(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ギヤボックスが、前記駆動機(DR)もしくは脚部、または前記駆動機(DR)および脚部に取り付けられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧縮機システム。
【背景技術】
【0002】
「石油・ガス」分野では、天然ガスを圧縮することが一般的である。
【0003】
天然ガスの圧縮は、例えば、ガスが典型的には油井またはガス井から流れてくる上流プラントで行われ、このガスは典型的には種々の割合で炭化水素および/または種々の割合で水素および/または種々の割合で二酸化炭素を含む混合物である。ガスは、油井から流れてくる場合、圧縮される前に原油から分離される必要がある。
【0004】
この原油からの分離は、例えば、ガス(いわゆる、「プロセスガス」)が典型的にはパイプラインまたは別のプラントから流れてくる下流プラントで行われる。
【0005】
「石油・ガス」分野では、(対応するプラントを伴う)3つ主要な工業プロセスの段階(「上流」、「中流」および「下流」)が特定される。「中流」は一般的に「下流」に含まれる。
【0006】
注目すべきは、「石油・ガス」分野においてガスを処理すること(特に、圧縮すること)には問題が多いことである。実際に、例えば、ガスは、特に水素および/またはアンモニアを含む場合、爆発する可能性がある。
【0007】
現在まで長期間(すなわち、数十年)にわたって用いられてきた、圧縮の問題に対する解決策は、駆動機、平行軸ギヤボックス、および天然ガスを圧縮するための圧縮機(多くの場合、遠心圧縮機)の使用であって、それらすべてが列構成で接続された状態での使用を提供する。
図1では、この既知の解決策の一般的なブロック図が示されている。従来の遠心圧縮機TCCは、従来の駆動機TDRの出力に接続された従来の平行軸ギヤボックスPAGBの出力に接続される。ギヤボックスPAGBは、入力から出力へ回転数を増大させ、このことは、入力および出力における異なる数の円弧で概略的に表されている。
【0008】
絶えず性能が改善されるように、多くの具体的な解決策が考えられてきたが、上述の手法が依然として続けられている。
図1は、ギヤボックスの入力軸と出力軸の軸線が平行でかつ互いに離間していることを強調している。
【発明の概要】
【0010】
更なる大幅な改善を達成することを目的として、手法を修正する、具体的には、列を修正することを決定した。
【0011】
平行軸ギヤボックスを使用する代わりに、遊星ギヤボックスが選択された。
【0012】
遊星ギヤボックスは、何年も前から知られており、「石油・ガス」分野では既に使用されている。とにかく、この分野において、遊星ギヤボックスは、発電機を駆動する際に回転数を低下させる装置として使用されている。
図2では、この既知の解決策の一般的なブロック図が示されている。従来の発電機TEPGは、従来のタービンTTBの出力に接続された従来の遊星ギヤボックスTEGBの出力に接続されている。ギヤボックスTEGBは、入力から出力へ回転数を減少させ、このことは、入力および出力における異なる数の円弧で概略的に表されている。
図2は、ギヤボックスの入力軸と出力軸の軸線が一致していることを強調している。
【0013】
絶えず性能が改善されるように、多くの具体的な解決策が考えられてきたが、現在に至るまで上述の手法が依然として続けられている。
【0014】
「石油・ガス」分野では、クライアントに提供され設置されるプラントの信頼性が最も重要である。それゆえ、それらのプラントの(機械を含めた)構成要素は、信頼性と長期間にわたる実績に基づいて選択される。
【0015】
本発明の第1の態様は、天然ガス用の圧縮機システムである。
【0016】
その実施形態によれば、天然ガス用の圧縮機システムは、出力回転部材を備える駆動機と、入力回転部材および出力回転部材を備える遊星ギヤボックスであって、1よりも大きいギヤ比を有し、それにより入力から出力へ回転数を増大させる遊星ギヤボックスと、入力回転部材を備える、天然ガスを圧縮するための遠心圧縮機とを備え、前記駆動機の出力回転部材が、前記遊星ギヤボックスの入力回転部材に連結され、かつ、前記遊星ギヤボックスの出力回転部材が、前記遠心圧縮機の入力回転部材に連結される。
【0017】
いくつかの有利な特徴および変形例を以下に提示する。
【0018】
前記遊星ギヤボックスは、多段式および好ましくは2段式であってもよい。
【0019】
前記遊星ギヤボックスは、ギヤボックスの前記入力回転部材から前記出力回転部材に回転を伝達し、1つの歯付き部材または直径の異なる2つの歯付き部材と一体化するかまたは歯付き部材を装着する少なくとも2つ(好ましくは少なくとも3つ)の中間軸を備え得る。
【0020】
前記少なくとも2つの中間軸の軸線は、遊星ギヤボックスの入力回転部材の軸線を中心に回転するように配設してもよい。
【0021】
前記駆動機は、電動機であってもよい。
【0022】
前記駆動機は、ガスタービンであってもよい。
【0023】
前記駆動機は、蒸気タービンであってもよい。
【0024】
前記ギヤボックスを駆動機に取り付けてもよい。
【0025】
前記ギヤボックスを脚部に取り付けてもよい。
【0026】
前記ギヤボックスを駆動機と脚部の両方に取り付けてもよい。
【0027】
圧縮機システムは更に単一の底板を備え得る。この場合、前記駆動機および前記遠心圧縮機は、前記単一の底板に取り付けられる。
【0028】
遠心圧縮機は、2MW〜40MWの範囲の定格出力を有し得る。
【0029】
前記駆動機は、2つの出力回転部材を備え得る。この場合、圧縮機システムは、前記2つの出力回転部材の各々に対して遊星ギヤボックスと遠心圧縮機とを備える。
【0030】
圧縮機システムは、既に考慮に入れた遠心圧縮機に加えて、少なくとも1つの遠心圧縮機を備え得る。異なる配置も可能である。
【0031】
第1の可能性によれば、前記遠心圧縮機は、出力回転部材を備え得る。この場合、圧縮機システムは更に、入力回転部材および出力回転部材を備える別のギヤボックスと、入力回転部材を備える、天然ガスを圧縮するための別の遠心圧縮機とを備え、前記遠心圧縮機の出力回転部材が、前記別のギヤボックスの入力回転部材に連結され、かつ、前記別のギヤボックスの出力回転部材が、前記別の遠心圧縮機の入力回転部材に連結される。
【0032】
第2の可能性によれば、別の遠心圧縮機は、前記駆動機と前記遊星ギヤボックスとの間に連結される。
【0033】
圧縮機システムは更に、前記駆動機に連結されかつ前記遠心圧縮機の回転数を変化させるように配設された可変速駆動システムを備え得る。
【0034】
本発明の第2の態様は、天然ガスの圧縮方法である。
【0035】
その実施形態によれば、遠心圧縮機を介しての天然ガスの圧縮方法では、1よりも大きいギヤ比を有する遊星ギヤボックスを介して駆動機により前記遠心圧縮機を駆動する。
【0036】
いくつかの有利な特徴および変形例を以下に提示する。
【0037】
前記ギヤボックスのギヤ比は、5〜20の範囲であってもよい。
【0038】
前記遠心圧縮機は、14000rpm〜28000rpmの範囲の最大回転数で動作させてもよい。
【0039】
前記遠心圧縮機は、1.5〜40の範囲の圧力比で動作させてもよい。
【0040】
前記遠心圧縮機は、30バール〜600バールの範囲の最大吐出ガス圧力を与えるように動作させてもよい。
【0041】
前記遠心圧縮機は、1500m3/時〜100000m3/時の範囲の最大ガス流を処理するように動作させてもよい。
【0042】
前記駆動機の出力回転部材について考慮すると、2つ以上の遠心圧縮機を異なる回転数で駆動するために前記出力回転部材を使用してもよい。
【0043】
前記駆動機は、可変回転数で動作させてもよい。
【0044】
本発明の第3の態様は、プラント(すなわち、上流プラントまたは下流プラント)である。
【0045】
その実施形態によれば、プラントはガス用の圧縮機システムを備え、この圧縮機システムは、出力回転部材を備える駆動機と、入力回転部材および出力回転部材を備える遊星ギヤボックスであって、1よりも大きいギヤ比を有し、それにより入力から出力へ回転数を増大させる遊星ギヤボックスと、入力回転部材を備える、ガスを圧縮するための遠心圧縮機とを備え、前記駆動機DRの出力回転部材が、前記遊星ギヤボックスEGBの入力回転部材に連結され、かつ、前記遊星ギヤボックスの出力回転部材が、前記圧縮機の入力回転部材に連結される。
【0046】
プラントは、上流型(詳細には、海洋用上流型)であってもよい。
【0048】
前記圧縮機システムは、上で提示した1つまたは複数の技術的特徴を備え得る。
【0049】
本明細書に組み込まれかつその一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、明細書の記述と共にこれらの実施形態を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
例示的な実施形態の以下の説明では、添付図面を参照する。異なる図面における同一の参照符号は、同一または類似の要素を示す。以下の詳細な説明は、本発明を限定するものではない。むしろ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【0052】
本明細書全体を通して、「一実施形態」または「実施形態」という場合、実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、または特性が、開示された主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所で「一実施形態において」または「実施形態において」という表現が見られるが、必ずしも同一の実施形態について言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態においてあらゆる好適な態様で組み合わせてもよい。
【0053】
図3は、本明細書に開示する圧縮機システムの原理を概略的に示している。
【0054】
この圧縮機システムは、駆動機DRと、遊星ギヤボックスEGBと、天然ガスを圧縮するための遠心圧縮機CCとを備える。
【0055】
駆動機DRは、出力回転部材DOを備える。遊星ギヤボックスEGBは、入力回転部材のGIおよび出力回転部材GOを備える。遠心圧縮機CCは、入力回転部材CIを備える。
【0056】
なお、単に理解をより容易にするために、
図3の回転部材はすべて、それぞれの機械の箱形部分から突出する軸として示されている。
【0057】
駆動機DRの出力回転部材DOは、遊星ギヤボックスEGBの入力回転部材GIに連結される。遊星ギヤボックスEGBの出力回転部材GOは、遠心圧縮機CCの入力回転部材CIに連結される。
【0058】
なお、これらのカップリングは、他の装置および/または機械が駆動機DRと遊星ギヤボックスEGBとの間および遊星ギヤボックスEGBと遠心圧縮機CCとの間に接続され得ることを示すために、
図3に破線として示されている。とにかく、圧縮機システムのいくつかの典型的な実施形態によれば、例えば、
図4および
図5および
図6に示すように、2つの機械の間に機械が全く接続されない。
【0059】
遊星ギヤボックスEGBのギヤ比は、1よりも大きく(典型的には1よりもはるかに大きく)、それにより入力から出力へ回転数を増大させる。このことは、入力(すなわち、部材GI)および出力(すなわち、部材GO)における異なる数の円弧で概略的に表されている。具体的には、入力回転部材GIの隣に円弧が1つあり、これは低回転数を意味し、出力回転部材GOの隣に円弧が3つあり、これは高回転数を意味する。
【0060】
明確にすべきは、遊星ギヤ装置では、「遊星ギヤ」と呼ばれる、2つ以上の外ギヤ(典型的には、3つ以上の外ギヤ)が、「太陽ギヤ」と呼ばれる中央ギヤと噛み合うことである。「遊星ギヤ」は、「太陽ギヤ」の周囲を公転するように固定または配設してもよい。「遊星ギヤ」が「太陽ギヤ」の周囲を公転するように配設される場合、「内歯」と呼ばれる外輪ギヤは、「遊星ギヤ」を取り囲みかつ「遊星ギヤ」と噛み合う。
【0061】
平行軸ギヤボックスの代わりに遊星ギヤボックスを使用することにより、特に圧縮機システムの設置面積の点において、相当の(横方向の)空間の節約が可能となる。これは、入力軸および出力軸が、平行でかつ横方向に離間するのではなく、一列に並んでいることによるものである。
【0062】
遊星ギヤボックスの潤滑条件が平行軸ギヤボックスの潤滑条件よりも緩いので、平行軸ギヤボックスの代わりに遊星ギヤボックスを使用することにより、より簡単なギヤボックス潤滑システムの使用が可能となる。
【0063】
なお、上で説明した原則は、多くの異なる方法で具体化することができる。具体的な実施形態の構成および設計は、例えば、ガス井または油井から流れてくる天然ガスの組成および/または圧力を含む、多くの要因により影響される。
【0064】
図中にCC、CC1、CC2、CC3、CCA、CCB、CCCと表示された遠心圧縮機などの、「石油・ガス」分野における本特許出願のために考慮される遠心圧縮機は、2MW〜40MWの範囲の定格出力を有する。
【0065】
本発明では、運転中に、遠心圧縮機が高回転数で回転することが重要である。このことは、(比較的)高いギヤ比を有する遊星ギヤボックスにより達成される。
【0066】
好ましい実施形態によれば、遊星ギヤボックスのギヤ比は、5〜20の範囲である。このような高いギヤ比を達成するために、多段式遊星ギヤ装置を使用してもよい。2段式遊星ギヤ装置は、ギヤボックスの径方向サイズ、軸方向サイズ、重量、ギヤ比の点で良好な妥協案である。
【0067】
好ましい実施形態によれば、遊星ギヤボックスは、ギヤボックスの入力回転部材から出力回転部材に回転を伝達する少なくとも2つの中間軸を備える。これらの中間軸の各々は、限られた空間内でギヤ比を増大させるように中間軸の両側に位置する直径の異なる2つの歯付き部材と一体化するかまたは歯付き部材を装着してもよい。これらの中間軸は、遊星ギヤボックスの入力回転部材の軸線を中心に回転するように配設してもよい。有利には、入力回転部材の周囲に対称的に位置する3つまたは5つの中間軸が使用される。前述のギヤボックスの解決策は、2つの段が単一の配置で一体化される、特定の種類の2段式遊星ギヤボックスであると考えてもよく、「複合ギヤ装置」と呼ばれる。
【0068】
図4の実施形態では、電動機EMが駆動機として使用される。天然ガスを圧縮するために電動機を使用することは、特に海洋プラットフォーム用の上流での適用において典型的である。
図4の圧縮機システムは、列構成で接続された、電動機EMと、遊星ギヤボックスEGB1と、遠心圧縮機CC1とを備える。
【0069】
図5の実施形態では、ガスタービンGTが駆動機として使用される。
図5の圧縮機システムは、列構成で接続された、ガスタービンGTと、遊星ギヤボックスEGB2と、遠心圧縮機CC2とを備える。
【0070】
図6の実施形態では、蒸気タービンSTが駆動機として使用される。
図6の圧縮機システムは、列構成で接続された、蒸気タービンSTと、遊星ギヤボックスEGB3と、遠心圧縮機CC3とを備える。
【0071】
駆動機の選択は、多くの要因に影響される。
【0072】
図7および
図8および
図9は、非常に概略的にではあるが、圧縮機システムの構造を強調している。これらの図は、使用される駆動機の種類を特定せず、列構成で接続された、駆動機DR、遊星ギヤボックスEGB、および遠心圧縮機を簡単に示している。
【0073】
図7および
図8および
図9の実施形態はすべて、単一の底板BPを備えかつ駆動機DRおよび遠心圧縮機CCが底板BPに取り付けられる。
【0074】
図7において、遊星ギヤボックスEGBは、底板BPにのみ取り付けられている。
【0075】
図9において、遊星ギヤボックスEGBは、駆動機DRにのみ取り付けられている。
【0076】
図8において、遊星ギヤボックスEGBは、底板BPに部分的に取り付けられかつ駆動機DRに部分的に取り付けられている。
【0077】
本発明によれば、遊星ギヤボックスを遠心圧縮機に取り付けることが好ましい選択ではないことは、
図7および
図8および
図9から明らかである。実際に、遠心圧縮機の選択および設計は、既に困難であり、圧縮機システムの具体的な適用および適用条件に依存する。それゆえ、ギヤボックスを遠心圧縮機に取り付ける必要性も考慮することにより、遠心圧縮機の選択および設計の更なる複雑化を避けることが好ましい。
【0078】
図7および
図8および
図9で概略的に強調するように、遊星ギヤボックスを駆動機(典型的には、電動機)に直接取り付けることにより、非常にコンパクトな(すなわち、設置面積の小さい)配置となる。2重取り付け(
図8を参照)は、設置面積のサイズと、駆動機およびギヤボックスのフランジ設計の機械的な複雑さとの間の妥協案である。
【0079】
遊星ギヤボックスの選択は、多くの要因に影響される。
【0080】
ギヤボックスを駆動機に直接取り付けることにより、特に圧縮機システムの設置面積の点において、相当の(長手方向の)空間の節約が可能となる。
【0081】
圧縮機システムの他の実施形態は、例えば
図10、
図11、
図12に示すように、列構成で接続された3つを超える多数の機械を備える。
【0082】
図10では、駆動機DRが2つ出力回転部材を(詳細には、両側に)備え、かつ2つの出力回転部材の各々に対して遊星ギヤボックス(EGBAおよびEGBB)ならびに遠心圧縮機(CCAおよびCCB)が存在する、実施形態が示されている。これは2列構成であると考えてもよい。
【0083】
図11において、圧縮機システムは、遠心圧縮機CCに加えて、別の遠心圧縮機CCCを備える。この場合、遠心圧縮機CCは、出力回転部材(図示せず)を有する。有利には、2つの圧縮機のCCとCCCが異なる回転数で回転し得るように、別のギヤボックスGBが設けられる。
【0084】
機械的接続は一列構成である。機械の回転部材は図示していない。駆動機DRの出力回転部材は、遊星ギヤボックスEGBの入力回転部材に接続され、遊星ギヤボックスEGBの出力回転部材は、遠心圧縮機CCの入力回転部材に接続され、遠心圧縮機CCの出力回転部材は、ギヤボックスGBの入力回転部材に接続され、ギヤボックスGBの出力回転部材は、遠心圧縮機CCCの入力回転部材に接続される。
図11を
図1と比較すると、遠心圧縮機CCの下流側にかつ同じ列の一部として、他の機械が機械的に接続されていることが分かる。
【0085】
図11の実施形態における流体接続では、遠心圧縮機CCにより圧縮されたガスが、遠心圧縮機CCCにより更に圧縮される。それゆえ、一般的に、遠心圧縮機CCCの回転数が遠心圧縮機CCの回転数よりもはるかに高い必要はない。それゆえ、ギヤボックスGBは、遊星ギヤボックスである場合もあるが、(高いギヤ比を有する)遊星ギヤボックスである必要はない。
【0086】
図12においても、圧縮機システムは、遠心圧縮機CCに加えて、別の遠心圧縮機CCCを備える。別のギヤボックスGBも設けてもよい。
【0087】
機械的接続は一列構成である。機械の回転部材は図示していない。駆動機DRの出力回転部材は、ギヤボックスGBの入力回転部材に接続され、ギヤボックスGBの出力回転部材は、遠心圧縮機CCCの入力回転部材に接続され、遠心圧縮機CCCの出力回転部材は、遊星ギヤボックスEGBの入力回転部材に接続され、遊星ギヤボックスEGBの出力回転部材は、遠心圧縮機CCの入力回転部材に接続される。
図12を
図1と比較すると、遊星ギヤボックスEGBと駆動機DRとの間にかつ同じ列の一部として、他の機械が機械的に接続されていることが分かる。
【0088】
図12の実施形態における流体接続では、遠心圧縮機CCCにより圧縮されたガスが、遠心圧縮機CCにより更に圧縮される。遠心圧縮機CCの回転数は、遊星ギヤボックスEGBの存在により、遠心圧縮機CCCの回転数よりもはるかに高い。それゆえ、ギヤボックスGBを省略してもよく、または(
図12のように)存在する場合には、ギヤボックスGBは、遊星ギヤボックスである場合もあるが、(高いギヤ比を有する)遊星ギヤボックスである必要はない。
【0089】
特に、電動機が圧縮機システム内で駆動機として使用される場合には、駆動機に連結されかつ遠心圧縮機または圧縮機の回転数を変化させるように配設される可変速駆動(VSD)システムを、圧縮機システム内に設けることが有益である。例えば、50Hzの周波数で動作する信頼性の高い4極の交流誘導電動機を、0Hz〜最大75Hzまで周波数を変化させることができる信頼性の高いVSDシステムと組み合わせてもよい。これにより、0rpm〜2250rpmの回転数がもたらされる。
【0090】
図13および
図14のグラフにおいて、定格出力はメガワットで表され、ギヤ比は純粋な数として表される。
【0091】
PAGBと表示された
図13のグラフは、本発明者らにより導き出されたものであり、ガスタービンと併用して平行軸ギヤボックスを用いることの合理的な限界に対応する。このグラフは、約6000rpmの駆動機として働くガスタービンの回転数を想定している。この限界を超えると、平行軸ギヤボックスを使用することができず、遊星ギヤボックスを考慮に入れなければならない。
【0092】
蒸気タービンに関しても、類似したグラフを提供することができる。
【0093】
PAGBおよびEGBと表示された
図14のグラフは、本発明者らにより導き出されたものであり、電動機と併用して平行軸ギヤボックスと遊星ギヤボックスをそれぞれ用いることの合理的な限界に対応する。これらのグラフは、約1500rpm(50Hz運転)の駆動機として働く電動機の回転数を想定している。約1800rpm(60Hz運転)の回転数に関しても、極めて類似したグラフを提供することができる。4極の交流誘導電動機と遊星ギヤボックスの組合せの(現在の技術による)適用の最良領域は、これらの2つのグラフの間である。特定のガス混合物が圧縮されることにより爆発の危険性を伴う環境でさえ、4極の交流誘導電動機は、超高出力用途(例えば、2〜40MW)で使用されることが認められることを考慮に入れるべきである。
【0094】
明確にすべきは、
図14では4極電動機の使用を示しているが、本発明は、2極電動機の使用を排除するものではないということである。
【0095】
加えて、注目すべきは、
図14では複合遊星ギヤボックス(すなわち、約10または11よりも大きいギヤ比を有するギヤボックス)を示しているが、本発明は、必要とされるギヤ比が比較的低い(例えば、10または11よりも低い)場合での、「単純」(すなわち、複合ではない)遊星ギヤボックスの使用を排除するものではないということである。
【0096】
上で説明した実施形態におけるガスの圧縮は、1よりも大きいギヤ比を有する遊星ギヤボックスを介して駆動機により駆動される遠心圧縮機によって、少なくとも部分的に実行される。
【0097】
図15に示すように、一般的に、遠心圧縮機CCが、適切な設計および/または選択に従って配設される(ステップ1610)、駆動機DRが、適切な設計および/または選択に従って配設される(ステップ1620)、遊星ギヤボックスEGBが、適切な設計および/または選択に従って配設される(ステップ1630)。駆動機DRを回転させる(ステップ1640)ことにより、遊星ギヤボックスEGBによって遠心圧縮機CCをも回転させる。間違いなく、駆動機DRを始動させる前に、ガスが遠心圧縮機CCの入口に供給される。
【0098】
圧縮機の高回転数に達するように、遊星ギヤボックスが使用される。それゆえ、好ましくは、遊星ギヤボックスのギヤ比は、用途に応じて、5〜20の範囲である。遊星ギヤボックスは、これに従って設計される。
【0099】
好ましくは、遠心圧縮機は、用途に応じて、14000rpm〜28000rpmの範囲の最大回転数で動作させる。現在の技術では、上限は約22000rpmに選択される。遠心圧縮機は、これに従って設計される。
【0100】
(遊星ギヤ装置を介して達成される)高回転数により、より小型で、より効率の良い遠心圧縮機の使用が可能となる。
【0101】
好ましくは、遠心圧縮機は、用途に応じて、1.5〜40の範囲の圧力比で動作させる。非常に高い圧力比が望ましいが、ガス混合物が圧力比の選択に影響する。例えば、天然ガスに水素が豊富である場合には、爆発の危険性があるため、上述の範囲の比較的低い部分が好ましい。
【0102】
遠心圧縮機は、用途に応じて、30バール〜600バールの範囲の最大吐出ガス圧力を与えるように動作させる。
【0103】
遠心圧縮機は、用途に応じて、1500m3/時〜100000m3/時の範囲の最大ガス流を処理するように動作させる。
【0104】
遠心圧縮機を動作させるための先に提示したパラメータの範囲は、遠心圧縮機の技術的特徴ならびに駆動機および遊星ギヤボックスの技術的特徴に影響する。
【0105】
ステップ1640は、遠心圧縮機の駆動機を回転させ、その結果、駆動機に接続または連結された圧縮機システムの任意の遠心圧縮機を回転させることをもたらす。
【0106】
回転数は、安定運転(すなわち、安定状態)時にしばしば一定である。とにかく、例えば、起動時または異なる安定状態が考慮される場合には、回転数を変化させることが有利であろう。この目的で、VSDシステムが有利に使用される。
【0107】
具体的かつ有利な実施形態によれば、複数の遠心圧縮機が存在し、方法は、同じ駆動機によって2つ以上の遠心圧縮機を異なる回転数で駆動することをもたらす。このことは、例えば、2つの直列の圧縮段を駆動するときに有効である。
【0108】
上で説明した圧縮機システムおよび方法は、典型的には、「石油・ガス」産業のプラント(すなわち、「上流」および/または「下流」プラント)で適用および使用される。
図16は、圧縮天然ガスをパイプラインPLに給送する圧縮機システムCSを備える海洋プラットフォームOPを示している。これは、「上流」での適用の一例である。代替的に、井に注入される圧縮ガスを生成するために、圧縮機システムCSを海洋プラットフォームで使用してもよい。
【0109】
電動機(特に、4極電動機)と遊星ギヤボックス(特に、複合遊星ギヤボックス)と遠心圧縮機とを組み合わせ、この組合せを
図16に示すような圧縮機システムとして使用することにより、非常に良好な結果が達成される。
【0110】
「下流」での適用の特定の例は、アンモニアの圧縮であってもよい。
【0111】
上記を踏まえ、当業者であれば、前述の実施形態および添付の特許請求の範囲内にある実施形態の利点を理解する。
【0112】
圧縮機システムの遠心圧縮機に関して、いくつかの利点は以下の通りである:
‐小型化、
‐効率の改善、
‐軽量化、
‐設置面積の縮小。
【0113】
圧縮機システムの駆動機に関して、いくつかの利点は以下の通りである:
‐低出力の駆動機の使用できること、
‐低速の駆動機を使用できること、
‐軽量化、
‐設置面積の縮小。
【0114】
圧縮機システムのギヤボックスに関して、いくつかの利点は以下の通りである:
‐軽量、
‐小型、
‐小さい設置面積、
‐低い潤滑油消費量、
‐高い効率(最大1%)。
【0115】
圧縮機システムの底板に関して、いくつかの利点は以下の通りである:
‐小型、
‐軽量。
【0116】
当業者であれば、上に列挙した利点の各々が異なる実施形態に異なる程度に当てはまることを理解する。