特許第6405099号(P6405099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405099
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/35 20060101AFI20181004BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20181004BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   A61K8/35
   A61K8/34
   A61K8/36
   A61K8/37
   A61K8/89
   A61K8/24
   A61Q19/00
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-40073(P2014-40073)
(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公開番号】特開2014-172909(P2014-172909A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2017年3月1日
(31)【優先権主張番号】13158445.0
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100106541
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 信和
(72)【発明者】
【氏名】ペサロ マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ランゲ サビーネ
(72)【発明者】
【氏名】シュマウス ゲルハルト
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0059924(US,A1)
【文献】 特開平07−206645(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0110415(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0269494(US,A1)
【文献】 特開平09−136814(JP,A)
【文献】 特表2013−518101(JP,A)
【文献】 特表2011−528684(JP,A)
【文献】 特表2007−515380(JP,A)
【文献】 特表2010−530297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 4−ヒドロキシアセトフェノンと、
(b) (b1)少なくとも一つの油体または(b2)ワックスと、
(c) 少なくとも一つの乳化剤と、を含み、
前記4−ヒドロキシアセトフェノンは最終組成物に対して0.1〜2.0重量%で存在する、化粧品組成物。
【請求項2】
さらに、(d)少なくとも一つの活性成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記油体(b1)が以下を含む群から選択される、請求項1または2に記載の組成物:炭素原子を6〜18個含有する脂肪アルコール系のゲルベ(Guerbet)アルコール類、C−C22の直鎖もしくは分岐脂肪族アルコール類を有するC−C22直鎖脂肪族のエステルまたはC−C22の直鎖もしくは分岐脂肪族アルコール類を有するC−C13直鎖脂肪族のエステル、直鎖C−C22脂肪酸と分岐脂肪アルコールとのエステル、C18−C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分岐C−C22脂肪アルコールとのエステル、直鎖および/または分岐脂肪酸と多価アルコールおよび/またはゲルベアルコールとのエステル、C−C10脂肪酸系のトリグリセリド、C−C18脂肪酸系の液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C−C22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸とのエステル、C−C12ジカルボン酸と1〜22個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルコールとのエステルもしくは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含有するポリオールとのエステル、植物油、分岐第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分岐C−C22脂肪アルコールカーボネート、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含有する脂肪アルコール系のゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分岐C−C22アルコールとのエステル、アルキル基一つあたり6〜22個の炭素原子を含有する直鎖または分岐、対称または非対称ジアルキルエーテル、ポリオールによるエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーンオイル、および/または脂肪族もしくはナフテン炭化水素、および鉱油並びにこれらの混合物。
【請求項4】
前記ワックス(b2)が以下を含む群から選択される、請求項1に記載の組成物:過脂肪剤、コンシステンシーファクター(粘土調整剤)、真珠色化ワックス、天然ワックス、およびこれらの混合物。
【請求項5】
前記乳化剤(c)が以下を含む群から選択される、請求項1または2に記載の組成物:非イオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、およびこれらの混合物。
【請求項6】
前記活性成分(d)が以下を含む群から選択される、請求項に記載の組成物:研磨材、抗アクネ剤、皮膚用アンチエイジング剤、抗蜂巣炎剤、抗フケ剤、抗炎症薬、炎症抑制剤、炎症阻害剤、抗酸化剤、収斂剤、発汗抑制剤、防腐剤、静電防止剤、結合剤、緩衝剤、担体材料、キレート剤、細胞刺激剤、クレンジング剤、ケア剤、脱毛剤、界面活性物質、脱臭剤、制汗剤、軟化剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、被膜剤、固定剤、発泡剤、発泡安定剤、発泡防止剤、発泡増強剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアセット剤、ヘア矯正剤、湿気付与剤、加湿剤、保湿剤、漂白剤、補強剤、しみ抜き剤、光学的漂白剤、含浸剤、防汚剤、減摩剤、潤滑剤、保湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、艶出剤、光沢剤、ポリマー、粉剤、プロテイン剤、再油化剤、研削剤、シリコーン剤、皮膚用鎮痛剤、スキンクレンジング剤、スキンケア剤、皮膚用治癒剤、皮膚用美白剤、皮膚保護剤、皮膚柔軟化剤、発毛促進剤、冷却剤、皮膚用冷却剤、加温剤、皮膚用加温剤、安定剤、紫外線吸収剤、UVフィルタ、洗剤、繊維コンディショニング剤、沈澱防止剤、スキンブラウニング剤、増粘剤、ビタミン剤、油、ワックス、脂肪、ホスホリピド、飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸あるいはポリ不飽和脂肪酸、α−ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、色保護剤、顔料、防錆剤、芳香剤、風味物質、香料物質、ポリオール、界面活性剤、電解質、有機溶剤、またはシリコーン誘導体。
【請求項7】
水を含むあるいは水を実質的に含まない製剤である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項8】
前記製剤がO/W(水中油型)、W/O(油中水型)または多重性のO/W/O(油中水中油型)もしくはW/O/W(水中油中水型)エマルションである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
前記製剤がローション、クリーム、またはスティックである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項10】
0.1〜2.0重量%の4−ヒドロキシアセトフェノンを添加し、エマルションを安定化させる方法。
【請求項11】
化粧品組成物の安定化剤としての4−ヒドロキシアセトフェノンの使用。
【請求項12】
化粧品組成物の官能プロフィルを向上させる添加物としての4−ヒドロキシアセトフェノンの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品分野に関連し、特に安定性を向上させた、選択されるアセトフェノン誘導体から成る新規な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品組成物は、典型的には多数の成分を含む。平均的なナイトクリームの成分表を見てみると、多い場合には20種類もの成分が記載されており、多くの問題を同時にすべて解決するためにできる限り多くの成分を配合する傾向がある。事実多くの消費者が組成物が複雑であるほど利点も多いと考えており、高性能を期待して高価格にも納得している。一方で、組成物がより複雑になるにつれ、その各成分間におけるマイナスの相互作用を回避することはより困難となる。化粧品組成物における大きな課題として特にあらゆるタイプのエマルションにおける安定性の問題があることは言うまでもないが、このような問題は特に過剰な高温や低温にさらされるなど保存条件が十分でない場合などに生じる。
【0003】
他の問題としては官能プロフィルに関する問題がある。延展性、アフターフィール、および香りは、皮膚に塗布した後にその化粧剤を全体として消費者が気に入るかどうかの要因となる重要なパラメータである。
【0004】
エマルション油体の皮膚上での延展速度が速いほどカスタマーの使用感は良くなる。製剤の延展挙動やその官能プロファイルは、組成物中の粒子の平均粒径に左右される。すなわち、粒径が小さいほど製剤は速く延展する。よって、平均粒径分布値を低減させるための添加剤が未だ求められている。
【0005】
特にシャンプー組成物における他の課題として泡の安定性および粘度が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/128723号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、他の成分との間においてマイナスの相互作用を生じずに、その添加物を含有する化粧品組成物の安定性、粘度、および官能プロフィルを向上させ得る多機能な化粧剤添加物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的のため、本発明に係る化粧品組成物は以下を含む:
(a) 以下の式のアセトフェノン誘導体のうち少なくとも一つと、
【化1】

[式中、
は水素またはメチル基を表し、
は水素、ヒドロキシル基、または−OCH基またはその化粧品として許容される塩または薬学的に許容される塩を表す。]
(b) 少なくとも一つの油体またはワックスと、
(c) 少なくとも一つの乳化剤と、選択的に
(d) 少なくとも一つの活性成分。
【0009】
驚くべきことに、本発明に係るアセトフェノン誘導体が上述の要求をすべて同時に満たすことが分かった:
・式(I)のアセトフェノン誘導体を添加すると、厳しい保存状態においてさえも化粧品製剤の安定性が向上し、また
・同時に、化粧品製剤にアセトフェノン誘導体を添加すると官能プロフィルが向上する。特に、アセトフェノン誘導体は組成物中の粒子を小径化する。すなわち、油または水の粒子が微細化されるので、皮膚に対する刺激が低減する。これにより、例えばクリームやローションなどのべたついたアフターフィールが低減する。デオドラントの場合、より滑らかに感じられるようになり、皮膚に塗布した際に、よりクリーミーな感覚となる;
・更に、式のアセトフェノン誘導体はシャンプーの泡の安定性を向上させ、シャンプー製剤の粘度を高める。
【0010】
従って、式(I)のアセトフェノン誘導体は、いわゆる「真に多機能な成分」に対する要求を満たす。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るアセトフェノン誘導体は、有機化学における常法により得られる既知化合物を表す。置換基ORおよびRがオルト、メタまたはパラ位においてメチルケト基に向けて配置できることが分かる。
【0012】
好ましくは、これらの種類の化合物は、下記より成る群またはそれらの混合物から選択される:
2−ヒドロキシアセトフェノン
【化2】
3−ヒドロキシアセトフェノン
【化3】
4−ヒドロキシアセトフェノン。
【化4】
【0013】
このことは、前記誘導体の化粧品として許容される塩または薬学的に許容される塩に関する限り、このような塩を製薬用途において安全に用いることができることを意味する。これは、本発明またはそのあらゆる態様も、式(I)の化合物または相当する混合物を製薬用途における使用に限定することを意味しない。通常、塩を製薬用途で用いることができる場合、同様に化粧品用途あるいは食料品や飲料配合物に用いることができる。特に、式(I)の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩は(薬学的に)許容可能な塩であると考えられる。場合によっては、それぞれのイオン化合物、溶媒和化合物、担体を利用する方が、結果として未変性誘導体より優れていることもある。式(I)の化合物の(薬学的に)許容可能な塩(および対応する溶媒和化合物)は標準法により製造することができる。以下において、上記に定義した式(I)の化合物または対応する混合物に対する一切の言及は、対応する追加的な(薬学的に)許容可能な塩を含むものと理解されるべきである。
【0014】
好ましい実施例において、本製剤は、例えば2−ヒドロキシアセトフェノンおよび3−ヒドロキシアセトフェノン、または2−ヒドロキシアセトフェノンおよび4−ヒドロキシアセトフェノン、または−ヒドロキシアセトフェノンおよび4−ヒドロキシアセトフェノンなどの化合物(Ia)、(Ib)、(Ic)のうちの2つまたは3つを含む。

【0015】
この組成物に含まれるアセトフェノン誘導体の量は、最終組成物に対し約0.1〜5重量%、好ましくは約0.5〜2.5重量%、より好ましくは約1〜2重量%であってよい。
【0016】
油体
好適な油体(成分b1)は、例えば以下のものである:炭素原子を6〜18個、好ましくは8〜10個含有する脂肪アルコール系のゲルベ(Guerbet)アルコール類、C−C22の直鎖もしくは分岐脂肪族アルコール類を有するC−C22直鎖脂肪族のエステルまたはC−C22の直鎖もしくは分岐脂肪族アルコール類を有するC−C13直鎖脂肪族のエステル、例えばミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネートおよびエルシルエルケート。また、以下のものも好適である:直鎖C−C22脂肪酸と分岐脂肪アルコールとのエステル、特に2−エチルヘクサノール、C18−C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分岐C−C22脂肪アルコールとのエステル、特にジオクチルマレート、直鎖および/または分岐脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオールまたはトリマートリオール)および/またはゲルベアルコールとのエステル、C−C10脂肪酸系のトリグリセリド、C−C18脂肪酸系の液体モノ/ジ/トリグリセリド混合物、C−C22脂肪アルコールおよび/またはゲルベアルコールと芳香族カルボン酸(特に安息香酸)とのエステル、C−C12ジカルボン酸と1〜22個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルコールとのエステルもしくは2〜10個の炭素原子および2〜6個のヒドロキシル基を含有するポリオールとのエステル、植物性油、分岐第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖および分岐C−C22脂肪アルコールカーボネート、例えばジカプリリルカーボネート(Cetiol(登録商標)CC)、6〜18個、好ましくは8〜10個の炭素原子を含有する脂肪アルコール系のゲルベカーボネート、安息香酸と直鎖および/または分岐C−C22アルコールとのエステル(例えばFinsolv(登録商標)TN)、アルキル基一つあたり6〜22個の炭素原子を含有する直鎖または分岐、対称または非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)、ポリオールによるエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、シリコーンオイル(シクロメチコン、シリコーンメチコングレード等)、脂肪族またはナフテン炭化水素、例えばスクアラン、スクアレン、またはジアルキルシクロヘキサン、および/または鉱油。
【0017】
ワックス
好適なワックス(成分b2)群のうち以下は互いに区別してよい:
・過脂肪剤
・コンシステンシーファクター(粘度調整剤)
・真珠色化ワックス
・天然ワックス
過脂肪剤
過脂肪剤は、例えば、ラノリンおよびレシチン、更にポリエトキシル化またはアシル化したラノリンおよびレシチン誘導体、ポリオール脂肪酸エステル、モノグリセリドおよび脂肪酸アルカノールアミド(後者は、発泡安定剤としても働く)等から選択されて良い。
コンシステンシーファクター(粘度調整剤)
好適なコンシステンシーファクターの例としては、主に12〜22個、好ましくは16〜18個の炭素原子を含む脂肪アルコールまたはヒドロキシ脂肪アルコール、更に炭素原子数の範囲が互いに同一である部分グリセリド、脂肪酸またはヒドロキシ脂肪酸が挙げられる。これらの物質と、アルキルオリゴグルコシドおよび/または同じ鎖長の脂肪酸N−メチルグルカミドおよび/またはポリグリセロールポリ−12−ヒドロキシステアレートとの組合せが好ましい。
真珠色化ワックス
好適な真珠色化ワックスの例は、アルキレングリコールエステル、特にエチレングリコールジステアレート;脂肪酸アルカノールアミド、特にヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド;部分グリセリド、特にステアリン酸モノグリセリド;多塩基性の所望によりヒドロキシ置換されたカルボン酸と、6〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールとのエステル、特に酒石酸の長鎖エステル;合計して少なくとも24個の炭素原子を含む脂肪化合物、例えば、脂肪アルコール、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪エーテルおよび脂肪カーボネート、特にラウロンおよびジステアリルエーテル;脂肪酸、例えばステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸またはベヘン酸;12〜22個の炭素原子を含むオレフィンエポキシドの、12〜22個の炭素原子を含む脂肪アルコールおよび/または2〜15個の炭素原子および2〜10個のヒドロキシ基を含むポリオールによる開環生成物;およびこれらの混合物である。
天然ワックス
天然オイルを用いて良いが、天然ワックスもまた製剤中に存在していて良く、この天然ワックスの例としては以下が挙げられる:キャンデリラワックス、カルナバワックス、木蝋、アフリカハネガヤワックス、コルクワックス、グアルマワックス、コメ胚油ワックス、サトウキビワックス、オウリキュリーワックス、モンタンワックス、蜜蝋、セラックワックス、鯨蝋、ラノリン(羊毛)ワックス、尾羽脂、セレシン、オゾケライト(地蝋)、ペトロラタム、パラフィンワックス、微結晶ワックス;化学修飾したワックス(硬ワックス)、例えばモンタンエステルワックス、サゾールワックス、水素化ホホバワックス、ならびにポリアルキレンワックスおよびポリエチレングリコールワックスなどの合成ワックス。
【0018】
乳化剤
本発明の組成物はまた、乳化剤(成分c)を選択的に含んで良い。この乳化剤は非イ
オン性、アニオン性、カチオン性、および/または両性の性質のものでよい。
【0019】
特に好ましくは非イオン性乳化剤であり、例えば以下を含む:
・2〜30molの酸化エチレンおよび/または0〜5molの酸化プロピレンの直鎖C8−22脂肪アルコールへの付加生成物、C12−22脂肪酸への付加生成物、およびアルキル基において8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールへの付加生成物;
・1〜30molの酸化エチレンのグリセロールへの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステル;
・6〜22個の炭素原子を有する飽和および不飽和脂肪酸のグリセロールモノおよびジエステルへの付加生成物ならびにソルビタン モノおよびジエステルへの付加生成物ならびにその酸化エチレンへの付加生成物;
・15〜60molの酸化エチレンのヒマシ油および/または硬化ヒマシ油への付加生成物;
・ポリオールエステルおよび特にポリグリセロール ポリリシノレート、ポリグリセロール ポリ−12−ヒドロキシヒドロキシステアレートまたはポリグリセロール ダイメレート イソステアレートなどのポリグリセロールエステル。
これらの種類のうちのいくつかの混合物もまた適切である:
・2〜15molの酸化エチレンのヒマシ油および/または硬化ヒマシ油への付加生成物;
・直鎖、分岐、不飽和または飽和C6/22脂肪酸、リシノール酸および12−ヒドロキシステアリン酸、およびグリセロール、ポリグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリスリトール、糖アルコール(例えばソルビトール、アルキルグルコシド(例えばメチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えばセルロース)系の部分エステル;
・リン酸モノ−、ジ−およびトリアルキルおよびPEG−モノ−、ジ−およびトリアルキル−リン酸エステルおよびその塩);
・羊毛ろうアルコール;
・ポリシロキサン/ポリアルキルポリエーテルコポリマーおよび相当する誘導体;
・ペンタエリスリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/またはC6−22脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオール(好ましくはグリセロールまたはポリグリセロール)との混合エステル;
・ポリアルキレングリコール、および;
・グリセロールカーボネート。
【0020】
酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンの、脂肪アルコール、脂肪酸、アルキルフェノール、脂肪酸のグリセロールモノ−およびジエステルならびにソルビタン モノ−およびジエステルへの付加生成物またはヒマシ油ジエステルへの付加生成物は、既知の市販品である。これらは、アルコキシル化度の平均が酸化エチレンの数および/または酸化プロピレンの数と添加反応との間の比率に対応する、添加反応に用いるホモログ混合物および基板である。酸化エチレンのグリセリンへの付加生成物のC12/18脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、化粧品配合物に対する脂質層増強剤として知られている。好適な乳化剤の更なる詳細を以下に示す:
【0021】
C.1 部分グリセリド
好適な部分グリセリドは代表例として下記を含む:ヒドロキシステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸ジグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリド、イソステアリン酸ジグリセリド、オレイン酸モノグリセリド、オレイン酸ジグリセリド、リシノール酸モノグリセリド、リシノール酸ジグリセリド、リノール酸モノグリセリド、リノール酸ジグリセリド、リノレン酸モノグリセリド、リノレン酸ジグリセリド、エルカ酸モノグリセリド、エルカ酸ジグリセリド、酒石酸モノグリセリド、酒石酸ジグリセリド、クエン酸モノグリセリド、クエン酸ジグリセリド、リンゴ酸モノグリセリド、リンゴ酸ジグリセリド、およびこれらの技術的混合物で製造工程から少量のトリグリセリドを含むものもまた好適である。1〜30mol、好ましくは5〜10molの酸化エチレンの上述の部分グリセリドへの付加生成物もまた好適である。
【0022】
C.2 ソルビタンエステル
好適なソルビタンエステルは、下記を含む:ソルビタン モノイソステアレート、ソルビタン セスキイソステアレート、ソルビタン ジイソステアレート、ソルビタン トリイソステアレート、ソルビタン モノオレエート、ソルビタン セスキオレエート、ソルビタン ジオレエート、ソルビタン トリオレエート、ソルビタン モノエルケート、ソルビタン セスキエルケート、ソルビタン ジエルケート、ソルビタン トリエルケート、ソルビタン モノリシノレート、ソルビタン セスキリシノレート、ソルビタン ジリシノレート、ソルビタン トリリシノレート、ソルビタン モノヒドロキシステアレート、ソルビタン セスキヒドロキシステアレート、ソルビタン ジヒドロキシステアレート、ソルビタン トリヒドロキシステレート、ソルビタン モノタートレート、ソルビタン セスキタートレート、ソルビタン ジタートレート、ソルビタン トリタートレート、ソルビタン モノシトラート、ソルビタン セスキシトラート、ソルビタン ジシトラート、ソルビタン トリシトラート、ソルビタン モノマレエート、ソルビタン セスキマレエート、ソルビタン ジマレエート、ソルビタン トリマレエートおよびこれらの技術的混合物。1〜30mol、好ましくは5〜10molの酸化エチレンの上述の部分グリセリドへの付加生成物もまた好適である。
【0023】
C.3 ポリグリセロールエステル
好適なポリグリセロールエステルは代表例として下記を含む:ポリグリセリル−2 ジポリヒドロキシステレート(Dehymuls(登録商標)PGPH))、ポリグリセリル−3−ジイソステアレート(Lame form(登録商標)TGI))、ポリグリセリル−4 イソステアレート(Isolan(登録商標)GI 34))、ポリグリセリル−3 オレエート、ジイソステアロイル ポリグリセリル−3 ジイソステアレート(Isolan(登録商標)PDI))、ポリグリセリル−3 メチルグルコース ジステアレート(Tego Care(登録商標)450))、ポリグリセリル−3 蜜蝋(Cera Bellina(登録商標))、ポリグリセリル−4 カプレート(Polyglycerol Caprate T2010/90))、ポリグリセリル−3 セチル エーテル(Chimexane(登録商標)NL))、ポリグリセリル−3 ジステアレート(Cremophor(登録商標)GS 32)およびポリグリセリン ポリリシノレート(Admul(登録商標)WOL 1403)、ポリグリセリル ダイメレート イソステアレート、ならびにそれらの混合物。他の好適なポリオールエステルとしては、例えば、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールと、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸、獣脂脂肪酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などとのモノ、ジおよびトリエステルであって、場合によりエチレンオキシド1〜30molと反応したもの等を挙げることができる。
【0024】
C.4 アニオン性乳化剤
アニオン性乳化剤の代表的な例としては、例えば脂肪族C12−22脂肪酸であり、例えばパルミチン酸、ステアリン酸またはベヘン酸、および例えば、C12−22ジカルボン酸、例えばアゼライン酸またはセバシン酸がある。
【0025】
C.5 両性または双性イオン性乳化剤
他の好適な乳化剤としては、両性あるいは双イオン性界面活性剤がある。双イオン性界面活性剤は、分子中に少なくとも一つの4級アンモニウム基、少なくとも一つのカルボキシラートおよび一つのスルホン酸塩を含む、界面活性な化合物である。特に好適な双イオン性界面活性剤としては、いわゆるベタイン、例えばN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココナツアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチル アンモニウムグリシネート、例えばココナツアシルアミノプロピル ジメチル アンモニウムグリシネート、および8〜18個の炭素原子のアルキルまたはアシル基を有する2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチル イミダゾリンおよびココナツアシルアミノエチルヒドロキシエチル カルボキシメチルグリシネートがある。コカミドプロピルベタインというCTFA名で知られている脂肪酸アミド誘導体が最も好ましい。両性界面活性剤も好適な乳化剤である。両性界面活性剤としては、C8/18アルキルまたはアシル基に加え、分子内に少なくとも一つの遊離アミノ基および少なくとも一つの−COOH−または−SOH−基を有し、分子内塩を形成する界面活性化合物である。好適な両性界面活性剤は、約8〜18個の炭素原子のアルキル基を有するN−アルキルグリシン、N−アルキルプロピオン酸、N−アルキルアミノ酪酸、N−アルキルイミノジプロピオン酸、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N−ココナツアルキルアミノプロピオン酸、ココナツアシルアミノエチルアミノプロピオン酸およびC12/18アシルサルコシンである。
【0026】
活性成分
本発明に係る組成物は、「活性成分」という文言に含まれる追加成分(成分d)を含んでもよい。好適な成分は、例えば以下の追加の助剤および添加剤である:研磨材、抗アクネ剤、皮膚用アンチエイジング剤、抗蜂巣炎剤、抗フケ剤、抗炎症薬、炎症抑制剤、炎症阻害剤、抗酸化剤、収斂剤、発汗抑制剤、防腐剤、静電防止剤、結合剤、緩衝剤、担体材料、キレート剤、細胞刺激剤、クレンジング剤、ケア剤、脱毛剤、界面活性物質、脱臭剤、制汗剤、軟化剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、被膜剤、固定剤、発泡剤、発泡安定剤、発泡防止剤、発泡増強剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアセット剤、ヘア矯正剤、湿気付与剤、加湿剤、保湿剤、漂白剤、補強剤、しみ抜き剤、光学的漂白剤、含浸剤、防汚剤、減摩剤、潤滑剤、保湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、艶出剤、光沢剤、ポリマー、粉剤、プロテイン剤、再油化剤、研削剤、シリコーン剤、皮膚用鎮痛剤、スキンクレンジング剤、スキンケア剤、皮膚用治癒剤、皮膚用美白剤、皮膚保護剤、皮膚柔軟化剤、発毛促進剤、冷却剤、皮膚用冷却剤、加温剤、皮膚用加温剤、安定剤、紫外線吸収剤、UVフィルタ、洗剤、繊維コンディショニング剤、沈澱防止剤、スキンブラウニング剤、増粘剤、ビタミン剤、油、ワックス、脂肪、ホスホリピド、飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸あるいはポリ不飽和脂肪酸、α−ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、色保護剤、顔料、防錆剤、芳香剤、風味物質、香料、ポリオール、界面活性剤、電解質、有機溶剤、またはシリコーン誘導体等。
【0027】
D.1 増粘剤およびレオロジー添加物
好適な増粘剤は、例えば、アエロジル(登録商標)グレード(親水性シリカ)、多糖、特にキサンタンガム、グアー、寒天、アルギン酸塩およびチロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース、更に比較的高分子量の脂肪酸ポリエチレングリコールモノエステルおよびジエステル、ポリアクリレート(例えば、Carbopol(登録商標)(Goodrich);Synthalens(登録商標)(Sigma);ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン、エトキシル化脂肪酸グリセリドなどの界面活性剤、脂肪酸とペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパンなどのポリオールとのエステル、狭い同族体分布を有する脂肪アルコールエトキシレートならびに塩化ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの電解質である。
【0028】
D.2 ポリマー
好適な陽イオン性ポリマーは、例えば以下を含む:陽イオン性セルロース誘導体、例えば第四級化したヒドロキシエチルセルロース(AmercholからPolymer JR 400(登録商標)の名称で入手できる)、陽イオン性デンプン、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドのコポリマー、第四級化したビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、例えばLuviquat(登録商標)(BASF)、ポリグリコールとアミンの縮合生成物、第四級化したコラーゲンポリペプチド、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L、Gruenau)、第四級化したコムギポリペプチド、ポリエチレンイミン、陽イオン性シリコーンポリマー、例えばアミドメチコーン、アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー(Cartaretin(登録商標)、Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(Merquat(登録商標)550、Chemviron)、ポリアミノポリアミドおよびその架橋した水溶性ポリマー、陽イオン性キチン誘導体、例えば第四級化したキトサン(微結晶分散してもよい)、ジブロモブタンなどのジハロアルキルとビス−ジメチルアミノ−1,3−プロパンなどのビスジアルキルアミンとの縮合生成物、Celanese社製のJaguar(登録商標)CBS、Jaguar(登録商標)C−17、Jaguar(登録商標)C−16などの陽イオン性グアーガム、Miranol社製のMirapol(登録商標)A−15、Mirapol(登録商標)AD−1、Mirapol(登録商標)AZ−1)などの第四級化したアンモニウム塩ポリマー、並びにRheocare(登録商標)CCあるいはUltragel(登録商標)300の名称で市場において入手できる種々のポリクォータニウム(例えば、6、7,32、37)。
【0029】
好適なアニオン性、双性イオン性、両性および非イオン性ポリマーは、例えば、酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、ビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル/マレイン酸ブチル/アクリル酸イソボルニルコポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマーおよびそのエステル、未架橋のポリアクリル酸およびポリオール架橋したポリアクリル酸、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/アクリレートコポリマー、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/tert−ブチルアミノエチルメタクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタムターポリマーおよび所望により誘導体化したセルロースエーテルおよびシリコーンである。
【0030】
D.3 シリコーン
好適なシリコーン化合物は、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環式シリコーン、ならびに、アミノ−、脂肪酸−、アルコール−、ポリエーテル−、エポキシ−、フッ素−、グリコシド−および/またはアルキル−修飾したシリコーン化合物であり、これらは、研磨剤室温で液体または樹脂形態のいずれかとして存在することができる。また、以下も好適である:200〜300のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチコンと水素化シリケートの混合物であるシメチコン。Todd等、Cosm.Toil.91,27(1976)が好適な揮発性シリコーンの詳細な説明を提供している。
【0031】
D.4 第1の日焼け防止ファクター
本発明の背景に基づく第1の日焼け防止ファクターは、例えば、室温で液体または結晶性であり、かつ、紫外線放射を吸収することができ、吸収したエネルギーを例えば熱などの長波長放射の形で放出することができる有機物質(光フィルタ)である。本発明に係る製剤は少なくとも一つのUV−Aフィルタおよび/または少なくとも一つのUV−Bフィルタおよび/または少なくとも一つの無機顔料を含むため有利である。
【0032】
本発明に係る製剤は好ましくは少なくとも一つのUV−Bフィルタまたは広帯域フィルタを有し、特により好ましくは少なくとも一つのUV−Aフィルタを有し少なくとも一つのUV−Bフィルタを有する。
【0033】
本発明に係る好ましい化粧品組成物、好ましくは局所用製剤は、例えば以下から成る群から選択される1、2、3あるいはそれ以上の数の日焼け防止ファクターを含む:4−アミノ安息香酸および誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート、3−イミダゾール−4−イルアクリル酸およびそのエステル、ベンゾフラン誘導体、ベンジリデンマロネート誘導体、一つまたは複数の有機シリコーンラジカル、ケイ皮酸誘導体、樟脳誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸誘導体およびその塩を含む高分子紫外線吸収剤、アントラニル酸メンチルエステル、ベンゾトリアゾール誘導体およびインドール誘導体。
【0034】
更にまた、式(I)の化合物と、皮膚に透過しかつ太陽光誘発損傷に対して皮膚細胞を内部から保護する有効成分とを組み合わせることが有利である。それぞれの成分、いわゆるアリール炭化水素受容体アンタゴニストは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/128723号に記載されている。2−ベンジリデン−5,6−ジメトキシ−3,3−ジメチルインダン−1−オンが好ましい。
【0035】
本発明の背景に従い用い得る下記のUVフィルタは、好ましく用いられるが、もちろん本発明を限定するものではない。
【0036】
本発明の製剤において式(I)の一つまたは複数化合物と好ましくは組み合わせられるUVフィルタは、下記より成る群から選択される:
・p−アミノ安息香酸
・p−アミノ安息香酸エチルエステル(25mol)エトキシル化(INCI名: PEG−25 PABA)
・p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルエステル
・p−アミノ安息香酸エチルエステル(2mol)N−プロポキシル化
・p−アミノ安息香酸グリセロールエステル
・サリチル酸ホモメンチルエステル(ホモサレート)(Neo Heliopan(登録商標)HMS)
・サリチル酸−2−エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)OS)
・トリエタノールアミンサリチレート
・4−イソプロピルベンジルサリチレート
・アントラニル酸メンチルエステル(Neo Heliopan(登録商標)MA)
・ジイソプロピルケイ皮酸エチルエステル
・p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)AV)
・ジイソプロピルケイ皮酸メチルエステル
・p−メトキシケイ皮酸イソアミルエステル(Neo Heliopan(登録商標)E 1000)
・p−メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン塩
・p−メトキシケイ皮酸イソプロピルエステル
・2−フェニルベンゾイミダールスルホン酸および塩(Neo Heliopan(登録商標)Hydro)
・3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチルスルフェート
・ベータ−イミダゾール−4(5)−アクリル酸(ウロカニン酸)
・3−(4’−スルホ)ベンジリデンボルナン−2−オンおよび塩
・3−(4’−メチルベンジリデン)−D,L−カンファ(Neo Heliopan(登録商標)MBC)
・3−ベンジリデン−D,L−カンファ
・N−[(2および4)−[2−(オキソボルン−3−イリデン)メチル]ベンジル]アクリルアミドポリマー
・4,4’−[(6−[4−(1,1−ジメチル)アミノカルボニル]フェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ)−ビス−(安息香酸−2−エチルヘキシルエステル)(Uvasorb(登録商標)HEB)
・ベンジリデンマロネートポリシロキサン(Parsol(登録商標)SLX)
・グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート
・ジプロピレングリコールサリチレート
・トリス(2−エチルヘキシル)−4,4’,4’’−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリルトリイミノ)トリベンゾエート
(= 2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン)(Uvinul(登録商標)T150)
【0037】
本発明の製剤において式(I)の一つまたは複数化合物と好ましくは組み合わせられる広域フィルタは、下記より成る群から選択される:
・2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(Neo Heliopan(登録商標)303)
・エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート
・2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(Neo Heliopan(登録商標)BB)
・2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸
・ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
・2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
・テトラヒドロキシベンゾフェノン
・2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン
・2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン
・2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン
・ナトリウムヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホネート
・二ナトリウム−2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5,5’−ジスルホベンゾフェノン
・フェノール,2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリル)オキシ)ジシロキサニル)プロピル))(Mexoryl(登録商標)XL)
・2,2’−メチレンビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(Tinosorb(登録商標)M)
・2,4−ビス−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−[{(4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(Tinosorb(登録商標)S)
・2,4−ビス−[{(4−(3−スルホナト)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンナトリウム塩
・2,4−ビス−[{(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル}−6−(4−(2−メトキシエチルカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−[{4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル}−6−(4−(2−エチルカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキシル)−2−ヒドロキシフェニル}−6−(1−メチルピロール−2−イル)−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−[{4−トリス−(トリメチルシロキシシリルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−[{4−(2’’−メチルプロペニルオキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
・2,4−ビス−[{4−(1’,1’,1’,3’,5’,5’,5’−ヘプタメチルシロキシ−2’’−メチルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ[{フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
【0038】
本発明の製剤において式(I)の一つまたは複数化合物と組み合わせられるUV−Aフィルタは、下記より成る群から選択される:
・4−イソプロピルベンジルメタン
・テレフタリリデンジボルナンスルホン酸および塩(Mexoryl(登録商標)SX)
・4−t−ブチル−4’−メトキシジベンジルメタン(アボベンゾン)/(Neo Heliopan(登録商標)357)
・フェニレンビスベンズイミダジルテトラスルホン酸二ナトリウム塩(Neo Heliopan(登録商標)AP)
・2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス−(1H−ベンゾイミダール−4,6−ジスルホン酸)、一ナトリウム塩
・2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A Plus)」
・独国特許出願公開第100 55 940号(=国際公開第02/38537号)によるインダニリデン化合物
【0039】
本発明の製剤において式(I)の一つまたは複数化合物とより好ましく組み合わせられるUVフィルタは、下記より成る群から選択される:
・p−アミノ安息香酸
・3−(4’−トリメチルアンモニウム)ベンジリデンボルナン−2−オンメチルスルフェート
・サリチル酸ホモメンチルエステル(Neo Heliopan(登録商標)HMS)
・2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(Neo Heliopan(登録商標)BB)
・2−フェニルベンズイミダールスルホン酸(Neo Heliopan(登録商標)Hydro)
・テレフタリリデンジボルナンスルホン酸および塩(Mexoryl SX)
・4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンジルメタン(Neo Heliopan 357)
・3−(4’−スルホ)ベンジリデンボルナン−2−オンおよび塩
・2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート(Neo Heliopan(登録商標)303)
・N−[(2,4)−[2−(オキソボルン−3−イリデン)メチル]ベンジル]アクリルアミドポリマー
・p−メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)AV)
・p−アミノ安息香酸エチルエステル(25mol)エトキシル化(INCI名: PEG−25 PABA)
・p−メトキシケイ皮酸イソアミルエステル(Neo Heliopan(登録商標)E1000)
・2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1−オキシ)−1,3,5−トリアジン(Uvinul(登録商標)150)
・フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリル)オキシ)ジシロキサニル)プロピル) )(Mexoryl(登録商標)XL)
・4,4’−[(6−[4−(1,1−ジメチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]−ビス−(安息香酸−2−エチルヘキシルエステル)(Uvasorb HEB)
・3−(4’−メチルベンジリデン)−D,L−カンファ(Neo Heliopan(登録商標)MBC)
・3−ベンジリデンカンファ
・サリチル酸−2−エチルヘキシルエステル(Neo Heliopan(登録商標)OS)
・4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルエステル(Padimate O)
・ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸およびナトリウム塩
・2,2’−メチレンビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール) (Tinosorb(登録商標)M)
・フェニレンビスベンズイミダジルテトラスルホン酸二ナトリウム塩(Neo Heliopan(登録商標)AP)
・2,4−ビス−[{(4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(Tinosorb(登録商標)S)
・ベンジリデンマロネートポリシロキサン(Parsol(登録商標)SLX)
・メンチルアントラニレート(Neo Heliopan(登録商標)MA)
・2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(Uvinul(登録商標)A Plus)
・独国特許出願公開第100 55 940号(=国際公開第02/38537号)によるインダニリデン化合物。
【0040】
有利な第1および第2の日焼け防止ファクターは国際特許出願公開第2005 123101号に開示されている。有利には、これらの製剤は、少なくとも一つのUVAフィルタおよび/または少なくとも一つのUV−Bフィルタおよび/または少なくとも一つの無機顔料を含有する。製剤は、ここでは、日焼け防止剤に通例用いるような様々な形態で存在し得る。従って、溶液、油中水型(W/O)または水中油型(O/W)のエマルションまたは多層乳剤、例えば水中油中水型(W/O/W)、ゲル、水性分散剤、固体スティックあるいはエアゾールの形であり得る。
【0041】
更に好ましい実施形態において、本発明の製剤は、本発明の製剤が合計で2以上(好ましくは5以上)のライトプロテクションファクタを有する日焼け止め剤、すなわち特にUVフィルタおよび/または無機顔料(UV濾過色素)を含有する。このような本発明に係る製剤は皮膚や毛髪を保護するのに特に好適である。
【0042】
D.5 第2の日焼け防止ファクター
上述の第1の日焼け防止ファクター群に加え、抗酸化性の第2の日焼け防止ファクターを用いてもよい。抗酸化性の第2の日焼け防止ファクターは、紫外線が皮膚に浸透を開始した時に光化学反応鎖が開始してしまうのを遮断する。代表的な例としては以下が挙げられる:アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えばD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロテン、(例えばアルファ−カロテン、ベータ−カロテン、リコペン)およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、アルファ−リノレイル、コレステリル、グリセリルおよびオリゴグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)およびスルホキシイミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキイシイミン)を非常に少量の許容量、また(金属)キレート化剤(例えば、アルファ−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン、アルファ−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体)、不飽和脂肪酸およびその誘導体(例えば、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えばアスコルビルパルミテート、マグネシウムアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート、アスコルビルグリコシド)、トコフェロールおよび誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンAパルミテート)およびベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアック樹脂酸、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、スーパーオキシドジスムターゼ、二酸化チタン(例えばエタノール中に分散したもの)、亜鉛およびその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレンおよびその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)および本発明の目的に適合する、これら列挙した有効成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)。
【0043】
有利な第2の光保護無機顔料は、国際公開第2005/123101号に記載の微細に分散した金属酸化物および金属塩である。無機顔料の全量、特に本発明の完成化粧品における疎水性無機マイクロ顔料は、各場合において製剤の全質量に基づき、有利には0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜10.0質量%である。
【0044】
更にまた好ましくは、必要により疎水化されていてもよい粒状UVフィルタまたは無機顔料、例えば酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化マンガン(例えばMnO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化セリウム(例えばCe)および/またはその混合物を用い得る。
【0045】
D.6 皮膚および/または毛髪の色を変更する活性成分
皮膚および/または毛髪のライトニングに好適な活性成分は以下を含む群から選択される:コウジ酸(5−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−ピラノン)、コウジ酸誘導体、好ましくはコウジ酸ジパルミタート、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、好ましくはアスコルビン酸リン酸マグネシウム、ヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体、レソルシノール、レソルシノール誘導体、好ましくは4−アルキルレソルシノールおよび4−(1−フェニルエチル)1,3−ジヒドロキシベンゼン(フェニルエチルレソルシノール)、シクロヘキシルカルバメート(好ましくは国際特許出願公開第2010/122178号および国際特許出願公開第2010/097480号に開示のシクロヘキシルカルバメートのうち一つまたは複数)、含硫黄分子、好ましくはグルタチオンまたはシステイン、α−ヒドロキシ酸(好ましくはクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、その塩およびエステル、N−アセチルチロシンおよび誘導体)、ウンデセノイルフェニルアラニン、グルコン酸、クロモン誘導体、好ましくはアロエシン、フラボノイド、1−アミノエチルホスフィン酸、チオウレア誘導体、エラグ酸、ニコチンアミド(ナイアシンアミド)、亜鉛塩、好ましくは亜鉛クロリドまたは亜鉛グルコネート、ツヤプリシンおよび誘導体、トリテルペン、好ましくはマスリン酸、ステロール、好ましくはエルゴステロール、ベンゾフラノン、好ましくはセンキュノリド、ビニルグイアコール、エチルグイアコール、ジオン酸、好ましくはオクタデセンジオン酸および/またはアゼライン酸、窒素酸化物合成阻害剤、好ましくはL−ニトロアルギニンおよびそれらの誘導体、2,7−ジニトロインダゾールまたはチオシトルリン、金属キレート剤(好ましくはα−ヒドロキシ脂肪酸、フィチン酸、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体)、レチノイド、豆乳および豆乳抽出物)、セリンプロテアーゼ阻害剤またはリポ酸、または皮膚および毛髪のライトニングのための他の合成もしくは天然の活性成分であり、前記天然活性成分は好ましくは植物抽出物の形で用いられ、この植物抽出物は好ましくはクマコケモモ抽出物、コメ抽出物、パパイア抽出物、ターメリック抽出物、クワ抽出物、バンクアン(bengkuang:ヒカマ)抽出物、ナッツグラス抽出物、カンゾウ根抽出物またはその濃縮成分もしくは単離成分、好ましくはグラブリジンまたはリコカルコンA、アルトカルプス抽出物、ルメクス種およびラムルス種の抽出物、マツ種(マツ属)の抽出物およびヴィティス種(ブドウ)の抽出物、またはそれらから単離または濃縮されたスチルベン誘導体、ユキノシタ抽出物、タツナミソウ抽出物、ブドウ抽出物、および/または微細藻類抽出物、特にテトラセルミス・スエシカ(藻)である。
【0046】
成分(b)として好適なスキンライトナーは、チロシナーゼ阻害剤としてのコウジ酸およびフェニルエチルレソルシノール、β−アルブチンおよびα−アルブチン、ヒドロキノン、ニコチンアミド、二酸、マグネシウムアスコルビルホスフェート、およびビタミンCとその誘導体、クワ抽出物、バンクアン(Bengkuang:ヒカマ)抽出物、パパイア抽出物、ターメリック抽出物、ナッツグラス抽出物、カンゾウ抽出物(グリチルリジン含有のもの)、α−ヒドロキシ酸、4−アルキルレソルシノール、4−ヒドロキシアニソールである。本発明において、これらのスキンライトナーは非常に良好な活性を有しているため好ましく、スクラレオライドとの組合せが特に好ましい。また前記好適なスキンライトナーは、入手が容易である。
【0047】
これに関して有利な皮膚および毛髪のダークニング活性成分は、チロシナーゼの基質または基質類似体、例えばL−チロシン、N−アセチルチロシン、L−DOPAまたはL−ジヒドロキシフェニルアラニン、キサンチンアルカロイド、例えば、カフェイン、テオブロミンおよびテオフィリン並びにこれらの誘導体、プロオピオメラノコルチンペプチド、例えばACTH、アルファ−MSH、これらのペプチド類似体およびメラノコルチン受容体に結合するその他の物質、ペプチド、例えばVal−Gly−Val−Ala−Pro−Gly、Lys−Ile−Gly−Arg−LysまたはLeu−Ile−Gly−Lys、プリン、ピリミジン、葉酸、銅塩、例えばグルコン酸銅、塩化銅またはピロリドン酸銅、1,3,4−オキサジアゾール−2−チオール、例えば5−ピラジン−2−イル−1,3,4−オキサジアゾール−2−チオール、クルクミン、ジグリシン酸亜鉛(Zn(Gly)2)、欧州特許出願公開第0 584 178号に記載された重炭酸マグネシウム(II)錯体(「シュードカタラーゼ」)、国際特許出願公開第2005/032501号に記載された四置換シクロヘキセン誘導体、国際特許出願公開第2005/102252号および国際特許出願公開第2006/010661号に記載されたイソプレノイド、メラニン誘導体、例えばメラシン−100およびメランZe、ジアシルグリセロール、脂肪族または環式ジオール、プソラレン、プロスタグランジンおよびこれらの類似体、アデニレートシクラーゼの賦活体およびケラチノサイトへのメラノソームの移入を活性化する化合物、例えば、セリンプロテアーゼまたはPAR−2受容体のアゴニスト、クリサンセマム(キク)種、ワレモコウ種の植物および植物部分の抽出物、クルミ抽出物、ウルクン抽出物、ルバーブ抽出物、マイクロアルジェ抽出物、特にイソクリシス・ガルバナ(Isochrysis galbana)抽出物、トレハロース、エリトルロースおよびジヒドロキシアセトンである。皮膚および毛髪を着色またはブラウニングするフラボノイド(例えば、ケルセチン、ラムネチン、カンフェロール、フィセチン、ゲニステイン、ダイドゼイン、クリシンおよびアピゲニン、エピカテキン、ジオスミンおよびジオスメチン、モリン、ケルシトリン、ナリンゲニン、ヘスペリジン、フロリドジンおよびフロレチン)もまた用い得る。
【0048】
本発明に係る製剤中に含有される上述の皮膚および/または毛髪の色を変更する追加の(一つまたは複数の化合物である)活性成分の量としては、その製剤の総重量を基準として、好ましくは0.00001〜30重量%、好ましくは0.0001〜20重量%、特に好ましくは0.001〜5重量%である。
【0049】
D.7 アンチエイジング活性剤
本発明の背景に従い、アンチエイジング製剤または生体製剤は、例えば抗酸化剤、マトリックスメタロプロティナーゼ阻害剤(Matrix Metalloproteinase Inhibitor:MMPI)、皮膚保湿剤、グリコサミングルカン合成刺激剤、抗炎症剤、TRPV1拮抗物質、および植物抽出物である。
【0050】
(i)抗酸化剤
本発明に係る製剤の成分として好適な抗酸化剤は以下を含む:アミノ酸(好ましくはグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(好ましくはウロカニン酸)およびその誘導体、ペプチド、例えばD,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびその誘導体(好ましくはアンセリン)、カルニチン、クレアチン、ペプチドマトリカイン(好ましくはリシル−トレオニル−トレオニル−リシル−セリン)およびパルミトイル化ペンタペプチド、カロテノイド、カロテン(好ましくはアルファ−カロテン、ベータ−カロテン、リコペン)およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(好ましくは、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(好ましくはチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、ガンマ−リノレイル、コレステリル、グリセリルおよびオリゴグリセリルのエステル)およびこれらの塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(好ましくはエステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)およびスルホキシイミン化合物(好ましくはブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキイシイミン)を非常に少量の許容量(例えばpmol〜μmol/kg)、また(金属)キレート化剤(好ましくはアルファ−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン、アルファ−ヒドロキシ酸(好ましくはクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、タンニン、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体)、不飽和脂肪酸およびその誘導体(好ましくはガンマ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびその誘導体、ユビキノールおよびその誘導体、ビタミンCおよび誘導体(好ましくはアスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート、アスコルビルグリコシド)、トコフェロールおよび誘導体(好ましくはビタミンEアセテート)、ビタミンAおよび誘導体(ビタミンAパルミテート)およびベンゾイン樹脂のコニフェリルベンゾエート、ルチン酸およびその誘導体、フラボノイドおよびそのグリコシル化前駆体、特にクエルセチンおよびその誘導体、好ましくはアルファ−グルコシルルチン、ローズマリー酸、カルノソール、カルノソール酸、レスベラトロール、コーヒー酸およびその誘導体、シナピン酸およびその誘導体、フェルラ酸およびその誘導体、クルクミノイド、クロロゲン酸およびその誘導体、レチノイド、好ましくはレチニルパルミテート、レチノールまたはトレチノイン、ウルソル酸、レブリン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤシン酸、ノルジヒドログアヤレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(好ましくはZnO、ZnSO)、セレンおよびその誘導体(好ましくはセレンメチオニン)、スーパーオキシドジムスターゼ、スチルベンおよびその誘導体(好ましくはスチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)および本発明の目的に適合する、これら列挙した有効成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)または抗酸化作用を有する植物、好ましくは緑茶、ロイボス、ハニーブッシュ、ぶどう、ローズマリー、セージ、メリッサ、タイム、ラベンダー、オリーブ、コムギ、ココア、イチョウ、ヤクヨウニンジン、カンゾウ、ハニーサックル、ソフォラ、プエラリア、マツ属、柑橘類、フィランタス・エンブリカ(Phyllanthus emblica:油柑)またはセントジョーンズワートの抽出物または蒸留物、ブドウの種、小麦麦芽、フィランタス・エンブリカ(油柑)、コエンザイム、好ましくはコエンザイムQ10、プラストキノン、およびメナキノンの抽出物または蒸留物。好ましい抗酸化剤はビタミンAおよびその誘導体、ビタミンCおよびその誘導体、トコフェロール(好ましくはトコフェリルアセテート)およびその誘導体、およびユビキノンから成る群から選択される。
【0051】
(ii) マトリックスメタロプロティナーゼ阻害剤(MMPI)
好ましい組成物はマトリックスメタロプロティナ−ゼ阻害剤、特にマトリックスメタロプロティナーゼに対する阻害性を有する酵素切断性コラーゲンであり、以下より成る群から選択される:ウルソル酸、レチニルパルミテート、没食子酸プロピル、プレコセン、6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチル−1(2H)−ベンゾピラン、3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−7−メトキシ−2,2−ジメチル−1(2H)−ベンゾピラン、ベンズアミジン塩酸塩、システインプロテイナーゼ阻害剤N−エチルマレミドおよびセリンプロテアーゼ阻害剤のイプシロン−アミノ−n−カプロン酸:フェニルメチルスルホニルフルオライド、コルヒビン(Pentapharm社;INCI:加水分解コメタンパク質)、エノテロール(Soliance社;INCI:プロピレングリコール、常水、エノテラビエニス(Oenotherabiennis)根エキス、エラグ酸およびエラギタニン(ellagitannins)、例えばザクロ由来)、ホスホルアミドンヒノキチオール、EDTA、ガラルジン、EquiStat(Collaborative Group社)、リンゴ果実エキス、大豆種子エキス、ウルソル酸、大豆イソフラボンおよび大豆タンパク質)、セージエキス、MDI(Atrium社;INCI:グリコサミノグリカン)、フェルミスキン(Silab/Mawi社;INCI:水およびレンチヌスエドデス(lentinus edodes)エキス)、actimp 1.9.3(Expanscience/Rahn社;INCI:加水分解ルピンプロテイン)、リポベルソーヤグリコン(lipobelle soyaglycone)(Mibelle社;INCI:アルコール、ポリソルベート80、レシチンおよび大豆イソフラボン)、国際公開第02/069992号に記載の緑茶および紅茶由来の抽出液および多数の更なる植物エキス(本明細書に参照により組み込まれる同文献中の表1−12参照)、大豆由来のタンパク質もしくは糖タンパク質、コメ、エンドウ豆、ルピナス、または植物由来のMMP阻害性を有する加水分解タンパク質、好ましくはシイタケ由来の抽出物、バラ科、バラ亜科の葉由来の抽出物、特に本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2005/123101号に記載のブラックベリーの葉エキス、例えばSymMatrix(Symrise社、INCI:マルトデキストリン)、Rubus Fruticosus(ブラックベリー)葉抽出物)。好ましい活性剤は下記より成る群から選択される:レチニールパルミチン酸塩、ウルソル酸、バラ科、バラ亜科の葉由来の抽出物、ゲニステイン、およびダイドゼイン。
【0052】
(iii)皮膚保湿剤
好ましい皮膚保湿剤は、アルカンジオールまたは3〜12の炭素原子(好ましくはC−C10−アルカンジオールおよびC−C10−アルカントリオール)を含むアルカントリオールより成る群から選択される。より好ましくは、皮膚保湿剤は、下記より成る群から選択される:グリセロール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールおよび1,2−デカンジオール。
【0053】
(iv)グリコサミノグリカン合成刺激剤
好ましい組成物は下記より選択される群から成るグリコサミノグリカンの合成を刺激する物質を含む:ヒアルロン酸およびその誘導体または塩、Subliskin(Sederma製、INCI:アルファルファ根粒菌培養濾液)、セチルヒドロキシエチルセルロース、レシチン)、Hyalufix(BASF製、INCI:水、ブチレングリコール、アルピニア ガランガ葉抽出物、キサンタンガム、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、Stimulhyal(Soliance製、INCI:カルシウムケトグルコネート)、Syn−Glycan(DSM製、INCI:テトラデシル アミノブチロイルバリルアミノブチル酸ウレア トリフルオロアセテート、グリセリン、塩化マグネシウム)、Kalpariane(Biotech Marine製)、DC Upregulex(特有の化粧料成分、INCI:水、ブチレングリコール、燐脂質、加水分解セリシン)、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、レチノイド、好ましくはレチノールおよびビタミンA、ゴボウ実抽出物、ビワ抽出物、ゲンクワニン、N−メチル−L−セリン、例えばSymrise製DragosantolおよびDragosantol100などの(−)−α−ビサボロールまたは合成α−ビサボロール、オートムギグルカン、ムラサキバレンギク抽出物、および加水分解大豆タンパク質。好ましい活性物質は下記より選択される群から成る:ヒアルロン酸およびその誘導体または塩、レチノールおよびその誘導体、Symrise製DragosantolおよびDragosantol100などの(−)−α−ビサボロールまたは合成α−ビサボロール、オートムギグルカン、ムラサキバレンギク抽出物、アルファルファ根粒菌培養濾液、カルシウムケトグルコネート、アルピニアガランガ葉抽出物、テトラデシル アミノブチロイルバリルアミノブチル酸ウレア トリフルオロアセテート。
【0054】
(v)抗炎症剤
本発明の組成物はまた、好ましくは、下記の群から選択される抗炎症成分、発赤抑制成分、痒み抑制成分、特に副腎皮質ステロイド系ステロイド物質から成る:ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンホスフェート、メチルプレドニゾロンまたはコルチゾン、これらは抗炎症活性成分または発赤抑制および痒み止め成分として有利に用いられ、これらの例には他のステロイド系抗炎症薬を加え得る。また非ステロイド系抗炎症薬も用いることができる。ここでは、例として次のものが挙げられる:ピロキシカムまたはテノキシカムなどのオキシカム;アスピリン、ジサルシド、ソルプリン、またはフェンドサルなどのサリチル酸塩;ジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチンまたはクリンダナクなどの酢酸誘導体;メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸またはニフルム酸などのフェナム酸;イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェンまたはフェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾン、フェブラゾンもしくはアザプロパゾンピラゾールといったピラゾールなどのプロピオン酸誘導体。アントラニル酸誘導体、特に国際特許出願公開第2004 047833号に記載のアベナンスラミドは本発明に係る組成物における好ましい痒み止め成分である。また下記のものも有用である:天然または天然に存在する抗炎症物質または発赤および/または痒みを抑制する物質の混合物、特に、カモミール、アロエベラ、コンミフォラ種、ルビア種、ヤナギ、ウィローハーブ、オートムギ、キンセンカ、アルニカ、セントジョーンズワート、ハニーサックル、ローズマリー、チャボトケイソウ、アメリカマンサク、ジンジャーまたはエキナセアの抽出物または蒸留物;好ましくは下記より選択される群から成る:カモミール、アロエベラ、オートムギ、カレンデュラ、アルニカ、ハニーサックル、ローズマリー、アメリカマンサク、ジンジャーまたはエキナセアの抽出物または蒸留物、および/または純粋物質、好ましくはアルファ−ビサボロール、アピゲニン、アピゲニン−7−グルコシド、ジンゲロール、ショウガオール、ギンゲルジオール、デヒドロジンゲジオン、パラドール、天然または天然に存在するアベナンスラミド、好ましくはトラニラスト、アベナンスラミドA、アベナンスラミドB、アベナンスラミドC、非天然または非天然に存在するアベナンスラミド、好ましくはジヒドロアベナンスラミドD、ジヒドロアベナンスラミドE、アベナンスラミドD、アベナンスラミドE、アベナンスラミドF、ボスウェル酸、フィトステロール、グリチルリジン、グラブリジンおよびリコカルコンA;好ましくは下記より選択される群から成る:アルファ−ビサボロール、天然アベナンスラミド、非天然アベナンスラミド、好ましくはジヒドロアベナンスラミドD(国際公開第2004 047833号に記載)、ボスウェル酸、フィトステロール、グリチルリジン、グラブリジンおよびリコカルコンA、および/またはアラントイン、パンテノール、ラノリン、(擬似)セラミド[好ましくはセラミド2、ヒドロキシプロピルビスパルミタミドMEA、セチルオキシプロピルグリセリルメトキシプロピルミリスタミド、N−(1−ヘキサデカノイル)−4−ヒドロキシ−L−プロリン(1−ヘキサデシル)エステル、ヒドロキシエチルパルミチルオキシヒドロキシプロピルパルミタミド]、グリコスフィンゴリピド、フィトステロール、キトサン、マンノース、ラクトース、β−グルカン、特にオートムギ由来の1,3−1,4−β−グルカン。
【0055】
(vi)TRPV1拮抗剤
TRPV1アンタゴニストとしての作用に基づきアセチルテトラペプチド−15などのμ−受容体の働きにより皮膚神経過敏症を抑制する好適な化合物としては、例えばtrans−4−tert−ブチルシクロヘキサノール(国際公開第2009/087242号に記載)またはTRPV1の間接的モジュレータが好ましい。
【0056】
(vii) 抗セルライト剤
抗セルライト剤および脂肪分解剤は好ましくは国際特許出願公開第2007/077541号に記載のもの、β−アドレナリン受容体作動薬、例えばシネフリンとその誘導体、および国際特許出願公開第2010/097479号に記載のシクロヘキシルカーバメートから成る群より選択される。抗セルライト剤の活性を増強またはブーストする薬剤、特にC神経線維を刺激し、および/または脱分極させる薬剤は好ましくは、カプサイシンとその誘導体、バニリル−ノニルアミドとその誘導体、L−カルニチン、コエンザイムA、イソフラボノイド、大豆抽出物、アナナス属(パイナップル)抽出物および共役リノール酸から成る群より選択される。
【0057】
(viii) 脂肪増強剤
本発明に係る配合物および製剤はまた、一つまたは複数の脂肪増強剤および/または脂肪生成剤並びに脂肪増強剤の活性を増強あるいはブーストする物質を含んでもよい。脂肪増強剤は、例えばヒドロキシメトキシフェニルプロピルメチルメトキシベンゾフラン(商品名:Sym3D(登録商標))である。
【0058】
D.8 発毛活性剤または阻害剤
本発明に係る配合物および製剤はまた、一つまたは複数の発毛活性剤、すなわち発毛刺激剤を含んでもよい。好ましい発毛活性剤は、ピリミジン誘導体、例えば2,4−ジアミノピリミジン−3−オキシド(Aminexil)、2,4−ジアミノ−6−ピペリジノピリミジン−3−オキシド(Minoxidil)およびその誘導体、6−アミノ−1,2−ジヒドロ−1−ヒドロキシ−2−イミノ−4−ピペリジノピリミジンおよびその誘導体、キサンチンアルカロイド、例えばカフェイン、テオブロミンおよびテオフィリンおよびその誘導体、クエルセチンおよび誘導体、ジヒドロクエルセチン(タキシホリン)および誘導体、カリウムチャネル開口薬、抗アンドロゲン剤、合成または天然5−還元酵素阻害剤、ニコチン酸エステル、例えばトコフェリルニコチネート、ベンジルニコチネートおよびC−Cアルキルニコチネート、タンパク質、例えばトリペプチドLys−Pro−Val、ジフェンシプレン、ホルモン、フィナステリド、デュタステライド、フルタミド、ビカルタミド、ブレグナン誘導体、プロゲステロンおよびその誘導体、シプロテロンアセテート、スピロノラクトンおよび他の利尿薬、カルシニューリン阻害剤、特にFK506(タクロリムス、フジマイシン)およびその誘導体、シクロスポリンAおよびその誘導体、亜鉛および亜鉛塩、ポリフェノール、プロシアニジン、プロアントシアニジン、フィステロール、例えばベータ−シトステロール、ビオチン、オイゲノール、(±)−ベータ−シトロネロール、パンテノール、グリコーゲン(例えばムール貝由来のもの)、コメからの加水分解産物、小麦からの加水分解産物、および微生物、藻類、微細藻類または植物および植物部位からのエキス、特にダンデリオン属(レオントドンまたはタラキサクム)、オルトシホン、ビテックス、コフィア、パウリニア、テオブロマ、アジアサルム、ククルビタ属(Cucurbita)またはエンジュ属(Styphnolobium)、セレノア・レペンス(Serenoa repens)(ソーパルメット)、ソホラ・フラベセンス(Sophora flavescens)、ピジウム・アフリカヌム(Pygeum africanum)、パニクム・ミリアセウム(Panicum miliaceum)、シミシフガ・ラセモサ(Cimicifuga racemosa)、グリシン・マックス(Glycine max)、オイゲニア・カリオフィラタ(Eugenia caryophyllata)、コティヌス・コッギグリア(Cotinus coggygria)、ヒビスクス・ロサ−シネンシス(Hibiscus rosa−sinensis)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、イレクス・パラグアリエンシス(Ilex paraguariensis)、リコリス(licorice)、ブドウ、リンゴ、オオムギおよびホップまたは/およびコメもしくはコムギの水解物からなる群より選ばれる。
【0059】
あるいは、本発明の製剤は一つ以上の発毛阻害剤を含む。好ましい発毛阻害剤は以下を含む群から選択される:アクチビン、アクチビン誘導体またはアクチビン作動薬、オルニチン脱炭酸酵素阻害剤、例えばアルファ−ジフルオロメチルオルニチンまたは五環系トリテルペン、例えばウルソル酸、ベツリン、ベツリン酸、オレアノール酸およびその誘導体、アルファ−還元酵素阻害剤、アンドロゲン受容体遮断薬、S−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ阻害剤、ガンマ−グルタミルトランスペプチダーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、大豆由来セリン蛋白質分解酵素阻害薬、および微生物、藻類、微細藻類、植物および植物部位由来の抽出物または特にマメ科(Leguminosae)、ナス科(Solanaceae)、イネ科(Graminae)、ガガイモ科(Asclepiadaceae)またはウリ科(Cucurbitaceae)、コンドルス属(Chondrus)、グロイオペルティス(Gloiopeltis)、セラミウム(Ceramium)、ヅルビレア(Durvillea)、グリシン・マックス(Glycine max)、サングイソルバ・オフィシナリス(Sanguisorba officinalis)、カレンデュラ・オフィシナリス(Calendula officinalis)、ハマメリス・バージニアナ(Hamamelis virginiana)、アルニカ・モンタナ(Arnica montana)、サリクスアルバ(Salix alba)、ハイペリカム・パーフォラタム(Hypericum perforatum)およびギムネマ・シルベスタ(Gymnema sylvestre)からなる群より選ばれる。
【0060】
D.9 冷却剤
本発明に係る組成物はまた、生理学的冷却作用を有する一つまたは複数の物質(冷却剤)を含んでいてもよく、本形態において好ましくは下記に列挙したものから選択される:メントール及びメントール誘導体(例えばL−メントール、D−メントール、ラセミメントール、イソメントール、ネオイソメントール、ネオメントール)、メンチルエーテル(例えば(l−メントキシ)−1,2−プロパンジオール、(l−メントキシ)−2−メチル−1,2−プロパンジオール、l−メンチル−メチルエーテル)、メンチルエステル (例えばメンチルホルミエート、メンチルアセテート、メンチルイソブチレート、メンチルラクテート、L−メンチル−L−ラクテート、L−メンチル−D−ラクテート、メンチル−(2−メトキシ)アセテート、メンチル−(2−メトキシエトキシ)アセテート、メンチルピログルタメート)、メンチルカーボネート(例えばメンチルプロピレングリコールカーボネート、メンチルエチレングリコールカーボネート、メンチルグリセロールカーボネートまたはその混合物)、メントールとジカルボン酸又はその誘導体との半エステル(例えばモノメンチルスクシネート、モノメンチルグルタレート、モノメンチルマロネート、O−メンチルコハク酸エステル−N,N−(ジメチル)アミド、O−メンチルコハク酸エステルアミド)、メンタンカルボン酸アミド(この場合好ましくは、米国特許第4,150,052号に記載されているメンタンカルボン酸−N−エチルアミド[WS3]又はNα−(メンタンカルボニル)グリシンエチルエステル[WS5]、国際特許出願公開第2005/049553号に記載されているメンタンカルボン酸−N−(4−シアノフェニル)アミドまたはメンタンカルボン酸−N−(4−シアノメチルフェニル)アミド、メタンカルボン酸−N−(アルコキシアルキル)アミド)、メントン及びメントン誘導体(例えばL−メントングリセロールケタール)、2,3−ジメチル−2−(2−プロピル)−酪酸誘導体(例えば2,3−ジメチル−2−(2−プロピル)−酪酸−N−メチルアミド[WS23])、イソプレゴールまたはそのエステル(l(−)−イソプレゴール、l(−)−イソプレゴールアセテート)、メンタン誘導体(例えばp−メンタン−3,8−ジオール)、クベボールまたはクベボールを含有する合成または天然混合物、シクロアルキルジオン誘導体のピロリドン誘導体(例えば3−メチル−2(1−ピロリジニル)−2−シクロペンテン−1−オン)またはテトラヒドロピリミジン−2−オン(例えば国際特許出願公開第2004/026840号に記載されているイシリンまたは関連化合物)、更にはカルボキサミド(例えばN−(2−(ピリジン−2−イル)エチル)−3−p−メンタンカルボキサミドまたは関連化合物)、(1R,2S,5R)−N−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−2−(1−イソプロピル)シクロヘキサン−カルボキサミド[WS12]、オキサメート(好ましくは欧州特許出願公開第2 033 688号に記載されているもの)。
【0061】
D.10 抗菌剤
好適な抗菌剤は基本的に、例として下記を含む、グラム陽性菌に対し有効なすべての物質である:4−ヒドロキシ安息香酸並びにその塩およびエステル、N−(4−クロロフェニル)−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−ブロモ−4−クロロフェノール)、3−メチル−4−(1−メチルエチル)フェノール、2−ベンジル−4−クロロフェノール、3−(4−クロロフェノキシ)−1,2−プロパンジオール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、クロロヘキシジン、3,4,4’−トリクロロカルバニリド(TTC)、抗細菌芳香物質、チモール、タイム油、オイゲノール、チョウジ油、メントール、ミント油、ファルネソール、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、およびN−オクチルサリチルアミドまたはN−デシルサリチルアミドなどのサリチル酸N−アルキルアミド。
【0062】
D.11 酵素阻害剤
好適な酵素阻害剤は、例えばエステラーゼ阻害剤である。これらは、好ましくは、例えばクエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピル、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリブチルなどのクエン酸トリアルキルであり、特にクエン酸トリエチル(Hydagen(登録商標)CAT)である。エステラーゼ阻害剤は、酵素活性を阻害することにより、臭気の生成を抑制する。その他の好適なエステラーゼ阻害剤である物質としては、ステロールスルフェートまたはホスフェート、例えばラノステロール−、コレステロール−、カンペステロール−、スチグマステロール−およびシトステロール−スルフェートまたはホスフェート、ジカルボン酸およびそのエステル、例えばグルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸およびマロン酸ジエチルエステル、ヒドロキシカルボン酸およびそのエステル、例えばクエン酸、リンゴ酸、酒石酸または酒石酸ジエチルエステル、およびグリシン酸亜鉛が挙げられる。
【0063】
D.12 臭気吸収剤および制汗活性剤
好適な臭気吸収剤は、臭気生成化合物を吸収し、概ね保持することのできる物質である。このような臭気吸収剤は、各成分の分圧を低下し、それにより各成分の拡散率も低下する。この過程で、香料が損なわれず維持されることが重要である。臭気吸収剤は細菌に対して有効ではない。臭気吸収剤は例えば、リシノール酸の錯亜鉛塩、または「fixatives(固定剤)」所定の、広く中性臭気香料として当業者に知られるもの、例えばラブダナムまたはエゴノキの抽出物、またはある種のアビエチン酸誘導体を、主成分として含有する。臭気マスキング剤は、臭気マスキング剤としての機能に加えて、防臭剤に香気を付与する香料または香油である。例えば天然および合成香料の混合物が香油として記載され得る。天然香料は、花、茎および葉、果実、果皮、根、木、草、針葉および枝、樹脂およびバルサムの抽出物を包含する。動物性原料、例えばシベットおよびカストリウムを使用してもよい。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型香料化合物の例は、ベンジルアセテート、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネート、およびベンジルサリチレートである。エーテルは例えば、ベンジルエチルエーテルを包含し、アルデヒドは例えば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラル、リリアールおよびブルゲオナールを包含する。好適なケトンは例えば、イオノン類、およびメチルセドリルケトンである。好適なアルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールであり、好適な炭化水素は主として、テルペン類およびバルサム類を包含する。しかしながら、共同で快い香を発する種々の香料化合物の混合物を使用することが好ましい。芳香成分として用いられることの多い比較的低揮発性の精油もまた、香油として適している。その例は、セージ油、カモミール油、丁子油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、リンデン花油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、乳香油、ガルバヌム油、ラブダナム油およびラバンジン油である。下記のものを単独で、または混合物として使用することが好ましい:ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、リラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ(Boisambrene Forte)、アンブロキサン(Ambroxan)、インドール、ヘジオン(hedione)、サンデリス(sandelice)、レモン油、マンダリン油、オレンジ油、アリルアミルグリコレート、シクロベルタル(cyclovertal)、ラバンジン油、クラリーセージ油、β−ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、シクロヘキシルサリチレート、バートフィックスクール(Vertofix Coeur)、イソ−イー−スーパー(Iso−E−Super)、フィクソリドNP(Fixolide NP)、エベルニル、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミレート(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラメート(floramat)。好適なアストリンゼン制汗活性成分は、主として、アルミニウム、ジルコニウムまたは亜鉛の塩である。このような好適な制汗活性成分は、例えば、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロヒドレート、アルミニウムジクロロヒドレート、アルミニウムセスキクロロヒドレート、およびこれらと例えば1,2−プロピレングリコールとの錯化合物、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタートレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロヒドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロヒドレート、およびこれらと例えばグリシンなどのアミノ酸との錯化合物である。
【0064】
D.13 被膜剤およびフケ防止活性成分
標準的な被膜剤は、例えばキトサン、微結晶キトサン、第四級化キトサン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系ポリマー、第四級セルロース誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸またはその塩、並びに同様の化合物である。
【0065】
好適なフケ防止活性成分は、ピロクトンオラミン(1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2−(1H)−ピリジノンモノエタノールアミン塩)、Baypival(登録商標)(Climbazole)、Ketoconazol(登録商標)(4−アセチル−1−{4−[2−(2,4−ジクロロフェニル) r−2−(1H−イミダゾール−1−イルメチル)−1,3−ジオキシラン−c−4−イルメトキシフェニル}−ピペラジン)、ケトコナゾール、エルビオール、二硫化セレン、コロイドイオウ、イオウポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、イオウリシノールポリエトキシレート、イオウタール蒸留物、サリチル酸(またはヘキサクロロフェンとの組合せ)、ウンデシレン酸、モノエタノールアミドスルホスクシネートNa塩、Lamepon(登録商標)UD(蛋白質/ウンデシレン酸縮合物)、ジンクピリチオン、アルミニウムピリチオン、およびマグネシウムピリチオン/ジピリチオンマグネシウムスルフェートである。
【0066】
D.14 担体および液体担体物質
好適な化粧品担体材料は、25℃及び1,013mbarで固体または液体であり(非常に粘稠な物質を含む)、以下を含む:グリセロール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エタノール、水及び前記液体担体材料の2つ以上と水との混合物。選択的に、本発明のこれらの製剤は、防腐剤または可溶化剤を用いて生成してもよい。他の好ましい前記液体単体材料で本発明の製剤の成分であり得るものは、以下を含む群から選択される:植物油、中性油、および鉱油。
【0067】
本発明による製剤の成分であり得る好ましい固体担体材料は以下を含む:親水コロイド、例えばデンプン、分解したデンプン、化学的にまたは物理的に変性したデンプン、デキストリン、(粉末状)マルトデキストリン(好ましくは5〜25、より好ましくは10〜20のデキストロース相当値を有する)、ラクトース、二酸化ケイ素、グルコース、変性セルロース、アラビアゴム、ガッチゴム、トラガント、カラヤゴム、カラゲナン、プルラン、カードラン、キサンタンガム、ゲランゴム、グアーフラワー、イナゴマメフラワー、アルギン酸塩、寒天、ペクチン及びイヌリン及びこれらの固形物、特にマルトデキストリン(好ましくは15〜20のデキストロース相当値を有する)、ラクトース、二酸化ケイ素及び/またはグルコースの2つ以上の混合物。
【0068】
流動性状の向上のため、ヒドロトロープ剤、例えばエタノール、イソプロピルアルコールまたはポリオールを用いてもよい。好適なポリオールは、好ましくは2〜15個の炭素原子および少なくとも2個のヒドロキシ基を含有する。これらポリオールは、他の官能基、特にアミノ基を含有することができ、また、窒素で修飾することもできる。その代表例は、次の通りである:
・グリセロール;
・アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、および、ポリエチレングリコール(100〜1,000ダルトンの平均分子量を有する);
・1.5〜10の自己縮合度を有する工業用オリゴグリセロール混合物、例えば40〜50wt.%のジグリセロール含量を有する工業用ジグリセロール混合物;
・メチロール化合物、例えば特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトール;
・低級アルキルグルコシド、特にアルキル基に1〜8個の炭素原子を含むもの、例えばメチルおよびブチルグルコシド;
・5〜12個の炭素原子を含む糖アルコール、例えばソルビトールまたはマンニトール;
・5〜12個の炭素原子を含む糖、例えばグルコースまたはスクロース;
・アミノ糖、例えばグルカミン;
・ジアルコールアミン、例えばジエタノールアミンまたは2−アミノ−1,3−プロパンジオール。
【0069】
D.15 防腐剤
好適な防腐剤は、例えば、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド溶液、バラベン、ペンタンジオールまたはソルビン酸、およびKosmetikverordnung(「Cosmetics Directive」)のパートAおよびBの付録6に記載の別の物質類である。
【0070】
D.16 香油および香料
香油としては、天然および合成香料の混合物が挙げられる。天然香料としては、例えば、花(例:ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イラン−イラン等)、茎および葉(例:ゼラニウム、パチョリ、プチグレン等)、果実(例:アニス、コリアンダー、キャラウェー、ビャクシン等)、果皮(例:ベルガモット、レモン、オレンジ等)、根(例:ナツメグ、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスタス、アヤメ、ショウブ等)、木(例:マツ、ビャクダン、グアヤク、シーダー、シタン等)、ハーブおよび草(例:タラゴン、レモングラス、セージ、タイム等)、針葉および枝(例:トウヒ、モミ、マツ、低木マツ等)、樹脂およびバルサム(例:ガルバヌム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、乳香、オポパナクス等)などの抽出物が挙げられる。動物性原料、例えばシベットおよびカストリウムを使用してもよい。典型的な合成香料化合物は、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の生成物である。エステル型香料化合物の例は、ベンジルアセテート、p−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート、リナリルアセテート、ジメチルベンジルカルボニルアセテート、フェニルエチルアセテート、リナリルベンゾエート、ベンジルホルメート、エチルメチルフェニルグリシネート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、スチラリルプロピオネート、およびベンジルサリチレートである。エーテルは例えば、ベンジルエチルエーテルを包含し、アルデヒドは例えば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラル、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラル、リリアールおよびブルゲオナールを包含する。好適なケトンは例えば、イオノン類、−イソメチルイオノンおよびメチルセドリルケトンである。好適なアルコールは、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオルゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコールおよびテルピネオールである。炭化水素は主として、テルペン類およびバルサム類を包含する。しかしながら、共同で快い香を発する種々の香料化合物の混合物を使用することが好ましい。別の好適な鉱油としては、芳香成分として用いられることの多い比較的揮発性の低い精油が挙げられる。好適な鉱油の例としては、セージ油、カモミール油、丁子油、メリッサ油、ミント油、シナモン葉油、ライム花油、ジュニパーベリー油、ベチベル油、乳香油、ガルバヌム油、ラブダヌム油およびラバンジン油が挙げられる。好ましくは以下を単独であるいは混合物として用いても良い:ベルガモット油、ジヒドロミルセノール、リリアール、ライラール、シトロネロール、フェニルエチルアルコール、ヘキシルシンナムアルデヒド、ゲラニオール、ベンジルアセトン、シクラメンアルデヒド、リナロール、ボイサムブレンフォルテ(Boisambrene Forte)、アンブロキサン(Ambroxan)、インドール、ヘジオン(Hedione)、サンデリス(Sandelice)、シトラス油、マンダリン油、オレンジ油、アリルペンチルグリコレート、シクロバータル(Cyclovertal)、ラバンジン油、クラリー油、ダマスコン、ゼラニウム油バーボン、シクロヘキシルサリチレート、バートフィックスクール(Vertofix Coeur)、イソ−イー−スーパー(Iso−E−Super)、フィクソリドNP(Fixolide NP)、エベルニル、イラルデイン(iraldein)ガンマ、フェニル酢酸、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、ローズオキシド、ロミレート(romilat)、イロチル(irotyl)およびフロラメート(floramat)。
【0071】
D.17 染料
好適な染料は、例えば刊行物“Kosmetische Faerbemittel”, Farbstoffkommission der Deutschen Forschungsgemeinschaft, Verlag Chemie, Weinheim, 1984,81〜106ページに記載のような、化粧用に適当で承認された物質である。その例は、コチニールレッドA(C.I.16255)、パテントブルーV(C.I.42051)、インジゴチン(C.I.73015)、クロロフィリン(C.I.75810)、キノリンイエロー(C.I.47005)、二酸化チタン(C.I.77891)、インダントレンブルーRS(C.I.69800)、およびマダーレーキ(C.I.58000)を包含する。蛍光染料としてルミノールも使用し得る。有利な着色顔料は、例えば、二酸化チタン、マイカ(雲母)、酸化鉄(例えば、Fe、Fe、FeO(OH))および/または酸化スズである。有利な染料は、例えばカルミン、ベルリンブルー(紺青)、塩化クロムグリーン、ウルトラマリンブルー、および/またはマンガンバイオレットである。
【0072】
D.18 製剤
好ましい本発明の組成物は皮膚や髪の手入れ、保護、ケア、およびクレンジングのための製品を含む群から選択され、好ましくはリーブオンタイプとして選択される(リーブオンタイプとはすなわち、リンスオフ製品に比して式(I)の化合物のうち一つまたは複数が皮膚および/または髪に対しより長時間残留するものであり、前記化合物の湿潤および/またはアンチエイジングおよび/または創傷治癒促進作用がより顕著な製品を指す)。
【0073】
本発明の製剤は、好ましくは、エマルション、例えば、W/O(油中水型)、O/W(水中油型)、W/O/W(水中油中水型)、O/W/O(油中水中油型)エマルション、PITエマルション、ピッカリングエマルション、低油分エマルション、マイクロエマルションまたはナノエマルション、溶液、例えば油(脂肪油または脂肪酸エステル、特にC−C32脂肪酸C−C30エステルの)またはシリコーン油中、分散液、懸濁液、クリーム、ローションまたはミルク、製造法及び成分によってはゲル(ヒドロゲル、水分散体ゲル、オレオゲルを含む)、スプレー(例えばポンプスプレーまたは噴霧剤を有するスプレー)またはフォームまたは拭き取り用の含浸液、清浄剤、例えば石鹸、合成清浄剤、液体洗浄液、シャワー及びバス用製品、浴用剤(カプセル、オイル、錠剤、塩、入浴剤、石鹸等)、発泡製品、スキンケア製品、例えば上述のエマルション、軟膏、ペースト、上述のゲル、油、バルサム、血清、パウダー(例えば、フェースパウダー、ボディパウダー)、マスク、ペンシル、スティック、ロールオン、ポンプ、エアゾール(発泡性、非発泡性または後発泡性のもの)、デオドラント及び/または制汗剤、マウスウォッシュ及びマウスリンス、フットケア製品(角質溶解剤、脱臭剤を含む)、防虫剤、日焼け止め、アフターサン製剤、シェービング製品、アフターシェーブバーム、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、脱毛剤、ヘアケア製品、例えば2−in−1シャンプー、フケ防止シャンプー、ベビーシャンプー、頭皮乾燥対策シャンプー、濃縮シャンプー、コンディショナー、ヘアトニック、ヘアウォーター、ヘアリンス、スタイリングクリーム、ポマード、パーマローション、セットローション、ヘアスプレー、ヘアスタイリングエイド(例えば、ゲルまたはワックス)、ヘアスムージング剤(デタングリング剤、リラクサ)、ヘアダイ、一時的に直接染めるヘアダイ、半永久的なヘアダイ、永続的なヘアダイ、ヘアコンディショナー、ヘアムース、アイケア製品、メーキャップ、メーキャップリムーバーまたはベビー製品の形である。
【0074】
本発明の配合物は、特に好ましくはエマルションの形で、特にW/O、O/W、W/O/W、O/W/Oエマルション、PITエマルション、ピッカリングエマルション、低油分エマルション、マイクロエマルションまたはナノエマルション、ゲル(ヒドロゲル、水分散体ゲル、オレオゲルを含む)、溶液、例えば油(脂肪油または脂肪酸エステル、特にC−C32脂肪酸C−C30エステル)またはシリコーン油中、またはスプレー(例えばポンプスプレーまたは噴霧剤を有するスプレー)の形である。
【0075】
補助物質及び添加剤は、配合物の全質量に基づき、5〜99重量%、好ましくは10〜80重量%の量で含まれ得る。各場合において用いられる化粧用または皮膚科用補助剤及び添加剤及び香料の量は、具体的な製品の種類によっては、通常の試行錯誤により当業者が容易に測定し得る。本製剤はまた、製剤の全質量に基づいて、99重量%まで、好ましくは5〜80重量%の量で水を含有し得る。
【産業上の利用可能性】
【0076】
好ましい実施形態において、本発明に係る組成物は、配合する各成分と選択的に加える水と追加の成分との合計質量を100重量%として、各成分を以下の量にて含む:
(a) 式(I)のアセトフェノン誘導体は約0.05〜約5重量%、好ましくは約0.1〜約2重量%、より好ましくは約0.3〜約1重量%;
(b) 油体および/またはワックスは約99.9〜約50重量%、好ましくは約95〜約65重量%、より好ましくは約80〜約70重量%;
(c) 乳化剤は約0.1〜約25重量%、好ましくは約1〜約15重量%、より好ましくは約4〜約8重量%;
(d) 活性成分は約0〜約25重量%、好ましくは約0.5〜約10重量%、より好ましくは約1〜約5重量%。
【0077】
本発明に係る組成物は水を含んでよく、あるいは水を実質的に含まなくとも良い。「水を実質的に含まない」とは、最終製剤中に含まれる水の量が2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%であることを指す。
【0078】
本発明に係る組成物はO/W(水中油型)、W/O(油中水型)あるいはO/W/O(油中水中油型)、W/O/W(水中油中水型)といった多重エマルションであって良い。これらは例えばローション、クリーム、またはスティックの形の中間製剤あるいは最終製剤として用いることができる。
【0079】
本発明の他の二つの実施形態は、式(I)のアセトフェノン誘導体の使用であって、特にエマルション中の粒子の平均粒径を低減するための化粧品組成物の安定化剤としての使用、および化粧品組成物の官能プロフィルの向上を可能とする添加物としての使用に関する。
【0080】
<実施例>
実施例1ないし3および比較実施例C1
脂質相Aと水相Bとをそれぞれ約80℃まで加熱し、各O/Wエマルションを調製した。次いでこの水相Bを脂質相Aに加え、Ultra−Turraxを用いて5,000rpmにて2分間撹拌した。得られた各エマルションを撹拌羽根を用いて150rpmにて10分間冷却した。最後に、水酸化ナトリウム溶液を加えてpH価を8.0程度に調整した。透過率の経時推移を測定する分析用遠心分離機(LUMisizer(登録商標)、L.U.M.GmbH製)を用いて各エマルションの安定性を測定した。不安定指標値は、0(非常に安定)から1(完全な分離)の間とした。実験は、約1ヶ月の保存期間に対応して25℃、2,500rpm、1.25時間の条件で行った。各エマルション組成物および安定性測定結果を表1に示す。実施例1〜3は本発明の実施例であり、例C1は比較実施例を示す。
【表1】
【0081】
各実施例および比較実施例により、4−ヒドロキシアセトフェノンをエマルションに加えるとエマルションの分離が有意に低減してその安定性が向上することが実証された。
【0082】
<実施例4ないし6および比較実施例C2>
pH価を9.1程度に調整したこと以外は上述の実施例1〜3と同様の方法により各O/Wエマルションを調製した。ここでも分析用遠心分離機(LUMisizer(登録商標)、L.U.M.GmbH製)を用いて各エマルションの安定性を測定した。各エマルション組成物および安定性測定結果を表2に示す。実施例4〜6は本発明の実施例であり、例C2は比較実施例を示す。
【表2】
【0083】
<実施例1ないし6並びに比較実施例C1およびC2>
上述の実施例1〜3と同様の方法により各O/Wエマルションを調製した。実施例1〜6並びに比較実施例C1およびC2の各エマルションの粒径分布を、Mastersizer Micro(Malvern社製)を用いてレーザ光回折の原理により測定した。測定結果を表3に示す。
【表3】
【0084】
表から分かるように、4−ヒドロキシアセトフェノンを加えると最大平均粒径値が低減され、エマルションはより微細化される。