特許第6405280号(P6405280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405280
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】排水ますおよびそれを備えた排水管路
(51)【国際特許分類】
   E03F 3/02 20060101AFI20181004BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   E03F3/02
   E03C1/12 E
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-71693(P2015-71693)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-191251(P2016-191251A)
(43)【公開日】2016年11月10日
【審査請求日】2017年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 稔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 晃
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 俊希
(72)【発明者】
【氏名】見鳥 俊一
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕一郎
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 実用新案登録第2554325(JP,Y2)
【文献】 特開2004−346513(JP,A)
【文献】 特開平07−082787(JP,A)
【文献】 実開昭60−190882(JP,U)
【文献】 実開昭60−154484(JP,U)
【文献】 特開2001−152539(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/153403(WO,A1)
【文献】 実開平03−036081(JP,U)
【文献】 実開平01−102280(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12
E03F 3/02
E03F 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に流入側接続口が形成されかつ他端に流出側接続口が形成された直管状の横筒部と、
上方に開口した点検口を有し、前記横筒部から上方に延びる縦筒部と、
前記流入側接続口の開口方向と同じ方向に開口する枝管接続口を有し、前記縦筒部から前記流入側接続口の開口方向に延びる副筒部と、を備え、
前記流入側接続口の開口方向を左方、前記流出側接続口の開口方向を右方としたときに、
前記縦筒部を左方から右方に向かって見たときに、前記枝管接続口は前記流入側接続口の斜め上方に配置され、
前後方向に関して、前記横筒部および前記副筒部の全体の前端は、前記点検口の前端と同じ位置または前記点検口の前端よりも後方に位置し、前記横筒部および前記副筒部の全体の後端は、前記点検口の後端と同じ位置または前記点検口の後端よりも前方に位置している、排水ます。
【請求項2】
前記副筒部は、平面視において前記点検口の内側に位置する部分の左端から右方に突出し、前記副筒部の内部と前記横筒部の内部とを部分的に仕切る仕切壁を備えている、請求項1に記載の排水ます。
【請求項3】
前記仕切壁のうち前記副筒部の軸線に近い方の壁面は、水平面に対する傾斜角度が前記副筒部の軸線から遠ざかるほど大きくなるように形成されている、請求項2に記載の排水ます。
【請求項4】
前記仕切壁のうち前記副筒部の軸線に近い方の壁面は、前記副筒部の軸線を中心とする円弧面に形成されている、請求項3に記載の排水ます。
【請求項5】
平面視において、前記仕切壁と前記横筒部の軸線との距離は、前記副筒部の下半部の右端と前記横筒部の軸線との距離よりも短い、請求項2〜4のいずれか一つに記載の排水ます。
【請求項6】
平面視において、前記副筒部の下半部は、前記点検口の内側に位置しかつ前記仕切壁の右端と前記下半部の右端とをつなぐ下縁を有し、
前記下縁は、平面視において、前記横筒部の軸線に対する傾斜角度が右方に行くほど小さくなるような曲線状に形成されている、請求項5に記載の排水ます。
【請求項7】
前記縦筒部は、平面視において前記点検口の内側に位置しかつ上方に延びる縦壁を有し、
前記縦壁は、平面視において、前記副筒部の軸線に対して前記横筒部の軸線の側と反対の側から、右方に行くほど前記横筒部の軸線に近づくように前記副筒部の軸線に対して傾斜した方向に延び、
平面視において、前記下縁と前記縦壁とは前記点検口の内側にて交わっている、請求項6に記載の排水ます。
【請求項8】
前記枝管接続口の中心は、前記流入側接続口の上端よりも上方に位置している、請求項1〜7のいずれか一つに記載の排水ます。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の排水ますと、
前記排水ますの前記流入側接続口に接続された第1の主管と、
前記排水ますの前記流出側接続口に接続された第2の主管と、
前記排水ますの前記枝管接続口に接続された枝管と、を備え、
前記枝管は、平面視において、前記枝管接続口からいったん前記枝管接続口の開口方向に延びてから、前記横筒部の軸線に対して前記副筒部の軸線が位置する側と逆側に向かって延びる曲がり部を有している、排水管路。
【請求項10】
平面視において、前記横筒部の軸線に対して前記副筒部の軸線が位置する側と逆側に、建物の基礎が設けられ、
前記第1の主管および前記第2の主管は、前記基礎と平行に配置され、
前記枝管は、前記基礎を貫通している、請求項9に記載の排水管路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水ますおよびそれを備えた排水管路に関する。
【背景技術】
【0002】
建物から下水管へ排水を排出する排水管路には、点検が容易なように排水ますが設けられる。排水管路は、下水管に向かって排水を排出する主管と、建物から主管に向かって排水を導く枝管とを備える。排水ますは、主管に接続される流入側および流出側の接続口と、枝管が接続される枝管接続口と、上方に向かって開口する点検口とを備える。排水管路は、例えば宅地内において、主管が建物の基礎と平行になるように建物の基礎の側方に配置される。以下、排水管路のうち、平面視において主管の延びる方向と垂直な方向の寸法を「排水管路の幅」と呼ぶこととする。
【0003】
狭小地に設置可能なように、排水管路の幅は小さい方が好ましい。特許文献1には、枝管接続口が流入側接続口の斜め上方に配置され、流入側接続口および枝管接続口が同一の方向に開口した排水ますが開示されている。このような排水ますを用いることにより、枝管のうち排水ますと接続される部分を主管と平行に配置することができ、主管を基礎に近づけて設置することができる。よって、排水管路を狭小地に設置することが可能となる。
【0004】
ところが、従来の排水ますでは、その一部が平面視において点検口から幅方向にはみ出しているため、排水管路の幅を更に小さくすることは難しかった。特許文献2には、枝管接続口を流入側接続口の真上に配置した排水ますが提案されている。この排水ますによれば、排水管路の幅を更に小さくすることができ、排水管路をより狭小なスペースに設置することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2554325号公報
【特許文献2】特開平7−82787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に開示された排水ますでは、上下方向の寸法が大きくなってしまう。そのため、排水ますの施工時に、地面をより深く掘らなければならず、施工に手間および時間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、主管に接続される流入側および流出側の接続口と枝管が接続される枝管接続口とを備え、幅および上下方向の寸法が小さな排水ますを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る排水ますは、一端に流入側接続口が形成されかつ他端に流出側接続口が形成された直管状の横筒部と、上方に開口した点検口を有し、前記横筒部から上方に延びる縦筒部と、前記流入側接続口の開口方向と同じ方向に開口する枝管接続口を有し、前記縦筒部から前記流入側接続口の開口方向に延びる副筒部と、を備える。前記流入側接続口の開口方向を左方、前記流出側接続口の開口方向を右方としたときに、前記縦筒部を左方から右方に向かって見たときに、前記枝管接続口は前記流入側接続口の斜め上方に配置され、前後方向に関して、前記横筒部および前記副筒部の全体の前端は、前記点検口の前端と同じ位置または前記点検口の前端よりも後方に位置し、前記横筒部および前記副筒部の全体の後端は、前記点検口の後端と同じ位置または前記点検口の後端よりも前方に位置している。
【0009】
上記排水ますによれば、前後方向に関して、横筒部および副筒部の全体が点検口の前端と後端との間に位置している。そのため、横筒部および副筒部は、点検口よりも前方および後方に出っ張らない。したがって、排水ますの幅を小さくすることができる。また、枝管接続口は流入側接続口の斜め上方に配置されているので、枝管接続口が流入側接続口の真上に配置されている場合に比べて、排水ますの上下方向の寸法を小さくすることができる。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、前記副筒部は、平面視において前記点検口の内側に位置する部分の左端から右方に突出し、前記副筒部の内部と前記横筒部の内部とを部分的に仕切る仕切壁を備えている。
【0011】
上記排水ますによれば、枝管接続口と流入側接続口とが接近しているので、枝管接続口から流入側接続口への逆流が懸念される。しかし、上記態様によれば、平面視において点検口の内側に位置する部分の左端から右方に突出した仕切壁を備えている。この仕切壁により、枝管接続口から流入側接続口への逆流が抑制される。したがって、枝管接続口から流入側接続口への逆流を抑えつつ、排水ますの幅および上下方向の寸法を小さくすることができる。
【0012】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記仕切壁のうち前記副筒部の軸線に近い方の壁面は、水平面に対する傾斜角度が前記副筒部の軸線から遠ざかるほど大きくなるように形成されている。
【0013】
上記態様によれば、副筒部の軸線から遠ざかるほど仕切壁の上記壁面の傾斜角度が大きくなるので、副筒部内の排水は、仕切壁を乗り越えて横筒部内に流れ込みにくい。そのため、枝管接続口から流入側接続口への逆流を効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記仕切壁のうち前記副筒部の軸線に近い方の壁面は、前記副筒部の軸線を中心とする円弧面に形成されている。
【0015】
上記態様によれば、枝管接続口から流入する排水を副筒部内において円滑に流通させることができる。
【0016】
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記仕切壁と前記横筒部の軸線との距離は、前記副筒部の下半部の右端と前記横筒部の軸線との距離よりも短い。
【0017】
上記態様によれば、仕切壁が横筒部の軸線に近い位置に配置されているので、排水ますの幅を抑えつつ、副筒部内の流路の幅を十分に確保することができる。枝管接続口から流入する排水を流出側接続口に向けて円滑に流すことができるので、枝管接続口から流入側接続口への逆流を効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記副筒部の下半部は、前記点検口の内側に位置しかつ前記仕切壁の右端と前記下半部の右端とをつなぐ下縁を有し、前記下縁は、平面視において、前記横筒部の軸線に対する傾斜角度が右方に行くほど小さくなるような曲線状に形成されている。
【0019】
上記態様によれば、枝管接続口から流入した排水は、副筒部の下半部上を通過した後、上記下縁から横筒部に流入する。下縁が上述のような曲線状に形成されているので、下縁のうち仕切壁に近い左側の部分を通過する排水ほど、軸線方向に流れやすくなる。そのため、枝管接続口から流入側接続口への逆流を効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記縦筒部は、平面視において前記点検口の内側に位置しかつ上方に延びる縦壁を有し、前記縦壁は、平面視において、前記副筒部の軸線に対して前記横筒部の軸線の側と反対の側から、右方に行くほど前記横筒部の軸線に近づくように前記副筒部の軸線に対して傾斜した方向に延び、平面視において、前記下縁と前記縦壁とは前記点検口の内側にて交わっている。
【0021】
上記態様によれば、枝管接続口から排水が勢いよく流れてきたとしても、その排水は縦壁に当たって横筒部内に流れ込む。排水は縦壁により横筒部内に円滑に導かれる。平面視において、前記下縁と縦壁とは点検口の内側にて交わっている。そのため、副筒部内の排水は、より上流側の位置にて横筒部内に導かれる。
【0022】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記枝管接続口の中心は、前記流入側接続口の上端よりも上方に位置している。
【0023】
上記態様によれば、枝管接続口の中心と流入側接続口の中心との高低差を十分に確保することができるので、枝管接続口から流入側接続口への逆流を効果的に抑制することができる。
【0024】
本発明に係る排水管路は、前記排水ますと、前記排水ますの前記流入側接続口に接続された第1の主管と、前記排水ますの前記流出側接続口に接続された第2の主管と、前記排水ますの前記枝管接続口に接続された枝管と、を備える。前記枝管は、平面視において、前記枝管接続口からいったん前記枝管接続口の開口方向に延びてから、前記横筒部の軸線に対して前記副筒部の軸線が位置する側と逆側に向かって延びる曲がり部を有している。
【0025】
上記排水管路によれば、排水ますの幅が小さいので、排水管路の幅を小さくすることができる。よって、狭小地に設置することができる。また、枝管は上記曲がり部を有しているので、枝管内の排水は、平面視において、横筒部の軸線を跨ぐように回り込みながら流れる。これにより、排水は枝管接続口を通じて副筒部内に円滑に流れ込む。また、排水は仕切壁の外側を回り込むようにして流れるので、排水が仕切壁を乗り越えにくく、枝管接続口から流入側接続口への逆流を効果的に抑制することができる。
【0026】
本発明の好ましい他の一態様によれば、平面視において、前記横筒部の軸線に対して前記副筒部の軸線が位置する側と逆側に、建物の基礎が設けられ、前記第1の主管および前記第2の主管は前記基礎と平行に配置され、前記枝管は前記基礎を貫通している。
【0027】
上記態様によれば、排水管路を建物の基礎の近傍にコンパクトに設置することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、主管に接続される流入側および流出側の接続口と枝管が接続される枝管接続口とを備え、幅および上下方向の寸法が小さな排水ますを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の一形態に係る排水管路の平面図である。
図2】本発明の実施の一形態に係る排水ますの斜視図である。
図3】上記排水ますの正面図である。
図4】上記排水ますの平面図である。
図5】上記排水ますの左側面図である。
図6】上記排水ますの右側面図である。
図7図3のVII−VII線断面図である。
図8】上記排水ますの斜視図である。
図9図4のIX−IX線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の一形態について説明する。図1は、本発明の実施の一形態に係る排水管路1の平面図である。この排水管路1は、建物(図示せず)から排出される排水を下水管(図示せず)に排出する管路であり、建物の基礎2の近傍に配置されている。排水管路1は地中に埋設される。本実施形態では排水管路1は、複数の主管3,4,5と、複数の枝管6,7と、複数の排水ます10,10Aとを備えている。排水ます10と排水ます10Aとは同一の構成を有しているので、以下では排水ます10について説明し、排水ます10Aの説明は省略することとする。以下の説明では、始めに排水ます10の構成を説明し、その後に排水管路1の構成を説明する。
【0031】
以下の説明では、図2の矢印F、Re、L、Rで表される方向を、それぞれ前方、後方、左方、右方とする。ただし、これらの方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、排水ます10の設置態様を何ら限定するものではない。図3図4図5図6は、それぞれ排水ます10の正面図、平面図、左側面図、右側面図である。
【0032】
図2に示すように、排水ます10は、左右方向に延びる横筒部20と、横筒部20から上方に延びる縦筒部30と、縦筒部30から左方に延びる副筒部40とを備えている。本実施形態では、横筒部20、縦筒部30、および副筒部40は、樹脂により一体成形されている。ただし、横筒部20、縦筒部30、および副筒部40は、複数の部材を組み合わせることにより構成されていてもよい。
【0033】
横筒部20は真っ直ぐに延びる直管状に形成されている。横筒部20の左端には、主管3が接続される流入側接続口21が形成され、横筒部20の右端には、主管4が接続される流出側接続口22が形成されている。流入側接続口21は左方に開口し、流出側接続口22は右方に開口している。本実施形態では、流入側接続口21は主管3が差し込まれる受口からなり、流出側接続口22は主管4が差し込まれる受口からなっている。しかし、流入側接続口21は主管3に差し込まれる差口であってもよく、流出側接続口22は主管4に差し込まれる差口であってもよい。流入側接続口21の内径と流出側接続口22の内径とは等しい。ただし、流入側接続口21の内径は流出側接続口22の内径よりも小さくてもよく、大きくてもよい。流入側接続口21と流出側接続口22との間には、胴部23が設けられている。
【0034】
縦筒部30は横筒部20の胴部23に接続されている。縦筒部30の上端には、上方に開口する点検口31が形成されている。点検口31の下方には、胴部32が設けられている。本実施形態では、点検口31の外径は胴部32の外径よりも大きくなっている。ただし、点検口31の外径は特に限定されず、胴部32の外径と等しくてもよい。
【0035】
副筒部40の左端には、枝管6が接続される枝管接続口41が形成されている。枝管接続口41は左方に開口している。枝管接続口41は、流入側接続口21の開口方向と同じ方向に開口している。図5に示すように、縦筒部30を左方から右方に向かって見たときに、枝管接続口41は流入側接続口21の斜め上方に位置している。本実施形態では、縦筒部30を左方から右方に向かって見たときに、枝管接続口41は流入側接続口21の右斜め上方に位置しているが、左斜め上方に位置していてもよい。枝管接続口41の上端41tは流入側接続口21の上端21tよりも上方に位置している。枝管接続口41の下端41sは、流入側接続口21の上端21tよりも下方に位置し、流入側接続口21の下端21sよりも上方に位置している。枝管接続口41の中心41cは、流入側接続口21の上端21tよりも上方に位置している。枝管接続口41の前端41fは流入側接続口21の前端21fよりも前方に位置している。枝管接続口41の後端41bは、流入側接続口21の前端21fよりも後方かつ後端21bよりも前方に位置している。枝管接続口41の内径は流入側接続口21の内径よりも小さい。しかし、枝管接続口41の内径は流入側接続口21の内径と等しくてもよく、流入側接続口21の内径よりも大きくてもよい。
【0036】
図5に一点鎖線で示す直線39f、39bは、それぞれ点検口31の前端31f、後端31bを通る左右方向に延びる鉛直面を表している。図4に示すように平面視において、横筒部20および副筒部40の全体は、点検口31よりも前方に出っ張っておらず、点検口31よりも後方に出っ張っていない。横筒部20および副筒部40の全体は、前後方向に関して、点検口31の前端31fと後端31bとの間に配置されている。詳しくは図5に示すように、前後方向に関して、横筒部20および副筒部40の全体の前端40fは、点検口31の前端31fと同じ位置または点検口31の前端31fよりも後方に位置する。前後方向に関して、横筒部20および副筒部40の全体の後端20bは、点検口31の後端31bと同じ位置または点検口31の後端31bよりも前方に位置する。本実施形態では、副筒部40の軸線40cは横筒部20の軸線20cよりも前方に位置する。前後方向に関して、副筒部40の前端40fは、点検口31の前端31fと同じ位置または点検口31の前端31fよりも後方に位置する。前後方向に関して、横筒部20の後端20bは、点検口31の後端31bと同じ位置または点検口31の後端31bよりも前方に位置する。
【0037】
図5に示すように、枝管接続口41と流入側接続口21とは互いに接近しており、連結部29により連結されている。連結部29は、枝管接続口41の後斜め下の部分と流入側接続口21の前斜め上の部分とを連結している。左方から見たときに、枝管接続口41の外側の輪郭の延長線47は、流入側接続口21の外側の輪郭と交わっている。このように枝管接続口41と流入側接続口21とが接近していることにより、排水ます10の前後方向および上下方向の寸法が小さくなっている。
【0038】
図3に示すように、枝管接続口41の端面は流入側接続口21の端面よりも右方に配置されている。しかし、枝管接続口41の端面は、左右方向に関して流入側接続口21の端面と同じ位置に配置されていてもよく、流入側接続口21の端面よりも左方に配置されていてもよい。ただし、枝管接続口41の端面が流入側接続口21の端面よりも左方に配置されている場合、副筒部40は横筒部20よりも左方に出っ張ることになる。排水ます10の全体の左右方向の寸法を小さくする観点からは、枝管接続口41の端面は、左右方向に関して流入側接続口21の端面と同じ位置または流入側接続口21の端面よりも右方に配置されていることが好ましい。本実施形態では、枝管接続口41の接続しろの長さL3は、流入側接続口21の接続しろの長さL4よりも短い。ただし、枝管接続口41の接続しろの長さL3は、流入側接続口21の接続しろの長さL4と等しくてもよい。排水ます10を前方から見たときに、副筒部40の下縁40aは斜め下がりに傾斜している。ここでは、副筒部40の下縁40aは右斜め下方に傾斜している。
【0039】
図2に示すように、横筒部20の下部には支持板28が設けられている。ここでは、左右に並んだ2枚の支持板28が設けられているが、支持板28の枚数は特に限定されない。この支持板28により、排水ます10は、図示しない溝等において安定して支持される。
【0040】
図7に示すように、横筒部20の内部には、流入側接続口21から流出側接続口22に至る主流路25が形成されている。流入側接続口21から流入した排水は、主流路25を流れた後、流出側接続口22から流出する。副筒部40の内部には、枝管接続口41から主流路25に至る副流路45が形成されている。枝管接続口41から流入した排水は、副流路45を流れた後、主流路25の排水と合流し、流出側接続口22から流出する。
【0041】
図8に示すように、縦筒部30の一部は中心側に凹んでおり、上方から見て点検口31の内側に、横壁34と、横壁34から下方に延びる縦壁33とが形成されている。図9に示すように、縦壁33は、副筒部40の下半部42と接続されている。縦壁33は、副筒部40の下半部42から上方に延びている。なお、縦壁33は鉛直方向に延びていてもよく、鉛直方向から若干傾いた方向に延びていてもよい。図4に示すように縦壁33は、平面視において右斜め後方に延びている。言い換えると、縦壁33は、副筒部40の下半部42の前端42fから、右方に行くほど横筒部20の軸線20cに近づくように、軸線20cに対して傾斜した方向に延びている。
【0042】
図9に示すように、副筒部40は、枝管接続口41から水平に延びる水平面44aと、水平面44aから右斜め下方に延びる傾斜面44bとを有している。図4および図7に示すように平面視において、傾斜面44bは点検口31の内側に配置され、水平面44aは点検口31の外側に配置されている。
【0043】
図4に示すように、副筒部40の下半部42は、平面視において点検口31の内側に位置する部分の左端42bから右方に突出する仕切壁43を有している。仕切壁43は、平面視において点検口31の内側に位置しており、副筒部40の内部と横筒部20の内部とを部分的に仕切っている。なお、仕切壁43は必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。
【0044】
図9に示すように、仕切壁43のうち副筒部40の軸線40cに近い方の壁面43a、すなわち前側の壁面43aは、水平面に対する傾斜角度が後方に行くほど大きくなるように形成されている。言い換えると、壁面43aは、水平面に対する傾斜角度が副筒部40の軸線40cから遠ざかるほど大きくなるように形成されている。壁面43aは、副筒部40の軸線40cから遠ざかるほど急な斜面となっている。本実施形態では、壁面43aは、副筒部40の軸線40cを中心とする円弧面に形成されている。しかし、壁面43aの形状は上記円弧面に限らず、他の湾曲面であってもよく、斜めに傾いた平面であってもよい。仕切壁43のうち副筒部40の軸線40cから遠い方の壁面43b、すなわち後側の壁面43bは、鉛直方向に延びる平面である。ただし、仕切壁43の形状は上記形状に限定される訳ではない。
【0045】
図4に示すように、副筒部40の下半部42は、平面視において点検口31の内側に位置する右端42rを有している。仕切壁43は右端42rよりも後方に配置されている。言い換えると、平面視において、仕切壁43と横筒部20の軸線20cとの距離L1は、副筒部40の下半部42の右端42rと横筒部20の軸線20cとの距離L2よりも短い。
【0046】
副筒部40の下半部42は、仕切壁43と右端42rとをつなぐ下縁46を有している。下縁46は、平面視において曲線状に形成されている。下縁46は、平面視において、横筒部20の軸線20cに対する傾斜角度が右方に行くほど小さくなるような曲線状に形成されている。詳しくは、下縁46は平面視において、仕切壁43からいったん前方に延び、右斜め前方に延びてから更に右方に延び、右端42rに至っている。平面視において、下縁46と縦壁33とは点検口31の内側にて交わっている。すなわち、平面視において、下縁46と縦壁33との交点46aは、点検口31の内側に位置している。
【0047】
以上が排水ます10の構成である。なお、前述の通り、排水ます10Aは排水ます10と同様の構成を有している。次に、図1を参照しながら排水管路1の構成について説明する。
【0048】
排水ます10,10Aは、建物の基礎2の前方に配置されている。主管3の下流端部は、排水ます10の流入側接続口21に接続されている。主管4の上流端部は排水ます10の流出側接続口22に接続され、主管4の下流端部は排水ます10Aの流入側接続口21に接続されている。平面視において、横筒部20の軸線20cに対して副筒部40の軸線40cが位置する側と逆側に、建物の基礎2が設けられている。主管3,4,5は、建物の基礎2と平行に配置されている。
【0049】
枝管6は、前方に向かって延びる直管部6aと、曲がり部6bとを有している。曲がり部6bは、軸線方向が90度湾曲した管継ぎ手によって構成されている。曲がり部6bは、排水ます10の枝管接続口41からいったん左方に延びてから、後側に向かって曲がっている。言い換えると、曲がり部6bは、平面視において、枝管接続口41からいったん左方に延びてから、横筒部の20の軸線20cに対して副筒部40の軸線40cが位置する側と逆側に向かって曲がっている。枝管7は、直管部6aと同様の直管部7aと、曲がり部6bと同様の曲がり部7bとを有している。曲がり部7bは、排水ます10Aの枝管接続口41からいったん左方に延びてから、後側に向かって曲がっている。枝管6,7は基礎2を貫通している。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る排水ます10によれば、図5に示すように、前後方向に関して、横筒部20および副筒部40の全体が点検口31の前端31fと後端31bとの間に位置している。横筒部20および副筒部40は、点検口31よりも前方および後方に出っ張っていない。したがって、本実施形態によれば、排水ます10の幅(前後の幅)を小さくすることができる。また、枝管接続口41は流入側接続口21の斜め上方に配置されているので、枝管接続口41が流入側接続口21の真上に配置されている場合に比べて、排水ます10の上下方向の寸法を小さくすることができる。そのため、排水ます10を地中に設置する際に、地面をより深く掘る必要がなく、施工の時間および手間が従来以上にかかってしまうことはない。
【0051】
ところで、排水ます10によれば、枝管接続口41と流入側接続口21とが接近しているので、排水ます10の内部において、枝管接続口41から流入した排水の一部が流入側接続口21の方に逆流することが懸念される。しかし、本実施形態に係る排水ます10は、図4に示すように、平面視において点検口31の内側に位置する部分の左端42bから右方に突出した仕切壁43を備えている。この仕切壁43により、枝管接続口41から流入側接続口21への逆流を抑制することができる。
【0052】
このように、本実施形態に係る排水ます10によれば、枝管接続口41から流入側接続口21への逆流を仕切壁43によって抑制することができるので、横筒部20および副筒部40の全体を点検口31の前端31fと後端31bとの間に配置しても問題がない。よって、本実施形態によれば、枝管接続口41から流入側接続口21への逆流を抑えつつ、排水ます10の幅および上下方向の寸法を小さくすることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る排水ます10によれば、図9に示すように、仕切壁43のうち副筒部40の軸線40cに近い方の壁面43aは、水平面に対する傾斜角度が軸線40cから遠ざかるほど大きくなるように形成されている。そのため、副筒部40内の排水は、仕切壁43を乗り越えて横筒部20内に流れ込みにくい。よって、枝管接続口41から流入側接続口21への逆流を効果的に抑制することができる。
【0054】
仕切壁43の壁面43aの具体的形状は特に限定されないが、本実施形態では、図9に示すように、副筒部40の軸線40cを中心とする円弧面に形成されている。そのため、仕切壁43の壁面43aは副筒部40の管底部の壁面と滑らかに連続しており、枝管接続口41から流入する排水を副筒部40において円滑に流通させることができる。
【0055】
図4に示すように、平面視において、仕切壁43と横筒部20の軸線20cとの距離L1は、副筒部40の下半部42の右端42rと横筒部20の軸線20cとの距離L2よりも短い。このように、仕切壁43が横筒部20の軸線20cに近い位置に配置されているので、排水ます10の幅(前後の幅)を抑えつつ、副筒部40内の流路の幅を十分に確保することができる。本実施形態によれば、枝管接続口41から流入する排水を流出側接続口22に向けて円滑に流すことができるので、枝管接続口41から流入側接続口21への逆流を効果的に抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る排水ます10によれば、平面視において、副筒部40の下半部42は、横筒部20の軸線20cに対する傾斜角度が右方に行くほど小さくなるような曲線状の下縁46を有している。本実施形態によれば、下縁46を通過して横筒部20内に流れ込む排水のうち、仕切壁43に近い左側の部分を通過する排水(図7の矢印W1参照)の方が、仕切壁43から遠い右側の部分を通過する排水(図7の矢印W2参照)よりも軸線方向に流れやすくなる。そのため、副筒部40内の排水は、仕切壁43を乗り越えて横筒部20内に流れ込みにくい。よって、枝管接続口41から流入側接続口21への逆流を効果的に抑制することができる。
【0057】
また、図4に示すように、本実施形態に係る排水ます10によれば、縦筒部30は平面視において点検口31の内側に位置する縦壁33を有している。縦壁33は、平面視において、副筒部40の軸線40cに対して横筒部20の軸線20cの側と反対の側から、右方に行くほど横筒部20の軸線20cに近づくように傾斜している。そのため、枝管接続口41から排水が勢いよく流れてきたとしても、その排水は縦壁33に当たって横筒部20内に流れ込む。よって、縦壁33により排水を横筒部20内に円滑に導くことができる。また、平面視において、副筒部40の下縁46と縦壁33とは、点検口31の内側にて交わっている。そのため、副筒部40内の排水は、より上流側の位置にて横筒部20内に導かれる。
【0058】
枝管接続口41は流入側接続口21の斜め上方にあれば足りるが、本実施形態では図5に示すように、枝管接続口41の中心41cは、流入側接続口21の上端21tよりも上方に位置している。枝管接続口41の中心41cと流入側接続口21の中心21cとの高低差を十分に確保することができるので、枝管接続口41から流入側接続口21への逆流を効果的に抑制することができる。
【0059】
図1に示すように、本実施形態によれば、前述のように幅(前後の幅)の小さな排水ます10,10Aを備えているので、排水管路1の幅(前後の幅)を小さくすることができる。よって、排水管路1を狭小地に設置することができる。また、枝管6,7は、枝管接続口41からいったん枝管接続口41の開口方向に延びてから、横筒部20の軸線20cに対して副筒部40の軸線40cが位置する側と逆側に向かって延びる曲がり部6b,7bを有している。図1に矢印W3で示すように、枝管6,7内の排水は、平面視において横筒部20の軸線20cを跨ぐように回り込みながら流れる。そのため、排水は枝管接続口41を通じて副筒部40内に円滑に流れ込む。また、排水は仕切壁43の外側を回り込むようにして流れるので、排水が仕切壁43を乗り越えにくい。よって、枝管接続口41から流入側接続口21への逆流を効果的に抑制することができる。
【0060】
本実施形態によれば、主管3,4,5は建物の基礎2と平行に配置されている。本実施形態によれば、排水管路1を建物の基礎2の近傍にコンパクトに設置することができる。
【0061】
なお、前記実施形態に係る排水ます10では、枝管接続口41は流入側接続口21の前方に配置されていたが、枝管接続口41は流入側接続口21の後方に配置されていてもよい。排水ます10を横筒部20の軸線20cを中心として前後対称の形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 排水管路
3,4,5 主管
6,7 枝管
10 排水ます
20 横筒部
21 流入側接続口
22 流出側接続口
30 縦筒部
31 点検口
33 縦壁
40 副筒部
41 枝管接続口
43 仕切壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9