特許第6404998号(P6404998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404998
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】電子ビームを採用する加工方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/2055 20180101AFI20181004BHJP
【FI】
   G01N23/2055 310
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-112815(P2017-112815)
(22)【出願日】2017年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-219548(P2017-219548A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2017年6月7日
(31)【優先権主張番号】201610405199.5
(32)【優先日】2016年6月8日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】598098331
【氏名又は名称】ツィンファ ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】柳 鵬
(72)【発明者】
【氏名】趙 偉
(72)【発明者】
【氏名】林 暁陽
(72)【発明者】
【氏名】周 段亮
(72)【発明者】
【氏名】張 春海
(72)【発明者】
【氏名】姜 開利
(72)【発明者】
【氏名】▲ハン▼ 守善
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−518277(JP,A)
【文献】 特開平08−139013(JP,A)
【文献】 特開2010−014548(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/129514(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/185074(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/011457(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
H01J 37/00−37/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
ScienceDirect
Nature.com
Scicence
Scitation
APS Journals
ACS Publications
JJAP
APEX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射電子ビームを提供する第一ステップと、
次元ナノ材料に前記入射電子ビームを透過させて、透過電子ビーム及び複数の回折電子ビームを形成する第二ステップであって、前記二次元ナノ材料が多孔質構造であるカーボンナノチューブ構造体と積層されて設置される第二ステップと、
前記透過電子ビームを遮蔽する第三ステップと、
工物の表面に前記複数の回折電子ビームを照射させて、複数の回折スポットを形成する第四ステップと、
を含むことを特徴とする電子ビームを採用する加工方法
【請求項2】
前記二次元ナノ材料はグラフェン或いはMoSであることを特徴とする請求項1に記載の電子ビームを採用する加工方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトリソグラフィ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ビーム加工(EBM)は、高い出力密度を有する電子ビームが生成した熱によって加工物(workpiece)を処理する方法である。電子ビーム加工は、表面熱処理、溶接、エッチング、穿孔、溶融、または材料の昇華に用いることができる。
【0003】
フィラメントの陰極から真空で放出された電子は高電圧(30KV〜200KV)で加速され、電磁レンズによって集束され、高い出力密度(10W/cm〜10W/cm)を有する電子ビームを形成する。電子ビームは高温で熱を発生させて、加工物を溶融または昇華させ、加工物に対して溶接、エッチング、または穿孔を行うことができる。従来の電子ビーム加工装置では、電子銃は一つしかなく、1本の電子ビームのみ射出する。 これにより、従来の電子ビーム加工システムの効率は低い。複数の電子銃を使用すると、電子ビーム加工システムが複雑になり、コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、前記課題を解決するコストが低く、且つ効率が高いフォトリソグラフィ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のフォトリソグラフィ方法は入射電子ビームを提供する第一ステップと、入射電子ビームに二次元ナノ材料を透過させて、透過電子ビーム及び複数の回折電子ビームを形成する第二ステップと、透過電子ビームを遮蔽する第三ステップと、複数の回折電子ビームに加工物の表面を照射させて、複数の回折スポットを形成する第四ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
従来の技術に比べて、本発明のフォトリソグラフィ方法は以下の優れる点がある。フォトリソグラフィ方法には、二次元ナノ材料184によって、一つの入射電子ビーム22を回折して、複数の回折電子ビーム24を形成できる。複数の回折電子ビーム24を採用して、加工物20の表面を同時に照射して、フォトリソグラフィの効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例1における電子ビーム加工システムの構造を示す図である。
図2】本発明の実施例1における電子ビーム加工システムの電子ビームの回折スポット及び透過スポットの構造を示す図である。
図3】本発明の実施例1における電子ビーム加工システムの回折装置の構造を示す図である。
図4図4aは本発明の実施例1における電子ビームが二次元ナノ材料を透過する電子回折及び電子透過の原理図であり、図4bは本発明の実施例1における電子ビームが三次元ナノ材料を透過する電子回折及び電子透過の原理図である。
図5】本発明の実施例1における電子ビームが単層単結晶グラフェンを完全に覆った後に形成する回折スポットのイメージ及び透過スポットのイメージである。
図6】本発明の実施例1における電子ビームが三つの単層単結晶グラフェンを完全に覆った後に形成する回折スポットのイメージ及び透過スポットのイメージである。
図7】本発明の実施例1における電子ビームが連続な多結晶グラフェン膜を完全に覆った後に形成する回折スポットのイメージ及び透過スポットのイメージである。
図8】本発明の実施例1における電子ビームがMoS薄片を完全に覆った後に形成する回折スポットのイメージ及び透過スポットのイメージである。
図9】本発明の実施例2における電子ビーム加工システムを利用するフォトリソグラフィ方法のフローチャートである。
図10】本発明の実施例2における電子ビーム加工システムの構造を示す図である。
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0009】
図1及び図2を参照すると、実施例1は電子ビーム加工システム10を提供する。電子ビーム加工システム10は電子ビーム・リソグラフィ・システムである。電子ビーム加工システム10は、真空装置11と、電子エミッタ12と、制御ゲート13と、加速電極14と、集束電極15と、試料ホルダ16と、制御コンピュータ17と、回折装置18と、を含む。
【0010】
電子エミッタ12と、制御ゲート13と、加速電極14と、集束電極15と、試料ホルダ16と、制御コンピュータ17と、回折装置18とは真空装置11の真空チャンバーに設置される。電子エミッタ12は電子ビームを放出することに用いる。 電子ビームは加速電極14によって加速され、集束電極15によって集束されて、入射電子ビーム22を形成する。入射電子ビーム22は回折装置に照射し且つ透過して、透過電子ビーム26及び複数の回折電子ビーム24を形成する。透過電子ビーム26及び複数の回折電子ビーム24は試料ホルダ16に設置された加工物20の表面を照射し、一つの透過スポット29及び複数の回折スポット27を形成する。図2を参照すると、複数の回折スポット27は一つの回折リングを形成する。制御コンピュータ17は電子ビーム加工システム10の動作を制御することに用いる。
【0011】
真空装置11は真空チャンバーと、真空チャンバーと接続する真空ポンプ装置を含む。真空チャンバー及び真空ポンプ装置の構造は制限されず、必要に応じて設けることができる。本実施例において、真空ポンプ装置は、イオンポンプと、第一分子ポンプと、第二分子ポンプと、機械式ポンプと、制御装置と、を含む。イオンポンプと第二分子ポンプはそれぞれ真空チャンバーと直接に接続される。第一分子ポンプは、予備真空室によって真空チャンバーと接続される。機械式ポンプは第一分子ポンプ及び第二分子ポンプとそれぞれ接続されている。制御装置は真空ポンプ装置の動作を制御できる。真空チャンバーの圧力は10−3Pa〜10−6Paである。10−3Pa〜10−6Paの圧力範囲で、透過電子の回折スポット及び回折イメージを観察できる。
【0012】
電子エミッタ12及び試料ホルダ16は、真空チャンバーの対向する両端に間隔をあけて設置される。制御ゲート13、加速電極14、集束電極15及び回折装置18は、電子エミッタ12と試料ホルダ16との間には相互に間隔をあけて設置される。電子エミッタ12は、熱陰極電子源或いは電界放出冷陰極電子源であってもよい。
【0013】
電子エミッタ12、制御ゲート13、加速電極14及び集束電極15は電子銃を形成する。電子銃から放出される入射電子ビーム22のエネルギーは0.2KeV〜200KeVであり、入射電子ビーム22の電流は0.01マイクロアンペア〜10ミリアンペアであり、入射電子ビーム22のスポットの直径は1マイクロメートル〜6ミリメートルである。電子ビーム・リソグラフィ・システムでは、電子銃によって提供される入射電子ビーム22のエネルギーは低く、入射電子ビーム22のスポットの直径は小さい。例えば、入射電子ビーム22のスポットの直径は1ナノメートル〜100マイクロメートルである。電子ビーム溶接システム、電子ビーム穴あけシステム、電子ビーム溶融システム、或いは電子ビーム熱処理システムでは、電子銃によって提供される入射電子ビーム22のエネルギーは高く、入射電子ビーム22のスポットの直径は大きい。電子銃の種類は制限されない。電子銃は層状銃であってもよい。層状銃はより均一なスポット及びより大きな電流密度を有して、イメージング回折品質を向上させることができる。
【0014】
さらに、電子ビーム加工システム10は移動プラットフォーム(図示せず)を含むことができる。移動プラットフォームは電子銃を移動させて、電子ビームが加工物20を走査することを実現できる。電子ビーム加工システム10は偏向電極(図示せず)を含むことができる。偏向電極によって入射電子ビーム22を移動させて加工物20を走査することを実現できる。
【0015】
回折装置18は電源に接続され、回折装置18に電位が供給された後に、入射電子ビーム22を加速できる。これにより、回折装置18は電子銃の加速電極14として用いることができる。この際、加速電極14を省略できる。二次元ナノ材料184は外部回路と接続され、二次元ナノ材料184によって吸収された電子が外部回路に流れることができる。
【0016】
図3を参照すると、回折装置18は、支持体180と、グリッド182と、二次元ナノ材料184と、を含む。支持体180は、グリッド182及び二次元ナノ材料184を支持して固定することに用いる。支持体180の形状及び寸法は制限されず、必要に応じて選択できる。支持体180は、貫通孔181を有する金属シートであってもよい。貫通孔181は金属シートの中心に設置される。金属シートは銅板であってもよい。貫通孔181のサイズはグリッド182のサイズより小さい。グリッド182は支持体180に設置され、貫通孔181を覆っている。これにより、貫通孔181によって、グリッド182は懸架される。グリッド182の形状及び寸法は制限されず、必要に応じて設計することができる。グリッド182は銅メッシュ或いはカーボンナノチューブ構造体であってもよい。カーボンナノチューブ構造体は相互に交差して且つ積層される少なくとも二つのドローン構造カーボンナノチューブフィルムを含む。カーボンナノチューブ構造体はネット構造体である。ドローン構造カーボンナノチューブフィルムは複数のカーボンナノチューブを含む。複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列され且つ分子間力で端と端とが接続されている。カーボンナノチューブ構造体が超薄で疎な多孔質構造であるので、試料にほとんど影響を与えない。さらに、ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの回折スポットは、主に隣接するカーボンナノチューブの壁の間に発生し、低角度を有し、試料の回折スポットに影響を与えない。二次元ナノ材料184はグリッド182と積層されて設置される。貫通孔181の少なくとも一部は二次元ナノ材料184に被覆される。好ましくは、貫通孔181は二次元ナノ材料184に完全に被覆される。二次元ナノ材料184はグラフェン或いはMoSであってもよい。グラフェンは単層グラフェン或いは多層グラフェンであってよい。本実施例において、支持体180は円形の銅板であり、貫通孔181は銅板の中心に設置される。カーボンナノチューブ構造体は交差して設置されるカーボンナノチューブフィルムからなる。
【0017】
試料ホルダ16は加工物20を固定することに用いる。試料ホルダ16の構造は制限されず、必要に応じて選択できる。
【0018】
電子ビーム加工システム10は、回折装置18をXYZ方向に沿って移動させる移動装置を含むことができる。これにより、二次元ナノ材料184と加工物20との距離Dは調節できる。
【0019】
制御コンピュータ17は、計算モジュールと、距離制御モジュールと、を含む。計算モジュールは二次元ナノ材料184の格子周期d及び回折リングの半径Rによって、二次元ナノ材料184と加工物20の表面との距離Dを計算できる。距離制御モジュールは、二次元ナノ材料184と加工物20との距離Dを調整できる。
【0020】
さらに、電子ビーム加工システム10は導電体19を含むことができる。導電体19によって、透過スポット29或いは少なくとも一つの回折スポット27を遮蔽できる。透過スポット29或いは少なくとも一つの回折スポット27を遮蔽し、且つ透過スポット29或いは回折スポット27に影響を与えなければ、導電体19の構造及び形状は制限されない。本実施例において、導電体19は導電性ロッドと、導電板と、を含む。導電性ロッドは、対向する第一端部及び第二端部を有する。導電性ロッドの第一端部は真空チャンバーの内壁に固定される。導電性ロッドの第一端部は回転できる。導電性ロッドの第二端部は導電板と接続される。導電体19を使用する際、導電性ロッドを回折装置18と加工物20との間に回転させ、導電板によって回折スポット或いは透過スポットを遮蔽する。好ましくは、導電体19は外部回路と電気的に接続される。これにより、導電体19によって吸収された電子が外部回路に流れることができる。
【0021】
二次元ナノ材料184、特に単原子層のみを有する二次元ナノ材料184の電子回折原理は、従来の三次元ナノ材料の電子回折原理と異なる。従来の三次元ナノ材料の電子回折原理と二次元ナノ材料の電子回折原理との違いは以下に説明する。
【0022】
図4(a)を参照すると、二次元ナノ材料の電子回折は式dsinθ=λを満たす。dは二次元のナノ材料の格子周期を表す。θは回折電子ビーム24と透過電子ビーム26との角度を表す。図4(b)を参照すると、三次元ナノ材料の電子回折は式2d’sinθ’=λを満たす。d’は三次元ナノ材料の結晶面の面間隔を表す。θ’は入射電子ビーム22と三次元ナノ材料の結晶表面28との角度を表す。従来の三次元ナノ材料の電子回折において、回折電子ビーム24と透過電子ビーム26とがなす角度は2θ’である。通常に選択された区域の電子回折では、θまたはθ’は非常に小さく、式
または
を満たす。二次元ナノ材料の電子回折では、式
を満たす。従来の三次元ナノ材料の電子回折では、式
を満たす。
【0023】
二次元ナノ材料184の格子周期d及び入射電子ビーム22の波長λは、制御コンピュータ17によって獲得できる。回折リングの半径Rは、所望のエッチングパターンによって獲得できる。具体的に、図2を参照すると、同じ結晶方向には、回折電子ビーム24は加工物20の表面に複数の回折スポット27を形成し、すなわち、回折リングを形成し、透過電子ビーム26は加工物20の表面に透過スポット29を形成する。回折リングと透過スポットとの距離は回折リングの半径Rと同じである。二次元ナノ材料184と加工物20の表面との距離はDである。波長λは入射電子ビーム22のエネルギーによって獲得できる。これにより、式
及び式sinθ=R/(D+R)1/2によって、制御コンピュータ17の計算モジュールは二次元ナノ材料184と加工物20の表面との距離Dを計算できる。
【0024】
入射電子ビーム22が二次元ナノ材料184を透過した後に形成する回折電子ビーム24の数及び回折電子ビーム24が加工物20の表面に形成する回折リングのパターンは、二次元ナノ材料184の構造及び層数に関する。図5は、二次元ナノ材料184が単層単結晶グラフェンである際、入射電子ビーム22は単層単結晶グラフェンを完全に覆った後に形成する回折イメージを示す。図6は、二次元ナノ材料184が三つの単層単結晶グラフェンである際、入射電子ビーム22は三つの単層単結晶グラフェンを完全に覆った後に形成する回折イメージを示す。図7は、二次元ナノ材料184が連続な多結晶グラフェン膜である際、入射電子ビーム22は連続な多結晶グラフェン膜を完全に覆った後に形成する回折イメージを示す。図8は、二次元ナノ材料184がMoS薄片である際、入射電子ビーム22は一つの結晶配向のみを有するMoS薄片を完全に覆った後に形成する回折イメージを示す。
【0025】
本発明の電子ビーム加工システムは以下の優れる点がある。電子ビーム加工システムは、回折装置によって、一つの電子ビームを回折して複数の電子ビームを形成できる。これにより、コストが低くなり、電子ビーム加工システムの効率を高めることができる。
【0026】
図9を参照すると、実施例2は電子ビーム加工システム10を利用するフォトリソグラフィ方法を提供する。フォトリソグラフィ方法は以下のステップを含む。
S1、入射電子ビーム22を提供する。
S2、入射電子ビーム22に二次元ナノ材料184を透過させて、透過電子ビーム26及び複数の回折電子ビーム24を形成する。
S3、透過電子ビーム26を遮蔽する。
S4、複数の回折電子ビーム24に加工物20の表面を照射させて、複数の回折スポット27を形成する。
【0027】
S1では、入射電子ビーム22は平行の電子ビームであってもよく、集束された電子ビームであってもよい。入射電子ビーム22は電子銃に放出される。
【0028】
S2では、入射電子ビーム22は二次元ナノ材料184を垂直に入射できる。二次元ナノ材料184は、単層グラフェン、多層グラフェン或いはMoSであってもよい。二次元ナノ材料184の構造及び層数を選択することによって、複数の回折電子ビーム24が加工物20の表面に形成する回折リングのパターンを制御できる。
【0029】
さらに、S3では、導電体19によって少なくとも一つの回折電子ビーム24を遮蔽するステップを含むことができる。好ましくは、導電体19は二次元ナノ材料184と電気的に接続される。透過電子ビーム26のエネルギーは回折電子ビーム24のエネルギーと異なる。 すべての回折電子ビーム24は同じエネルギーを有する。複数の回折電子ビーム24のうちのいくつかも遮蔽される。こうして、S4において、複数の回折電子ビーム24の残りの部分のみが被加工物20の表面に照射し、複数の回折スポット27を形成することができる。
【0030】
さらに、S4では、電子銃或いは試料ホルダ16を移動させることによって、複数の回折電子ビーム24は加工物20の表面を走査できる。二次元ナノ材料184と加工物20の表面との距離Dを変えることによって、回折スポット27の大きさ及び回折リングの半径Rを調整できる。
【0031】
本実施例に提供するフォトリソグラフィ方法において、二次元ナノ材料184によって、一つの入射電子ビーム22を回折して、複数の回折電子ビーム24を形成できる。複数の回折電子ビーム24を採用して、加工物20の表面を同時に照射して、フォトリソグラフィの効率を高めることができる。
【0032】
図10を参照すると、実施例3は電子ビーム加工システム10Aを提供する。電子ビーム加工システム10は電子ビーム溶接システム、電子ビーム穴あけシステム、電子ビーム溶融システム、或いは電子ビーム加熱システムであってもよい。電子ビーム加工システム10Aは、真空装置11と、電子エミッタ12と、制御ゲート13と、加速電極14と、複数の集束電極15と、試料ホルダ16と、制御コンピュータ17と、回折装置18と、を含む。
【0033】
実施例3における電子ビーム加工システム10Aの構造は実施例1における電子ビーム加工システム10の構造と基本的に同じであるが、異なる点は以下である。電子ビーム加工システム10Aは複数の集束電極15を含む。複数の集束電極15は試料ホルダ16と回折装置18との間に設置される。複数の集束電極15は回折電子ビーム24とそれぞれ対応する。電子ビーム加工システム10は電子ビーム溶接システム、電子ビーム穴あけシステム、電子ビーム溶融システム、或いは電子ビーム加熱システムであるので、加工物20の表面に照射する電子ビームは高いエネルギー及び温度を有する必要がある。入射電子ビーム22が回折装置18を透過して複数の回折電子ビーム24を形成するので、複数の回折電子ビーム24は入射電子ビーム22よりも低いエネルギーを有する。複数の集束電極15は複数の回折電子ビーム24のエネルギーを増加して、電子ビーム溶接システム、電子 ビーム穿孔システム、電子ビーム溶融システム、或いは電子ビーム加熱システムの要求を満たすことができる。電子ビーム24と対応するために、集束電極15は移動できる。
【0034】
電子ビーム加工システム10Aは複数の回折電子ビーム24を採用して、加工物20を処理する効率を高めることができる。例えば、六角形を有する回折リングを採用して、加工物20の表面に六つの穴を一度に形成でき、効率を高める。
【符号の説明】
【0035】
10、10A 電子ビーム加工システム
11 真空装置
12 電子エミッタ
13 制御ゲート
14 加速電極
15 集束電極
16 試料ホルダ
17 制御コンピュータ
18 回折装置
19 導電体
20 加工物
22 入射電子ビーム
24 回折電子ビーム
26 透過電子ビーム
27 回折スポット
28 結晶表面
29 透過スポット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10