(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405058
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】医療イメージング装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
A61B8/14ZDM
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-549518(P2017-549518)
(86)(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公表番号】特表2018-509990(P2018-509990A)
(43)【公表日】2018年4月12日
(86)【国際出願番号】EP2016057393
(87)【国際公開番号】WO2016169759
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2018年5月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ドゥフォー セシル
(72)【発明者】
【氏名】モリー ブノワ ジャン ドミニク ベルトランド モーリス
(72)【発明者】
【氏名】ターン トマス シュウ イン
【審査官】
門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0193053(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0215093(US,A1)
【文献】
特開2011−031042(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/173668(WO,A1)
【文献】
特表2010−515472(JP,A)
【文献】
特開2009−101184(JP,A)
【文献】
Wolfgang Wein et al.,Integrating Diagnostic B-Mode Ultrasonography Into CT-Based Radiation Treatment Planning,IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,2007年 6月,Vol.26,No.6,pp.866-879
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の超音波画像データを取得する超音波プローブを有する超音波取得ユニットと、
患者の3D医療画像データを受け取る画像データインタフェースと、
前記超音波プローブの位置を決定する位置決定ユニットと、
前記超音波プローブの複数の位置において前記超音波画像データと前記3D医療画像データとの間の伝達関数を決定し、対応する複数の較正された伝達関数及び較正位置を提供する較正ユニットと、
前記超音波プローブの位置及び前記複数の較正された伝達関数に基づいて、前記超音波画像データ及び前記3D医療画像データを同期させる計算ユニットであって、前記超音波プローブの位置に基づいて前記較正された伝達関数を重み付けるよう構成されている、計算ユニットと、
を有する、医療イメージング装置。
【請求項2】
前記計算ユニットは、前記超音波プローブと前記複数の較正位置の間の距離に基づいて、前記較正された伝達関数を重み付ける、請求項1に記載の医療イメージング装置。
【請求項3】
前記計算ユニットは、前記超音波プローブの先端部の予め規定された位置と前記複数の較正位置との間の距離に基づいて、前記較正された伝達関数を重み付ける、請求項2に記載の医療イメージング装置。
【請求項4】
前記計算ユニットは、前記超音波画像データ内の予め規定された位置と前記複数の較正位置との間の距離に基づいて前記較正された伝達関数を重み付ける、請求項2に記載の医療イメージング装置。
【請求項5】
前記超音波画像データ内の前記予め規定された位置が前記超音波画像データの中心である、請求項4に記載の医療イメージング装置。
【請求項6】
前記計算ユニットは更に、相対重み係数によって前記較正された伝達関数を重み付ける、請求項1に記載の医療イメージング装置。
【請求項7】
前記計算ユニットは更に、絶対重み係数に基づいて前記較正された伝達関数を重み付ける、請求項1に記載の医療イメージング装置。
【請求項8】
前記較正ユニットは更に、各々の較正位置について3D剛体変換を決定する、請求項1に記載の医療イメージング装置。
【請求項9】
前記計算ユニットは更に、重み係数によって重み付けられた前記較正された伝達関数に基づいて、前記超音波プローブの現在位置について一般伝達関数を決定する、請求項1に記載の医療イメージング装置。
【請求項10】
前記同期された超音波画像データ及び3D医療画像データに基づいて、融合画像データを提供する画像処理ユニットと、
表示ユニットに前記融合画像データを提供する画像データインタフェースと、
を更に有する、請求項1に記載の医療イメージング装置。
【請求項11】
複数の異なる医療画像データを組み合わせる医療イメージング方法であって、
超音波プローブによって患者の超音波画像データを取得するステップと、
前記患者の3D医療画像データを受け取るステップと、
位置決定ユニットによって前記超音波プローブの位置を決定するステップと、
前記超音波プローブの複数の位置において前記超音波画像データと前記3D医療画像データとの間の伝達関数を決定し、対応する複数の較正された伝達関数及び較正位置を提供するステップと、
前記超音波プローブの位置及び前記複数の較正された伝達関数に基づいて前記超音波画像データ及び前記3D医療画像データを同期させるステップであって、前記較正された伝達関数が、前記超音波プローブの位置に基づいて重み付けされることを含む、ステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像データを評価する医療イメージング装置に関する。本発明は更に、医療イメージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療イメージングシステムの分野において、診断可能性を改善するために、それぞれ異なる医療解析システムによって取得された患者のそれぞれ異なる画像を組み合わせることが概して知られている。特に、患者の超音波画像と、MRT又はCTのような異なる解析システムから導き出される術前画像データとを組み合わせる超音波システムが知られている。患者のライブ超音波画像と、同じ患者の術前ボリュームデータとの融合を可能にするために、位置追跡システムが、通常、それぞれ異なる画像データを空間的にアラインするために利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
位置追跡システムは通常、例えば人工マーカ又は解剖学的特徴のアライメントに基づく位置較正に依存し、かかる人工マーカ又は解剖学的特徴は、術前データにおいて及び超音波データにおいて識別されることができるとともに、データのアライメントが決定できるように互いに相関付けられることができる。
【0004】
例えば米国特許出願公開第2010/0286517A1号公報から知られているように、超音波画像データ及び医療画像データのアライメントは、超音波プローブ較正情報に基づくことができ、それにより画像データの空間的なアライメントを提供する。
【0005】
超音波データ及び医療画像データの空間的な同期の正確さは、超音波プローブ及び較正位置の距離に依存し、従って、同期のミスアライメントは、較正位置からの距離と共に増大する。通常、ミスアライメントが生じる場合、画像データ及び追跡システムの再較正が実施されるが、以前に較正された位置でのミスアライメントが再び生じうる。
【0006】
従って、本発明の目的は、改善された正確さを伴って個々の異なる医療画像データを同期するための、改善された医療イメージング装置及び対応する改善された医療イメージング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの見地により、患者の超音波画像データを取得する超音波プローブを有する超音波取得ユニットと、患者の3D医療画像データを受け取る画像データインタフェースと、超音波プローブの位置を決定する位置決定ユニットと、超音波プローブの複数の位置において、超音波画像データと3D医療画像データとの間の伝達関数を決定し、対応する複数の較正された伝達関数及び較正位置を提供する較正ユニットと、超音波プローブの位置及び複数の較正された伝達関数に基づいて、超音波画像データ及び3D医療画像データを同期させる計算ユニットと、を有する医療イメージング装置が提供される。
【0008】
本発明の1つの見地により、異なる医療画像データを組み合わせる医療イメージング方法であって、超音波プローブによって患者の超音波データを取得するステップと、患者の3D医療画像データを受け取るステップと、位置決定ユニットによって超音波プローブの位置を決定するステップと、超音波プローブの複数の位置において、超音波画像データと医療画像データの間の伝達関数を決定し、対応する複数の較正された伝達関数及び較正位置を提供するステップと、超音波プローブの位置及び複数の伝達関数に基づいて、超音波画像データ及び3D医療画像データを同期させるステップと、を含む医療イメージング方法が提供される。
【0009】
本発明の好適な実施形態は、従属請求項に規定される。請求項に記載の方法は、請求項に記載の装置と及び従属請求項に規定されるものと同様の及び/又は同一の好適な実施形態を有することが理解される。
【0010】
本発明は、超音波プローブの複数の位置について、超音波画像データ及び3D医療画像データを互いにリンクする複数の伝達関数を決定して、超音波画像データ及び3D医療画像データが同期されるための基準となる超音波プローブの対応する較正位置を提供するという考えに基づく。個々の異なる較正位置が較正ユニットによって決定されるので、超音波画像データ及び3D医療画像データの空間同期の正確さが改善されることができるように、複数の較正位置の1つに対する超音波プローブの距離が考慮されることができる。それぞれ異なる較正位置及び決定された複数の較正された伝達関数が、画像データの同期のために同時に利用されるので、それぞれ異なる画像データの空間的なアライメントが、患者身体の大きい面積について改善されることができる。
【0011】
従って、超音波画像データ及び3D医療画像データの空間同期の正確さが改善されることができる。
【0012】
本発明より、計算ユニットは、超音波プローブの位置に基づいて、較正された伝達関数を重み付けるように構成される。これは、超音波プローブの位置に依存して、それぞれ異なる較正された伝達関数を利用することを可能にし、それにより、最適に較正された伝達関数が、画像データを同期させるために考慮されることができる。
【0013】
好適な実施形態において、計算ユニットは、超音波プローブと複数の較正位置との間の距離に基づいて、較正された伝達関数を重み付けるように適応される。同期の正確さは較正位置までの距離に依存するので、これは、同期を改善することを可能にする。
【0014】
好適な実施形態において、計算ユニットは、超音波プローブの先端部の予め規定された位置と複数の較正位置との間の距離に基づいて、較正された伝達関数を重み付けるように適応される。これは、超音波プローブにおいて規定される基準位置に基づいて、較正された伝達関数を決定することを可能にし、それにより、伝達関数の正確な決定が、低い技術的努力により達成されることができる。
【0015】
他の好適な実施形態において、計算ユニットは、超音波画像データ内の予め規定された位置と複数の較正位置との間の距離に基づいて、較正された伝達関数を重み付けるように適応される。これは、超音波画像データ内の規定された基準位置に基づいて、較正された伝達関数を決定することを可能にし、それにより、伝達関数の正確な決定が、低い技術的努力により達成されることができる。
【0016】
他の好適な実施形態において、複数の較正位置に関する超音波画像データ内の予め規定された位置は、超音波画像データの中心である。超音波画像データの中心は、超音波プローブの視野の中心又は超音波コーンの対称軸に一致する。これは、超音波画像データの基準ポイントを規定することを可能にし、それにより、較正された伝達関数が、低い技術的努力により正確に決定されることができる。
【0017】
好適な実施形態において、計算ユニットは、相対重み係数によって、較正された伝達関数を重み付けるように適応される。相対重み係数は、好適には、1と0の間の値を有する。言い換えると、相対重み係数は、正規化される。これは、較正された伝達関数の重み付けを達成することを可能にし、各々の伝達関数は、個々の関連性に基づいて考慮されることができる。
【0018】
好適な実施形態において、計算ユニットは、絶対重み係数に基づいて、較正された伝達関数を重み付けるように適応される。絶対重み係数は、1又は0のいずれかの値を有する。最も高い関連性を有する較正伝達関数のみが考慮されるので、これは、画像データの同期の計算努力を一層低減することを可能にする。特に、唯一の較正された伝達関数及び他の較正された伝達関数が考慮されるわけではないので、現在位置に最も近い較正位置を有する伝達関数が考慮される。
【0019】
好適な実施形態において、較正ユニットは、各々の較正位置について3D剛体変換を決定するように適応される。伝達関数は、各々の較正位置のそれぞれ異なる画像データ間の剛体変換又は3D固定変換に基づいて決定される。固定変換は各々の較正位置について提供されるので、これは、低い技術的努力によって空間同期を正確に決定することを可能にする。
【0020】
好適な実施形態において、計算ユニットは、重み係数によって重み付けられる較正された伝達関数に基づいて、超音波プローブの現在位置について一般伝達関数を決定するように適応される。単一の一般伝達関数が、それぞれ異なる較正情報に基づいて決定されるので、これは、超音波画像データ及び医療画像データの同期を正確に決定することを可能にする。
【0021】
好適な実施形態において、医療イメージング装置は更に、同期された超音波画像データ及び3D医療画像データに基づいて融合画像データを表示ユニットに提供する画像インタフェースを有する。これは、組み合わされた画像データを表示することを可能にする。
【0022】
上述したように、同期は、超音波プローブの個々の異なる位置における較正に対応する複数の較正された伝達関数に基づくので、それぞれ異なる医療画像データを組み合わせるための上述の医療イメージング装置及び対応する方法が、超音波データ及び医療画像データの空間同期の正確さを改善することができる。これは、最善の較正及び同期を提供する少なくとも1つの伝達関数を利用することを可能にし、それにより、画像データの空間アライメントが改善されることができる。個々の異なる較正位置に対応する個々の異なる較正された伝達関数の規定は、超音波プローブの位置及び/又は較正位置までの距離に基づく重み付けのためにも利用されることができ、結果として得られる全体又は一般伝達関数が、異なる較正位置及び超音波プローブの個々の位置に基づいて決定されることができる。それゆえ、超音波データ及び医療画像データを融合するための正確さ及び技術的努力が、改善されることができる。
【0023】
本発明のこれらの及び他の見地は、以下に記述される実施形態から明らかになり、それらを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】患者の身体のボリュームをスキャンするために使用される医療イメージング装置を示す概略図。
【
図2】超音波プローブの個々の異なる位置及び超音波プローブの現在位置における較正を示す概略図。
【
図3】較正位置を決定するための中心基準位置を含む超音波画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、10によって概して示される医療イメージング装置の概略的な図を示す。医療イメージング装置10は、解剖学的部位、特に患者12の解剖学的部位、のボリュームを検査するために適用される。医療イメージング装置10は、少なくとも1つのトランスデューサアレイを有する超音波プローブ14を有し、トランスデューサアレイは、超音波を送受信する数のトランスデューサ素子を有する。トランスデューサ素子は、好適には、特に多次元画像データを提供するために、2Dアレイで配置される。
【0026】
医療イメージング装置10は、概して、超音波プローブ14に接続される画像処理装置16を有し、画像処理装置16は、超音波プローブから受け取られる超音波データを評価し、患者12の術前画像と超音波画像を組み合わせ又は相関付ける。画像処理装置16は、データベース20又は外部解析及びイメージング装置20から術前3D医療画像データを受け取る画像インタフェース18を有する。術前画像データは、好適には、コンピュータートモグラフィ画像データ(CT)、磁気共鳴トモグラフィ画像データ(MRT)、X線画像データ又は術前3D超音波画像データである。画像処理装置16は、超音波プローブ14に及び画像インタフェース18に接続される画像処理ユニット22を有し、画像処理ユニット22は、超音波データを評価し、超音波プローブ14によって解析される患者のボリューム又は対象からの超音波画像データを提供し、画像インタフェースから受け取られる術前3D医療画像データ18を、超音波プローブ14から受け取られる超音波データと組み合わせる。
【0027】
医療イメージング装置10は更に、超音波プローブ14に取り付けられた位置決定ユニット28を有し、位置決定ユニット28は、超音波プローブ14の位置を決定する。位置決定ユニットは、超音波プローブ14の位置及び/又は移動を決定するために、例えば電磁追跡によって、超音波プローブの絶対位置を決定する。
【0028】
画像処理ユニット22は、較正ユニット24を有し、較正ユニット24は、3D医療画像データに関してそれぞれ異なる超音波プローブの位置を較正し、超音波プローブ14の対応する較正位置を提供する。較正ユニット24は、それぞれ異なる較正位置について、当該較正位置において超音波プローブ14によって決定される超音波画像データ及び対応する3D医療画像データの間の伝達関数を決定する。超音波画像データと3D医療画像データの間の伝達関数は、超音波画像データ及び3D医療画像データの対応する空間位置(ボクセル)の間の数学的変換であり、それにより、超音波画像データ及び3D医療画像データ内の各々の空間位置又は3次元位置が、互いに相関付けられることができる。
【0029】
較正ユニットは、各々の異なる較正位置において伝達関数を決定し、それにより、較正ユニット24は、医療イメージング装置10を較正する複数の伝達関数を提供する。較正は、人工マーカに基づくことができ、人口マーカは、患者の身体に配置され、超音波画像データ内及び3D医療画像データにおいて識別されることができ、これにより、それぞれ異なる画像データにおけるマーカ及びマーカの対応する3次元又は空間位置のペアリングは、互いに位置及び画像データを較正するために3次元変換として伝達関数を決定することを可能にする。医療イメージング装置10を較正する別の可能性は、超音波画像データ及び3D医療画像データにおいて検出可能な患者の身体内の解剖学的特徴、例えば血管分岐点、を識別することである。
【0030】
これらの識別された解剖学的特徴の空間的な又は3次元位置を使用して、異なる画像データ間の3次元変換を決定し、個々の伝達関数を決定することができる。こうして決定された伝達関数は、それぞれ異なる較正位置について記憶され、超音波画像データ及び3次元医療画像データの同期のために利用されることができる。
【0031】
画像処理ユニット22は更に、超音波プローブの位置及び複数の較正された伝達関数に基づいて、超音波画像データ及び3D医療画像データを同期(リアルタイムのレジストレーション)させる計算ユニット26を有する。計算ユニット26は、位置決定ユニット28から超音波プローブ14の現在位置を受け取り、現在位置の超音波画像データと、対応する3次元医療画像データの間の一般伝達関数又は一般3次元変換を計算して、現在位置において決定された超音波画像データを、データベース20又はイメージング装置10から受け取られた対応する3D医療画像データと同期させる。
【0032】
画像処理ユニット22は、計算ユニット26から受け取られる超音波プローブ14の現在位置における同期に基づいて、相関付けられた又は重ね合せられた超音波画像データ及び3D医療画像データとして、融合画像データを決定する。画像処理ユニット22は、表示ユニット28に接続されており、融合画像データをそれぞれ表示するために表示ユニット28に融合画像データを提供する。
【0033】
超音波プローブ14の現在位置についての超音波画像データ及び3D医療画像データの同期は、超音波プローブ14のそれぞれ異なる較正位置で決定された複数の伝達関数に基づくので、同期及び較正は一般に改善されることができ、それにより、異なる画像データのアライメント及び同期が、改善された精度と共に提供されることができる。
【0034】
較正ユニット24は、個々の異なる較正位置において固定の又は剛体3次元変換を決定し、計算ユニット26は、各々の較正位置に関して超音波プローブ14の現在位置について一般伝達関数を決定し、それにより、同期は複数の較正伝達関数に基づく。較正伝達関数は、超音波プローブの現在位置から個々の較正位置までの個別の距離に対応する重み係数によって、一般伝達関数を重み付けたものである。
【0035】
異なる重み係数は、好適には、相対重み係数であり、1と0の間の値を有し、相対重み係数の合計は1である。代替として、重み係数は1又は0の値を有する絶対重み係数であり、この場合、重み係数のうち1つだけが1であり、他は0であり、最も近い較正位置の伝達関数のみが利用される。
【0036】
図2は、超音波プローブ14の複数の異なる位置及び超音波プローブ14の現在位置における較正を示す概略断面図を示す。
【0037】
図2において、超音波プローブ14は、患者の身体12内の視野32と共に示されており、患者の身体12から、超音波画像データが3次元超音波データとして取得される。
【0038】
超音波プローブ14'、14"のそれぞれ異なる較正位置が、超音波データコーンの中心位置C
0、C
1に対して又は視野32'、32"の中央に決定される。代替として、超音波データコーン内の任意の予め規定された位置が、基準位置として規定されることができ、又は、超音波プローブ14の先端部の任意の位置、好適には先端部の中心位置が、基準位置として規定されることができる。
【0039】
第1ステップにおいて、超音波画像データ及び3D医療画像データを互いにリンクする伝達関数T(t
0)が、超音波画像データと3D医療画像データとの間の空間同期に対応して、決定される。更に、剛体3D変換又は固定3D変換Q
0が、Q
0=T(t
0)/P(t
0)と決定され、ここで、P(t
0)は、位置C
0の超音波プローブ14'の位置である。超音波プローブ14の各々の較正位置に対応して、すなわち、超音波データと3D医療画像データとの間の伝達関数又はそれぞれ異なる画像データの空間変換は次のように書くことができる:
ここで、T(t)は、伝達関数であり、Q
iは、個々の較正位置の剛体変換又は固定変換であり、P(t)は、超音波プローブ14の現在位置である。第1の較正位置C
0における較正が実施されたのち、それぞれの他の位置C
1の付加の較正ステップが実施されて、個々の異なる較正位置及び異なる伝達関数T(t
i)が得られる。
【0040】
図2に示されるように、超音波データ及び3D医療画像データをリンクし又は接続する、2つの較正位置C
0、C
1に関する2つの較正伝達関数が計算される:
ここで、これらの較正伝達関数の各々は、個々の較正位置に関する伝達関数に対応する。これらの較正伝達関数に基づいて、一般変換又は一般伝達関数T(t)が、両方の較正伝達関数の凸結合として計算されることができる:
ここで、aは、プローブ14の現在位置Ctから2つの較正位置C
0、C
1までの距離を考慮する重み係数である。一般化された形式において、n較正ステップ及び較正位置についての一般変換T(t)が、以下のように表現されることができる:
式1の形の重み係数a及び加重又は固定変換Q
nを含む一般伝達関数は、以下のように表現されることができる:
重み係数は、視野32の現在位置Ctから視野32'、32"の中心位置C
0、C
1までの距離に基づいて、計算されることができる。距離に基づいて、使用される現在位置により近い較正位置の較正伝達関数が、より高く考慮され、かかる較正位置は、一般変換関数T(t)において大きい重みを有する。超音波プローブ14の位置決定ユニット28は、較正位置C
0、C
1及び現在位置において位置を決定するので、個々の距離はいつでも利用可能であり、較正位置の各々までの個々の距離は、次のように計算されることができる:d(C
i)=d(C
i,C(t))。
【0041】
伝達関数の絶対的な重み付けが利用される場合、最も小さい距離d(C
n)を有する較正位置がa
n=1とセットされ、その他はa
n=0にセットされる。このような絶対的な重み付けは、現在位置までの最も小さい距離を有する較正のみを考慮し、すべての他の較正位置を考慮しない。
【0042】
代替として、相対的な重み付けが利用されることができ、この場合、より近い較正位置の伝達関数がより高い重み係数aにより高く考慮され、より大きい距離を有する較正位置の較正伝達関数が、より低い重み係数aにより低く考慮される。n=2の特定のケースでは、重み係数aの重みは、以下のようにセットされる:
ここで、重み係数a
iの合計は常に1にセットされる。
【0043】
図3において、超音波画像データに対応する超音波画像が、超音波プローブ14の視野32内に概略的に表示される。超音波プローブ14は、視野32内の超音波画像データを決定し、この場合、視野32又は超音波データコーンの中央に、中心位置c
iが、超音波画像データの基準位置として規定される。これらの規定によって、伝達関数及び超音波画像データ及び3次元医療画像データの個々の同期は、高い精度で達成されることができる。
【0044】
代替として、超音波プローブ14の先端部の中心位置34が、較正及び同期のための基準位置として使用されることができる。
【0045】
本発明は図面及び上述の記述において詳しく図示され述されているが、このような図示及び記述は、制限的なものではなく、説明的又は例示的であると考えられるべきである。本発明は、開示された実施形態に制限されない。開示された実施形態に対する他の変更は、図面、開示及び添付の請求項の検討から、請求項に記載の本発明を実施する際に当業者によって理解され実現されることができる。
【0046】
請求項において、「含む、有する(comprising)」という語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外しない。単一の構成要素又は他のユニットは、請求項に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
【0047】
請求項における任意の参照符号は、請求項の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。