特許第6405156号(P6405156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405156
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】順送加工機および順送加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/00 20060101AFI20181004BHJP
   B30B 13/00 20060101ALI20181004BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   B21D43/00 J
   B30B13/00 J
   B21D28/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-172630(P2014-172630)
(22)【出願日】2014年8月27日
(65)【公開番号】特開2016-47536(P2016-47536A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2017年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 剛之
(72)【発明者】
【氏名】山田 豊信
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−104897(JP,A)
【文献】 特開2006−187810(JP,A)
【文献】 特開平6−321395(JP,A)
【文献】 米国特許第4619028(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00
B21D 28/02
B30B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下型と、
前記下型に対して上下動可能な上型と、
前記下型および前記上型間に設けられ、帯状板に加工を施すためのものであって一列に並ぶ複数の加工ステージを備え、
前記帯状板を前記複数の加工ステージに一端の加工ステージから他端の加工ステージに向う順序で送ることで前記帯状板に加工を施した後に前記帯状板から製品を打抜くものにおいて、
前記帯状板に気体を吹付けるものであって、当該気体を前記帯状板の送り方向に向けて下から上へ斜めに吹付ける吹付け機構を備えたことを特徴とする順送加工機。
【請求項2】
前記吹付け機構は、前記複数の加工ステージのうち前記他端の側で前記帯状板の短手方向の中央部に気体を吹付けることを特徴とする請求項1に記載の順送加工機。
【請求項3】
前記複数の加工ステージは、前記帯状板から前記製品を短手方向に複数列に打抜くものであって、前記帯状板から短手方向に複数列に前記製品を打抜いた状態で短手方向に隣接する2つの列間に三角形状の残材が残るように前記製品の打抜きを行うものであり、
前記吹付け機構は、前記残材に気体を吹付けることを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の順送加工機。
【請求項4】
前記吹付け機構は、前記上型が下死点を通過することに応じて気体の吹出しを開始することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の順送加工機。
【請求項5】
上型および下型間の一列に並ぶ複数の加工ステージに帯状板を順に送ることで当該帯状板に加工を施した後に当該帯状板から製品を打抜く順送加工方法において、
前記帯状板に気体を前記帯状板の送り方向に向けて下から上へ斜めに吹付けることを特徴とする順送加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は順送加工機および順送加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
順送加工機には帯状板を上型および下型間の複数の加工ステージに順に送ることで帯状板に加工を施した後に帯状板から製品を打抜くものがある。この帯状板から製品が打抜かれた場合には帯状板に孔が開き、帯状板に繋ぎ桟が残った状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−178920号公報
【特許文献2】特開平11−104897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の順送加工機の場合には帯状板から製品が打抜かれることで帯状板の強度が低下し、帯状板が強度不足で垂れ下がることがある。この順送加工機の場合には帯状板から打抜かれた製品が下型内で積層される。従って、帯状板が垂れ下がった場合には帯状板の搬送時に帯状板が下型内の製品に引掛かり、帯状板の円滑な搬送に支障を来す虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施例の順送加工機は、下型と、前記下型に対して上下動可能な上型と、前記下型および前記上型間に設けられ帯状板に加工を施すためのものであって一列に並ぶ複数の加工ステージを備え、前記帯状板を前記複数の加工ステージに一端の加工ステージから他端の加工ステージに向う順序で送ることで前記帯状板に加工を施した後に前記帯状板から製品を打抜くものにおいて、前記帯状板に気体を吹付けるものであって当該気体を前記帯状板の送り方向に向けて下から上へ斜めに吹付ける吹付け機構を備えたところに特徴を有する。
【0006】
実施例の順送加工方法は、上型および下型間の一列に並ぶ複数の加工ステージに帯状板を順に送ることで当該帯状板に加工を施した後に当該帯状板から製品を打抜く方法において、前記帯状板に気体を前記帯状板の送り方向に向けて下から上へ斜めに吹付けるところに特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1を示す図(固定子鉄心の外観を示す斜視図)
図2】プレス装置を示す図
図3】帯状鋼板を示す図
図4】(a)はダイプレートの外観を示す斜視図、(b)はB部を拡大して示す図
図5】帯状鋼板が浮上する様子を示す図
図6】変形例を示す図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
図1の固定子鉄心1および回転子鉄心2は三相同期モータを構成するものである。この三相同期モータはインナーロータ形のものであり、回転子鉄心2は固定子鉄心1の内部に収納される。この回転子鉄心2は複数の回転子打抜板3(図3参照)を軸方向に積層してなるものであり、回転子鉄心2には複数の回転子打抜板3の積層後に永久磁石および回転軸が装着される。
【0009】
固定子鉄心1は、図1に示すように、複数の固定子打抜板4を軸方向に積層してなるものであり、ヨーク5と複数のティース6と複数のスロット7と複数の連結片8を有している。ヨーク5は円筒状をなすものであり、複数のティース6のそれぞれはヨーク5の内周面から内側へ突出するものである。これら複数のティース6のそれぞれは固定子コイルが巻装されるものであり、複数のスロット7のそれぞれは円周方向に隣接するティース6間に配置されている。複数の連結片8のそれぞれはヨーク5の外周面から外側へ突出するものであり、円周方向に等ピッチで配列されている。これら複数の連結片8のそれぞれは連結孔9を有するものであり、複数の固定子打抜板4間は複数の連結孔9内のそれぞれに連結管を圧入することで連結される。
【0010】
図2のプレス装置10は帯状鋼板11から回転子打抜板3および固定子打抜板4を打抜くものであり、アンコイラー12とレベラーフィーダー13とプレス型14を備えている。アンコイラー12は帯状鋼板11が巻装されたものである。この帯状鋼板11は板厚0.35mm以下の薄板からなるものであり、回転子打抜板3および固定子打抜板4のそれぞれは帯状鋼板11から短手方向にP列およびQ列の2列に打抜かれる(図3参照)。レベラーフィーダー13はアンコイラー12から帯状鋼板11を巻戻して水平な搬送X方向へ送るものであり、帯状鋼板11の巻癖を矯正する機能を備えている。この帯状鋼板11は帯状板に相当し、回転子打抜板3および固定子打抜板4のそれぞれは製品に相当する。
【0011】
プレス型14は、図2に示すように、レベラーフィーダー13から帯状鋼板11が供給されるものである。このプレス型14は順送加工機に相当するものであり、上型15および下型16を備えている。このプレス型14はプレスモータの回転運動をコネクティングロッド等によって直線的な往復運動に変換する機械式プレスからなるものであり、上型15はプレスモータが回転操作されることに応じて下型16の静止状態で一定の上死点および一定の下死点間で往復運動を繰返す。このプレス型14は下死点スイッチを備えている。この下死点スイッチは上型15が上死点から下死点に到達することで電気的なオン状態となるものであり、上型15が下死点を上死点に向けて離れることで電気的なオフ状態となる。
【0012】
下型16は、図2に示すように、ダイプレート17を備えており、ダイプレート17にはダイD1とD2とD3とD4とD5とD6(いずれも図示せず)が装着されている。これらダイD1〜D6は帯状鋼板11の搬送方向Xに対して平行に反搬送方向Xから搬送方向Xに向けてダイD1→D2→D3→D4→D5→D6の順に一列に並ぶものであり、互いに等ピッチPで配列されている。
【0013】
上型15は、図2に示すように、パンチプレート18を備えており、パンチプレート18にはパンチP1とP2とP3とP4とP5とP6(いずれも図示せず)が装着されている。これらパンチP1〜P6は帯状鋼板11の搬送方向Xに対して平行に反搬送方向Xから搬送方向Xに向けてパンチP1→P2→P3→P4→P5→P6の順に一列に並ぶものであり、上型15の上死点でパンチP1はダイD1に上から対向し、パンチP2はダイD2に上から対向し、パンチP3はダイD3に上から対向し、パンチP4はダイD4に上から対向し、パンチP5はダイD5に上から対向し、パンチP6はダイD6に上から対向している。
【0014】
レベラーフィーダー13は帯状鋼板11を搬送方向Xへ一定速度で断続的に搬送するものである。この帯状鋼板11の搬送ピッチはダイD1〜D6の配列ピッチと同一値Pに設定されており、帯状鋼板11は搬送ピッチPで搬送方向Xへ搬送されることに応じて「パンチP1およびダイD1間」→「パンチP2およびダイD2間」→「パンチP3およびダイD3間」→「パンチP4およびダイD4間」→「パンチP5およびダイD5間」→「パンチP6およびダイD6間」に順に供給される。これらダイD1〜D6およびパンチP1〜P6は、図3に示すように、帯状鋼板11にせん断加工を搬送方向Xに対して位置的にずらして施すものであり、レベラーフィーダー13は帯状鋼板11にせん断加工が施されるタイミングで帯状鋼板11を搬送停止する。
【0015】
ダイD1およびパンチP1は加工ステージS1を構成するものであり、図3に示すように、加工ステージS1では上型15が上死点から下死点に移動操作されることで帯状鋼板11のP列およびQ列のそれぞれに位置決め用のパイロット孔19がせん断加工される。ダイD2およびパンチP2は加工ステージS2を構成するものであり、加工ステージS2では上型15が上死点から下死点に移動操作されることで帯状鋼板11のP列およびQ列のそれぞれに孔20と孔21と孔22がせん断加工される。これら孔20〜22は回転子打抜板3用のものであり、相互に異なる形状に設定されている。
【0016】
ダイD3およびパンチP3は加工ステージS3を構成するものであり、図3に示すように、加工ステージS3では上型15が上死点から下死点に移動操作されることで帯状鋼板11のP列およびQ列のそれぞれに孔23および孔24がせん断加工される。孔23は回転軸を挿入するためのものであり、回転子打抜板3用のものである。孔24はスロット7を形成するためのものであり、固定子打抜板4用のものである。
【0017】
ダイD4およびパンチP4は加工ステージS4を構成するものであり、図3に示すように、加工ステージS4では上型15が上死点から下死点に移動操作されることで帯状鋼板11のP列およびQ列のそれぞれから回転子打抜板3が打抜かれる。この回転子打抜板3はダイD4内に落下するものであり、ダイD4内には回転子打抜板3の打抜きが繰返されることに応じて回転子打抜板3が下から上に向けて順に積層される。
【0018】
ダイD5およびパンチP5は加工ステージS5を構成するものであり、図3に示すように、加工ステージS5では上型15が上死点から下死点に移動操作されることで帯状鋼板11のP列およびQ列のそれぞれから固定子打抜板4が打抜かれる。この固定子打抜板4はダイD5内に落下するものであり、ダイD5内には固定子打抜板4の打抜きが繰返されることに応じて固定子打抜板4が下から上に向けて順に積層される。
【0019】
ダイD6およびパンチP6は加工ステージS6を構成するものであり、図3に示すように、加工ステージS6では上型15が上死点から下死点に移動操作されることで帯状鋼板11のP列およびQ列のそれぞれから帯状鋼板11の残材が切断される。即ち、帯状鋼板11が「パンチP1およびダイD1間」〜「パンチP6およびダイD6間」に順に供給されることに応じて帯状鋼板11から回転子打抜板3および固定子打抜板4が短手方向に2列に打抜かれる。孔25は帯状鋼板11から固定子打抜板4を打抜くことで形成されるものであり、帯状鋼板11にはP列の2つの孔25およびQ列の1つの孔25間に位置して三角形状の繋ぎ桟26が残り、P列の2つの孔25間およびQ列の2つの孔25間のそれぞれに位置して繋ぎ桟26に比べて幅狭な繋ぎ桟27が残る。この繋ぎ桟26は残材に相当する。
【0020】
下型16のダイプレート17には複数のメカニカルリフターが装着されている。これら複数のメカニカルリフターのそれぞれはダイプレート17内に収納された無効位置およびダイプレート17の上面から上へ突出した有効位置間で移動可能にされたものであり、無効位置から有効位置に向けてバネで付勢されている。
【0021】
複数のメカニカルリフターのそれぞれは上型15が上死点から下死点に下降する途中でパンチP1〜P6から帯状鋼板11を通して押圧力が伝達されることに応じて有効位置から無効位置に移動するものであり、上型15が下死点から上死点に上昇する途中でパンチP1〜P6からの押圧力が消滅することに応じて無効位置から有効位置にバネ力で移動する。これら複数のメカニカルリフターのそれぞれは有効位置で帯状鋼板11をダイプレート17の上面から浮かせるものであり、加工ステージS1〜S6のうちの搬送方向Xとは反対側に配置されている。即ち、帯状鋼板11のうち搬送方向X側の先端部を除く残余部分はメカニカルリフターによって浮かされた浮上状態で搬送方向Xへ搬送される。
【0022】
下型16のダイプレート17には、図4に示すように、前エアリフター28および後エアリフター29が固定されている。これら前エアリフター28および後エアリフター29のそれぞれはダイプレート17の上面に対して下へ凹む凹状をなすものであり、帯状鋼板11は前エアリフター28および後エアリフター29に邪魔されることなく搬送される。これら前エアリフター28および後エアリフター29のそれぞれは複数の吹出し口30を有するものであり、前エアリフター28の複数の吹出し口30および後エアリフター29の複数の吹出し口30は帯状鋼板11の搬送方向Xに対して直交する直交方向に沿って1列に配列されている。
【0023】
下型16のダイプレート17には、図5に示すように、2本のエア経路31が形成されており、前エアリフター28および後エアリフター29のそれぞれはエア経路31に接続されている。これら2本のエア経路31は共通のエアホースを介してエアポンプの吐出口に接続されている。このエアポンプはポンプモータを駆動源とするものであり、ポンプモータの運転状態ではエアポンプからエアホースおよびエア経路31を通して前エアリフター28の複数の吹出し口30および後エアリフター29の複数の吹出し口30にエアーが供給される。即ち、前エアリフター28の複数の吹出し口30および後エアリフター29の複数の吹出し口30のそれぞれはポンプモータの運転状態でエアーを吹出すものであり、前エアリフター28および後エアリフター29は吹付け機構に相当する。
【0024】
前エアリフター28および後エアリフター29のそれぞれは、図4に示すように、帯状鋼板11の短手方向に対して中央部に配置されたものであり、帯状鋼板11のP列およびQ列には前エアリフター28の複数の吹出し口30からエアーが吹付けられ、後エアリフター29の複数の吹出し口30からもエアーが吹付けられる。これら前エアリフター28の複数の吹出し口30および後エアリフター29の複数の吹出し口30のそれぞれは帯状鋼板11の搬送方向Xに向けて下から上へ斜めに傾斜する通路状をなすものであり、エアーを搬送方向Xに向けて下から上へ斜めに帯状鋼板11に吹付ける。
【0025】
帯状鋼板11は、図5に示すように、前エアリフター28および後エアリフター29からエアーが吹付けられることでダイプレート17の上面に対して浮上するものであり、前エアリフター28および後エアリフター29から帯状鋼板11へのエアーの噴出圧は帯状鋼板11のエアーによる浮上量がメカニカルリフターによる浮上量に比べて大きくなるように設定されている。
【0026】
図3の符号32は前エアリフター28からのエアーの吹付け位置であり、前エアリフター28は加工ステージS5で帯状鋼板11の三角形状の繋ぎ桟26にエアーを吹付ける。図3の符号33は後エアリフター29からのエアーの吹付け位置であり、後エアリフター29は加工ステージS4で繋ぎ桟26となる部分にエアーを吹付ける。
【0027】
ポンプモータは下死点スイッチがオン状態からオフ状態に切換わることを電気的なトリガとして運転開始されるものであり、前エアリフター28および後エアリフター29はポンプモータが運転開始されることに時間的に遅れてエアーの吹出しを開始することでパンチP1〜P6およびダイD1〜D6間の噛み合せが解除された直後のタイミングで帯状鋼板11にエアーを吹付ける。
【0028】
即ち、ポンプモータは上型15が下死点から上死点に向けて移動開始することに応じて運転開始されるものであり、前エアリフター28および後エアリフター29はパンチP1〜P6およびダイD1〜D6間の噛み合せが解除された直後に帯状鋼板11にエアーを吹付け開始する。レベラーフィーダー13は前エアリフター28および後エアリフター29から帯状鋼板11にエアーが吹付け開始された直後に帯状鋼板11を搬送停止状態から搬送開始し、複数のメカニカルリフターのそれぞれは前エアリフター28および後エアリフター29から帯状鋼板11にエアーが吹付け開始されると同時に有効位置に移動する。
【0029】
ポンプモータは運転開始されたことを基準に一定時間が経過することで運転停止されるものであり、前エアリフター28および後エアリフター29はポンプモータが運転停止されることに時間的に遅れてエアーの吹出しを停止する。このポンプモータの運転時間は帯状鋼板11が搬送停止された直後に前エアリフター28および後エアリフター29からのエアーの吹出しが停止するように予め決められたものであり、帯状鋼板11は前エアリフター28および後エアリフター29からエアーが吹付けられた浮上状態で搬送される。
【0030】
上記実施例1によれば次の効果を奏する。
前エアリフター28および後エアリフター29から帯状鋼板11に搬送方向Xに向けて下から上へ斜めにエアーを吹付けたので、帯状鋼板11がダイプレート17の上面から浮上した状態で搬送方向Xへ搬送される。この帯状鋼板11は加工ステージS5で三角形状の繋ぎ桟26および幅狭な繋ぎ桟27が強度不足で垂れ下るものの、繋ぎ桟26および繋ぎ桟27がダイD5内の固定子打抜板4に引掛ることがなくなる。しかも、帯状鋼板11が前エアリフター28および後エアリフター29からのエアーの圧力で搬送方向Xへ押されるので、総じて帯状鋼板11が搬送方向Xへ高速度で円滑に搬送される。
【0031】
加工ステージS5で前エアリフター28から帯状鋼板11の短手方向の中央部にエアーを吹付け、加工ステージS4で後エアリフター29から帯状鋼板11の短手方向の中央部にエアーを吹付けたので、帯状鋼板11のうち垂れ下る側にエアーが吹付けられることに応じて垂れ下がる側が直接的に持上げられる。従って、帯状鋼板11のうち垂れ下る側を小さな圧力のエアーで浮かせることができるので、帯状鋼板11の引掛りが効率的に防止される。
【0032】
加工ステージS5で前エアリフター28から繋ぎ桟26にエアーを吹付けたので、帯状鋼板11のうち垂れ下る部分にエアーが直接的に吹付けられることに応じて垂れ下る部分が直接的に持上げられる。従って、帯状鋼板11のうち垂れ下る部分を小さな圧力のエアーで浮かせることができるので、この点からも帯状鋼板11の引掛りが効率的に防止される。
【0033】
上型15が下死点を通過することに応じて前エアリフター28および後エアリフター29からエアーの吹出しを開始した。従って、帯状鋼板11が搬送開始される直前に前エアリフター28および後エアリフター29から帯状鋼板11にエアーが吹付けられるので、帯状鋼板11が確実に浮上状態で搬送される。
【0034】
上記実施例1においては、帯状鋼板11から回転子打抜板3および固定子打抜板4を短手方向に1列または3列以上に打抜いても良い。図6は帯状鋼板11から回転子打抜板3および固定子打抜板4を3列に打抜く場合のレイアウトである。この場合には帯状鋼板11の短手方向の一端部と他端部と中央部の3か所または短手方向の一端部と他端部の2か所に搬送方向Xに向けて下から上へ斜めにエアーを吹付けることが好ましい。
【0035】
上記実施例1においては、帯状鋼板11の幅狭な繋ぎ桟27に前リフター28または後リフター29からエアーを吹付けても良い。
上記実施例1においては、前エアリフター28および後エアリフター29から帯状鋼板11にエアーを継続的に吹付け、上型15のパンチP1〜P6から帯状鋼板11に作用する押圧力で帯状鋼板11をダイプレート17の上面にエアーの圧力に抗して押付けても良い。
【0036】
上記実施例1においては、前エアリフター28および後エアリフター29のそれぞれから帯状鋼板11に空気以外の気体を吹付けても良い。
上記実施例1においては、帯状鋼板11から回転子打抜板3および固定子打抜板4とは異なる製品を打抜いても良い。
【0037】
以上、本発明の実施例を説明したが、この実施例は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施例やその変形は発明の範囲や要旨に含まれると共に特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
3は回転子打抜板(製品)、4は固定子打抜板(製品)、11は帯状鋼板(帯状板)、14はプレス型(順送加工機)、15は上型、16は下型、26は繋ぎ桟(残材)、28は前エアリフター(吹付け機構)、29は後エアリフター(吹付け機構)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6