特許第6405197号(P6405197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6405197-テストコネクション付継手 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405197
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】テストコネクション付継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 29/02 20060101AFI20181004BHJP
   F16L 41/02 20060101ALI20181004BHJP
   F16L 37/42 20060101ALI20181004BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   F16L29/02
   F16L41/02
   F16L37/42
   B60T17/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-229667(P2014-229667)
(22)【出願日】2014年11月12日
(65)【公開番号】特開2016-94954(P2016-94954A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2017年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104318
【弁理士】
【氏名又は名称】深井 敏和
(72)【発明者】
【氏名】橋床 祥平
(72)【発明者】
【氏名】谷口 泰章
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−126742(JP,U)
【文献】 国際公開第2007/136274(WO,A1)
【文献】 実開昭58−57939(JP,U)
【文献】 国際公開第2004/029571(WO,A1)
【文献】 国際公開第02/075266(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0118623(US,A1)
【文献】 特表2003−512973(JP,A)
【文献】 特表2004−510933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 29/02
F16L 37/35
F16L 37/38
F16L 37/42
F16L 41/00 − 41/02
F16L 41/16
F16K 27/02
B60T 17/04
B60T 17/22
G01L 7/00 − 23/32
G01L 27/00 − 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力試験用機器が接続されるテストコネクション部と、このテストコネクション部が取付けられる樹脂製のエアーブレーキ配管用継手部とを備え、
エアーブレーキ配管用継手部は、内部のエアー流路から分岐したテストコネクション用流路を有しており、このテストコネクション用流路を形成する筒状部に前記テストコネクション部が圧入して取付けられ、
前記テストコネクション部は、
圧入時に前記筒状部の内周面に喰い込むエッジ状の突起部が外周面に形成され、かつ内部に軸方向に貫通する貫通孔が形成された金属製のキャップ材と、
前記貫通孔内に貫通孔の軸方向に摺動可能に挿通され、同軸方向に穿設され外方向に開口したエアー排出穴と、このエアー排出穴から外周面に貫通した連通孔を有する弁体と、
前記エアーブレーキ配管用継手部の筒状部内に配置され、前記弁体をキャップ材より外方向に突出させるように付勢する弁バネと、
前記弁体がキャップ材より外方向に突出した状態で、弁体の前記連通孔より下方で前記筒状部内周面と弁体外周面との間に挟着された、前記エアーブレーキ配管用継手部内のエアー流路の気密性を確保するためのパッキン材とを備え、
前記圧力試験用機器のテストコネクション部への接続状態で、前記弁体が弁バネの付勢力に抗して、前記貫通孔内を押し下げられて、弁体に設けた連通孔が前記パッキン材より下方に移動し、前記エアーブレーキ配管用継手部のエアー流路内のエアーを前記連通孔よりエアー排出穴を通って圧力試験用機器へ導くようにしたことを特徴とするテストコネクション付継手。
【請求項2】
前記テストコネクション部のキャップ材は、エアーブレーキ配管用継手部の前記筒状部の内周面に喰い込むエッジ状の突起部が下部に形成され、前記圧力試験用機器に接続するための螺子部が前記筒状部から外方向に突出した上部に形成されている請求項1に記載のテストコネクション付継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック、バスなどのエアーブレーキ装着車のエアーブレーキ配管に使用されるテストコネクション付継手に関する。
【背景技術】
【0002】
テストコネクションは、エアーブレーキ配管内の圧力を測定するための圧力試験用機器の接続に用いられる接続用アダプタである。
従来のテストコネクションは、エアーブレーキ配管用継手と一体構造になっておらず、金属製のエアーブレーキ配管用継手と、金属製のテストコネクションとをRねじなどを用いて取り付けていた(特許文献1)。
しかし、テストコネクションとエアーブレーキ配管用継手とはともに金属製の別部材なので重量が重く、走行による振動でねじの締め付けが緩み、部材が破損するなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/136274号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の課題は、テストコネクション部の軽量化を図るとともに、エアーブレーキ装着車の走行による振動に強いテストコネクション付継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)圧力試験用機器が接続されるテストコネクション部と、このテストコネクション部が取付けられる樹脂製のエアーブレーキ配管用継手部とを備え、エアーブレーキ配管用継手部は、内部のエアー流路から分岐したテストコネクション用流路を有しており、このテストコネクション用流路を形成する筒状部に前記テストコネクション部が圧入して取付けられ、前記テストコネクション部は、圧入時に前記筒状部の内周面に喰い込むエッジ状の突起部が外周面に形成され、かつ内部に軸方向に貫通する貫通孔が形成された金属製のキャップ材と、前記貫通孔内に貫通孔の軸方向に摺動可能に挿通され、同軸方向に穿設され外方向に開口したエアー排出穴と、このエアー排出穴から外周面に貫通した連通孔を有する弁体と、前記エアーブレーキ配管用継手部の筒状部内に配置され、前記弁体をキャップ材より外方向に突出させるように付勢する弁バネと、前記弁体がキャップ材より外方向に突出した状態で、弁体の前記連通孔より下方で前記筒状部内周面と弁体外周面との間に挟着された、前記エアーブレーキ配管用継手部内のエアー流路の気密性を確保するためのパッキン材とを備え、前記圧力試験用機器のテストコネクション部への接続状態で、前記弁体が弁バネの付勢力に抗して、前記貫通孔内を押し下げられて、弁体に設けた連通孔が前記パッキン材より下方に移動し、前記エアーブレーキ配管用継手部のエアー流路内のエアーを前記連通孔よりエアー排出穴を通って圧力試験用機器へ導くようにしたことを特徴とするテストコネクション付継手。
(2)前記テストコネクション部のキャップ材は、エアーブレーキ配管用継手部の前記筒状部の内周面に喰い込むエッジ状の突起部が下部に形成され、前記圧力試験用機器に接続するための螺子部が前記筒状部から外方向に突出した上部に形成されている前記(1)に記載のテストコネクション付継手。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、軽量で、エアーブレーキ装着車の走行による振動に強く、破損しにくく、かつ、テストコネクション部が振動で緩んで、外れるなどのトラブルが発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係るテストコネクション付継手を示す一部切り欠き断面図である。
図2】本発明の一実施形態におけるテストコネクション部の閉状態を示す概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態におけるテストコネクション部の開状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔本発明の一実施形態〕
図1に示す、本発明の一実施形態に係るテストコネクション付継手1は、エアーブレーキ装着車のブレーキ関連部品の連結に用いられるものであって、樹脂製のエアーブレーキ配管用継手部100と、圧力試験用機器が接続されるテストコネクション部200と、ブレーキ関連部品が接続される機器接続用アダプタ300と、チューブ500が接続されるチューブ接続用アダプタ部400とを備える。
【0009】
エアーブレーキ配管用継手部100には、内部のエアー流路から分岐したテストコネクション用流路を有しており、このテストコネクション用流路を形成するとともに、テストコネクション部200が取り付けられるための筒状部110、機器接続用アダプタ300を取り付けるための筒状部120、およびチューブ接続用アダプタ部400を形成するための筒状部130を有し、テストコネクション部200およびチューブ接続用アダプタ部400は、それぞれ筒状部110,130内に形成され、機器接続用アダプタ300は、筒状部120に圧入され、一体化している。
【0010】
(エアーブレーキ配管用継手部100)
エアーブレーキ配管用継手部100は、図1に示すように、T字型形状であり、中央の連通部114を介して互いに連通した筒状部110,120,130を有する。
筒状部110には、上部の筒状部110から順に大孔径部111、中径孔部112、および小径孔部113が形成されている。
また、筒状部130には、内筒部131が形成されている。
【0011】
エアーブレーキ配管用継手部100は樹脂からなる。これにより、従来のように、鉄、真鍮などの金属製のエアーブレーキ配管用継手部を備える継手よりも軽量化することができる。
【0012】
(テストコネクション部200)
テストコネクション部200は、図示しない圧力試験用機器のエアーブレーキ配管用継手部100への接続時に開状態となり、圧力試験用機器の取り外し時に閉状態となるものである。具体的には、テストコネクション部200は、図2に示すように、内部に軸方向に貫通孔211が形成された金属製のキャップ材210と、貫通孔211内に貫通孔211の軸方向に摺動可能に挿通された弁体220と、筒状部110の小孔径部113内に配置され、弁体220をキャップ材210より外方向に突出させるように付勢するための金属製の弁バネ230と、中孔径部112内に配置され、弁体220がキャップ材210より外方向に突出した状態で、弁体220の連通孔222より下方で筒状部110内周面(中孔径部112の内周面)と弁体220外周面との間に挟着された、エアー流路の気密性を確保するためのパッキン材240(Oリング)とを備える。パッキン材240は、筒状部110と弁体220とキャップ材210とによって形成された周溝内に収容されている。
【0013】
貫通孔211は、図2に示すように、弁体220を案内するための小径孔部212と、この小径孔部212より孔径が大きい大径孔部213とからなる。貫通孔211の内壁には弁体220の移動を制限するためのストッパーとなる段差部214が形成されている。
キャップ材210の圧力試験用機器を接続する部位の外周面には、圧力試験用機器を螺合するための螺子部215が形成されている。
キャップ材210のエアーブレーキ配管用継手部100へ圧入する圧入部217の外周面には、エッジ状の突起部250が形成されている。これにより、キャップ材210の筒状部110内への圧入時に、突起部250を大孔径部111の内壁に喰い込ませて、テストコネクション部200とエアーブレーキ配管用継手部100とを一体化することができる。
【0014】
弁体220の内部には、図2に示すように、一端側の面から軸方向に穿孔され外方向に開口し、他端側に底部を有するエアー排出穴221が形成されている。このエアー排出穴221の他端側には、エアー排出穴221の内周面から弁体220の外周面に貫通した連通孔222が形成されている。この連通孔222の形成位置は、図3に示すように、弁体220が矢印A方向に圧入されているとき、パッキン材240より他端側に位置する小径孔部113内に連通孔222の少なくとも一部が臨む位置であり、これにより、エアー排出穴221とエアーブレーキ配管用継手部100内部のエアー流路とが小径孔部113を介して連通し、エアーブレーキ配管用継手部100内のエアーを圧力試験用機器に送ることができる。
弁体220の他端側の外周面には、弁バネ230の一端が取り付けられるとともに弁バネ230による付勢により段差部214と当接させるための、外径が他の部位よりも大きい当接部223が形成されている。
【0015】
テストコネクション部200に圧力試験用機器が接続されていない状態では、図2に示すように、弁体220は弁バネ230により一端側に付勢され、連通孔222はパッキン材240よりも一端側に位置する小径孔部212内にあるためエアーブレーキ配管用継手部100のエアー流路内のエアーを連通孔222よりエアー排出孔221へ導くことはない(閉状態)。
一方、図3に示すように、テストコネクション部200に圧力試験用機器(図示せず)が接続された状態では、弁体220の一端面が圧力試験用機器と当接して、弁体220は弁バネ230の付勢力に抗して、貫通孔211内を押し下げられて、弁体220に設けた連通孔222がパッキン材240より下方に移動し、エアーブレーキ配管用継手部100のエアー流路内のエアーを連通孔222よりエアー排出孔221を通って圧力試験用機器へ導く(開状態)。
【0016】
弁体220を構成する材質としては、樹脂または金属などが挙げられる。弁バネ230としては、例えば、コイルスプリングなどが挙げられる。
【0017】
テストコネクション部200の組立方法としては、例えば、筒状部110内に、弁バネ230を小径孔部113内に、パッキン材240を中孔径部112内に各々挿入し、ついで弁体220を筒状部110内に挿入し、最後に、キャップ材210を大孔径部111内に圧入して、エッジ状突起部250を大孔径部111の内壁に喰い込ませて、固定する。
【0018】
(機器接続用アダプタ300)
機器接続用アダプタ300は、ブレーキ関連部品をエアーブレーキ配管用継手部100に接続するものであり、図1に示すように、金属製のハウジング310と、気密性を確保するためのゴム製のガスケット材320とからなる。
ハウジング310の内部には、ブレーキ関連部品内からエアーブレーキ配管用継手部100内へエアーを通過させるための貫通路311が形成されている。
ハウジング310のブレーキ関連部品が接続される側の部位の外周には、ブレーキ関連部品と螺着するための螺子部312が形成されている。
筒状部120に圧入するハウジング310の圧入部313の外周には、ガスケット材320を配置するためのガスケット溝314が形成されている。さらに、この圧入部313の外周には、エッジ状の突起部330が形成されている。これにより、機器接続用アダプタ300の筒状部120内への圧入時に、突起部330を筒状部120の内壁に喰い込ませて、機器接続用アダプタ300とエアーブレーキ配管用継手部100とを一体化することができる。
【0019】
(チューブ接続用アダプタ部400)
チューブ接続用アダプタ部400は、エアーブレーキ配管用継手部100にチューブ500を接続するものであり、図1に示すように、回転可能に内装された樹脂製のバックリング410と、このバックリング410を抜け止め状態で固定するための金属製のキャップ420と、このキャップ420に対し進退可能に配設された金属製のコレット430と、気密性を確保するためのゴム製のシール材440とを備える。
バックリング410には、後述するようにコレット430を拡径するためのテーパ面411が形成されている。コレット430の内周には筒状部130内にチューブ500を保持するコレット爪部431、内周テーパ面433が形成され、外周には外周テーパ面432が形成されている。キャップ420の外周には、エッジ状の突起部450が形成されている。これにより、キャップ420の筒状部130内への圧入時に、突起部450を筒状部130の内壁に喰い込ませて、チューブ接続用アダプタ部400とエアーブレーキ配管用継手部100とを一体化させることができる。
【0020】
チューブ接続用アダプタ部400は、挿入されたチューブ500に内圧が作用してコレット430がキャップ420に対してチューブ500の抜け方向に変位すると、コレット430がその外周テーパ面432に沿って縮径することにより、図1に示すように、コレット爪部431がチューブ500に刺さり、チューブ500を強固に把持する。一方、専用工具を用いてコレット430をキャップ420に対してチューブ500の抜け方向とは反対方向(チューブ500の挿入方向)に変位させると、バックリング410のテーパ面411とコレット430の内周テーパ面433とが接触してコレット430が拡径することにより、チューブ500に刺さっていたコレット爪部431がはずれ、チューブ500は開放される。
【0021】
〔使用方法〕
テストコネクション付継手1の使用方法としては、例えば、機器接続用アダプタ300にエアータンクが、チューブ接続用アダプタ部400にチューブ500がそれぞれ接続され、エアーブレーキ装着車が運転される平常時には、テストコネクション部200に圧力試験用機器は接続されず、エアータンク内を出たエアーは、テストコネクション付継手1を介して、チューブ500によりエアータンク、エアーバルブ、エアーアクチュエーター等に送られる。この際、テストコネクション付継手1は、従来の継手よりも軽量化されているので、エアーブレーキ装着車の走行による振動に強くなる。一方、圧力試験(点検)を行なう試験時には、テストコネクション部200に圧力試験用機器を接続するだけで、簡単かつ迅速にエアータンクとエアータンク、エアーバルブ、エアーアクチュエーター等との間のエアーブレーキ配管の圧力を測定することができる。
【0022】
テストコネクション付継手1では、図1に示すように、キャップ材210、機器接続用アダプタ300およびキャップ420のそれぞれに形成された鋭く硬いエッジ状の突起部250,330,450を、大孔径部111、筒状部120,130の各内壁に喰い込ませることで、簡単に、かつ強固に一体化させることができる。
【0023】
テストコネクション付継手1では、T字型形状のエアーブレーキ配管用継手部100を用いたが、本発明ではこれに限定されず、例えば、F字型形状のエアーブレーキ配管用継手部などを用いてもよい。
テストコネクション付継手1では、コレット爪部431が形成されたコレット430を用いたチューブ接続用アダプタ部400であるが、本発明ではこれに限定されず、エアーブレーキ配管用継手部と一体化できれば、例えば、特許第4300459号、特許第4468145号に記載のロックリング方式のチューブ接続用アダプタなどを用いてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 テストコネクション付継手
100 エアーブレーキ配管用継手部
110 筒状部
200 テストコネクション部
210 キャップ材
211 貫通孔
220 弁体
221 エアー排出穴
222 連通孔
230 弁バネ
240 パッキン材
250 突起部
300 機器接続用アダプタ
400 チューブ接続用アダプタ部
500 チューブ
図1
図2
図3