【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を解決するための手段は以下のとおりである。
原子力メインポンプの水潤滑複合材料スラスト軸受であって、ステンレスタイルベースとエンジニアリングプラスチック層を備え、前記ステンレスタイルベースは前記エンジニアリングプラスチック層に接続される凹凸面を有し、前記凹凸面と前記エンジニアリングプラスチック層とは熱可塑プレス成形で複合成型され、前記凹凸面の面積を前記凹凸面の前記ステンレスタイルベースへの正投影面積で除した値は1.2〜2である。上記の設置により、前記ステンレスタイルベースの面積を増加させることができ、前記ステンレスタイルベースと前記エンジニアリングプラスチック層と接合の強さを上向させる。前記凹凸面の面積とは、前記凹凸面の表面積を指す。
【0008】
前記凹凸面は前記ステンレスタイルベースの上表面と前記ステンレスタイルベースの下表面にそれぞれ設けられ、前記ステンレスタイルベースの上表面に位置される凹凸面におけるエンジニアリングプラスチック層の厚さは2〜15mmであり、前記ステンレスタイルベースの下表面に位置される凹凸面におけるエンジニアリングプラスチック層の厚さは0.5〜5mmである。
【0009】
前記凹凸面は前記ステンレスタイルベースの上表面に設けられ、前記エンジニアリングプラスチック層の厚さは2〜15mmである。
【0010】
前記凹凸面の凸面は粗面を有する。前記粗面は以下の処理方法により得られ、その処理方法は以下の三つ或いは以下三つの方法による組合せを含む。
(1)ローレットローラーでロールエンボス処理を行い、ローレットのピッチは約0.3mm〜1.5mmである。
(2)機械加工で幅が0.5m〜1.5mmであり、深さが0.2mm〜0.8mmである縦横に交錯される溝に加工するか、或いは30〜90°であり、深さが0.2mm〜0.8mmである縦横に交錯される溝に加工する。
(3)表面にグリットブラストなどで粗面化処理を行う。
【0011】
前記ステンレスタイルベースは扇形或いは円形となり、前記凹凸面の凹面は複数の環状凹溝により構成され、前記環状凹溝の形状は前記ステンレスタイルベースの外縁とマッチングし、複数の前記環状凹溝は等間隔で配列され、隣接する前記環状凹溝の間の間隔は6〜10mmであり、前記環状凹溝の凹溝口の幅は4〜12mmであり、前記環状凹溝の凹溝底の幅は前記環状凹溝の凹溝口の幅より0.5〜1mm大きく、前記環状凹溝の深さは1〜5mmである。
【0012】
前記ステンレスタイルベースは扇形或いは円形となり、前記凹凸面の凹面は複数の横方向凹溝と複数の縦方向凹溝により構成され、前記複数の横方向凹溝は等間隔で配列され、隣接する前記横方向凹溝の間の間隔は6〜10mmであり、前記横方向凹溝の凹溝口の幅は4〜12mmであり、前記横方向凹溝の凹溝底の幅は前記横方向凹溝の凹溝口の幅より0.5〜1mm大きく、前記横方向凹溝の深さは1〜5mmであり、前記複数の縦方向凹溝は等間隔で配列され、隣接する前記縦方向凹溝の間隔は6〜10mmであり、前記縦方向凹溝の凹溝口の幅は4〜12mmであり、前記縦方向凹溝の凹溝底の幅は前記縦方向凹溝の凹溝口の幅より0.5〜1mm大きく、前記縦方向凹溝の深さは1〜5mmである。
【0013】
前記ステンレスタイルベースは扇形となり、前記凹凸面の凹面は複数の円弧凹溝により構成され、前記円弧凹溝の形状は前記扇形の円弧とマッチングし、複数の前記円弧凹溝は前記扇形の半径方向に沿って、等間隔で配列され、隣接する前記円弧凹溝の間の間隔は6〜10mmであり、前記円弧凹溝の凹溝口の幅は4〜12mmであり、前記円弧の凹溝底の幅は前記円弧凹溝の凹溝口の幅より0.5〜1mm大きく、前記円弧凹溝の深さは1〜5mmである。
【0014】
前記ステンレスタイルベースは扇形或いは円形となり、前記凹凸面の凹面は複数の順序に配列される止まり穴で構成され、隣接する前記止まり穴の間の間隔は6〜10mmであり、前記止まり穴の穴口の直径は4〜10mmであり、前記止まり穴の穴底の直径は前記止まり穴の穴口の直径より0.5〜1mm大きく、前記止まり穴の深さは1〜5mmである。前記順序に配列されるとは、前記止まり穴が正方形、長方形、菱形、三角形或いは行列などの形で配列されることである。
【0015】
前記エンジニアリングプラスチック層は単層エンジニアリングプラスチック層或いは複合エンジニアリングプラスチック層であり、前記複合エンジニアリングプラスチック層は改質層と非改質層を含み、前記改質層は前記非改質層を介して前記凹凸面と接続され、前記単層エンジニアリングプラスチック層の材質は改質ポリエーテルエーテルケトン(Polyether Ether Ketone,PEEK)粉末材料或いは改質ポリエーテルスルホンケトン(Poly(phthalazinone ether sulfone ketone),PPESK)粉末材料であり、前記改質層の材質は改質ポリエーテルエーテルケトン粉末材料或いは改質ポリエーテルスルホンケトン粉末材料であり、前記非改質層の材質は純樹脂粉末材料である。
【0016】
前記純樹脂粉末材質とは非改質ポリエーテルエーテルケトン粉末材料或いは非改質ポリエーテルスルホンケトン粉末材料とのことである。前記改質層の材質が改質ポリエーテルエーテルケトン粉末材料である場合、前記純樹脂粉末材料は純ポリエーテルエーテルケトンであり、前記改質層の材質が改質ポリエーテルスルホンケトン粉末材料である場合、前記純樹脂粉末材料はポリエーテルスルホンケトン粉末材料である。
【0017】
前記改質層の厚さは前記複合エンジニアリングプラスチック層の厚さの2/3〜4/5である。
【0018】
改質された後粘着性が低くなるため、前記ステンレスタイルベースと前記改質層との間に一層の前記非改質層を加えて、粘着性を上向させる。
【0019】
前記凹凸面と前記エンジニアリングプラスチック層との間は前記凹凸面の凹面と凸面、及び、前記粗面と前記エンジニアリングプラスチック層が溶融されて得られる特有の粘着性により互いに接続されることで、物理的連結により一体化された複合材料のスラスト軸受に成る。
【0020】
前記ステンレスタイルベースの上表面に位置される前記エンジニアリングプラスチック層は前記スラスト軸受の作業表面の摩擦層であり、前記ステンレスタイルベースの下表面に位置される前記エンジニアリングプラスチック層は前記スラスト軸受の断熱層である。
【0021】
前記熱可塑プレス成形複合成型は以下のステップを含む。
(1)熱可塑プレス成形金型の資材は耐熱ステンレスで作り、前記金型ダイキャビティの形状及び寸法は前記ステンレスタイルベースの半製品外縁の幾何学的形状及び寸法に基づいて、設計・加工・配合し、且つ排気流路を設置する。
(2)前記改質ポリエーテルエーテルケトン粉末材料或いは前記改質ポリエーテルスルホンケトン粉末材料はモールドプレッシングを行う前に、120℃の環境で8時間以上乾燥し、前記エンジニアリングプラスチック層が複合エンジニアリングプラスチック層である場合、同一の乾燥条件で一定量の非改質純樹脂粉末材料を更に乾燥する。
(3)前記ステンレスタイルベースを前記金型のダイキャビティに置く。
(4)前記エンジニアリングプラスチック層が複合エンジニアリングプラスチック層である場合、前記複合エンジニアリングプラスチック層の2/3〜4/5の厚さは前記改質ポリエーテルエーテルケトン粉末材料或いは前記改質ポリエーテルスルホンケトン粉末材料であり、1/5〜1/3の厚さは純樹脂粉末材料である。異なる厚さにより、用量を計算・秤量し、先に純樹脂粉末材料をダイキャビティにおける前記ステンレスタイルベースに均一に入れた後擦切り、その後改質樹脂粉末材料を金型のダイキャビティに均一に入れて、擦切り、型締める。
前記エンジニアリングプラスチック層が単層エンジニアリングプラスチック層である場合、前記単層エンジニアリングプラスチック層の厚さにより、用量を量り、改質樹脂粉末材料を前記金型のダイキャビティに均一に入れて、擦切り、型締める。
(5)プレスにおいて、金型に30〜80MPaの圧力を加える。
(6)前記金型全体を空気循環加熱炉に入れて、粉末材料が完全に溶融されるように、350〜410℃にまで加熱し、加熱時間は加工物の規格と金型の寸法に従って決める。
(7)加熱した後、前記金型をプレスにおいて、30〜60MPaの圧力を加え、圧力を保持しながら、時間毎に30〜60℃の冷却速度で冷却を行い、金型の温度が70℃以下になったら、脱型し、加工物を取出す。
(8)機械加工を通じ、水潤滑複合材料のスラスト軸受に形成される。
【0022】
前記凹凸面が前記ステンレスタイルベースの上表面と前記ステンレスタイルベースの下表面にそれぞれ位置される時、上記ステップ(4)において、まずはステンレスタイルベースの上、下表面に位置される前記エンジニアリングプラスチック層の必要な粉末材料の用量をそれぞれ計算・秤量する。次に、前記ステンレスタイルベースの下表面に位置されるエンジニアリングプラスチック層の必要な粉末材料を金型に均一にいれて擦切った後、前記ステンレスタイルベースを入れる。