(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インターホン回路と呼び出し機能を実現する制御部とを備えた複数のリモコンと、前記複数のリモコンが制御する給湯器本体とがケーブルで接続される給湯器システムであって、
各々の前記インターホン回路は、第1のPLL制御を用いて生成した第1の変調信号を前記ケーブルに出力する変調回路、及び相手リモコンが出力し、前記ケーブルから入力した第2の変調信号を第2のPLL制御を用いて復調する復調回路を備えるものであり、
前記制御部は、前記第1のPLL制御のアンロック状態又は第2のPLL制御のアンロック状態が所定時間以上継続したとき、前記呼び出し機能を実現する
ことを特徴とする給湯器システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態である給湯器システムの構成図である。
給湯器システム500は、給湯器本体300と、台所リモコン100と、浴室リモコン200との複数のリモコンを備え、給湯器本体300と台所リモコン100との間、及び給湯器本体300と浴室リモコン200との間は、ケーブル400で接続されている。ここで、台所リモコン100、及び浴室リモコン200は、インターホン装置としての機能を有し、相手リモコン(相手側インターホン装置)と会話が可能に構成されている。
【0012】
また、台所リモコン100、及び浴室リモコン200の2つのリモコンは、相手リモコンの使用者を「ピンポンパンポン」というアラームや「呼び出しがあります。」等の呼び出し音で呼び出す呼出機能(呼出モード)を備えている。ここで、相手リモコンとは、台所リモコン100でインターホンSWが押下されたときには、浴室リモコン200のことを云い、浴室リモコン200でインターホンSWが押下されたときには、台所リモコン100のことを云う。
【0013】
(ケーブル)
ケーブル400は、電源電圧12Vの直流電力を供給するものであり、2芯ケーブルである。ケーブル400は、規格ケーブルが規定されており、例えば、長さ30mのAWG23の線材である。また、ケーブル400は、12Vの直流電圧に制御用のデジタル信号や、インターホン用のアナログ音声信号を重畳させて使用している。
【0014】
(給湯器本体)
給湯器本体300は、電源装置31と、通信回路20と、マイコン52と、不揮発性記憶部60とを備え、不揮発性記憶部60は、書き換え可能なFROM(Flash Read Only Memory)であり、故障履歴65を格納する領域が確保されている。
【0015】
電源装置31は、台所リモコン100、及び浴室リモコン200に直流電力を供給するための、直流電圧12Vの電源装置である。通信回路20は、台所リモコン100、及び浴室リモコン200と給湯器本体300との間でデジタル通信を行うものであり、数百kHzの周波数をケーブル400の直流電圧12Vに重畳させている。このため、通信回路20は、カップリングコンデンサを介してケーブル400と接続されている。
【0016】
(リモコン)
台所リモコン100、及び浴室リモコン200は、同一構成であり、インターホン回路10と、マイコン50と、通信回路20と、電源回路30と、アンプ40と、入力表示部70とを備え、スピーカ45、及びマイク46を接続している。なお、通信回路20は、給湯器本体300の通信回路20と同一回路で構成されており、マイコン50と接続されている。
【0017】
インターホン回路10は、給湯器本体300を介して、台所リモコン100と浴室リモコン200との間で会話を行うものであり、復調回路12と変調回路14とを備え、カップリングコンデンサを介してケーブル400に接続されている。
【0018】
マイク46は、音声をアナログ音声信号に変換するものであり、増幅器42を介して、アナログ音声信号がインターホン回路10の変調回路14に入力される。変調回路14は、2.3MHz帯や2.8MHz帯の搬送波を用いて、アナログ音声信号をFM変調するものであり、変調(FM)出力レベルは、例えば、1Vppである。復調回路12は、FM変調された例えば、変調信号を復調し、アナログ音声信号を出力するものであり、復調(AF)出力レベルは、0.5Vppである。変調回路14、及び復調回路12は、PLL(Phase Locked Loop)を制御する制御信号が入力され、PLLロック状態か否かを示すロック信号が出力される。
【0019】
なお、
図1において、浴室リモコン200の復調回路12、及びそのロック信号に太い「×」が付してあるが、この「×」は復調回路12の故障や不具合を示している。
【0020】
図2は、リモコンに備えられる変調回路の動作を説明するための波形図である。
変調回路14(
図1)は、制御信号、及び音声信号が入力され、ロック信号、及びFM変調信号が出力される。ここで、制御信号は、マイコン50のI/Oポート58(
図3)から入力され、ロック信号は、マイコン50のI/Oポート58に出力するものであり、音声信号はマイク46から増幅器42を介して入力されるものである。
【0021】
制御信号は、変調回路14を起動制御するものであり、LOWレベルでパワーダウン状態になり、HIGHレベルでパワーオン状態になる。音声信号は、パワーダウン状態でも入力可能である。変調回路14は、制御信号がHIGHレベルになり、パワーオン状態になると、設定された第1搬送周波数(例えば、2.3MHz帯)になるように位相同期制御(第1のPLL制御)された高周波信号(搬送波信号)を図示しない電圧制御発振器(VCO:Variable Control Oscillator)が発生する。
【0022】
変調回路14は、高周波信号の周波数と設定された第1搬送周波数とが一致(ロック)すると、ロック信号をHIGHレベルからLOWレベルに遷移させる。高周波信号の周波数と設定された第1搬送周波数とが一致する前をPLLアンロック状態といい、周波数が一致するとPLLロック状態という。そして、変調回路14は、PLLロック状態になると、変調回路14は、FM変調動作を行う。なお、PLL制御は、制御信号がハイレベルに遷移してからロックするまでに所定時間必要であり、この所定時間は、図示しないLPF(Low Pass Filter)のパラメータ等に依存する。
【0023】
次に、復調回路12の動作を簡単に説明する。PLL制御回路は、入力された周波数変調信号と同一の高周波信号になるように電圧制御発振器(VCO)の出力をPLL制御(第2のPLL制御)する。このとき、VCOの制御電圧はロック電圧を中心に電圧偏移しており、これは入力された周波数変調信号の周波数偏移と一致する。このため、VCOの制御電圧は、復調された低周波信号になっている。なお、入力された周波数変調信号は、相手方の変調信号であり、高周波信号は第2搬送周波数(例えば、2.8MHz帯))に設定されている。
【0024】
図1に戻り、アンプ40は、復調回路12が出力するアナログ音声信号を増幅して、スピーカ45に出力するものである。また、アンプ40は、マイコン50のD/A変換器59(
図3)が出力するアナログ音声信号を入力・増幅し、スピーカ45に出力するようにも構成されている。ここで、マイコン50は、呼び出しモードに設定されたときに、音声ガイド「呼び出しがあります。」のデジタル音声信号を生成する。
【0025】
電源回路30は、ケーブル400を介して供給された電源電圧12Vの直流電力をアンプ40に供給したり、三端子電源で電源電圧12Vを5Vに降圧し、降圧された直流電力をマイコン50、通信回路20やインターホン回路10に供給したりする。
【0026】
入力表示部70は、複数のスイッチ(例えば、インターホンSW)やLCD(Liquid Crystal Display)を備え、各種入力や表示を行うものである。
【0027】
図3、
図4は、マイコンの構成図である。
マイコン50(50a),52は、CPU(Central Processing Unit)55、ROM(Read Only Memory)56、RAM(Random Access Memory)57、I/Oポート58、D/A変換器59を内蔵したワンチップマイコンである。マイコン50,52のCPU55は、ROM56に格納されたプログラムを実行することにより、機能を実現する制御部である。
【0028】
台所リモコン100、及び浴室リモコン200に備えられるCPU55(
図3)は、プログラムを実行することにより、インターホンスイッチ機能部86と、インターホン信号処理部87と、呼出信号処理部88との機能を実現し、呼出信号処理部88は、音声信号生成部84を含んでいる。インターホンスイッチ機能部86は、インターホンSWが押下されたときに機能する機能部であり、相手リモコンにインターホン信号を送信し、インターホン回路10が故障や不具合があったときに、呼出モードに切り替え、相手リモコンに呼出信号や故障信号を送信する。
【0029】
インターホン信号処理部87は、インターホン信号を受信したときに機能する機能部であり、インターホン回路10が故障や不具合があったときに、呼出モードに切り替え、相手リモコンに呼出信号や故障信号を送信する。呼出信号処理部88は、呼出信号を受信したときに呼び出し機能を実現するために、デジタル音声信号を生成する機能部である。
【0030】
また、インターホンスイッチ機能部86、及びインターホン信号処理部87は、インターホン回路10のロック信号を監視し、故障や不具合を検知するように構成されている。つまり、インターホンスイッチ機能部86、及びインターホン信号処理部87は、制御信号(
図2)をHIGHレベルにした後、一定時間以上、ロック信号が立ち上がった状態(アンロック状態)のときに、故障や不具合と判定する。
【0031】
給湯器本体300に備えられるマイコン52のCPU55(
図4)は、インターホン信号処理部89、及び故障履歴格納部85の機能を実現する制御部(他の制御部)である。インターホン信号処理部89は、台所リモコン100、及び浴室リモコン200の何れか一方からインターホン信号を受信したときに機能する機能部である。故障履歴格納部85は、台所リモコン100や浴室リモコン200から受信した情報(故障信号)に基づいて、書き込み可能な不揮発性記憶部60に故障履歴65を格納(追記)する機能部である。
【0032】
(動作)
図5は、本発明の第1実施形態のリモコンにおいて、インターホンSWが押下されたときのフローチャートである。
このルーチンは、台所リモコン100、及び浴室リモコン200の何れか一方のインターホンSWが押下されたときに起動する。
【0033】
インターホンスイッチ機能部86は、インターホンモードに設定されているか、呼出モードに設定されているか判定する(S102)。インターホンモードに設定されていると判定されたら(S102でインターホン設定)、インターホンスイッチ機能部86は、給湯器本体300(
図1)の本体基板、及び相手リモコンにインターホン信号を送信する(S104)。
【0034】
S104の処理後、インターホンスイッチ機能部86は、給湯器本体300の本体基板からインターホン回路10の故障履歴65(
図1)を受信して、故障履歴65があるか否か判定する(S106)。故障履歴65が無かったら(S104でNo)、インターホンスイッチ機能部86は、インターホン回路10をONにする(S108)。つまり、インターホンスイッチ機能部86は、I/Oポート58(
図3)を制御して、インターホン回路10の制御信号をLOWレベルからHIGHレベルに変化させる(S108)。
【0035】
S108の処理後、インターホンスイッチ機能部86は、一定時間、変調回路・復調回路のロック信号があるか否か判定する(S110)。一定時間のロック信号があったとき、つまり、LOWレベルのロック信号が一定時間あったときには(S110でYes)、インターホンスイッチ機能部86は、相手リモコンの故障信号が無かったか否か判定する(S112)。相手リモコンの故障信号が無かったときには(S112でYes)、インターホン通話が開始される(S114)。なお、
図5のS114は破線で示しているが、この破線は、使用者の動作を示している。そして、押下されたインターホンSWが復帰したり、通話が一定時間以上経過したりしたら、インターホンスイッチ機能部86は、インターホン通話が終了したこととし(S116)、通常動作を行う(S118)。
【0036】
一方、S110において、一定時間のロック信号が無かったときには(S110でNo)、インターホンスイッチ機能部86は、インターホン回路10をOFFにする(S130)。つまり、インターホンスイッチ機能部86は、ロック信号がHIGHレベルからLOWレベルに遷移せず、アンロック状態が継続しているときには(S110でNo)、制御信号をHIGHレベルからLOWレベルに変化させ(S130)、給湯器本体300の本体基板、及び相手リモコンに故障信号を送信する(S132)。
【0037】
S132の処理後、及び給湯器本体300の本体基板に故障履歴65(
図1)があったと判定されたときには(S106でYes)、インターホンスイッチ機能部86は、呼出モードに切り替え(S134)、呼出モードに切り替えたことを入力表示部70(
図1)のLCDに表示し(S136)、通常動作を行う(S138)。
【0038】
またS112において、相手リモコンの故障信号があったと判定されたときには(S112でNo)、インターホンスイッチ機能部86は、インターホン回路10をOFFさせる(S120)。つまり、インターホンスイッチ機能部86は、インターホン回路10の制御信号をLOWレベルに変化させる(S120)。S120の処理後、インターホンスイッチ機能部86は、呼出モードに切り替え(S134)、呼出モードに切り替えたことを入力表示部70(
図1)のLCDに表示し(S136)、通常動作を行う(S138)。
【0039】
また、S102の判定において、呼出モードに設定されていると判定されたら(S102で呼出設定)、インターホンスイッチ機能部86は、給湯器本体300の本体基板、及び相手リモコンに呼出信号を送信し(S140)、通常動作を行う(S142)。
【0040】
図6は、本発明の第1実施形態のリモコンにおいて、インターホン信号を受信したときのフローチャートである。
このルーチンは、台所リモコン100、及び浴室リモコン200の何れか一方のリモコンが相手方リモコンからインターホン信号を受信したときに起動する。
【0041】
インターホン信号処理部87は、給湯器本体300の本体基板からインターホン回路10の故障履歴65(
図1)を受信し、故障履歴65があるか否か判定する(S202)。故障履歴65が無かったときは(S202でNo)、インターホン信号処理部87は、インターホン回路10をONさせる(S204)。つまり、インターホン信号処理部87は、インターホン回路10の制御信号をLOWレベルからHIGHレベルに変化させる(S204)。
【0042】
S204の処理後、インターホン信号処理部87は、一定時間、変調回路・復調回路のロック信号があるか否か判定する(S206)。一定時間のロック信号があったとき、つまり、ロック信号が一定時間以上、LOWレベルが継続していたときには(S206でYes)、インターホン信号処理部87は、相手リモコンの故障信号が無かったか否か判定する(S208)。相手リモコンの故障信号が無かったときには(S208でYes)、インターホン通話が開始される(S210)。そして、押下されたインターホンSWが復帰したり、通話が一定時間以上経過したりしたら、インターホン信号処理部87は、インターホン通話が終了したこととし(S212)、通常動作を行う(S214)。
【0043】
一方、S208において、相手リモコンの故障信号があったと判定されたときには(S208でNo)、インターホン信号処理部87は、インターホン回路10をOFFさせる(S216)。つまり、インターホン信号処理部87は、インターホン回路10の制御信号をLOWに遷移させる(S216)。
【0044】
また、S206において、一定時間のロック信号が無かったときには(S206でNo)、インターホン信号処理部87は、インターホン回路10をOFFにする(S220)。つまり、インターホン信号処理部87は、ロック信号がHIGHレベルからLOWレベルに遷移せず、アンロック状態が継続しているときには(S206でNo)、制御信号をHIGHレベルからLOWレベルに変化させ(S220)、給湯器本体300の本体基板、及び相手リモコンに故障信号を送信する(S222)。
【0045】
S222の処理後、S216の処理後、又は給湯器本体300の本体基板に故障履歴65があったと判定されたときには(S202でYes)、インターホン信号処理部87は、呼出モードに切り替え(S224)、呼出モードに切り替えたことを入力表示部70(
図1)のLCDに表示し(S226)、相手リモコンからの呼出があることを音声で報知する(S228)。つまり、呼出信号処理部88は、音声信号生成部84を用いて、例えば、「ピンポンパンポン」というアラームや「呼び出しがあります。」等の呼び出し音の音声信号を生成し(S228)、スピーカ45(
図1)から放音させる。そして、呼出信号処理部88は、通常動作を行う(S230)。
【0046】
図7は、本発明の第1実施形態のリモコンにおいて、呼出信号を受信したときのフローチャートである。
このルーチンは、台所リモコン100、及び浴室リモコン200の何れか一方のリモコンが相手方リモコンから呼出信号を受信したときに起動する。
【0047】
呼出信号処理部88は、相手リモコンからの呼出があることを音声で報知し(S250)、通常動作を行う(S252)。つまり、呼出信号を受信した側のマイコン50(
図3)は、「呼び出しがあります。」等の音声信号を生成し、D/A変換器59、アンプ40を介して、スピーカ45から放音させる。
【0048】
図8は、本発明の第1実施形態の給湯器本体のフローチャートである。
このルーチンは、給湯器本体300が台所リモコン100、及び浴室リモコン200の何れか一方からインターホン信号を受信したら起動する。
【0049】
インターホン信号処理部89(
図4)は、インターホン回路10の故障履歴65(
図1)があるか否か判定する(S302)。故障履歴65があったときには(S302でYes)、インターホン信号処理部89は、全リモコンにインターホン回路10の故障履歴65ありの信号を送信し(S306)、通常動作を行う(S310)。
【0050】
一方、故障履歴が無かったときには(S302でNo)、インターホン信号処理部89は、故障信号があるか否かの判定を行う(S304)。故障信号を確認できたときには(S304でYes)、インターホン信号処理部89は、インターホン回路10の故障履歴65をメモリ(書き込み可能な不揮発性記憶部60(
図1))に記憶し(S308)、通常動作を行う(S310)。一方、故障信号が無かったときには(S304でNo)、通常動作を行う(S310)。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の台所リモコン100、及び浴室リモコン200は、インターホン回路10のPLL制御のロック信号(
図2)が一定時間以上継続してLOWレベルに遷移しないときには、マイコン50は、インターホン回路10に故障乃至不具合があったと判断し(
図5のS110、
図6のS206)、相手リモコンに故障信号を送信し(
図5のS132、
図6のS222)、呼出モードに切り替える(
図5のS134、
図6のS224)。
【0052】
これにより、例えば、浴室リモコン200のインターホンSWが押下された場合に、浴室リモコン200、又は台所リモコン100のインターホン回路10に故障乃至不具合があると、インターホンSWが押下されなかった側の台所リモコン100のマイコン50(
図3)は、「浴室で呼び出しがあります。」等のデジタル音声信号を生成し、D/A変換器59、アンプ40を介して、スピーカ45から放音させる。
【0053】
インターホン回路10の変調回路14は、アナログのFM変調信号を出力する一方、通信回路20は、故障信号や呼出信号の送信(
図5のS132、
図6のS222)を、デジタル伝送で行う。また、インターホン回路10の変調信号の振幅は、例えば、1Vppであり、デジタル信号の振幅は5Vppである。したがって、インターホン回路10に不具合が生じるほど、ケーブル400が長く敷設されていても、通信回路20は正常に動作し、呼び出しモードに移行することができる。
【0054】
(第2実施形態)
前記第1実施形態は、インターホンSWを押下した側のリモコンがインターホン信号や呼出信号を相手リモコンに送信して、相手リモコンが受信した信号に基づいた処理を実行したが、第2実施形態は、インターホンSWを押下した側のリモコンが相手リモコンを直接制御するように構成している。
【0055】
図9は、本発明の第2実施形態のリモコンに備えられるマイコンの構成図である。
台所リモコン100、及び浴室リモコン200に備えられるマイコン50bのCPU55は、プログラムを実行することにより、インターホン回路故障検知部81と、相手リモコン制御部82と、呼び出しモード機能部83との機能を実現し、呼び出しモード機能部83は、前記した音声信号生成部84を含んでいる。インターホン回路故障検知部81は、インターホン回路10のロック信号を監視し、故障を検知する。つまり、インターホン回路故障検知部81は、制御信号(
図2)をHIGHレベルにした後、一定時間以上、ロック信号が立ち上がった状態(アンロック状態)のときに、故障と判定する。
【0056】
相手リモコン制御部82は、台所リモコン100から浴室リモコン200の一部機能を制御するものであり、例えば、相手リモコンのインターホン回路10のON/OFF制御を行ったり、呼び出しモードへの移行を制御したりする。
【0057】
呼び出しモード機能部83は、浴室リモコン200から呼び出しモード移行の指示があったときに、音声信号生成部84を用いて、例えば、呼び出し音や、音声ガイダンス「呼び出しがあります。」の音声信号を生成する。
【0058】
給湯器本体300に備えられるマイコン52のCPU55(
図4)は、前記したように、故障履歴格納部85の機能を実現する。故障履歴格納部85は、台所リモコン100や浴室リモコン200から受信した情報に基づいて、書き込み可能な不揮発性記憶部60に故障履歴65を格納(追記)する。
【0059】
(動作)
図10は、本発明の第2実施形態である給湯器システムのリモコンのフローチャートである。
このルーチンは、台所リモコン100又は浴室リモコン200のインターホン通話スイッチがONされたときに、ONされた側のリモコンで起動する。ここでは、浴室リモコン200は、そのインターホン通話スイッチがONされたが、復調回路12が故障や不具合が発生して、PLLがロックしないとして説明する。
【0060】
インターホン回路故障検知部81は、インターホン回路故障履歴の有無を確認する(S10)。ここでは、浴室リモコン200は、給湯器本体300の不揮発性記憶部60を読み出し、故障履歴65が格納されているか否か確認する。インターホン回路故障検知部81は、故障履歴65が給湯器本体300に格納されていなければ(S10でYes)、インターホン回路10をONさせる(S12)。つまり、インターホン回路故障検知部81は、インターホン回路10の制御信号をLOWレベルからHIGHレベルに遷移させる。
【0061】
インターホン回路故障検知部81は、インターホン回路10のロック信号を確認し、一定時間(所定時間)、ロック信号があるか否かを判定する(S14)。インターホン回路故障検知部81は、一定時間のロック信号がないと判定したときは(S14でYes)、インターホン回路10をOFFにする(S16)。つまり、インターホン回路故障検知部81は、ロック信号がHIGHレベルからLOWレベルに遷移しないときには(S14でYes)、制御信号をHIGHレベルからLOWレベルに遷移させる(S16)。
【0062】
そして、インターホン回路故障検知部81は、インターホン回路10の故障と判断し(S18)、呼び出しモード機能部83を機能させる。そして、インターホン回路故障検知部81は、呼び出しモードに移行した旨をLCD(入力表示部70)に表示させ(S20)、故障したので呼び出しモードに移行した旨を、相手リモコン(ここでは、台所リモコン100)に対して、通信回路20を介して送信する(S22)。そして、インターホン回路故障検知部81は、相手リモコン制御部82を機能させる。
【0063】
相手リモコン制御部82は、相手リモコンのインターホン回路10をOFFさせる(S24)。つまり、相手リモコン制御部82は、通信回路20を介して、相手リモコン(ここでは、台所リモコン100)のインターホン回路10の制御信号をHIGHレベルからLOWレベルに遷移させる。そして、相手リモコン制御部82は、インターホン回路が故障したので呼び出しモードに移行した旨を、相手リモコンのLCDに表示させる(S26)。
【0064】
相手リモコン制御部82は、自装置(ここでは、浴室リモコン200)からの呼び出しがあることを、相手リモコンに対して、音やLCDで伝達させ(S28)、通常モードに移行する(S30)。
【0065】
また、インターホン回路故障検知部81は、S10の判定において、インターホン回路の故障履歴があった場合には(No)、呼び出しを開始する(S40)。つまり、浴室リモコン200(
図1)のインターホン回路故障検知部81(
図9)は、故障履歴65が給湯器本体300に格納されていれば(S10でNo)、呼び出しモード機能部83を機能させ、台所リモコン100に呼び出しを行わせる(S40)。これにより、台所リモコン100(
図1)は、マイコン50の呼び出しモード機能部83(
図9)が機能し、音声信号生成部84がデジタル音声信号を生成する。また、台所リモコン100(
図1)は、D/A変換器59がデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、アンプ40(
図1)を介して、スピーカ45が「浴室で呼び出しがあります。」等の呼び出し音を放音する。そして、インターホン回路故障検知部81は、呼び出し完了処理を行い(S42)、通常モードへ移行する(S44)。
【0066】
また、S14において、一定時間、継続してロック信号があったときには(S14でNo)、インターホン回路故障検知部81は、インターホンの通話開始(S32)を介し、インターホン通話スイッチのOFFを確認する終了処理(S34)の後、インターホン回路10をOFFさせる(S36)。ここで、インターホン回路故障検知部81は、インターホン回路10の制御信号をHIGHレベルからLOWレベルに遷移させる(S36)。そして、インターホン回路故障検知部81は、通常モードへ移行する(S38)。
【0067】
図11は、本発明の第2実施形態である給湯器システムの給湯器本体のフローチャートである。
このルーチンは、浴室リモコン200が呼び出しモードに移行したことの通信を行い(
図10のS22)、給湯器本体300がこの通信を受信したときに(S50)、起動する。
給湯器本体300(本体基板)のCPU55の故障履歴格納部85(
図4)は、インターホン回路10の故障履歴65をつけて(S52)、終了する。
【0068】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
前記第1実施形態の台所リモコン100、及び浴室リモコン200は、相手リモコンの故障信号の有無を判定していた(
図5のS112、
図6のS208)。この判定を削除し、故障信号があったときの流れ(S112でNo、S120、S208でNo、S216)は、別の割込みルーチンとすることができる。また、給湯器本体300も同様であり、
図8のS304の判定、及びS308の処理は、別の割込みルーチンとすることができる。