度で、吸着プロセスにおいて染色を行う。
【0049】
本明細書では、用語「吸着染色プロセス(exhaust dyeing process)」は、染料が、相対的に大容量の染浴から有機基材へ段階的に移され、そして有機基材が、相対的に長時間に亘って染色されるプロセスとして理解されることを意図する(Textile Dyeing Processesのレビュー(Perkins W.S,1991年)、「Textile Chemist & Colorist(vol.23(8) 23−27)」など参照)。
【0050】
本明細書では、用語「連続染色プロセス(continuous dyeing process)」は、被染色基材が染色域に連続的に供給されるプロセスとして理解されることを意図する。連続染色プロセスの例は、パッド・スチームプロセス、又はパッド・乾燥プロセスである。
【0051】
本発明に係る式(I)の化合物は、例えば、天然又は合成ポリアミド及びポリウレタンなどの有機基材へ適用されるときに、良好な光及び湿潤/洗浄堅牢度を示し、かつフォトクロミック挙動がない。
【0052】
さらに、本発明に係る式(I)の化合物は、例えば有機基材が繊維の形態で存在するときに、有機基材上で顕著なビルドアップ挙動を示す。
【0053】
本発明に係る式(I)の化合物及びその塩は、既知の酸染料との適合性が高い。したがって、式(I)の化合物又はその塩は、染色プロセスにおいて単独で使用されることができ、さらには色合いを組み合わせた染色組成物中で同等の他の酸染料とともに、すなわち、適合可能な染色性(例えば、染浴から基材上までの堅牢性及び吸着率)を担う酸染料とともに、一成分として使用されることができる。
【0054】
色合いを組み合わせた染色組成物中に存在する本発明に係る式(I)の化合物の割合は、所定の色相により決定される。
【0055】
本発明に係る式(I)の化合物は、上述のとおり、天然及び合成ポリアミド、例えば、ウール、シルク、全てのナイロン種、及びセルロース(例えば、紙)の染色及び/又は印刷にとって極めて有用であり、各々について、高い堅牢度、特に良好な光堅牢度、及び良好な湿潤/洗浄堅牢度(洗浄、アルカリ性の汗などに対する堅牢度)を有する染色物及び印刷物が得られる。本発明に係る式(I)の化合物及びその塩は、高い吸収効率を有する。本発明に係る式(I)の化合物及びその塩をビルドアップする能力は、極めて良好であろう。特定の基材上で色調を帯びた染色物は、極めて優れた品質である。さらに、全ての染色物及び印刷物は、人工光下で一定の色調を有する。さらに、本発明に係る式(I)の化合物のデカンテーション(decating)及び沸騰に対する堅牢度も良好である。
【0056】
本発明に係る式(I)の化合物の明白な利点は、金属を含まずに、非常に安定した染色及び印刷を提供することである。
【0057】
本発明に係る式(I)の化合物は、個別の染料として使用されることができ、さらには、その良好な適合性によって、例えば一般的な堅牢度、吸着値などに関して適合可能な染色及び印刷性を有する同等の他の染料とともに、併用成分としても使用されることができる。色合いを組み合わせて得られた染色物は、個別の染料による染色物と類似する堅牢度を有する。
【0058】
例えば、本発明に係る式(I)の化合物は、詳細には、重金属を含まず、かつ光及び湿潤/洗浄堅牢度を有する三色染色物及び印刷物において、例えば国際公開第2007/115960A1号に記述されている赤色染料とともに、かつ例えば国際公開第2013/056838A1号に記述されている濃紺/黒色染料とともに、橙黄色成分として適用されることに適する。
【0059】
上記の全ての目的のために、R1及びR2が水素であり、R3が−CH
3であり、R4及びR5が−CH
2CH
3であり、R6及びR7が水素であり、複数の−SO
3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位かつR1に対してパラ位であり、かつCHR7−基は、複数のアゾ基に対してパラ位である本発明に係る式(I)の化合物が、特によく適している。
【0060】
上記から明らかなとおり、本明細書で開示された化合物は、印刷インキ又は染色溶液の調製のために使用されることができる。
【0061】
したがって、本発明は、本明細書で開示された少なくとも1つの化合物を含む印刷インキ又は染色溶液にも関する。
【0062】
第四の態様では、本発明は、本発明に係る式(I)の少なくとも1つの化合物を上記有機基材(例えば、微細デルニエ(dernier)繊維材料又はマイクロファイバーでよい)と接触させる工程を含む、有機基材の染色及び/又は印刷法により得られることができる有機基材に関する。
【0063】
第五の態様では、本発明は、本発明に係る式(I)の化合物の製造に使用される式(II)のジアミンに関する。
【0064】
式(II)のジアミンは、従来の条件下、2当量の式(IV)の化合物と1当量の式(V)のアルデヒドから形成されることができる:
【化12】
【0065】
R7が水素であるならば、ホルムアルデヒド(CAS登録番号:[50−00−0])の代わりに、別のホルムアルデヒド源、例えば、パラホルムアルデヒド(CAS登録番号:[30525−89−4])、1,3,5−トリオキサン(CAS登録番号:[110−88−3])又はヘキサメチレンテトラミン(ウロトロピン)(CAS登録番号:[100−97−0])などが、縮合反応において使用されることができる:
【化13】
【0066】
R7が水素であり、かつ複数の−SO
3H基が、それぞれNH
2−基に対してオルト位である式(II)の化合物が、国際公開第2010/010032号から分かる。
【実施例】
【0067】
以下の実施例では、部および割合(%)を質量により表し、かつ温度をセ氏温度(℃)で表す。
【0068】
例1a
38部の2−アミノベンゼンスルホン酸(CAS登録番号:[88−21−1])を145部の水に懸濁させて、63部の濃塩酸と混ぜる。次に、9部のホルムアルデヒド溶液(CAS登録番号:[50−00−0])を滴加する。得られた混合物を95℃へ加熱して、95℃で5時間撹拌する。ろ過及び乾燥後、32部の下記式の異性体混合物を得る:
【化14】
【0069】
例1b
38部の2−アミノベンゼンスルホン酸(CAS登録番号:[88−21−1])を240部の水に懸濁させて、69部の濃塩酸と混ぜる。次に、3.5部のs−トリオキサン(CAS登録番号:[110−88−3])を加える。得られた混合物を85℃へ加熱して、85℃で2時間撹拌する。ろ過及び乾燥後、32部の下記式の異性体混合物を得る:
【化15】
【0070】
例1c
35部の2−アミノベンゼンスルホン酸(CAS登録番号:[88−21−1])を210部の水に懸濁させて、59部の濃塩酸と混ぜる。次に、3.1部のパラホルムアルデヒド(CAS登録番号:[30525−89−4])を加える。得られた混合物を90℃へ加熱して、90℃で15時間撹拌する。ろ過及び乾燥後、32部の下記式の異性体混合物を得る:
【化16】
【0071】
例1d
39部の2−アミノベンゼンスルホン酸(CAS登録番号:[88−21−1])を210部の水に懸濁させて、59部の濃塩酸と混ぜる。次に、2.5部のヘキサメチレンテトラミン(ウロトロピン)(CAS登録番号:[100−97−0])を加える。得られた混合物を75℃へ加熱して、75℃で20時間撹拌する。ろ過及び乾燥後、32部の下記式の異性体混合物を得る:
【化17】
【0072】
例1e
例1a、1b、1c又は1dで生成された物を450部の水に懸濁させて、27部の濃塩酸と混ぜる。150部の氷の追加後、黄色がかった懸濁物が形成される。1時間に亘って37部の亜硝酸ナトリウム40%溶液を加えることによりジアゾ化を行う。
【0073】
36.5部の3−(ジエチルアミノ)アセトアニリド(CAS登録番号:[6375−46−8])を360部の水にpH4で溶解させて、氷浴中で10℃へ冷却する。15%ソーダ溶液の滴加によりpHを4に維持しながら、上記で生成したジアゾ懸濁物を1時間に亘って滴加する。懸濁物を18時間撹拌して、その後にろ過する。乾燥後、53部の下記式の化合物が得られ、その化合物は、472nmに吸収極大(λ
max)を有し、かつポリアミドをゴールデンイエロー(golden yellow)に染める:
【化18】
上記式を有する様々な異性体の混合物として得られる本例では、2つのアゾ化合物と結合しているCH
2基が上記複数のアゾ基に対してパラ位にある異性体が、主要である。
【0074】
例2〜11
例1eで使用された3−(ジエチルアミノ)アセトアニリド以外のカップリング成分として3−ジアルキルアミノカルボン酸アニリド類を用いて、ゴールデンイエローからイエローオレンジ(yellow orange)までの以下の染料を得る:
【化19】
【0075】
例12〜14
例1eで使用された3−(ジエチルアミノ)アセトアニリドの代わりにカップリング成分として3−(ジアルキルアミノ)フェニル尿素を用いて、ゴールデンイエローからイエローオレンジまでの以下の染料を得る:
【化20】
【0076】
例15〜25
例1a〜1dによるジアゾ成分を生成するための2−アミノベンゼンスルホン酸の代わりに2−アミノ−4−メチルベンゼンスルホン酸を用い、かつカップリング成分として異なる3−ジアルキルアミノカルボン酸アニリド類を用いて、ゴールデンイエローからイエローオレンジまでの以下の染料を得る:
【化21】
【0077】
例26〜28
カップリング成分として例15で使用された3−(ジエチルアミノ)アセトアニリドの代わりに3−(ジアルキルアミノ)フェニル尿素を用いて、ゴールデンイエローからイエローオレンジまでの以下の染料を得る:
【化22】
【0078】
例29〜39
例1a〜1dによるジアゾ化合物を生成するための2−アミノベンゼンスルホン酸の代わりに2−アミノ−4−クロロベンゼンスルホン酸を用い、かつカップリング成分として異なる3−ジアルキルアミノカルボン酸アニリド類を用いて、以下の橙色染料を得る:
【化23】
【0079】
例40〜42
カップリング成分として例29で使用された3−(ジエチルアミノ)アセトアニリドの代わりに3−(ジアルキルアミノ)フェニル尿素を用いて、以下の橙色染料を得る:
【化24】
本段落より前の段落で既に示されたとおり、これらの全ての例による化合物は、様々な異性体の混合物として得られ、SO
3H基の位置は、アゾ基に対してオルトであり、かつR1に対してパラであり、結合基CH
2の位置は自由であるが、そのCH
2基が複数のアゾ基に対してパラ位である化合物が主要な異性体である。
【0080】
使用例A
2000部の水と;エトキシ化アミノプロピル脂肪酸アミドを主成分として含み、かつ染料との親和性を有する弱カチオン活性レベリング剤1部と;0.25部の例1eの化合物とを含み、かつ1〜2部の40%酢酸でpH5へ調整された40℃の染浴へ、100部のナイロン−6織物を入れる。40℃で10分後、染浴を1℃/分の速度で98℃へ加熱し、次に沸点で45〜60分間に亘って保持する。その後、15分間に亘って70℃へ冷却する。染色物を洗浴から出し、温水で濯ぎ、次いで冷水で濯いで、乾燥させる。得られた生成物は、良好な均染度、良好な光及び湿潤/洗浄堅牢度、並びに良好なビルドアップ挙動を有するゴールデンイエロー色のポリアミド染色物である。
【0081】
例2〜42の化合物を用いて使用例Aを繰り返したところ、均染度、光及び湿潤/洗浄堅牢度、並びにビルドアップ挙動について、類似する結果であった。
【0082】
使用例B
2000部の水と;エトキシ化アミノプロピル脂肪酸アミドを主成分として含み、かつ染料との親和性を有する弱カチオン活性レベリング剤1部と;0.3部の例1eの化合物とを含み、かつ1〜2部の40%酢酸でpH5.5へ調整された40℃の染浴へ、100部のナイロン−6,6織物を入れる。40℃で10分後、染浴を1.5℃/分の速度で120℃へ加熱し、次に120℃で15〜25分間に亘って保持する。その後、25分間に亘って70℃へ冷却する。染色物を洗浴から出し、温水で濯ぎ、次いで冷水で濯いで、乾燥させる。得られた生成物は、良好な均染度、良好な光及び湿潤/洗浄堅牢度、並びに良好なビルドアップ挙動を有するゴールデンイエロー色のポリアミド染色物である。
【0083】
例2〜42の化合物を用いて使用例Bを繰り返したところ、均染度、光及び湿潤/洗浄堅牢度、並びにビルドアップ挙動について、類似する結果であった。
【0084】
使用例C
4000部の水と;硫酸化エトキシ化脂肪酸アミドを主成分として含み、かつ染料との親和性を有する弱両性レベリング剤1部と;0.4部の例1eの化合物とを含み、かつ1〜2部の40%酢酸でpH5へ調整された40℃の染浴へ、100部のウール織物を入れる。40℃で10分後、染浴を1℃/分の速度で沸点へ加熱し、次に沸点で40〜60分間に亘って保持する。その後、20分間に亘って70℃へ冷却する。染色物を洗浴から出し、温水で濯ぎ、次いで冷水で濯いで、乾燥させる。得られた生成物は、良好な均染度、良好な光及び湿潤/洗浄堅牢度、並びに良好なビルドアップ挙動を有するゴールデンイエロー色のウール染色物である。
【0085】
例2〜42の化合物を用いて使用例Cを繰り返したところ、均染度、光及び湿潤/洗浄堅牢度、並びにビルドアップ挙動について、類似する結果であった。
【0086】
使用例D
例1eの化合物40部;
尿素100部;
ブチルジグリコールを主成分とする非イオン性可溶化剤20部;
(pHを4へ調整された)酢酸15〜20部;
エトキシ化アミノプロピル脂肪酸アミドを主成分として含み、かつ染料との親和性を有する弱カチオン活性レベリング剤10部;及び
水810〜815部(これにより1000部の捺染液を形成する);
から成る50℃の液体を、100部のナイロン−6織物材料に捺染する。
【0087】
上記のように含浸された材料を巻き上げ、固化のために、蒸しチャンバに入れて、飽和蒸気条件下、85〜98℃で3〜6時間保持する。次に、染色物を温水及び冷水で濯いで、乾燥させる。得られた生成物は、良好な均染度、良好な光及び湿潤/洗浄堅牢度、並びに良好なビルドアップ挙動を有するゴールデンイエロー色のナイロン染色物である。
【0088】
例2〜42の化合物を用いて使用例Dを繰り返したところ、均染度、光及び湿潤/洗浄堅牢度、並びにビルドアップ挙動について、類似する結果であった。
【0089】
使用例E
液体1000部当たり:
例1eの化合物1部と;
イナゴマメ粉エーテル(carob flour ether)を主成分とする市販の増粘剤4部と;
高級アルキルフェノールの非イオン性エチレンオキシド付加物2部と;
60%酢酸1部と;
を含む液体を、ナイロン−6で構成されており、かつ合成織物基本材料を有するテキスタイルカットパイルシート材料へ捺染する。
【0090】
次に、ペースト1000部当たり以下の成分:
市販のアルコキシ化脂肪族アルキルアミン(置換材料)20部と;
イナゴマメ粉エーテルを主成分とする市販の増粘剤20部と;
を含むペーストを印刷する。
【0091】
印刷物を飽和蒸気中100℃で6分間に亘って固化し、濯いで、乾燥する。得られた生成物は、ゴールデンイエロー色及び白色のパターンを有し、かつ均質な色合いの被覆材料である。
【0092】
例2〜42の化合物を用いて使用例Eを繰り返したところ、均染度、光及び湿潤/洗浄堅牢度、並びにビルドアップ挙動について、類似する結果であった。
【0093】
使用例F
例1〜42の化合物3部を60℃で82部の脱塩水及び15部のジエチレングリコールに溶解させる。室温への冷却によって、紙又はポリアミド及びウールテキスタイル上のインクジェット印刷に特に適した黄茶色の印刷インクを得る。
【0094】
使用例G
水2000部と;
エトキシ化アミノプロピル脂肪酸アミドを主成分として含み、かつ染料との親和性を有する弱カチオン活性レベリング剤1部と;
例1eの染料0.3部と;
国際公開第2007/115960号の例2による赤色染料0.3部と;
国際公開第2013/056838号の例1による赤色染料0.3部と;
を含み、かつ1〜2部の40%酢酸でpH5.5へ調整された40℃の染浴へ、100部のナイロン−6,6織物を入れる。40℃で10分後、染浴を1.5℃/分の速度で120℃へ加熱し、次に120℃で15〜25分間保持する。その後、25分間に亘って70℃へ冷却する。染色物を洗浴から出し、温水で濯ぎ、次いで冷水で濯いで、乾燥させる。得られた生成物は、良好な均染度、良好な光及び湿潤/洗浄堅牢度、並びに良好なビルドアップ挙動を有するオリーブ色のポリアミド染色物である。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[15]に記載する。
[1]
一般式(I)の化合物:
【化25】
{式中、
R1は、水素、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルコキシ、無置換若しくは置換アリール又はハロゲンであり、
R2は、水素、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルキルであり、
R3は、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルコキシ、無置換若しくは置換アリール又はNR8R9であり、
R4及びR5は、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルケニル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルコキシ、無置換若しくは置換アリール、
【化26】
又は
【化27】
であり、
R6は、水素、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルキル、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルコキシであり、
R7は、水素、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルキルであり、かつ
R8及びR9は、独立に水素又はR4及びR5として定義される。}。
[2]
前記置換アルキル、アルケニル、アルコキシ及びアリール基の置換基が、独立に、ハロゲン、−OH、−COOH、−CN、−SO3H、アリール、アリールオキシ、−O(C1−4アルキル)、−O(C1−4アルコキシ)、−CO−O−C1−4アルキル、−O−CO−C1−4アルキル、−O−CO−アリール、−CO−(O−CH2−CH2)n−O−C1−4アルキル{式中、nは1〜10である。}、C1−4アルケニル、C1−4アルキニル、及び−NRxRy{式中、Rx及びRyは、独立に水素又はC1−4アルキルである。}から成る群から選択される、項目1に記載の化合物。
[3]
複数の−SO3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位である、項目1又は2に記載の化合物。
[4]
R1は、水素、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−6アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−6アルコキシ又はハロゲンであり、
R2は、水素、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルキルであり、
R3は、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルコキシ、無置換若しくは置換アリール又はNH2であり、
R4及びR5は、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルキル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルケニル、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−12アルコキシ、無置換若しくは置換アリール、
【化28】
又は
【化29】
であり、
R6は、水素、無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−6アルキル、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−6アルコキシであり、
R7は、水素、又は無置換若しくは置換の直鎖若しくは分岐鎖C1−6アルキルである、
項目1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
[5]
R1は、水素、−CH3、−Cl又は−OCH3であり、
R2は、水素又は−CH3であり、
R3は、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−C6H5、−C6H4CH3、−CH2CH2Cl、
−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−CH2OH、−CH2OC6H5、−OCH3、−OCH2CH3、
−OCH2CH2CH3、−OCH2CH2OCH2CH3、−OCH2CH2CH2CH2CH3、
−OCH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH2CH3、−OC10H21、−OC12H25又はNH2であり、
R4及びR5は、−CH3、−CH2CH3、−CH2C6H5、−CH2CH2CH3、−CH2CH2CH2CH3、
−CH2CH2CH2CH2CH3、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3、CH2CH2OH、
−CH2CH(OH)CH2CH3、−CH2CH=CH2、−CH2CH2C≡N、
−CH2CH2COOCH2CH2OCH3、−CH2CH2COOCH3、
−CH2CH2OCH2CH2OCH3、−CH2CH2OCOCH2CH3、−CH2CH2OCOC6H5、
−CH2CH2OCOCH3、−CH2COOCH3、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3、
【化30】
又は
【化31】
であり、
R6は、水素、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2OH、−OCH3、−OCH2CH3又は−OCH2C6H5であり、かつ
R7は、水素、−CH3又は−CH2CH3である、
項目1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
[6]
R1は、水素、−CH3、−Cl又は−OCH3であり、
R2は、水素又は−CH3であり、
R3は、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2CH3、−C6H5、−C6H4CH3、−CH2CH2Cl、
−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−CH2OH、−CH2OC6H5、−OCH3、−OCH2CH3、
−OCH2CH2CH3、−OCH2CH2OCH2CH3、−OCH2CH2CH2CH2CH3、
−OCH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH2CH3、−OC10H21、−OC12H25又はNH2であり、
R4及びR5は、−CH3、−CH2CH3、−CH2C6H5、−CH2CH2CH3、−CH2CH2CH2CH3、
−CH2CH2CH2CH2CH3、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3、CH2CH2OH、
−CH2CH(OH)CH2CH3、−CH2CH=CH2、−CH2CH2C≡N、
−CH2CH2COOCH2CH2OCH3、−CH2CH2COOCH3、
−CH2CH2OCH2CH2OCH3、−CH2CH2OCOCH2CH3、−CH2CH2OCOC6H5、
−CH2CH2OCOCH3、−CH2COOCH3、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH3、
【化32】
又は
【化33】
であり、
R6は、水素、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2OH、−OCH3、−OCH2CH3又は−OCH2C6H5であり、かつ
R7は、水素である、
項目1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
[7]
R1は、水素、−CH3、−Cl又は−OCH3であり、
R2は、水素であり、
R3は、C1−3アルキル又は−NH2であり、
R4及びR5は、無置換若しくは置換の直鎖C2−6アルキル又はベンジルであり、
R6は、水素、−CH3、−CH2CH3、−CH2CH2OH、−OCH3、−OCH2CH3又は−OCH2C6H5であり、かつ
R7は、水素である、
項目1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
[8]
R1は、水素、−CH3又は−Clであり、
R2は、水素であり、
R3は、−CH3、−CH2CH3又は−NH2であり、
R4及びR5は、無置換若しくは置換の直鎖C2−6アルキル又はベンジルであり、かつ
R6及びR7は、水素である、
項目1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
[9]
R1及びR2は、水素であり、
R3は、−CH3であり、
R4及びR5は、無置換若しくは置換の直鎖C2−6アルキル又はベンジルであり、かつ
R6及びR7は、水素である、
項目1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
[10]
前記化合物は、2種以上の異性体の混合物の形態で存在し、かつ下記立体化学構造:
・複数の−SO3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位であるか;又は
・複数の−SO3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位であり、かつ複数の−SO3H基は、それぞれR1に対してパラ位であるか;又は
・複数の−SO3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位であり、かつCHR7基は、複数のアゾ基に対してパラ位であるか;又は
・複数の−SO3H基は、それぞれ複数のアゾ基に対してオルト位であり、CHR7基は、複数のアゾ基に対してパラ位であり、かつ複数の−SO3H基は、それぞれR1に対してパラ位である;
を有する異性体を主成分として含む、項目1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
[11]
式(II)の化合物の両方のアミン官能基をジアゾ化して、計2当量の式(III)の化合物とカップリングする、項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物の製造方法:
【化34】
【化35】
{式中、R1〜R7は、項目1において定義されたとおりである。}。
[12]
項目1〜10のいずれか1項に記載の化合物又は項目11に記載の方法により得られた化合物の少なくとも1種を、微細デルニエ繊維材料又はマイクロファイバーでよい有機基材と接触させる工程を含む、前記有機基材の染色及び/又は印刷方法。
[13]
吸着染色プロセス、又はパッド・スチームプロセスなどの連続染色プロセスである、項目12に記載の染色方法。
[14]
前記有機基材は、紙;天然及び合成ポリアミドを含むか、若しくは天然及び合成ポリアミドから成る繊維材料;ポリウレタン;又はそれらの混合物である、項目12又は13に記載の方法。
[15]
下記式:
【化36】
の化合物を除くものとする一般式(II):
【化37】
{式中、R1、R2及びR7は、項目1で定義された通りである。}
の化合物。