特許第6405033号(P6405033)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405033
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】織物−エラストマー結合のための方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20181004BHJP
   C09J 193/04 20060101ALI20181004BHJP
   D06M 15/17 20060101ALI20181004BHJP
   D06M 15/19 20060101ALI20181004BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   C09J201/00
   C09J193/04
   D06M15/17
   D06M15/19
   B32B5/24
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-501263(P2017-501263)
(86)(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公表番号】特表2017-526766(P2017-526766A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】CN2014082367
(87)【国際公開番号】WO2016008126
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンチュン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイカオ・グ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンフー・リャン
(72)【発明者】
【氏名】シャオイー・パン
(72)【発明者】
【氏名】ハイヤン・ユ
【審査官】 上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/016398(WO,A1)
【文献】 特開2007−056131(JP,A)
【文献】 特開昭60−084371(JP,A)
【文献】 特開昭60−166365(JP,A)
【文献】 特公昭48−022359(JP,B1)
【文献】 特開2009−235289(JP,A)
【文献】 特開平06−106682(JP,A)
【文献】 特表2009−500497(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/188763(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−5/10、9/00−201/10
B32B 1/00−43/00
D06M 13/00−15/715
D06N 1/00−7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織物をポリオレフィンエラストマーに結合させるための方法であって、前記織物に、
(a)10〜90重量%の熱可塑性ポリマーであって、C−C脂肪族アルファ−オレフィンのホモポリマーもしくはコポリマー、アルファ−オレフィンの官能化ホモポリマーもしくはコポリマー、C−C脂肪族アルファ−オレフィンとスチレンとのコポリマー、ポリウレタン、エポキシ、またはこれらの組み合わせである熱可塑性ポリマーの水性分散液、及び
(b)90〜10重量%のロジンの水性分散液
を適用することを含み、パーセンテージが、熱可塑性ポリマー及びロジンの総乾燥重量に基づく、方法。
【請求項2】
前記織物に、30〜70重量%の熱可塑性ポリマーの水性分散液、及び(b)70〜30重量%のロジンの水性分散液を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ロジンが、ロジンエステル樹脂ある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオレフィンエラストマーが、少なくとも50重量%のオレフィンモノマーの重合単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記織物が、少なくとも50重量%のポリアミドまたはポリエステル繊維を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマーが、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロックコポリマーまたは無水マレイン酸−変性エチレン−酢酸ビニルコポリマーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性接着剤を使用して、織物とポリオレフィンエラストマーとを結合させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンエラストマーを織物に結合させる上でのポリオレフィン樹脂分散液の使用が記載されてきた。例えば、日本第JP2002−012812号は、織物上にスキンコーティングを適用するための水性ポリオレフィン分散液を開示する。しかしながら、先行技術は、本出願に開示される1成分型接着剤配合物を開示していない。
【0003】
本発明によって対処される問題は、エラストマー材料に対する織物の良好な結合を提供することである。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、織物をポリオレフィンエラストマーに結合させるための方法であって、織物に、(a)10〜90重量%の熱可塑性ポリマーの水性分散液、及び(b)10〜90重量%のロジンの水性分散液を適用することを含み、パーセンテージが、熱可塑性ポリマー及びロジンの総乾燥重量に基づく、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
別段明記しない限り、パーセンテージは重量パーセンテージ(重量%)であり、温度は℃単位である。室温(RT)または周囲温度に対する言及は20〜25℃の温度を示し、別段明記しない限り、調製及び試験は周囲温度で実行した。モノマー残渣の重量パーセンテージは、ポリマー中のモノマー残渣の総重量に基づく。ポリマー及びロジンの重量パーセンテージは、乾燥重量に基づいて明記される。
【0006】
好ましくは、織物は合成織物、すなわち、少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、好ましくは少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%の合成ポリマーを含むものである。好ましい合成織物としては、ポリアミド繊維(例えば、ナイロン)またはポリエステル繊維(好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET))を含むものが挙げられる。好ましくは、織物は、1平方メートル当たり100〜500、好ましくは150〜400、好ましくは200〜350グラム(g/m)の重量を有する。
【0007】
ポリオレフィンエラストマーは、少なくとも1つの非極性(すなわち、炭素及び水素のみを含有する)オレフィン系ポリマーを含むポリマーまたはコポリマーである。各々少なくとも1つの非極性オレフィン系ポリマーは、少なくとも50重量%のオレフィンモノマーの重合単位を含み、極性構成成分(すなわち、炭素及び水素以外の元素を含有するモノマーの単位)を含まない。好ましくは、非極性オレフィン系ポリマーは、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマー、好ましくはプロピレン/エチレンコポリマー、ならびに(i)スチレンブロックコポリマー、(ii)均一分岐エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー、(iii)オレフィンブロックコポリマー、及び(iv)ランダムポリプロピレンコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。好ましくは、中間気泡層は、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマー、及び構成成分(i)〜(iv)のうちの少なくとも2つ、3つ、または4つ全てを含む。少なくとも1つの非極性オレフィン系ポリマーは、単一のプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマー、または2つ以上のプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーのブレンドを含み得る。同様に、(i)スチレンブロックコポリマー、(ii)均一分岐エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー、(iii)オレフィンブロックコポリマー、及び(iv)ランダムポリプロピレンコポリマーのうちのそれぞれは、未希釈で、または2つ以上のコポリマーのブレンドとして存在し得る。少なくとも1つの非極性オレフィン系ポリマーはまた、加工助剤、延長剤、ブロッキング剤、顔料及び/または染料、酸化防止剤、紫外線安定剤及び/または吸収剤、難燃剤、ならびに充填剤(タルク、炭酸カルシウムなど)などの1つ以上の任意の添加剤も含み得る。
【0008】
好ましくは、少なくとも1つの非極性オレフィン系ポリマーは、少なくとも30、好ましくは少なくとも40、好ましくは少なくとも50重量パーセント(重量%)のプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーを含む。少なくとも1つの極性オレフィン系ポリマー中のプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーの最大量は、好ましくは90重量%を超えず、好ましくは80重量%を超えず、好ましくは70重量%を超えない。中間気泡層は、起泡プロセスに起因し得る気体及び副生成物を除いて、最上部スキン層と組成上同一であってもよい。
【0009】
少なくとも1つの極性オレフィン系ポリマー中の(i)スチレンブロックコポリマー、(ii)均一分岐直鎖エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー、(iii)オレフィンブロックコポリマー、及び(iv)ランダムポリプロピレンコポリマーの総量は、好ましくは少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%である。中間気泡層中の(i)スチレンブロックコポリマー、(ii)均一分岐エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー、(iii)オレフィンブロックコポリマー、及び(iv)ランダムポリプロピレンコポリマーの最大総量は、好ましくは70重量%を超えず、好ましくは60重量%を超えず、好ましくは50重量%を超えない。
【0010】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、好ましくは実質的にアイソタクティックなプロピレン配列を有することを特徴とする。「実質的にアイソタクティックなプロピレン配列」とは、配列が、13C NMRによって測定される、0.85よりも大きい、好ましくは0.90よりも大きい、好ましくは0.92よりも大きい、好ましくは0.93よりも大きい、アイソタクティックな三連子(mm)を有することを意味する。アイソタクティックな三連子は、当該技術分野において周知であり、例えば、13C NMRスペクトルによって決定されるコポリマー分子鎖中の三連子単位の点から、アイソタクティックな配列に言及する、米国特許第5,504,172号及び国際公開第00/01745号に記載される。
【0011】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、好ましくは、ASTM D−1238に従って(230℃/2.16Kgで)測定される、0.1〜25g/10分の範囲内のメルトフローレート(MFR)を有する。この範囲によって、0.1〜25g/10分の全ての個々の値及び下位範囲が含まれ、開示され、例えば、MFRは、0.1g/10分、0.2g/10分、または0.5g/10の下限から、25g/10分、15g/10分、10g/10分、8g/10分、または5g/10分の上限までであり得る。例えば、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、0.1〜10g/10分の範囲内のMFRを有してもよく、あるいはプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、0.2〜10g/10分の範囲内のMFRを有してもよい。好ましい一実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンは、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0012】
好ましくは、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、0.85〜0.89g/ccの密度を有する。0.85〜0.89g/ccの全ての個々の値及び下位範囲が本明細書に含まれ、開示され、例えば、密度は、0.85、0.86、0.87、または0.88g/ccの下限から、0.855、0.865、0.875、0.885、または0.89g/ccの上限までであり得る。例えば、密度は、0.85〜0.89g/cc、または代替形態において0.85〜0.87g/cc、または代替形態において0.87〜0.89g/cc、または代替形態において0.86〜0.888g/ccであり得る。好ましくは、プロピレン/アルファ−オレフィンは、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0013】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、プロピレン及び1つ以上のアルファ−オレフィンコモノマーに由来する単位を含む。プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーを製作するのに利用される例示的なコモノマーは、C−C10アルファ−オレフィン、例えば、C、C、C、及びCアルファ−オレフムである。プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、1〜30重量%の1つ以上のアルファ−オレフィンコモノマーに由来する1つ以上の単位を含む。
【0014】
プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、数平均分子量で割った重量平均分子量(M/M)として定義される、3.5以下、または3.0以下、または1.8〜3.0の分子量分布(MWD)を有する。更なる一実施形態において、プロピレン/アルファ−オレフィンは、プロピレン/エチレンコポリマーである。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、米国特許第6,960,635号及び同第6,525,157号に更に記載される。そのようなプロピレン/アルファ−オレフィンコポリマーは、The Dow Chemical CompanyからVERSIFYの商品名で、またはExxonMobil Chemical CompanyからVISTAMAXXの商品名で市販されている。
【0015】
好ましくは、上記の構成成分(a)中の熱可塑性ポリマーは、C−C(好ましくはC−C)脂肪族アルファ−オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテンなど、もしくはこれらの組み合わせ)のホモポリマーまたはコポリマー、アルファ−オレフィンの官能化(無水マレイン酸及び/もしくはカルボン酸)ホモポリマーまたはコポリマー、C−C(好ましくはC−C)脂肪族アルファ−オレフィンとスチレンとのコポリマー、ポリウレタン、エポキシ、あるいはこれらの組み合わせである。本明細書で使用される場合、無水物及び/またはカルボン酸官能化オレフィン系ポリマーという用語は、無水マレイン酸官能基及び/またはカルボン酸官能基がその中または上にグラフトされたオレフィン系ポリマーを指す。グラフト反応は、例えば、米国特許第8,450,430号及び同第7,763,692号に記載される。あるいは、官能基は、オレフィンモノマーと共重合して、オレフィン系ポリマーを形成するコポリマー中に存在してもよい(すなわち、カルボン酸官能基)。特に好ましい熱可塑性ポリマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブテン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマー(好ましくは35重量%以下のスチレン含有量を有するもの)及び無水マレイン酸−変性エチレン−酢酸ビニル(EVA)コポリマーが挙げられる。好ましくは、熱可塑性ポリマーのMwは、20,000〜100,000、好ましくは少なくとも25,000、好ましくは少なくとも30,000、好ましくは85,000以下、好ましくは70,000以下である。
【0016】
好ましくは、熱可塑性ポリマーは、35重量%以下のスチレン含有量及び好ましくは10MPa以下のヤング率を有するスチレンエチレンブテンスチレン(SEBS)ブロックコポリマーである。10MPa以下の全ての個々の値及び下位範囲が本明細書に含まれ、開示され、例えば、熱可塑性エラストマーのヤング率は、10MPa以下、または代替形態において9MPa以下、または代替形態において8MPa以下、または代替形態において6MPa以下、または代替形態において4MPa以下であり得る。好ましい一実施形態において、熱可塑性ポリマーのヤング率は、0.5MPa以上である。35重量%以下のスチレン含有量の全ての個々の値及び下位範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、スチレン含有量は、35重量%、または代替形態において30重量%、または代替形態において25重量%の上限からであり得る。好ましくは、ポリスチレン飽和ポリブタジエン−ポリスチレンブロックコポリマー及びポリスチレン飽和ポリイソプレン−ポリスチレンブロックコポリマーは、5,000〜35,000の数平均分子量を有するポリスチレン末端ブロック、及び20,000〜170,000の数平均分子量を有する飽和ポリブタジエンまたは飽和ポリイソプレン中間ブロックを含む。飽和ポリブタジエンブロックは、好ましくは35〜55%の1,2−立体配置を有し、飽和ポリイソプレンブロックは、好ましくは85%を超える1,4−立体配置を有する。スチレンブロックコポリマーの合計数平均分子量は、コポリマーが直鎖構造を有する場合、好ましくは30,000〜250,000である。そのようなブロックコポリマーは、好ましくは10重量%〜30重量%、好ましくは10重量%〜20重量%の平均ポリスチレン含有量を有する。
【0017】
好ましくは、熱可塑性ポリマーの水性分散液は、分散剤を含有する。好ましい一実施形態において、分散剤は、C18−C32脂肪族カルボン酸、好ましくはC18−C28脂肪族カルボン酸、好ましくはC20−C26脂肪族カルボン酸である。本発明の好ましい一実施形態において、分散剤は、オレフィン−アクリル酸コポリマー、好ましくは10重量%〜30重量%を有するもの、好ましくは15重量%〜25重量%のアクリル酸を有するものである。本発明の好ましい一実施形態において、部分加水分解ポリビニルアルコール、スチレン無水マレイン酸コポリマー、無水マレイン酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、もしくはポリオレフィンコポリマー、無水マレイン酸変性スチレン−ジエンブロックコポリマー、またはこれらの混合物などの他の材料もまた、分散剤として使用され得る。任意で、従来のカチオン性、イオン性、または非イオン性界面活性剤が、上記のポリマー分散剤と組み合わせて使用されてもよい。好ましくは、熱可塑性ポリマーの水性分散液は、(水性分散液の総重量に基づいて)30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%、好ましくは45〜55重量%の熱可塑性ポリマーを含む。分散剤がC18−C32脂肪族カルボン酸であるとき、好ましくは、それは、熱可塑性ポリマーの重量に基づいて、2〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、好ましくは3〜7重量%の量で存在する。分散剤がオレフィン−アクリル酸コポリマーであるとき、好ましくは、それは、熱可塑性ポリマーの重量に基づいて、15〜35重量%、好ましくは20〜30重量%、好ましくは22〜28重量%の量で存在する。好ましくは、水性分散液は、有機溶媒を実質的に含まず、すなわち、それは、総分散液重量に基づいて、3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の有機溶媒を含有する。好ましくは、前述の限度内で(熱可塑性ポリマーの調製物からの)水性分散液中または組成物中に存在し得る溶媒は、ヒドロカルビル溶媒、好ましくは芳香族溶媒、好ましくはトルエンである。
【0018】
好ましくは、熱可塑性コポリマーとロジンとを組み合わせた水性分散液は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは80重量%以下、好ましくは70重量%以下、好ましくは65重量%以下、好ましくは60重量%以下の熱可塑性ポリマーを含む(パーセンテージは、乾燥熱可塑性ポリマー及びロジンの総重量に基づく)。好ましくは、熱可塑性コポリマー及びロジンの水性分散液は、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは80重量%以下、好ましくは70重量%以下、好ましくは65重量%以下、好ましくは60重量%以下のロジンを含む(パーセンテージは、乾燥熱可塑性ポリマー及びロジンの総重量に基づく)。
【0019】
好ましくは、水性ロジン分散液は、ロジンエステル樹脂、非水素化脂肪族C樹脂、水素化脂肪族C樹脂、芳香族変性C樹脂、テルペン樹脂、水素化C樹脂、またはこれらの組み合わせを含み、ここで「C」及び「C」は、使用される出発材料中の炭素原子の数を指す。好ましくは、ロジンは、25〜180℃、好ましくは65〜160℃、好ましくは90〜140℃の軟化点を有する。好ましくは、ロジンは、0.92g/cc〜1.06g/ccの密度を有し、175℃で1000パスカル秒(Pa・s)未満の溶融粘度を有する。好ましくは、ロジンは、300〜2,000の重量平均分子量(Mw)を有する。好ましくは、ロジンは、熱可塑性ポリマーについて上記に定義されるように、有機溶媒を実質的に含まない。
【0020】
好ましくは、熱可塑性コポリマー及びロジン(合わせて「接着剤」)の水性分散液は、好ましくは従来の混合機器を使用して、室温でともに混合される。接着剤は、室温で織物基材上にコーティングされる。織物上の接着剤のコーティング厚さは、好ましくは2〜30ミクロン、好ましくは4〜15ミクロン、好ましくは5〜10ミクロンである。好ましくは、コーティングされた織物は、好ましくは150℃未満、好ましくは140℃未満、好ましくは130℃未満、好ましくは120℃未満、好ましくは少なくとも100℃、好ましくは少なくとも110℃の温度の炉内で、水を取り除くために乾燥される。コーティングされ、乾燥された織物は、好ましくは80〜180℃、好ましくは100〜160℃、好ましくは115〜155℃の温度で、ポリオレフィンエラストマーとともに積層される。好ましくは、積層中の圧縮力は、2〜50kN、好ましくは4〜25kN、好ましくは8〜20kNである。
【実施例】
【0021】
・コーティング手順
1)織物(大きさ〜20×19cm)を、接着テープによって印刷紙上に固定する。
2)ステップ1の試料を、コーター上に固定する。ワイヤロッドを選択する。ロッドを固定し、接着剤を保持するのに十分な空間を残す。
3)十分な接着剤を、テープで被覆された領域上に適用する。
4)モーターを始動し、接着剤を素早く適用する。
5)ワイヤロッドを取り外し、それを素早く洗浄する。試料を取り出し、それをフード内に〜5分間置き、その後、80〜120℃の加熱炉内に2分間移動させる。
6)試料を取り出し、それをフード内に置き、室温まで冷却させる。
7)コーティング重量(15〜20gsm)を試験し、試料を集める。
【0022】
・積層手順
1)POEシートは、積層前に調製されるものとする。
2)ホットプレスを所望される温度(例えば、120℃)、圧力(例えば、500kg)に設定する。PETパッドを、プレスの下部プラテン上に置く。設定温度でプラテンを閉じる。
3)POEシート(15×15cm)を、織物の下塗りした側の上部に置く。積層後の容易な取り外しのために、積層の開始部分のうちの1つにおいて、シートと織物との間に紙テープを挿入する。
4)プレスを開け、POE//織物をパッド上に置く。POEシートをアルミニウム箔で被覆して、POEがプラテンに固着するのを防ぐ。プレスを素早く閉じる。
5)時間測定を開始し、設定時間(30〜60秒)にプレスを開ける。
6)試料を取り出し、箔側を実験台表面に対して下にして、それを室温で冷却させる。
7)箔を取り除き、試料を集める。
【0023】
A)原材料
・織物:この研究において使用される織物は、典型的な市販の黒色PET織物である。
・POEシート:POEシートは、INFUSETMとVERSIFYTMとのブレンドである、Dow製品XUS57551(0.87g/cc、3.35MFR)から作製される。
・水性分散液1−1:分散液のベース樹脂は、無水マレイン酸(MAH)変性エチレン−酢酸ビニル(EVA)コポリマーであるFUSABOND C250であり、分散液の界面活性剤パッケージは、DMEA中和エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマーである。分散液1−1の平均粒径は約550nmであり、固体含有量は50.0重量%であり、粘度は約380cpsである。
・水性分散液1−2:分散液のベース樹脂は、16.6〜20.6%のスチレン含有量を有するスチレンエチレンブテンスチレン(SEBS)ブロックコポリマーであるKRATON G1643であり、分散液の界面活性剤パッケージは、DMEA中和エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマーである。分散液1−2の平均粒径は約960nmであり、固体含有量は50.0重量%であり、粘度は約295cpsである。
・水性分散液2:水性ロジン分散液が粘着付与剤分散液として使用され、分散液の界面活性剤パッケージは、DMEA中和エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマーである。分散液2の平均粒径は約550nmであり、固体含有量は50.0重量%であり、粘度は約580cpsである。
注記:上述の水性分散液の全ては、Dowの機械分散技術を使用して生成される。
【0024】
B)接着剤調製及び適用
1)接着剤配合
上述のFUSABOND C250分散液(水性分散液1−1)またはSEBS(水性分散液1−2)と、ロジン分散液(水性分散液2)とを、設計した質量比で、撹拌下、コールドブレンドした。コーティング及び積層試験前に、平均粒径に関してブレンドの安定性を試験し、この試験の目的は相分離の問題が存在しないことを確実にすることであった。
【0025】
2)コーティング及び積層
上述のプロセスに従って、調製した接着剤で織物をコーティングし、その後、水の蒸発及びフィルム形成の目的のために、コーティングされた織物を120℃の炉内に3分間置いた。その後、115℃の圧縮成形機を使用して、4kNの圧縮力で、コーティングされた織物をPOEシートとともに積層した。
【0026】
3)剥離強度試験(ASTM D751−06、ASTM D2724−03)
PET織物に積層されたPOEの試料を、3cm×15cmの矩形試料に切断し、180度剥離試験によって、300mm/分のクロスヘッド速度でInstronを使用して、剥離強度を測定した。平均負荷(kgf)を記録し、平均剥離強度(Kgf/3cm)を計算した。
【0027】
C)実施例の説明
ロジン分散液は、ROSIN GLYCEROL ESTER202の商品名で販売される水性ロジンエステルガムであった。
【0028】
実施例1
水性FUSABOND C250/ロジン分散液(固体質量比、50/50)ブレンド、固体含有量45.0重量%。
【0029】
実施例2
水性KRATON G1643/ロジン分散液(固体質量比、50/50)ブレンド、固体含有量45.0重量%。
【0030】
比較例1
45.0重量%の固体含有量を有する水性FUSABOND C250分散液。
【0031】
比較例2
45.0重量%の固体含有を有する水性KRATON G1643分散液。
【0032】
比較例3
45.0重量%の固体含有量を有する水性ロジン分散液。
【0033】
D)結果及び考察
表1は、異なる接着剤を使用することによって調製された積層試料の結合強度を示す。空試料(間にいかなる接着剤もなしで、POEシートを織物に直接積層した。)の結合強度も示す。
【0034】
【表1】
【0035】
観察:
・表1から、実施例が、剥離強度要求を満たすことのできる2.0Kgf/3cmを超える剥離強度を示すが、比較例が、性能要求を満たさなかったことが観察される。
・SEBSまたはEVA−g−MAH分散液とロジン分散液とのブレンドが、コーティングプロセス中の織物構造への良好な浸透を有し、乾燥プロセスの後、ホットメルト接着剤としての役割を果たすと考えられる。ロジンは、ベース樹脂に対する効果的な粘着付与剤であり得、予想外の相乗効果が接着を強化する。
【0036】
結論:
本発明の実施例(SEBSまたはEVA−g−MAH分散液とロジン分散液とのブレンド)は、環境的利点を含む、性能及び費用の良好なバランスを提供する。