特許第6405237号(P6405237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6405237ゲート電極を有する炭化ケイ素半導体デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405237
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】ゲート電極を有する炭化ケイ素半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20181004BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 29/74 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 29/749 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   H01L29/78 658J
   H01L29/78 652M
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 655A
   H01L29/74 B
   H01L29/74 601A
【請求項の数】23
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-502732(P2014-502732)
(86)(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公表番号】特表2014-514756(P2014-514756A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】US2012030855
(87)【国際公開番号】WO2012135288
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年3月20日
【審判番号】不服2017-12981(P2017-12981/J1)
【審判請求日】2017年9月4日
(31)【優先権主張番号】13/431,596
(32)【優先日】2012年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/468,367
(32)【優先日】2011年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/468,327
(32)【優先日】2011年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/468,348
(32)【優先日】2011年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/468,294
(32)【優先日】2011年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】アーサー,スティーブン・デイリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,タミー・リン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル,ジョセフ・ダリル
(72)【発明者】
【氏名】フロンハイザー,ジョディー・アラン
(72)【発明者】
【氏名】リリエンフェルド,デイビッド・アラン
(72)【発明者】
【氏名】マトチャ,ケビン・シーン
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンス,ウィリアム・グレッグ
【合議体】
【審判長】 深沢 正志
【審判官】 加藤 浩一
【審判官】 梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−272785(JP,A)
【文献】 特開2006−269673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L29/78
H01L27/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素を含む半導体基板であって、第1の表面および第2の表面を有する、半導体基板と、
前記基板の前記第1の表面の一部の上に配置されたゲート電極と、
前記基板の前記第2の表面上に配置されたドレイン電極と、
前記ゲート電極上に配置された誘電体層と、
前記誘電体層の付近に配置されたリメディアル層であって、しきい値電圧の変化が1ボルト未満であるように負バイアス温度不安定性を軽減するように構成される、リメディアル層と、
前記リメディアル層上に配置されたソース電極であって、前記半導体基板のコンタクト領域に電気的に結合される、ソース電極と、
を備える半導体デバイスであって、
前記しきい値電圧の変化は、前記デバイスが125℃までの温度において、第1の期間の負ストレスバイアス電圧の印加と、第2の期間の正ストレスバイアス電圧の印加との間で生じ、
前記リメディアル層が前記誘電体層上に配置され、前記リメディアル層が、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、チタン(Ti)、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
半導体デバイス。
【請求項2】
炭化ケイ素を含む半導体基板であって、第1の表面および第2の表面を有する、半導体基板と、
前記基板の前記第1の表面の一部の上に配置されたゲート電極と、
前記基板の前記第2の表面上に配置されたドレイン電極と、
前記ゲート電極上に配置された誘電体層と、
前記誘電体層の付近に配置されたリメディアル層であって、しきい値電圧の変化が1ボルト未満であるように負バイアス温度不安定性を軽減するように構成される、リメディアル層と、
前記リメディアル層上に配置されたソース電極であって、前記半導体基板のコンタクト領域に電気的に結合される、ソース電極と、
を備える半導体デバイスであって、
前記しきい値電圧の変化は、前記デバイスが175℃までの温度において、第1の期間の負ストレスバイアス電圧の印加と、第2の期間の正ストレスバイアス電圧の印加との間で生じ、
前記リメディアル層が前記誘電体層上に配置され、前記リメディアル層が、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、チタン(Ti)、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
半導体デバイス。
【請求項3】
炭化ケイ素を含む半導体基板であって、第1の表面および第2の表面を有する、半導体基板と、
前記基板の前記第1の表面の一部の上に配置されたゲート電極と、
前記基板の前記第2の表面上に配置されたドレイン電極と、
前記ゲート電極上に配置された誘電体層と、
前記誘電体層の付近に配置されたリメディアル層であって、しきい値電圧の変化が1ボルト未満であるように負バイアス温度不安定性を軽減するように構成される、リメディアル層と、
前記リメディアル層上に配置されたソース電極であって、前記半導体基板のコンタクト領域に電気的に結合される、ソース電極と、
を備える半導体デバイスであって、
前記しきい値電圧の変化は、前記デバイスが300℃までの温度において、第1の期間の負ストレスバイアス電圧の印加と、第2の期間の正ストレスバイアス電圧の印加との間で生じ、
前記リメディアル層が前記誘電体層上に配置され、前記リメディアル層が、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、チタン(Ti)、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
半導体デバイス。
【請求項4】
前記リメディアル層が、前記リメディアル層と前記誘電体層との間に接着層をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載のデバイス。
【請求項5】
前記ソース電極が、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から4のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
前記リメディアル層が20nm未満の厚さを有する、請求項1から5のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記コンタクト領域の一部を覆う前記基板の前記第1の表面上のコンタクト層であって、前記リメディアル層が前記コンタクト層の少なくとも一部を覆うように広がり、前記コンタクト層と前記ソース電極との間の導体として働く、コンタクト層をさらに備えた、請求項1から6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
前記ソース電極の一部が前記基板の前記第1の表面の一部の上に配置される、請求項1から7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
前記ゲート電極が多結晶シリコン層および低抵抗層を含む、請求項1から8のいずれかに記載のデバイス。
【請求項10】
前記ゲート電極と前記基板の前記第1の表面との間の絶縁層であって、絶縁層が二酸化ケイ素(SiO)である、絶縁層をさらに備えた、請求項1から9のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
前記低抵抗層が金属およびシリサイドのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスが、金属−酸化膜電界効果型トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、MOS制御サイリスタ(MCT)、およびゲート制御サイリスタで構成されるグループの中から選択される、請求項1から11のいずれかに記載のデバイス。
【請求項13】
ゲート電極と、
炭化ケイ素を含み、前記ゲート電極を支持しかつ表面法線方向を規定する表面を有する基板であって、
第1の導電型を有するように第1のドーパント種を含むドリフト領域と、
前記ドリフト領域に隣接しかつ前記表面近くのウェル領域であり、第2の導電型を有するように第2のドーパント種を含み、前記ゲート電極の近くに配置されたチャネル領域を含む、ウェル領域と、
前記ウェル領域に隣接したソースコンタクト領域であり、前記第1の導電型を有する、ソースコンタクト領域と、
を含む、基板と、
前記ゲート電極の付近でかつ前記基板の前記表面の一部の上に配置された層間絶縁膜と、
前記ソースコンタクト領域の一部を覆い、前記基板の前記表面の一部の上に配置されたコンタクト層と、
前記層間絶縁膜の上方に配置され、前記基板の前記表面の一部と接触するリメディアル層であって、チタンを含み、しきい値電圧の変化を1ボルトよりも小さく維持することによって負バイアス温度不安定性を防止するように構成されるリメディアル層と、
前記リメディアル層の上方に配置されかつ前記ソースコンタクト領域と電気的に接触するソース電極と、
を備え、
前記しきい値電圧の変化は、前記デバイスが125℃までの温度において、第1の期間の負ストレスバイアス電圧の印加と、第2の期間の正ストレスバイアス電圧の印加との間で生じ、
前記リメディアル層が前記層間絶縁膜上に配置され、前記リメディアル層が、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、チタン(Ti)、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
金属−酸化膜電界効果型トランジスタ(MOSFET)デバイス。
【請求項14】
ゲート電極と、
炭化ケイ素を含み、前記ゲート電極を支持しかつ表面法線方向を規定する表面を有する基板であって、
第1の導電型を有するように第1のドーパント種を含むドリフト領域と、
前記ドリフト領域に隣接しかつ前記表面近くのウェル領域であり、第2の導電型を有するように第2のドーパント種を含み、前記ゲート電極の近くに配置されたチャネル領域を含む、ウェル領域と、
前記ウェル領域に隣接したソースコンタクト領域であり、前記第1の導電型を有する、ソースコンタクト領域と、
を含む、基板と、
前記ゲート電極の付近でかつ前記基板の前記表面の一部の上に配置された層間絶縁膜と、
前記ソースコンタクト領域の一部を覆い、前記基板の前記表面の一部の上に配置されたコンタクト層と、
前記層間絶縁膜の上方に配置され、前記基板の前記表面の一部と接触するリメディアル層であって、チタンを含み、しきい値電圧の変化を1ボルトよりも小さく維持することによって負バイアス温度不安定性を防止するように構成されるリメディアル層と、
前記リメディアル層の上方に配置されかつ前記ソースコンタクト領域と電気的に接触するソース電極と、
を備え、
前記しきい値電圧の変化は、前記デバイスが175℃までの温度において、第1の期間の負ストレスバイアス電圧の印加と、第2の期間の正ストレスバイアス電圧の印加との間で生じ、
前記リメディアル層が前記層間絶縁膜上に配置され、前記リメディアル層が、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、チタン(Ti)、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
金属−酸化膜電界効果型トランジスタ(MOSFET)デバイス。
【請求項15】
ゲート電極と、
炭化ケイ素を含み、前記ゲート電極を支持しかつ表面法線方向を規定する表面を有する基板であって、
第1の導電型を有するように第1のドーパント種を含むドリフト領域と、
前記ドリフト領域に隣接しかつ前記表面近くのウェル領域であり、第2の導電型を有するように第2のドーパント種を含み、前記ゲート電極の近くに配置されたチャネル領域を含む、ウェル領域と、
前記ウェル領域に隣接したソースコンタクト領域であり、前記第1の導電型を有する、ソースコンタクト領域と、
を含む、基板と、
前記ゲート電極の付近でかつ前記基板の前記表面の一部の上に配置された層間絶縁膜と、
前記ソースコンタクト領域の一部を覆い、前記基板の前記表面の一部の上に配置されたコンタクト層と、
前記層間絶縁膜の上方に配置され、前記基板の前記表面の一部と接触するリメディアル層であって、チタンを含み、しきい値電圧の変化を1ボルトよりも小さく維持することによって負バイアス温度不安定性を防止するように構成されるリメディアル層と、
前記リメディアル層の上方に配置されかつ前記ソースコンタクト領域と電気的に接触するソース電極と、
を備え、
前記しきい値電圧の変化は、前記デバイスが300℃までの温度において、第1の期間の負ストレスバイアス電圧の印加と、第2の期間の正ストレスバイアス電圧の印加との間で生じ、
前記リメディアル層が前記層間絶縁膜上に配置され、前記リメディアル層が、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、チタン(Ti)、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
金属−酸化膜電界効果型トランジスタ(MOSFET)デバイス。
【請求項16】
前記基板内の前記ソースコンタクト領域に隣接する前記第2の導電型のボディコンタクト領域であって、前記コンタクト層がボディコンタクト領域および前記ソースコンタクト領域の一部を実質的に覆い、前記ソース電極がボディコンタクト領域と電気的に接触する、ボディコンタクト領域をさらに備えた、請求項13から15のいずれかに記載のデバイス。
【請求項17】
ゲート電極と、
炭化ケイ素を含み、前記ゲート電極を支持しかつ表面法線方向を規定する主表面を規定する基板と、
前記基板と前記ゲート電極との間の前記基板の前記主表面の一部の上に配置されたゲート絶縁層と、
前記ゲート電極の上方でかつ前記基板の前記主表面の隣接する一部の上へと配置された誘電体層と、
前記基板の前記主表面の一部の上方に配置されたコンタクト層と、
前記誘電体層の上方でかつ前記基板の前記主表面の一部の上へと配置されたリメディアル層と、
前記リメディアル層の上方に延伸する第2の電極であって、前記第2の電極が前記コンタクト層と電気的に接触する、第2の電極と、
を備え、
前記リメディアル層が、しきい値電圧の変化が1ボルト未満であるように負バイアス温度不安定性を軽減するように構成され、
前記しきい値電圧の変化は、前記デバイスが125℃までの温度において、第1の期間の負ストレスバイアス電圧の印加と、第2の期間の正ストレスバイアス電圧の印加との間で生じ、
前記リメディアル層が前記誘電体層上に配置され、前記リメディアル層が、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、チタン(Ti)、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
半導体デバイス。
【請求項18】
ゲート電極と、
炭化ケイ素を含み、前記ゲート電極を支持しかつ表面法線方向を規定する主表面を規定する基板と、
前記基板と前記ゲート電極との間の前記基板の前記主表面の一部の上に配置されたゲート絶縁層と、
前記ゲート電極の上方でかつ前記基板の前記主表面の隣接する一部の上へと配置された誘電体層と、
前記基板の前記主表面の一部の上方に配置されたコンタクト層と、
前記誘電体層の上方でかつ前記基板の前記主表面の一部の上へと配置されたリメディアル層と、
前記リメディアル層の上方に延伸する第2の電極であって、前記第2の電極が前記コンタクト層と電気的に接触する、第2の電極と、
を備え、
前記リメディアル層が、室温しきい値電圧の変化が1ボルト未満であるように負バイアス温度不安定性を軽減するように構成され、
前記しきい値電圧の変化は、前記デバイスが175℃までの温度において、第1の期間の負ストレスバイアス電圧の印加と、第2の期間の正ストレスバイアス電圧の印加との間で生じ、
前記リメディアル層が前記誘電体層上に配置され、前記リメディアル層が、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、チタン(Ti)、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
半導体デバイス。
【請求項19】
ゲート電極と、
炭化ケイ素を含み、前記ゲート電極を支持しかつ表面法線方向を規定する主表面を規定する基板と、
前記基板と前記ゲート電極との間の前記基板の前記主表面の一部の上に配置されたゲート絶縁層と、
前記ゲート電極の上方でかつ前記基板の前記主表面の隣接する一部の上へと配置された誘電体層と、
前記基板の前記主表面の一部の上方に配置されたコンタクト層と、
前記誘電体層の上方でかつ前記基板の前記主表面の一部の上へと配置されたリメディアル層と、
前記リメディアル層の上方に延伸する第2の電極であって、前記第2の電極が前記コンタクト層と電気的に接触する、第2の電極と、
を備え、
前記リメディアル層が、室温しきい値電圧の変化が1ボルト未満であるように負バイアス温度不安定性を軽減するように構成され、
前記しきい値電圧の変化は、前記デバイスが300℃までの温度において、第1の期間の負ストレスバイアス電圧の印加と、第2の期間の正ストレスバイアス電圧の印加との間で生じ、
前記リメディアル層が前記誘電体層上に配置され、前記リメディアル層が、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、チタン(Ti)、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、
半導体デバイス。
【請求項20】
前記リメディアル層の少なくとも一部が前記第2の電極と前記コンタクト層との間に配置される、請求項17から19のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項21】
前記第2の電極がソース電極である、請求項17から20のいずれか記載の半導体デバイス。
【請求項22】
前記半導体デバイスが金属−酸化膜半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)を含む、請求項17から21のいずれかに記載の半導体デバイス。
【請求項23】
前記半導体デバイスが、垂直金属−酸化膜半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)、ラテラルMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属−酸化膜半導体(MOS)制御サイリスタ、およびゲート制御サイリスタからなる群から選択される、請求項17から22のいずれかに記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート電極を有する炭化ケイ素半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
バイアス温度不安定性(BTI)は、ある種の半導体デバイスに関連して生じ、信頼性に関する最も重要な要素のうちの1つと考えられる現象を指す。これは、負バイアス、高温、および長期間動作の条件下で特に顕著である。シリコン(Si)半導体の分野では、この長期にわたるBTI問題は、長年にわたりそれ自体明らかにされてきており、Siデバイスにおける問題を軽減させるために大量の研究および多数の設計が行われている。急速に成長する炭化ケイ素(SiC)の分野では、バイアス温度不安定性が、信頼性、性能限界、および製品認定に関する主要な関心事を発生している。例えば、強い負バイアス温度不安定性(NBTI)が、SiCデバイスにおいて観測されてきており、ノーマリーオフデバイスがノーマリーオン(ゼロボルトでのゲート−ソース電圧で導電性)になる点まで絶対値のしきい値電圧を著しく減少させるという結果をもたらす。NBTI問題は、詳細に記録されてきているが、産業的な解決策は未だない。
【0003】
BTI問題がSiデバイス市場において多くの事例において軽減されてきているまたはSiにとって重要性が低くなっているが、SiデバイスとSiCデバイスとの間には振る舞いにおける著しい違いがあり、その結果、Siにおける問題を軽減するために使用したメカニズムは、SiCに対して容易には転換されない。
【0004】
SiC社会では、NBTI問題の根本原因に関する意見の一致には未だ至っていないが、一般に界面トラップおよび酸化膜電荷の存在に起因すると考えられており、デバイスを高温において長期間にわたってバイアス条件下で動作させることによって誘起されることがある。BTIの原因に拘わらず、効果は明確に実証されている。一例として、ゲート−ソースに印加された負バイアスで動作する金属−酸化膜半導体(MOS)デバイスについて、NBTIの効果は、しきい値電圧の低下によって明らかである。しきい値電圧不安定性は、デバイスが負バイアスであり、かつ高温に曝されるときにはより顕著である。さらなる一例として、炭化ケイ素金属−酸化膜−半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)を含む、金属−酸化膜半導体電界効果型トランジスタは、複合された電圧および温度ストレスを受けたときに、しきい値電圧のシフトを経験する。したがって、しきい値電圧シフトおよびNBTIは、製品採用、特に、SiCデバイスが独特の動作特性を有し、高温において動作可能であり、新規な用途を可能にする新たな市場用途へのSiCデバイスの導入および利用を妨げる信頼性の懸念を増大させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/143376号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、第1の表面および第2の表面を有する炭化ケイ素を含む半導体基板を有する半導体デバイスである。基板の第1の表面の一部の上に配置されたゲート電極、および基板の第2の表面上に配置されたドレイン電極があり、ゲート電極上に配置された誘電体層を有し、これによってゲート電極を覆う。誘電体層の付近に配置されたリメディアル層があり、リメディアル層は、しきい値電圧の変化が約1ボルト未満であるように負バイアス温度不安定性を軽減するように構成される。一例では、しきい値電圧の変化は、ドレイン電流がVDS=0.1Vで約10マイクロアンペアであるときに、ゲートからソースへの電圧バイアス下で生じる。ソース電極は、リメディアル層上に配置され、(アルミニウム、銅、およびこれらの混合物などの)ソース電極は、半導体基板のコンタクト領域に電気的に結合される。デバイスを、金属−酸化膜半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、MOS制御サイリスタ、およびゲート制御サイリスタとして設計することができる。
【0007】
一例では、リメディアル層は、チタンを含む。別の一例では、リメディアル層は、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、およびこれらの混合物のうちの少なくとも1つを含む。また、接着層を、リメディアル層と誘電体層との間に使用することができる。リメディアル層は、誘電体層の連続した共形カバレッジを与えるように、典型的には構成される。
【0008】
ある種の応用例では、リメディアル層は、導電性金属を含み、誘電体層の連続した共形カバレッジを与え、コンタクト領域とソース電極との間の導体として働く。デバイスは、コンタクト領域の一部を覆う基板の第1の表面上のコンタクト層を含み、リメディアル層は、コンタクト層の少なくとも一部を覆うように広がり、コンタクト層とソース電極との間の導体として働く。
【0009】
リメディアル層がコンタクト領域用の導体として働くことを目的としない別の一例では、リメディアル層は、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiNx)、およびポリシリコンのうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
リメディアル層は、約300nm未満の厚さを、あるケースでは、約20nm未満の厚さを有することができる。
【0011】
デバイスが通常の温度範囲下で動作する一方で、デバイスは、より高い温度で動作し、VTHを維持するようにさらに構成される。例えば、デバイスは、約摂氏125度よりも高い温度で、約摂氏175度よりも高い温度で動作し、約摂氏300度よりも高い温度でさえ動作する。
【0012】
ゲート電極は、多結晶シリコン層および低抵抗層を含むことができる。また、ゲート電極と基板の第1の表面との間に、ゲート酸化膜層とも呼ばれる絶縁層があってもよく、絶縁層は、二酸化ケイ素であってもよい。一例では、低抵抗層は、金属およびシリサイドのうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
一実施形態によれば、金属−酸化膜半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)デバイスは、基板が炭化ケイ素を含み、ゲート電極を支持しかつ表面法線方向を規定する表面を有する基板とともにゲート電極を含む。基板は、第1の導電型を有するように第1のドーパント種を含むドリフト領域、ドリフト領域に隣接しかつ表面の近くにウェル領域を有し、ウェル領域は、第2の導電型を有するように第2のドーパント種を含み、ウェル領域は、ゲート電極の近くに配置されたチャネル領域を含む。ウェル領域に隣接してソースコンタクト領域があり、ソースコンタクト領域は、第1の導電型を有する。層間絶縁膜は、ゲート電極の付近に配置され、かつソースコンタクト領域の一部を覆って基板の表面の一部の上に配置されたコンタクト層を有する基板の表面の一部の上に配置される。層間絶縁膜の上方に配置されかつ基板の表面の一部と接触するリメディアル層があり、リメディアル層は、層間絶縁膜の連続した共形カバレッジを与える。ソース電極は、リメディアル層の上方に配置されかつソースコンタクト領域と電気的に接触する。
【0014】
一例では、デバイスは、基板内のソースコンタクト領域に隣接する第2の導電型のボディコンタクト領域をさらに備え、コンタクト層は、ボディコンタクト領域およびソースコンタクト領域の一部を実質的に覆い、ソース電極は、ボディコンタクト領域と電気的に接触する。
【0015】
さらの別の一実施形態は、炭化ケイ素を含み、ゲート電極を支持しかつ表面法線方向を規定する主表面を規定する基板とともにゲート電極を有する半導体デバイスである。ゲート絶縁層は、基板とゲート電極との間の基板の主表面の一部の上に配置され、誘電体層は、ゲート電極の上方でかつ基板の主表面の隣接する部分上へと配置される。基板の主表面の一部の上方に配置されたコンタクト層がある。リメディアル層は、誘電体層の上方でかつ基板の主表面の一部の上へと配置される。第2の電極は、リメディアル層の上方に延伸し、第2の電極は、コンタクト層と電気的に接触する。一例では、リメディアル層の少なくとも一部が、第2の電極とコンタクト層との間に配置される。
【0016】
一例では、半導体デバイスは、垂直金属−酸化膜半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)、ラテラルMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、MOS制御サイリスタ、およびゲート制御サイリスタからなる群から選択される。
【0017】
本開示のこれらのおよびその他の態様、特徴、および長所は、添付した図面と併せて本開示のさまざまな態様の下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0018】
本明細書において記述する実施形態は、下記の詳細な説明を添付した図面を参照して読むとより良く理解されるであろう。図面では、類似の参照符号は、図面全体を通して類似の構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一例の実施形態にしたがって構成されたMOSFETの模式的断面図である。
図2a】MOSFETを通る電流経路を図示する、図1のMOSFETの「2」で符号を付けた領域の模式的断面図である。
図2b】MOSFETの別の一実施形態を図示する、図1のMOSFETの「2」で符号を付けた領域の模式的断面図である。
図3】従来型のMOSFETの模式的断面図である。
図4】電圧および温度ストレス印加前後の、図3におけるような従来型のMOSFETについてのゲート電圧の関数としてのドレイン電流のプロットである。
図5】電圧および温度ストレス印加前後の、リメディアル層を含む図1のMOSFETについてのゲート電圧の関数としてのドレイン電流のプロットである。
図6】電圧および温度ストレス印加前後の、リメディアル層を含む図1のMOSFETについてのゲート電圧の関数としてのドレイン電流のプロットである。
図7】NBTI問題の背景の理論の図式的な描写図である。
図8】一実施形態による構成要素の素子を図示する実際のMOSFETデバイスの断面斜視図である。
図9】一実施形態による負バイアス温度不安定性を低減した半導体デバイスを形成するためのプロセスステップを図示する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
例の実施形態を、添付した図面を参照して詳細に下記に説明する。図面では同じ参照番号は、図面全体を通して同じ構成要素を表す。これらの実施形態の一部は、上記の必要性および他の必要性を扱うことができる。実験の多くがSiC MOSFETを使用して行われてきているが、NBTIを軽減するために本明細書において詳細に説明する解決策および技術は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、MOS制御サイリスタ、およびゲート制御サイリスタなどの他の半導体デバイスへの適用可能性を有することがある。説明の目的で、MOS制御サイリスタ(MCT)は、構造内に組み込まれた2つのMOSFETを有し、本明細書においてさらに意味を明確にするようにしきい値電圧(VTH)に敏感である。本明細書において詳細に説明する技術がまた、正バイアス下で生じるVTH効果を呼ぶ正バイアス温度不安定性(PBTI)に関係する効果を軽減するであろうことが、やはり想定される。
【0021】
図1を参照すると、一例の実施形態にしたがって構成された、金属−酸化膜半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)100などのデバイスを示す。MOSFET100は、例えば、炭化ケイ素(SiC)などの半導体材料を含む基板102を含むことができる。基板102を半導体ダイまたはウェハとすることができ、これは、主表面104および表面から基板中へと垂直に延びる表面法線方向または「厚さ方向」t、ならびに(局所表面に平行な)厚さ方向を横切る方向を規定する。
【0022】
表面104は、ゲート電極106を支持することができる。例えば、ゲート電極106を表面104と直接接触する絶縁層108上に配置することができ、その結果、絶縁層108がゲート電極と基板102との間に配置される。一例では、絶縁層108は、表面104に沿って広がり、コンタクト層126までの任意の点まで広がることができる。ゲート電極106は、多結晶シリコン層107を含むことができ、例えば、電気的導電性材料(例えば、金属および/またはシリサイド)から形成された低抵抗層109をやはり含むことができる。一例では、シリサイドが、ゲート電極層として使用される。ゲート電極106を、ゲート電圧VGを受けるように構成することができる。やはりゲート酸化膜またはゲート誘電体膜とも時には呼ばれる絶縁層108は、二酸化ケイ素(SiO2)などの電気的絶縁性材料を含むことができる。
【0023】
基板102はまた、ドレイン電極112と接触する第2の表面110を規定することができ、ドレイン電極を、ドレイン電圧VDを受けるように構成することができる。図1が1つのMOSFETセルの模式的断面図であることに、留意する。全体のMOSFETデバイスは、典型的には、互いに隣り合って位置し、かつ共通のゲート電極106およびドレイン電極112を共有する多数のセルからなる。
【0024】
基板102は、ドリフト領域114および、これに隣接し表面104近くにウェル領域116を含むことができる。ドリフト領域114を、第1の多数電荷キャリアを有する第1の導電型を有するように第1のドーパント種でドープすることができ、ウェル領域116を、第2の多数電荷キャリアを有する第2の導電型を有するように第2のドーパント種でドープすることができる。例えば、第1の多数電荷キャリアおよび第2の多数電荷キャリアを、それぞれ電子および正孔とすることができ、その結果、図1に示したように、それぞれ第1の導電型および第2の導電型は、n型およびp型である、ここでは、基板をSiCで形成し、第1のドーパント種を、例えば、窒素およびリン(「n型ドーパント」)のうちの1つまたは複数とすることができ、第2のドーパント種を、例えば、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、およびベリリウム(「p型ドーパント」)のうちの1つまたは複数とすることができる。
【0025】
基板102は、第1の導電型(図ではn型)を有するソースコンタクト領域122をさらに含むことができる。ウェル領域116を、コンタクト領域122の近くに配置することができ、その結果、ウェル領域116は、ゲート電極106の近くに配置されたチャネル領域118をその中に含むことができる。例えば、チャネル領域118は、ゲート電極106下の表面104に沿って広がることができる(ここでは、「下」はさらに厚さ方向tに沿うことを意味する)。一実施形態では、第1の導電型のソースコンタクト領域122が、表面104に隣接して配置され、ウェル領域116はコンタクト領域を取り囲む。一例では基板102はまた、第2の導電型(図1ではp型として示される)を有するボディコンタクト領域125を含む。本実施形態におけるボディコンタクト領域125は、ウェル領域116および表面104に隣接して配置される。
【0026】
層間絶縁膜(ILD)と時には呼ばれる誘電体層120は、ゲート電極106および絶縁層108を覆う。一例では、誘電体層は、リンケイ酸ガラス(PSG)を含む材料である。この実施形態では、リメディアル層123が誘電体層120を覆う。この例において描かれたように、リメディアル層123は、基板表面の一部の上に配置され、コンタクト層126の一部またはすべての上方に広がる。ソース電極を、ソース電圧(VS)を受けるように構成することができる。
【0027】
ソース電極124(例えば、アルミニウムなどの金属から形成される)を、リメディアル層123の上方に配置し、(例えば、ニッケルで形成することができるコンタクト層126を介して)ソースコンタクト領域122およびボディコンタクト領域125の両者と電気的に接触させることができ、ソース電極を、ソース電圧VSを受けるように構成することができる。ある実施形態では、リメディアル層123は導電性であり(例えば、導電性金属から形成される)、ソース電極124およびコンタクト領域を電気的に接続するようにコンタクト領域122の少なくとも一部と接触する。
【0028】
図2aを参照すると、リメディアル層123は、基板表面の一部と接触し、第1の導電性のコンタクト領域122の少なくともある部分を覆うが、別の一例では、リメディアル層123は、コンタクト層126まで第1の導電型のコンタクト領域122の少なくとも一部を覆う。一方で、別の一実施形態では、リメディアル層は、コンタクト領域の少なくとも一部およびコンタクト層126の少なくとも一部を覆う。
【0029】
動作では、一実施形態におけるMOSFET100は、スイッチとしての働きをする。電圧差VDS=VD−VSがドレイン電極112とソース電極124との間に印加されると、これらの同じ電極間の出力電流(IDS)を変調することができる、またはそうでなければゲート電極106に印加される入力電圧VGSによって制御することができる、ここにおいて、VGS=VG−VSである。MOSFET100の「しきい値電圧」(VTH)よりも小さなゲート電圧VGに対して、電流IDSは、名目上はほぼゼロのところに留まる(比較的小さな漏れ電流がしきい値電圧よりも小さなゲート電圧に対してでさえ存在することがある)。しきい値電圧VTHは、とりわけ、MOSFET100の寸法、材料、およびドーピングレベルの関数であり、MOSFETは、典型的には、所定のしきい値電圧を示すように設計される。MOSFET100を含む回路を、次に所期の(所定の)しきい値電圧に設計することができる。
【0030】
シリコンまたはSiCを含む従来型のMOSFETは、ゲート電極106とソース電極124との間に電位差を、特に高温でかつ長時間にわたって受けると、しきい値電圧のシフトを経験することが見出されている。特に負バイアス温度不安定性(NBTI)は、重大な問題であり続けている。
【0031】
図2bでは、リメディアル層123がコンタクト層126を覆うようには広がらないことを除いて、デバイスは、図2aの構造に類似している。むしろ、リメディアル層123は、層間絶縁膜(ILD)120の連続した共形カバレッジを与え、かつ基板の一部と接触するように構成される。リメディアル層123がコンタクト層126を覆わないので、リメディアル層は、導電性材料である必要はない。
【0032】
図3を参照すると、従来型のMOSFET200が示される。従来型のMOSFET200は、ソース電極224と誘電体層220との間に等価なリメディアル層を含まない。MOSFET200は、半導体材料(例えば、SiC)を含みかつ主表面204および表面法線方向または「厚さ方向」tを規定する基板202を含むことができる。表面204は、絶縁層208(例えば、SiO2)を、多結晶シリコン層207およびおそらく低抵抗層209を含み、絶縁層上に配置されたゲート電極206とともに支持することができる。
【0033】
基板202は、ドリフト領域214および、これに隣接しかつ表面204近くにウェル領域216を含むことができる。ドリフト領域214を、第1の導電型(例えば、n型)を有するようにドープすることができ、ウェル領域216を、第2の導電型(例えば、p型)を有するようにドープすることができる。基板202は、第1の導電型(図ではn型)を有するコンタクト領域222をさらに含むことができる。ウェル領域216を、コンタクト領域222に隣接して配置することができ、その結果、ウェル領域216は、ゲート電極206の下に広がるチャネル領域218をその中に含むことができる。基板202はまた、第2の導電型(図ではp型)を有するボディコンタクト領域225を含み、ボディコンタクト領域は、ウェル領域216および表面204に隣接して配置される。誘電体層220(例えば、PSG)は、ゲート電極206および絶縁層208を覆うことができる。ソース電極224を、(言ってみれば、コンタクト層226を介して)コンタクト領域222およびボディコンタクト領域225の両者と接触して配置することができ、ソース電圧VSをソース電極に印加することができる。
【0034】
MOSFETについてのしきい値電圧(VTH)は、デバイス特性評価技術に関する一般的な参考文献:Semiconductor Material and Device Characterization 2nd edition, Dieter K. Schroder, 1998, John Wiley & Sonsによれば「一義的には定義されない電圧」である。VTHを測定するために少なくとも5つの異なる技術があり、特定の例について、これらの技術は正確に同じ結果をもたらさない。本明細書において利用する技術は、「しきい値ドレイン電流法」と呼ばれ、そこでは、指定されたドレイン電流におけるゲート電圧が、しきい値電圧になるように取られる。
【0035】
図4は、電圧および温度ストレス印加前後の、図3におけるような従来型のMOSFETについてのゲート電圧の関数としてのドレイン電流のプロットである。NBTIの特性評価するために本明細書において使用するしきい値ドレイン電流法は、「サブスレッショルド技術」の変形である。試験条件は、増幅特性曲線測定値が一定のストレス温度でMOSFETに関して取られるというものである。先ず、ゲート電圧を、一定の−20ボルトで15分間保持し、VDSをゼロボルトで保持する。次に、小さな一定電圧(例えば、100ミリボルト)を、ソース端子とドレイン端子との間に印加し、そしてゲート電圧を、−10ボルトから+10ボルトまで掃引する。範囲は、MOSFETの下側電流範囲(例えば、この特定のケースでは0.1ナノアンペア未満)から飽和電流(例えば、16ミリアンペア)までを取り込むために十分に大きく、図4に描かれた「post neg」増幅特性曲線420を決める。+20ボルトの定電圧ゲート正ストレスバイアスを、次にVDS=0Vでさらに15分間ゲートに印加する。最後に、同様の逆方向掃引を、+10ボルトから−10ボルトまで行って、VDS=0.1Vでの「post pos」増幅特性曲線410を取り込む。
【0036】
図4における結果は、正および負ゲートバイアスストレス印加に続くしきい値電圧のシフト(すなわち、IDSが著しく増加する電圧のシフト)を明確に実証する。しきい値電圧シフトは、したがって、バイアス温度不安定性(BTI)の効果を表す。
【0037】
図4に示したように、VTHドリフトデータは、リメディアル層のない実際のMOSFETから取られる。VTHドリフトは、10マイクロアンペアのソースからドレインへの電流におけるVTH正電圧ストレス値とVTH負電圧ストレス値との間の電圧差として取られる。この例では、VTHドリフトは、ほぼ6.9ボルトである。縦軸は、ドレイン電流(アンペア)であり、横軸は、ゲートからソースへの電圧(ボルト)である。
【0038】
VTH決定のためのしきい値ドレイン電流の選択としての10マイクロアンペアの使用は、実際的な理由のために行われる。例えば、この値は、片対数増幅特性曲線の直線サブスレッショルド部分上に存在するためには十分に小さく、正確に測定するためかつデータから容易に抽出するためには十分に大きい。MOSFETパラメータおよびデータを集めるための試験条件は、VDS=0.1ボルト、温度=摂氏175度、ゲート酸化膜厚(Tox)=500オングストローム、デバイス能動領域面積=0.067cm2、1個のMOSセルの面積=1.6E−4cm2、1個のMOSセルのチャネル幅対長さ比(W/L)=6900である。より大きなデバイスまたは小さなデバイスへのしきい値ドレイン電流のスケーリングは、デバイス能動領域面積、1個のMOSセルの面積、およびW/Lについて線形依存性を有する。しかしながら、しきい値電流は、ゲート酸化膜厚(Tox)とは逆にスケーリングすることに、留意すること。背景の目的で、例えば、H. G. Lee, S. Y. Oh and G. Fuller, "A Simple and Accurate Method to Measure the Threshold Voltage of an Enhanced-Mode MOSFET", IEEE Trans. Electron Dev. ED-29, 346-348, Feb, 1982参照のこと。
【0039】
実験を、さまざまな金属を用いて行い、リメディアル層が、NBTI効果を防止することに効果的であることが示され、その結果、しきい値電圧の変化は1V未満である。ある種の例では、VTH変化がさらに小さく、ある種の材料が、500ミリボルト未満のVTH変化を明確に実証したが、一部の他の例は、300ミリボルト未満のVTH変化を示した。材料のタイプおよびリメディアル層の厚さは、リメディアル層の振る舞いおよび効果を生じさせる要因になる。
【0040】
図1図2aおよび図2bを再び参照すると、出願人は、MOSFET100におけるリメディアル層123などのリメディアル層またはバリア層を含むMOSFETが、BTIの発生を軽減するまたは回避することを発見した。具体的には、出願人は、図1図2aおよび図2bのMOSFET100と整合性を有するMOSFETについて上記の電圧および温度ストレス試験を繰り返した、そこではMOSFETは、SiC基板、誘電体層、アルミニウムソース電極、および層間絶縁膜とアルミニウムソース層との間にリメディアル層を含んでいた。適切なリメディアル層がBTI効果を防止し、旧来のデバイスでの信頼性を心配せずに特有な用途を可能にすることを、結果は示している。
【0041】
さらなる実験が、リメディアル層として他の金属を使用して行われ、その金属はソース金属に対するバリアを形成する。ある種の代替金属の試験およびデータから推定することに基づいて、下記の金属がNBTIの効果を十分に防止するためのリメディアル層として適していると考えられる:金属は、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、および白金(Pt)である。かかる金属およびまたは合金からなる金属が、やはり想定される。Niなどのある種の金属の組み合わせが、一部の金属として試験され、他の金属を利用するときに有益である接着層を形成する。1つの実験では、Niの薄い層(10nm)が、リメディアル層として使用されたもう1つの金属との接着特性を高めるために使用された。組み合わせ金属の例は、Au−MoおよびAu−Niを含む。
【0042】
ある種の実験は、下記の金属について約0.2ミクロンの厚さのリメディアル層を使用して行われた:金属は、10nmNiを有するAu、Ni、Taである。実験はまた、20nmおよび100nmなどのさまざまな厚さのTiを含んだ。リメディアル層に関して、Alソース層からの層間絶縁膜の連続した共形コーティングは、NBTIを防止するのに効果的である。20nmの厚さがNBTIを防止するのに効果的であり、リメディアル層をAlソース層から分離する層間絶縁膜の連続した共形コーティングがある限りは、より薄い厚さがやはり十分であるはずであることが示されている。リメディアル層用に使用する材料に応じて、10nmの厚さのリメディアル層を、一実施形態では使用することができる。別の一実施形態では、5nmの厚さのリメディアル層を利用することができる。
【0043】
リメディアル層として使用した金属材料に加えて、一実施形態は、金属を使用せずに、むしろ、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiNxまたはSi34)、およびポリシリコンなどの材料を使用する。図2bに記したように、この例でのリメディアル層は、コンタクト層を必ずしも覆う必要がなく、これゆえ導電性金属でなければならないことはない。これらの材料は、NBTIをやはり十分に防止するであろうと考えられる。
【0044】
リメディアル層123としての窒化ケイ素またはポリシリコンの存在は、いくつかの役割を果たすのではないかと思われる。1つの役割は、ポリシリコンおよび窒化ケイ素の両者によって果たされる。リメディアル層123がアルミニウムとILDとの間に挿入されているので、ソース電極124(例えば、アルミニウム)は、層間絶縁膜120とは接触しないであろう、その結果、ILD(例えば、二酸化ケイ素)とアルミニウムとの間の反応が抑制されるであろう。窒化ケイ素もまた、原子状の水素のマイグレーションを阻止する良い拡散バリアであり、その結果、生成されるはずのすべての原子状の水素が、窒化ケイ素によって能動チャネル領域へと移動することを阻止されるであろう。したがって、一実施形態では、リメディアル層を、ILD120の近くにまたは付近に配置する、ここにおいては、付近は、ILD120の上方、下方または内部の任意の場所を呼ぶ。これゆえ、窒化ケイ素を、誘電体層120の下方に、誘電体層120の上方に、または誘電体層120の内部に配置するとしても、NBTIを防止する有利な効果が依然として生じることが期待される。ポリシリコンのケースでは、この材料が多数の粒界およびダングリングシリコンボンドを含むことが知られており、これが原子状の水素を吸収し、これゆえ、原子状の水素がポリシリコンを通過しないようにする。そのため、ポリシリコンのケースにおけるように、リメディアル層123を、誘電体層120の下方に、誘電体層120の上方に、または誘電体層120の内部に設置することができ、NBTIを防止する有利な効果が依然として生じることが推定される。図2bがILD120の上方にリメディアル層123を示すが、ソース電極124とゲート電極106との間のどこかにリメディアル層123を設置することは、本システムの範囲内である。
【0045】
ある種の試験の結果を、ゲート電圧(VGS)対出力電流(IDS)について図5に表示する。試験することは、ストレス印加前のデバイス特性510ならびにストレス印加後のレスポンス520を示す。2つの曲線510、520は、本質的に互いに重なり合ってマッピングされ、図4に図示したようなしきい値移動またはNBTI効果を実証しない。例えば、本明細書において詳細に説明した特質および特性を有するリメディアル層123を含むMOSFETが従来型のMOSFETにおいて見られるようなNBTI効果を示さないことを、これらの結果は示す。
【0046】
リメディアル層を含むMOSFETは、114時間にわたって追加のストレスを印加され、これらの試験の結果を図6に表示する。初期特性曲線610が、ストレス印加前のデバイス性能を図示するのに対して、ポスト特性曲線620は、114時間にわたって行った、post−20Vのストレス印加に続くデバイス性能を示す。曲線が実質的に互いに重なり合ってマッピングされるので、リメディアル層を含むMOSFETが従来型のMOSFETにおいて見られるようなNBTI効果を示さないことを、これらの結果は確認する。
【0047】
SiC系の半導体デバイスにおけるNBTIを防止する際のリメディアル層123(図1図2aおよび図2b)の効力についてのいくつかの解釈がある。物理的現象/化学的現象は複雑であり、正確なメカニズムが完全に理解されていないが、出願人は、NBTIジレンマを解決するために必要な関係を発見し、解決策を明らかにした。
【0048】
SiCデバイスに関するNBTI問題についてのある解釈を、図7を参照して説明することができ、図7は、リメディアル層を含まない図3に示したような従来型のMOSFETの一部を再び図示する。図示した実施形態では、SiC基板710があり、その上に絶縁層720を堆積する。この絶縁層720上に、ゲート電極745を形成する。この例では、ゲート電極745は、ポリシリコン層730を含み、続いてシリサイドなどの低抵抗層740がある。低温膜(LTO)750を、低抵抗層740上に配置する。PSGなどの厚い誘電体層760がゲート電極745を覆い、ソース電極770を誘電体層760上に配置する。
【0049】
典型的な環境条件下では、水(H2O)分子は、MOSFET内に(例えば、誘電体層760中にまたは異なる層の界面のところに)トラップされることがある。1つの理論によれば、トラップされた水分子がソース電極770と誘電体層760との間の界面のところで反応してH+イオンおよびOH-イオンを形成し、そして他のH含有種(例えば、H2、H-)をやはり形成することができると、考えられる。水素の拡散性は、水素が低温下でMOSFET構造のチャネル領域へ侵入することができ、ゲート酸化膜自体の界面のところまたは界面近くのいずれかに存在する欠陥と相互作用することがあることである。水素は、これらの欠陥と反応することがあり、欠陥の電気的な性質を変える(例えば、不動態化する)ことができる。高温かつ強い引力場(VGS負)の下では、これらの水素結合は、切断されることがあり、水素は、界面領域から遠くへドリフトし、実効的な正孔トラップである欠陥を後に残し、正孔トラップは、このバイアス条件においてチャネル中に蓄積した全正孔数から最終的な正電荷を捕捉することができる。したがって、界面のところに最終的な正電荷があるので、VTHは、負方向にシフトすることがある。
【0050】
ソース電極770がアルミニウム(Al)から形成され、誘電体層760との界面のところにAlおよびAl酸化物(Al23)の両者が存在する状態で、この反応が促進されることがあるかと思われる。一旦発生すると、MOSFETの動作によって発生し、集中点のところで(例えば、MOSFET内の帯電した構造の角部および端部のところで)強められた電界は、H含有種(H+、OH-、H2、H-)をイオン化する/さらにイオン化するように作用することがある。H含有種のうちの少なくとも一部は、その後、絶縁層720(例えば、SiO2)とSiC基板710および/またはゲート電極745との界面まで拡散することができ、これによって、正電荷をトラップすることができる欠陥を作り出すことができる。H含有種の一部、ならびに酸素分子および水分子もまた、ソース電極770を通り周囲の雰囲気中へと拡散することができる。いずれにしても、これらの電荷がMOSFETのしきい値電圧の変化を生じさせる状態で、大きな負電圧がゲート電極から取り除かれた後でさえ、正電荷のうちの過剰なものは、界面および/またはゲート電極745のところに留まることができる。大きなバイアスの継続的かつ繰り返しの印加は、絶縁層720とSiC基板710および/またはゲート電極745との界面のところに正電荷のシンクをさらに形成することがある。
【0051】
図1のMOSFET100を考えると、NBTIに関与する理論のうちの1つによれば、水分子はその中にトラップされることがあり、温度および電圧ストレス下で分解することがあり、さまざまに帯電したH含有種を形成することがある。しかしながら、リメディアル層が、NBTI問題を防止する。1つの仮定では、デバイス構造によっては、Tiなどの適切な組成のリメディアル層は、水分子が分解することから発生したH含有種をゲッタリングするように作用することができる。H含有種のゲッタリングは、H含有種が絶縁層720と基板710および/またはゲート電極745との界面のところに蓄積することを防止するように働くことができ、これによって、MOSFETのしきい値電圧への何らかの効果を制限することができる。これは、H+イオンのケースでは特に重要であることがあり、H+イオンは、局所的に集中した電界によってさらにイオン化され、このイオンが、SiCデバイスにおけるNBTIに著しく寄与することを、出願人の実験結果に基づいて予期することができる。もう1つの仮定では、デバイス構造によっては、リメディアル層は、Alなどのソース金属を層間絶縁膜から分離するように働く。NBTIの基礎になる理論が完全には理解されていないことがあるが、本出願は、NBTIを防止する詳細に述べた技術および構造を提供する。
【0052】
図8は、図1のMOSFETなどのMOSFETの一実施形態の断面図を示す。デバイスは、二酸化ケイ素層820を有するSiC基板810を含み、その上にゲート電極が堆積される。ゲート電極は、ポリシリコン層830およびシリサイド層840を含む。PSGなどの層間絶縁膜(ILD)層850およびILDを覆うTiなどのリメディアル層860がある。Alなどのソース電極870は、リメディアル層860を覆い、n+ソースコンタクト領域890まで延伸する。p−ベース(やはりp−ウェルとも呼ばれる)領域880もまた、この断面斜視図では見られる。記したように、ソース電極870は、リメディアル層860よりも劇的に厚い。
【0053】
リメディアル層を含むMOSFETを、標準のマイクロエレクトロニック製造プロセスを使用して製造することができる。これらのプロセスは、例えば、リソグラフィ、膜堆積/成長法(例えば、物理気相堆積および化学気相堆積、メッキ、酸化、等)、結晶成長法、ならびにウェットエッチングおよびドライエッチング法を含むことができる。
【0054】
図9を参照すると、図1中に示したようなMOSFETを製造することができ、一例では、SiC基板を用意するステップおよびSiC基板上にゲート電極を形成するステップ910を含む典型的な処理ステップにしたがって処理するステップによって処理する。ゲート電極を、一例では、ポリシリコン層およびシリサイドなどの低抵抗層を用いて形成する。誘電体層を、ゲート電極上に堆積する920。リメディアル層を次に、誘電体層上に堆積し930、その結果、リメディアル層は層間誘電体層の連続した共形カバレッジを与える。図2aに示したように、導電性金属を採用する場合には、リメディアル層は、コンタクト層の上方に広がることができる。図2bに示したような別の一例では、リメディアル層は、連続した共形層で層間誘電体層を覆うことができるが、コンタクト層まで広がる必要がない。この後者の例では、リメディアル層を、金属またはポリシリコン、二酸化ケイ素、もしくは窒化ケイ素などのもう1つの材料とすることができる。アルミニウムなどのソース電極金属は、リメディアル層の上方に形成され、コンタクト層まで延伸する940。ソース電極を誘電体層とは分離するリメディアル層を使用することが、負バイアス温度不安定性を防止するステップを提供する950。一例では、NBTIが防止され、その結果、電圧しきい値(VTH)は1ボルト未満である。
【0055】
リメディアル層を有するデバイスを、再現性についておよびさまざまな動作条件で検討してきた。ある種のNBTI特性評価実験では、再現性およびストレスに関してリメディアル層を有するMOSFETデバイスを動作させた。実験のうちの1つでは、アレニウス活性化エネルギーによる温度特性を検討した。リメディアル層を有するMOSFETデバイスを、摂氏約−50から300度で試験し、高い安定性を明らかに実証した。この動作温度範囲は、他のデバイスよりもはるかに高く、NBTI効果を防止することを考えるとやはりはるかに高い。さらにその上、摂氏約300度より高い温度範囲をやはり実現可能であると、考えられる。
【0056】
本デバイス設計を使用するこのような高温動作は、半導体産業では特殊なものである。1つの従来の取り組みでは、半導体の熱膨張係数(CTE)との関連で近い材料を慎重に考慮することである。しかしながら、本設計の一実施形態は、金属−半導体設計において大きなCTEミスマッチを含むが、今のところデバイスは、摂氏300度で信頼性良く動作する。ソース金属としてAlを選択することはまた、優れたインターコネクト特性を可能にする。
【0057】
上記の記述は、説明的であることを目的とし、限定的ではないことを理解されたい。例えば、上に記載した実施形態(および/またはその態様)を、互いに組み合わせて使用することができる。これに加えて、本発明の範囲から逸脱することなくさまざまな実施形態の教示に特定の状況または材料を適応させるために、多くの変更を行うことができる。本明細書において記述した材料の寸法およびタイプは、さまざまな実施形態のパラメータを規定するものであり、これらは決して限定するものではなく、単に例示的である。多くの他の実施形態が、上記の記載を概観すると当業者には明らかになるであろう。さまざまな実施形態の範囲は、これゆえ、別記の特許請求の範囲をこのような特許請求の範囲が権利を与える等価物の全範囲とともに参照して、決定されるべきである。別記の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「そこでは(in which)」という用語を、「備える(comprising)」および「ここにおいて(wherein)」というそれぞれの用語の分かりやすい英語の等価物として使用する。その上、別記の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」および「第3の」等という用語を、単に符号として使用し、その対象物に数値的な必要条件を課すものではない。さらに、別記の特許請求の範囲の限定は、手段プラス機能(means−plus−function)形式では記載されず、このような特許請求の範囲の限定が、さらなる構造を欠いた機能の記述が続く「〜のための手段(means for)」という言いまわしを明確に使用しない限り、米国特許法第112条、第6段落に基づいて解釈されるものではない。上に記述したすべてのこのような目的または利点が、いずれかの特定の実施形態にしたがって実現され得ることが必ずしも必要でないことを、理解すべきである。したがって、例えば、本明細書において教示されるまたは示唆されることがあり得るような他の目的または利点を実現することを必ずしも必要とせずに、本明細書において説明したシステムおよび技術を、本明細書における教示として1つの利点または利点のグループを実現するまたは最適化する方式で具体化することができるまたは実行することができることを、当業者なら認識するであろう。
【0058】
本発明を限られた数の実施形態だけに関連して詳細に記述してきているが、本発明がそのような開示した実施形態に限定されないことが、容易に理解されるはずである。むしろ、本発明を、任意の数の変形形態、代替形態、置換形態またはこれまでに記載していない等価な配置を組み込むように変更することができるだけでなく、これらは本発明の精神および範囲にふさわしい。加えて、本発明のさまざまな実施形態を説明してきているが、本開示の態様が、記載した実施形態のうちの一部だけを含むことができることが、理解される。したがって、本発明は、前述の記載によって限定されるようには見なされずに、別記の特許請求の範囲の範囲によって限定されるだけである。
【0059】
この明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するために、ならびに任意のデバイスまたはシステムを作成することや使用すること、および任意の組み込んだ方法を実行することを含む本発明を当業者が実施することをやはり可能にするために例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者なら思い付く他の例を含むことができる。このような他の例が特許請求の範囲の文面から逸脱しない構造的要素を有する場合、またはこのような他の例が特許請求の範囲の文面とは実質的でない差異しか有さない等価な構造的要素を含む場合には、このような他の例は、特許請求の範囲の範囲内であるものとする。
【符号の説明】
【0060】
100 MOSFET
102 基板
104 主表面
106 ゲート電極
107 多結晶シリコン層
108 絶縁層
109 低抵抗層
110 第2の表面
112 ドレイン電極
114 ドリフト領域
116 ウェル領域
118 チャネル領域
120 誘電体層またはILD層
122 コンタクト領域
123 リメディアル層
124 ソース電極
125 ボディコンタクト領域
126 コンタクト層
200 MOSFET
202 基板
204 主表面
206 ゲート電極
207 多結晶シリコン層
208 絶縁層
209 低抵抗層
214 ドリフト領域
216 ウェル領域
218 チャネル領域
220 誘電体層
222 コンタクト領域
224 ソース電極
225 ボディコンタクト領域
226 コンタクト層
410 「post pos」増幅特性曲線
420 「post neg」増幅特性曲線
510 ストレス印加前のデバイス特性
520 ストレス印加後のレスポンス
610 初期特性曲線
620 ポスト特性曲線
710 SiC基板
720 絶縁層
730 ポリシリコン層
740 低抵抗層
745 ゲート電極
750 低温膜
760 誘電体層
770 ソース電極
810 SiC基板
820 二酸化ケイ素層
830 ポリシリコン層
840 シリサイド層
850 層間絶縁膜層
860 リメディアル層
870 ソース電極
880 ベース領域
910 SiC基板上にゲート電極を形成する
920 誘電体層をゲート電極上に堆積する
930 リメディアル層を誘電体層上に堆積する
940 ソース電極金属をリメディアル層の上方に形成する
950 負バイアス温度不安定性を防止する
IDS 出力電流
VGS 入力電圧
VD ドレイン電圧
VG ゲート電圧
VS ソース電圧
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9