(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記伝達部材、前記チューブ部材及び前記栓蓋駆動機構の少なくとも1つは、前記伝達部材に対しその圧縮方向及びその伸長方向の少なくとも一方に沿った力が加わった際に、前記伝達部材及び前記チューブ部材に加わる負荷を軽減する過負荷防止手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水栓装置。
前記過負荷防止手段は、前記伝達部材に対しその圧縮方向に沿った力が加わった際、及び、前記伝達部材に対しその伸長方向に沿った力が加わった際の双方において、前記伝達部材及び前記チューブ部材に加わる負荷を軽減するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の排水栓装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、配管の内部に栓蓋駆動機構を設けるにあたって、手の届かない配管内から栓蓋駆動機構や伝達部材を引き出すことは難しく、面倒で手間がかかる。また、栓蓋駆動機構が故障したとき等において、栓蓋駆動機構を交換する場合には、取付作業と逆の手順で栓蓋駆動機構や配管を取外した上で、上述の手法により、新たな栓蓋駆動機構を再度取付けるといった作業が必要となる。そのため、取付作業性やメンテナンス性に劣る。さらに、取付作業や交換作業において配管内から栓蓋駆動機構や伝達部材を引き出す際に、取付作業者は、レリースワイヤの大部分についてその状態を視認することができない。そのため、栓蓋駆動機構等を引き出す際に、伝達部材が切れたり折れ曲がったりしてしまう等、レリースワイヤなどの部材に破損が生じてしまうおそれがある。
【0007】
加えて、配管内において、レリースワイヤは配管の中心へと架け渡されたような状態となるため、レリースワイヤに対して毛髪やゴミ等が引っ掛かりやすくなってしまい、ひいては配管の詰まりが生じやすくなってしまうことが懸念される。また、レリースワイヤの存在により、その下方に位置する配管やトラップ等の清掃に支障が生じてしまうことも考えられる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、取付作業性やメンテナンス性を飛躍的に向上させることができるとともに、取付作業時等における部材の破損防止等をより確実に図ることができる排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.槽体の排水口を開閉するための栓蓋と、
自身の上端部に前記栓蓋が取付けられた支持軸と、
筒状をなす排水用の配管と、
前記配管の内周面に沿って配置される環状の外周壁部を有するとともに、前記支持軸を支持する通水部材と、
変位可能な変位部材を有する操作装置と、
筒状のチューブ部材、及び、当該チューブ部材内に配置され、前記変位部材の変位に伴い前記チューブ部材に対し往復運動可能な伝達部材を有するレリースワイヤと、
前記配管内に突出し、前記外周壁部を支持する支持突起を有する栓蓋駆動機構とを備えた排水栓装置であって、
前記レリースワイヤの一端部は、前記栓蓋駆動機構に取付けられており、
前記栓蓋駆動機構は、
回動可能に構成されるとともに、前記配管側に位置する端面の外周側に前記支持突起が設けられ、かつ、自身の回動に伴い前記支持突起が上下動するように構成された回動軸と、
前記伝達部材の往復運動を回動運動に変換し、前記伝達部材の往復運動時に前記回動軸を回動させる運動方向変換部と、
前記回動軸及び前記運動方向変換部の少なくとも一方が内部に配置されるとともに、所定の係止部を有するケース部材とを具備し、
前記配管は、
前記通水部材が配置される配管本体部と、
自身の内部空間が前記配管本体部の内部空間に連通するとともに、前記係止部を係止可能な被係止部を有する取付用筒部とを備え、
前記栓蓋駆動機構は、前記レリースワイヤの一端部が取付けられた状態で、前記配管の外部から前記取付用筒部の内部に前記回動軸を挿通するとともに、前記被係止部に前記係止部を係止することによって、前記配管に取付可能に構成されていることを特徴とする排水栓装置。
【0011】
上記手段1によれば、栓蓋駆動機構にレリースワイヤを取付けた上で、当該栓蓋駆動機構を配管の外部から配管(取付用筒部)へと容易に取付けることができる。従って、栓蓋駆動機構の取付や交換に係る作業を極めて容易なものとすることができ、取付作業性やメンテナンス性を飛躍的に向上させることができる。また、取付作業時等において、配管内から栓蓋駆動機構や伝達部材を引き出すといった作業を行う必要はなく、さらに、レリースワイヤの状態を確認しながら作業を行うことができる。従って、レリースワイヤなどの部材に破損が生じてしまうことをより確実に防止できる。
【0012】
加えて、上記手段1によれば、支持突起は、配管(配管本体部)の内周面に沿って配置された環状の外周壁部を支持するものであるため、配管(配管本体部)の内周面に対する支持突起の突出量を非常に小さなものとすることができる。従って、支持突起に対するゴミ等の付着が生じにくくなり、配管の詰まりを効果的に抑制することができる。また、支持突起よりも奥(下方)に位置する配管やトラップ等を比較的容易に清掃することができ、清掃性を高めることができる。
【0013】
手段2.前記取付用筒部は、前記係止部を挿通可能な取付用孔部を有し、
前記栓蓋駆動機構は、前記レリースワイヤの一端部が取付けられた状態で、前記配管の外部から前記取付用筒部の内部に前記回動軸を挿通するとともに前記取付用孔部に前記係止部を挿通し、前記ケース部材を前記配管に対し相対回転させて、前記被係止部に前記係止部を係止することによって、前記配管に取付可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
【0014】
上記手段2によれば、基本的には上記手段1と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0015】
手段
3.前記栓蓋駆動機構は、前記回動軸の外周に設けられた弾性変形可能な環状の封止部材を有し、
前記配管に前記栓蓋駆動機構を取付けたときに、前記封止部材により、前記回動軸と前記取付用筒部との間、又は、前記回動軸と前記取付用筒部に対し水密に接触する介在部材との間が水密に保持されるように構成したことを特徴とする手段1
又は2に記載の排水栓装置。
【0016】
上記手段
3によれば、配管に栓蓋駆動機構を取付けたときに、栓蓋駆動機構に設けられた封止部材によって、回動軸とその周囲に位置する取付用筒部等との間が水密に保持される。従って、取付作業時に、水密性を確保するために別段の作業を行う必要がなくなり、取付作業性やメンテナンス性を一層高めることができる。
【0017】
手段
4.前記回動軸は、
前記支持突起が設けられる円板部と、
前記円板部に隣接し、自身の外径が前記円板部の外径よりも小さい小径部とを有し、
前記栓蓋駆動機構は、前記取付用筒部の内周面に対し水密に接触するとともに、自身の内周に前記小径部が配置される筒状の
介在部材を有し、
前記栓蓋駆動機構を前記配管に取付けた状態において、前記封止部材は、前記
介在部材の内周面と前記小径部の外周面とに水密に接触することを特徴とする手段
3に記載の排水栓装置。
【0018】
排水口を開放したときにおける良好な排水能力の確保等を図るべく、栓蓋のストローク量を十分に大きくすることが望ましい。栓蓋のストローク量は、回動軸を回動させた際における支持突起の上下方向に沿った移動量に対応する。従って、栓蓋のストローク量を増大させるためには、回動軸を比較的大径とし、円板部の回動中心から支持突起までの径方向に沿った距離を大きくする必要がある。
【0019】
しかしながら、回動軸をその軸方向に沿って一律に比較的大径とした場合、回動軸の外周に設けられる封止部材も大径とする必要がある。そのため、回動軸及び取付用筒部等と封止部材との接触部分の面積や当該接触部分の径が大きくなり、回動軸を回動させる際の抵抗が増大してしまう。回動時の抵抗が増大してしまうと、操作性や動作安定性の低下を招いてしまうおそれがある。
【0020】
この点、上記手段
4によれば、封止部材は、回動軸における小径部の外周に設けられる。従って、封止部材を比較的小径とすることができ、ひいては回動軸(小径部)及び
介在部材と封止部材との接触部分の面積や当該接触部分の径を比較的小さくすることができる。これにより、回動軸を回動させる際の抵抗を小さくすることができ、変位部材に加えられる力が比較的小さくても、回動軸を円滑に回動させることができる。その結果、操作性や動作安定性の向上を図ることができる。
【0021】
また、上記手段
4によれば、支持突起の設けられる円板部を比較的大径とすることができ、ひいては円板部の回動中心から支持突起までの径方向に沿った距離を十分に大きなものとすることができる。従って、回動軸を回動させた際における支持突起の上下方向に沿った移動量ひいては栓蓋のストローク量を十分に大きくすることができる。これにより、排水口を開放したときにおける良好な排水能力の確保等を図ることができる。
【0022】
手段
5.前記栓蓋駆動機構は、前記回動軸の回動可能範囲を規定する回動範囲規定手段を備えることを特徴とする手段1乃至
4のいずれかに記載の排水栓装置。
【0023】
栓蓋のストローク量(上下移動量)を精度よく狙いの設定量とするために、回動軸の回動可能範囲を規定する回動範囲規定手段を設けることが考えられる。回動範囲規定手段を設けるにあたっては、操作装置及び栓蓋駆動機構のいずれかに回動範囲規定手段を設けることが考えられる。ここで、回動範囲規定手段を操作装置に設けた場合、回動軸の回動可能範囲は、伝達部材を介して規定されることとなる。そのため、回動軸の回動可能範囲が狙いの範囲から若干ながらずれてしまい、ひいては栓蓋のストローク量を精度よく設定することができないおそれがある。
【0024】
この点、上記手段
5によれば、回動範囲規定手段は栓蓋駆動機構に設けられており、伝達部材を介することなく、回動軸の回動可能範囲が規定される。そのため、回動軸の回動可能範囲をより正確に、かつ、精度よく規定することができる。その結果、栓蓋のストローク量を精度よく狙いのものに設定することができる。
【0025】
手段
6.前記伝達部材、前記チューブ部材及び前記栓蓋駆動機構の少なくとも1つは、前記伝達部材に対しその圧縮方向及びその伸長方向の少なくとも一方に沿った力が加わった際に、前記伝達部材及び前記チューブ部材に加わる負荷を軽減する過負荷防止手段を備えることを特徴とする手段1乃至
5のいずれかに記載の排水栓装置。
【0026】
尚、「過負荷防止手段」としては、例えば、伝達部材に対しその圧縮方向又はその伸長方向に沿った力が加わった際に弾性変形することで、伝達部材やチューブ部材に加わる力を吸収するバネ部材や、伸長方向に沿って過度に大きな力が加わったときには伸長する一方で、力の印加が解除された際には元の形状に戻ることが可能に構成された伝達部材、伸縮変形が比較的容易に可能に構成されたチューブ部材などを挙げることができる。
【0027】
変位部材を変位させたときにおける伝達部材の往復移動量を、支持突起が所定の下限位置(排水口を閉鎖するときの配置位置)及び所定の上限位置(排水口を開放するときの配置位置)のうちの一方から両者のうちの他方まで移動するように回動軸を回動させるために必要な最小限の量に設定することが考えられる。しかしながら、この場合には、変位部材が変位した際に、伝達部材に若干の変形が生じるなど、些細な問題が生じただけで、回動軸を十分に回動させることができず、支持突起を前記上限位置や前記下限位置に配置することができないおそれがある。その結果、排水口の閉鎖に支障が生じてしまったり、排水口の開放時における排水能力(通水面積)の低下を招いてしまったりするおそれがある。
【0028】
そこで、変位部材を変位させたときにおいて、伝達部材に若干の変形などが生じたとしても、回動軸を十分に回動可能とすべく、伝達部材の往復移動量を、前記最小限の量よりも大きなものに設定することが考えられる。しかしながら、この場合には、変位部材を変位させ伝達部材を往復移動させた際に、伝達部材に過負荷が加わってしまい(伝達部材が過度に圧縮・伸長されてしまい)、その結果、伝達部材やチューブ部材に破損や変形が生じてしまうおそれがある。
【0029】
この点、上記手段
6によれば、過負荷防止手段によって、伝達部材やチューブ部材に過負荷が加わってしまうことをより確実に防止できる。これにより、伝達部材やチューブ部材における破損や変形を効果的に抑制することができる。
【0030】
手段
7.前記過負荷防止手段は、前記伝達部材に対しその圧縮方向に沿った力が加わった際、及び、前記伝達部材に対しその伸長方向に沿った力が加わった際の双方において、前記伝達部材及び前記チューブ部材に加わる負荷を軽減するように構成されていることを特徴とする手段
6に記載の排水栓装置。
【0031】
上記手段
7によれば、伝達部材やチューブ部材における破損等を一段と効果的に抑制することができる。
【0032】
手段
8.前記運動方向変換部は、
前記伝達部材の一端部が接続されるとともに、前記伝達部材の往復運動に伴い往復運動可能であり、かつ、自身の往復運動方向に沿って形成された複数の歯を有するラック部と、
前記回動軸と同軸に設けられるとともに、前記ラック部の歯に噛合され、前記ラック部の往復運動に伴い回動可能な歯車部とを備えることを特徴とする手段1乃至
7のいずれかに記載の排水栓装置。
【0033】
上記手段
8によれば、比較的簡易な構成によって運動方向変換部を実現することができる。従って、製造コストの増大抑制を図ることができるとともに、栓蓋駆動機構の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に示すように、排水栓装置1は、槽体としての洗面器100に取付けられており、操作装置2と、操作側屈曲ガイド部材3と、レリースワイヤ4と、栓蓋側屈曲ガイド部材5と、栓蓋駆動機構6と、排水口装置7とを備えている。
【0036】
操作装置2は、
図2に示すように、洗面器100の近傍に設けられた壁状のバックガード101に取付けられており、ガイド部21と、ナット22と、変位部材23とを備えている。
【0037】
ガイド部21は、筒状をなし、その一端部がバックガード101に貫通形成された貫通孔102からバックガード101の裏側へと挿入されるとともに、その他端部がバックガード101の表面から突出している。また、ガイド部21は、その外周に形成された雄ねじ部21Aと、その他端部において外側に膨出形成された鍔状部21Bとを備えている。
【0038】
ナット22は、前記雄ねじ部21Aを螺合可能な雌ねじ部22Aを内周に備える環状をなしている。そして、ナット22が鍔状部21Bとの間でバックガード101を挟み込むようにして前記雄ねじ部21Aに締結されることにより、ガイド部21がバックガード101に取付けられている。
【0039】
変位部材23は、ガイド部21の内周に挿入され、ガイド部21の内周面に沿って往復移動可能とされた棒状の軸部材23Aと、当該軸部材23Aの他端部に取付けられた操作用のツマミ部23Bとを備えている。また、軸部材23Aの一端部には、レリースワイヤ4の後述する伝達部材41の他端部が取付けられており、ツマミ部23Bを押引きすることで、軸部材23Aひいては伝達部材41を往復移動させることができるようになっている。
【0040】
操作側屈曲ガイド部材3は、ほぼ直角に屈曲する筒状をなしており、その内周においてレリースワイヤ4の後述するチューブ部材42の他端部を保持した状態で、ガイド部21の一端部外周に取付けられている。尚、操作側屈曲ガイド部材3は、半割形状をなす一対の分割部が組合わされることで構成されている。ガイド部21に対し操作側屈曲ガイド部材3を取付けるにあたっては、まず、前記両分割部を分離させた上で、一方の分割部の所定部位にチューブ部材42の他端部を配置しつつ、ガイド部21の外周部所定位置に合わせて前記一方の分割部を配置する。その上で、一方の分割部に他方の分割部を組合わせる。これにより、操作側屈曲ガイド部材3は、チューブ部材42の他端部を保持した状態で、ガイド部21に取付けられることとなる。
【0041】
レリースワイヤ4は、ワイヤー等からなる長尺状の伝達部材41と、弾性変形可能な樹脂やゴム等からなる長尺筒状のチューブ部材42とを備えている。伝達部材41は、チューブ部材42の内周に配置されており、変位部材23の変位に伴いチューブ部材42に対し往復移動するようになっている。
【0042】
栓蓋側屈曲ガイド部材5は、
図1に示すように、ほぼ直角に屈曲する筒状をなしており、前記レリースワイヤ4が挿通されている。また、栓蓋側屈曲ガイド部材5は、
図3に示すように、その内部においてチューブ部材42の一端部を保持している。尚、栓蓋側屈曲ガイド部材5は、操作側屈曲ガイド部材3と同様に、半割形状をなす2つの分割部が組合わされることで構成されている。レリースワイヤ4の外周に対する栓蓋側屈曲ガイド部材5の取付は、前記両分割部を分離した上で、両分割部の間にチューブ部材42の一端部を配置し(例えば、両分割部のうちの一方の所定部位にチューブ部材42の一端部を配置した状態で、両分割部を対向させ)、次いで、両分割部を組合わせることによりなされる。
【0043】
さらに、栓蓋側屈曲ガイド部材5の一端部外周には、径方向外側に突出形成された鍔部51が設けられている。そして、栓蓋側屈曲ガイド部材5は、前記鍔部51が後述するケース部材61に設けられた環状の溝部61Jに配置されることで、ケース部材61からの抜けが防止された状態でケース部材61に対し回動可能な状態で取付けられている。
【0044】
栓蓋駆動機構6は、
図1,3,4に示すように、排水口装置7の後述する配管71に取付けられており、後述する配管本体部71Aの外部に配置されている。また、栓蓋駆動機構6は、配管本体部71A内に突出する支持突起66(
図4参照)を備えるとともに、レリースワイヤ4の一端部(伝達部材41の一端部)が接続されている(
図3参照)。さらに、栓蓋駆動機構6は、伝達部材41の往復運動を回動運動に変換し、伝達部材41の往復運動時に後述する回動軸63を回動させる運動方向変換部62を有している。回動軸63の回動に伴い、支持突起66は上下動することとなる。尚、栓蓋駆動機構6の構成については、後に詳述する。
【0045】
排水口装置7は、
図4に示すように、配管71と、通水部材72と、支持軸73と、ヘアキャッチャー74と、栓蓋75とを備えている。
【0046】
配管71は、鉛直方向に沿って延びる筒状をなす配管本体部71Aと、当該配管本体部71Aの外周から水平方向に突出するように形成され、自身の内部空間が配管本体部71Aの内部空間に連通する筒状の取付用筒部71Bと、配管本体部71Aの外周から突出するとともに、オーバーフロー口(図示せず)から延びるオーバーフロー管(図示せず)が接続されるオーバーフロー側筒部71Cを備えている。
【0047】
また、配管71は、配管本体部71Aの内部空間が洗面器100の底壁部103に貫通形成された排水口104と連通するようにして底壁部103の背面に取付けられている。従って、排水口104を通った排水は、配管本体部71Aの内部へと流れ込み排出されるようになっている。尚、配管本体部71Aの上端部外周面と底壁部103との間には、弾性変形可能な材料からなる環状のシール部材(図示せず)が配置されており、当該シール部材によって、配管71及び底壁部103間が水密にシールされている。
【0048】
取付用筒部71Bは、
図4及び
図5に示すように、オーバーフロー側筒部71Cとの間で配管本体部71Aの中心軸を挟む位置に設けられており、オーバーフロー側筒部71Cの配管本体部71A側の開口から比較的離間した位置に配置されている。
【0049】
さらに、取付用筒部71Bは、配管本体部71Aとは反対側に位置する端部に外周側に突出する鍔状のフランジ部71Dを備えている。また、フランジ部71Dには、
図5及び
図6に示すように、取付用筒部71Bの中心軸に対し回転対称に形成された一対の取付用孔部71Eが貫通形成されている。
【0050】
取付用孔部71Eは、取付用筒部71Bの周方向に沿って延びる湾曲形状をなしている。また、取付用孔部71Eは、幅(より詳しくは、取付用筒部71Bの径方向に沿った幅)の比較的大きな幅広部71Fと、当該幅広部71Fに隣接し、幅広部71Fよりも幅狭に形成された幅狭部71Gとを備えている。そして、本実施形態では、フランジ部71Dのうち前記幅狭部71Gの外周に位置する部位により、被係止部71Hが形成されている。さらに、フランジ部71Dのうち取付用孔部71Eを形成する面(本実施形態では、被係止部71Hのうち幅狭部71Gを形成する面)には、窪み部71Iが設けられている。
【0051】
通水部材72は、
図4に示すように、環状の外周壁部72Aと、当該外周壁部72Aの中心に位置する中心軸部72Bと、外周壁部72A及び中心軸部72Bを連結する下部捕集部72Cとを備えている。
【0052】
外周壁部72Aは、配管71(配管本体部71A)の内周面に沿うようにして配管71(配管本体部71A)内に配置されている。また、外周壁部72Aの下面が前記支持突起66に載置状態とされることで、通水部材72は、支持突起66により配管71(配管本体部71A)内で支持された状態となっている。
【0053】
中心軸部72Bは、筒状をなし、配管71(配管本体部71A)の中心に配置されている。
【0054】
下部捕集部72Cは、中心軸部72Bの径方向に沿って延びる複数のリブを有する。下部捕集部72Cにおいて、配管本体部71Aを流れる排水は前記リブ間に形成された隙間を通って流れ落ち、その一方で、排水に含まれるゴミ等は捕集される。
【0055】
支持軸73は、棒状をなし、その上端部が栓蓋75の背面中央部に取付けられるとともに、その下端部が中心軸部72Bの上端部に載置されている。そのため、支持突起66が上下動し、通水部材72が上下動した際には、通水部材72とともに支持軸73及び栓蓋75も上下動するようになっている。
【0056】
ヘアキャッチャー74は、支持軸73の外周に配置される筒状部74Aと、筒状部74Aの外周から外側に向けて延びる捕集部74Bとを備えている。筒状部74Aの下端部内周には、中心軸部72Bの上端部が嵌合されており、これにより、ヘアキャッチャー74は、通水部材72を介し支持突起66により支持された状態となっている。また、捕集部74Bによって、配管本体部71Aを流れる排水に含まれるゴミ等が捕集されるようになっている。
【0057】
栓蓋75は、樹脂等からなる円板状の蓋部75Aと、当該蓋部75Aの背面外周側に取付けられた、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)からなる環状のパッキン部75Bとを備えている。本実施形態では、変位部材23の変位に伴い支持突起66が下動した際に、通水部材72及び支持軸73とともに栓蓋75が下動し、パッキン部75Bの外周部分全域が底壁部103に接触することで、排水口104が閉鎖されるようになっている。一方で、変位部材23の変位に伴い支持突起66が上動した際には、通水部材72及び支持軸73とともに栓蓋75が上動し、パッキン部75Bが底壁部103から離間することで、排水口104が開放されるようになっている。
【0058】
尚、本実施形態においては、洗面器100の表側から栓蓋75や支持軸73を引き上げることで、通水部材72、支持軸73、ヘアキャッチャー74及び栓蓋75を配管71から一度に取外すことができるようになっている。そのため、メンテナンス性や清掃性の向上等を図ることができる。
【0059】
次いで、栓蓋駆動機構6の構成について説明する。栓蓋駆動機構6は、
図3及び
図4に示すように、ケース部材61と、ケース部材61の内部に配置された運動方向変換部62と、ケース部材61の外部に突出する回動軸63と、回動軸63の外周に設けられた保持部材64(介在部材
に相当する)と、回動軸63及び保持部材64間に設けられた封止部材65とを備えている。
【0060】
ケース部材61は、前記運動方向変換部62及び回動軸63の少なくとも一方(本実施形態では、運動方向変換部62及び回動軸63の一部)が内部に配置されており、運動方向変換部62及び回動軸63を保持するものである。また、ケース部材61は、
図7及び
図8に示すように、運動方向変換部62が配置される空間を有する第一構成部61Aと、前記運動方向変換部62(前記空間)を覆うようにして第一構成部61Aに取付けられる第二構成部61Bとを備えている。
【0061】
第一構成部61Aは、栓蓋側屈曲ガイド部材5の取付部分に設けられた半周分の溝である第一凹部61Cと、後述する歯車部62Bの外側に設けられた第一半筒部61Dと、第一半筒部61Dとの間で歯車部62Bを挟む位置に設けられ、伝達部材41の一端部の移動方向に沿って延びる立壁部61Eと、第一半筒部61D及び立壁部61Eから外側に突出する複数の突起部61F(第一半筒部61Dに設けられた突起部は不図示)とを備えている。
【0062】
一方で、第二構成部61Bは、栓蓋側屈曲ガイド部材5の取付部分に設けられた半周分の溝である第二凹部61Gと、前記第一半筒部61Dに対応する形状をなし、自身の内側に第一半筒部61Dが配置可能に構成された第二半筒部61Hと、前記突起部61Fが係止可能に構成された複数の平坦部61I(第一半筒部61Dに設けられた突起部の係止される平坦部は不図示)とを備えている。
【0063】
ケース部材61に対し栓蓋側屈曲ガイド部材5及びレリースワイヤ4の一端部を取付けるにあたっては、まず、レリースワイヤ4の外周に栓蓋側屈曲ガイド部材5を取付けた上で、前記両構成部61A,61B(両凹部61C,61G)を離間させた状態で両凹部61C,61G間に前記鍔部51を配置する(例えば、両凹部61C,61Gの一方に鍔部51を配置する)。また、後述するラック部62Aに対し伝達部材41の一端部を接続する。次いで、第一構成部61Aに第二構成部61Bを接近させ、第二半筒部61Hの内側に第一半筒部61Dを挿入するとともに、各平坦部61Iに対し各突起部61Fを係止することで、第一構成部61Aに第二構成部61Bを取付ける。これにより、前記両凹部61C,61Gが組合わされてなる溝部61J(
図3参照)に前記鍔部51が配置され、ケース部材61に対し栓蓋側屈曲ガイド部材5及びレリースワイヤ4の一端部が取付けられることとなる。
【0064】
加えて、
図5及び
図6に示すように、第一構成部61Aのうち第二構成部61Bとは反対側に位置する面には、回動軸63を挟むようにして設けられた一対の爪部61Kが突出形成されている。爪部61Kは、その根元側に位置し、比較的薄肉に形成された基部61Lと、当該基部61Lの先端部から外側(回動軸63とは反対側)に突出する係止部61Mとを備えている。
【0065】
基部61Lは、外側に若干突出する凸部61Nを有するとともに、前記幅狭部71Gを通過可能な厚さに形成されている。
【0066】
係止部61Mは、前記幅狭部71Gを通過不能である一方で、前記幅広部71Fを通過可能な厚さに形成されている。
【0067】
配管71に対し栓蓋駆動機構6を取付けるにあたっては、まず、ケース部材61に栓蓋側屈曲ガイド部材5及びレリースワイヤ4の一端部を取付けた上で、爪部61Kを幅広部71Fへと挿入する。次いで、前記窪み部71Iに前記凸部61Nが係止されるまでケース部材61を配管71に対して相対回転させ、幅狭部71Gに基部61Lを配置するとともに、被係止部71Hに係止部61Mを係止する。これにより、配管71に対し栓蓋駆動機構6が取付けられることとなる。尚、窪み部71Iに凸部61Nが係止されることで、配管71に対するケース部材61の相対回転が規制され、ひいては配管71からの栓蓋駆動機構6の脱落防止がより確実に図られるようになっている。
【0068】
さらに、
図7に示すように、第一構成部61Aの内部には、相対向する前方側接触部61Pと後方側接触部61Qとが設けられている。
【0069】
運動方向変換部62は、ラック部62A及び歯車部62Bを備えている。
【0070】
ラック部62Aは、伝達部材41の一端部が接続されており、立壁部61Eに隣接した状態で、前記前方側接触部61P及び後方側接触部61Q間に配置されている。また、ラック部62Aの立壁部61E側の側面は、平坦状をなしている。そして、伝達部材41の往復運動時において、ラック部62Aは、その平坦状の側面が立壁部61Eに対し摺動しつつ往復運動するようになっている。さらに、ラック部62Aのうち前記平坦状の側面の裏側に位置する側面には、ラック部62Aの往復運動方向に沿って形成された複数の歯が形成されている。
【0071】
また、本実施形態では、伝達部材41の往動に伴いラック部62Aが往動したときには、ラック部62Aが前方側接触部61Pに接触することで、ラック部62Aのそれ以上の往動が規制されるようになっている。一方で、伝達部材41の復動に伴いラック部62Aが復動したときには、ラック部62Aが後方側接触部61Qに接触することで、ラック部62Aのそれ以上の復動が規制されるようになっている。
【0072】
歯車部62Bは、回動軸63と一体的かつ同軸に設けられており、ラック部62Aに形成された前記歯に噛合されている。そのため、歯車部62Bは、ラック部62Aの往復運動に伴い回動する。
【0073】
回動軸63は、ケース部材61から外部に露出しており(
図6等参照)、歯車部62Bとともに回動するように構成されている。また、回動軸63は、
図4に示すように、配管本体部71Aの内部空間に露出する円板部63Aと、歯車部62B及び円板部63A間に位置し、円板部63Aよりも小径に形成された小径部63Bとを備えている。
【0074】
円板部63Aは、その配管本体部71A側の端面の外周側に、配管本体部71A内に突出する円柱状の支持突起66を備えている。そして、歯車部62Bひいては回動軸63が回動することで、支持突起66が上下動するようになっている。尚、支持突起66は、外周壁部72Aを支持するものであり、配管71(配管本体部71A)の内周面に対する支持突起66の突出量は小さなもので足りる。そのため、配管71(配管本体部71A)の内周面に対する支持突起66の突出量は非常に小さなもの(例えば、5mm以下)に設定されている。
【0075】
加えて、本実施形態では、上述のように、前方側接触部61P及び後方側接触部61Qによりラック部62Aの往復移動範囲が規定されることで、結果的に、回動軸63の回動可能範囲が規定されている。つまり、本実施形態では、前方側接触部61P及び後方側接触部61Qにより、回動範囲規定手段が構成されている。そして、回動軸63の回動可能範囲が規定されることで、支持突起66の上下方向に沿った移動可能範囲、すなわち、栓蓋75のストローク量(上下移動量)が規定されるようになっている。
【0076】
保持部材64は、円板部63Aと略同一の外径を有する円筒状をなし、小径部63Bの外周に配置されている。また、栓蓋駆動機構6を配管71に取付けた状態において、保持部材64は、所定のリング部材67によって、その外周面が取付用筒部71Bの内周面に対し水密にシールされるようになっている。
【0077】
封止部材65は、弾性変形可能な材料(例えば、ゴム等)により形成されており、保持部材64の内周面と小径部63Bの外周面とに対し水密に接触している。封止部材65によって、回動軸63の外周面を伝わった漏水の防止が図られている。
【0078】
以上詳述したように、本実施形態によれば、栓蓋駆動機構6にレリースワイヤ4を取付けた上で、当該栓蓋駆動機構6を配管71の外部から配管71(取付用筒部71B)へと容易に取付けることができる。従って、栓蓋駆動機構6の取付や交換に係る作業を極めて容易なものとすることができ、取付作業性やメンテナンス性を飛躍的に向上させることができる。また、取付作業時等において、配管内から栓蓋駆動機構や伝達部材を引き出すといった作業を行う必要はなく、さらに、レリースワイヤ4の状態を確認しながら作業を行うことができる。従って、レリースワイヤ4などの部材に破損が生じてしまうことをより確実に防止できる。
【0079】
加えて、本実施形態では、配管71(配管本体部71A)の内周面に対する支持突起66の突出量は非常に小さなものとされている。従って、支持突起66に対するゴミ等の付着が生じにくくなり、配管71の詰まりを効果的に抑制することができる。また、支持突起66よりも奥(下方)に位置する配管71やトラップ等を比較的容易に清掃することができ、清掃性を高めることができる。
【0080】
さらに、配管71に栓蓋駆動機構6を取付けたときに、栓蓋駆動機構6に設けられた封止部材65によって、回動軸63とその周囲に位置する保持部材64との間が水密に保持される。従って、取付作業時に、水密性を確保するために別段の作業を行う必要がなくなり、取付作業性やメンテナンス性を一層高めることができる。
【0081】
加えて、封止部材65は、回動軸63における小径部63Bの外周に設けられる。従って、封止部材65を比較的小径とすることができ、ひいては回動軸63(小径部63B)及び保持部材64と封止部材65との接触部分の面積や当該接触部分の径を比較的小さくすることができる。これにより、回動軸63を回動させる際の抵抗を小さくすることができ、変位部材23に加えられる力が比較的小さくても、回動軸63を円滑に回動させることができる。その結果、操作性や動作安定性の向上を図ることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、円板部63Aの回動中心から支持突起66までの径方向に沿った距離を十分に大きなものとすることができる。従って、回動軸63を回動させた際における支持突起66の上下方向に沿った移動量ひいては栓蓋75のストローク量を十分に大きくすることができる。これにより、排水口104を開放したときにおける良好な排水能力の確保等を図ることができる。
【0083】
さらに、本実施形態では、回動範囲規定手段を構成する前方側接触部61P及び後方側接触部61Qが栓蓋駆動機構6に設けられており、伝達部材41を介することなく、回動軸63の回動可能範囲が規定される。そのため、回動軸63の回動可能範囲をより正確に、かつ、精度よく規定することができる。その結果、栓蓋75のストローク量を精度よく狙いのものに設定することができる。
【0084】
併せて、運動方向変換部62は、ラック部62Aとこれに噛合される歯車部62Bとからなる比較的簡易な構成とされている。従って、製造コストの増大抑制を図ることができるとともに、栓蓋駆動機構6の小型化を図ることができる。
【0085】
また、洗面器100の表側から栓蓋75や支持軸73を引き上げて、通水部材72、支持軸73、ヘアキャッチャー74及び栓蓋75を配管71から取外した状態においては、配管71(配管本体部71A)の内周面に対し支持突起66のみが突出した状態となる。従って、配管71(配管本体部71A)の内周面に対する支持突起66の突出量が小さいことと相俟って、清掃性をより一層向上させることができる。
【0086】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0087】
(a)上記実施形態では、回動軸63(小径部63B)の外周に保持部材64が設けられており、封止部材65により、回動軸63(小径部63B)及び保持部材64間が水密にシールされるように構成されている。これに対し、保持部材64を省略し、封止部材によって、取付用筒部71Bの内周面と回動軸63の外周面との間が水密にシールされるように構成してもよい。
【0088】
(b)伝達部材41、チューブ部材42及び栓蓋駆動機構6の少なくとも1つに、伝達部材41に対しその圧縮方向に沿った力が加わった際、及び、伝達部材41に対しその伸長方向に沿った力が加わった際の双方において、伝達部材41及びチューブ部材42に加わる負荷を軽減する過負荷防止手段を設けることとしてもよい。過負荷防止手段を設けることで、伝達部材41やチューブ部材42における破損や変形を効果的に抑制することができる。
【0089】
尚、過負荷防止手段としては、例えば、伸縮変形が比較的容易に可能に構成されたチューブ部材42や、
図9に示すように、軸部材23Aの内部に設けられ、伝達部材41の他端部を往復移動可能な状態で挟んで保持するバネ部材81,82、
図10に示すように、ラック部62Aの内部に設けられ、伝達部材41の一端部を往復移動可能な状態で挟んで保持するバネ部材83,84等を挙げることができる。過負荷防止手段をラック部62Aに設けることで、運動方向変換部62及び過負荷防止手段を一体化することができ、栓蓋駆動機構6ひいては排水栓装置1の小型化を一層図ることができる。
【0090】
また、過負荷防止手段は、伝達部材41に対しその圧縮方向及びその伸長方向のどちらか一方に沿った力が加わった際に、伝達部材41及びチューブ部材42に加わる負荷を軽減するものであってもよい。このような過負荷防止手段としては、例えば、軸部材23Aの内部に設けられ、伝達部材41の他端部を軸部材23Aとの間で挟んで保持するバネ部材(具体的には、前記バネ部材81,82のうちの一方)や、ラック部62Aの内部に設けられ、伝達部材41の一端部をラック部62Aとの間で挟んで保持するバネ部材(具体的には、バネ部材83,84のうちの一方)などを挙げることができる。
【0091】
尚、過負荷防止手段は、変位部材23を変位させたときにおける伝達部材41の往復移動量を、支持突起66が所定の下限位置(排水口104を閉鎖するときの配置位置)及び所定の上限位置(排水口104を開放するときの配置位置)のうちの一方から両者のうちの他方まで移動するように回動軸63を回動させるために必要な最小限の量よりも大きなものに設定した場合に、特に有効である。この場合には、変位部材23が変位した際に、支持突起66を前記上限位置や前記下限位置に対しより確実に配置することができる一方で、変位部材23を変位させ伝達部材41を往復移動させた際に、伝達部材41に対し過負荷が加わりやすい。しかしながら、過負荷防止手段を設けることで、伝達部材41に加わる負荷を軽減することができ、伝達部材41やチューブ部材42の破損等を効果的に抑制することができる。
【0092】
(c)上記実施形態において、変位部材23は、その中心軸方向に沿って変位するものであるが、変位部材の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、中心軸を回転軸として回転することで変位するものであってもよい。
【0093】
また、変位部材は、使用者により直接操作されることで変位するものに限られず、例えば、使用者がタッチスイッチ等に触れることで電気的に作動して変位するものであってもよい。
【0094】
(d)上記実施形態において、排水栓装置1は、槽体として洗面器100に取付けられているが、排水栓装置1の取付対象は洗面器に限られるものではなく、その他の槽体(例えば、浴槽やユニットバスの洗い場等)であってもよい。
【0095】
(e)上記実施形態では、ケース部材61の内部に設けられた前方側接触部61P及び後方側接触部61Qによって回動範囲規定手段が構成されているが、回動範囲規定手段の構成はこれに限られるものではない。従って、例えば、回動軸63(小径部63B)の外周に設けられた周方向に沿って延びる溝と、保持部材64の内周に設けられ前記溝に配置される突起とによって、回動範囲規定手段を構成してもよい。この場合に、回動軸63の回動可能範囲は、前記溝の長さに対応したものに設定されることとなる。尚、回動軸63の外周に設けられた突起と、保持部材64の内周に設けられ前記突起が配置される溝とによって、回動範囲規定手段を構成してもよい。
【0096】
(f)上記実施形態では、爪部61Kを取付用孔部71Eに挿入した上で、ケース部材61を回転させることにより、配管71に栓蓋駆動機構6が取付けられるように構成されているが、配管71に対する栓蓋駆動機構6の取付態様はこれに限定されるものではない。従って、例えば、スナップフィットによって、配管71に対し栓蓋駆動機構6が取付けられるように構成してもよい。
【0097】
(g)上記実施形態における、取付用筒部71B及びオーバーフロー側筒部71Cの位置関係は例示であって、これらの位置関係は特に限定されるものではない。
【0098】
(h)上記実施形態において、チューブ部材42の端部は、操作側屈曲ガイド部材3及び栓蓋側屈曲ガイド部材5で保持されており、両ガイド部材3,5を介して操作装置2及び栓蓋駆動機構6に対し間接的に取付けられている。これに対し、両ガイド部材3,5のうちの少なくとも一方を省略し、チューブ部材42の端部が操作装置2や栓蓋駆動機構6に対して直接的に取付けられるように構成してもよい。