(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、引用される全ての割合は、特に明記しない限り、重量%である。
【0041】
特に明記しない限り、
「1つ」又は「前記乳化可能な香料」(“an” or “the emulsifiable fragrance”)は、1種以上の乳化可能な香料を意味し;
「1つ」又は「前記モノマー(I)」(“a” or “the monomer (I)”)は、1種以上のモノマー(I)を意味し;
「1つ」又は「前記モノマー(II)」(“a” or “the monomer (II)”)は、1種以上のモノマー(II)を意味し;
「1つ」又は「前記香料として許容される溶媒」(“a” or “the perfumery acceptable solvent)は、1種以上の溶媒として許容される溶媒を意味し;
「1つ」又は「前記重合開始剤」(“a” or “the polymerization initiator”)は、1種以上の重合開始剤を意味し;
「1つ」又は「前記乳化剤」(“an” or “the emulsifier”)は、1種以上の乳化剤を意味し;
「1つ」又は「前記有益剤」(“an” or “the benefit agent”)は、1種以上の有益剤を意味する。
【0042】
特に明記しない限り、「コア材料」は、マイクロカプセルのカプセル化された内容物を意味する。一実施態様では、コア材料は、本明細書で定義される乳化可能なフレグランスと1種以上の更なる(及び場合により)カプセル化される成分を含み、好ましくはこれらからなる。一実施態様では、カプセル化される更なる任意成分は、本明細書に定義される香料として許容される溶媒及び/又は以下に定義する有益剤を含み、好ましくはこれらからなる。一実施態様では、本発明のマイクロカプセルのコアは、好ましくは本明細書に定義されるコア材料からなる。
【0043】
特に明記しない限り、「フレグランス成分」は、本明細書に定義される乳化可能なフレグランスを含み、好ましくはこれらからなる、予備乳化し、かつ予備重合した組成物を意味する。
【0044】
特に明記しない限り、「フレグランス(fragrance)」及び「香料(perfume)」という用語は置換可能に使用することができ、良い匂いを供給する嗅覚的に活性な物質を意味する。本発明で使用するのに適切な例示的なフレグランス混合物(香料の分野で一般に「原料」とも呼ばれる)は、Allured Publishing Corp.により発行された、S.Arctander, Perfume Flavors and Chemicals. Vols.I and II, Montclair, N.J and in Allured’s Flavor and Fragrance Materials 2007 ISBN 978-1-93263326-9に更に詳細に開示されている。「フレグランス」という用語には、香料として使用されることが知られている、天然並びに合成化学物質の両者が含まれる。
【0045】
以下、本発明のマイクロカプセルと同様な、外部シェルに囲まれ、封入されたコアを有するマイクロカプセルも、「コアシェルマイクロカプセル」又は「コアシェル粒子」と呼ぶことができる。この用語は、カプセル化されたフレグランス及び香料の分野の研究者に周知であり、例えば、被験者に経口投与又は直腸投与するために薬学の分野で使用される、従来のシームレスソフトカプセル又はツーピースハードカプセル等の他の種類のカプセルとは構造的に(及び寸法的に)非常に異なっている。本発明のマイクロカプセルは、例えば、水溶性ポリマー及び疎水性フレグランスの混合物を噴霧乾燥することにより得ることのできるマトリクス粒子とも異なっている。実際、前記粒子では、疎水性物質は粒子の外部表面を構成するポリマーと区別することができないが、どちらかと言えば、二者は粒子内で混合されマトリクスを形成する。
【0046】
特に明記しない限り、本発明のマイクロカプセルは、ヒト又は動物被験者に経口投与又は直腸投与することを意図していない。
【0047】
特に明記しない限り、全ての化学用語は、A D McNaught and A Wilkinson Blackwell Scientific Publications Oxford 1997、及びIUPAC Nomenclature of Organic Chemistryにより編集され、Blackwell Scientific Publications Oxford 1993 ISBN 0632034882により発行された、IUPAC Compendium of Chemical Terminology第二版により定義された意味を有する。
【0048】
本発明の「マイクロカプセル」は、7.5ミクロン(7.5μm)以上、好ましくは10μm以上、好ましくは15μm以上、好ましくは20μm以上、好ましくは25μm以上の平均粒径を有する。本発明の「マイクロカプセル」は、50ミクロン(50μm)以下、好ましくは45μm以下、好ましくは40μm以下の平均粒径を有する。本発明の「マイクロカプセル」は、7.5ミクロン(7.5μm)〜50ミクロン(50μm)、10μm〜50μm、7.5μm〜45μm、10μm〜45μm、15μm〜45μm、15μm〜40μm、20μm〜45μm、25μm〜45μm、25μm〜40μm、又は25μm〜35μmの平均粒径を有する。平均粒径はいくつかの異なる方法で測定することができるが、好ましい方法は、例えば、Malvern Mastersizer又は平均粒径が体積粒径中央値D(v:0.5)として得られる装置を使用する、光散乱によるものである。
【0049】
本出願人により得られた実験結果によれば、シェルが本明細書に定義されるモノマー(I)を含み、前記値よりも小さい平均粒径を有するマイクロカプセルは、同一の出発原料及び作業条件を使用して得られた本出願に開示された範囲内の平均粒径を有するマイクロカプセルと比較し、漏出性が悪化している(すなわち、漏出性が増加している)ことが明らかになった。本発明のマイクロカプセルの漏出性の低減は、該マイクロカプセルを、液体洗剤、パーソナルケア製品又は化粧品のような液状媒体に分散させた時に特に明らかである。
【0050】
先行技術に開示されているほとんどのマイクロカプセルは、この態様が効率的な重合に良好に対処し、良好な特性を有するカプセルをもたらすという技術的確信のために、平均粒径はかなり小さい。同時に、平均粒径は最終的なカプセルの漏出に著しく影響しないとも考えられている。本出願人により得られた実験結果によれば、重合工程での大きな問題は、漏出の観点から重要な利点をもたらす大きい平均粒径を得るように、大きいサイズのエマルション滴をカプセル化し、製造工程を実施する場合には直面しないことが示された。
【0051】
本出願人により得られた実験結果によれば、良好な美的外観を有するカプセルを得ることを望む場合、前記値より大きい平均粒径を有するマイクロカプセルで作業しないことが推奨されることも明らかになった。実際、黒い表面に沈着した場合に、マイクロカプセルは肉眼で見ることのできないことが好ましいと考えられている。50を超える平均粒径、例えば、60又は70ミクロン以上の粒径を有するマイクロカプセルが、好ましくない美的効果をもたらし得ることがわかっている。
【0052】
一態様では、本発明は、コア及び該コアを封入するポリマーシェルを含有するマイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセルが、フレグランス物質及びモノマー混合物のエマルションを重合することによって得られ、
前記フレグランス物質が乳化可能なフレグランスを含み、
前記シェルモノマー混合物が、
i)モノエチレン性不飽和モノマー、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DMDAAC)及びそれらの混合物からなる群から選択されるモノマー(I)と、
ii)ポリエチレン性不飽和モノマーであり、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、及び、多価の直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のアルコール又は直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のポリエチレングリコールに由来するメタクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上のモノマー(II)とを含み、
モノマー(I)が、前記混合物中に、モノマー(I)及び(II)の総重量の30重量%〜80重量%の量で存在し、モノマー(II)が、前記混合物中に、モノマー(I)及び(II)の総重量の20重量%〜70重量%の量で存在していてもよい、マクロカプセルに関する。
【0053】
一実施態様では、マイクロカプセルは、フレグランス物質、モノマー混合物及びカプセル化される任意の更なる成分からなるエマルションの重合によって得られる。一実施態様では、カプセル化される任意の更なる成分は、後述する香料として許容される1種以上の溶媒、及び/又は後述する1種以上の有益剤を含む。
【0054】
本発明の一実施態様では、ポリマーシェルはホルムアルデヒドを含まない。一実施態様では、ホルムアルデヒドを含まないとは、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドを放出する成分が、シェル内にシェルの重量の0重量%の量で存在することを意味する。
【0055】
一実施態様では、モノマー混合物は、本明細書に定義されるモノマー(I)及び本明細書に定義されるモノマー(II)からなる。
【0056】
一実施態様では、モノマー混合物は、本明細書に定義されるモノマー(I)以外の任意のポリエチレン性不飽和モノマーを含まない。
【0057】
一実施態様では、モノマー混合物は、本明細書に定義されるモノマー(II)以外の任意のポリエチレン性不飽和モノマーを含まない。
【0058】
特に明記しない限り、モノエチレン性不飽和モノマー(I)及びポリエチレン性不飽和モノマー(II)はそれぞれ、重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(I)及び重合可能なポリエチレン性不飽和モノマー(II)である。
【0059】
一実施態様では、モノマー(I)は、少なくともモノエチレン性不飽和モノマー又は本明細書に定義されるモノエチレン性不飽和モノマーの混合物を含み、好ましくはこれらからなる。
【0060】
他の実施態様では、モノマー(I)は、好ましくは少なくともジメチルジアリルアンモニウムクロリドを含み、更に好ましくはモノエチレン性不飽和モノマー又は本明細書に定義されるモノエチレン性不飽和モノマーの混合物と組み合わせて含む。
【0061】
一実施態様では、モノマー(I)は、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、3−トリメチルアンモニウムプロピルメタクリルアミドクロリド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリルアミド、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸テトラヒドロフリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、2−エチル(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)メタクリレート、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド及びそれらの混合物からなる群から独立して選択される。
【0062】
本発明のマイクロカプセルを保管することができる家庭用洗剤、パーソナルケア製品及び化粧品は、ある範囲のpH範囲、すなわち、石灰のかすを除去するためのトイレ用洗浄剤、ある種の硬表面の洗浄剤、及び柔軟剤である完全に酸性のpH値から、重質洗濯洗剤である完全にアルカリ性のpHを有する傾向にある。したがって、本発明の特定の一態様では、モノマー(I)は、酸性pH又はアルカリ性pHへの長期曝露、及び高温の保存温度に対する加水分解に影響を受け難いことがわかっているものから選択されることが必要である。したがって、一実施態様では、モノエチレン性不飽和モノマー(I)は、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソボルニル及びそれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、メタクリル酸と、メタクリル酸メチル又はメタクリル酸エチルとの組み合わせを含み、好ましくはこれらからなる。
【0063】
一実施態様では、モノマー(II)はポリエチレン性不飽和モノマーであり、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、及び、多価の直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のアルコール又は直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のポリエチレングリコールに由来するメタクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上のモノマーを含んでいてもよい。
【0064】
一実施態様では、モノマー(II)は、少なくとも多価の直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のアルコール又は直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のポリエチレングリコールに由来するメタクリル酸エステルを含み、好ましくはこれらからなる。
【0065】
一実施態様では、C
2〜C
24のアルコールは、好ましくはC
2〜C
12のアルコールであり、C
2〜C
24のポリエチレングリコールは、好ましくはC
2〜C
12のポリエチレングリコールである。
【0066】
一実施態様では、多価の直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のアルコール又は直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のポリエチレングリコールに由来するメタクリル酸エステルは、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートからなる群から選択される。
【0067】
したがって、一実施態様では、モノマー(II)は、少なくとも、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、グリセロールトリメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジビニルベンゼン及びトリビニルベンゼンからなる群から選択された1種以上のモノマーを含み、好ましくはこれらからなる。
【0068】
好ましくは、モノマー(II)は、少なくとも1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、グリセロールトリメタクリレート、1,2−プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−プロピレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン及びトリビニルベンゼンの1種以上を含み、好ましくはこれらからなる。
【0069】
更に好ましくは、モノマー(II)は、少なくとも1,4−ブチレングリコールジメタクリレート及び/又は1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、好ましくは1,−4−ブチレングリコールジメタクリレートを含み、好ましくはこれらからなる。
【0070】
他の実施態様では、モノマー(II)は、上述した多価の直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のアルコール又は直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のポリエチレングリコールに由来するメタクリル酸エステル、好ましくは少なくとも1,4−ブチレングリコールジメタクリレート及び/又は1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、更に好ましくは少なくとも1,4−ブチレングリコールジメタクリレートを、混合物中に存在する全てのモノマー(II)の総重量の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、更に好ましくは少なくとも30重量%、更に好ましくは少なくとも40重量%、更に好ましくは少なくとも50重量%、更に好ましくは少なくとも60重量%、更に好ましくは少なくとも70重量%、更に好ましくは少なくとも80重量%、更に好ましくは少なくとも90重量%、更に好ましくは100重量%の量で含有する。
【0071】
一実施態様では、上述した多価の直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のアルコールに由来するメタクリル酸エステルは、エチレングルコールジメタクリレートを含まない。好ましくは、前記混合物はエチレングリコールジメタクリレートを含まない。
【0072】
一実施態様では、モノマー(II)、好ましくは前記混合物は、
無水カルボキシル基を含むポリエチレン性不飽和モノマー(例えば、3〜20個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和モノカルボン酸の対称又は非対称分子間無水物を含むモノマー)、及び/又は
アルキレンビス(メタ)アクリルアミド基を含むポリエチレン性不飽和モノマー(例えば、Ν,Ν’−非置換C
1〜18アルキレンビス(メタ)アクリルアミド又は直鎖若しくは環状Ν,Ν’−置換C
1〜18アルキレンビス(メタ)アクリルアミド(ここで、置換基はC
1〜8アルキル、C
1〜18ヒドロキシアルキル又は2〜500アルキレン単位のポリオキシ(C
1〜4)アルキレンであるか、それらが結合する窒素原子と一緒になり5〜8員環を形成するアルキル置換基から選択される))
を含まない。
【0073】
一実施態様では、モノマー(II)、好ましくは前記混合物は、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートを含まない。
【0074】
一実施態様では、モノマー(II)は、前記混合物中に存在する全てのモノマー(II)の総重量の50重量%未満、好ましくは40重量%未満、好ましくは30重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは10重量%未満、更に好ましくは5重量%未満、更に好ましくは1重量%未満の量で、多価の直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のアルコール又は直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のポリエチレングリコールに由来するアクリル酸エステルを含む。好ましくは、モノマー(II)、更に好ましくは混合物は、多価の直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のアルコール又は直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のポリエチレングリコールに由来するアクリル酸エステルを含まない。
【0075】
マイクロカプセルコアの必須成分は、コア中に存在する乳化可能なフレグランスである。
【0076】
一実施態様では、コアは、好ましくは本明細書に定義されるコア材料からなる。
【0077】
一実施態様では、乳化可能なフレグランスは、少なくとも2種、好ましくは少なくとも4種、更に好ましくは少なくとも8種の異なる乳化可能なフレグランスの組み合わせを含む。
【0078】
一実施態様では、「乳化可能なフレグランス」という用語は、水中油型エマルション中で部分乳化又は完全乳化するのに適した疎水性(例えば、本出願において定義される、ClogPに関して測定)を付与するフレグランスを意味する。通常、物質が非イオン性で、0より大きい(上限は含まれない)、更に好ましくは2以上のClogPを有する場合に、本発明によって乳化することができる。最適な揮発性(マイクロカプセル破裂によるフレグランスの嗅覚効果に寄与する)を付与するため、乳化可能な物質は、例えば7以下、例えば6以下、例えば5以下、例えば4.5以下のClogPを有することが好ましい。例えば、好ましい乳化可能なフレグランスは、2〜5、例えば2〜4.5の範囲のClogPを有する。それぞれが異なるClogPを有する、2種以上の異なるフレグランスの混合物を乳化することもできる。本実施態様では、混合物中の全てのフレグランスが、前記範囲内のClogPを示す。また、混合物中の全てでないが、一部のフレグランスは、最終のフレグランスの組み合わせが前記範囲内のClogPを示すという条件で、前記範囲外のClogPを示してもよい。
【0079】
一実施態様では、「乳化可能なフレグランスを含むフレグランス物質」という用語は、好ましくは、それぞれが0.5より大きいClogP(オクタノール/水)を有する1種以上の非イオン性フレグランスを含むフレグランス物質を60重量%以上含むものを意味する。他の実施態様では、「乳化可能なフレグランスを含むフレグランス物質」という用語は、好ましくは、それぞれが1より大きい、好ましくは1.5より大きい、更に好ましくは2.0より大きいClogP(オクタノール/水)を有する1種以上の非イオン性フレグランスを含むフレグランス物質を80重量%以上、好ましくは90重量%以上含むものを意味する。
【0080】
一実施態様では、「乳化可能なフレグランスを含むコア材料」又は「乳化可能なフレグランスを含むフレグランス物質」という用語は、コア材料及びフレグランス物質が、6より大きいClogPを有する非イオン性フレグランスを含まないことを意味する。
【0081】
非イオン性有機分子の水溶性は、理論的に導かれるパラメータClogPと関連している可能性がある。ClogPは、フレグランス成分のオクタノール/水分配係数(P)と関連している。フレグランスのオクタノール/水分配係数は、オクタノール中の平衡濃度と水中の平衡濃度との割合である。フレグランスの分配係数は、より簡便には、10を底とする対数、logPの形態で示される。多くのフレグランスのlogP値は、例えば、Daylight Chemical Information Systems, Inc. (Daylight CIS), Irvine, Calif.から入手できるPomona92データベースに報告されており、これには、元の文献の引用と共に多くのlogP値が記載されている。「計算したlogP(ClogP)は、Hansch及びLeoのフラグメント法(A.Leo,in Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch, P.G. Sammens, J.B. Taylor and C.A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990を参照されたい。この文献は引用により本明細書に組み込まれる)により決定される。このフラグメント法はそれぞれのフレグランスの化学構造に基づいており、原子の数及び種類、原子の連結性、並びに化学結合を考慮したものである。最も信頼性が高くかつ広く用いられているClogP値はこの物理化学的特性を評価するものであり、本発明で有用なフレグランスの選択における実験的logP値の代わりに好ましく用いられる。値にいくらかの変動を示し得る、logP値を計算又は推定する他の法はいくつかある。アルゴリズムが測定された値に近い結果を与えるように修正され、ソフトウェアの指定されたセット内であっても計算は時間と共に変化する場合がある。あらゆる不確実さを排除するため、本明細書で報告されるClogP値は、CambridgeSoft Corporation,100 CambridgePark Drive, Cambridge, MA 02140 USA又はCambridgeSoft Corporation, 8 Signet Court, Swanns Road, Cambridge CB5 8LA UKから入手できるChemoffice Ultra Softwareバージョン9内で使用できる「CLOGP」プログラムにより計算するのが最も好都合である。ClogP値は、本発明で有用なフレグランスの選択において、計算的logP値の代わりに好ましく使用される。天然油又は抽出物については、該天然油組成物の組成は、分析により、またはBACIS(Boelens Aroma Chemical Information Service, Groen van Prinsterlaan 21,1272 GB Huizen, The Netherlands)により公開されたESO2000データベースに開示されている組成を用いて決定することができる。
【0082】
一実施態様では、乳化可能なフレグランスには、分子量が、それぞれ100より大きく、好ましくは125より大きく、325未満であり、好ましくは300未満であり、更に好ましくは275未満であるフレグランスが含まれる。この範囲の分子量を有するフレグランスは、バランスのとれた揮発度/疎水性を示し、マイクロカプセルがフレグランスを放出する時に嗅覚が顕著になるだけでなく、カプセル化の際にフレグランスを十分に水溶性にする。
【0083】
乳化可能なフレグランスが1種以上の異なる乳化可能なフレグランス(例えば、少なくとも2種以上)を含む実施態様では、乳化可能なフレグランスの組み合わせは、−20℃〜120℃の温度で固−液相変化を示さない。
【0084】
特に明記しない限り、上述した種々の定義の組み合わせから得られる乳化可能なフレグランスは本発明を実施するのに適している。
【0085】
一実施態様では、乳化可能なフレグランスは、コア重量の少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも80重量%含まれる。
【0086】
一実施態様では、フレグランス物質は、フレグランス物質自体とカプセル化される他の任意成分の総重量の少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも80重量%含まれ、ここで、上記他の成分は上述した通りである。
【0087】
一実施態様では、乳化可能なフレグランスは嵩高いフレグランス分子を含む。一実施態様では、フレグランス分子の重量の20重量%超、好ましくは40重量%超、更に好ましくは60重量%超、更に好ましくは80重量%超の1種以上の嵩高いフレグランス分子が含まれる。
【0088】
一実施態様では、嵩高いフレグランス分子は、2008年3月5日に公開され、「嵩高いフレグランス分子のカプセル化」という表題のついた、欧州特許第1894603号A1に開示されているものである。
【0089】
一実施態様では、嵩高いフレグランス分子は上述したような乳化可能なフレグランスである。好ましい一実施態様では、嵩高いフレグランス分子は、フレグランスのClogPに関して、少なくとも上述した乳化可能なフレグランスである。一実施態様では、嵩高いフレグランス分子は325未満の分子量を有する。
【0090】
一実施態様では、「嵩高いフレグランス分子」は下記からなる群から選択される:
一般名 CAS登録番号
酢酸アンボリル(amboryl acetate) 059056−62−1
ambrox DL 003738−00−9
acetoketal 005406−58−6
ambrinol(商標) 041199−19−3
酢酸オイゲノール 93−28−7
アセチルバニリン 881−68−5
アンバーコア(amber core、商標) 139504−68−0
アンブレトン(ambretone、商標) 37609−25−9
アンブレットリド(ambrettolide、商標) 28645−51−4
酢酸アニシル 104−21−2
バクダノール(bacdanol、商標) 28219−61−6
ベンジルジメチルカルビニルアセテート 151−05−3
ベータ−ホモシクロシトラール 472−66−2
ボロナール 3155−71−3
brahmanol(商標) 72089−08−8
ベンゾフェノン 000119−61−9
サリチル酸ベンジル 000118−58−1
ベンジルオイゲノール 057371−42−3
経皮酸ベンジル 000103−41−3
ボルネオ−ル,L 000464−45−9
酢酸ボルニル 000076−49−3
ボージュナール 18127−01−0
カロン(商標) 28940−11−6
セタロックス(商標) 003738−00−9
セレストリド(商標) 013171−00−1
カンフェン 000079−92−5
カンファーガム粉末合成品 000076−22−2
サリチル酸シクロヘキシル 025485−88−5
シクラプロップ(商標) 017511−60−3
cyclabute(商標) 067634−20−2
cyclacet(商標) 005413−60−5
クマリン 000091−64−5
経皮酸シンナミル 000122−69−0
カリオフィレン,ベータ 000087−44−5
カリオフィレン 000087−44−5
酢酸カリオフィレン 057082−24−3
セドランバー 019870−74−7
アルファセドレン 469−61−4
酢酸セドレニル 1405−92−1
酢酸セドリル 000077−54−3
セドリルメタエーテル 019870−74−7
ギ酸セドリル 039900−38−4
シネオール1,8 000470−82−6
シネオール1,4 000470−67−7
カシュメラン(商標) 033704−61−9
セダノール(cedanol) 007070−15−7
アルファコパエン 3856−25−5
シクロヘキシルアンスラニレート 7779−16−0
2−シクロヘキシリデン−2−フェニルアセトニトリル 10461−98−0
シンナミルフェニルアセテート 7492−65−1
セドロキシド(商標) 71735−79−0
セレリーケトン 3720−16−9
シベトン 542−46−1
クラリセット 131766−73−9
コニフェラン(coniferan) 67874−72−0
デルタ−ダマスコン 57378−68−4
ダマスコール4 4927−36−0
デルタ−ムスセノン 82356−51−2
ジヒドロフロラロール 68480−15−9
ジヒドロジャスモン 1128−08−1
ダイナスコン 56973−85−4
アルファ−ダマスコン 24720−09−0
ガンマ−ダマスコン 35087−49−1
デカヒドロベータナフチルアセテート,トランス 010519−11−6
ドレモックス(商標) 094201−73−7
ジフェニルオキシド 000101−84−8
ジベンジルケトン 000102−04−5
ダルシニル(商標) 055418−52−5
エバノール(商標) 67801−20−1
エキサルトライド(商標) 106−02−5
エキサルトン(商標) 502−72−7
フローラサントール(florasantol、商標) 067739−11−1
フェンチルアルコール 001632−73−1
フロレックス 069486−14−2
フルイテート(商標) 080657−64−3
フェンコール 22627−95−8
酢酸フェンチル 13851−11−1
フローラマット(floramat、商標) 67801−64−3
フライストン(fraistone、商標) 6290−17−1
ガラクソリド(商標) 001222−05−5
グリサルバ 068611−23−4
グロバリド(商標) 34902−57−3
グリーンアセテート 88−41−5
heliobouquet(商標) 001205−17−0
スピロデカン(商標) 6413−26−9
ヘジオン(商標) 24851−98−7
イソシクロゲラニオール 68527−77−5
イソシクロシトラール 1335−66−6
イソボルネオール 000124−76−5
酢酸イソボルニル 000125−12−2
ギ酸イソボルニル 1200−67−5
イソボルニルメチルエーテル 5331−32−8
イソEスーパー(商標) 054464−57−2
プロピオン酸イソボルニル 002756−56−1
イソプロキセン 090530−04−4
イソロンギフォラノン 014727−47−0
イソブチルキノリン 065442−31−1
インドレン 068908−82−7
ガンマ−イオノン 79−76−5
アルファ−イオノン 127−41−3
ジヒドロイソジャスモネート 37172−53−5
ジャスメリア(商標) 58285−49−3
カラナル(karanal、商標) 117933−89−8
ケファリス(商標) 36306−87−3
レボサンドール(商標) 28219−61−6
リリアール(商標) 80−54−6
lyrame(商標) 067634−12−2
アルファイソメチルイオノン 1335−46−9
メチルナフチルケトン結晶 000093−08−3
メチルライトン 94201−19−1
メチルジオキソラン 06413−10−1
メチルジャスモネート 1211−29−6
ムスコン 541−91−3
ジャコウアンブレット 83−66−9
エチレンブラシラート 105−95−3
ムスクチベテネ(musk thibetene) 145−39−1
ネロリン 93−18−5
ナフトールイソブチルエーテル,ベータ 002173−57−1
ノートカトン98% 004674−50−4
ネオプロキセン 122795−41−9
(12R,9Z)−ニルバノリド(商標) 22103−61−8
ノポール 128−50−7
酢酸ノピル 35836−72−7
オコウマル(商標) 131812−67−4
オリニフ(商標) 125352−06−9
オリボン(商標) 16587−71−6
パリサンジン 2986−54−1
ピネン,アルファ 000080−56−8
ピネン,ベータ 000127−91−3
フェニルエチルフェニルアセテート 000102−20−5
ファントリド(商標) 015323−35−0
プリカトン(商標) 041724−19−0
パトコーン(patchone) 98−52−2
パチュリケトン(patchouly ketone) 98−53−3
酢酸ピペロニル 326−61−4
ポリサントール(商標) 107898−54−4
プレシクレモンB 52474−60−9
ロマスコン(商標) 81752−87−6
ルボフィックス(商標) 041816−03−9
サンダルマイソールコア(商標) 28219−60−5
サンダロール(商標) 65113−99−7
サンタレックスT(商標) 068877−29−2
センテナール(商標) 086803−90−9
スピランブレン(商標) 12151−67−0及び
12151−68−1
トナリド(商標) 021145−77−7
トラセオリド(商標) 068140−48−7
チモキサン(thymoxane) 707−29−9
チンベロール(商標) 70788−30−6
トリモフィックスO(商標) 28371−99−5
バニリンプロピレングリコールアセタール 068527−74−2
ヴィゴフロー(商標) 068480−11−5
ベルドール(商標) 13491−79−7
ベルートン 65443−14−3
ベラトルムアルデヒド 120−14−9
ベラトリク酸(veratricacid) 93−07−2
ヴェルテネックス(商標) 32210−23−4
バイオリッフ(商標) 87731−18−8
ヤラヤラ 000093−04−9
【0091】
一実施態様では、カプセル化される任意成分としては、1種以上の香料として許容される溶媒が挙げられる。通常、溶媒は、フレグランス物質の重量の30重量%未満、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、更に好ましくは5重量%未満の量で存在する。
【0092】
溶媒は、フレグランス産業において、嗅覚的に強力な成分を希釈し、固体成分を溶解し、液体として取り扱うことによって固体成分の取り扱いを容易にするために、また単に単位重量あたりの全体のフレグランスの費用を低減するために慣習的に使用される。可能であれば、カプセル化を意図したフレグランス組成物を希釈しないようにすることが好ましい。有益剤又は他のフレグランス物質成分(例えば、室温で固体である香料)を溶解するために使用できるように、室温(例えば、20℃)で液体である、本明細書に定義される特定のフレグランスは、溶媒特性も付与される。その溶媒特性により使用することもできる香料は、上述したよりも多い量で、フレグランス物質中に存在していてもよい。
【0093】
一実施態様では、1種以上の香料として許容される溶媒は、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジアルキル、クエン酸エステル(例えば、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル及びクエン酸トリエチル)、フタル酸ジエチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、及びブチレングリコールからなる群から各々独立して選択される。
【0094】
一実施態様では、1種以上の香料として許容される溶媒としては、水と混合しない溶媒が挙げられる。ここで、水と混合しないとは、好ましくは水中での溶解度が10g/L未満であることを意味する。
【0095】
一実施態様では、カプセル化される任意成分としては、1種以上の有益剤が挙げられる。したがって、一実施態様では、コア材料には更に1種以上の有益剤が含まれる。本明細書に定義される特定の有益剤は、本明細書に定義されるフレグランスでもあり、逆もまた同様である。
【0096】
一実施態様では、有益剤は、任意の乳化可能な材料として定義され、家庭用製品、パーソナルケア製品又は化粧品として使用される場合に利益を供給するために保存中に存在し続けることができる。
【0097】
有益剤としては、例えば、弛緩薬又は刺激剤としての治療効果を有する天然抽出物又は天然物質が挙げられ、ホホバ油又はアーモンド油のような皮膚に有益な天然油又は植物抽出物は有益剤である。提案されている多くのメカニズムのいずれかによって悪臭及びその知覚を抑制又は低減する物質は、リノール酸亜鉛(CAS登録番号13040−19−2)等の有益剤である。例えば、液状製品中でカプセルを安定化するのに役立ち得るクエン酸トリエチル、オクタアセチルスクロース又はスクロースヘキサブチレートジアセテートのような有機密度修正剤等の物質は、カプセル化の前にエマルションに添加した時に、コアエマルションの特性、又はカプセル自体の特性を改善する。有益剤としては、ヒドロキシ脂肪酸、又はArisona Chemicalsから入手できるさまざまな範囲のSylvaclear(商標)のような、コアに対してゲル化剤として機能し得る物質が挙げられる。M Ermanによる、Cosmetics and Toiletries Vol.120 No 5 p105に開示されたような、加温効果又は冷却効果を付与する物質も有益剤である。このような有益剤の例としては、特に限定されないが、WS3TMとして知られているシクロヘキサンカルボキシアミドN−エチル−5−メチル−2−(1−メチルエチル)(CAS登録番号39711−79−0);WS23TMとして知られているN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド(butamide)(CAS登録番号51115−67−4);乳酸メンチル(CAS登録番号59259−38−0);及びクールアクト10TMとして知られている(−)−メントキシプロパン1,2−ジオールが挙げられる。皮膚美白剤等の物質も、本発明による有益剤である。MerckのIR3535TMとして知られているエチルブチルアセチルアミノプロピオネート(CAS登録番号52304−36−6);N,N−ジエチルトルアミド(CAS登録番号134−62−3);1−ピペリジンカルボン酸;Bayrepel(商標)として知られている2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピルエステル(CAS登録番号119515−38−7);又はp−メンタン−3,8−ジオール(CAS登録番号42822−86−6)、ティーツリー油、ニーム油、シトロネラ油若しくはユーカリ油のような天然植物油に例示される防虫剤として機能する物質は有益剤である。トリクロサン(商標)(CAS登録番号3380−34−5)、メチル、エチル、プロピル及びブチルパラヒドロキシ安息香酸エステル(CAS登録番号4247−02−3、94−26−8、94−13−3、120−47−8、99−76−3)などの抗菌剤として機能する物質は有益剤である。メトキシケイ皮酸オクチル、ベンゾフェノン3、ブチルメトキシジベンゾイルメタン又はビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンのようなUV吸収剤として機能する物質は有益剤である。上述した物質は有益剤を例示することを意図しているが、有益剤をこのリストに限定することを意図するものではない。上記物質の混合物も、本発明の有益剤として考えられる。したがって、パーソナルケア製品の可動部(leave)内の防虫剤にUV吸収剤を組み合わせること、また、より広い抗菌保護のために殺菌剤に抗真菌剤を組み合わせることは有利である場合がある。更に、ある種の物質は1種以上の利益を示すことが認められる場合がある。したがって、クエン酸トリエチルは、溶媒として、また密度修正剤として機能し得る。
【0098】
一実施態様では、1種以上の有益剤は、それぞれが、ClogPが0より大きい(0を含まない)、好ましくは0.5より大きい、更に好ましくは2より大きい非イオン性物質である。
【0099】
一実施態様では、1種以上の有益剤は、それぞれ、
ホホバ油又はアーモンド油等の弛緩薬又は刺激剤、
リシノール酸亜鉛等の悪臭及びその知覚を抑制又は低減する物質、
クエン酸トリエチル、スクロースオクタアセテート、又はスクロースヘキサブチレートジアセテート等のマイクロカプセルの物理化学的性質を改善する物質、
ヒドロキシ脂肪酸又はArisona Chemicalsから入手できるさまざまな範囲のSylvaclear(商標)等のゲル化剤、
シクロヘキサンカルボキシアミドN−エチル−5−メチル−2−(1−メチルエチル);N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド;乳酸メンチル;(−)−メントキシプロパン1,2−ジオール等の、加温効果又は冷却効果を付与する物質、
エチルブチルアセチルアミノプロピオネート;N,N−ジエチルトルアミド;1−ピペリジンカルボン酸;2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピルエステル;p−メンタン−3,8−ジオール、ティーツリー油、ニーム油、シトロネラ油、及びユーカリ油等の防虫剤、
CAS登録番号3380−34−5を有するトリクロサン(商標)化合物、又は、メチル、エチル、プロピル及びブチル−パラヒドロキシ安息香酸エステル等の抗菌剤、
メトキシケイ皮酸オクチル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等のUV吸収剤
からなる群から独立して選択される。
【0100】
シェルの厚みは、カプセルの浸透性及び性能において重要な役割を果たし得る。このパラメータは、破壊によってフレグランスを放出する砕けやすいカプセルにとって特に重要である。シェルが厚すぎると、使用の際にカプセルが破壊しないが、シェルが薄すぎると、カプセルは、製品の生産における製造及び輸送の際に残存しないであろう。一実施態様では、本発明は、コア−シェルの重量比は、好ましくは50:1〜1:1であり、より好ましくは30:1〜1:1であり、更に好ましくは20:1〜1:1であり、更により好ましくは10:1〜1:1であるマイクロカプセルに関する。
【0101】
一実施態様では、本発明は、マイクロカプセルが実質的に球形であるマイクロカプセルに関する。
【0102】
本発明のマイクロカプセルは、マイクロカプセルを製造するために当業者に公知の様々な従来法、例えば、コアセルベーション、界面重合、フリーラジカル重合又は重縮合を用いて製造することができる。これらの方法は周知であり、例えば、米国特許第3516941号、米国特許第4520142号、米国特許第4528226号、米国特許第4681806号、米国特許第4145184号、英国特許出願公開第2073132号A;国際公開第99/17871号;並びにBenita及びSimon編集、MICROENCAPSULATION Methods and Industrial Applications(Marcel Dekker,Inc.1996)を参照されたい。
【0103】
一実施態様では、本発明のマイクロカプセルは、重合工程を通して都合良く製造することができる。一実施態様では、重合は、従来のラジカル重合、リビングラジカル重合又は短鎖重合である。上記ラジカル重合プロセスは当業者に公知であり、Moad,Graeme;Solomon,David H.;The Chemistry of Radical Polymerization, 第2版;Elsevier,2006に更に詳細に開示されており、この文献は引用により本明細書に組み込まれる。
【0104】
従来のラジカル重合と比較し、リビングラジカル重合との主な相違点は、可逆的ラジカル終結処理(a reversible radical termination process)を導入することである。ドーマント鎖(可逆的に終了)及びアクティブ鎖(ラジカルを含む)の平衡に依拠することにより、伝搬するラジカルの瞬間濃度は低くなり、不可逆的終結及び分解鎖の移動は顕著に減少する。ある程度の終結は不可避であるが、重合終了時に主としてドーマント鎖が存在することにより、分子量、組成及び鎖トポロジーが制御されたポリマーの製造が可能になる。リビングラジカル重合の例としては、原子移動ラジカル重合、ニトロキシドを介したラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動、及び、キサント酸塩の交換による高分子設計のような変性トランスファーを含む、他の関連する方法が挙げられるが、これらに限定されない。上記リビングラジカル重合を得るための具体的なカゴ物及び相対量は、重合の分野における当業者に周知である。更なる説明は、文献、例えば、Braunecker,W ade A.;Matyjaszewski, Krzysztof;”Controlled/Living Radical Polymerization: Features, Developments, and Perspectives”;Progress in Polymer Science 2007、Volume 32、第1版、93-146ページに見出すことができる。
【0105】
短鎖重合は、連鎖移動が、生成されるポリマーのサイズを制限し、その結果テロマーと呼ばれるオリゴマーを生成する、ラジカル重合反応である。短鎖重合は、重合されるモノマーの重量に基づいて通常0.05〜0.5%で使用される、テロゲンと呼ばれる活性連鎖移動剤又は調節剤を必要とする。テロゲンの例としては、2−エチルヘキシルチオグリコレート、tert−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、及び2−メルカプトエタノールのようなメルカプト化合物が挙げられるが、これらに限定されない。短鎖重合は、文献、例えば、Boutevin, Bernard;”From Telomerization to Living Radical Polymerization”;Journal of Polymer Science Part A:Polymer Chemistry 2000、Volume 38、第18版、3235-3243ページに更に説明されており、これらの文献は引用として本明細書に組み込まれる。
【0106】
本発明の製造過程によれば、油溶性成分を均質な溶液に混合及び溶解し、別に水溶性成分を均質な溶液に混合及び溶解することにより、水中油型エマルションを製造することができる。エマルションは、的確な粒径の安定エマルションを生成するのに十分な時間、高せん断ミキサーを用いて混合することにより、最終的に得ることができる。同時に、エマルションを窒素又は他の不活性ガスでパージしてもよい。空気をいったん排除すると、温度が上昇して重合が開始する。的確な温度及び温度の上昇割合は、使用される開始剤又は複数の開始剤の組み合わせにより決定される。通常は、重合温度は40℃〜90℃である。重合速度は、実験における特定のモノマー及び開始剤についての温度及び重合開始剤の使用量の適切な選択により、公知の方法により調節することができる。いったん重合温度に到達すると、更に、例えば2〜6時間、重合が継続し、モノマーの反応が完了する。
【0107】
この基本的なカプセル化法には多くの多様性がある。例えば、乳化は、当業者に周知の全ての様々な方法を用いて実施することができる。例えば、界面活性剤の添加に低せん断混合を組み合わせることにより、所望の粒径を形成するために使用される初期高せん断混合に代え、エマルションの分散を維持するための保護コロイドと一緒に低せん断撹拌を行い、エマルションを生成することができる。重合の際に、残存モノマー濃度を低減するために、追加の開始剤を加えてもよい。添加量を調節するために、反応の過程において、モノマーを加えてもよい。例えば、pHを緩衝化するために塩を加えてもよい。
【0108】
一実施態様では、重合は、ラジカル開始剤、レドックス開始剤、光開始剤、又はそれらの混合物の分解(例えば、熱分解)を誘導することにより開始する。重合は、開始剤の適切な選択及び条件に依存し、エマルションの油相又は水相のいずれかで開始することができる。適切な開始剤及び条件を選択することにより、二相で別個に重合を開始することも可能である。
【0109】
一実施態様では、工程b)は、
水中油型エマルションを熱及び/又はUV光にさらし、及び/又は
水中油型エマルション内でレドックス反応を開始する
ことを含む。
【0110】
一実施態様では、乳化剤は、
1種以上の界面活性剤、及び/又は
1種以上の保護コロイド
からなる群から選択される。
【0111】
保護コロイド及び/又は界面活性剤は、重合が起こる際の機械的撹拌によって形成される水中油型エマルションを安定化するために、乳化重合及び懸濁重合において慣習的に用いられる。
【0112】
一実施態様では、エマルションは、カプセル化される任意成分を更に含んでいてもよい。一実施態様では、このような任意成分としては、本明細書で上記に定義した1種以上の水と混合しない香料として許容される溶媒及び/又は本明細書に定義した1種以上の有益剤を含み、好ましくはこれらからなる。
【0113】
一実施態様では、乳化剤は界面活性剤である。界面活性剤は両親媒性分子であり、すなわち、界面活性剤は疎水性部分及び親水性部分からなる。疎水性部分は、一般的に直鎖であっても分枝鎖であってもよく、芳香環を含んでもよい、炭素数8〜20の炭化水素アルキル鎖である。分子の親水性部分は、非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性イオン性基であってもよい。通常に使用される非イオン性親水性基としては、異なる鎖長、通常は3〜50個のエチレン単位長のポリエトキシ化基及びポリプロポキシ化基、若しくは二者の混合物、又はアルキルエステル又はアルキルエーテルのいずれかとしてのグリセリド若しくは単糖類が挙げられる。非イオン性乳化剤の例としては、Shellから入手可能なNeodol(登録商標)ポリエトキシ化アルコール、BASFから入手可能なCremophor(登録商標)ポリエトキシレート、Cognisから入手可能なさまざまな範囲のPlantacare(登録商標)アルキルポリグリコシド、又は三菱化学株式会社から入手可能な糖エステルが挙げられる。アニオン性親水性部分は、一般に硫酸塩、スルホン酸塩、スルホコハク酸塩、リン酸塩又はカルボン酸基のアンモニウム塩又はアルカリ金属塩からなる。このような界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸塩又はカルボン酸ナトリウムが挙げられる。カチオン性界面活性剤は、通常はハロゲン化物の4級アンモニウム塩、又は、メトスルホネートアニオン、例えば、Hoescht saltsからPrapagen(登録商標)の名称で市販されているモノアルキルトリメチルアンモニウムクロリドである。適切な粒径のエマルションを得るための適切な界面活性剤又は界面活性剤の混合物の選択は当業者に周知であり、T F Tadrosらによる「Emulsion Science and Technology」Wiley-VCH 2009 ISBN 3527325255に開示されている。本発明の方法に適切な界面活性剤の詳細な総説は、特許文献6(背景技術の項で既に引用)の第9頁6行〜第14頁10行にも見出すことができる。具体的には、アルコールアルコキシレート又は式(V)のアルコールフェノールアルコキシレート、及び、特許文献6の第12頁19行〜第13頁13行に開示された、それらの具体例に言及されている。
【0114】
一実施態様では、乳化剤は保護コロイドである。
【0115】
一実施態様では、保護コロイドは、500〜1,000,000g/モル、好ましくは1,000〜500,000g/モルの平均分子量を有する。
【0116】
一実施態様では、保護コロイドは、
ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びメチルセルロース等のセルロース誘導体、
ポリビニルピロリドン、
N−ビニルピロリドンのコポリマー、
ポリ酢酸ビニルの完全又は部分加水分解により得られるポリビニルアルコール、
ポリアクリル酸及び/又はポリメタクリル酸、
アクリル酸及びメタクリル酸のコポリマー、
スルホン酸基含有水溶性ポリマー(例えば、2−アクリルアミド−2−アルキルスルホン酸及びスチレンスルホン酸)等のイオン性コロイド、及び
それらの混合物
からなる群から独立して選択される。
【0117】
一実施態様では、1種以上の保護コロイドは、ポリ酢酸ビニルの完全又は部分加水分解により得られるポリビニルアルコールを含む。
【0118】
一実施態様では、1種以上の保護コロイドは、水中油型エマルションの水相の重量の0.1重量%〜10重量%の量で存在する。
【0119】
一実施態様では、保護コロイドのそれぞれは水溶性保護コロイドである。好ましくは、コロイドが水中で少なくとも5g/Lの水溶性を有することを意味する。
【0120】
重合は、通常はラジカルを形成する重合開始剤の存在下で起こる。ラジカルは、ペルオキシ化合物及びアゾ化合物等の化合物の熱分解により、又は、UV照射若しくはレドックス反応を用いる光分解により生成し得ることが知られている。本発明を実施するのに適切な開始剤は、エマルションの油相及び/又は水相に溶解することができる。
【0121】
一実施態様では、1種以上の重合開始剤は、
1種以上の熱重合開始剤、及び/又は
1種以上の光重合開始剤、及び/又は
1種以上のレドックス開始剤であって、各レドックス開始剤がラジカルを生成する還元剤/酸化剤の組み合わせ
を含む、レドックス開始剤である。
【0122】
一実施態様では、1種以上の重合開始剤は、1種以上の熱重合開始剤を、混合物中にモノマー(I)及び(II)の総重量の0.1重量%〜5重量%の量で含む。
【0123】
一実施態様では、熱重合開始剤は、過酸化ジラウロイル、過酸化ベンゾイル、α,α’−アゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1’−アゾ−ビス−1−シクロヘキサンニトリル、ジ−tert−ブチルペルオキシド(CAS登録番号:75−91−2)、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0124】
一実施態様では、重合開始剤は、1種以上の光重合開始剤を、モノマー(I)及び(II)の総重量の0.5重量%〜5重量%の量で含む。
【0125】
一実施態様では、光重合開始剤は、アルファヒドロキシケトン、アルファアミノケトン、アルファ及びベータナフチルカルボニル化合物、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、キサントン、9,10−アントラキノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(Irgacure(商標)184)及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0126】
一実施態様では、重合開始剤は、ラジカルを生成する還元剤/酸化剤の組み合わせにおいて、1種以上のレドックス開始剤を含み、
酸化剤は、混合物中にモノマー(I)及び(II)の総重量の0.01重量%〜3.0重量%、好ましくは0.02重量%〜1.0重量%、更に好ましくは0.05重量%〜0.5重量%の量で存在し、
還元剤は、混合物中にモノマー(I)及び(II)の総重量の0.01重量%〜3.0重量%、好ましくは0.01重量%〜0.5重量%、更に好ましくは0.025重量%〜0.25重量%の量で存在する。
【0127】
一実施態様では、レドックス開始剤は、
モノ過硫酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等のペルオキソ二硫酸塩、
クメンヒドロペルオキシド、
tert−ブチルヒドロペルオキシド、
ジ−tert−アミルペルオキシド
tert−ブチルペルオキシベンゾエート、
t−アミルヒドロペルオキシド、及び
過酸化水素
からなる群から選択される1種以上の酸化剤を含む。
【0128】
一実施態様ではレドックス開始剤は、
亜硫酸ナトリウム、
メタ重亜硫酸ナトリウム、
ホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム、
アスコルビン酸、及び
亜ジチオン酸ナトリウム
からなる群から選択される1種以上の還元剤を含む。
【0129】
本発明のマイクロカプセルは、その表面に(例えば、表面グラフトで)沈着補助剤、すなわち、マイクロカプセルの意図する基材への沈着を最適化することを目的とする補助剤を含んでいてもよい。マイクロカプセルにおける沈着補助剤の例及び使用は、例えば、欧州特許第21558474号、欧州特許第1572767号、欧州特許第2188364号及び欧州特許第1019478号に開示されている。
【0130】
一実施態様では、沈着補助剤は高分子沈着補助剤を含む。高分子沈着補助剤の例は、合成又は天然のポリマーであっても、それらの組み合わせ(例えば、天然のポリマーの部分的化学修飾による)であってもよい。
【0131】
一実施態様では、沈着補助剤は、意図する基材への結合を可能にするペプチド、タンパク質又はそれらの化学的誘導体を含む。例えば、セルラーゼは綿に結合するが、プロテーゼは、羊毛、絹又は毛髪に結合する。
【0132】
一実施態様では、沈着補助剤は、多糖類又はその化学的誘導体を含む。多糖類は、好ましくは[ベータ]−1,4−結合骨格を含む。好ましくは、多糖類は、セルロース、セルロース誘導体、ポリマンナン、ポリグルカン、ポリグルコマンナン、ポリオキシグルカン及びポリガラクトマンナン等のセルロースと結合する他の[ベータ]−1,4−結合多糖類、又は、それらの混合物からなる群から選択される。更に好ましくは、多糖類は、ポリキシログルカン及びポリガラクトマンナンからなる群から選択される。非常に好ましい多糖類は、ローカストビーンガム、タマリンドガム、キシログルカン、非イオン性グア−ガム、カチオンでんぷん及びそれらの混合物から選択される。最も好ましくは、沈着補助剤は、ローカストビーンガム又はその化学的誘導体である。
【0133】
沈着補助剤は、予備形成された本発明のマイクロカプセルと結合することができ、又は重合製造方法において使用される物質の一部と結合することができる。沈着補助剤は、マイクロカプセルと、物理的及び/又は化学的に結合し得る。例えば、沈着補助剤は、共有結合、絡み合い又は吸着により、好ましくは共有結合又は絡み合いにより、最も好ましくは共有結合により粒子と結合する。
【0134】
本明細書で用いられる場合、絡み合いによりとは、沈着補助剤がマイクロカプセル内部に部分的に埋め込まれることを意味する。絡み合いは、例えば、重合が開始される前に、沈着補助剤をエマルションに添加することによって得られる。重合を伝搬させることにより、沈着剤の一部が捕捉され、伸長するポリマーと結合し、マイクロカプセルのシェルを形成し、残りの沈着剤はエマルションの水相に自由に広がっていく。このようにして、沈着剤は、一部のみがマイクロカプセル表面に露出する。
【0135】
本明細書で用いられる場合、吸着は、例えば、沈着補助剤とマイクロカプセルとの間の水素結合、ファン・デル・ワールス力又は静電気引力による、既に形成されたマイクロカプセルへの沈着剤の吸着(すなわち、物理的結合)を意味する。したがって、沈着補助剤はマイクロカプセルの外部にあり、シェル内部及び/又はマイクロカプセルコア内部には有意な程度で存在していない。
【0136】
好ましくは、沈着補助剤は、マイクロカプセルの乾燥重量の0.1重量%〜10重量%の量で存在する。
【0137】
一態様では、本発明は、非可食性消費者製品、家庭用洗剤又は洗濯用製品、パーソナルケア製品及び化粧品からなる群から選択される、上記に定義したマイクロカプセルを含む製品に関する。
【0138】
特に明記しない限り、非可食は、ヒト又は動物によって摂取されないことを意味する。これには、通常の使用において偶然に飲み込まれることのある食品以外の製品が含まれる。特に、非可食製品の定義には、例えば、摂取することを意図していないが、偶然に消化管に入ることのある、練り歯磨き、マウスウォッシュ、リップクリーム等の、歯科及び口腔ケアのための製品が含まれる。
【0139】
本発明のマイクロカプセルを使用することのできる、液状の家庭用製品、洗濯用製品、パーソナルケア製品、及び化粧品の処方及び成分は当業者に周知であり、以下の実施を参照されたい:
・AOCS Pressにより発行された、L H Tan Taiによる、Formulating Detergents and Personal Care Products A guide to Product Development, ISBN 1-893997-10-3、
・Surfactant Science Series Liquid Detergents ISBN 0-8247- 9391-9の第67巻(Marcel Dekker Inc)、
・CHS PressによるHarry’s Cosmeticology、第8版、2000 ISBN 0820603724。
【0140】
一実施態様では、本発明は、本明細書に定義されるマイクロカプセルを含む、パーソナルケア製品又は化粧品である製品に関する。前記製品は、皮膚、毛髪及び爪に適用することができ、そのままにしておくか洗い流すかいずれかである。パーソナルケア製品及び化粧品組成物としては、皮膚(顔、手、足等)用の粉末、クリーム、エマルション、ローション、ゲル及びオイル、毛髪染料基剤(液状及びペースト状)及び液体含浸ティッシュペーパー;顔及び目に化粧品を塗布し、除去するための製品;毛髪染料及び漂白剤、ウェーブ剤、くせ取り剤、毛髪をセットし、整える製品を含む、ヘアケア製品;クリーム、泡状ムース及び脱毛剤を含むシェービング用製品;日光浴製品、及び日光なしで日焼けするための製品;デオドラント及び制汗剤が挙げられる。
【0141】
一実施態様では、パーソナルケア製品又は化粧品は、シェービング補助剤、シャンプー、ヘアコンディショナー製品、つけたままにしておくスキンケア製品、皮膚洗浄剤、又は洗浄用製品(洗い流す皮膚洗浄剤又は洗浄用製品等)、湿潤させたティッシュペーパー及びボディスプレー、デオドラント又は制汗剤からなる群から選択される。
【0142】
シェービング補助剤としては、具体的には泡状、ゲル状、クリーム及び棒状のものが挙げられる(例えば、米国特許第7,069,658号、米国特許第6,944,952号、米国特許第6,594,904号、米国特許第6,182,365号、米国特許第6,185,822号、米国特許第6,298,558号及び米国特許第5,113,585号を参照することができる)。
【0143】
シャンプー及びヘアコンディショナーとしては、具体的には、リンスインシャンプー及び特に乾燥した髪又は脂っぽい髪用に処方されたシャンプー、ふけ防止剤等の添加剤を含むシャンプーが挙げられる。洗い流すヘアコンディショナー、又はつけたままにしておくヘアコンディショナーには、ヘアトニック、毛髪染料剤、毛髪をセットし整髪する製品も含まれる。例えば、米国特許第6,162,423号、米国特許第5,968,286号、米国特許第5,935,561号、米国特許第5,932,203号、米国特許第5,837,661号、米国特許第5,776,443号、米国特許第5,756,436号、米国特許第5,661,118号及び米国特許第5,618,523号を参照することができる。
【0144】
つけたままにしておくスキンケア製品には、皮膚洗浄用製品、湿潤させたティッシュペーパー、ボディスプレー、デオドラント及び制汗剤が含まれる。
【0145】
皮膚洗浄用製品としては、具体的には、美容用及び衛生用棒状石けん、シャワー用ゲル、液状せっけん、ボディウォッシュ、角質除去用ゲル及びペーストが挙げられる(例えば、米国特許第3,697,644号、米国特許第4,065,398号、米国特許第4,387,040号を参照することができる)。
【0146】
湿潤させたティッシュペーパー(拭き取り繊維)としては、具体的には、皮膚洗浄用繊維、赤ちゃん用おしり拭き、化粧品除去用繊維及び化粧水繊維が挙げられる(例えば、米国特許第4,775,582号、国際公開第02/07701号、国際公開第2007/069214号及び国際公開第95/16474号を参照することができる)。
【0147】
ボディスプレー、デオドラント及び制汗剤としては、具体的には、スティック、液状のロールオン式アダプター、及び加圧式スプレーが挙げられる。
【0148】
一実施態様では、本発明は、家庭用洗剤又は洗濯用製品である、本明細書に定義されるマイクロカプセルを含む製品に関する。本発明のマイクロカプセルを含んでもよい家庭用洗剤又は洗濯用製品としては、
床、硬い工作物表面、タイル張りの表面、手又は機械で洗浄する陶器、鏡及びガラスの洗浄剤等の硬表面洗浄剤、
ファブリーズ(登録商標、P&G)により例示される、臭気処理剤のような、液状洗浄剤及び芳香剤製品等の布地の室内装飾品を処理するもの、
軽質洗剤、重質洗剤、濃縮液体洗剤、非水又は低水(low aqueous)洗濯用液体洗剤、毛織物又は黒い衣服用に特化した洗浄剤を含む、粉末洗濯洗剤、洗浄用錠剤及び棒状洗浄剤、洗濯用液体洗剤、
回転式乾燥機シート、アイロンウォーター、洗浄剤添加剤)等の柔軟剤、洗浄前及び洗浄後用処理剤が挙げられる。
【0149】
好ましくは、家庭用洗浄剤又は洗濯用製品は、柔軟剤、仕上げ剤及び洗濯洗剤からなる群から選択される。
【0150】
家庭用洗浄剤は、クリーム状洗浄剤、等方性液状洗浄剤、スプレー状洗浄剤及び予め湿潤させた表面洗浄用繊維の形態であってもよい(例えば、国際公開第91/08283号、欧州特許第743280号、国際公開第96/34938号、国際公開第01/23510号、及び国際公開第99/28428号を参照することができる)。
【0151】
柔軟剤及び仕上げ剤としては、具体的には、従来の希釈された(例えば、2重量%〜8重量%)液状活性濃度柔軟剤及び濃縮された(例えば、10重量%〜40重量%)液状活性濃度柔軟剤、並びに、色落ちを防止し、又は衣類の形状及び外観を保護するための成分を含んでいてもよい仕上げ剤が挙げられる(例えば、米国特許第6,335,315号、米国特許第5,674,832号、米国特許第5,759,990号、米国特許第5,877,145号、米国特許第5,574,179号を参照することができる)。
【0152】
洗濯洗剤、特に液状洗濯洗剤としては、具体的には軽質液体洗剤及び重質液体洗剤が挙げられ、これらは、多層液体又は等方性液体を構築し、水性液体又は非水性液体を含んでいてもよい。前記液体洗剤は、ボトル、又は1回分の用量が入った袋に入っていてもよく、漂白剤又は酵素を含んでいてもよい(例えば、米国特許第5,929,022号、米国特許第5,916,862号、米国特許第5,731,278号、米国特許第5,470,507号、米国特許第5,466,802号、米国特許第5,460,752号及び米国特許第5,458,810号を参照することができる)。
【0153】
本発明の製品は、製品がエマルションである場合には乳化剤として、また製品がある種の洗浄機能を有している場合には洗浄活性物質として、水及び/又は界面活性物質を含んでいてもよい。特定の実施態様では、製品中の界面活性物質の濃度は0.1〜60重量%の範囲内であり、通常、界面活性物質の濃度は50重量%以下であり、ほとんどの製品では、界面活性物質は30重量%以下である。一方、界面活性物質の濃度は、通常は少なくとも0.1重量%であり、好ましくは1.0重量%を超え、更に好ましくは3.0重量%を超える。特定の製品の製剤は水感受性(例えば、制汗剤、デオドラント、水溶性ポリビニルアルコールフィルム中に包装された非水性液体)であり、上記応用のためには、マイクロカプセルを製品製剤中に組み込む前に、水分を除去するためにマイクロカプセルを噴霧乾燥することが好ましい。洗浄機能を有する製品については、おそらく界面活性物質の濃度は高く、通常は10重量%を超え、好ましくは15重量%を超えるであろう。全ての割合は製品の重量に対する重量として表される。
【0154】
乳化剤を含む、リーブオン製品の例は、ハンドローション、ボディローション、化粧落としローション、スキンクリーム、日焼け防止製品、サンスクリーン製品及び家庭用芳香スプレーである。液体を含浸して製造した物品、例えば、化粧品を塗布若しくは除去するため、又は日焼け止め化合物若しくはサンスクリーン剤を塗布するためのローションを含浸したパッド又は繊維、あるいは個人用洗浄剤、例えば湿潤したトイレットペーパー又は赤ちゃん用おしり拭きも含まれる。
【0155】
洗浄剤を含む個人用洗浄用製品の例は、シャンプー、ボディソープ、液状石けんである。洗い流さないか、使用後に更なる洗浄作用がある場合に、洗浄のために使用されるとしても、一部の洗浄用製品は、つけたままの製品とみなすことができる。赤ちゃん用おしり拭きは、皮膚に塗布し洗浄のために使用される液体が洗い流して除去されないが、上記の例である。
【0156】
本明細書に開示された、ノンリンス型化粧品、洗面用化粧品、及びパーソナルケア用組成物は、製品のさまざまな成分を乳化するのに有用な種々の乳化剤を含んでもよい。適切な乳化剤としては、Allured Publishing Corporation により発行されたMcCutcheon’s, Detergents and Emulsifiers, North American Edition(1986)、及び、下記特許文献、すなわち米国特許第5,011,681号、米国特許第4,421,769号及び米国特許第3,755,560号等の出版物に開示された、多種多様の非イオン性、カチオン性、アニオン性、両性イオン性表面活性物質が挙げられる。
【0157】
実験的証拠によれば、短鎖炭化水素アルコールを含む、セットローション、オードトワレ、ボディスプレーエアゾール、ヘアフォーム等の特定の製品の組成物は、本明細書に開示されるマイクロカプセルによりもたらされる利点を無効にする可能性があることがわかった。したがって、本発明のマイクロカプセルを含む製品は、かなりの量(例えば、製品重量の2.5重量%超、又は5重量%超、例えば、10重量%超、20重量%超、50重量%超、又は70重量%超)のC
1〜C
4アルコール等の短鎖脂肪族炭化水素アルコール(例えば、エタノール又はイソプロパノール)をも含まないことが好ましい。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、短鎖炭化水素アルコールは、マイクロカプセルの統合性に影響し、その結果、香料内容物の漏出を促進すると考えられる。これにより、本明細書の以下の特定の実施例において、試験試料と対照試料との間の香料エバリュエータによって、なぜフレグランスの強度の顕著な相違が認められないかを説明することができる。
【0158】
液状の家庭用、洗濯用、パーソナルケア用及び化粧品用の製品中のマイクロカプセルの量は、所望のマイクロカプセル濃度、マイクロカプセル中のフレグランスの割合、所望の嗅覚効果を得るのに必要なフレグランス物質の量等のいくつかの特徴によって変化し得る。明示された製品から全ての液状成分を除去した後(すなわち、乾燥重量として測定)、本発明のマイクロカプセルは、製品の重量の0.01〜10重量%、好ましくは0.05重量%〜2.5重量%、より好ましくは0.1〜1.25重量%で存在し得る。マイクロカプセルは、従来のあらゆる手段により、通常は工程の適切な段階で、通常は高せん断混合段階の後に、分散液として組み込むことができる。
【0159】
上記液状製品は、本発明のマイクロカプセルを含む初期の水性分散液を使用することにより、円滑に製造することができる。したがって、この水性分散液(スラリーとも呼ばれる)は、前記液状製品に添加される濃縮液体として機能する。この工程は、スラリー成分の実質的な希釈を伴うので、マイクロカプセルは、最終製品の目標量よりも高い量をスラリー中に含んでいる。そのため、本発明のスラリーは、スラリーの重量の30重量%以上(例えば、40重量%、50重量%又は60重量%)までの量のマイクロカプセルを含んでいてもよい(ここで、割合は乾燥重量について上述したように計算する)。
【0160】
スラリーは、本発明のマイクロカプセルの貯蔵媒体としても都合良く使用することができる。マイクロカプセルを水性スラリーの形態で貯蔵するが最終製品に水が存在してはならない(又は水の量が制限されている)場合、スラリーを噴霧乾燥し、その後、噴霧乾燥したマイクロカプセルを最終製品に加えることができる。
【0161】
一実施態様では、本発明は、コア及び該コアを封入するポリマーシェルを含有するマイクロカプセルであって、前記コアが、乳化可能なフレグランスを含むコア材料を含有するマイクロカプセルからの漏出を低減するための、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、及び、多価の直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のアルコール又は直鎖若しくは分枝鎖C
2〜C
24のポリエチレングリコールに由来するメタクリル酸エステルからなる群から選択される1種以上のモノマーを含む、ポリエチレン性不飽和モノマーの使用に関する。
【0162】
一実施態様では、本発明は、本明細書に定義される使用に関し、モノマーはエチレングリコールジメタクリレートではない。
【0163】
一実施態様では、本発明は、本明細書に定義される使用に関し、マイクロカプセルは上記に定義したものである。
【0164】
一実施態様では、本発明は、本明細書に定義される使用に関し、マイクロカプセルは上記に定義した固形粉末組成物中に含まれる。
【0165】
一実施態様では、本発明は、本明細書に定義される使用に関し、マイクロカプセルは、上記に定義された製品に含まれる。
【0166】
本発明の更なる実施態様及び利点は、以下に示す実施例を考慮し、当業者に明らかになるであろう。
【実施例】
【0167】
[実施例]
(フレグランス物質番号1の組成物) (重量%)
酢酸イソボルニル(CAS登録番号125−12−2): 25
合成カンフルガム粉末(CAS登録番号464−49−3): 15
リリアール(CAS登録番号80−54−6): 15
ユーカリプトール(CAS登録番号470−82−6): 8
2−メチルペンタン酸エチル(CAS登録番号39255−32−8): 6
セドロール(CAS登録番号77−53−2): 6
ヘプタン酸アリル(Allyl heptoate)(CAS登録番号142−19−8): 5
酢酸スチラリル(CAS登録番号93−92−5): 5
2−メチルウンデカナール(CAS登録番号110−41−8): 5
ベルテネックス(CAS登録番号32210−23−4): 5
クマリン(CAS登録番号91−64−5): 3
デルタ−ダマスコン(CAS登録番号57378−68−4): 2
【0168】
フレグランス物質番号1は、79%の嵩高い分子を含む。
【0169】
(フレグランス物質番号2の組成物) (重量%)
ヘプタン酸アリル(CAS登録番号142−19−8): 12
ベルドックス(CAS登録番号88−41−5): 12
リリアール(CAS登録番号80−54−6): 10
ガンマ−ウンデカラクトン(CAS登録番号104−67−6): 10
ヘキシルシンナムアルデヒド(CAS登録番号101−86−0): 10
エチレンブラシレート(CAS登録番号105−95−3): 10
酢酸ベンジル(CAS登録番号140−11−4): 7
フェニルエチルアルコール(CAS登録番号60−12−8): 6
2−メチルペンタン酸エチル(CAS登録番号39255−32−8): 6
シクラメンアルデヒド(CAS登録番号103−95−7): 5
カンファー(CAS登録番号76−22−2): 3
酸化ジフェニル(CAS登録番号101−84−8): 2
2−メチルウンデカナール(CAS登録番号110−41−8): 2
ヤラヤラ(CAS登録番号93−04−9): 2
【0170】
フレグランス物質番号2は、39%の嵩高い分子を含む。
【0171】
(フレグランス物質番号3の組成物) (重量%)
シクラセット(CAS登録番号54830−99−8): 22
ベルドックス(CAS登録番号88−41−5): 15.5
ネロリンブロメリア(CAS登録番号93−18−5): 14.5
酢酸イソボルニル(CAS登録番号125−12−2): 13.5
サリチル酸ベンジル(CAS登録番号118−58−1): 10.5
リリアール(CAS登録番号80−54−6): 7
フラクトン(CAS登録番号6413−10−1): 4
酸化ジフェニル(CAS登録番号101−84−8): 2.5
イソシクロシトラール(CAS登録番号1335−66−6): 2.5
合成カンフルガム粉末(CAS登録番号464−49−3): 2
ユーカリプトール(CAS登録番号470−82−6): 2
フルイテート(CAS登録番号80623−07−0): 1.5
2−メチルペンタン酸エチル(CAS登録番号39255−32−8): 1.5
デルタ−ダマスコン(CAS登録番号57378−68−4): 1
【0172】
フレグランス物質番号3は、98.5%の嵩高い分子を含む。
【0173】
(濃縮柔軟剤組成物) (重量%)
プラエパゲンTQ(Praepagen TQ)90%: 20.00
水: 79.87
塩化マグネシウム六水和物99%: 0.13
pH=2.5までクエン酸を加える。
【0174】
実施例1:本発明のカプセルの調製(試料1〜3)
87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)4.0gを水196.0gに溶解し、水相を調製した。フレグランス物質番号1、2及び3をそれぞれ85.0g、1,4−ブタンジオールジメタクリレート13.7g、メタクリル酸13.1g、メタクリル酸メチル5.2g及び過酸化ラウロイル0.9gを混合することにより、油相を調製した。過酸化ラウロイルが完全に溶解するまで、この混合物を撹拌した。
【0175】
水相及び油相を、コンデンサ、温度計、窒素注入口及び解膠ブレード(deflocculating blade、直径4cm)を備えた500mLのバッチ式反応器に入れた。全ての工程の間、混合物を900rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。まず、混合物を20分間で室温から35℃まで加熱し、35℃に1時間維持した。次いで、得られたエマルションを、30分間で70℃まで加熱し、70℃に4時間維持した。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径を、レーザー回折により測定した(体積中央径(D(v,0.5))。
【0176】
結果:
【0177】
【表1】
【0178】
実施例2(比較例):架橋剤である1,4−ブタンジオールジアクリレートを使用したカプセルの調製(試料4及び5)
87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)4.0gを水196.0gに溶解し、水相を調製した。フレグランス物質番号1及び2をそれぞれ85.0g、1,4−ブタンジオールジアクリレート13.7g、メタクリル酸13.1g、メタクリル酸メチル5.2g及び過酸化ラウロイル0.9gを混合することにより、油相を調製した。過酸化ラウロイルが完全に溶解するまで、この混合物を撹拌した。
【0179】
水相及び油相を、コンデンサ、温度計、窒素注入口及び解膠ブレード(直径4cm)を備えた500mLのバッチ式反応器に入れた。全ての工程の間、混合物を900rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。まず、混合物を20分間で室温から35℃まで加熱し、35℃に1時間維持した。次いで、得られたエマルションを、30分間で70℃まで加熱し、70℃に4時間維持した。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液の平均粒径を、レーザー回折により測定した(体積中央径(D(v,0.5))。
【0180】
結果:
【0181】
【表2】
【0182】
実施例3(比較例):架橋剤であるペンタエリスリトールトリアクリレートを使用したカプセルの調製(試料6)
87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)4.0gを水196.0gに溶解し、水相を調製した。フレグランス物質番号1、2又は3をそれぞれ85.0g、ペンタエリスリトールトリアクリレート13.7g、メタクリル酸13.1g、メタクリル酸メチル5.2g、及び過酸化ラウロイル0.9gを混合することにより、油相を調製した。過酸化ラウロイルが完全に溶解するまで、この混合物を撹拌した。
【0183】
水相及び油相を、コンデンサ、温度計、窒素注入口及び解膠ブレード(直径4cm)を備えた500mLのバッチ式反応器に入れた。全ての工程の間、混合物を900rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。まず、混合物を20分間で室温から35℃まで加熱し、35℃に1時間維持した。次いで、得られたエマルションを、30分間で70℃まで加熱し、70℃に4時間維持した。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液は、38.7μmの平均粒径を有していた(レーザー回折により測定した体積中央径(D(v,0.5))。
【0184】
実施例4(比較例):2種の架橋剤として1,4−ブタンジオールジアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレートを使用したカプセルの調製(試料7)
87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)4.0gを水196.0gに溶解し、水相を調製した。フレグランス物質番号1、2又は3をそれぞれ85.0g、1,4−ブタンジオールジアクリレート10.3g、ペンタエリスリトールトリアクリレート3.4g、メタクリル酸13.1g、メタクリル酸メチル5.2g及び過酸化ラウロイル0.9gを混合することにより、油相を調製した。過酸化ラウロイルが完全に溶解するまで、この混合物を撹拌した。
【0185】
水相及び油相を、コンデンサ、温度計、窒素注入口及び解膠ブレード(直径4cm)を備えた500mLのバッチ式反応器に入れた。全ての工程の間、混合物を900rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。まず、混合物を20分間で室温から35℃まで加熱し、35℃に1時間維持した。次いで、得られたエマルションを、30分間で70℃まで加熱し、70℃に4時間維持した。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液は、38.9μmの平均粒径を有していた(レーザー回折により測定した体積中央径(D(v,0.5))。
【0186】
実施例5(比較例):本発明のカプセルよりも粒径の小さいカプセルの調製(試料8)
87〜89%まで加水分解された、Mw=85000〜124000g/モルのポリ(ビニルアルコール)4.0gを水196.0gに溶解し、水相を調製した。フレグランス物質番号1、2又は3をそれぞれ85.0g、1,4−ブタンジオールジメタクリレート13.7g、メタクリル酸13.1g、メタクリル酸メチル5.2g及び過酸化ラウロイル0.9gを混合することにより、油相を調製した。過酸化ラウロイルが完全に溶解するまで、この混合物を撹拌した。
【0187】
水相及び油相を、氷水浴中に設置した1Lのビーカーに注ぎ入れ、高速攪拌機(Dispermix、laboratory series X10、Ystral)を用い、7000rpmで2分間、乳化させた。この段階で、エマルションは、2.4μmの平均粒径を有していた(レーザー解析により測定した体積中央径(D(v,0.5))。次いで、エマルションを、コンデンサ、温度計、窒素注入口及び解膠ブレード(直径4cm)を備えた500mLのバッチ式反応器に移した。全ての工程の間、混合物を900rpmで撹拌し、酸素を排除するために混合物に窒素を吹き込んだ。まず、混合物を20分間で室温から35℃まで加熱し、35℃に1時間維持した。次いで、得られたエマルションを、30分間で70℃まで加熱し、70℃に4時間維持した。最後に、得られたマイクロカプセル分散液を1時間で室温まで冷却した。得られたマイクロカプセル分散液は、2.9μmの平均粒径を有していた(レーザー回折により測定した体積中央径(D(v,0.5))。
【0188】
実施例6:柔軟剤の保存中におけるフレグランスの漏出
柔軟剤中で放出されるフレグランスを、溶媒で抽出し、ガスクロマトグラフィーにより解析して測定した。フレグランスの漏出は、カプセル化されたフレグランスに対する柔軟剤中で放出したフレグランスの割合である。
【0189】
方法の詳細
手順:
スラリー分散液0.5w/w%及び濃縮柔軟剤99.5w/w%を含む混合物を、オーブン中のガラス瓶の中に、40℃の調節した温度で1/2/4/6週間貯蔵した。各貯蔵時間後、混合物を振盪し、10gを取り出した。この試料を遠心分離し、カプセルから柔軟剤を分離した。遠心分離した柔軟剤1gを、セライト1gと混合し、ペンタン545.5mL及び内部標準液50μLを加えた。混合物をローラーコンベア上で1時間混合した。次いで、上清をGC/FID(フレームイオン化検出器を用いたガスクロマトグラフィー装置)に注入した。積分面積は、Agilent Chemstationソフトウェアを用い、FIDシグナルから決定した。各抽出物について3回分析した。内部標準液は、10mg/mL濃度の、デカン酸メチルのヘキサン溶液であった。
【0190】
器具類:
Chemstationソフトウェアと接続したAgilent 6890 GC
カラム:HP−5MS、30m×0.25mm×0.25μm
オーブンの温度:50℃で2分間、その後、10℃/分で280℃まで加熱し、280℃に5分間維持
インジェクター:250℃、検出器:250℃
注入容量2μL(スプリットレス)
【0191】
計算:
試料中の漏出したフレグランス成分の重量の測定:
【0192】
【数1】
【0193】
W
perf,i:漏出したフレグランス成分iの重量(mg)
A
perf,i:フレグランス成分iの面積
W
IS:内部標準の重量(mg)
A
IS:内部標準の面積
【0194】
試料中の漏出したフレグランスの重量の測定:
【0195】
【数2】
【0196】
W
frag:漏出したフレグランスの重量(mg)
【0197】
試料中に漏出した全てのフレグランスの理論的重量の測定:
【0198】
【数3】
【0199】
W
frag−theo:試料中に漏出した全てのフレグランスの理論的重量(mg)
%frag slurry:スラリー中のフレグランスの割合
%slurry:柔軟剤中のスラリーの割合
W
softener:抽出された柔軟剤の重量(mg)
【0200】
試料中の全ての漏出中のフレグランス成分iの理論的重量の測定:
【0201】
【数4】
【0202】
W
perf−theo:試料中の全ての漏出中のフレグランス成分iの理論的重量(mg)
%slurry:柔軟剤中のスラリーの割合
%perf,i:フレグランス中のフレグランス成分iの割合
【0203】
フレグランス漏出の割合の測定:
【0204】
【数5】
【0205】
%leakage
frag:フレグランス漏出の割合
【0206】
フレグランス成分iの漏出の割合の測定:
【0207】
【数6】
【0208】
%leakage
perf:フレグランス成分iの漏出割合:
【0209】
結果:
【0210】
【表3】
【0211】
【表4】
【0212】
本発明のカプセル(試料1及び2)は、他のカプセルと比較し、漏出が低減していることは明らかである。
【0213】
【表5】
【0214】
本発明の嵩高い分子(酢酸イソボルニル及びベルドックス)は、他の分子(エチル−2−メチルペンタノエート及びアリルヘプトエート)と比較し、漏出が低減していることは明らかである。
【0215】
実施例7:柔軟剤に使用した時のカプセルの嗅覚性能
カプセルを含む柔軟剤製剤の調製:
スラリー分散液0.5w/w%及び前記濃縮柔軟剤99.5w/w%を含む混合物を調製した。この混合物を、規定時間40℃に貯蔵した。
【0216】
洗浄法:
香料の入っていない液体洗剤を用いて90℃、16°dHで下洗いした綿のタオル地のミトン(Mitt)及びタオルを、Miele洗濯機に入れた。総荷重は2.0kgであった。洗浄サイクルを40℃で行った(脱水:900rpm)。すすぎ工程中に柔軟剤製剤40mLを加えた。綿の手袋を室温条件で24時間乾燥した。その後、両手を拭き取った前後に、感覚的な手段で、ブラインド実験として嗅覚効果を評価した。0(顕著な香りなし)〜5(非常に強い香り)のスコアを付与した。
【0217】
結果:
【0218】
【表6】
【0219】
実施例7の結果より、本発明のマイクロカプセルが持続性の嗅覚性能を備えていることが明らかである。漏出の低減により、4又は6週間後にも顕著な香りを感じることができた。試料2及び試料7の比較は、両方の試料が同じフレグランス物質(物質番号2)を含み、両方の試料が最初に同じ香りの感覚をもたらすので、本発明の優位性を示すのに特に有意義である。試料4、5及び6により得られたスコアは有意義でない。可能な説明としては、これらの試料では、マイクロカプセルシェルが、他の試料のシェルよりも破壊するのに厚いか硬く、そのため拭き取った後に劣った香り感覚をもたらしたということである。
【0220】
実施例8:四角い繊維(fabric squares)におけるカプセルの可視性の試験
本試験のために、下記の平均カプセル径:すなわち5.7、10.4、19.9、31.8、38.3及び59.6μm(上記光散乱法により測定)を有するスラリー分散液を調製した。脱イオン水中にカプセルを0.4重量%含む分散液を調製した。下記2種の異なる黒い平面状のシート状繊維の全表面(10×12cm)に上記分散液約1.3gを噴霧した。
・Reactive Black 5染料(繊維の6重量%の染料)で着色した綿メリヤス(knitted cotton)
・黒い綿デニム(Levi(登録商標)501)
噴霧後、四角い繊維を室温で20分間かけて乾燥させた。四角い繊維の外観検査を、色彩観察用ブース(標準的昼光光源D65)内で3人の人によってブラインド実験として別個に実施した。処理していない四角い繊維をブランク試料として用いた。平均カプセル径が59.6μmのマイクロカプセルの場合にのみ、生地上の残留物がはっきりと見えた。
【0221】
パーソナルケア製品及び化粧品の実施例
塗布の際及び長い時間の間に、試料1(実施例1で得られる)のマイクロカプセル分散液がフレグランスを放出する能力(増幅効果及び持続効果)は、同じ濃度で遊離状のフレグランスを含む組成物と比較し、使用時に発するフレグランスの匂いの強度、又は、カプセル分散液を含む種々のパーソナルケア組成物を塗布した毛髪若しくは皮膚に保持されるフレグランスの匂いの強度を評価することによって決定した。匂いの強度は、2名の訓練を受けたフレグランスエバリュエータにより評価した。INCI=化粧品成分の国際命名法。
【0222】
実施例9:カプセルを含むシャワー用ゲルの調製及び評価
表1の処方を有するシャワーゲル基剤49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一のシャワー用ゲル49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1(フレグランス物質番号1はカプセルスラリー試料1で使用されたフレグランスであり、該カプセルスラリーはこのフレグランスを27%含む)0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。各試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0223】
【表7】
【0224】
試験法:パネリストは、37℃の流水(水道水)により5秒間、彼/彼女の両手を湿らせ、シャワー用ゲル1.5mLをシリンジによって両手に塗布した。パネリストは自分の両手を洗浄し、37℃の水道水で15秒間すすぎ、ペーパータオルで過剰の水を拭き取った。2名の訓練を受けた香料エバリュエータが匂いの強度を評価した。3時間後、皮膚を軽くこすり、香気の強度を再度評価した。
【0225】
遊離状のフレグランスを含む対照試料に対する、試料を含むカプセルの評価を比較した。洗浄の際には強度に有意な差はなかった。しかし、乾燥の3時間後に皮膚をこすった時には、試料を含むカプセルにおいてフレグランスは、より強力であった。
【0226】
実施例10:カプセルを含む、リーブオンヘアコンディショナーの調製及び評価
表2の処方を有するリーブオンヘアコンディショナー基剤49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察したように、カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一のコンディショナー基剤49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1(フレグランス物質番号1はカプセルスラリー試料1で使用されたフレグランスであり、該カプセルスラリーはこのフレグランスを27%含む)0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。各試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0227】
【表8】
【0228】
約10gの重量の毛髪見本をくしで梳き、水(300mL、37℃)に15秒間浸した。スクイージーとして作用する2本の指を介して毛髪見本を2回引くことにより過剰の水を除去した。リーブオンコンディショナー0.4mLを、湿らせた毛髪見本にシリンジで塗布した。リーブオンコンディショナーを用いて、毛髪見本を手で30秒間マッサージし、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより香気の強度を評価した。次いで、試料をフレームからつり下げ、室温で3時間空気乾燥させた。3時間後、毛髪を乾燥し、香気の強度を評価した。その後、見本をくしで3回梳き、強度を再度評価した。室温で24時間つり下げた後、同じ見本について、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより、くしで梳す前後に再度評価した。カプセル分散液を含むリーブオンコンディショナー試料で処理した毛髪見本を、遊離のフレグランスを含む対照試料と比較した。
【0229】
カプセルを含むコンディショナーの使用時の方が、香気は強力であった。試料をすすいだ3及び24時間後に毛髪をくしで梳した時も、カプセル分散液を含む試料は強力な香気が得られた。これらの効果は、45℃で2、4及び8週間貯蔵した試料でもなお繰り返され、カプセルが香料を保持していることが示された。
【0230】
実施例11:カプセルを含む固形タイプのデオドラントの調製及び評価
表3の処方を有する固形タイプのデオドラント基剤49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一の固形タイプのデオドラント基剤49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。各試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0231】
【表9】
【0232】
試験法:セルロース製フレグランス吸い取り紙に各固形タイプのデオドラント0.3グラムを塗布し、吸い取り紙を試験室内における環境条件下で3時間かけて空気乾燥した。吸い取り紙をこすり合わせる前後で、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより、香気の強度を評価した。こすり合わせた後、対照試料と比較し、カプセル分散液を含む試料で処理した吸い取り紙には著しく強力な香気があった。45℃で2週間及び4週間貯蔵した試料についても実験を繰り返すと、カプセルを含む試料に、より強力な香気が付与されていた。
【0233】
実施例12:カプセルを含むロールオン式デオドラントの調製及び評価
表4の処方を有するロールオン式デオドラント基剤49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一のロールオン式デオドラント基剤49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。各試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0234】
【表10】
【0235】
試験法:セルロース製吸い取り紙にロールオン式デオドラント0.3グラムを塗布し、吸い取り紙を3時間空気乾燥した。塗布10分後(吸い取り紙が、まだわずかに湿っている時)、及び3時間後に(吸い取り紙が全体として乾燥した時)、吸い取り紙をこすり合わせる前後で、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより、香気の強度を評価した。
【0236】
全ての評価ポイントで対照試料と比較し、カプセル分散液を含む試験試料については、著しく強力な香気があった。45℃で2週間、4週間及び8週間貯蔵したロールオン式デオドラントを用いて実験を繰り返すと、カプセルを含む製品について3時間乾燥後に、より強力な香気が示された。
【0237】
実施例13:カプセル含有エアゾール式制汗剤/デオドラントの調製及び評価
表5の処方を有するエアゾール式デオドラント基剤49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一のエアゾール式デオドラント基剤49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0238】
【表11】
【0239】
試験法:エアゾール式制汗剤を吸い取り紙に2回噴霧し、製品約0.2gを被覆し、吸い取り紙を環境大気中で2分間乾燥させた。吸い取り紙をこすり合わせる前後で、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより、香気の強度を評価した。
【0240】
こすり合わせた後で対照試料と比較し、カプセル分散液を含む試験試料については、著しく強力な香気があった。45℃で2週間貯蔵した製品の試料を用いて実験を繰り返すと、こすり合わせた後にカプセルを含む製品について、より強力な香気が示された。
【0241】
実施例14:カプセル含有ボディローションの調製及び評価
表6の処方を有するボディローション基剤49.75gに、カプセルスラリー0.25gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一のボディローション基剤49.933gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.067gを混合することにより、対照試料を作製した。試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0242】
【表12】
【0243】
試験法:ボディローション0.2mLを、シリンジで手の甲に塗布し、10秒間広げた。次いで、塗布の3時間後に皮膚を軽くこすり合わせた。使用時並びに皮膚をこすり合わせた前後に、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより香気の強度を評価した。カプセル分散液を含有するボディローション試料で皮膚領域を処置し、遊離のフレグランスを含む対照試料と比較した。
【0244】
対照試料と比較し、カプセル分散液を含有する試料には著しい利点があった。カプセル分散液を含有する試料については使用時及び塗布3時間後の両方でこすり合わせた後に匂い強度が高かった。45℃で2週間、4週間及び8週間貯蔵した製品の試料についても実験を繰り返すと、カプセルを含有する製品について、両方の評価時点でこすり合わせた後に著しい匂いの増加が示された。
【0245】
実施例15:カプセル含有化粧落としの調製及び評価
表7の処方を有する化粧落とし基剤49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一の化粧落とし基剤49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0246】
【表13】
【0247】
試験法:化粧落とし2mLを、ピペットでコットンディスク(cotton disc)に塗布した。コットンディスクに含まれる製品により、ボランティアの手の甲を10秒間拭いた。その時点で、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより、香気の強度を評価した。塗布の3時間後、処置した領域について、上記の香気の強度をエバリュエータにより再度評価し、その後、皮膚を軽くこすり合わせ、香気の強度を再評価した。
【0248】
塗布時及び塗布の3時間後に皮膚をこすり合わせた時の両方で、対照試料と比較し、カプセル分散液を含む試験試料については、著しく強力な香気があった。45℃で2週間保存した製品の試料を用いて実験を繰り返すと、カプセル含有製品について、両方の評価時点で、この場合も強力な香気が示された。
【0249】
実施例16:カプセル含有日焼け止めローションの調製及び評価
表8の処方を有する日焼け止めローション基剤49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一の日焼け止めローション基剤49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0250】
【表14】
【0251】
試験法:日焼け止め約0.4グラムを10cmの距離から、ボランティアの手の甲に噴霧し、10秒間広げた。塗布の3時間後、処置した上記領域の香気の強度を、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより評価し、その後、皮膚を軽くこすり合わせ、香気の強度を再評価した。
【0252】
塗布の3時間後に皮膚をこすり合わせた時、対照試料と比較し、カプセル分散液を含む試験試料については、著しく強力な香気があった。
【0253】
実施例17:カプセルを含むセットローションの調製及び評価
表9の処方を有する毛髪セットローション基剤49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布しており、基剤は、その後濁った。同一のセットローション49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0254】
【表15】
【0255】
試験法:各セットローション試料約2.4グラムを、10cmの距離から、湿らせた毛髪見本に噴霧した。毛髪見本を、セットローションを用いて、それぞれ30秒間手で軽くこすり合わせ(両側で15秒ずつ)、その後空気乾燥した。塗布の3時間及び24時間後、毛髪見本をくしで3回梳いた。使用時、並びに3時間後及び24時間後にくしで梳いた後、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより、香気の強度を評価した。
【0256】
使用時、並びに3時間後及び24時間後に毛髪をくしで梳いた時点で、対照試料と比較し、カプセル分散液を含む試験試料については、著しく強力な香気があった。45℃で2週間及び4週間貯蔵した製品の試料について実験を繰り返した場合にも、処置の3時間後及び24時間後にくしで梳いた後に強力な香気が示された。
【0257】
実施例18:カプセルを含む整髪用ジェルの調製及び評価
表10の処方を有する整髪用ジェル基剤49.5gに、カプセルスラリー0.25gを加え、水を加えて50gにすることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布しており、基剤は、その後濁った。同一の整髪用ジェル基剤49.933gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.067gを混合することにより、対照試料を作製した。試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0258】
【表16】
【0259】
試験法:湿らせた毛髪見本に、整髪用ジェル2.4mLをシリンジで塗布した。整髪用ジェルを用いて、毛髪見本を手で、それぞれ20秒間伸ばし(両側で10秒ずつ)、その後空気乾燥した。塗布の3時間後及び24時間後、くしで梳く前後に、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより、香気の強度を評価した。毛髪見本は、カプセル分散液を含む整髪用ジェル試料で処理し、遊離状の香気を含む対照試料と比較した。
【0260】
塗布3時間後及び塗布24時間後にくしで梳いた後、カプセル分散液を含む試料については、対照試料と比較し、香気はより強力であった。45℃で2、4及び8週間貯蔵した製品の試料について実験を繰り返すと、この場合も、カプセルを含有する製品については、3及び24時間の時点でくしで梳いた後い、強力な香気が示された。
【0261】
実施例19:カプセルを含有するシャンプーの調製及び評価
表11の処方を有するシャンプー基剤49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一のシャンプー基剤49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0262】
【表17】
【0263】
試験法:湿らせた毛髪見本に、シャンプー2mLをシリンジで塗布した。毛髪見本を、それぞれ手で60秒間こすり合わせ、次いで、毛髪見本を操作せず固定式シャワーリンスを用い、37℃で、60秒間すすいだ。その後、毛髪見本を空気乾燥し、塗布の3時間及び24時間後にくしで3回梳いた。湿っている使用時、並びに乾燥し3時間及び24時間後にくしで梳いた前後に2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより香気の強度を評価した。
【0264】
乾燥した場合、処置の3及び24時間後に毛髪をくしで梳くと、香気は強力であった。
【0265】
実施例20:アルコールを含む、カプセル含有セットローションの調製及び評価
カプセル試料1を含む分散液を、0.5重量%の濃度で、以下の処方によるアルコール性セットローション(表12)に混合した。カプセルは基剤中に均質に分布しており、その後濁った。試料を室温に24時間放置した。
【0266】
表12の処方を有するアルコール性ヘアセッティングローション49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一のヘアセッティング49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0267】
【表18】
【0268】
試験法:カプセル分散液を含むアルコール性セッティングローション約2.4グラムを、10cmの距離から湿らせた毛髪見本に噴霧した。毛髪見本を、手でそれぞれ30秒間軽くこすり、その後室温で空気乾燥した。対照試料で処置した毛髪試料を同様に処置した。塗布の3時間及び24時間後に、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより毛髪見本を評価し、3回くしで梳き、再度評価した。
【0269】
いずれの評価時点でも、試験試料と対照試料との間に香気の強度に差はなかった。
【0270】
実施例21:カプセルを含むオードトワレの調製及び評価
表13Aの処方に従い、カプセル試料1を含むオードトワレ試験試料を調製した。光学顕微鏡法により観察されるように、カプセルは基剤中に均質に分布しており、基剤はその後濁った。表13Bの処方に従い、比較対照試料を作製した。各試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0271】
【表19】
【0272】
【表20】
【0273】
試験法:カプセルを含むオードトワレ約0.3グラムを、ドラフト内で10cmの距離からフレグランス吸い取り紙に噴霧した。対照試料EdTの吸い取り紙を同様にして調製した。2分後、別の場所で、2名の訓練を受けたエバリュエータにより吸い取り紙の香気の強度が評価された。その後、吸い取り紙を軽くこすり合わせ、香気の強度を再度評価した。
【0274】
試験試料と対照との間に香気の強度に差はなかった。
【0275】
実施例22:カプセルを含むエアゾールボディスプレーの調製及び評価
表14の処方を有するボディスプレー基剤49.5gに、カプセルスラリー0.5gを加えることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。カプセルは基剤中に均質に分布していた。同一のボディスプレー基剤49.867gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.133gを混合することにより、対照試料を作製した。試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0276】
【表21】
【0277】
試験法:カプセル分散液を含むボディスプレーエアゾール約0.2gを、10cmの距離から吸い取り紙に噴霧した。2分後、吸い取り紙を軽くこすった。吸い取り紙を対照試料で正確に同じ方法で処理した。こする前後で、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより香気の強度を評価した。
【0278】
こする前後で、香気の強度に差はなかった。
【0279】
実施例23:カプセルを含むヘアフォームの調製及び評価
表15の処方を有するヘアフォーム基剤49.5gに、カプセルスラリー0.25gを加え、水を加えて50gにすることにより、カプセル試料1を含む試験試料を調製した。同一のヘアフォーム49.933gに、遊離状のフレグランス物質番号1の0.067gを混合することにより、対照試料を作製した。試料を室温に24時間放置し、試験直前に十分に混合した。
【0280】
【表22】
【0281】
試験法:湿らせた毛髪見本に、カプセル分散液を含むヘアフォーム0.4グラムを塗布した。毛髪見本を手で30秒間マッサージし、その後室温で空気乾燥した。毛髪見本を、対照試料で正確に同じ方法で処理した。塗布の3時間及び24時間後、毛髪見本をくしで3回梳いた。使用時と、設定時間間隔後にくしで梳いた前後に、2名の訓練を受けた香料エバリュエータにより香気の強度を評価した。試験試料と対照試料との間に香気の強度の差はなかった。
【0282】
本発明について、その特定の実施態様を参照して詳細に説明したが本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな変更及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。
【0283】
本出願は、2012年1月24日に出願された、欧州特許出願第12305080.9号を基礎としたものであり、その内容の全ては引用により本明細書に組み込まれる。更に、本明細書中に引用された全ての文献の主題も引用により本明細書に組み込まれる。