特許第6405139号(P6405139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6405139-遊技場用システム 図000002
  • 特許6405139-遊技場用システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405139
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   A63F7/02 330
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-146761(P2014-146761)
(22)【出願日】2014年7月17日
(65)【公開番号】特開2016-22047(P2016-22047A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 浩之
(72)【発明者】
【氏名】武藤 康平
【審査官】 下村 輝秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−019545(JP,A)
【文献】 特開2012−130613(JP,A)
【文献】 特開2011−067608(JP,A)
【文献】 特開2014−028134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体を貯留する貯留部と、
遊技媒体を使用して遊技を行った結果、予め定められた遊技結果である入賞が発生した場合に前記貯留部に遊技媒体を払い出す払出手段と、を備え、前記入賞が発生し易い特別遊技状態が設けられた遊技機に対応した遊技場用システムにおいて、
遊技価値を受け付け可能であり、当該遊技価値を対価として遊技媒体を前記貯留部に払い出す貸出手段と、
前記遊技価値を対価とすることなく前記貸出手段が遊技媒体を払い出すテストモードを設定するテストモード設定手段と、
遊技に使用した遊技媒体の数に対応した使用数を特定する使用数特定手段と、
前記入賞の発生に基づき前記払出手段が払い出した遊技媒体の数に対応した払出数を特定する払出数特定手段と、
前記使用数と前記払出数との差に基づき前記貯留部の玉が減少した数を特定する減少数特定手段と、を備え、
前記貸出手段は、前記テストモードにおいて、前記貯留部に貯留している遊技媒体の貯留数が予め定められた数である第1特別数減少したことを前記減少数特定手段が特定した場合に遊技媒体を前記貯留部に払い出す一方、前記特別遊技状態が終了した後には前記貯留数が前記第1特別数減少したことを前記減少数特定手段が特定した場合に遊技媒体を払い出さず、前記貯留数が前記第1特別数よりも多い第2特別数減少したことを前記減少数特定手段が特定した場合に遊技媒体を前記貯留部に払い出すことを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記貸出手段は、前記テストモードにおいて、前記貯留数が前記第1特別数減少した場合に予め定められた数である第1払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出す一方、前記特別遊技状態が終了した後には、前記貯留数が前記第1特別数減少した際に遊技媒体を払い出さず、前記貯留数が前記第2特別数減少した場合に、前記第1払出数及び前記第2特別数よりも少ない第2払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出すことを特徴とする請求項1記載の遊技場用システム。
【請求項3】
前記貸出手段は、前記第2払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出した後は、前記貯留数が前記第1特別数減少した場合に前記第1払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出すことを特徴とする請求項2記載の遊技場用システム。
【請求項4】
前記貸出手段は、前記第2払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出した後、前記貯留部の遊技媒体が前記第1特別数減少する前に、予め定められた操作である特別操作が実行された場合、前記貯留数が前記第1特別数減少した際には遊技媒体を払い出さず、前記貯留数が前記第2特別数減少した場合に、前記第2払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出す一方、前記特別操作が実行されなかった場合、前記貯留数が前記第1特別数減少した場合に前記第1払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出すことを特徴とする請求項3記載の遊技場用システム。
【請求項5】
遊技媒体として玉を使用し、玉を遊技領域に発射させる発射手段と、前記遊技領域に設けられ、玉が入賞することで前記入賞の発生となる入賞部と、図柄変動を実行する図柄変動手段と、前記図柄変動の結果、特別図柄が停止した場合に前記特別遊技状態を発生させる発生手段と、を備えた遊技機に対応したことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入賞が発生し易い特別遊技状態が設けられた遊技機に対応した遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では、新たに遊技機を設置した場合等に試打を行うことがある。試打を行うことで、遊技機が正常に動作するか等を確認することができる。近年、試打を円滑に行うための技術も提案されており、例えば特許文献1には、試打をするためのテストモードにおいて所定時間が経過する毎に玉(遊技媒体)を払い出す貸出機について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許2010−273887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、試打を行っている場合、常に玉を発射しているとは限らず、例えば、パチンコ遊技機にてリーチ等の演出が発生した場合には発射を停止していることがある。このため、所定時間が経過する毎に玉を払い出すと、玉をさほど消費していない状態で玉の払出が実行され、玉の貯留部から玉が溢れてしまうことが発生するおそれがある。また、玉の発射を停止しているか否かに関わらず、多くの入賞が発生し玉がさほど減少していない状態で玉の払出が実行され、玉が溢れてしまうことも発生し得る。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技媒体を自動的に払い出す場合に、遊技媒体が貯留部から溢れることを抑制することができる遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、遊技媒体を貯留する貯留部と、遊技媒体を使用して遊技を行った結果、予め定められた遊技結果である入賞が発生した場合に前記貯留部に遊技媒体を払い出す払出手段と、を備え、前記入賞が発生し易い特別遊技状態が設けられた遊技機に対応した遊技場用システムにおいて、
遊技価値を受け付け可能であり、当該遊技価値を対価として遊技媒体を前記貯留部に払い出す貸出手段と、前記遊技価値を対価とすることなく前記貸出手段が遊技媒体を払い出すテストモードを設定するテストモード設定手段と、遊技に使用した遊技媒体の数に対応した使用数を特定する使用数特定手段と、前記入賞の発生に基づき前記払出手段が払い出した遊技媒体の数に対応した払出数を特定する払出数特定手段と、前記使用数と前記払出数との差に基づき前記貯留部の玉が減少した数を特定する減少数特定手段と、を備え、前記貸出手段は、前記テストモードにおいて、前記貯留部に貯留している遊技媒体の貯留数が予め定められた数である第1特別数減少したことを前記減少数特定手段が特定した場合に遊技媒体を前記貯留部に払い出す一方、前記特別遊技状態が終了した後には前記貯留数が前記第1特別数減少したことを前記減少数特定手段が特定した場合に遊技媒体を払い出さず、前記貯留数が前記第1特別数よりも多い第2特別数減少したことを前記減少数特定手段が特定した場合に遊技媒体を前記貯留部に払い出すものである(請求項1)。
【0007】
請求項1記載の遊技場用システムにおいて、
前記貸出手段は、前記テストモードにおいて、前記貯留数が前記第1特別数減少した場合に予め定められた数である第1払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出す一方、前記特別遊技状態が終了した後には、前記貯留数が前記第1特別数減少した際に遊技媒体を払い出さず、前記貯留数が前記第2特別数減少した場合に、前記第1払出数及び前記第2特別数よりも少ない第2払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出すようにしても良い(請求項2)。
【0008】
請求項2記載の遊技場用システムにおいて、
前記貸出手段は、前記第2払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出した後は、前記貯留数が前記第1特別数減少した場合に前記第1払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出すようにしても良い(請求項3)。
【0009】
請求項3記載の遊技場用システムにおいて、
前記貸出手段は、前記第2払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出した後、前記貯留部の遊技媒体が前記第1特別数減少する前に、予め定められた操作である特別操作が実行された場合、前記貯留数が前記第1特別数減少した際には遊技媒体を払い出さず、前記貯留数が前記第2特別数減少した場合に、前記第2払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出す一方、前記特別操作が実行されなかった場合、前記貯留数が前記第1特別数減少した場合に前記第1払出数の遊技媒体を前記貯留部に払い出すようにしても良い(請求項4)。
【0010】
請求項1から4の何れか一項に記載の遊技場用システムにおいて、
遊技媒体として玉を使用し、玉を遊技領域に発射させる発射手段と、前記遊技領域に設けられ、玉が入賞することで前記入賞の発生となる入賞部と、図柄変動を実行する図柄変動手段と、前記図柄変動の結果、特別図柄が停止した場合に前記特別遊技状態を発生させる発生手段と、を備えた遊技機に対応するようにしても良い(請求項5)。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、テストモードにおいては遊技媒体が減少すると遊技媒体の払出が行われるため、テストモードにおける遊技媒体の補充作業が適切となる。さらに、特別遊技状態が終了した場合には貯留部に遊技媒体が大量に貯留されているが、特別遊技状態の終了後は遊技媒体の払出タイミングを遅らせることで、遊技媒体が貯留部から溢れることや貯留部に遊技媒体が大量に貯留されている状態が継続し続けることを抑制できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、特別遊技状態が終了した後は払い出す遊技媒体の数を少なくする。これにより、遊技媒体が貯留部から溢れることや貯留部に遊技媒体が大量に貯留されている状態が継続し続けることを一層抑制することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、少ない数の遊技媒体の払出を実行した後は、第1特別数減少した場合に第1払出数の遊技媒体を払い出す状態に復帰する。これにより、第2特別数減少した場合に第2払出数の遊技媒体の払出が過度に繰り返し実行されてしまうことで、貯留部の遊技媒体が過度に減少してしまうことを抑制できる。
【0014】
第2払出数の遊技媒体を払い出した場合でも、遊技媒体が溢れることや、貯留部の遊技媒体が多すぎる状態となることが想定できるが、請求項4の発明では、第2払出数の遊技媒体を払い出した後、第1特別数減少する前に特別操作が実行された場合、再度、第2特別数が減少した場合に、第2払出数の遊技媒体を払い出すため、貯留部の遊技媒体の数を十分に減少させることができる。これにより、貯留部の貯留数の調整が行い易くなる。
請求項5の発明によれば、本発明をパチンコ遊技機に適用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態における遊技場用システムの全体構成を示す概略図
図2】貸出機が実行するテストモード対応処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1(払出手段に相当)が設置されており、各遊技機1に対応して貸出機2(貸出手段、使用数特定手段、払出数特定手段、減少数特定手段に相当)が設置されている。これら遊技機1及び貸出機2は、中継端末3及びLAN4を介して管理装置5(テストモード設定手段に相当)と接続されている。管理装置5は、遊技機側(遊技機1、貸出機2等)から送信される遊技信号を受信することにより遊技機1毎の遊技データを管理する共に、会員登録された会員毎の個人データも管理する。
【0017】
遊技場には景品交換装置(以下、POS)6も設置されており、LAN4を介して管理装置5と接続されている。POS6はタッチパネル式のディスプレイ7を有しており、付属するカードリーダライタにより読取ったIC持玉券に記憶されている遊技価値の大きさに基づいて特定される景品交換価値に基づいて景品交換処理を実行する。尚、POS6においてIC持玉券に記憶されている遊技価値の大きさを取扱うときは、管理装置5がIC持玉券に対応して予め記憶している遊技価値の大きさと照合し、真であると判定したことを条件として遊技価値の取扱いを有効とする。つまり、遊技価値は金銭を含む概念であり、遊技価値が金銭である構成は本発明に含まれる。尚、会員カードの場合は、当該会員カードに対応して管理装置5に記憶されている貯玉数(遊技価値)の大きさに基づいて特定される景品交換価値に基づいて景品交換処理を実行する。
【0018】
管理装置5は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード8、モニタ9、図示しないプリンタ等が接続されている。管理装置5は、遊技場内に設置された遊技機1、貸出機2、POS6等の稼動状況を管理すると共に、遊技機側からの信号に基づいて遊技者から受け付けた遊技価値の大きさ(持玉数・貯玉数(会員の場合)、残金)を遊技者毎に記憶管理する。つまり、遊技者が所有する紙幣や持玉数・貯玉数を特定可能な情報を記録した記録媒体が投入されることで、玉の貸出のために対価として消費する遊技価値を受け付けている。尚、持玉とは、当日貯玉であり、前日以前に預入れた玉やメダルではなく、当日獲得した玉やメダルを意味する。貯玉と当日貯玉は管理が異なるため区別している。
尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置5の管理対象となっている。
【0019】
図1で示す遊技機1はCR(カードリーダ)パチンコ機であり、盤面10に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル11、上部受皿12(貯留部に相当)、下部受皿13を有すると共に、盤面10に、液晶表示部14、始動口15、大入賞口16を有する。また、上部受皿12の周縁部には発行ボタン17と貸出ボタン18が設けられている。
【0020】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)操作ハンドル11が操作されたことにより盤面10に発射された玉が始動口15に入賞(始動入賞)することに応じて大当たり抽選を行い、抽選結果に基づいて所謂特別図柄(特図)による図柄変動を液晶表示部14にて実行し、その結果に応じて大当たり(特別遊技状態に相当)を発生させる。例えば、「7」、「7」、「7」等の同じ数字が並んだ状態で図柄が停止した場合に大当たりを発生させる。尚、所謂保留玉の上限は各4個ずつであり、保留中に始動入賞した場合は上限まで保留し、図柄変動終了後に順次保留した図柄変動を実行する。
【0021】
(2)大当たり抽選の当選確率(大当たり確率)は1/300であり、大当たりのうち大当たり後に確変状態(確変)となる大当たりの割合は66.6%(2/3)である。大当たりが発生すると対応するラウンド数(R)に応じた分だけ大入賞口16を開放する。尚、1Rの上限入賞数(上限数)は8個、上限開放時間は30秒であり、上限数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。また、同じ奇数図柄が揃うと確変が発生する。
【0022】
(3)大当たりに対応するラウンド数は5Rと16Rとがあり、その振分割合は5Rが25%であり、16Rが75%である。
(4)確変中は大当たり確率が1/30に向上する。確変は次回大当たりまで継続するため、大当たり後に通常状態(通常)となる大当たり(通常大当たり)が発生するまで継続し、通常大当たりが発生した場合は通常状態へと戻る。
【0023】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打込みや始動口15への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
・アウト信号:使用玉を回収するアウトBOX(図示せず)から出力されるアウト(使用数に相当)を特定可能な信号である。回収玉(使用玉、打込玉)10個に対して1パルスが出力されるので、アウト信号数×10をアウトとして特定する。尚、遊技機1から直接出力される信号であっても良い。アウト信号により特定されるアウトは、遊技に使用された遊技価値の量に相当する。
【0024】
・セーフ信号:遊技機1から出力される払出遊技価値であるセーフ(払出数に相当)を特定可能な信号である。払出玉10個に対して1パルスが出力されるので、セーフ信号数×10をセーフとして特定する。尚、補給装置(図示せす)から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。セーフ信号により特定されるセーフは、入賞により付与された遊技価値の量に相当する。
・始動入賞信号:遊技機1から出力される始動口15への入賞(始動入賞)を特定可能な信号である。始動口15への入賞1回につき1パルスが出力されるので、始動入賞信号の受信に応じて始動入賞を特定する。
【0025】
・図柄変動信号(スタート信号):遊技機1から出力される始動口15への始動入賞により変動(作動)を開始する図柄変動(役物作動)を特定可能な信号である。図柄変動の確定時(終了時)に出力されるので、図柄変動信号の受信に応じて図柄変動(スタート)を特定する。尚、図柄変動の開始時に出力される信号であっても良い。
・大当たり信号:遊技機1から出力される大当たりである期間を特定可能な信号である。大当たり中にレベル出力されるので、大当たり信号受信中を大当たり中として特定する。
・確率変動信号:遊技機1から出力される大当たりの当選確率が高い確変状態中である期間を特定可能な信号である。確変状態中にレベル出力されるので、確率変動信号受信中を確変状態中として特定する。
【0026】
貸出機2は、図示しないCPU、ROM、RAMからなる制御部を主体として構成されており、遊技機1の遊技状態を示す状態表示部19、紙幣が投入される紙幣投入口20、遊技者からの操作入力を受付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部21、玉を払出すための再プレイボタン22、払出された玉が通過するノズル23、IC持玉券或いは会員カードが挿入されるカード挿入口24、カードを発行するための発行ボタン25、遊技機1の下部受皿13の下方に位置する着脱可能な計数受皿26等を備えている。
【0027】
貸出機2は、以下に示す機能を備えている。
(1)紙幣投入口20に投入された紙幣の金額(1000円単位。遊技価値に相当)を記憶すると共に、投入金額(入金残高)を液晶表示部21に表示する。
(2)遊技機1に設けられた貸出ボタン18の操作に応じて入金残高の範囲内で1度数に相当する数の玉を遊技機1内部の玉払出部(払出手段に相当)から払出すCR機能を備えている。このとき、遊技機1から貸出機2に1度数分(コーナー毎に設定されている)の玉を払出したことを示す信号が出力されるので、液晶表示部21に表示されている入金残高から1度数に相当する金額を減額すると共に売上信号を出力する。この売上信号は1度数の玉の払出し毎に1パルスが出力されるので、1パルスに相当する単位金額を売上額として特定する。
【0028】
(3)遊技機1の下部受皿13から落下して計数受皿26で受けられた玉数を計数して液晶表示部21に表示する。
(4)再プレイボタン22の操作に応じて計数玉数(持玉数)又は貯玉数(会員の場合)の範囲内で1度数ずつ払出す。
(5)遊技機1に設けられた発行ボタン17の操作に応じて入金残高、持玉数等の情報をカード挿入口24に挿入されているIC持玉券に記憶して発行する。会員カードが挿入されている場合は、入金残高を会員カードに記憶すると共に暗証番号の入力を条件として持玉数を管理装置5に送信してから会員カードを発行する。IC持玉券を発行する場合は、カードIDを含む発行情報を管理装置5へ送信し、管理装置5側にも記憶する。尚、カード挿入口24にIC持玉券も会員カードも挿入されていない場合は、図示しないカードストック部にストックしているIC持玉券をカード挿入口24に繰出して入金残高、持玉数を記憶して発行する。
【0029】
(6)IC持玉券がカード挿入口24に挿入された場合は、IC持玉券に記憶されている入金残高、持玉数を読出して液晶表示部21に表示する。会員カードが挿入された場合は、会員カードに記憶されている入金残高を読出して液晶表示部21に表示すると共に暗証番号の入力を条件として管理装置5の会員口座に会員IDに対応して記憶されている貯玉数(当日貯玉数・前日貯玉数)も表示する。当日貯玉数とは当日貯玉された貯玉数(持玉)であり、前日貯玉数とは前日までの貯玉数である。営業終了後は、当日貯玉数は前日貯玉数に合算して記憶される。遊技者による払出操作に応じて貯玉数或いは当日貯玉数の範囲内で玉をノズル23から払出す。つまり、金銭を対価とする玉の払出をノズル23を介して実行する。
【0030】
(7)液晶表示部21に対する操作入力に応じて対応する遊技機1或いは指定された他の遊技機1の遊技データを表示したり、遊技場からのメッセージを表示したりする。
(8)現在の状態(例えば、始動口15への玉の入賞率)を把握するためのテストモードを開始可能となっている。テストモードの開始及び終了は、管理者が携帯するリモコン又は管理装置5(テストモード設定手段に相当)からの信号出力で行う。つまり、管理装置5やリモコンの操作することでテストモードの設定を実行できる。管理装置5から実行する場合は、管理装置5のモニタ9の試打設定画面において「試打開始」を選択して台番(複数可能)を指定することにより選択した貸出機2でテストモードを開始することができる。また、「試打終了」を選択することによりテストモードを終了することができる。このテストモードにおいては、残金、持玉や貯玉を受け付けることなく玉の払出が実行可能である。つまり、テストモードにおいては、残金、持玉、貯玉を対価とすることなく玉の払出が可能である。リモコン又は管理装置5以外の例えば貸出機2により手動設定可能に構成することで貸出機2自身にテストモード設定手段を設けるようにしても良い。
【0031】
尚、例えば遊技場が新規オープン前のために貸出機2と管理装置5との通信がオフラインの場合は、管理者が携帯するリモコンからテストモード用の信号を送信することにより貸出機2毎にテストモードを開始することができる。また、テストモード用の信号を再度送信することによりテストモードを終了することができる。
また、パチスロ機に対応して各台計数機能を備えた貸出機2が設置されており、IC持玉券或いは会員カードの挿入状態で貯メダル或いは当日貯メダルからの払出が可能となっている。
【0032】
管理装置5は、記憶しているコンピュータプログラムにしたがって作動し、遊技機1の稼動状況を示す遊技データを表示する遊技情報表示サービス、並びに遊技者が遊技により獲得した遊技媒体を一旦貯蓄し、当日或いは後日遊技に再利用できるようにする貯玉サービスを実行可能となっている。これらのサービスを実行するために、遊技機1や貸出機2等から入出力部に入力される遊技信号に基づいて、遊技機1の稼動状態を特定して遊技機1毎に遊技情報を管理するようになっている。
【0033】
上述したように貸出機2はテストモードに対応したテストモード対応処理を実行可能となっており、図2にテストモード対応処理のフローチャートを示す。貸出機2は、テストモード開始中かを判定している(S1)。上述したようにして管理者によりテストモードが開始中となった場合は(S1:YES)、大当たり終了か(S2:NO)、100個払出フラグがセットされているか(S4:NO)、大当たり終了フラグがセットされているか(S5:NO)、玉貸出操作有り、又は玉125個(第1特別数に相当)減少か(S6:NO)を判定するようになる。100個払出フラグとは、後述するように大当たり終了後に1回目の玉の自動払出を実行したことを示すフラグである。
【0034】
100個払出フラグ及び大当たり終了フラグの何れもセットされていないテストモード(以下、通常テストモード)においては、手動払出操作で上部受皿12に玉を払い出すことができる。つまり、管理者が上部受皿12の玉が少なくなったために再プレイボタン22を操作すると、貸出機2は、玉貸出操作が有ったと判定し(S6:YES)、玉を125個(第1払出数に相当)払い出す(S7)。これにより、管理者は、玉を任意のタイミングで補充することができる。
【0035】
一方、貸出機2は、セーフ−アウトにより上部受皿12の玉数を算出することで玉の減少数を特定しており(使用数と払出数の差に基づき貯蓄部の玉が減少した数を特定)、自動的に上部受皿12に玉を払い出すことができる。つまり、管理者による試打の結果、アウトが増加し、上部受皿12の玉が125個減少した場合(S6:YES)、125個の玉を払い出す(S7)。尚、ステップS6においての玉が125個減少したか否かの減少のカウントを開始するタイミングは、玉の払出開始を起点としている。
【0036】
尚、図2のフローチャートには示していないが、通常テストモードの1回目の玉の自動払出では、玉が100個減少したことを特定した時点で125個の玉の払い出し(補充)を行うようになっている。これは、通常テストモードの1回目に払い出した125個の玉が無くなってから玉の払出を行うと、玉が無くなってから新たに払い出した玉が発射位置に到達するまでの時間のために玉を発射できない状況が発生することから、そのような不具合を抑制するための工夫である。つまり、上部受皿12の残り玉が25個になった時点で玉の自動払出が行われることで、通常テストモードを継続して実行することが可能となる。
【0037】
試打の結果、大当たりが発生すると、多数の玉が払い出されるので、上部受皿12が玉で満杯状態となる。この満杯状態は、上部受皿12から溢れた玉が通路を介して下部受皿13に流れて貯留されている状態であり、その通路にも玉が滞留して上部受皿12から玉が流れにくい状態である。
【0038】
貸出機2は、大当たりが終了すると(S2:YES)、大当たり終了フラグをセットする(S3)。このように大当たり終了フラグがセットされた状態(S5:YES)、つまり大当たり終了後のテストモード(以下、大当たり終了後テストモード)においては、玉が200個減少したか(S8:NO)、玉貸出操作(再プレイボタン22の操作)が有ったか(S11:NO)を判定するようになる。この大当たり終了後テストモードでは、通常テストモードと異なり、玉が125個減少した場合であっても玉を払い出さず、玉が200個(第2特別数に相当)減少した場合に(S8:YES)、100個(第2払出数に相当)の玉を払い出す(S9)。つまり、大当たり終了後モードでは、通常テストモードに比較して、玉の払出タイミングを遅らすと同時に払出数を少なくしている。これは、大当たり終了後は、上述したように上部受皿12に玉が満杯状態であり、上部受皿12から溢れた玉が下部受皿13に流れにくい状態であることから、通常テストモードのように125個減少した場合に125個の玉を払い出すと、上部玉皿12から玉が溢れたり、溢れやすい状態となったりして玉の払出しに支障を生じるおそれが発生し易いことから、そのような状態を抑制するためである。尚、ステップS8において玉が200個減少したか否かの減少のカウントを開始するタイミングは、大当たり信号の終了後、セーフ信号が所定時間(例えば10秒)途切れた場合、又は所定時間(例えば30秒)経過した時点を起点としている。
【0039】
次に貸出機2は、100個払出フラグをセットし、大当たり終了フラグをクリアすることで(S10)、通常テストモードに復帰する。
一方、管理者が遊技機1に設けられている再プレイボタン22を操作した場合は(S11:YES)、上部受皿12の玉は十分に減少しており通常モードに復帰しても問題を生じることはないことから、125個の玉を払い出すと共に大当たり終了フラグ及び100個払出フラグをクリアすることで(S12)、通常テストモードに復帰する。
【0040】
貸出機2は、上述したようにして大当たり後テストモードの1回目の玉の自動払出を実行することにより100個払出フラグをセットした状態では(S4:YES)、発行操作が有るか(S13:NO)、玉が125個減少したか(S15:NO)、玉貸出操作が有るか(S11:NO)を判定するようになる。玉が125個減少した場合は(S15:YES)、125個の玉を払い出すと共に100個払出フラグをクリアすることで(S16)、通常テストモードに復帰する。尚、ステップS15において玉が125個減少したか否かの減少のカウントを開始するタイミングは、玉の払出開始を起点としている。また、管理者が遊技機1に設けられた再プレイボタン22を操作した場合も(S11:YES)、125個の玉を払い出してから(S12)、通常テストモードに復帰する。つまり、大当たり終了後テストモードにおいて1回目の玉の払出を実行した場合は、自動払出及び手動払出操作に関わらず通常テストモードに復帰する。
【0041】
しかしながら、大当たり終了後テストモードの1回目の玉の自動払出が実行された時点では、上部受皿12の玉が満杯状態から100個の玉が減少しているものの、上述したように上部受皿12の玉の満杯状態では上部受皿12から溢れた玉が下部受皿13に流れにくい状態であることから、玉の満杯状態から100個の玉が減少しただけでは依然として上部受皿12から玉が溢れやすい状態の場合がある。
【0042】
このように依然として上部受皿12から玉が溢れやすい状態であると思った管理者は、遊技機1に設けられている発行ボタン17を操作する。
貸出機2は、玉が125個減少する前に発行ボタン17が操作された場合は(「特別操作が実行された場合」に相当)(S13:YES)、100個払出フラグをクリアすると共に大当たり終了フラグをセットする(S14)。これにより、上述した大当たり終了時の1回目の玉の自動払出と同様に、次の玉の自動払出では、200個の玉が減少してから100個の玉を払い出してから(S8〜S10)、通常テストモードに復帰する。これにより、大当たり終了後テストモードの1回目の玉の自動払出だけでは、上部受皿12の玉を十分に減少できない場合であっても、2回目の玉の自動払出により上部受皿12の玉を十分に減少させることができるので、上部受皿12の玉を十分に減らしつつテストモードを継続して実行することができる。
【0043】
また、テストモード開始中(通常テストモード中、大当たり終了後テストモード中)は、貸出機2の液晶表示部21で管理者に対するメッセージを表示する。具体的には、あと何個玉が減ると払出を実行するか、大当たり終了後に玉が125個減る前に発行ボタン17を操作すれば再度、払出タイミングを遅らせることができること等を表示している。
【0044】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
貸出機2は、通常テストモード中は、アウトとセーフを管理し、玉の自動払出では上部受皿12の玉が125個減少する毎に125個の玉を払い出す一方、大当たり終了後テストモードでは125個よりも多い200個の玉が減少した場合に100個の玉の自動払出を実行するようにしたので、各テストモードにおける玉の補充作業が適切となり、さらに大当たり終了後テストモードの1回目の自動払出では、玉の払出タイミングを遅らせることで、玉が上部受皿12から溢れることや上部受皿12に玉が大量に貯留されている状態が継続し続けることを抑制できる。
【0045】
大当たり終了後テストモードの1回目の玉の自動払出では払い出す玉の数を通常テストモードの125個よりも少ない100個としたので、玉が上部受皿12から溢れることや上部受皿12に玉が大量に貯留されている状態が継続し続けることを一層抑制することができる。
【0046】
大当たり終了後テストモードの1回目の玉の自動払出を実行した後は通常テストモードに復帰するようにしたので、200個の玉が減少する毎に100個の玉の自動払出が繰り返し実行されてしまうことで、上部受皿12の玉の貯玉数が過度に減少してしまうことを抑制できる。
【0047】
大当たり終了後テストモードの1回目の玉の自動払出を実行した後、次の玉の自動払出が実行される前に発行ボタン17が操作された場合は、2回目の玉の自動払出として、1回目の玉の自動払出を再実行するようにしたので、上部受皿12の玉を十分に減少させることができ、上部受皿12の玉の貯留数の調整が行い易くなる。
【0048】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張したり、各変形例を上記実施形態と組み合せたり、各変形例を組み合わせるようにしても良い。
通常テストモードにおいて払い出す玉の数や、払い出すまでの減少玉数を任意に変更しても良い。例えば、150個の玉が減少した場合に150個の玉を払い出す構成が考えられる。
例示した遊技機以外の遊技機に本発明を適用しても良く、例えば、スロットマシンに適用しても良い。また、特別遊技状態は大当たりに限られるものではなく、パチンコ遊技機において始動入賞部に玉が入賞し易くなる時短状態や、スロットマシンにおけるボーナスゲームやAT状態やRT状態を特別遊技状態として扱うことも可能である。つまり、遊技者が遊技媒体を得やすくなる状態であれば、特別遊技状態に該当する。
【0049】
大当たり終了後テストモードでは、1回目の玉の自動払出を実行するまでの減少玉数を200個としたが、この値を変更しても良いのは言うまでもない。例えば、175個の玉が減少した場合に、玉を払い出すようにしても良い。つまり、大当たり終了後テストモードにおける玉を自動的に払い出すまでの減少玉数が通常テストモードよりも多ければ本発明に該当する。また、例えば125個の玉が減少した場合に通常テストモードの125個よりも少ない100個としたが、例えば50個の玉を払い出す等、払い出す個数を任意に変更しても良い。要するに、玉の自動払出により玉が減少すればどのような数値を採用しても良い。
【0050】
大当たりが終了した後、1回目の玉の払出を大当たり終了後テストモードとする構成としたが、2回目以降の玉の払出を大当たり終了後テストモードとする構成としても良い。
テストモードにおける玉の払出を貸出機2のノズル23を介して行う構成としたが、遊技機1の玉払出部からテストモードにおける玉の払出を実行するようにしても良い。また、貸出機2が再プレイ機能を有さない構成の場合は、テストモードにおける玉の払出はノズル23を介して行い、金銭を対価とする払出は遊技機1の玉払出部から行っても良い。つまり、遊技価値として、貯玉や金銭のいずれを対応させても良いし、テストモードにおける玉の払出と営業モードにおける玉の払出を実行する装置が異なっていても良く、これらの構成が本発明における貸出手段に相当し、さらに、貸出手段と払出手段を一の装置が備えていても良い。
【0051】
テストモードにおいて、アウトとセーフから玉の減少数を特定する構成としたが、アウト及びセーフだけでなく払出数(テストモードにおいて自動又は手動で払い出した数)を計算式に加えて玉の減少数を計算しても良い。つまり、払出数+セーフ−アウトが所定数減少する毎にテストモードにおける払出を実行するようにしても良い。さらには、貸出機2の各台計数機能による計数結果(遊技者の現在の持玉数)を計算式に入れて玉の減少数を計算しても良い。つまり、セーフ−アウト−計数結果や払出数+セーフ−アウト−計数結果から玉の減少数を計算しても良い。各台計数機能による計数結果を計算式に入れた場合、上部受皿12から溢れた玉数が特定し易く、より適切なタイミングで玉の自動払出を実行し易い。つまり、玉の減少は、減少数そのものを特定する方法だけでなく、上部受皿12の玉数を特定し、上部受皿12の玉が所定数になったことで玉が減少したことを特定する方法を採用することが可能である。
【0052】
玉が減少した数を貸出機2が特定する構成としたが、貸出機2とは装置が玉の減少数を特定する装置を変更しても良く、例えば、中継装置3や管理装置5が特定する構成としても良い。つまり、減少数特定手段を、貸出機2が備えていても良いし、他の装置が備えていても良い。
特別操作として遊技機1に設けられた発行ボタン17が操作された場合としたが、貸出ボタン18が操作された場合としても良いし、貸出機2に設けられた発行ボタン25が操作された場合としても良い。
【符号の説明】
【0053】
図面中、1は遊技機(払出手段)、2は貸出機(貸出手段、使用数特定手段、払出数特定手段、減少数特定手段)、5は管理装置(テストモード設定手段)、12は上部受皿(貯留部)である。
図1
図2