(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404948
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】アンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法及びその応用
(51)【国際特許分類】
B09B 3/00 20060101AFI20181004BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
B09B3/00 304J
C02F11/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-568449(P2016-568449)
(86)(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公表番号】特表2017-520391(P2017-520391A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】CN2015083350
(87)【国際公開番号】WO2016019774
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2016年11月17日
(31)【優先権主張番号】201410383247.6
(32)【優先日】2014年8月6日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512000569
【氏名又は名称】華南理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】楊 医博
(72)【発明者】
【氏名】郭 文瑛
(72)【発明者】
【氏名】莫 海鴻
(72)【発明者】
【氏名】王 恒昌
【審査官】
齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−068791(JP,A)
【文献】
特開昭51−148261(JP,A)
【文献】
特開2007−069185(JP,A)
【文献】
特開2005−279370(JP,A)
【文献】
特開2012−115767(JP,A)
【文献】
特開平11−100243(JP,A)
【文献】
特開2013−176740(JP,A)
【文献】
米国特許第04210626(US,A)
【文献】
特開昭56−045824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B1/00−5/00
C02F11/00−20
C04B7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ1、純炭酸ソーダ工場の固体廃棄物うち、苛性スラッジではないものであって、主成分が炭酸カルシウムである廃棄物を破砕し研磨して、廃棄物粉を得ることと、
ステップ2、焼成した酸化カルシウムを消化させるように、前記廃棄物粉を水中に0.5から14日間浸し、そして、消化後の廃棄物粉と、苛性スラッジ及び水とを混合し、そこでは、各材料の質量比として、消化後の廃棄物粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は2:8乃至5:5であり、水の質量は消化後の廃棄物粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の1.5乃至8倍であること、
或いは、
焼成した酸化カルシウムを消化させるように、前記廃棄物粉と、苛性スラッジ及び水とを混合し、水中に0.5から14日間浸し、そこでは、各材料の質量比として、消化後の廃棄物粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は2:8乃至5:5であり、水の質量は消化後の廃棄物粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の1.5乃至8倍であることと、
ステップ3、加圧濾過処理を行い、塩素イオン含有量が、混合物中の固体の合計質量の0.30%未満である脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得することと、を含むことを特徴とする、
アンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法。
【請求項2】
前記ステップ2において、前記廃棄物粉を浸しながら、断続的に攪拌することを特徴とする、請求項1に記載のアンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法。
【請求項3】
前記ステップ2において、前記廃棄物粉の50%以下を、フライアッシュ、石灰石粉、炉スラグ粉、鉱スラグ粉、鉄鋼スラグ粉、粉末フライのうちの1種又は1種以上で替えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法。
【請求項4】
前記ステップ2の第1の態様は、更に、消化後の廃棄物粉中の水酸化カルシウムを先に分離回収して、純炭酸ソーダの生産に用いるステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載のアンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法によって調製される脱塩素苛性スラッジ混合物を、セメントの混和材料、コンクリート及びモルタルの鉱物混和材料、エンジニアリングソイル、充填剤、排煙脱硫剤、土壌処理剤、吸着剤並びに担体として利用する応用方法。
【請求項6】
前記脱塩素苛性スラッジ混合物を、セメントの混和材料、コンクリート及びモルタルの鉱物混和材料、エンジニアリングソイル、充填剤、排煙脱硫剤、土壌処理剤、吸着剤並びに担体として利用する時に、まず乾燥し破砕して、そして研削加工を行い、粉末状の脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得することを特徴とする、請求項5に記載の応用方法。
【請求項7】
前記脱塩素苛性スラッジ混合物を、セメントの混和材料、コンクリート及びモルタルの鉱物混和材料として利用する時に、前記脱塩素苛性スラッジ混合物が30%未満又は30%のゲル材料に替えられることを特徴とする、請求項5に記載の応用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物処分に関し、特に、アンモニアソーダ法による苛性スラッジ及び戻り砂石の処理方法並びにその応用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
純炭酸ソーダは基本的な化学原料として、主に建築材料、化学工業、化学農薬、非鉄金属、紡績など工業で使用され、国民経済において重要な位置を有し、「化学工業の母」と呼ばれる。現在、純炭酸ソーダの生産方法として、主に天然アルカリ法、アンモニアソーダ法、及びコンバインドソーダ法があり、我国において、純炭酸ソーダは主にアンモニアソーダ法で生産される。
【0003】
苛性スラッジは、アンモニアソーダ法によって純炭酸ソーダを生産する過程において発生する工業廃棄物であり、苛性スラッジの主成分は、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、及びアルミニウム、鉄、又はケイ素の酸化物であり、そして、塩化物を大量に含んでいる。1トンの純炭酸ソーダを生産すると、約350kgの苛性スラッジが発生し、我国において、毎年苛性スラッジの産量は300万トンを超える。
【0004】
苛性スラッジは、高アルカリ性、高塩化物イオン含有量の特性を有するため、その取引が世界的な課題となっている。苛性スラッジを合理的に利用するために、国内外において広く研究されている。その利用方法として、主にエンジニアリングソイルとして、土の埋め立て、ダム構築、路盤及び路面舗装の建設などに用いられる。また、苛性スラッジを、土壌改良剤、排煙脱硫剤、石膏、セメント、高膨張性ゲル材料、建設モルタル、苛性スラッジブリック、苛性スラッジフライアッシュブリック、アスファルト充填材、ゴム充填材、人工リーフなどに調製することが研究されている。しかし、如何に効率的に苛性スラッジ中の塩素イオン含有量を下げるかはまだ画期的に示されておらず、処理後の苛性スラッジ中の塩素イオンの高含有量は、それの様々な分野での応用に影響を与える。しかし、どのように効果的に塩化物イオンのアルカリ残留物を減らしたとしても、再処理でのブレークスルーされていない苛性塩素イオン含有量は、様々な分野での応用に与える影響は余りに高過ぎる。
【0005】
国内外の苛性スラッジの処理技術を見ると、20世紀80年代に、米国は天然ソーダの加工技術を把握してから、急速に米国内の全てのアンモニアソーダ工場が廃止された。カナダ、韓国、日本でもアンモニアソーダ工場が段階的に廃止されてきた。しかし、我国においては、天然ソーダの蓄蔵量が少ないため、全てのアンモニアソーダ工場を廃止することは不可能である。現在、我国のアンモニアソーダ工場では、苛性スラッジの処理方法として、依然として、主に陸上積放又はシノトランス干拓という二つの方法があり、いずれも深刻な環境汚染問題を引き起こしてしまう。
【0006】
現在、もっとも有効な苛性スラッジの脱塩素方法として、水洗浄による脱塩素方法があるが、水洗浄の効率は低く、また、多数回の洗浄が必要となり、大量の水を消耗してしまうため、その応用に深刻な影響を与える。水の使用量を削減するために、塩素含有量が比較的高めにコントロールされ、通常、一回の水洗浄で、加圧濾過後の苛性スラッジの塩素含有量は、約1.5%にコントロールされる。苛性スラッジの有効な脱塩素方法は、純炭酸ソーダ業界の持続可能な発展を制限する重大な問題となっている。
【0007】
純炭酸ソーダ工場の固体廃棄物は、苛性スラッジ以外に、戻り砂石もあり、1トンの純炭酸ソーダを生産する際に、約165kgの戻り砂石が生じる。その主成分は、炭酸カルシウムであり、長い間、道路の舗装やセメントキルン原料などの用途で使用されている。その利用価値は低いが、ほとんど消費することができる。ただし、道路の舗装質量に対する要求の厳格化やセメントキルン工場の廃棄に伴い、その利用率が下がってしまっているため、新しい用途を見つけなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、優れた脱塩素効果を有する、アンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、下記の実施態様によって実現される。
【0010】
アンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法であって、下記のステップを含む:
ステップ1、戻り砂石を破砕し研磨して、戻り砂石粉を得ることと、
ステップ2、焼成した酸化カルシウムを消化させるように、前記戻り砂石粉を水中に0.5から14日間浸し、そして、消化後の戻り砂石粉と、苛性スラッジ及び水とを混合し、そこでは、各材料の質量比として、消化後の戻り砂石粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は2:8乃至5:5であり、水の質量は消化後の戻り砂石粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の1.5乃至8倍であること、
或いは、
焼成した酸化カルシウムを消化させるように、前記戻り砂石粉と、苛性スラッジ及び水とを混合し、水中に0.5から14日間浸し、そこでは、各材料の質量比として、消化後の戻り砂石粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は2:8乃至5:5であり、水の質量は消化後の戻り砂石粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の1.5乃至8倍であることと、
ステップ3、加圧濾過処理を行い、塩素イオン含有量が、混合物中の固体の合計質量の0.30%未満である脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得すること。
【0011】
更に、前記ステップ2において、前記戻り砂石粉を浸しながら、断続的に攪拌する。
【0012】
更に、前記ステップ2において、前記戻り砂石粉の50%以下を、フライアッシュ、石灰石粉、炉スラグ粉、鉱スラグ粉、鉄鋼スラグ粉、粉末フライのうちの1種又は1種以上に替える。
【0013】
更に、前記ステップ2の第1の態様は、また、消化後の戻り砂石粉中の水酸化カルシウムを先に分離回収して、純炭酸ソーダの生産に用いるステップを含む。
【0014】
本発明の他の目的は、上記の脱塩素苛性スラッジ混合物を利用する応用方法を提供することであり、その実施態様は、下記の通りである。
【0015】
上記に記載の方法によって調製される脱塩素苛性スラッジ混合物を、セメントの混和材料、コンクリート及びモルタルの鉱物混和材料、エンジニアリングソイル(Engneering soil)、充填剤、排煙脱硫剤、土壌処理剤、吸着剤並びに担体として利用する応用方法。
【0016】
前記脱塩素苛性スラッジ混合物を、セメントの混和材料、コンクリート及びモルタルの鉱物混和材料、エンジニアリングソイル、充填剤、排煙脱硫剤、土壌処理剤、吸着剤並びに担体として利用する時に、まず乾燥し破砕して、そして研削加工を行い、粉末状の脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得する。
【0017】
更に、前記脱塩素苛性スラッジ混合物を、セメントの混和材料、コンクリート及びモルタルの鉱物混和材料として利用する時に、前記脱塩素苛性スラッジ混合物が30%未満又は30%のゲル材料に替えられる。
【発明の効果】
【0018】
苛性スラッジの粒子径は小さく、粒子径は、大体数μmから数十μmの間であって、且つ、その中に空隙を多く含むため、加圧濾過後の苛性スラッジの含水率と塩素イオンの含有量は高い。苛性スラッジ中の塩素イオンは、主に水中に存在しているため、粒子分布によって材料を調整すれば、空隙率を下げることができ、加圧濾過後の苛性スラッジの塩素イオンの含有量を下げることができる。純炭酸ソーダ工場の固体廃棄物を十分に処理するため、水で消化後の戻り砂石粉を粒子分布用の材料として用いて材料を調整する。酸化カルシウムが消化するため、水での消化後の戻り砂石粉の表面は粗くて、より効率的に塩素イオンの含有量を下げることができる。
【0019】
従来技術と比べると、本発明は、下記のメリットを有する。
(1)本発明によれば、脱塩素効果がよく、1回水洗浄し加圧濾過処理した結果、塩素イオン含有量(固体の合計質量で計算)は0.30%未満であって、従来技術による1回水洗浄した加圧濾過処理の結果より、塩素の含有量を大幅に下げた。
(2)塩素イオン含有量が低いため、各種の用途に用いられ、効率的に苛性スラッジの処理問題を解決でき、セメントの混和材料、コンクリート及びモルタルの鉱物混和材料、エンジニアリングソイル、充填剤、排煙脱硫剤、土壌処理剤など多分野に応用でき、また、苛性スラッジの多孔構造によって、吸着剤、担体などの分野にも応用できる。
(3)同時に、純炭酸ソーダ工場に生じるもう1つの大きな固体廃棄物である戻り砂石を消耗することもでき、廃棄物を再利用するとの目的を達成でき、そして、生じた水酸化カルシウムを純炭酸ソーダ生産に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、下記の実施形態に限られるものではない。
【0021】
実施例1
アンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法であって、下記のステップを含む:
ステップ1、まずは、戻り砂石を破砕し研磨して、戻り砂石粉を得て、
ステップ2、焼成した酸化カルシウムを消化させるように、戻り砂石粉を断続的に攪拌しながら水中に0.5日間浸して、そして、消化後の戻り砂石粉と、苛性スラッジ及び水とを混合して、そこでは、各材料の質量比として、消化後の戻り砂石粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は2:8であり、水の質量は消化後の戻り砂石粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の8倍であって、
ステップ3、加圧濾過処理を行って、塩素イオン含有量が、混合物中の固体の合計質量の0.28%である脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得した。
【0022】
本実施例において、フライアッシュ、石灰石粉、炉スラグ粉、鉱スラグ粉、鉄鋼スラグ粉、粉末フライのうちの1種又は1種以上で、前記戻り砂石粉の50%以下を替えることができる。
【0023】
本実施例において、消化後の戻り砂石粉中の水酸化カルシウムを先に分離回収して、純炭酸ソーダの生産に用いることができる。
【0024】
実施例2
アンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法であって、下記のステップを含む:
ステップ1、まずは、戻り砂石を破砕し研磨して、戻り砂石粉を得て、
ステップ2、焼成した酸化カルシウムを消化させるように、戻り砂石粉を断続的に攪拌しながら水中に3日間浸して、そして、消化後の戻り砂石粉と、苛性スラッジ及び水とを混合して、そこでは、各材料の質量比として、消化後の戻り砂石粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は3:7であり、水の質量は消化後の戻り砂石粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の7倍であって、
ステップ3、加圧濾過処理を行って、塩素イオン含有量が、混合物中の固体の合計質量の0.08%である脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得した。
【0025】
本実施例において、フライアッシュ、石灰石粉、炉スラグ粉、鉱スラグ粉、鉄鋼スラグ粉、粉末フライのうちの1種又は1種以上で、前記戻り砂石粉の50%以下を替えることができる。
【0026】
本実施例において、消化後の戻り砂石粉中の水酸化カルシウムを先に分離回収して、純炭酸ソーダの生産に用いることができる。
【0027】
実施例3
アンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法であって、下記のステップを含む:
ステップ1、まずは、戻り砂石を破砕し研磨して、戻り砂石粉を得て、
ステップ2、焼成した酸化カルシウムを消化させるように、戻り砂石粉を断続的に攪拌しながら水中に7日間浸して、そして、消化後の戻り砂石粉と、苛性スラッジ及び水とを混合して、そこでは、各材料の質量比として、消化後の戻り砂石粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は5:5であり、水の質量は消化後の戻り砂石粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の3倍であって、
ステップ3、加圧濾過処理を行って、塩素イオン含有量が、混合物中の固体の合計質量の0.05%である脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得した。
【0028】
本実施例において、フライアッシュ、石灰石粉、炉スラグ粉、鉱スラグ粉、鉄鋼スラグ粉、粉末フライのうちの1種又は1種以上で、前記戻り砂石粉の50%以下を替えることができる。
【0029】
本実施例において、消化後の戻り砂石粉中の水酸化カルシウムを先に分離回収して、純炭酸ソーダの生産に用いることができる。
【0030】
実施例4
アンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法であって、下記のステップを含む:
ステップ1、まずは、戻り砂石を破砕し研磨して、戻り砂石粉を得て、
ステップ2、焼成した酸化カルシウムを消化させるように、戻り砂石粉を断続的に攪拌しながら水中に14日間浸して、そして、消化後の戻り砂石粉と、苛性スラッジ及び水とを混合して、そこでは、各材料の質量比として、消化後の戻り砂石粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は5:5であり、水の質量は消化後の戻り砂石粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の1.5倍であって、
ステップ3、加圧濾過処理を行って、塩素イオン含有量が、混合物中の固体の合計質量の0.09%である脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得した。
【0031】
本実施例において、フライアッシュ、石灰石粉、炉スラグ粉、鉱スラグ粉、鉄鋼スラグ粉、粉末フライのうちの1種又は1種以上で、前記戻り砂石粉の50%以下を替えることができる。
【0032】
本実施例において、消化後の戻り砂石粉中の水酸化カルシウムを先に分離回収して、純炭酸ソーダの生産に用いることができる。
【0033】
実施例5
アンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法であって、下記のステップを含む:
ステップ1、まずは、戻り砂石を破砕し研磨して、戻り砂石粉を得て、
ステップ2、焼成した酸化カルシウムを消化させるように、前記戻り砂石粉と、苛性スラッジ及び水とを混合して、水中に0.5日間浸して、そこでは、各材料の質量比として、消化後の戻り砂石粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は2:8であり、水の質量は消化後の戻り砂石粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の8倍であって、
ステップ3、加圧濾過処理を行って、塩素イオン含有量が、混合物中の固体の合計質量の0.28%である脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得した。
【0034】
本実施例において、フライアッシュ、石灰石粉、炉スラグ粉、鉱スラグ粉、鉄鋼スラグ粉、粉末フライのうちの1種又は1種以上で、前記戻り砂石粉の50%以下を替えることができる。
【0035】
実施例6
ステップ1、まずは、戻り砂石を破砕し研磨して、戻り砂石粉を得て、
ステップ2、焼成した酸化カルシウムを消化させるように、前記戻り砂石粉と、苛性スラッジ及び水とを混合して、水中に3日間浸して、そこでは、各材料の質量比として、消化後の戻り砂石粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は3:7であり、水の質量は消化後の戻り砂石粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の7倍であって、
ステップ3、加圧濾過処理を行って、塩素イオン含有量が、混合物中の固体の合計質量の0.08%である脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得した。
【0036】
本実施例において、フライアッシュ、石灰石粉、炉スラグ粉、鉱スラグ粉、鉄鋼スラグ粉、粉末フライのうちの1種又は1種以上で、前記戻り砂石粉の50%以下を替えることができる。
【0037】
実施例7
脱塩素苛性スラッジ混合物をセメントの混和材料として用いた。脱塩素苛性スラッジから、脱塩素苛性スラッジに対する含水率250%のサスペンションを配合して使用した。脱塩素苛性スラッジで10%(ドライベース)のセメントを替えて、水とゲルの比率を変化させない場合、セメントの強度を保ったとともに、構造体における鋼材腐食を引き起こすことは無かった。
【0038】
実施例8
脱塩素苛性スラッジ混合物を乾燥し破砕して、そして研削加工を行って、得られた粉末状の脱塩素苛性スラッジ混合物をセメントの混和材料として用いた。そこでは、前記粉末状の脱塩素苛性スラッジ混合物の粒子径は、80μmのメッシュを残すが5%未満であり、その用量は30%であって、鉱スラグ粉の用量は22%であって、セメントクリンカーの用量は45%であって、石膏の用量は3%であった。セメントの性能は、建築セメント12.5級の要件を満たし、比較的高い保水性を有し、保水率は96.5%であった。
【0039】
実施例9
脱塩素苛性スラッジ混合物を乾燥し破砕して、そして研削加工を行って、得られた粉末状の脱塩素苛性スラッジ混合物を粒子径によりグレーディングして、粒子径3μm未満の粉末状の脱塩素苛性スラッジ混合物をゴム充填剤として用いて、粒子径3μm以上の粉末状の脱塩素苛性スラッジ混合物を排煙脱硫剤として用いた。脱塩素苛性スラッジ混合物の多孔性を利用して、ゴムの機械的機能と排煙脱硫剤の効率を上げることができた。排煙脱硫剤として使用される場合、従来に使用された原料である石灰岩粉末を替えることができ、省エネ且つ環境保護の効果を有する。
【0040】
実施例10
脱塩素苛性スラッジ混合物をエンジニアリングソイルとして使用する場合、直接土塁に用いられ、そして、その塩素イオンの含有量が低いため、環境に被害を引き起こすことがなかった。
【0041】
上記実施例は、本発明を実現するための最も有効な実施態様であり、本発明の実施態様は、上記実施例に限られるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での様々な変更、修正、置換、組み合わせ、簡易化は、等価の置き換えと理解されるべきであり、本発明の範囲に含まれることとする。
【0042】
(付記)
(付記1)
ステップ1、戻り砂石を破砕し研磨して、戻り砂石粉を得ることと、
ステップ2、焼成した酸化カルシウムを消化させるように、前記戻り砂石粉を水中に0.5から14日間浸し、そして、消化後の戻り砂石粉と、苛性スラッジ及び水とを混合し、そこでは、各材料の質量比として、消化後の戻り砂石粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は2:8乃至5:5であり、水の質量は消化後の戻り砂石粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の1.5乃至8倍であること、
或いは、
焼成した酸化カルシウムを消化させるように、前記戻り砂石粉と、苛性スラッジ及び水とを混合し、水中に0.5から14日間浸し、そこでは、各材料の質量比として、消化後の戻り砂石粉と苛性スラッジとの乾燥質量比は2:8乃至5:5であり、水の質量は消化後の戻り砂石粉及び苛性スラッジの合計乾燥質量の1.5乃至8倍であることと、
ステップ3、加圧濾過処理を行い、塩素イオン含有量が、混合物中の固体の合計質量の0.30%未満である脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得することと、を含むことを特徴とする、
アンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法。
【0043】
(付記2)
前記ステップ2において、前記戻り砂石粉を浸しながら、断続的に攪拌することを特徴とする、付記1に記載のアンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法。
【0044】
(付記3)
前記ステップ2において、前記戻り砂石粉の50%以下を、フライアッシュ、石灰石粉、炉スラグ粉、鉱スラグ粉、鉄鋼スラグ粉、粉末フライのうちの1種又は1種以上で替えることを特徴とする、付記1又は2に記載のアンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法。
【0045】
(付記4)
前記ステップ2の第1の態様は、更に、消化後の戻り砂石粉中の水酸化カルシウムを先に分離回収して、純炭酸ソーダの生産に用いるステップを含むことを特徴とする、付記1に記載のアンモニアソーダ法による苛性スラッジから脱塩素苛性スラッジ混合物を調製する方法。
【0046】
(付記5)
付記1乃至4の何れか1つに記載の方法によって調製される脱塩素苛性スラッジ混合物を、セメントの混和材料、コンクリート及びモルタルの鉱物混和材料、エンジニアリングソイル、充填剤、排煙脱硫剤、土壌処理剤、吸着剤並びに担体として利用する応用方法。
【0047】
(付記6)
前記脱塩素苛性スラッジ混合物を、セメントの混和材料、コンクリート及びモルタルの鉱物混和材料、エンジニアリングソイル、充填剤、排煙脱硫剤、土壌処理剤、吸着剤並びに担体として利用する時に、まず乾燥し破砕して、そして研削加工を行い、粉末状の脱塩素苛性スラッジ混合物を獲得することを特徴とする、付記5に記載の応用方法。
【0048】
(付記7)
前記脱塩素苛性スラッジ混合物を、セメントの混和材料、コンクリート及びモルタルの鉱物混和材料として利用する時に、前記脱塩素苛性スラッジ混合物が30%未満又は30%のゲル材料に替えられることを特徴とする、付記5に記載の応用方法。