(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一移動手段(21)が、前記プロテーゼ(12)の前記前端(19)を前記開放端(18)と同一平面上にするように、前記管状要素(7)内において経路に沿って前記圧力要素(16)を前進させるようにされ、
前記第二移動手段(25)が、その後前記プロテーゼ(12)の長手方向サイズ(DL)に等しい量だけ前記管状要素(7)を逆行移動させるようにされる、
請求項1に記載の装置(1)。
前記カートリッジ(5)が、前記アプリケータピストル(2)に前記カートリッジ(5)を取り付ける前に、前記着座部(31)内に前記プロテーゼ(12)を維持するために、前記通路内に取外し可能に位置決めされたロック要素(15)を備える、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【背景技術】
【0003】
本発明による装置は、例えば、大便失禁患者を治療するために相対断面積を縮小することが望ましい場合に、肛門管付近にプロテーゼを移植するために使用できる。
【0004】
または、本発明による装置は、尿管の境界を定める組織にプロテーゼを移植するために使用できる。この移植による狭小化は、尿失禁患者の治療に有益である。
【0005】
さらに、本発明による装置は、逆流性食道炎患者を治療する必要がある場合に、食道の粘膜にプロテーゼを移植するために使用できる。
【0006】
本発明による装置を用いて移植されるプロテーゼは、Hyexpanすなわち大量の液体を吸収しそれによって膨張する能力を持つ材料など、既知のポリマー材料から得られる。この種のプロテーゼが患者体内の導管の境界を定める組織に移植されると、プロテーゼを構成する材料は、体液を吸収してプロテーゼ自体を膨張させる。このようにして、導管が狭小化され、その自由断面が減少する。従って、導管を通過する物質、液体または固体の通過が遮断される。
【0007】
ある特許文献には、患者の胃食道接合部付近にプロテーゼを移植する装置について記載されている(例えば、特許文献1参照。)。この装置は、中空部材を備え、その内部に、患者体内に移植される1つまたはそれ以上のプロテーゼを受け入れることができる通路が設置される。また、装置は、中空部材内に配置されて中空部材に対して移動可能なプッシャ要素を備え、プロテーゼを中空部材の遠位端から外へ出して、患者体内の所望の部位にプロテーゼを位置決めする。
【0008】
プロテーゼを中空部材の遠位端から外へ出すために、プッシャ要素を遠位端へ向かって押すことができる。または、プッシャ要素をプロテーゼに当接させたまま、操作者へ向かって中空部材を後退させることも可能である。
【0009】
特許文献1に記載の装置の第一の欠点は、この装置が、特に中空部材がプッシャ要素に対して引っ込められるときに、患者体内におけるプロテーゼの正確な位置決めを保証しないことである。実際、中空部材は充分に引っ込められない可能性があり、その場合、中空部材は、中にプロテーゼの一部がある状態のまま停止する。このような場合、操作者が患者の体から装置を離すと、プロテーゼは中空部材によって駆動されてその位置が望ましくなく変更される傾向がある。
【0010】
また、反対の状況が生じる可能性、すなわち、中空部材がプッシャ要素に対して過剰に引っ込められる可能性もある。このような状況は、特に中空部材内に複数のプロテーゼがある場合には問題である。プロテーゼは、順次患者の体内に挿入するように前後に配列される。実際、中空部材が後に戻りすぎると、要求されるプロテーゼだけでなく後続のプロテーゼの一部も中空部材から出てしまう。後続のプロテーゼは、体液に触れると、膨張して、中空部材内に完全に再挿入できなくなる。
【0011】
特許文献1に記載の装置の第二の欠点は、この装置が、患者体内への装置の挿入の準備段階においてプロテーゼを隔離しないことである。
【0012】
人体組織内に中空部材を挿入し、位置決めする際、血液、有機液体及び組織片が、プロテーゼに触れるまで中空部材内へ入る可能性がある。
【0013】
血液及び有機液体がプロテーゼに触れると、プロテーゼが中空部材から外へ出る前にプロテーゼが膨張する可能性があり、その結果、中空部材内での摺動が困難になる。
【0014】
場合によっては、プロテーゼの膨張は、中空部材の閉塞及び中空部材内でのプロテーゼのポインティング(pointing)の現象を生じる可能性がある。
【0015】
上記の問題を回避するために、中空部材の挿入及び人体組織における中空部材の位置決めを予め実行し、その後中空部材にプロテーゼを挿入できる。
【0016】
この方法は、細菌学的立場から見て、プロテーゼの汚染の危険を免れない。
【0017】
さらに、プロテーゼを上記のように順次装填することによって、手術が困難にかつ不正確になり、手術時間が長くなって、手術のステップが複雑化する。
【0018】
特許文献1に記載の装置の別の欠点は、身体組織内にプロテーゼ挿入用通路を生成するために、身体組織を貫通する終端部の構成である。
【0019】
終端部の中空構成は、血液、有機液体及び組織片から管状体内部を隔離できない。
【0020】
さらに、中空内部構成及び非対称形外部構成は、身体組織内部への中空部材の挿入を容易にしない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、身体組織、特に患者身体の導管の境界を定める組織、例えば肛門管、尿管または食道にプロテーゼを移植する装置1を示す。
【0031】
プロテーゼは、特に
図8に示され、図において参照番号12で示す。プロテーゼ12は、細長い形状例えば円筒形または角柱形を持つことができ、いわゆるHyexpan材料から得られる。
【0032】
前記プロテーゼ12は、軸線Y−Yに沿った延長方向を持つ細長い形状を持つことが好ましい。
【0033】
前記プロテーゼ12は、面積Tを持つ断面を有し、円筒形であることが好ましい。
【0034】
プロテーゼ12は、装置1から最初に外へ出る前端19と、装置1から最後に外へ出る後端20とを有する。前端19と後端20は、相互間隔DLの位置にあり、この距離は、プロテーゼ12の長手方向のサイズを形成する。
【0035】
装置1は、アプリケータピストル2を備える。その境界は、明確化のために
図1において点線で示した。アプリケータピストル2は、操作者が握るように設計された握り部3と、作動部4とを備える。作動部の中に、プロテーゼ12の移動を可能にするメカニズムが収容される。握り部3は、作動部4の1つの面から、作動部4が延びる主方向に対して横向きに突出する。
【0036】
装置1は、アプリケータピストル2の前端部6に取り付けられるカートリッジ5(
図2においてより良く分かる)を備える。カートリッジ5は、使用時に前端部6から突出する管状要素7を備える。
【0037】
前記管状要素7は、その内部に通路Zを形成する。この通路は、第一軸線X−Xに沿った延長方向、及び面積Aの断面を有する。この通路の中をプロテーゼ12は摺動できる。
【0038】
管状要素7は開放端18を備え、これを通過して、プロテーゼ12は外へ出られる。開放端18は、アプリケータピストル2から離れた位置に配置された管状要素7の端である。
【0039】
また、カートリッジ5は、前端部6に形成された穴9の中へ導入される支持体8を備える。管状要素7は支持体8の第一端から突出する。
【0040】
前記支持体8は、その内部に室Cを形成する。室は、通路Zと液体の流通が可能であり、室C内で移動可能なプロテーゼ12を収容する着座部31を備える。これについては下でさらに詳しく説明する。
【0041】
支持体8は、カートリッジ5をアプリケータピストル2に固定できるように設計された固定手段10を備えることができる。固定手段10は、支持体8の第2端から突出するトングを備えることができ、トングは、
図3に示すように、アプリケータピストル2の層状要素11と係合、例えばスナップ式に係合する。
【0042】
管状要素7は、下に詳しく説明するように、支持体8内において、管状要素7の延長軸線X−Xに対して実質的に平行方向へ摺動可能である。これについては、下で詳しく説明する。
【0043】
図3に示すように、装置1は、プロテーゼ12が挿入されなくてはならない身体組織へ向かってプロテーゼ12を押圧するために、プロテーゼ12の後端に作用する圧力要素16を備える。円筒形体によって形成された前記圧力要素16は、管状要素の延長軸線X−Xに平行でこれと一致する軸線K−Kに沿った延長方向を有する。
【0044】
圧力要素16は、管状要素7内で摺動可能である。
【0045】
言い換えると、圧力要素16は、プロテーゼ12を移動させるために通路Z内で移動可能である。
【0046】
第一実施形態において、装置1は、組立て済みカートリッジ5を備えることができる。
【0047】
この場合、圧力要素16は、管状体7内に挿入される(
図4)。
【0048】
第二実施形態において、装置1は、分解した状態のカートリッジ5を備えることができる。
【0049】
この場合、まず、カートリッジ5がアプリケータピストル2に取り付けられたとき圧力要素16が管状要素7と整列するように、圧力要素16をアプリケータピストル2の中に収容できる(
図3)。
【0050】
図4に示すように、圧力要素16は、針のような形状を持つことができ、身体組織を刺すのに適する尖端17を備えることができる。
【0051】
前記尖端17は、血液及び身体組織が管状体7内部に入ってプロテーゼ12に触れるのを防ぐために閉鎖されることが好ましい。
【0052】
前記尖端17は、圧力要素16の延長軸線K−Kに対して軸線対称の延長部を有する。
【0053】
言い換えると、先端部17は、圧力要素16の延長軸線K−Kと一致する対称軸線を持つ円錐台形(frustoconical shape)を持つことが好ましい。
【0054】
さらに、管状要素7の開放端18は、圧力要素16の先端部17の頂点へ向かって先細り状の構成を持つ。
【0055】
尖端17及び開放端18の構成は、管状体7を組織内へ挿入するとき、身体組織の断片が管状体7内へ入るのを防止する。
【0056】
このようにして、管状要素7内でプロテーゼ12を摺動するとき、組織断片はプロテーゼ12の外面と管状要素7の内面との間の空間を占めない。
【0057】
従って、管状要素内において、プロテーゼ12は、ポインティングすることなく、低出力動力付き手段を用いて摺動する。
【0058】
また、支持体8は、第二実施形態において、
図3及び4に示すように、例えば円筒形のロック要素15を備えることができる。可能性として、円筒形内部は中空である。ロック要素15は、管状要素7内に摺動可能に収容されて、圧力要素16と整列する。特に、ロック要素15を、圧力要素16によって開放端18へ向かって押圧して、装置1から取り外せる。
【0059】
より明確に言うと、ロック要素15は、圧力要素16に対面する少なくとも1つの中空終端部15aを有し、圧力要素16の移動時に先端17がロック要素15と係合して、これを管状要素7の外へ押し出せるようにする。
【0060】
言い換えると、圧力要素16がロック要素15に衝突すると、その尖端17は、中空終端部15a内に挿入されて、圧力要素16とロック要素15との間の係合を容易にする。
【0061】
ロック要素15の機能については、下でさらに説明する。
【0062】
図3に示すように、支持体8内において、患者体内に移植する準備が整っているプロテーゼ12を収容できる着座部31が得られる。
【0063】
前記着座部31は、プロテーゼ12の延長軸線Y−Yと一致する軸線H−Hに沿った延長方向及び面積Vの断面を有する。
【0064】
プッシャ要素13は、カートリッジ5内で着座部31に作用する。
【0065】
前記プッシャ要素13は、室C内で着座部31の第一位置から第二位置への移動を容易にする。
【0066】
より明確に言うと、前記プッシャ要素13は、第一位置から第二位置への着座部31の押圧を生じる弾性手段14によって形成される。
【0067】
前記弾性手段14は、通路Zの第一軸線X−Xに入射する押圧方向Sに沿った着座部31の押圧を容易にする。
【0068】
第一位置において、着座部31は通路Zに対面しない。
【0069】
図9aに示すように、前記第一位置において、着座部31の断面の面積Vは、管状要素7の断面の面積Aの外にある。
【0070】
言い換えると、着座部31の面積Vは、管状要素の面積Aと交差しない。
【0071】
この時点で、着座部12の断面の面積Tは、管状要素7の断面の面積Aの外にある。
【0072】
プロテーゼ12が細長い形状を持ち、適切に対応する形状の着座部31の中に収容される場合、前記第一位置における通路Zの軸線X−Xは、着座部31の軸線H−Hと整列しない。
【0073】
さらに詳細に言うと、着座部31の軸線H−H、ひいてはプロテーゼ12の軸線Y−Yは、通路Zの第一軸線X−Xに平行であるが、これと一致しない。
【0074】
通路Zに対する、着座部31の軸線H−H、ひいてはプロテーゼ12の配列は、通路Zと着座部31との間の液体の流通を防止できるようにする。
【0075】
これによって、組織内への管状要素7の挿入処置時に有機液体が通路Z内へ流入して、着座部に到達するのを、ひいてはプロテーゼ12に触れるのを、防止する。
【0076】
第二位置において、着座部31は通路Zと流通する。
【0077】
図9cに示すように、着座部31の断面の面積Vは、少なくとも部分的に管状要素7の断面の面積Aと交差する。この時点で、通路Zと着座部31の流通は容易になり、圧力要素16の命令により、通路Z内へのプロテーゼ12の挿入を容易にする。
【0078】
着座部31の断面の面積Vが管状要素7の断面の面積Aよりも大きい場合の着座部31の第二位置を
図9cに示す。
【0079】
着座部31の断面の面積Vが管状要素7の断面の面積よりも小さいか実質的に等しい場合の着座部31の第二位置を
図9bに示す。
【0080】
いずれの場合にも、プロテーゼ12の断面の面積Tが管状要素7の面積Aの中に完全に含まれたとき、第二位置に完全に到達する。
【0081】
適切な対応する形状の着座部31に収容された細長いプロテーゼ12の場合、前記第二位置において、通路Zの第一軸線X−Xは着座部31の軸線H−Hと整列する。
【0082】
さらに詳細に言うと、着座部の軸線H−H、ひいてはプロテーゼ12の軸線Y−Yは、通路Zの軸線X−Xに平行であり、かつこれに一致する。
【0083】
通路Zに対するプロテーゼ12、ひいては着座部31の軸線の配列によって、通路と着座部との間の液体の流通が可能になる。
【0084】
これにより、下に詳細に説明する圧力要素16のその後の作用によって、通路Z内へのプロテーゼの挿入及びその後の通路Zからの排出が容易になる。
【0085】
以下において、装置1の2つの実施形態について説明する。2つの実施形態は、いくつか共通の要素を持つので、共通要素については実施形態の論証において一度のみ説明する。
【0086】
第一実施形態において、着座部31は、圧力要素16の上方に配置される。圧力要素は少なくとも部分的に室Cの中に配置できる。
【0087】
より明確には、第一実施形態において、圧力要素16は、アプリケータピストルが機能を開始する前は、休息位置(
図4)に配置される。
【0088】
前記休息位置において、圧力要素16は、少なくとも部分的に室C内にいることができる。
【0089】
前記休息位置において、プッシャ要素13は、着座部31を圧力要素16に押し付け、それによって着座部を第一位置に維持する。
【0090】
前記休息位置において、圧力要素16は、着座部31上へのプッシャ要素13からの方向Sに沿った、容易にされた押圧の障害となる。
【0091】
図4に示すように、圧力要素16は、その尖端17が管状要素7から距離D1だけ外に出る。
【0092】
この場合、圧力要素16は、室C内部に完全に挿入され、これを横切り、管状要素7の通路Zに到達して、通路を完全に横切る。
【0093】
また、装置1は、管状要素7内部で軸線X−Xに平行に圧力要素16を移動させる第一移動手段21を含む。
【0094】
両方の実施形態に共通の第一移動手段21は、ウォームスクリュー23を回転させる第一モータ22(例えば電動式)を備えることができる。第一ウォームスクリュー23は、キャリッジ24と係合し、キャリッジに圧力要素16が取り付けられる。
【0095】
前記圧力要素16は、第一実施形態において、第一移動手段の作用を受けて、休息位置から後退位置へ及び後退位置から装填位置へ移動可能である。
【0096】
前記後退位置において、圧力要素16は、室Cから取り除かれ、プッシャ要素が、方向Sに沿って着座部31を第二位置に移動できるようにする。
【0097】
第一移動手段21は、圧力要素16の休息位置から後退位置(後者の位置を
図6に示す)への移動を容易にする。
【0098】
言い換えると、第一移動手段21は、圧力要素16を管状体7及び室Cの外へ逆行移動させて、着座部31と通路Zとの間に液体の流通を生じさせ、かつ、プッシャ要素13が着座部31を第二位置へ押せるようにして、プロテーゼ12と通路Zの整列を容易にするようにプログラムされる。
【0099】
装填位置において、圧力要素16は、室Cを横切って、管状要素7すなわち通路Z内へプロテーゼ12を押し込もうとする(
図6にこの位置の最終時点を示す)。
【0100】
圧力要素16の休息位置から後退位置への及び後退位置から装填位置への移動は、移動手段21の作用によって生じる。これについては下に説明する。
【0101】
第二実施形態において、圧力要素16は、当初アプリケータピストル2内に収容され、カートリッジ5の管状要素7内には閉鎖要素15が存在する。
【0102】
着座部31は、支持体8の中に形成された通路35の上に位置決めされ、支持体の中にロック要素15が配置される。特に、ロック要素15は、アプリケータピストル2が機能を開始する前の初期段階において、上記通路35内に配置される。
【0103】
特に、ロック要素15は、管状要素7内に位置し、少なくとも部分的に室C内部を横切って、プッシャ手段13の作用を妨げる。
【0104】
この時点で、着座部31は第一位置に拘束され、圧力要素16はトリガー位置に置かれる。この位置において、圧力要素は通路Z及び室Cから取り除かれる(
図3)。
【0105】
この実施形態においても、圧力要素16の移動は、第一移動手段21に委ねられる。
【0106】
前記移動手段21は、トリガー位置から前進位置へ、前進位置から後退位置へ、及び後退位置から装填位置への圧力要素16の移動を容易にする。
【0107】
圧力要素16は、管状体7内において第一移動手段21の作用を受けてトリガー位置から前進位置へ摺動して、ロック要素15を押し出す。
【0108】
この時点で、圧力要素16は、閉鎖要素15を管状要素7の外へ押し出し、上述の通路35は、同時にかつ徐々に圧力要素16によって占められる。
【0109】
このようにして、プッシャ要素13は、引き続き抵抗を受けるが、この時点では、以前閉鎖要素15が占めていた位置を占めている圧力要素16の抵抗を受け、着座部31は、依然としてその第一位置にある。
【0110】
圧力要素16が前進位置に到達したとき(
図4)、圧力要素は、設定された距離D1だけ管状要素から外へ出るまで、室C全体及び管状要素7の通路Zを横切っている。
【0111】
添付図面から分かるように、
図4に示す装置1の第一実施形態の休息位置は、装置の第二実施形態の前進位置に一致する。
【0112】
管状要素7からの閉鎖要素15の自動的排出及びその後の圧力要素16の尖端17を介する身体組織への貫入を可能にするように、通路Zへの圧力要素16の貫入部は、尖端17が管状要素7から出られるようなサイズである。
【0113】
圧力要素16は、前進位置に到達すると、プッシャ要素13の作用を妨げる。
【0114】
その後、第一実施形態においてすでに述べたように、圧力要素16は、移動手段21の作用を受けて、前進位置から後退位置へ及び後退位置からトリガー位置へ移動する。
【0115】
後退位置においては、どの要素も室C内に存在せず、ロック要素15(事前に排出されている)も圧力要素16(後退位置にある)も存在しない。すなわち、着座部31の下に配置された通路35内で、プロテーゼ12は、プッシャ要素13の作用を受けて第一位置から第二位置へ移動できる。
【0116】
第二位置に到達したら、プロテーゼ12、及び特に着座部31の軸線H−Hは、管状体7の軸線X−Xと一致する。
【0117】
このような位置において、圧力要素16は、第一移動手段21の作用を受けて装填位置に到達して、プロテーゼ12が管状要素7から押し出されるまで通路Z内へのプロテーゼ12の挿入を続行する。
【0118】
2つの実施形態に共通の第二移動手段25も設置され、圧力要素16に対して管状要素7を移動させる。第二移動手段25は、第二ウォームスクリュー27を回転させる第二モータ26(例えば電動式)を備えることができる。カートリッジ5を支持する摺動体28は第二モータ26と係合する。
【0119】
第一モータ22及び第二モータ26は、アプリケータピストル2の作動部4後部に配置された支持フランジ29に固定される。
【0120】
第一ウォームスクリュー23及び第二ウォームスクリュー26は、相互に平行であり、作動部4の主サイズに沿って延びることが好ましい。第一ウォームスクリュー23及び第二ウォームスクリュー26は、圧力要素16がアプリケータピストル2内に受け入れられたとき、圧力要素16の両側に配置される。
【0121】
また、装置1は、第一移動手段21及び第二移動手段25を制御する制御装置30を備える。図示する例において、制御装置30は、アプリケータピストル2の握り部3内に収容される。制御装置30は、第一移動手段21及び第二移動手段25の、ひいては圧力要素16及び管状要素7の行程を正確にプログラムできるようにする。
【0122】
第一移動手段21及び第二移動手段を起動するために、両方の実施形態に共通の起動手段を設置できる。起動手段は、アプリケータピストル4の握り部3に配置されたボタン32を備えることができる。1つの例において、起動手段は、
図8に示すように作動部4の後部に配置されたリアボタン34を備えることができる。
【0123】
また、装置1は、装置1の状態を操作者に知らせる、両方の実施形態に共通の信号手段33を備えることができる。信号手段33は、例えば、装置1が特定の操作を実行する準備が整っていることまたは装置が現在作動中なので、操作を実行する前に操作者が数秒間待たなければならないことを、操作者に知らせることができる。
【0124】
信号手段33は、作動部4の後部に配置できる。信号手段33は、光学式とすることができ、1つまたはそれ以上の彩色LEDを備えることができる。
【0125】
機能時に、操作者は、操作を実行しようとする装置1に応じて予備操作を行わなければならない。
【0126】
第一実施形態を利用することによって得られる第一装置1は、すでに組み立てられているアプリケータピストル2及びカートリッジを備える。
【0127】
第一実施形態に係る装置1は、
図4に示す初期作動位置に到達している。この位置において、圧力要素16は休息位置にある。
【0128】
このようにして、管状体7の通路Zとカートリッジ5の室Cは圧力要素16によって相互に隔離されるので、閉鎖体15の採用を回避できる。結果として、圧力要素は、少なくとも部分的に室Cに挿入されるので、プッシャ要素13がプロテーゼ12の着座部31を第一位置から第二位置へ運ぶのを防止する。
【0129】
圧力要素16は、休息位置にあり、この位置において、その尖端17は管状要素7から外へ出る。
【0130】
この位置において、圧力要素16は支持体8の室C内にもあり、プッシャ要素13を妨害して、着座部31を第一位置に維持する。
【0131】
休息位置において、第一位置にある着座部31は、弾性手段14によって圧力要素16に押し付けられ、圧力要素は、第一位置から第二位置への着座部31の移動Sを阻止する。
【0132】
この時点で、通路Zと室Cとの間の液体の流通はない。すなわち、プロテーゼ12は隔離される。
【0133】
このステップにおいて、装置1、特に、管状要素7は、身体組織に挿入される準備が整っている。
【0134】
尖端17の対称形構成は、身体組織の開孔を、ひいては管状要素7の挿入を容易にする。
【0135】
管状要素7の挿入は、テフロン(登録商標)またはセラミック材料でコーティングされた外部の表面処理によってさらに容易になる。
【0136】
このようなタイプのコーティングは、管状要素7外面と組織との間の摩擦を小さくするので、管状要素7外面が組織に付着するのを防止する。
【0137】
プロテーゼ放出の正確な位置に到達したら、操作者は、例えばボタン32を押して、起動手段を起動する。
【0138】
制御装置30は、既知の電子信号装置を使用して、装置1が第一実施形態を利用すること、すなわち装置が製造者によってカートリッジとアプリケータピストルがすでに組み立てられているタイプのものであることを自動的に認識する。
【0139】
制御装置30は、第一モータ22を駆動し、第一モータは、これに応じてキャリッジ24が作動部4内において逆行移動する方向へ第一ウォームスクリュー23を回転させる。従って、圧力要素16は後退方向F1へ移動する。
【0140】
第一移動手段21は、圧力要素16を逆行移動させるようにプログラムされる。
【0141】
このようにして、圧力要素16は、まず管状要素7内部から出て、その後室Cから出るまで逆行移動する。
【0142】
前記作動位置は、後退位置に到達すると形成される。
【0143】
この位置において、着座部31及び特にプロテーゼ12は、移動方向Sに沿って移動して、第一位置から第二位置へ移動する。
【0144】
上記の移動は、障害物がなくなったプッシャ要素13の作用を受けて生じる。
【0145】
この時点で、プロテーゼ12は、その軸線Y−Yが室Cの軸線X−Xと整列する位置にある。この位置を
図5に示す。
【0146】
圧力要素16が後退位置に到達した後、制御装置30は、再び第一移動手段21を起動して、圧力要素16が装填位置に到達するように圧力要素を前進方向Fへ前進させる。
【0147】
圧力要素16が装填位置に到達した後の移動手段21及び22の駆動については、装置1の第二実施形態において説明する。
【0148】
第二実施形態を採用することによって得られる第二装置1は、当初は分解され、それぞれが滅菌状態になるように別個のケーシングに包装されたアプリケータピストル2及びカートリッジ5を備える。
【0149】
圧力要素16は、通路Z及び室Cから完全に取り除かれたアプリケータピストル2内に配置される。
【0150】
従って、前記圧力要素16は、トリガー位置に置かれる。
【0151】
カートリッジ5は、その内部に少なくとも部分的に室Cを横切るロック要素15を収容し、プッシャ要素13を妨害して、着座部を第一位置に維持する。
【0152】
支持体8を穴9内に配置し、カートリッジ5を作動部4内部へ向かって押して、カートリッジ5を、アプリケータピストル2に取り付ける。このようにして、カートリッジ5に結合された固定手段10は、アプリケータピストル2に形成された対応する固定手段すなわち層状要素11と係合して、カートリッジ5は、アプリケータピストル2にロックされる。
【0153】
このようにして、
図3に示す初期作動位置に到達する。この位置において、圧力要素16は、まだ、カートリッジ5後方のトリガー位置で、アプリケータピストル2内に収容されている。ロック要素15は、支持体8内、室C内に及び部分的に管状要素7内、通路Z内に配置される。ロック要素15は、着座部31下方に配置された通路Zを閉鎖して、それにより通路Zと着座部31との間の液体流通を提供し、弾性手段14の抵抗に打ち勝つ。言い換えると、ロック要素15は、プッシャ要素13の移動を妨げ、プッシャ要素は第一位置のままである。
【0154】
この時点で、着座部31は管状要素7の通路Zによって隔離される。
【0155】
操作者は、ここで、例えば後部ボタン34を押し、第一信号要素例えば信号手段33の赤色LEDが点灯するまで押したままでいることによって、起動手段を起動する。制御装置30は、このようにして、カートリッジ5がアプリケータピストル2に正確に配置されたことを知らされる。
【0156】
制御装置30は、第一移動手段21を起動して、管状要素7内で圧力要素16を前進させる。特に、制御装置30は、第一モータ22に作用し、第一モータはウォームスクリュー23を回転させる。ウォームスクリューは、キャリッジ24をアプリケータピストル2の前端部6へ向かって移動させる。
【0157】
キャリッジ24に対して固定された圧力要素16は、前進方向Fに沿って前進し、管状要素7内へ貫入して、トリガー位置から前進位置へ移動する。
【0158】
この位置で、圧力要素16は、ロック要素15と接触する。
【0159】
圧力要素16は、ロック要素15を押し、その尖端17は中空終端部15a内に挿入され、圧力要素16とのロック要素15の係合を容易にする。
【0160】
尖端17と終端部15aとの間の結合は、ポインティングすることなく管状要素内におけるロック要素の移動を容易にする。
【0161】
圧力要素16のトリガー位置から前進位置への移動時に、圧力要素16は、管状要素7内を徐々に前進し続け、圧力要素16は、ロック要素15が完全に開放端18を通過して出るまで、前進方向Fに沿ってロック要素15を押圧する。
【0162】
第一移動手段21は、制御された行程に沿って圧力要素16を移動させるようにプログラムされる。
【0163】
実際、第一移動手段21は、圧力要素16の尖端17があらかじめ決められた距離D1だけ管状要素7の外に突出すると停止するようにプログラムされる。このようにして、
図4に示す前進位置が完成する。この位置において、装置1は患者の身体と相互作用する準備が整う。
【0164】
操作者は、その後、所望の位置において、プロテーゼ12を挿入しなくてはならない身体組織を貫通できる。このようにして、まず管状要素7から出た圧力要素16の部分を身体組織に導入し、その後、引き続きピストル2を患者へ向かって圧迫することによって、必要な長さの管状要素7の部分を導入できる。
【0165】
圧力要素16の尖端17は、この段階で管状要素7から出るので、圧力要素16が身体組織を貫通することが分かる。圧力要素は、針のように作用する。
【0166】
さらに、尖端17の軸線対称の構成は、組織の改良された開孔を容易にする。
【0167】
管状要素7の外面にテフロン(登録商標)またはセラミック材で施されたコーティングは、可能な限り摩擦を減少して、身体組織への管状要素自体の挿入を容易にすることに貢献する。
【0168】
図4に示す前進位置において、プロテーゼ12は、まだ、着座部31内に収容されており、着座部は通路Zと液体の流通が可能ではない。実際、前進位置のとき管状要素7内にある圧力要素16は、ロック要素15に取って代わってプロテーゼ12と当接する。従って、圧力要素16は、弾性手段14によって下向きに与えられる力に打ち勝って、プロテーゼ12を上向きに押し続ける。
【0169】
圧力要素16が身体組織を突き刺して、プロテーゼを移植すべき位置に管状要素7が到達したら、操作者は、第一移動手段21を再び起動するために起動手段を操作できる。このために、操作者は、例えば、アプリケータピストル2の握り部3に設置されたボタン32を押すことができる。
【0170】
制御装置30は、ロック要素15を押し出す際に第一モータ22を駆動した方向と逆の回転方向へ第一モータ22を駆動する。
【0171】
第一モータ22は、これに応じて、キャリッジ24が作動部4内で逆行移動する方向へ第一ウォームスクリュー23を回転させる。従って、操作者がアプリケータピストル2を患者身体に当接させて、管状要素7が患者組織内に留まっている間に、圧力要素16は、前進方向Fと反対の後退方向F1へ移動する。このようにして、圧力要素16は、まず管状要素7内へ戻り、その後、後退位置に到達するまで作動部4内で逆行移動する。後退位置において、着座部31下方に配置された通路Zはフリー状態となる。この位置を
図5に示す。
【0172】
圧力要素16が後退位置にあるとき、プロテーゼ12は、プッシャ要素14によって力が与えられるので、着座部31から管状要素7と整列した通路内へ移動する。前記の力は、もはや圧力要素16の抵抗を受けない。プロテーゼ12は、この時点で、圧力要素16と整列する。特に、着座部31の軸線H−Hは、通路Zの軸線X−Xと整列する。
【0173】
圧力要素16が後退位置に到達した後、制御装置30は、再び、第一移動手段21を起動させて、圧力要素16が装填位置に到達するように圧力要素を前進方向Fへ前進させる。このようにして、圧力要素の尖端17は、プロテーゼ12の後端20に当接し、圧力要素16が前進方向Fに沿って徐々に移動するにつれて、プロテーゼ12は、管状要素7の開放端18へ向かって押される。第一移動手段21は、プロテーゼ12の前端が管状要素7の開放端18から設定された距離Dに位置するまで圧力要素16を前進させるようにプログラムされる。プロテーゼ12はまだ管状要素内に収容されている。距離Dは、例えば
図6に示すように実質的にゼロでもよく、この場合、プロテーゼ12の前端19は、実質的に管状要素7の開放端18と同一平面上にある。
【0174】
図示しない別の例において、距離Dはゼロよりも大きくてもよい。この場合、圧力要素16は、プロテーゼ12の前端19がまだ管状要素7内にあるときに停止する。
【0175】
圧力要素16が開放端18から所望の距離にプロテーゼ12を位置決めして、
図6に示す前進位置に到達した後、制御装置30は、第二移動手段26を起動する。具体的には、制御装置30は、第二モータ26に作用し、第二モータは、摺動体28が後退方向F1へ逆行移動するように第二ウォームスクリュー27を回転させる。摺動体28はカートリッジ5に対して固定されるので、カートリッジ5全体は、作動部4内で逆行移動する。従って、管状要素7は、圧力要素16に対して逆行方向F1へ移動する。圧力要素は固定位置に留まる。
【0176】
図7に示す放出位置は、このようにして得られる。この位置において、プロテーゼ12は、圧力要素16は身体組織に挿入された身体組織に放出される。第二移動手段25は、プロテーゼ12の後端20が開放端18から出たら、圧力要素16の後退方向F1への行程を停止するようにプログラムされる。
【0177】
特に、第二移動手段25は、プロテーゼ12の長手方向サイズDLに
図6に示す距離Dを加えた距離に等しい距離だけ、管状要素7を逆行移動させるようにプログラムできる。このようにして、管状要素7は、その開放端18がプロテーゼ12の後端20と同一平面上になると停止する。
【0178】
プロテーゼ12が身体組織の中へ放出された後、特に管状要素7が他のプロテーゼを収容しない場合、第二移動手段25によって、再び管状要素7を前進させて、カートリッジ5を初期位置にすることができる。代わりに、第一移動手段21は、圧力要素16を作動部4内で逆行移動させて、圧力要素16をカートリッジ5から外すことができる。このようにして、
図8に示す最終位置に到達する。操作者は、このとき、アプリケータピストル2からカートリッジ5を取り外せる。
【0179】
第一移動手段21及び第二移動手段25は、圧力要素16及び管状要素7を移動させる順序並びにそれぞれの行程/経路を正確に制御できるようにする。
【0180】
このようにして、
図7に示す放出位置において、管状要素7が圧力要素16に対して過度に少なくまたは多く逆行移動して、プロテーゼ12の部分的放出を生じるのを防止できる。
【0181】
図1〜8に示すカートリッジ5は単一のプロテーゼ12を収容するが、図示しない例において、例えば管状要素16内に順次導入されるように上下に配置された複数のプロテーゼを収容するカートリッジを提供することが可能である。その後、上述のサイクルを数回繰り返すことによって、患者体内にプロテーゼを移植できる。