(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405003
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】男性用電動シェーバ
(51)【国際特許分類】
B26B 19/42 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
B26B19/42
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-130584(P2017-130584)
(22)【出願日】2017年7月3日
(62)【分割の表示】特願2015-562545(P2015-562545)の分割
【原出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2017-164631(P2017-164631A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2017年8月2日
(31)【優先権主張番号】13001597.7
(32)【優先日】2013年3月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レナータ バーガート
(72)【発明者】
【氏名】ソニヤ ジョルジェスク
(72)【発明者】
【氏名】ゲルド ラスチンスキ
(72)【発明者】
【氏名】ダイアナ カッペス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン クリスチャン ラングスドルフ
【審査官】
宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0049694(US,A1)
【文献】
特表2011−527204(JP,A)
【文献】
特表2005−509485(JP,A)
【文献】
特開昭61−20109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/00−19/48
A45D 26/00−27/48
A61B 18/00−18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動シェーバ(1)であって、
ハウジングと、
マイクロコントローラ(12)と、
電動機(3)により駆動される少なくとも1つの毛切断要素(5,6,7)と、
熱電式皮膚冷却素子(9,10)であって、該熱電式皮膚冷却素子(9,10)および前記電動機(3)は、前記マイクロコントローラ(12)によって電気的に操作可能である、前記熱電式皮膚冷却素子(9,10)と、
前記マイクロコントローラ(12)と電気的に接続されたオン/オフスイッチ(4)と
を具え、
前記熱電式皮膚冷却素子(9,10)は、熱電素子(9)を含み、該熱電素子は、その第1の側面上において受動冷却体に連結され、該受動冷却体が、前記毛切断要素に隣接して配置され、および自由端皮膚接触部(10)を備えて提供され、
前記マイクロコントローラ(12)は、該電動機(3)および該熱電式皮膚冷却素子(9,10)の両方の動作を作動および停止するのに適合され、および前記熱電式皮膚冷却素子(9,10)は、該毛切断要素(5,6,7)に隣接して配置され、
前記マイクロコントローラ(12)は、
同じ前記オン/オフスイッチ(4)のオフ作動に応じて、前記電動機(3)の動作を直ちに停止させることと、
前記電動機の動作が停止した後および前記熱電式皮膚冷却素子が停止する前の所定期間において、前記第1の側面上での温度を一定に維持できるように冷却効果を減少させた低減レベル状態で前記熱電式皮膚冷却素子(9,10)を動作させ、前記第1の側面上での前記受動冷却体の前記自由端皮膚接触部の冷却を一定温度で継続することと、
前記自由端皮膚接触部の冷却を一定温度で継続した前記所定期間(16)の経過後の時点(20)で前記熱電式皮膚冷却素子(9,10)を停止させることと
を制御するように構成されたことを特徴とする電動シェーバ。
【請求項2】
前記マイクロコントローラ(12)は、同じ前記オン/オフスイッチ(4)のオフ作動に応じて、前記電動機(3)の動作を直ちに停止させ、および、該電動機の動作の停止に対して、少なくとも20秒および5分を超えない前記所定期間の経過後に前記熱電式皮膚冷却素子(9,10,11)の動作を停止させることに適合されることを特徴とする請求項1に記載の電動シェーバ。
【請求項3】
前記マイクロコントローラ(12)は、同じ前記オン/オフスイッチ(4)のオフ作動に応じて、前記電動機(3)の動作を直ちに停止させ、および、該電動機の動作の停止に対して、少なくとも40秒および3分を超えない前記所定期間の経過後に前記熱電式皮膚冷却素子(9,10,11)の動作を停止させることに適合されることを特徴とする請求項1に記載の電動シェーバ。
【請求項4】
前記マイクロコントローラ(12)は、前記電動機(3)が起動されおよび剃毛が可能な期間中は、冷却効果を最大にした状態で前記熱電式皮膚冷却素子(9,10,11)を動作させ、前記マイクロコントローラ(12)は、前記オン/オフスイッチ(4)のオフ作動に応じて、前記電動機の動作が停止した後および前記熱電式皮膚冷却素子が停止する前の前記所定期間において、該最大の冷却効果の50%未満の状態で前記熱電式皮膚冷却素子を動作させることに適合されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電動シェーバ。
【請求項5】
前記マイクロコントローラ(12)は、前記オン/オフスイッチ(4)のオフ作動に応じて、受信される前記熱電式皮膚冷却素子(9,10,11)の温度を示す信号にしたがって、前記熱電式皮膚冷却素子を動作させることに適合されることを特徴とする請求項1に記載の電動シェーバ。
【請求項6】
前記熱電式皮膚冷却素子は、放熱板(11)を含み、前記熱電素子は、その第2の側において前記放熱板に連結され、前記放熱板は、前記ハウジングの内側に提供されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の電動シェーバ。
【請求項7】
前記マイクロコントローラ(12)は、経験的な参照表の記憶値および/又は前記熱電式皮膚冷却素子(9,10,11)の熱電対でのゼーベック起電力の測定値および/又は前記受動冷却体の測定温度および/又は測定された周囲温度および/又は前記放熱板(11)の測定温度、のうちの少なくとも1つに基づく時間にわたって、前記熱電式皮膚冷却素子を冷却することに適合されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の電動シェーバ。
【請求項8】
前記マイクロコントローラ(12)は、前記電動機(3)が1分を超えて動作した場合、当該シェーバのスイッチを切った後、前記所定期間の間、前記熱電式皮膚冷却素子(9,10,11)を冷却することに適合されることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の電動シェーバ。
【請求項9】
電動シェーバを動作させるための方法であって、
前記電動シェーバは、電動機により駆動される少なくとも1つの毛切断要素と、マイクロコントローラと、熱電式皮膚冷却素子であって、該熱電式皮膚冷却素子および前記電動機は、前記マイクロコントローラによって電気的に操作可能である、該熱電式皮膚冷却素子と、前記マイクロコントローラと電気的に接続されたオン/オフスイッチと、を含み、
前記熱電式皮膚冷却素子は、熱電素子を含み、該熱電素子は、その第1の側面上において受動冷却体に連結され、該受動冷却体が、前記毛切断要素に隣接して配置され、および自由端皮膚接触部を備えて提供され、
前記マイクロコントローラによって実行される、当該方法は、
同じ前記オン/オフスイッチのオフ作動に応じて、前記電動機の動作を直ちに停止させることと、
前記電動機の動作が停止した後および前記熱電式皮膚冷却素子が停止する前の所定期間において、前記第1の側面上での温度を一定に維持できるように冷却効果を減少させた低減レベル状態で前記熱電式皮膚冷却素子を動作させ、前記第1の側面上での前記受動冷却体の前記自由端皮膚接触部の冷却を一定温度で継続することと、
前記自由端皮膚接触部の冷却を一定温度で継続した前記所定期間の経過後の時点で前記熱電式皮膚冷却素子を停止させることと
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
提供されるのは、ハウジング、電動機によって駆動される少なくとも1つの毛切断要素、マイクロコントローラによって電気的に操作可能な熱電式皮膚冷却素子および前記電動機、並びに前記マイクロコントローラに電気的に接続されるオン/オフスイッチを含む、電動シェーバであり、前記マイクロコントローラは、電動機および皮膚冷却素子の両方の動作を作動および停止するために適合され、前記皮膚冷却素子は、毛切断要素に隣接して位置する。このようなシェーバの動作方法およびこのようなシェーバの使用が更に提供される。
【背景技術】
【0002】
国際特許A1−2010003603から、皮膚冷却素子を伴う電動シェーバは、請求項1の前提部分の特徴を明らかにするものとして既知である。時に皮膚刺激は、電気シェーバ間に対する摩擦ゆえに電気シェーバによって引き起こされ、移動する毛切断要素は、結果的にウォーミングアップを行う。したがって、剃毛されたばかりの皮膚に接触する切断配列内の冷却素子は、皮膚の冷却を保ち、剃毛された皮膚を温めることによって引き起こされる皮膚刺激を防ぐのに役立つ。中断された又は繰り返し一時停止されたシェーバの利用次第だが、シェーバの利用は、皮膚冷却素子が十分な冷却効果を提供することを常に保証するものではないことがわかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許A1−2010003603
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、発明の目的は、ユーザーの利用態度に依存しない皮膚刺激を防ぐのに役立つ請求項1の前提部分の特徴を含む皮膚冷却素子を伴う電動シェーバを提供することである。更なる目的は、このようなシェーバの動作および使用の方法を提供することである。
【0005】
これらの目的は、シェーバに関して請求項1の特徴によって対処され、方法に関して請求項12の特徴によって対処され、および使用に関して請求項15の特徴によって対処される。従属請求項で明らかにされる特徴は、これに対する更なる追加の利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様にしたがって、毛切断要素を駆動する電動機のスイッチオフに対して、皮膚冷却素子の遅延スイッチオフが提供される。したがって皮膚冷却素子は、時間間隔の間に後冷却を伴って動作される。これは2つの利点を提供する。最初に、剃毛の状態を単に確認し、短い中断後に剃毛の継続を希望する等、ユーザーがオフスイッチを作動した場合、皮膚冷却素子は依然冷却されており、かつ皮膚刺激を防ぐため、直ちに再び有効となる。次に、皮膚冷却素子がペルチェ素子を含む場合、皮膚冷却素子のスイッチが完全に切られた後に、皮膚冷却素子の通常冷たい側が温まる。したがって、シェーバ動作のスイッチを切った後に皮膚冷却素子を更に動作することは、皮膚冷却素子が自由端皮膚接触部で温まるのを防ぐ。したがって、冷却するために提供された皮膚冷却素子の部分は、スイッチを切った後に冷却を保つ。
【0007】
更なる態様にしたがって、シェーバのスイッチが切られた後のペルチェ素子の低減動作が提供される。これは、完全なスイッチオフによって皮膚冷却素子の冷たい側が温まることを単に防ぐことによって、熱電対/ペルチェ素子のエネルギー消費が低く保たれることのバランスを維持する。
【0008】
上述した両方の態様は、択一的であってもよく、又は互いに組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
これらおよびその他の特徴は、以下で説明される実施例を用いて、請求項からだけではなく後述の説明および図面から明らかとなる。
【
図2】剃毛動作中およびその後の、放熱板並びに自由端皮膚接触部の時間/温度図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下は、皮膚冷却素子を伴う多数の種類の電動シェーバの説明である。説明は、このようなシェーバの動作方法およびその使用を更に開示する。説明は、例示としてのみ解釈され、全ての可能な実施形態を説明するのは非実用的であるため、不可能な場合、全ての可能な実施形態を説明せず、かつ本明細書に記載される任意の特徴、特性、構造、部品、工程又は方法論は、本明細書に記載されるその他の任意の特徴、特性、構造、部品、製品工程又は方法論の全体又は一部を削除、組み合わせ、又は置換してもよいことが理解されよう。
【0011】
一態様によると、電動シェーバであって、ハウジングと、電動機により駆動される少なくとも1つの毛切断要素と、熱電式皮膚冷却素子であって、熱電式皮膚冷却素子および前記電動機は、マイクロコントローラによって電気的に操作可能である、前記熱電式皮膚冷却素子と、前記マイクロコントローラと電気的に接続されたオン/オフスイッチと、を備え、前記マイクロコントローラは、電動機および皮膚冷却素子の両方の動作を作動および停止するのに適合され、および前記皮膚冷却素子は、毛切断要素に隣接して配置され、前記マイクロコントローラは、同じオン/オフスイッチの「オフ」作動に応じて、前記電動機の動作を直ちに停止させ、および、電動機の動作の停止に対して、より後の時点で前記皮膚冷却素子の動作を停止させることに適合される電動シェーバが提供される。したがって、シェーバのスイッチが切られた後に後冷却段階が提供される。後冷却段階の期間中、皮膚冷却素子は更に動作され、およびこれによりユーザーが再びシェーバのスイッチを入れた場合も直ちに(依然冷たく温かくない)準備を行う。したがって、更にシェーバのオン/オフの利用が中断されることによって、皮膚冷却素子が正しく作用し、かつ皮膚刺激が防がれる。
【0012】
更なる一態様によると、前記マイクロコントローラは、同じオン/オフスイッチの「オフ」作動に応じて、前記電動機の動作を直ちに停止させ、および、電動機の動作の停止に対して、後冷却時間の所定期間の経過後に前記皮膚冷却素子の動作を停止させることに適合される。これは、マイクロコントローラが、実際に測定された温度値に依存するのを防ぐ。したがって、センサーを必要としない。所定期間は、マイクロコントローラ内で記憶されてもよい。所定期間の経過後、後冷却段階が終了し、および皮膚冷却素子は、マイクロコントローラによってスイッチを切られる。
【0013】
更なる一態様によると、前記マイクロコントローラは、同じ前記オン/オフスイッチの「オフ」作動に応じて、前記電動機の動作を直ちに停止させ、および、電動機の動作の停止に対して、少なくとも20秒および5分を超えない所定期間の経過後に前記皮膚冷却素子の動作を停止させることに適合される。この間隔は、シェーバのスイッチを再びオンにした後、すでに冷たい皮膚冷却素子を依然提供する一方、長い利用停止を可能にする。
【0014】
更なる一態様によると、前記マイクロコントローラは、同じ前記オン/オフスイッチの「オフ」作動に応じて、前記電動機の動作を直ちに停止させ、および、電動機の動作の停止に対して、少なくとも40秒および3分を超えない所定期間の経過後に前記皮膚冷却素子の動作を停止させることに適合される。上述したものよりもより短い後冷却段階で、皮膚冷却素子によるエネルギー消費が軽減される。
【0015】
更なる一態様によると、前記オン/オフスイッチの「オフ」作動に応じて、前記マイクロコントローラは、前記電動機の動作が停止した後および前記皮膚冷却素子が停止する前に、冷却効果を減少させた状態で前記皮膚冷却素子を動作させることに適合されることが提供される。これにより、皮膚冷却素子によるエネルギー消費は、後冷却段階の期間中に軽減される。
【0016】
更なる一態様によると、マイクロコントローラは、電動機が起動されおよび剃毛が可能な期間中は、冷却効果を最大にした状態で皮膚冷却素子を動作させ、前記マイクロコントローラは、オン/オフスイッチの「オフ」作動に応じて、電動機の動作が停止した後および皮膚冷却素子が停止する前は、最大の冷却効果の50%未満の状態で皮膚冷却素子を動作させることに適合される。あるいは、皮膚冷却素子は、皮膚接触部で皮膚冷却素子の約一定温度を得るために動作される。
【0017】
更なる一態様によると、前記マイクロコントローラは、オン/オフスイッチの「オフ」作動に応じて、受信される皮膚冷却素子の温度を示す信号に従って、前記皮膚冷却素子を動作させることに適合される。これは、皮膚冷却素子の温度と相関するセンサー又はその他の利用可能な電気値によって測定される被測定信号であってもよい。
【0018】
更なる一態様によると、皮膚冷却素子は、熱電素子を含み、熱電素子は、その第1の側において受動冷却体に連結され、前記受動冷却体は、毛切断要素に隣接して配置され、および自由端皮膚接触部と共に提供される。遊離皮膚接触部のような受動体を提供することは、冷却温度および皮膚冷却素子のより安定した冷却機能の適切な緩衝を可能にする。
【0019】
更なる一態様によると、皮膚冷却素子は、熱電素子を含み、熱電素子は、その第2の側において放熱板に連結され、前記放熱板は、ハウジングの内側に提供される。放熱板は、より大きな物体(mass)上で熱を分散して熱の増加を少なくすることを確実にする。ハウジング内の供給は、皮膚冷却素子を伴うシェーバの温かくない取り扱いを可能にする。
【0020】
更なる一態様によると、マイクロコントローラは、経験的な参照表の記憶値および/又は皮膚冷却素子の熱電対でのゼーベック起電力の測定値および/又は受動冷却体の測定温度および/又は測定された周囲温度および/又は放熱板の測定温度、のうちの少なくとも1つに基づく時間にわたって、皮膚冷却素子を冷却することに適合される。
【0021】
更なる一態様によると、マイクロコントローラは、電動機が1分を超えて動作した場合、シェーバのスイッチを切った後、前記所定期間の間、皮膚冷却素子を冷却することに適合される。例えば、ゼーベック起電力は、ペルチェ素子を測定してもよく、かつペルチェ素子の温度に相関する。
【0022】
更なる一態様によると、電動シェーバを動作させるための方法であって、電動機により駆動される少なくとも1つの毛切断要素と、熱電式皮膚冷却素子であって、熱電式皮膚冷却素子および前記電動機は、マイクロコントローラによって電気的に操作可能である、熱電式皮膚冷却素子と、前記マイクロコントローラと電気的に接続されたオン/オフスイッチと、を含み、オン/オフスイッチを「オフ」モードに作動させることにより電動機が停止される一方で、皮膚冷却素子は冷却のための動作が継続される。
【0023】
方法の更なる一態様によると、皮膚冷却素子は、シェーバのスイッチを切った後、所定期間の間、更に動作して冷却効果を提供する。
【0024】
更なる一態様によると、電動シェーバは、少なくとも1つの電動毛切断要素の動作を停止させるためにシェーバのスイッチを切ること、および後冷却段階の期間中、熱電式皮膚冷却素子を冷却し続けることにより使用される。
【0025】
以下では、いくつかの実施例の詳細な説明が記載される。本開示で説明された全ての特徴は、それらが、より一般的な実施形態の前述の説明、又は実施例の以下の説明に開示されているかどうかに関わらず、それらが特定の実施形態において説明されてもよいとしても、これが本開示の趣旨および範囲に反しない限り、全てのその他の開示された特徴と組み合わせることができる個々の特徴として、無論開示されるものであることに留意するべきである。具体的には、どちらか一方に対して開示された全ての機能又はこのような機能の製造方法は、可能な場合、他の機能にも適合することができる。
【0026】
図1は、ハウジング2を伴うシェーバ1の概略断面図を表す。前記ハウジング2内には、オン/オフスイッチ4がユーザーによって作動された場合、電動機3を駆動する再充電可能バッテリー(図示せず)がある。電動機3は、少なくとも1つの毛切断要素5、6、および7に機械的に連結されている。本実施形態の
図1で示されるように、例えば2つの短髪カッター5および6並びに少なくとも1つの長髪カッター/トリマー7が提供される。短髪カッターは、
図1に示されるような縦振動の並進式で、カッター刃の下が、上部カッターホイールの下又は回転式のカッターホイールの下で並進方向に前後で振動し、切断刃は、回転方向に移動する。長髪カッター又はトリマー7は、短髪カッター5および6内に並んで配置される。
【0027】
シェーバは、熱電式皮膚冷却素子8を備え、これは自由端皮膚接触部10を伴うシェーバの1つの第1の側面上、および放熱板11を伴うシェーバのその他の第2の側面上に連結される熱電対又はペルチェ素子9を含む。放熱板11および自由端皮膚接触部10の両方は、アルミニウム又はその他の適切な材料等の高熱伝導材で作製される。遊離皮膚接触端部10は、好ましくは棒又はストリップ形状であり、長髪カッター7の1つの側面と短髪カッター5の1つの側面との間に並んで配置される。遊離皮膚接触端部10は更に、毛切断要素に対して他の位置で配置されてもよく、毛切断要素と共に装填されたバネ等、据え付けで固定されていてもよいし又は移動可能でもよい。遊離皮膚接触端部10は、シェーバのその他の部分又は遊離皮膚接触端部10の余分な部分と一体であってもよい。
図1は、遊離皮膚接触端部10を余分な部分として示す。遊離皮膚接触端部10は、熱電対9の作用によって冷却される熱伝導体にすぎない。したがって、遊離皮膚接触端部10は、活性冷却熱電対9に対して受動冷却素子である。熱電対又はペルチェ素子9がそうであるように、自由端皮膚接触部10の非冷却側面は、同時に温められている。この熱は、その他の受動体、すなわち放熱板11へ転送される。放熱板11は、シェーバのその他の特徴の余分な部分又は一体として構成されてもよい。
図1では、放熱板11は余分な部分であり、より大きな質量の材料上で分散される熱の受容を可能にするので、放熱板の多様な部分の局部温度は、容認できる低レベルのままである。放熱板11は、好ましくはハウジング2内に提供されるが、必ずしもそうでなくてもよい。
【0028】
ユーザーによる同じオン/オフスイッチ4の作動によって、毛切断要素5、6、および7を駆動する電動機3、並びに熱電対9の両方が、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサ12を介して動作するために作動される。マイクロコントローラ12は、コネクタ13および14によって電動機3並びに熱電対で電気的に接続され、マイクロコントローラ12の動作を制御および調節する。追加で又は別途提供される余分なスイッチ(図示されず)があってもよく、皮膚冷却素子を作動若しくは停止するための皮膚冷却素子の個々の作動を可能にする。
【0029】
マイクロコントローラ12は、シェーバの電動機3のスイッチオフに呼応する遅延と共に起こるように、皮膚冷却素子又は熱電対又はペルチェ素子9のスイッチオフの調節および制御に特に適合されてもよい。皮膚冷却素子又は熱電対又はペルチェ素子9が実際確実にスイッチを切り、並びにスイッチオフボタン4がユーザーによって作動された後に動作を休止するまでの遅延時間は、少なくとも20秒又は40秒又は1分又はより長い時間だと最高5分かかることがある。この遅延時間は、好ましくは1分(+/−20秒)である。マイクロコントローラ12内で保存された早見表で提供されるのは好ましくは予定値であって、自由端皮膚接触部10又はペルチェ素子9の第1の(冷却)側面の温度と直接的又は非直接的に相関する測定値に依存しない。
【0030】
マイクロコントローラ12は、皮膚冷却素子又は熱電対又はペルチェ素子9の(完全な)スイッチオフが起こる前の電力および冷却有効性の調節並びに制御に、追加で特に適合してもよい。したがって、皮膚冷却素子又は熱電対又はペルチェ素子9は、スイッチオフの前の上記の遅延時間間隔の間に、全開レベルで又は軽減レベルで動作を継続してもよい。動作の軽減レベルは、熱電対9の第1の/冷却側面で温度を一定に維持するのに充分となるように、および温かい放熱板11からの温度伝達による昇温を防ぐためにちょうどの高さであってもよい。軽減レベルは、最高で少なくとも10%、又は20%又は30%又は40%又は50%又は100%冷却であってもよく、剃毛中および皮膚冷却素子のスイッチを切った後に提供される。したがって、後冷却段階若しくは遅延時間間隔内に再びシ
ェーバのスイッチが入れられた場合、自由端皮膚接触部10は、依然冷却感を感じる又は少なくとも温かくない。
【0031】
一態様によると、皮膚冷却素子のスイッチオンおよびオフを提供する追加の余分なスイッチがある。マイクロコントローラ12は、例えばこの時点で1分(+/−30秒)であってもよい更なる所定期間未満で電動機の動作を確認することに適合されてもよく、皮膚冷却素子は、このための特別なスイッチ、又はシェーバ動作を作動させるための共通のオン/オフスイッチ4のいずれかによってスイッチを切られる。この総合的なシェーバ動作が短めの場合、放熱板11は、スイッチを切った後に遊離皮膚冷却部11を温める低電位を有することが推測されることから、後冷却段階は短く(1分以下等)保たれるか、又は皮膚冷却素子は、放熱板のスイッチを切った後全くその後冷却されない。
【0032】
図2は、シェーバを動作する唯一の方法の代表的な図を示し、「t」は時間を表しおよび「T」は温度を表す。放熱板温度曲線は、線13によって示され、および自由端皮膚接触部温度曲線は、点線14によって図示される。時間の第1の点18である0秒の時点で、シェーバおよび皮膚冷却素子の両方が動作を開始する。以下の第1の時間間隔15の間では、シェーバが駆動し、自由端皮膚接触部10が冷却され、および放熱板の温度が上昇する。第2の時点19で、オン/オフスイッチ4はユーザーによって作動され、かつシェーバは動作を停止する。以下の「後冷却段階」16では、皮膚冷却素子のスイッチオフは遅延し、並びにこれは軽減レベルで依然動作されているので、冷却は、温かい放熱板11および皮膚冷却素子の温度が安定レベルで維持されることによって昇温を補う。第3の時点20では、後冷却段階が終了し、シェーバが短期間使用されず、かつ皮膚冷却素子のスイッチが切られ、これはマイクロコントローラ12によって発生することが推測される。以下の「完全なオフ位相」17時間間隔は、放熱板および放熱板の自由端皮膚接触部の温度のバランスが互いに保たれることで、放熱板が緩徐に冷まされ、かつ自由端皮膚接触部が温まることを示す。
【0033】
本明細書に開示される値は、詳述された正確な数値に厳密に限定されないことを理解するべきである。代わりに、特に指示がない限り、それぞれのかかる数値は、詳述された値およびその値の周囲の機能的に同等の範囲の両方を意味する。例えば、「50%」と開示された値は、「約50%+/−10%」を意味する。