(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6405066
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体
(51)【国際特許分類】
C04B 14/48 20060101AFI20181004BHJP
C04B 28/02 20060101ALI20181004BHJP
E04C 5/18 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
C04B14/48 A
C04B28/02
E04C5/18
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-73086(P2018-73086)
(22)【出願日】2018年4月5日
【審査請求日】2018年4月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504000177
【氏名又は名称】株式会社 天野ミューテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】天野 則英
【審査官】
小川 武
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−199418(JP,A)
【文献】
実開昭49−049154(JP,U)
【文献】
特開平03−194054(JP,A)
【文献】
特開昭61−058847(JP,A)
【文献】
特開2012−072489(JP,A)
【文献】
特開2012−046800(JP,A)
【文献】
実開昭49−110069(JP,U)
【文献】
国際公開第01/053230(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 28/02−28/12
C04B 14/48
C22C 49/00
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その少なくとも一部が屈曲あるいは屈折していることにより、所定幅の重なり領域を含む環状に成形されているとともに、その両端には鋭角をなす折り曲げ領域が形成された繊維状の高耐候性鋼からなり、コンクリート材料の内部に補強材として混入される金属繊維であって、
前記高耐候性鋼は、質量%で、少なくともCを0.18%以下、Siを0.15乃至0.65%、Mnを1.25%以下、Cuを0.30乃至1.00%、Crを0.08%以下、及びNiを0.70乃至3.50%で含有するNi系高耐候性鋼である
ことを特徴とする金属繊維。
【請求項2】
前記Ni系高耐候性鋼は、Niを0.70乃至1.70%の範囲で含む
ことを特徴とする請求項1に記載の金属繊維。
【請求項3】
前記Ni系高耐候性鋼は、Niを2.50乃至3.50%の範囲で含む
ことを特徴とする請求項1に記載の金属繊維。
【請求項4】
前記高耐候性鋼の最大直径は0.5乃至0.8mmである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の金属繊維。
【請求項5】
前記高耐候性鋼は、円環状に成形されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の金属繊維。
【請求項6】
前記高耐候性鋼は、多角形環状に成形されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の金属繊維。
【請求項7】
その少なくとも一部が屈曲あるいは屈折していることにより、所定幅の重なり領域を含む環状に成形されているとともに、その両端には鋭角をなす折り曲げ領域が形成された繊維状の高耐候性鋼からなり、コンクリート材料の内部に補強材として混入される金属繊維であって、
前記高耐候性鋼は、質量%で、少なくともCを0.08%以下、Siを1.00%以下、Niを7.00乃至10.50%、Crを18.00乃至20.00%で含有するSUS系高耐候性鋼であり、
前記コンクリート材料の内部に混入される際に非磁性である
ことを特徴とする金属繊維。
【請求項8】
前記高耐候性鋼の最大直径は0.5乃至0.8mmである
ことを特徴とする請求項7に記載の金属繊維。
【請求項9】
前記高耐候性鋼は、円環状に成形されている
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の金属繊維。
【請求項10】
前記高耐候性鋼は、多角形環状に成形されている
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の金属繊維。
【請求項11】
コンクリート材料の内部に補強材として請求項1乃至10のいずれか1つに記載の金属繊維が混入されたコンクリート構造体であって、
前記コンクリート材料は、ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントの中から選んだ1種で構成されている
ことを特徴とするコンクリート構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや橋梁等の建築物等に適用される、金属繊維で補強されたコンクリート構造体に関し、特に、耐塩害性や耐腐食性に優れかつコンクリート材料の剥離や崩落を防止できる金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物等に適用されるコンクリート構造体は、コンクリート材料の内部に補強のための鉄筋を備えたものとして構成されるが、このようなコンクリート構造体は、内包される鉄筋が劣化すると強度が著しく低下する。特に、海岸線の近くに建設される構造物に適用される場合には、海水や海からの飛来塩分がコンクリート材料の内部に浸透して塩化物イオンが生成され、この塩化物イオンが鉄筋の表面の酸化皮膜を破壊してしまい腐食(いわゆる「錆」)が進行する。
【0003】
このような鉄筋表面の腐食が発生すると、鉄筋の体積が膨張してしまい、その鉄筋周囲のコンクリート材料にひび割れが発生し、やがてはコンクリート材料が破断して剥離や崩落を生じる原因となる。このとき、鉄筋で補強したコンクリート構造体では、鉄筋以外のコンクリート材料の部分がひび割れによって大きな塊として分離するため、こうした大きなコンクリート材料の塊が落下した際の被害が甚大となるという問題があった。
【0004】
このような問題を解決する手法として、例えば特許文献1には、アルキド樹脂からなる塗料を塗布した防錆膜を表面に被覆した金属繊維を、補強材としてコンクリート材料に分散して混入させる技術が開示されている。かかる手法により、コンクリート材料にひび割れが入ったとしても多数の金属繊維が剥離及び崩落を防止するとともに、表面の防錆膜により金属繊維に錆が発生するのを抑制することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−146442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載された金属繊維は、その製造過程において、樹脂被膜を塗布する工程を設ける必要があるとともに、同径の金属繊維に比べて被膜の樹脂の分だけ重量が増加してしまう。また、コンクリート材料に埋入する際に多数の金属繊維どうしが接触すると被膜に擦れや割れが生じやすく、これらの擦れや割れで生じる微小な亀裂が経年変化により進展して被膜を損傷してしまうため、混入時だけでなく運搬時や施工時にも被膜表面に損傷を与えないような細心の注意が必要となり、取り扱いが煩雑となる。さらに、樹脂製の被膜はコンクリート材料との結合性が低いため、金属繊維が単に直線状の形状の場合、ひび割れ等で分離したコンクリート塊がこれらの金属繊維から抜けてしまうという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、表面に特別な被覆処理を行うことなく、コンクリート材料にひび割れ等が生じたとしても剥離や崩落を防止できる金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によるコンクリート材料の内部に補強材として混入される金属繊維は、質量%で、少なくともCを0.18%以下、Siを1.00%以下で含有する繊維状鋼材である高耐候性鋼からなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明によるコンクリート材料の内部に補強材として上記の金属繊維が混入されたコンクリート構造体は、前記コンクリート材料がポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントの中から選んだ1種で構成されていることを特徴とする。
【0010】
かかる発明によれば、金属繊維を構成する金属材料として、耐腐食性が高い高耐候性鋼を用いることにより、表面に特別な被覆処理を行うことなく、コンクリート材料にひび割れ等が生じたとしても剥離や崩落を防止できる。
【0011】
上記した発明において、前記高耐候性鋼は、質量%で、少なくともCを0.08%以下、Siを1.00%以下、Niを7.00乃至10.50%、Crを18.00乃至20.00%で含有するSUS系高耐候性鋼である。このとき、前記SUS系高耐候性鋼は、非磁性であるのが好ましい。
【0012】
また、上記した発明において、前記高耐候性鋼は、質量%で、少なくともCを0.18%以下、Siを0.15乃至0.65%、Mnを1.25%以下、及びNiを0.70乃至3.50%で含有するNi系高耐候性鋼である。このとき、前記Ni系高耐候性鋼は、Niを0.70乃至1.70%の範囲あるいは2.50乃至3.50%の範囲で含むのが好ましい。そして、前記高耐候性鋼の最大直径は、その一例として、0.5乃至0.8mmである。
【0013】
さらに、上記した発明において、前記高耐候性鋼は、その少なくとも一部が屈曲あるいは屈折している。また、前記高耐候性鋼の両端には、鋭角をなす折り曲げ領域が形成されていてもよい。
【0014】
さらに、上記した発明において、前記高耐候性鋼は、所定幅の重なり領域を含む環状に成形されている。このとき、前記高耐候性鋼は、円環状あるいは多角形環状に成形されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例1による金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体の概略を示す図であって、
図1(a)はコンクリート構造体の側方部分断面図であり、
図1(b)は
図1(a)に示す金属繊維のうちの1つを拡大した側面図であり、
図1(c)は
図1(b)に示す金属繊維を含むコンクリート材料の近傍を拡大した部分断面図である。
【
図2】本発明の実施例1による金属繊維の具体例を示す成分表である。
【
図3】本発明の実施例2による金属繊維の概要を示す側面図である。
【
図4】本発明の実施例3による金属繊維の概要を示す側面図である。
【
図5】本発明の実施例4による金属繊維の概要を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体の具体的な構成について図面を用いて説明する。
【0017】
<実施例1>
図1は、本発明の実施例1による金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体の概略を示す図であって、
図1(a)はコンクリート構造体の側方部分断面図であり、
図1(b)は
図1(a)に示す金属繊維のうちの1つを拡大した側面図であり、
図1(c)は
図1(b)に示す金属繊維を含むコンクリート材料の近傍を拡大した部分断面図である。また、
図2は、本発明の実施例1による金属繊維の具体例を示す成分表である。
図1(a)に示すように、本発明の実施例1によるコンクリート構造体は、コンクリート材料20の内部に多数の金属繊維100が分散して混入されている。
【0018】
コンクリート材料20は、例えばその一例として、ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントの中から選んだ1種からなるセメントを含む材料であって、このようなセメントに砂や砂利等の骨材あるいは高炉スラグ微粉末やフライアッシュやシリカフューム等の混和材と化学混和剤と水とを混合して凝固することにより形成される。なお、本発明の代表的な一例におけるコンクリート材料110としては、上記したセメントを含むものであれば、様々な任意の骨材あるいは混和剤の種類又は配合量等を選択することにより、高強度コンクリートや軽量コンクリート、あるいは水密コンクリート等の様々な種類のコンクリートを含み得る。
【0019】
図1(b)に示すように、本発明の実施例1による金属繊維100は、その一例として、繊維の両端領域102a及び102bと、これらの領域を接続する屈曲領域104と、を含む。そして、
図1(c)に示すように、金属繊維100は、コンクリート材料20に埋め込まれる態様で用いられる。
【0020】
本発明の実施例1によるコンクリート構造体10において、
図1(c)に示すように、例えばコンクリート材料20にひび割れ等の亀裂Cが入って、コンクリート材料20が2つに分断されると、当該亀裂Cを引き離す方向に外力Fが作用する。このとき、金属繊維100が屈曲領域104を含むことにより、両端領域102a及び102bが外力Fの方向に対して斜めの配置となるため、コンクリート材料20が金属繊維100から抜けにくくなり、分離したコンクリート材料20の剥離や崩落が抑制される。
【0021】
金属繊維100は、質量%で、少なくともCを0.18%以下、Siを1.00%以下で含有する繊維状鋼材である高耐候性鋼からなる。その一例として、金属繊維100は、
図2に示すような成分元素を含む高耐候性鋼として構成される。このとき、金属繊維100は、例えば直径0.5mm乃至0.8mmの断面が矩形、六角形、八角形あるいは円形や半円等の任意の断面形状のものを採用できる。
【0022】
本発明の実施例1による金属繊維100を構成する高耐候性鋼は、いずれも質量%で、Cを0.18%以下、Siを0.55%以下、Mnを1.25%以下、Pを0.035%以下、Sを0.035%以下、Cuを0.20%乃至0.35%、Crを0.30乃至0.55%、残余をFe及び不可避的不純物とする一般高耐候性鋼が例示できる。そして、その典型的な一例として、例えば
図2に示す鋼Aが適用される。
【0023】
また、本発明の実施例1による金属繊維100を構成する高耐候性鋼は、その変形例として、いずれも質量%で、Cを0.18%以下、Siを0.15乃至0.65%、Mnを1.25%以下、Pを0.035%以下、Sを0.035%以下、Cuを0.30%乃至1.00%、Crを0.08%以下、Niを0.70乃至3.50%、残余をFe及び不可避的不純物とするNi系高耐候性鋼が例示できる。このとき、Ni系高耐候性鋼は、Niを0.70乃至1.70%の範囲あるいは2.50乃至3.50%の範囲で含むのが好ましい。そして、その典型的な一例として、例えば
図2に示す鋼B及び鋼Cが適用される。
【0024】
さらに、本発明の実施例1による金属繊維100を構成する高耐候性鋼は、その変形例として、いずれも質量%で、Cを0.08%以下、Siを1.00%以下、Mnを2.50%以下、Pを0.045%以下、Sを0.030%以下、Niを7.00乃至10.50%、Crを18.00乃至20.00%、Nを0.10乃至0.25%、残余をFe及び不可避的不純物とするSUS系高耐候性鋼が例示できる。そして、その典型的な一例として、例えば
図2に示す鋼Dが適用される。
【0025】
このとき、SUS系高耐候性鋼は、非磁性であるのが好ましい。これにより、例えばSUS系高耐候性鋼からなる金属繊維100がコンクリート材料20に混入されたコンクリート構造体10を、リニアモーターカー等の磁界を発生する構造物に適用するような場合であっても、コンクリート構造体10が磁界の影響を受けることがない。
【0026】
かかる構成により、本発明による金属繊維及びコンクリート構造体は、所定の成分範囲を含む高耐候性鋼により金属繊維を構成することにより、例えばポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメントの中から選んだ1種からなるセメントを含む一般的なコンクリート材料に該鉄筋を埋入したとしても、塩分を含む環境やコンクリート材料自体の中性化に対する十分な耐腐食性が得られる。そして、金属繊維であることの特性を活かすことで、表面に特別な被覆処理を行うことなく、コンクリート材料にひび割れ等が生じたとしても剥離や崩落を防止できる。
【0027】
<実施例2>
図3は、本発明の実施例2による金属繊維の概要を示す側面図である。
図3に示すように、本発明の実施例2による金属繊維200は、繊維の両端に位置する屈折領域202a及び202bと、これらの領域を接続する接続領域204と、を含む。なお、実施例2において、金属繊維200を構成する金属材料については、
図2に示すような実施例1の場合と共通であるため、ここでは再度の説明を省略する。
【0028】
本発明の実施例2による金属繊維200において、屈折領域202a及び202bは、端部が鋭角をなす折り曲げ領域として形成されている。これにより、コンクリート材料20に混入された多数の金属繊維200は、隣り合う金属繊維200どうしがこれらの屈折領域202a及び202bによって引っかかる態様で連結することができるため、コンクリート構造体10の引張方向の強度が向上する。
【0029】
かかる構成により、本発明の実施例2による金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体は、両端に屈折領域を含むことにより、実施例1で得られた効果に加えて、金属繊維どうしが連結作用を発揮してコンクリート構造体の引張方向の強度を向上させることが可能となる。
【0030】
<実施例3>
図4は、本発明の実施例3による金属繊維の概要を示す側面図である。
図4に示すように、本発明の実施例3による金属繊維300は、繊維の両端が所定幅で重なり合う重なり領域302と、当該重なり領域302以外の接続領域304と、を含む円環状の部材として形成されている。なお、実施例3においても、金属繊維300を構成する金属材料については、
図2に示すような実施例1の場合と共通であるため、ここでは再度の説明を省略する。
【0031】
ここで、例えば特許文献1で示したような一般的な金属繊維をコンクリート材料に混入した場合、混錬時に金属繊維どうしが絡み合って、「スチールボール」と呼ばれる繊維の塊が発生してしまうことがあった。これに対して、本発明の実施例3による金属繊維300において、繊維の両端302a及び302bが重なり領域302で重なり合うことによって閉空間Sを形成しているため、混錬時に金属繊維300どうしが絡まることがなく、いわゆるスチールボールの発生が抑制される。
【0032】
かかる構成により、本発明の実施例3による金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体は、金属繊維を円環状で閉空間を形成するように構成したことにより、実施例1で得られた効果に加えて、金属繊維どうしが絡み合って塊状となる、いわゆる「スチールボール」の発生を抑制することができる。
【0033】
<実施例4>
図5は、本発明の実施例4による金属繊維の概要を示す側面図である。
図5に示すように、本発明の実施例4による金属繊維400は、繊維の両端が角部において所定幅で重なり合う重なり領域402と、当該重なり領域402以外の接続領域404と、を含む三角形環状の部材として形成されている。なお、実施例4においても、金属繊維400を構成する金属材料については、
図2に示すような実施例1の場合と共通であるため、ここでは再度の説明を省略する。
【0034】
本発明の実施例4による金属繊維400において、繊維の両端402a及び402bはそれぞれ折り曲げ領域として形成されており、これらが重なり合うことにより、三角形の角部の1つを形成している。これにより、金属繊維400は、重なり領域402で重なり合うことによって閉空間Sを形成するとともに、折り曲げ領域を含む重なり領域402の剛性が高められる。なお、
図5に示す具体例では、金属繊維400が三角形環状である場合を例示したが、四角形以上の多角形の形状を採用してもよい。
【0035】
かかる構成により、本発明の実施例4による金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体は、角部に端部の重なり領域を配置した多角形環状に形成したことにより、実施例1及び3で得られた効果に加えて、金属繊維自体の剛性を向上させることができる。その結果として、環状に形成された金属繊維の法線方向に負荷されるコンクリート材料からの外力に対する抵抗として機能させることが可能となる。
【0036】
以上、本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれらの例に限定されるものではない。また、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0037】
10 コンクリート構造体
20 コンクリート材料
100、200、300、400 金属繊維
102a、102b 両端領域
104 屈曲領域
202a、202b 屈折領域
204 接続領域
302 重なり領域
302a、302b (繊維の)両端
304 接続領域
402 重なり領域
402a、402b (繊維の)両端
404 接続領域
【要約】
【課題】 表面に特別な被覆処理を行うことなく、コンクリート材料にひび割れ等が生じたとしても剥離や崩落を防止できる金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体の提供。
【解決手段】 本発明は、高耐候性鋼からなり、コンクリート材料の内部に補強材として混入される金属繊維及びこれを適用したコンクリート構造体である。この発明において、金属繊維を構成する高耐候性鋼は、質量%で、少なくともCを0.18%以下、Siを1.00%以下で含有する繊維状鋼材であることを特徴とする。
【選択図】
図1