特許第6405223号(P6405223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405223
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】香料前駆体
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20181004BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20181004BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20181004BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20181004BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20181004BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20181004BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20181004BHJP
   C07C 69/24 20060101ALN20181004BHJP
   C07C 67/14 20060101ALN20181004BHJP
   C07C 69/58 20060101ALN20181004BHJP
   C07D 309/40 20060101ALN20181004BHJP
【FI】
   C11B9/00 X
   C11B9/00 K
   C11B9/00 L
   A61K8/49
   A61K8/37
   A61Q5/00
   A61Q5/02
   A61Q13/00 101
   A61Q19/10
   C11D3/50
   !C07C69/24
   !C07C67/14
   !C07C69/58
   !C07D309/40
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-256443(P2014-256443)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2015-134754(P2015-134754A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2017年9月8日
(31)【優先権主張番号】特願2013-263088(P2013-263088)
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100089185
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】田中 作弥
(72)【発明者】
【氏名】新井 康友
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 幸子
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/044728(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/105652(WO,A1)
【文献】 特開平10−265325(JP,A)
【文献】 DIKUSAR,E.A.,New esters of vanillin and vanillal with some alkane and arene carboxylic acids,Russian Journal of Applied Chemistry,2006年,Vol.79, No.6,pp.1035-1037
【文献】 DIKUSAR,E.A. et al,2-[3-Alkoxy-4-(hydroxy, alkoxy, acyloxy)phenyl]-2,3-dihydro-1H- benzimidazoles on the basis of vanillin and vanillal derivatives,Russian Journal of General Chemistry,2007年,Vol.77, No.11,pp.1924-1927
【文献】 DIKUSAR,E.A. et al,Synthesis of Schiff bases from 1-naphthylamine and vanillin, vanillal, and their O-acyl derivatives,Russian Journal of Organic Chemistry,2006年,Vol.42, No.3,pp.369-375
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 1/00− 15/00
C11C 1/00− 5/02
C07C 1/00−409/44
C07B 31/00− 61/00
C07D309/00−315/00
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 99/00
C11D 1/00− 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数8以上、18以下の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体を含有する香料組成物
【請求項2】
前記香料が、マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、及びラズベリーケトンから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の香料組成物
【請求項3】
前記脂肪族モノカルボン酸が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の香料組成物
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の香料組成物を含有する繊維処理剤。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の香料組成物を含有する化粧料。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の香料組成物を含有する毛髪化粧料。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載の香料組成物を含有する洗浄剤。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれかに記載の香料組成物が含有する香料前駆体が加水分解することにより香料が放出される賦香方法。
【請求項9】
マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、及びラズベリーケトンから選ばれる1種以上の香料と、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる1種以上の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体を含有する水系製品を、繊維又は身体に塗布し乾燥させた後、該香料前駆体を空気中で水分と接触させて加水分解することにより香料が放出される賦香方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料前駆体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衣類や化粧品等の香りに対する意識の高まりから、持続性のある香料に関する技術が種々検討されており、一例として、香料アルコールのエステルを用いることにより持続的に香料を発生させる技術が提案されている。
具体的に特許文献1には、特定のフレグラントアルコールと、C7〜C24の特定のアルキル基を有するカルボン酸とのエステル化合物を含有する洗剤及び/又は織物柔軟剤で処理する織物の芳香付け法が開示されている。
特許文献2には、放臭性アルコールと、任意に置換したC1−C30アルキル等を有する酸とのエステルを含有するフレグランス先駆体組成物が開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、香気を長時間持続させることを目的として、二塩基酸モノエステル及び/又は二塩基酸ジエステルと、エチレングリコール又はプロピレングリコールとの混合物等を用いる徐放性香料組成物が開示されている。
更に、特許文献4には、口腔悪臭を抑制する、もしくは減少させることを目的として、特定のエステル化フマル酸を含む口腔用の悪臭抑制製剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平8−502522号公報
【特許文献2】特表2000−512663号公報
【特許文献3】特開2003−313580号公報
【特許文献4】特表2009−520701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
香料アルコールに由来するエステル化合物は、加水分解により香料アルコールを徐々に放出する性質(徐放性)を有するため、香料前駆体として有用である。しかしながら、フェノール構造やヒドロキシピロン構造を有する香料に由来するエステル化合物にあっては、保存安定性に乏しく、特に水系製品中では不安定であるため、香料の徐放性を調節することが困難であった。特許文献1〜4においても、これらの香料に由来するエステル化合物の徐放性について十分に検討がなされていない。
【0006】
本発明は、保存安定性、特に水系製品中での安定性に優れ、長期間に亘り、香料を徐放することが可能な香料前駆体、この製造方法、これを用いた賦香方法、及びこれを含有する香料組成物、並びにこの香料組成物を含有する繊維処理剤、化粧料、毛髪化粧料、及び洗浄剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、フェノール構造やヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、特定の炭化水素部分を有するカルボン酸とのエステルを用いることによって、保存安定性、特に水系製品中での安定性に優れ、長期間に亘り、香料を徐放することが可能な香料前駆体が得られることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は次の[1]〜[9]を要旨とする。
[1]フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数8以上、18以下の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなる、香料前駆体。
[2]前記香料前駆体を含有する香料組成物。
[3]前記香料組成物を含有する繊維処理剤。
[4]前記香料組成物を含有する化粧料。
【0009】
[5]前記香料組成物を含有する毛髪化粧料。
[6]前記香料組成物を含有する洗浄剤。
[7]フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数8以上、18以下の脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物とを縮合反応させる、香料前駆体の製造方法。
[8]前記香料前駆体が加水分解することにより香料が放出される賦香方法。
[9]マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、及びラズベリーケトンから選ばれる1種以上の香料と、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる1種以上の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体を含有する水系製品を、繊維又は身体に塗布し乾燥させた後、該香料前駆体を空気中で水分と接触させて加水分解することにより香料が放出される賦香方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保存安定性、特に水系製品中での安定性に優れ、長期間に亘り、香料を徐放することが可能な香料前駆体、この製造方法、これを用いた賦香方法、これを含有する香料組成物、並びに香料組成物を含有する繊維処理剤、化粧料、毛髪化粧料、及び洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[香料前駆体]
本発明の香料前駆体は、フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数8以上、18以下の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなるものである。
【0012】
本発明の香料前駆体が保存安定性、特に水系製品中での安定性に優れ、長期間に亘り香料を徐放することが可能である理由は明らかではないが、次のように考えられる。
本発明の香料前駆体は、フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、比較的長鎖の炭化水素部分を有する脂肪族モノカルボン酸とのエステルであって、その分子構造は疎水性であり、かつ、香料に由来する環状構造と脂肪族モノカルボン酸に由来する鎖状構造とを有する。これにより、水系製品等の水中では、エステル分子同士が近接しやすくなり、エステル基部分に対する水分子の作用が疎水性基によって阻害されるため、加水分解を受けにくくなるものと考えられる。
また、水系製品中に油剤や界面活性剤が存在する場合、水系製品中の油剤や界面活性剤の疎水性部分と、脂肪族モノカルボン酸に由来する長鎖の炭化水素部分とが高い親和性を有することから、エステル分子の周囲を油剤や界面活性剤が取り囲み、エステル結合部分がより水と接触しにくくなり加水分解が進行しにくいため、水系製品中においては更に安定性に優れるものと考えられる。
一方、本発明の香料前駆体を繊維に塗布したり、身体に塗布することにより香料前駆体そのものを空気と接触させると、本発明の香料前駆体は、分子間の疎水性部分の作用が緩むことで各分子間の距離が大きくなった分散状態で存在することとなり、比較的酸性度が高い水酸基を有するフェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造に由来するエステル部分が、空気中の水分により比較的加水分解を受けやすい状態になるため、長期間に亘り強い香りを発現するものと考えられる。
【0013】
<香料>
本発明においては、香料としてフェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料を用いる。
本発明において「香料」とは、匂いを感じさせる物質のことをいい、「フレグランス(fragrance)」のことを指す。
【0014】
フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料のpKaは、好ましくは13以下であり、より好ましくは7以上、12以下、更に好ましくは7.5以上、11.5以下である。pKaが前記範囲内であると、長期に亘って強い香りを発現することができる。
本発明において、pKaとは酸解離定数のことであり、水素イオンが放出される解離反応における平衡定数Kaの負の常用対数pKaによって表される。pKaが小さいほど強い酸であることを示す。本発明におけるpKaの算出には、インターネット上に構築されている化学構造−物性計算サイトであるSPARC(SPARC Performs Automated Reasoning In Chemistry、ARChem社、http://www.archemcalc.com/sparc.html)を用いた。
【0015】
フェノール構造を有する香料としては、炭素数が好ましくは7以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは9以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9以下であり、9であるものがより更に好ましい。炭素数が前記範囲内であると、長期に亘って持続的に香料を徐放することができる。
具体的には、バニリン(炭素数8、pKa7.8)、エチルバニリン(炭素数9、pKa7.8)、iso−オイゲノール(炭素数10、pKa9.8)、サリチル酸ベンジル(炭素数14、pKa9.8)、サリチル酸シス−3−ヘキセニル(炭素数13、pKa9.8)、バニリンPGA(炭素数11、pKa9.8)、サリチル酸シクロヘキシル(炭素数13、pKa10.0)、オイゲノール(炭素数10、pKa10.0)、ジンゲロン(炭素数11、pKa10.0)、バニトロープ(炭素数11、pKa10.0)、ラズベリーケトン(炭素数10、pKa10.1)、サリチル酸メチル(炭素数8、pKa10.1)、サリチル酸ヘキシル(炭素数13、pKa10.1)、カルバクロール(炭素数10、pKa10.5)、及びチモール(炭素数10、pKa10.9)が挙げられる。
【0016】
ヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料としては、炭素数が好ましくは6以上、より好ましくは7以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは7以下であり、7であるものが更に好ましい。炭素数が前記範囲内であると、長期に亘って香料を徐放することができる。
具体的には、マルトール(炭素数6、pKa11.2)、エチルマルトール(炭素数7、pKa11.3)を挙げることができる。
前記香料の中でも、保存安定性を向上させることができ、また、徐放性能を向上させる観点から、マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、及びラズベリーケトンが好ましい。
これらの香料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
<脂肪族モノカルボン酸>
本発明においては、脂肪族モノカルボン酸として炭素数8以上、18以下の脂肪族モノカルボン酸を用いる。
炭素数が前記範囲内の脂肪族モノカルボン酸を用いることにより、水系製品中の油剤や界面活性剤とエステルの炭化水素部分との親和性が向上するため、エステル結合部分が水と接触しにくくなり加水分解の進行が阻害され、水系製品中の保存安定性が向上する。
脂肪族モノカルボン酸の炭素数は、水系製品中の保存安定性を向上させる観点から、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、更に好ましくは12以上であり、消費される香料の原子効率及び初期の発香の観点から、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下であり、12であるものがより更に好ましい。
脂肪族モノカルボン酸の具体例としては、エナント酸、カプリル酸、ベラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ジメチルオクタン酸、オクテン酸、デセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、及びリノレン酸等の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。
本発明においては、消費される香料の原子効率及び初期の発香の観点から、これらの中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸が好ましく、ラウリン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸がより好ましい。
【0018】
[香料前駆体の製造方法]
本発明の香料前駆体を構成するエステルは、例えば下記(i)〜(iv)の方法で製造することができる。
(i)前記香料と、前記脂肪族モノカルボン酸とを直接エステル化反応させることにより製造する方法
(ii)メタノール等の低級アルコール及び前記脂肪族モノカルボン酸を反応させたエステルと、前記香料とをエステル交換反応させることにより製造する方法
(iii)前記香料と前記脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物とを反応させることにより製造する方法
(iv)前記香料と前記脂肪族モノカルボン酸の無水物とを反応させることにより製造する方法
【0019】
これらの中でも、製造効率の観点から、前記香料と前記脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物とを反応させて製造する方法が好ましい。
より具体的には、フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数8以上、18以下の脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物とを縮合反応させる、本発明の製造方法により製造することが好ましい。
【0020】
(酸ハロゲン化物)
前記脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物は、例えば、前記脂肪族モノカルボン酸と、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン及び三臭化リン等の各種ハロゲン化試薬との反応で得ることができる。
これらの中でも、反応性の観点、試薬の入手容易性の観点から、脂肪族モノカルボン酸と三塩化リンとの反応で得られる酸ハロゲン化物が好ましく、具体的には、脂肪族モノカルボン酸の酸クロリドが好ましい。
【0021】
(配合比率)
縮合反応を行う際の前記香料の仕込み量は、反応を速やかに進行させると共に未反応の脂肪族モノカルボン酸の量を低減させる観点から、脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物1モルに対し、好ましくは0.9モル以上、より好ましくは0.95モル以上、更に好ましくは0.98モル以上であり、未反応の香料の量を低減させる観点から、好ましくは1.1モル以下、より好ましくは1.05モル以下、更に好ましくは1.02モル以下である。
【0022】
(溶媒)
縮合反応に用いる溶媒としては、特に制限はなく、例えば、クロロホルム及びジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の脂肪族エステル、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、及びテトラリン等の脂環式炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びオクタン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。
これらの中でも、前記香料及び前記脂肪族モノカルボン酸の溶解性の観点から、酢酸エチル、ジクロロメタン、トルエンが好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(反応温度)
縮合反応の反応温度は、原料をロスすることなく反応を行う観点から、香料及び脂肪族モノカルボン酸の沸点以下が好ましい。具体的な反応温度は、反応速度を向上させる観点から、好ましくは−20℃以上、より好ましくは−18℃以上、更に好ましくは−15℃以上、より更に好ましくは−12℃以上である。また、反応を制御する観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは65℃以下である。
本発明においては、前記温度範囲で反応を行った後、十分に反応を進行させる観点から、所定の温度、時間で撹拌を行うことが好ましい。撹拌する際の温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは、80℃以下である。
撹拌は、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは0.8時間以上であり、そして、好ましくは4時間以下、より好ましくは3時間以下、より好ましくは2時間以下、より更に好ましくは1.5時間以下で行う。
【0024】
(反応圧力)
前記縮合反応は、大気圧又は減圧下で行うことができ、簡易な設備で製造することができる観点から、大気圧下で製造することが好ましい。
前記縮合反応を行う際の具体的な圧力は、好ましくは80kPa以上、より好ましくは90kPa以上、更に好ましくは95kPa以上であり、そして、好ましくは101kPa以下である。
また、前記縮合反応は、副反応を抑制する観点、反応系中に水が混入するのを抑制する観点から、不活性ガスの存在下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられ、これらの中でも、コストを抑えて製造する観点から、窒素が好ましい。
【0025】
(塩基性物質)
本発明の製造方法においては、縮合反応を効率的に行う観点から、塩基性物質を用いることが好ましい。
前記塩基性物質としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピコリン、及びジアザビシクロウンデセン(DBU)を挙げることができる。これらの中でも、入手容易性の観点、取り扱い性の観点から、トリエチルアミンが好ましい。
前記塩基性化合物の使用量は、脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物1モルに対して、好ましくは1モル以上、より好ましくは1.01モル以上、更に好ましくは1.02モル以上、更に好ましくは1.04モル以上であり、そして、使用量とコストのバランスから、好ましくは1.2モル以下、より好ましくは1.15モル以下、更に好ましくは1.1モル以下、より更に好ましくは1.06モル以下である。
【0026】
[香料組成物]
本発明の香料組成物は、本発明の香料前駆体を含んでおり、前記フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料を加水分解により徐放する組成物である。
本発明の香料組成物は、香料前駆体以外に、その他の香料、油剤、界面活性剤、有機溶媒を含有してもよい。
本発明の香料組成物は、様々な製品に配合することができ、フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料を比較的長期に亘り安定に徐放できるため、前記香料に由来する香気を発生させることができる。
本発明の香料組成物を配合することができる製品としては、油系消臭芳香剤組成物、粉末洗剤、固形石鹸、入浴剤、オムツ等の衛生品、エアゾール型等の消臭剤組成物等、非水溶液系製品が挙げられる。
更に、本発明の香料前駆体は、水溶液系での保存安定性に優れるため、柔軟剤、仕上げ剤等の各種衣料用繊維処理剤、液体石鹸、化粧水等の各種化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー、スタイリング剤等の毛髪化粧料、食器用洗浄剤、衣類用洗浄剤、身体用洗浄剤等の各種洗浄剤、香水、コロン、水系消臭芳香剤、液体入浴剤等に使用することができる。
なお、本発明の香料組成物は本発明の香料前駆体を含有するものであるが、この香料前駆体は前述の本願発明の製造方法により製造したものであることが好ましい。
【0027】
[繊維処理剤、化粧料、毛髪化粧料及び洗浄剤]
本発明の繊維処理剤、化粧料、毛髪化粧料及び洗浄剤は、本発明の香料組成物を含むものであり、フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料を徐放するものである。したがって、水系製品に配合した場合でも保存安定性に優れている。
【0028】
本発明の繊維処理剤中の前記香料前駆体の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。本発明の繊維処理剤は、衣料用洗浄剤及び柔軟仕上げ剤等の繊維処理剤用途において特に有用である。
本発明の香料組成物は、長期間に亘り、香りを発現させることができる本発明の賦香方法を効果的に利用する観点から、柔軟仕上げ剤において特に有用である。柔軟仕上げ剤に用いる柔軟基剤としては、製品中で香料前駆体の加水分解を抑制しやすくする観点から、長鎖脂肪酸とアルカノールアミンを反応させたエステルアミン及び/又はそれらを公知の方法で4級化させたものが好ましく、植物脂肪酸とトリアルカノールアミンとを反応させたエステルアミンをジメチル硫酸で4級化させたものがより好ましい。
柔軟仕上げ剤中の前記香料前駆体の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0029】
本発明の化粧料、及び毛髪化粧料中の前記香料前駆体の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0030】
本発明の洗浄剤、特に衣類用洗浄剤中の前記香料前駆体の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
また、本発明の身体用洗浄剤中の前記香料前駆体の含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0031】
[賦香方法]
本発明の賦香方法は、前記香料前駆体が加水分解することにより香料が放出される賦香方法である。
また、本発明の賦香方法は、マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、及びラズベリーケトンから選ばれる1種以上の香料と、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる1種以上の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体を含有する水系製品を、繊維又は身体に塗布し乾燥させた後、該香料前駆体を空気中で水分と接触させて加水分解することにより香料が放出される賦香方法である。
本発明の香料前駆体は、フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、比較的長鎖の炭化水素部分を有する脂肪族モノカルボン酸とのエステルであるため、空気と接触させると、比較的酸性度が高い水酸基を有するフェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造に由来するエステル部分が空気中の水分により比較的加水分解を受けやすいため、長期間に亘り、香りを発現させることができる。
【0032】
上述した実施の形態に加え、本発明は以下の実施の形態も含む。
<1>フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数8以上、18以下の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体。
<2>フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料のpKaが、好ましくは13以下であり、より好ましくは7以上、12以下、更に好ましくは7.5以上、11.5以下である、<1>に記載の香料前駆体。
【0033】
<3>フェノール構造を有する香料の炭素数が、好ましくは7以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは9以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは9以下であり、より更に好ましくは9である、<1>又は<2>に記載の香料前駆体。
<4>フェノール構造を有する香料が、好ましくはバニリン、エチルバニリン、iso−オイゲノール、サリチル酸ベンジル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、バニリンPGA、サリチル酸シクロヘキシル、オイゲノール、ジンゲロン、バニトロープ、ラズベリーケトン、サリチル酸メチル、サリチル酸ヘキシル、カルバクロール、及びチモールから選ばれる1種以上である、<1>〜<3>のいずれかに記載の香料前駆体。
【0034】
<5>ヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料の炭素数が、好ましくは6以上、より好ましくは7以上、そして、好ましくは10以下、より好ましくは7以下であり、更に好ましくは7である、<1>〜<4>のいずれかに記載の香料前駆体。
<6>ヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料が、マルトール、エチルマルトールである、<1>〜<5>のいずれかに記載の香料前駆体。
【0035】
<7>前記香料が、マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、及びラズベリーケトンから選ばれる1種以上である、<1>に記載の香料前駆体。
<8>香料が、匂いを感じさせる物質であり、具体的にフレグランス(fragrance)である、<1>〜<7>のいずれかに記載の香料前駆体。
【0036】
<9>脂肪族モノカルボン酸の炭素数が、8以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、更に好ましくは12以上であり、そして、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下であり、より更に好ましくは12である、<1>〜<8>のいずれかに記載の香料前駆体。
<10>脂肪族モノカルボン酸が、好ましくはエナント酸、カプリル酸、ベラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ジメチルオクタン酸、オクテン酸、デセン酸、ドデセン酸、テトラデセン酸、ヘキサデセン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種以上であり、より好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはラウリン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる1種以上である、<1>〜<9>のいずれかに記載の香料前駆体。
【0037】
<11>前記香料前駆体を構成するエステルの製造方法が、(i)前記香料と、前記脂肪族モノカルボン酸とを直接エステル化反応させることにより製造する方法、(ii)メタノール等の低級アルコール及び前記脂肪族モノカルボン酸を反応させたエステルと、前記香料とをエステル交換反応させることにより製造する方法、(iii)前記香料と前記脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物とを反応させることにより製造する方法、(iv)前記香料と前記脂肪族モノカルボン酸の無水物とを反応させることにより製造する方法のいずれかである、香料前駆体の製造方法。
<12>フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料と、炭素数8以上、18以下の脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物とを縮合反応させる、<11>に記載の香料前駆体の製造方法。
【0038】
<13>前記脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物が、前記脂肪族モノカルボン酸と、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン及び三臭化リン等の各種ハロゲン化試薬との反応で得られたものである、<11>又は<12>に記載の香料前駆体の製造方法。
<14>縮合反応を行う際の前記香料の仕込み量が、脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物1モルに対し、好ましくは0.9モル以上、より好ましくは0.95モル以上、更に好ましくは0.98モル以上であり、そして、好ましくは1.1モル以下、より好ましくは1.05モル以下、更に好ましくは1.02モル以下である、<12>又は<13>に記載の香料前駆体の製造方法。
【0039】
<15>縮合反応に用いる溶媒が、クロロホルム及びジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等の脂肪族エステル、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、及びテトラリン等の脂環式炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びオクタン等の脂肪族炭化水素から選ばれる1種以上であり、好ましくは酢酸エチル、ジクロロメタン、トルエンから選ばれる1種以上である、<12>〜<14>のいずれかに記載の香料前駆体の製造方法。
<16>縮合反応の反応温度が、香料及び脂肪族モノカルボン酸の沸点以下であり、具体的には、好ましくは−20℃以上、より好ましくは−18℃以上、更に好ましくは−15℃以上、より更に好ましくは−12℃以上であり、そして、好ましくは80℃以下、より好ましくは65℃以下である、<12>〜<15>のいずれかに記載の香料前駆体の製造方法。
【0040】
<17>前記縮合反応は、大気圧又は減圧下で行うことができ、具体的な圧力が、好ましくは80kPa以上、より好ましくは90kPa以上、更に好ましくは95kPa以上であり、そして、好ましくは101kPa以下である、<12>〜<16>のいずれかに記載の香料前駆体の製造方法。
<18>縮合反応が、塩基性物質を用いる反応であり、前記塩基性物質として、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピコリン、及びジアザビシクロウンデセン(DBU)から選ばれる1種以上、好ましくはトリエチルアミンを用いる、<12>〜<17>のいずれかに記載の香料前駆体の製造方法。
【0041】
<19>前記塩基性化合物の使用量が、脂肪族モノカルボン酸の酸ハロゲン化物1モルに対して、好ましくは1モル以上、より好ましくは1.01モル以上、更に好ましくは1.02モル以上、更に好ましくは1.04モル以上であり、そして、好ましくは1.2モル以下、より好ましくは1.15モル以下、更に好ましくは1.1モル以下、より更に好ましくは1.06モル以下である、<18>に記載の香料前駆体の製造方法。
<20>前記<1>〜<10>のいずれかに記載の香料前駆体を含有する香料組成物。
【0042】
<21>香料組成物が、前記フェノール構造又はヒドロキシ−4−ピロン構造を有する香料を加水分解により徐放する組成物である、<20>に記載の香料組成物。
<22>更に、その他の香料、油剤、界面活性剤、及び有機溶媒から選ばれる1種以上を含有する、<20>又は<21>に記載の香料組成物。
【0043】
<23>前記<20>〜<22>のいずれかに記載の香料組成物を含有する、油系消臭芳香剤組成物、粉末洗剤、固形石鹸、入浴剤、オムツ等の衛生品、又はエアゾール型等の消臭剤組成物。
<24>前記<20>〜<22>のいずれかに記載の香料組成物を含有する、柔軟剤、仕上げ剤等の各種衣料用繊維処理剤、液体石鹸、化粧水等の各種化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー、スタイリング剤等の毛髪化粧料、食器用洗浄剤、衣類用洗浄剤、身体用洗浄剤等の各種洗浄剤、又は香水、コロン、水系消臭芳香剤、液体入浴剤。
【0044】
<25>前記<20>〜<22>のいずれかに記載の香料組成物を含有する繊維処理剤。
【0045】
<26>前記香料前駆体の含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<25>に記載の繊維処理剤。
【0046】
<27>前記<20>〜<22>のいずれかに記載の香料組成物を含有する柔軟仕上げ剤。
<28>柔軟基剤として、好ましくは長鎖脂肪酸とアルカノールアミンを反応させたエステルアミン及び/又はそれらを公知の方法で4級化させたもの、より好ましくは植物脂肪酸とトリアルカノールアミンとを反応させたエステルアミンをジメチル硫酸で4級化させたものを含有する、<27>に記載の柔軟仕上げ剤。
<29>前記香料前駆体の含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<27>又は<28>に記載の柔軟仕上げ剤。
【0047】
<30>前記<20>〜<22>のいずれかに記載の香料組成物を含有する化粧料。
<31>前記香料前駆体の含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<30>に記載の化粧料。
【0048】
<32>前記<20>〜<22>のいずれかに記載の香料組成物を含有する毛髪化粧料。
<33>毛髪化粧料中の前記香料前駆体の含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<32>に記載の毛髪化粧料。
【0049】
<34>前記<20>〜<22>のいずれかに記載の香料組成物を含有する洗浄剤。
<35>前記洗浄剤が衣類用洗浄剤であり、衣類用洗浄剤中の前記香料前駆体の含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<34>に記載の洗浄剤。
【0050】
<36>前記洗浄剤が身体用洗浄剤であり、身体用洗浄剤中の前記香料前駆体の含有量が、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<34>に記載の洗浄剤。
<37>マルトール、エチルマルトール、バニリン、エチルバニリン、及びラズベリーケトンから選ばれる1種以上の香料と、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる1種以上の脂肪族モノカルボン酸とのエステルからなる香料前駆体を含有する水系製品を、繊維又は身体に塗布し乾燥させた後、該香料前駆体を空気中で水分と接触させて加水分解することにより香料が放出される賦香方法。
【実施例】
【0051】
<エステルの製造>
実施例1
(ラウリン酸とエチルバニリンとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、ラウリン酸クロリド8.95g(0.041mol)、ジクロロメタン40mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、エチルバニリン6.80g(0.041mol)、トリエチルアミン4.35g(0.043mol)、ジクロロメタン40mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−5℃〜0℃に保たれるようフラスコに40分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で2時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、淡黄色固体のラウリン酸とエチルバニリンとのエステル14.20g(収率99%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.88(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.50(m、19H)、1.78(quint.、J=7Hz、2H)、2.59(t、J=7Hz、2H)、4.13(t、J=7Hz、2H)、7.20(d、J=8Hz、1H)、7.46(d、J=8Hz、2H)、9.93(s、1H)
IR(KBr):2918、2850、1763、1693、1273、1115、742cm−1
【0052】
実施例2
(ステアリン酸とエチルバニリンとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、ステアリン酸クロリド10.00g(0.033mol)、ジクロロメタン50mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、エチルバニリン5.49g(0.033mol)、トリエチルアミン3.51g(0.035mol)、ジクロロメタン40mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−10℃〜0℃に保たれるようフラスコに20分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で1時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、淡黄色固体のステアリン酸とエチルバニリンとのエステル14.18g(収率99%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.88(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.50(m、31H)、1.78(quint.、J=7Hz、2H)、2.59(t、J=7Hz、2H)、4.13(q、J=7Hz、2H)、7.20(d、J=8Hz、1H)、7.46(d、J=8Hz、2H)、9.93(s、1H)
IR(KBr):2918、2850、1763、1693、1273、1115、742cm−1
【0053】
実施例3
(オレイン酸とエチルバニリンとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、オレイン酸クロリド10.00g(0.033mol)、ジクロロメタン50mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、エチルバニリン5.52g(0.033mol)、トリエチルアミン3.53g(0.035mol)、ジクロロメタン40mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−10℃〜0℃に保たれるようフラスコに30分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で1時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、黒色油状物のオレイン酸とエチルバニリンとのエステル14.23g(収率99%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.88(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.50(m、23H)、1.78(quint.、J=7Hz、2H)、2.02(m、4H)、2.59(t、J=7Hz、2H)、4.13(m、2H)、5.30〜5.45(m、2H)、7.20(d、J=8Hz、1H)、7.46(d、J=8Hz、2H)、9.93(s、1H)
IR(NaCl):2918、2850、1763、1693、1273、1115、742cm−1
【0054】
実施例4
(ラウリン酸とエチルマルトールとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、ラウリン酸クロリド10.00g(0.046mol)、ジクロロメタン45mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、エチルマルトール6.41g(0.046mol)、トリエチルアミン4.86g(0.048mol)、ジクロロメタン45mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−5℃〜0℃に保たれるようフラスコに30分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で1時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、淡黄色固体のラウリン酸とエチルマルトールとのエステル14.74g(収率100%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.88(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.45(m、21H)、1.75(quint.、J=7Hz、2H)、2.59(m、4H)、6.39(d、J=6Hz、1H)、7.69(d、J=6Hz、1H)
IR(KBr):2923、2854、1768、1658、1160、1133、1106、825cm−1
【0055】
実施例5
(ステアリン酸とエチルマルトールとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、ステアリン酸クロリド10.00g(0.033mol)、ジクロロメタン33mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、エチルマルトール4.66g(0.033mol)、トリエチルアミン3.51g(0.035mol)、ジクロロメタン33mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−5℃〜0℃に保たれるようフラスコに20分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で2時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、淡黄色固体のステアリン酸とエチルマルトールとのエステル9.60g(収率72%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.88(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.50(m、33H)、1.75(quint.、J=7Hz、2H)、2.45〜2.65(m、4H)、6.39(d、J=6Hz、1H)、7.69(d、J=6Hz、1H)
IR(KBr):2916、2849、1766、1664、1633、1170、847、829、717cm−1
【0056】
実施例6
(オレイン酸とエチルマルトールとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、オレイン酸クロリド10.00g(0.033mol)、ジクロロメタン33mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、エチルマルトール4.66g(0.033mol)、トリエチルアミン3.53g(0.035mol)、ジクロロメタン33mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−5℃〜0℃に保たれるようフラスコに30分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で1時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、褐色油状物のオレイン酸とエチルマルトールとのエステル13.3g(収率99%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.88(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.45(m、25H)、1.76(quint.、J=10Hz、2H)、2.00〜2.10(m、4H)、2.50〜2.65(m、4H)、6.36(d、J=6Hz、1H)、7.67(d、J=6Hz、1H)
IR(NaCl):2923、2854、1768、1660、1160、825、723cm−1
【0057】
実施例7
(ラウリン酸とラズベリーケトンとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、ラウリン酸クロリド10.00g(0.046mol)、ジクロロメタン46mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、ラズベリーケトン7.51g(0.046mol)、トリエチルアミン4.86g(0.048mol)、ジクロロメタン46mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−5℃〜0℃に保たれるようフラスコに20分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で4時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、白色固体のラウリン酸とラズベリーケトンとのエステル15.71g(収率99%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.88(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.45(m、16H)、1.74(quint.、J=7Hz、2H)、2.14(t、3H)、2.53(t、J=7Hz、2H)、2.47(t、J=7Hz、2H)、2.88(t、J=7Hz、2H)、6.96(d、J=7Hz、2H)、7.15(d、J=6Hz、2H)
IR(KBr):2916、2848、1747、1705、1510、1211、1167、926、852、814、719cm−1
【0058】
実施例8
(ステアリン酸とラズベリーケトンとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、ステアリン酸クロリド10.00g(0.033mol)、ジクロロメタン33mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、ラズベリーケトン5.42g(0.033mol)、トリエチルアミン3.51g(0.035mol)、ジクロロメタン33mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−5℃〜0℃に保たれるようフラスコに20分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で2時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、白色固体のステアリン酸とラズベリーケトンとのエステル13.85g(収率97%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.88(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.50(m、28H)、1.74(quint.、J=7Hz、2H)、2.14(s、3H)、2.53(t、J=7Hz、3H)、2.74(t、J=7Hz、2H)、2.88(t、J=7Hz、2H)、6.98(d、J=8Hz、1H)、7.18(d、J=8Hz、2H)
IR(KBr):2914、2848、1769、1705、1510、1471、1367、1215、1167、1144、1018、923、717cm−1
【0059】
実施例9
(オレイン酸とラズベリーケトンとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、オレイン酸クロリド10.00g(0.033mol)、ジクロロメタン33mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、ラズベリーケトン5.42g(0.033mol)、トリエチルアミン3.53g(0.035mol)、ジクロロメタン33mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−5℃〜0℃に保たれるようフラスコに30分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で1時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、褐色油状物のオレイン酸とラズベリーケトンとのエステル13.3g(収率99%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.86(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.45(m、22H)、1.72(quint.、J=8Hz、2H)、1.90〜2.10(m、4H)、2.12(s、3H)、2.52(t、J=8Hz、2H)、2.73(t、J=7Hz、2H)、2.87(t、J=7Hz、2H)、5.29〜5.38(m、2H)、6.96(d、J=8Hz、2H)、7.16(d、J=8Hz、2H)
IR(NaCl):2924、2854、1757、1716、1508、1200、1165、1136、1018、920、813、723cm−1
【0060】
実施例10
(ステアリン酸とバニリンとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、ステアリン酸クロリド10.00g(0.033mol)、ジクロロメタン33mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、バニリン5.02g(0.033mol)、トリエチルアミン3.51g(0.035mol)、ジクロロメタン20mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−10℃〜0℃に保たれるようフラスコに30分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で1時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、淡黄色固体のステアリン酸とバニリンとのエステル13.54g(収率98%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.86(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.46(m、30H)、1.75(quint.、J=7Hz、2H)、2.58(t、J=8Hz、2H)、3.88(s、3H)、7.19(d、J=8Hz、1H)、7.46(d、J=8Hz、1H)、7.47(s、1H)、9.93(s、1H)
IR(KBr):2914、2850、1759、1682、1589、1510、1473、1383、1288、1267、1138、1111、1028、922、885、841、783、713cm−1
【0061】
実施例11
(オレイン酸とバニリンとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、オレイン酸クロリド10.00g(0.033mol)、ジクロロメタン33mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、バニリン5.06g(0.033mol)、トリエチルアミン3.53g(0.035mol)、ジクロロメタン33mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−10℃〜0℃に保たれるようフラスコに20分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温(25℃)で1時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、黒色油状物のオレイン酸とバニリンとのエステル13.29g(収率99%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.86(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.50(m、22H)、1.75(quint.、J=7Hz、2H)、1.90〜2.10(m、4H)、2.58(t、J=7Hz、2H)、3.86(s、3H)、5.29〜5.38(m、2H)、7.19(d、J=8Hz、1H)、7.46(d、J=8Hz、1H)、7.47(s、1H)、9.93(s、1H)
IR(NaCl):2924、2854、1765、1701、1601、1502、1271、1146、1111、1032、779、733cm−1
【0062】
比較例1
(ラウリン酸とゲラニオールとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、300mLの四つ口フラスコに、ラウリン酸クロリド10.00g(0.045mol)、ジクロロメタン45mLを入れ、0℃に冷却した。一方、100mLの滴下ロートに、ゲラニオール(炭素数10、pKa15.7)7.05g(0.045mol)、トリエチルアミン4.86g(0.048mol)、ジクロロメタン45mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−5℃〜0℃に保たれるようフラスコに40分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温で2時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、淡黄色油状物のラウリン酸とゲラニオールとのエステル13.19g(収率86%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.86(t、J=7Hz、3H)、1.20〜1.34(m、16H)、1.55〜1.64(m、5H)、1.66(s、3H)、1.68(s、3H)、1.98〜2.12(m、4H)、2.27(t、J=8Hz、2H)、4.56(d、J=8Hz、2H)、5.04〜5.08(m、1H)、5.19〜5.34(m、1H)
IR(KBr):2924、2854、1736、1456、1377、1230、1163、957、721cm−1
【0063】
比較例2
(ラウリン酸とcis−3−ヘキセノールとのエステルの製造)
窒素雰囲気下、100mLの四つ口フラスコに、ラウリン酸クロリド2.19g(0.010mol)、ジクロロメタン20mLを入れ、0℃に冷却した。一方、50mLの滴下ロートに、cis−3−ヘキセノール(炭素数6、pKa15.7)1.00g(0.010mol)、トリエチルアミン1.04g(0.010mol)、ジクロロメタン10mLを入れた。滴下ロートより反応温度が−5℃〜0℃に保たれるようフラスコに60分かけて滴下を行った。滴下終了後、室温で1時間撹拌を行った。フラスコに飽和塩化アンモニウム水溶液10mLを添加し、反応を停止した。ジエチルエーテル150mLを添加し、生成した白色固体をろ過で除去し、ろ液を分液ロートに移した。分液ロートにイオン交換水100mLを添加し、ジエチルエーテル50mLで水層から3回抽出を行った。抽出溶液を集め、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥した。溶媒を減圧除去後、淡黄色油状物のラウリン酸とcis−3−ヘキセノールとのエステル2.80g(収率99%)を得た。
以下にNMR及びIRの測定結果を示す。
NMR(H、400MHz)
0.86(t、J=7Hz、3H)、0.95(t、J=8Hz、3H)、1.20〜1.34(m、18H)、1.55〜1.66(m、2H)、2.04(quint.、J=8Hz、2H)、2.27(t、J=8Hz、2H)、2.35(q、J=7Hz、2H)、4.04(t、J=7Hz、2H)、5.24〜5.34(m、1H)、5.44〜5.54(m、1H)
IR(KBr):2924、2854、1738、1458、1375、1230、1166、721cm−1
【0064】
試験例
<繊維処理剤の製造>
実施例1〜11及び比較例1、2で得られたエステル、及び香料を、表1に示す組成の未賦香液体柔軟仕上げ剤A 100質量部に対して、それぞれ香料換算で0.5質量部になるように50mLのスクリュー管「No.7」(株式会社マルエム製)に入れ、50℃で5分間加熱後冷却を行うことにより、繊維処理剤である柔軟仕上げ剤組成物を調製した。なお、香料そのものを用いた例を比較例3〜7とした。
【0065】
【表1】
【0066】
<香りの持続性評価>
あらかじめ、市販の弱アルカリ性洗剤「アタック」(花王株式会社製)を用いて、木綿タオル24枚を株式会社日立製作所製の全自動洗濯機「NW−6CY」で5回洗浄を繰り返し、室内乾燥することによって、過分の薬剤を除去した(洗剤濃度0.0667質量%、水道水47L使用、水温20℃、洗浄10分、ため濯ぎ2回)。
【0067】
パナソニック株式会社製電気バケツ「N−BK2−A」に、5Lの水道水を注水し、ここに柔軟仕上げ剤組成物(調製後40℃で2週間保存したもの)を10g/衣料1.0kgとなるように溶解(処理浴の調製)させ、1分後に上述の方法で前処理を行った2枚の木綿タオルを5分間浸漬処理した。その後、この2枚の木綿タオルをパナソニック株式会社製電気洗濯機「NA−35」に移して3分間脱水処理を行った。脱水処理後、20℃の室内に放置して1晩乾燥させ、乾燥後のタオルを20℃の室内に1週間放置した。
【0068】
脱水処理直後、1日後、7日後のタオルについて、各香料の香り強度を専門パネラー4人により下記基準で官能評価を行い平均値を求めた。結果を表2,3に示す。
【0069】
評価基準
4:非常ににおいが強い
3:においが強い
2:においがする(認知閾値)
1:微かににおいがする(検知閾値)
0:においがしない
【0070】
【表2-1】
【0071】
【表2-2】
【0072】
【表3】
【0073】
なお、表2,3の略語は以下のとおりである。
C12 :ラウリン酸
C18(1):ステアリン酸
C18(2):オレイン酸
EV:エチルバニリン
EM:エチルマルトール
RK:ラズベリーケトン
VA:バニリン
GE:ゲラニオール
HE:cis−3−ヘキセノールエステル
【0074】
表2,3から明らかなように、本発明のエステルからなる香料前駆体は、保存安定性、特に水系製品中での安定性に優れ、長期間に亘り、香料を徐放することが可能であることから、香料組成物、繊維処理組成物、化粧料、及び洗浄剤のような製品における香料前駆体として有用である。