(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の光倣い研削盤は、ワークの下方に備えられた透過照明と、ワークの上面及び砥石車を照射する第1,2の光源を備えた構成である。上記特許文献1には、光源の種類に関しての明確な記載はない。しかし、従来の光倣い研削盤においては、光源としてハロゲンランプを使用しているのが一般的である。
【0005】
光源としてハロゲンランプを使用すると、ハロゲンランプは発熱量が大きいので、光倣い研削盤における本体フレームに対する熱影響が大きい。そこで、大掛かりな冷却装置や断熱構造が必要であり、全体的構成が複雑かつ大きくなり易いと共に、エネルギー消費が大きくなるという問題がある。また、ハロゲンランプは、低寿命であり、かつON,OFFを頻繁に行うとより低寿命になるので、ON使用を継続することとなり、省エネルギー化を図る上において問題がある。
【0006】
また、ハロゲンランプにおいては、ワークの加工中に突然切れることがあり、加工中断を余儀なくされることがある。この場合、熱変位挙動(発熱と冷却とのバランスの崩れ)を生じ、ミクロン単位の精度の加工精度を悪化させ、加工不良を生じることがある、などの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、ワークテーブルに固定したワークに対して砥石車を上下動してワークの研削を行い
、かつワークの研削位置を上方位置から照明する第1の投光器と、下方位置から照明する第2の投光器とを備えた光倣い研削盤であって、
光倣い研削盤におけるベースフレーム上に、ワークの研削加工位置を投影するスクリーンを上部に備えた本体フレームを立設して備え、光倣い研削盤の制御を行う制御盤及びワークの研削位置を照明するLED光源装置を内装した制御ボックスを、この制御ボックス内の発熱が前記本体フレームに悪影響を付与することのないように、前記本体フレームに対して熱的に離反して前記ベースフレーム上に備え、前記ワークの研削位置を照明する投光器と前記LED光源装置とを、複数本の光ファイバーを束ねたライトガイドによって接続してあることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記光倣い研削盤において、前記ワークの研削位置を、斜め上方位置及び/又は斜め下方位置から照明する第3の投光器を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記光倣い研削盤において、共通のLED光源装置を、複数に分岐した分岐ライトガイドを介して複数の前記投光器に接続してあることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記光倣い研削盤において、前記LED光源装置は、照度及び調色を調節自在なカラーLED光源装置であることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記光倣い研削盤において、前記LED光源装置は、照度が調節自在な単色LED光源装置であることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記光倣い研削盤において、前記カラーLED光源装置は、照度が調節自在な赤色LED光源装置と、照度が調節自在な緑色LED光源装置と、照度が調節自在な青色LED光源装置とを備えていることを特徴とするものである。
【0014】
また、前記光倣い研削盤において、前記LED光源装置は、光倣い研削盤に備えられた制御ボックス内に内装されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、前記光倣い研削盤において、前記LED光源装置及び/又は制御装置に備えた表示器のON,OFFを制御するために、光倣い研削盤の正面位置の所定領域内に位置する人体を検知する人体検知センサを備えていることを特徴とするものである。
【0016】
また、前記光倣い研削盤において、前記LED光源装置を制御する制御装置は、ワークを照射する照度のデータを、作業者に対応して予め格納した照度データメモリを備えていることを特徴とするものである。
【0017】
また、前記光倣い研削盤において、前記LED光源装置を制御する制御装置は、照度を調節自在な照度調節操作手段を備えていることを特徴とするものである。
【0018】
また、前記光倣い研削盤において、前記LED光源を制御する制御装置は、ワークの加工位置を照射する照射光の調色を行う調色データとワークの材質とを関連付けた調色データメモリを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、光倣い研削盤における本体フレームから熱的に離れた位置に、光源としてのLED光源装置を備え、ワークの研削位置を照明する投光器とLED光源装置は、複数本の光ファイバーを束ねたライトガイドによって接続してある。すなわち、光源は、発熱の少ないLED光源装置であり、かつLED光源装置は、本体フレームから熱的に離れた位置に備えられているので、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る光倣い研削盤について説明するに、光倣い研削盤における全体的構成は既に知られている構成であるが、理解を容易にするために、全体的構成について概略的に説明する。
【0022】
図1を参照するに、光倣い研削盤1は、ベースフレーム3を備えており、このベースフレーム3上には、ワークWを固定支持するワークテーブル5が互に直交するX,Y,Z軸方向へ移動自在に備えられている。ワークテーブル5は、X,Y,Z軸用の各サーボモータ(図示省略)を回転駆動することによってX,Y,Z軸方向へ移動位置決めされるものである。なお、ワークテーブル5をX,Y,Z軸方向へ移動する構成は公知の構成であってもよいものであるから、ワークテーブル5の構成についての詳細な説明は省略する。
【0023】
また、前記ベースフレーム3上には、前記ワークWの研削加工を行う砥石車7を上下動自在に備えた砥石台9が備えられている。この砥石台9は、前記X,Y軸に相当するU,V軸方向へ移動自在に備えられている。そして、ワークWにおける研削面に対応して砥石車7の姿勢を調節するために、前記X,Y,Z軸に相当するU,V,W軸回りに回動可能に備えられている。なお、前記砥石台9の構成は既に知られた構成であるから、砥石台9の構成についての詳細な説明は省略する。
【0024】
前記ベースフレーム3の後側には本体フレーム11が立設してあり、この本体フレーム11の上部前面にはスクリーン(投影装置)12が備えられている。また、前記本体フレーム11の側面には、当該本体フレーム11から熱的に離反して制御ボックス13が一体的に備えられている。すなわち、制御ボックス13内においての発熱が本体フレーム11に悪影響を付与することのないように熱的に離反して構成してある。そして、上記制御ボックス13の前側には、制御装置15が備えられている。前記制御ボックス13内には、各種の制御盤が内装してあると共に、前記砥石車7によるワークWの研削位置を照明(照射)する光源としてのLED光源装置(
図1には図示省略)が内装されている。前記制御装置15は光倣い研削盤1の動作を制御するものであって、コンピュータから構成してある。
【0025】
前記制御ボックス13内には、
図2に概念的、概略的に示すように、上部LED光源装置17と下部LED光源装置19が内装されている。前記上部LED光源装置17には、RGBの3色を発光する複数のLED29を備えたLED光源31が備えられている。上記LED光源31における複数のLED29から発光された照射光を集光して、又は予め集光された照射光を平行光線化して出射端側の焦点位置へ再度集光する、例えばコリメートレンズ等のごとき平行光線化手段33が前記上部LED光源装置17に備えられている。そして、前記出射端側の焦点位置には、筒状のコネクタ34が備えられている。このコネクタ34には、複数本の光ファイバーを束ねた構成のライトガイド37の一端側に備えたコネクタ39が着脱可能に嵌合してある。
【0026】
したがって、前記出射端側の焦点位置に集光された照射光は、前記コネクタ39の端面から前記ライトガイド37内に入射され、当該ライトガイド37の他端側へ導かれることになる。前記ライトガイド37の他端側は、投光器の1例としてのテレセントリックレンズ35の焦点位置に配置してある。よって、ライトガイド37の他端側から出射された照射光は、前記テレセントリックレンズ(投光器)35によって平行光線化される。したがって、LED光源31を制御することにより、LED光源31の照度及び調色を調節できるものである。そして、前記LED光源31からの照射光はテレセントリックレンズ35によって平行光線化され、前記スクリーン12の下側に備えた筒体25内のハーフミラー27へ照射される。そして、ハーフミラー27によって下方向へ反射され、砥石車7によって研削加工されているワークWの研削加工位置を垂直上方位置から照明することになる。
【0027】
前記下部LED光源装置19の構成及び光学系の構成は、前述した上部LED光源装置17と同一構成であるから、同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。
【0028】
下部LED光源装置19におけるLED光源31からの照射光は、前述同様に、前記コネクタ39の端面から前記ライトガイド37内に入射され、当該ライトガイド37の他端側へ導かれることになる。前記ライトガイド37の他端側は、前記ワークWの研削加工位置の下方位置に配置した投光器としてのテレセントリックレンズ35の焦点位置に配置してある。よって、ライトガイド37の他端側から出射された照射光は、前記テレセントリックレンズ(投光器)35によって平行光線化されて、ワークWの研削加工位置を垂直下方位置から照射することになる。
【0029】
上記構成により、ワークWの研削加工位置の輪郭に沿って下側から透過した透過光及び上側から照射されて反射した反射光は、前記筒体25内の前記ハーフミラー27を透過する。そして、ワークWの研削加工位置における砥石車7とワークWの研削加工位置の投影画像が、従来と同様に拡大して前記スクリーン12に投影されることになる。
【0030】
前述のごとく、上下のLED光源装置17,19から発光された照射光をワークWの研削加工位置へ照射するに際し、照度及び調色を調節自在に構成してある。すなわち、前記制御装置15はコンピュータから構成してあって、CPU38、RAM40、ROM41、入力手段43、表示手段45を備えている。そして、前記制御装置15には、前記上下のLED光源装置17,19のON,OFF及び/又は制御装置15に備えた前記表示手段45のON,OFFを制御するために、作業者を検知する人体検知センサ47が接続されている。
【0031】
上記人体検知センサ47は、
図1に示すように、例えばスクリーン12の下部側正面に備えられている。この人体検知センサ47は、光倣い研削盤1における正面位置で所定の領域内に作業者等が位置することを検知したときには、前記LED光源装置17,19及び/又は前記表示手段45をON作動し、非検知時にはOFF作動する機能を奏するものである。
【0032】
したがって、作業者がスクリーン12を目視しようと、正面位置に位置する場合にのみLED光源装置17,19及び/又は前記表示手段45をON作動するものであり、省エネ化を図ることができるものである。なお、人体検知センサ47は、光倣い研削盤1における正面の所定領域内の人体を検知できればよいものであり、例えば制御ボックス13や制御装置15の適宜位置に設けることも可能である。
【0033】
前記制御装置15には、前記上部LED光源装置17のON,OFFや照度、調色を制御する上部用光源制御手段49が備えられていると共に、前記下部用LED光源装置19のON,OFFや照度、調色を制御する下部用光源制御手段51が備えられている。そして、上下の光源制御手段49,51によって上下のLED光源装置17,19の照度を調節(制御)するために、前記制御装置15には、照度データメモリ53が備えられている。そして、上記照度データメモリ53には、上下のLED光源装置17,19用の上部用データメモリ53A、下部用データメモリ53Bがそれぞれ備えられている。なお、上下のデータメモリ53A,53Bは共用することも可能である。
【0034】
前記上部用、下部用のデータメモリ53A,53Bには、ワークWの材質、表面反射形態及び作業者の視覚能力に対応付けた照度データが格納されている。したがって、ワークWの材質や表面における反射率に対応して、また作業者の視覚能力に対応して、ワークWを照射する照度を、適正の照度に調節可能なものである。
【0035】
また、前記制御装置15には、調色データメモリ55が備えられている。この調色データメモリ55には、上下のLED光源装置17,19用の上部用データメモリ55Aと下部用データメモリ55Bが備えられている。上記上下のデータメモリ55A,55Bには、ワークWの材質に対応して(例えば鉄系の金属の場合にはグリーン、銅系の金属の場合にはブルー等)の調色データが格納されている。したがって、ワークWの表面色に対して、ワークWに対する照射光を適正な色調に調色することができ、スクリーン12に投影されたワークWの映像が見易くなるものである。なお、上下のデータメモリ55A,55Bは共用することも可能である。
【0036】
さらに、前記制御装置15には、前記入力手段43から入力された入力データに対応して前記照度データメモリ53、調色データメモリ55を検索する検索手段57が備えられている。
【0037】
以上のごとき構成において、ワークテーブル5にワークWを取付け固定し、砥石車7を回転駆動して上下動を繰り返し、砥石車7に対してワークテーブル5をX,Y軸方向に移動制御することにより、ワークWにおける輪郭の研削加工が行われることになる。そして、ワークWの研削加工位置には、平行光線化手段35によって平行光線化された照射光が上下両側から照射されている。
【0038】
前記下側からの照射光はワークWの輪郭に沿った透過光として筒体25内に入射される。そして、上側からの照射光は、ワークWの研削加工位置付近の反射光として前記筒体25内に入射される。上述のように、筒体25内に反射光等が入射されると、ワークWの研削加工位置付近のカラー映像が、スクリーン12に拡大して投影される。したがって、スクリーン12に表示されているワークの拡大した、例えばチャート紙と比較することにより、ワークWの研削加工状態を目視することができるものである。
【0039】
ところで、本実施形態においては、ワークWを照射する光源としてLED光源装置17,19を使用し、しかも、上記LED光源装置17,19は、光倣い研削盤1における本体フレーム11から熱的に離隔した位置に備えた制御ボックス13内に備えられている。すなわち、各種の電子機器や基盤などの発熱源を内装した制御ボックス13の発熱が本体フレーム11に悪影響を与えることのないように、制御ボックス13は、本体フレーム11から熱的に離反してある。そして、この制御ボックス13内にLED光源装置17,19が備えられており、複数本の光ファイバーを束ねたライトガイド37によって上下両側のテレセントリックレンズ35へ照射光が伝搬されているものである。
【0040】
したがって、光倣い研削盤1における本体フレーム11等に対して、LED光源装置17,19が熱的な悪影響を与えるようなことがないものである。また、LED光源装置17,19は、ハロゲンランプ等に比較して発熱量が極めて少ないので、場合によっては冷却装置を省略することや、ハロゲンランプの使用時に用いられていた耐熱フィルターを省略することができ、全体的構成の簡素化、小型化を容易に図ることができるものである。また、LED光源装置17,19が制御ボックス13内に備えられていることにより、LED光源17,19の保守点検が容易なものである。
【0041】
前述のごとく、上下のLED光源装置17,19から出射された照射光によってワークWの研削加工位置の照射を行うに際し、ワークWの材質や表面の反射形態(例えば表面が光沢面など)に対応して、入力手段43から必要なデータを入力すると、この入力されたデータに対応する照度データが照度データメモリ53から検索される。そして、この検索した照度データに基いて、上下の光源制御手段49,51の制御の下に、上下のLED光源装置17,19から発光される照射光の照度が制御(調節)される。
【0042】
したがって、スクリーン12に投影されたカラー映像を良好な状態でもって目視することができるものである。
【0043】
また、前記入力手段43から上下のLED光源装置17,19の色調のデータを入力すると、この入力されたデータに対応した調色データが調色データメモリ55から検索される。そして、この検索された調色データに基いて、上下のLED光源装置17,19から発光される照射光の調色が行われることになる。したがって、上下のLED光源装置17,19から発光される照射光の色調を異にすることが可能である。よって、スクリーン12のカラー映像を見易いカラーで表現することができるものである。
【0044】
既に理解されるように、上下のLED光源装置17,19から発光されてワークWへ照射される照射光の照度及び調色を行うことができ、スクリーン12に投影されるカラー映像を、作業者の所望の照度、色調とすることができるものである。
【0045】
ところで、前記LED光源装置17,19は、人体検知センサ47が人体を検知したときにON作動され、人体検知センサ47が非検知状態時には、OFF作動されるものである。すなわち、換言すれば、作業者がスクリーン12を目視しようと光倣い研削盤1の正面の所定領域内に位置するときにのみ、LED光源装置17,19はON作動されるものである。したがって、LED光源装置17,19は必要なときにのみON作動されるものであり、省エネ化を図ることができるものである。
【0046】
以上のごとき説明より理解されるように、本実施形態においては、研削加工されるワークWの照明を行う照射光の光源を、LED光源装置17,19によって構成し、ワークWへ照射する照射光の照度を適正照度とすることができると共に、照射光の調色を行うことによって、ワークの照射面を所望の色調とすることができるものである。したがって、スクリーン12を目視する作業者の、目視による疲労感を軽減することができるものである。
【0047】
ところで、本発明は、前述したごとき実施形態のみに限るものではなく、種々の変更を行うことにより、種々の形態でもって実施可能なものである。
【0048】
例えば、
図4に示すように、上下のLED光源装置17,19の他に、上記したLED装置と同様の第3のLED光源装置61を備える。そして、ライトガイド37を介して前記LED光源装置61に接続した、前記投光器35と同様の第3の投光器35Aを備える。上記第3の投光器35Aは、補助光として、
図4,5に示すよう、ワークWの研削加工位置を斜め上方向又は斜め下方向から照明するために使用することができる。なお、斜め上方向又は斜め下方向の一方向からのみならず、斜め上方向及び斜め下方向の両方向から研削加工位置を照射することも可能である。
【0049】
上述のように、ワークWの研削加工位置を、斜め上方向又は斜め下方向或は斜め上下方向の両方向から照射することにより、研削加工位置がより明るくなるものである。また、
図5に示すように、ワークWの上部側が下部側よりも細い場合には、下側の投光器35からの照射光は、ワークWの下部側によって遮光されることになる。しかし、第3の投光器35AがワークWの研削加工位置を斜め上方向又は下方向から補助的に照明することにより、下側の投光器35からの光が遮光された場合であっても、ワークWの研削加工位置の形状確認等を容易に行い得るものである。
【0050】
ところで、前記説明においては、各投光器35,35AとLED光源装置17,19,61は1:1の関係において説明した。しかし、
図6に示すように、共通のLED光源装置63と複数(適数)の投光器35,35Aとを、複数に分岐した分岐ライトガイド65を介して接続した構成とすることも可能である。この構成によれば、複数の投光器35,35Aの数に比較してLED光源装置の少数化を図ることができるものである。
【0051】
さらには、
図7に示すように、LED光源装置として、R,G,Bの単色LED光源装置67R,67G,67Bを使用する。そして、各単色LED光源装置67R,67G,67Bに複数に分岐した分岐ライトガイド65を接続し、各分岐ライトガイド65から分岐された枝ライトガイド65Aを前記各投光器35,35Aに接続した構成とすることも可能である。この構成によれば、各単色LED光源装置67R,67G,67Bを、例えばボリューム等の調節手段によって個別に調節することが容易であり、照度及び調色の調節が容易に行い得るものである。
【0052】
ところで、ワークWの研削加工位置付近をカラーで照明する構成としては、前記各投光器35,35Aに代えて、赤色LED、緑色LED、青色LEDのそれぞれを複数備えた、いわゆる複眼型の照明装置を採用することも可能である。
【0053】
なお、ワークWの研削加工位置を照明する構成としては、カラー照明に限ることなく、例えば白色LEDを使用することも可能である。
【0054】
前述の説明においては、照度データメモリ53、調色データメモリ55を、予めデータを格納した場合を前提として説明した。しかし、工場内の環境に対応して、照度データ、調色データを、入力手段43から入力して、前記照度データメモリ53、調色データメモリ55のデータを変更することも可能である。この場合、周囲環境に対応した適正な照度、調色でもってワークを照明できることになるものである。
【0055】
また、前記説明においては、前記照度データメモリ53、調色データメモリ55に格納されているデータに基いて上下のLED光源装置17,19の照度、調色を調節する旨説明した。しかし、ボリュームなどの調節手段(調節操作手段)を用いてLED光源装置17,19の照度、調色を調節する構成とすることも可能である。なお、LED光源装置17,19が例えば白色LED光源装置である場合には、調色の必要はないので、照度調節を行うボリュームを備えた構成とすることができ、構成の簡素化を図ることができるものである。
【0056】
ところで、ワークWの研削加工位置を下側から照明する従来の投光器35Bは、
図8に概略的に示すごとき構成である。すなわち、投光器35Bは、冷却水を循環する環状の冷却水通路69を備えた筒状の投光器本体71内に、テレセントリックレンズユニット73を備え、このテレセントリックレンズユニット73の下側にハロゲンランプ75を備えた構成である。そして、前記ハロゲンランプ75から前記テレセントリックレンズユニット73には、約100°の照射角度でもって入射されるように設定してある。
【0057】
ところが、前記ライトガイド37の出射端から出射される照明光の出射角度(照射角度)は約60°である。したがって、従来のテレセントリックレンズユニット73を利用する場合、前記ハロゲンランプ75に代えてライトガイド37の端部を前記ハロゲンランプ75の位置に取付けることは難しいものである。そこで、本実施形態においては、ライトガイド37の出射端から出射された照明光の出射角度を、前記ハロゲンランプ75の場合の約100°に近似されるための出射角調節レンズ(図示省略)を内装した調節レンズユニット77が前記ライトガイド37の出射端側に備えられている。
【0058】
したがって、前記ハロゲンランプ75を保持したハロゲンランプホルダ79に代えて、支持ブラケット81を前記投光器本体71内に備えることにより、ライトガイド37の出射端側に備えた前記調節レンズユニット77を、前記投光器本体71内に配置することができる。この場合、ライトガイド37の出射端側に調節レンズユニット77を備えて、この調節レンズユニット77から出射される照明光の照射角度を、ハロゲンランプ75の照射角度にほぼ合わせてあるから、前記調節レンズユニット77を、前記ハロゲンランプ75とほぼ同一位置に配置することができるものである。
【0059】
したがって、ライトガイド37の出射端側に調節レンズユニット77を備えることにより、従来の光倣い研削盤に対しても容易に後付けすることができるものである。すなわち、レトロフィットが可能である。