(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パターン生成部は、前記表示装置の電源投入操作時または電源切断操作時に前記表示回路が表示処理する前記所定のパターンを生成する、請求項1または2に記載の表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回路の短絡等の異常が発生しても、常に大電流が流れるわけではない。このため、一部の回路において短絡が発生しても通常使用範囲内での電流の上昇にとどまる場合、保護回路が動作せず、使用が継続されてしまう。例えば、表示装置として液晶パネルを含む表示回路が使用されている場合に、画素の一部の薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))に何らかの理由により不具合が発生し、不具合を有するTFTを経由して短絡電流が流れたとしても通常の使用範囲の電流上昇であれば、不具合が発生したTFTを含む部分の温度が異常に上昇しても表示装置の動作が継続され、不安全な事態を招きかねない。
【0006】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、保護回路が動作しない電流上昇を伴う異常を検出することが可能な表示装置、テレビジョン受信機および表示装置の異常判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の技術手段は、電源回路と、該電源回路からの電力によって駆動される表示回路を有する表示装置であって、
前記電源回路から前記表示回路へ
供給される供給電流の大きさを測定する電流測定回路と、前記表示回路が表示処理する所定のパターンを生成するパターン生成部と、前記パターン生成部により生成した前記所定のパターンを前記表示回路が表示処理した際に、前記電流測定回路で測定した測定電流値を基準電流値として予め記憶する電流値記憶部と、前記表示回路の異常を判定する判定制御部と、を備え、前記判定制御部は、前記パターン生成部が生成する前記所定のパターンを前記表示回路に表示処理させ前記電流測定回路で測定される測定電流値と前記基準電流値とに基いて、前記表示回路の異常を判定することを特徴とする、表示装置である。
【0008】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記基準電流値は、前記表示装置の製造時における前記測定電流値であることを特徴とする。
【0009】
第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記パターン生成部は、前記表示装置の電源投入操作時または電源切断操作時に前記所定のパターンを生成して前記表示回路に表示させることを特徴とする。
【0010】
第4の技術手段は、第1から第3のいずれかの技術手段において、前記表示回路は、液晶パネルを含むことを特徴とする。
【0011】
第5の技術手段は、第4の技術手段において、前記液晶パネルのソース線に沿って前記液晶パネルを複数の領域に分割し、1部の前記領域の諧調を所定の諧調で表示処理し、他の前記領域を前記所定の諧調とは異なる諧調で表示処理を行い、前記1部の前記領域を順次変更させて表示処理を行った際に、前記電流測定回路で測定される電流値と前記基準電流値とに基づいて、前記液晶パネルの異常を判定することを特徴とする。
第
6の技術手段は、第4
または第5の技術手段において、前記パターン生成部は、前記液晶パネルに光を供給するバックライトが消灯している間に前記所定のパターンを前記液晶パネルに表示させることを特徴とする。
【0012】
第
7の技術手段は、第1から第
6のいずれかの技術手段のいずれかによる表示装置を備える、テレビジョン受信機である。
【0013】
第
8の技術手段は、電源回路と、該電源回路からの電力によって駆動される表示回路を有する表示装置の異常判定方法であって、前記表示装置が、予め所定のパターンを前記表示回路に表示処理させた際に測定された
前記電源回路から前記表示回路へ
供給される供給電流の大きさを基準電流値として記憶するステップと、前記表示装置が、前記所定のパターンを前記表示回路に表示処理させた際に測定された
前記電源回路から前記表示回路へ
供給される供給電流の測定値と前記基準電流値とに基いて前記表示回路の異常を判定する、ことを含む表示装置の異常判定方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、保護回路が動作しない電流上昇を伴う異常を検出することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の表示装置、テレビジョン受信機および表示回路の異常判定方法に係る好適な形態について説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を行なっても実施可能であり、以下の説明に限定されて解釈されることはないものである。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置の一例を示す図である。一実施形態に係る表示装置は、電源回路と、電源回路からの電力によって駆動される表示回路を有する。一例としては、
図1に示すように一実施形態に係る表示装置100は、表示回路101と、電源回路102と、電流測定回路103と、制御回路107と、映像信号入力部110とを備える。
【0018】
表示回路101は、テレビジョン放送の受信映像信号やパーソナルコンピュータの出力映像信号などを表示する処理を行なう。したがって、表示回路101にチューナを接続したり内蔵させたりし映像信号入力部110に入力し、また、テレビジョン放送のチューナからの音声信号を出力するスピーカやイアフォンを接続したり内蔵させたりすることにより、表示回路101を備えるテレビジョン受信機を得ることができる。また、表示回路101がパーソナルコンピュータに接続されたり、パーソナルコンピュータを内蔵したりし、映像信号入力部110に入力される映像信号を表示することにより、パーソナルコンピュータのモニターを得ることができる。受信映像信号および出力映像信号は、アナログ信号であっても、デジタル信号であってもよい。
【0019】
表示回路101の行なう、受信映像信号や出力映像信号などを表示する処理には、受信映像信号や出力映像信号に基いて、映像を処理する映像処理および表示回路101が映像を表示するために動作させるサブ回路等の制御を含む。映像処理には、映像のコントラスト、明るさおよびシャープネスなどの映像の表示態様を変化させる処理を含み、また、映像信号が複数のフレームを含む場合に、フレーム補間のようにフレームとフレームとの間のサブフレームの映像を新たに生成することを含み得る。受信映像信号や出力映像信号などを表示するための処理を、「表示処理」という場合がある。また、表示回路101が映像を表示するために動作させるサブ回路等とは、映像を視聴者に視認可能に表示する回路である。サブ回路等には、例えば、ブラウン管、液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネルなどを挙げることができ、また、これらのサブ回路等は、表示回路101の一部を構成する。本発明の表示装置100としては、液晶パネルを備える表示回路101を用いて表示処理を行なう液晶表示装置が好適な例として挙げることができる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係る表示装置が備える表示回路の構成の一例を示す図である。
図2には、表示装置100として、液晶パネルを備える表示回路101の構成の一例が示されている。表示回路101は、表示制御回路201と、ソースドライバ202と、ゲートドライバ203と、液晶パネル204とを備える。また、表示回路101は、液晶パネル204に光を供給するバックライト205と、表示制御回路201の制御にしたがってバックライト205を制御するバックライト制御回路206を備える。
【0021】
液晶パネル204は、ソースドライバ202に接続される複数本のソース線211m(mは、1以上ソース線数以下の整数)と、ゲートドライバ203に接続される複数本のゲート線212n(nは、1以上ゲート線数以下の整数)と、が交差して構成されている。ソース線211mとゲート線212nとが交差している位置には、画素が構成されており、
図2に示すように、TFT213mnと画素電極214mnとが配置されている。TFT213mnのゲート電極は、ゲート線212nに接続されている。また、TFT213mnのソースとドレインとは、ソース線211mと画素電極214mnとに接続されている。
【0022】
ゲート線212nにゲート電極が接続されているTFT213mnが選択されると、TFT213mnがオン状態となり、ソース線211mから供給されるデータ電圧が、画素の輝度を表す電圧として画素電極214mnに印可される。画素電極214mnは、図示されていない対向電極との間で液晶材料を挟持しており、供給されるデータ電圧に応じて液晶材料による偏光特性が変化し、バックライト205から発生する光の透過量を制御する。なお、画素電極214mnと対向電極との間の液晶材料に並列して保持容量が配置されていてもよく、保持容量によりTFT213nmが選択されていない間においてもデータ電圧が画素電極214mnに印可され続けるようになっていてもよい。
【0023】
したがって、表示処理により液晶パネル204へ供給される電流は、主に、ソースドライバ202およびゲートドライバ203により、ソース線211mおよびゲート線212n経由で供給される。
【0024】
表示制御回路201は、表示回路101に映像信号入力部110または制御回路107から供給される映像信号に基いて、ソースドライバ202、ゲートドライバ203およびバックライト制御回路206を制御する。一例として、液晶パネル204に映像を視認可能に表示するには、表示制御回路201は、バックライト制御回路206を介してバックライト205をオンにしてバックライト205から液晶パネル204に光を供給し、ゲートドライバ203がゲート線212nを順次選択するように制御信号を送出し、また、ソースドライバ202が、ソース線211mおよび選択されたゲート線212nに接続されたTFT213mnを介して、データ電圧を画素電極214mnに供給するように制御信号を送出する。なお、バックライト205は複数の発光領域を含み、複数の発光領域のそれぞれの発光量を制御するローカルディミング制御がおこなわれていてもよい。
【0025】
なお、液晶パネル204は、液晶材料および液晶パネル204を挟持する1組の偏光板の特性により、画素電極214nmに電圧が印可されていなければバックライト205からの光が遮断されるノーマリーブラックタイプと、画素電極214nmに電圧が印可されていなければバックライト205からの光を透過させるノーマリーホワイトタイプとに、分類される。このため、ノーマリーブラックタイプであれば、全体が黒の映像を表示回路101が表示処理する場合に、ソースドライバ202およびゲートドライバ203により液晶パネル204に供給される電流値は最小となり、全体が白の映像を表示回路101が表示処理する場合に、ソースドライバ202およびゲートドライバ203により液晶パネル204に供給される電流値は最大となり得る。
【0026】
電源回路102は、表示回路101に電力を供給する。電源回路102から供給された電力により表示回路101が駆動される。なお、
図2に示すように、表示回路101が液晶パネル204を含む場合には、
図2には図示されていないが、表示制御回路201、ソースドライバ202、ゲートドライバ203およびバックライト制御回路206それぞれに電力を電源回路102から供給する、それぞれの電力供給線が表示回路101に設けられている。なお、液晶パネル204に供給される電力は、主にソースドライバ202およびゲートドライバ203からソース線211mおよびゲート線212nにより電力が供給される。バックライト205には、バックライト制御回路206を介して電力が供給される。なお、電源回路102からは電圧がほぼ一定の直流が供給されるとすると、電力量は電流量とすることができる。
【0027】
図3は、電源回路102の構成の一例を示す図である。電源回路102は、例えばLLC回路として構成することが可能である。
図3に示すように、電源回路102は、ハーフブリッジ型の回路として構成され、第1スイッチング素子301および第2スイッチング素子302の2つのスイッチング素子と、直列共振用のコンデンサ305と、一次コイル304、二次コイル306および307を有するトランスと、2つの整流用ダイオード308および309と、第1スイッチング素子301および第2スイッチング素子302をそれぞれオンオフ制御するLLC IC303を備えている。
【0028】
電源回路102の入力端子320
1および320
2間には、所定の電圧の直流が印可され、パワーMOSトランジスタからなる第1スイッチング素子301のドレイン・ソースと、第2スイッチング素子302のドレイン・ソースとが接続されている。LLC IC303の出力信号は、第1スイッチング素子301および第2スイッチング素子302のゲートに供給される。第1スイッチング素子301および第2スイッチング素子302が接続されている箇所には、トランスの一次コイル304とコンデンサ305の直列回路の一方の端子が接続され、トランスの一次コイル304とコンデンサ305の直列回路の他方の端子は、第2スイッチング素子302のソース側に接続されている。トランスの結合係数を小さくすることにより漏れインダクタンスを大きくし、漏れインダクタンスを共振用インダクタンスとして利用することができる。
【0029】
トランスの二次コイル306および307には、整流用ダイオード308および309のアノードが接続されている。また、整流用ダイオード308および309のカソードは、整流用コンデンサ310の一方の端子に接続され、整流用コンデンサ310の他方の端子は、二次コイル306および307の中間タップに接続される。整流用コンデンサ310の両端子に接続される出力端子321
1と、出力端子321
2および出力端子321
3とには、電源回路102の入力端子320
1および320
2間に印可させるのとは異なる直流電圧を有する直流電流が出力され得る。
【0030】
そこで、出力端子321
1を、共通端子(例えばグランドレベル)として用い、例えば出力端子321
3により、表示制御回路201およびバックライト制御回路206に直流電流を供給することができ、出力端子321
2により、ソースドライバ202およびゲートドライバ203に直流電流を供給することができる。
【0031】
なお、電源回路102は、表示回路101に供給する電流量が、通常想定される電流量から所定値を超えるときには、表示回路101へ電力を供給しないようにする保護回路(図示せず)を備え得る。あるいは、電源回路102とは別に保護回路が備わっている場合もあり得る。
【0032】
電流測定回路103は、電源回路102から表示回路101へ供給される供給電流の大きさを測定する。一例として、電流測定回路103は、出力端子321
2により、ソースドライバ202およびゲートドライバ203に供給される電流値の大きさを測定する。
【0033】
制御回路107は、1または複数の特定のパターンの映像信号を生成し、表示回路101に出力し、電流測定回路103により、電源回路102からソースドライバ202およびゲートドライバ203に供給される電流値を測定し、測定により得られた電流値である測定電流値に基いて、表示回路101の異常を判定する回路である。なお、上述したように、ソースドライバ202およびゲートドライバ203に供給される電流値は、液晶パネル204に供給される電流値を含む。また、一般にソースドライバ202およびゲートドライバ203そのものが表示制御回路201からの制御にしたがう動作に伴う消費電流よりも、ソースドライバ202およびゲートドライバ203からソース線211mおよびゲート線212nにより液晶パネル204に供給される消費電流の方が大きいので、ソースドライバ202およびゲートドライバ203に供給される電流値は、液晶パネル204に供給される電流値であるとみなすことが可能である。
【0034】
制御回路107は、ハードウェア要素のみを用いて構成することもできる。また、ハードウェア要素にソフトウェア要素(コンピュータプログラム)を組み合わせ、両者を協働させて構成することもできる。
図4には、ハードウェア要素にソフトウェア要素を組み合わせ、両者を協働させる場合のハードウェア要素の構成の例を示す。制御回路107は、CPU(Central Processing Unit)401と、メモリ402と、外部I/F403とが相互にバス結合されて構成される。CPU401は、メモリ402に記憶されたプログラムを実行し、メモリ402にデータを読み書きし、また、外部I/F403により、制御回路107に接続された電流測定回路103および表示回路101と信号の入出力を行ない、一定の目的を達成するように動作する。
【0035】
なお、メモリ402は、CPU401により実行されるプログラムにより内容が書き換え可能な領域に加え、書き換え不可能であり読み取り専用の領域との両方を含むことができる。また、メモリ402は、制御回路107の外部からの電源の供給が停止すると、記憶内容が消去される領域と、制御回路107の外部からの電源の供給が停止しても、記憶内容が維持される領域とのいずれかまたは両方を含むことができる。また、メモリ402の領域の一部(例えば、
図4の符号412)を電流値記憶部106として使用することができる。
【0036】
制御回路107の動作の一例として、制御回路107を、パターン生成部104と、判定制御部105と、電流値記憶部106とを有する回路として実現する動作がある。ここに、パターン生成部104は、CPU401によるプログラムの実行により生成されたり、メモリ402に記憶されたりしている所定のパターンを表す映像信号を表示回路101に出力する。所定のパターンを表す映像信号を表示回路101へ外部I/F403を介して出力することにより、表示回路101は、所定のパターンの表示処理を行なう。なお、表示回路101がバックライト205を備え、バックライト205以外の異常を判定する場合には、バックライト205を消灯した状態にする制御信号が外部I/F403を介して表示回路101へ出力されるようにしてもよい。このようにすることにより、パターンは、表示装置100の使用者に視認されないようにすることができ、使用者に違和感を与えないようにすることができる。また、所定のパターンは一つに限定されることなく、複数あってもよい。
【0037】
判定制御部105は、パターン生成部104を制御して表示回路101に所定のパターンを表す映像信号を生成し、表示回路101に出力させ、電流測定回路103より、電源回路102から表示回路101に供給される供給電流値(測定電流値)を、外部I/F403を介して取得する。そして、判定制御部105は、メモリ402の電流値記憶部106から基準電流値を読み出し、測定電流値と基準電流値とに基いて、表示回路101に異常が無いか否かを判定する。
【0038】
基準電流値の一例としては、表示装置100が工場出荷時の品質検査を通過した場合に、実際に表示装置100を動作させ、表示回路101に所定のパターンを表す映像信号を出力して実際に測定された測定電流値とすることができる。基準電流値が表示装置100ごとに実際に測定された値であれば、表示装置100が異なれば、異なる基準電流値が電流値記憶部106に記憶され得ることになる。
【0039】
表示装置100が工場出荷時の品質検査を通過した場合に、測定された電流値を基準電流値として、電流値記憶部106に記憶するには、表示装置100を例えば、基準電流値測定設定モードに設定して行なう。また、表示装置100は、工場出荷後は、基準電流値測定設定モードに設定されることがないようにする。例えば、工場出荷時の品質検査を通過し表示装置100を基準電流値測定設定モードに設定した際に実行されたプログラムをメモリ402から消去する。このようにすることにより、電流値記憶部106に予め記憶された基準電流値が、表示装置100の市場への流通後は、書き換えられないようにすることができる。
【0040】
基準電流値を電流値記憶部106に記憶させるための、表示装置100の別の実装例の一例として、表示装置100の製造時には、電流値記憶部106には、基準電流値が未登録であることを意味する、例えば全てのビットが1となるような特別なデータを記憶させておく例がある。この例においては、表示装置100が品質検査に合格した後に第1回目として制御回路107を動作させると、判定制御部105は、電流値記憶部106に記憶された基準電流値が、上述の特別なデータであることを検出することができる。そこで、判定制御部105は、電流値記憶部に記憶された基準電流値が特別なデータであることを検出すると、第1回目として表示回路101に所定のパターンを表わす映像信号を出力して測定電流値を取得したと判断し、取得した測定電流値を電流値記憶部106に基準電流値として記憶することもできる。この構成により、電流値記憶部106に基準電流値を記憶する処理と、基準電流値を読み出し、測定電流値と比較をする処理とをまとめることができる。
【0041】
図4に示すようにメモリ402の一部の領域411に、所定のパターンを表すデータまたは生成するプログラムを記憶させておくことができる。この場合、データが記憶されたり生成プログラムが記憶されたりする所定のパターンとしては、「パターンA」、「パターンB」、・・・のように複数のパターンを記憶させておくことができる。そこで、メモリ402の別の一部の領域412に、パターンごとに、パターンが表す映像信号が表示回路101に出力された場合の測定電流値として、例えば、「パターンA」については、値X、「パターンB」については、値Y、・・・を記憶させることができる。データX、Y、・・・は、表示装置100の製造時には特別なデータとしておき、判定制御部105は、第1回目として表示回路101にパターンを表す映像信号を出力して測定電流値が取得されたと判断できるようにしておく。
【0042】
図5は、制御回路107の制御フロー、言い換えると本実施形態においてはCPU401により実行されるプログラムの動作フローを示す図である。制御回路107が動作を開始すると、今が異常判定を行なうべき時であるかどうかを判断する(ステップS501)。もし、異常判定を行なう必要がない(NOに分岐する場合)と判断されれば、ステップS501を繰り返すか、異常判定を行なうべき時まで待ち状態に入る。異常判定を行なうべき時の例としては、表示装置100に対する電源投入の操作により、動作が起動する途中の段階や、表示装置100に対する電源切断の操作により、動作が停止する途中の段階で行ってもよい。また、表示回路101がノーマリーブラックタイプの液晶パネル204を有する場合であれば、黒一色の映像の表示処理により(例えば、黒一色の映像は、テレビジョン放送の受信機であれば、チャンネルを変える際に一時的に表示され得る)、バックライト205全体が消灯されていることを検出し、異常判定を行なうべき時と判断してもよい。また、上述のようなローカルディミング制御が行なわれているときには、バックライト205の複数の領域すべてが消灯した場合に、異常判定を行なうべき時と判断してもよい。
【0043】
異常判定を行なうべき時であると判断すると(YESに分岐する場合)、電流値記憶部106(言い換えると、領域412)に記憶された電流値(基準電流値)のデータを読み出す(ステップS502)。次に、基準電流値のデータが、特別なデータであるかどうかを判断する(ステップS503)。もし、特別なデータであれば(YESに分岐する場合)、パターン生成部104にパターンの映像信号を表示回路101へ出力させ、表示回路101に表示処理をさせる(言い換えると、制御回路107は、外部I/F403を介してパターンの映像信号を出力する)(ステップS504)。
【0044】
電流測定回路103による電流値測定がされ、測定電流値が得られると(ステップS505)、測定電流値を電流値記憶部106(言い換えると、領域412)に記憶し(ステップS506)、処理を終了する。なお、複数のパターンに対応するデータやプログラムが領域411に記憶されている場合には、ステップS504からS506までのステップを複数回繰り返し実行する。
【0045】
また、ステップS503において、基準電流値のデータが特別なデータでなければ(NOに分岐する場合)、ステップS504と同様に、パターン生成部104にパターンの映像信号を生成させ、表示回路101に表示処理をさせる(ステップS507)。電流測定回路103による電流値測定がされ、測定電流値が得られると(ステップS508)、測定電流値と基準電流値とを比較する。比較の結果、基準電流値からの測定電流値の変化が所定の値以下(例えば、測定電流値が基準電流値の110%以下)である場合(YESに分岐する場合)、処理を終了する。また、基準電流値からの測定電流値の変化が所定の値より大きければ(NOに分岐する場合)、異常検出時処理を行なう(ステップS510)。なお、複数のパターンに対応するデータやプログラムが領域411に記憶されている場合には、ステップS507からS509までのステップを複数回繰り返し実行する。なお、一度でもステップS510のステップが実行されれば、その実行後に再度ステップS510のステップを繰り返さなくてもよい。
【0046】
異常検出時処理としては、様々なものを挙げることができる。例えば、制御回路107は、表示回路101に、映像信号入力部110に入力された映像信号の映像を表示させずに、異常がある旨の映像の表示をさせる。この一例において、同じ映像の表示を持続させると、表示回路101の異常個所の温度が上昇し、不安全な状態となりかねないので、表示回路101に供給される供給電流を通常時よりも小さくしたり、表示回路101の動作を定期的あるいは不定期的に休止させたりすることができる。また、供給電流をどの程度通常時よりも小さくするか、あるいは、表示回路101の動作を休止させる時間をどの程度の長さ、間隔とするかは、基準電流値からの測定電流値の変化に応じて変化させてもよい。たとえば、基準電流値からの測定電流値の変化が大きければ、供給電流をより小さくし、あるいは、表示回路101の動作を休止させる時間をより長くし、また、より長い間隔とすることができる。
【0047】
また、表示装置100がデジタルテレビジョン受信機であり、インターネットなどのネットワークに接続されている場合には、所定のアドレス(例えば、表示装置100の製造者の故障受付部門のサーバのアドレス)に、表示装置100の表示回路101の異常が判定(検出)されたことを通知することができる。
【0048】
また、表示装置100に、録画機能が備わっていたり、録画装置が接続されていたりする場合には、表示回路101の動作を停止し、表示装置100により視聴されるテレビ番組などの録画を開始し、別の表示装置100などにより後に視聴できるようにしてもよい。
【0049】
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2として、異常検出時処理の別の一例を、説明するための図である。本実施形態においては、異常検出時処理においては、液晶パネル204のどの部分により異常が発生しているのかを検出する。そのために、ソース線211mに沿って、液晶パネル204を複数の領域に分割する(言い換えると、ソース線211mの間が隣接する領域の境界となるように分割する)。
図6においては、液晶パネル204が、ソース線211mに沿って領域601、602、603および604に分割されている。
【0050】
例えば、表示回路101にノーマリーブラックタイプの液晶パネルが使用されているとして、異常がない場合には、液晶パネル204の全体に所定階調の例えば黒色を表示処理するときの液晶パネル204への供給電流が2.8Aとして基準電流値として電流値記憶部106に記憶されているとする。この場合、それぞれの領域601、602、603および604は、0.7Aずつ消費するとすることが想定できる。
【0051】
図6(A)に示すように、領域603に配置された或るTFT600に不具合が発生し、そのTFTが接続されるゲート線212nおよびソース線211mと共通電極とに短絡が発生しているとし、所定階調の黒色の表示処理において、領域603が2.5Aを消費するようになったとする。すると、液晶パネル204への供給電流は、2.8Aから4.6Aとなり、ステップS509において異常が判定され、異常検出時処理(ステップS510)が開始される。
【0052】
異常検出時処理においては、制御回路107は、領域601、602、603および604に順次、所定階調の例えば白色の表示処理をする。たとえば、
図6(B)に示すように、領域601への所定階調の白色の表示処理をし、他の領域へは、所定階調の黒色表示をするパターンの表示処理をする。
図6(B)の場合、領域601への供給電流が0.8Aになるとするとし、液晶パネル204への供給電流を測定すると、4.7Aとして測定電流値が得られる。
【0053】
次に、
図6(C)に示すように、領域602への所定階調の白色の表示処理をし、他の領域へは、所定階調の黒色の表示処理をする。
図6(C)の場合も
図6(B)の場合と同様に、液晶パネル204への供給電流を測定すると、4.7Aとして測定電流値が得られる。
【0054】
次に、
図6(D)に示すように、領域603への所定階調の白色の表示処理をし、他の領域へは、所定階調の黒色の表示処理をする。すると、TFT600においてソース線211mと共通電極がショートしているので、ソース線211mと共通電極との間を流れる電流が増加することにより、領域603の消費電流が2.5Aから増加し3.8Aとなり、液晶パネル204への供給電流を測定すると、5.9Aとして測定電流が得られる。したがって、この段階で、領域603に異常があることが推測できる。
【0055】
次に
図6(E)に示すように、領域604への所定階調の白色の表示処理をし、他の領域には、所定階調の黒色の表示処理をする。
図6(E)の場合も
図6(B)および
図6(C)の場合と同様に、液晶パネル204への供給電流を測定すると、4.7Aとして測定電流値が得られる。
【0056】
結論として、
図6(B)、
図6(C)、
図6(D)および
図6(E)のパターンが表示される際の測定電流値として、
図6(D)の場合に最も大きな値が得られ、領域603に不具合があることが結論される。
【0057】
この結論を液晶パネル204の製造者にフィードバックすることにより、領域603に不具合が発生したことにより、例えば、液晶パネルの製造工程において、領域603に対応する製造工程や製造装置の部分の劣化などが想定でき、液晶パネルの製造品質を上げることが可能となる。
【0058】
なお、
図6(B)、
図6(C)、
図6(D)および
図6(E)のように、一部の領域への所定階調の白色の表示処理および他の領域への所定階調の黒色の表示処理は、異常検出時処理にのみの表示処理に限定されない。
図5のステップS504においても、一部の領域への所定階調の白色の表示処理を行ない、他の領域へは所定階調の黒色の表示処理を行なうことを順次実行し、異常検出時処理に入る前に各領域の異常を判定することも可能である。
【0059】
(実施形態3)
実施形態1および実施形態2においては、短絡の発生により、表示回路101への供給電力が保護回路の動作しない電流上昇が発生したかどうかに関し、基準電流値と測定電流値との比較を行なうことにより異常の判定を行なうことについて主に述べたが、断線の発生によって、表示回路101への供給電力が減少することも基準電流値と測定電流値との比較によって判定することもできる。