特許第6405295号(P6405295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6405295-塗装装置および塗装方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405295
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】塗装装置および塗装方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 12/32 20180101AFI20181004BHJP
   B05D 3/04 20060101ALI20181004BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20181004BHJP
   B05D 1/32 20060101ALI20181004BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20181004BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   B05B12/32
   B05D3/04 Z
   B05D1/02 Z
   B05D1/32 E
   B05D7/14 E
   B05D7/14 K
   B05D7/14 R
   B05B13/02
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-201118(P2015-201118)
(22)【出願日】2015年10月9日
(65)【公開番号】特開2017-70933(P2017-70933A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2017年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大津 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】竹崎 雄司
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 宏貴
(72)【発明者】
【氏名】中光 強
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 了
【審査官】 伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−005755(JP,A)
【文献】 特開平11−221504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 12/00−13/06,
15/00−16/80
B05D 1/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳鉄管の管端の端面を塗装する塗装装置であって、前記塗装装置が、
前記鋳鉄管の管端の端面に対して垂直方向に塗料を噴霧するノズルと、
前記塗料が噴霧される側の管端とは反対側の管端から、前記塗料が噴霧される側の管端側に向かってエアを供給するエア供給部と、
前記塗料が噴霧される側の管端側に、前記塗料が噴霧される側の管端側の開口を少なくとも部分的に覆うように配置される遮蔽部材とを備え、
前記遮蔽部材が、前記ノズルによる噴霧部位において、前記エア供給部から供給されたエアが排出される隙間が形成されるように配置されている塗装装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材が、前記管端の内径より小さい径を有する円板状に形成され、円板状の前記遮蔽部材と前記鋳鉄管の管端との間に、環状の流路が形成される請求項1記載の塗装装置。
【請求項3】
前記塗装装置が、前記鋳鉄管を軸周りに回転可能に支持する支持機構を備え、前記鋳鉄管の管端が回転しながら塗装される請求項1または2記載の塗装装置。
【請求項4】
鋳鉄管の管端の端面を塗装する塗装方法であって、前記塗装方法が、
前記鋳鉄管の管端の端面に対して垂直方向に塗料を噴霧する工程と、
前記塗料が噴霧される側の管端とは反対側の管端から、前記塗料が噴霧される側の管端側に向かってエアを供給する工程と、
前記塗料が噴霧される側の管端側に、前記塗料が噴霧される側の管端側の開口を少なくとも部分的に覆うように遮蔽部材を配置する工程とを含み、
前記遮蔽部材が、前記ノズルによる噴霧部位において、前記エア供給部から供給されたエアが排出される隙間が形成されるように配置されている塗装方法。
【請求項5】
前記遮蔽部材が、前記管端の内径より小さい径を有する円板状に形成され、円板状の前記遮蔽部材と前記鋳鉄管の管端との間に、環状の流路が形成される請求項4記載の塗装方法。
【請求項6】
前記鋳鉄管が、前記鋳鉄管を軸周りに回転可能に支持する支持機構により支持され、前記方法が、前記鋳鉄管を軸周りに回転する回転工程を含む請求項4または5記載の塗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳鉄管の管端を塗装する塗装装置および塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管などに広く使用される鋳鉄管は、管の内面および外面に防食性を付与するために、塗料により塗装される。たとえば、水道管などに使用される鋳鉄管においては、管内面は、防食性や衛生性を考慮して、たとえば、エポキシ樹脂粉体塗装やモルタルライニングが施され、管外面は、たとえば、亜鉛系溶射が施され、その上に封孔処理剤や合成樹脂塗料が塗布される。
【0003】
管の直管部の外面の塗装は、たとえば、塗料をスプレーガンから噴射するスプレー塗装などにより行われる。一方、管の受口外面や受口端面などの塗装時は、直管部と同様にスプレー塗装とすることもできるが、スプレー塗装の場合、管の受口の開口から塗料のミストが飛散して、既に粉体塗装やモルタルライニングが施された管内面に塗料が付着してしまう場合がある。その場合、管内面の塗り直しや清掃など、後工程での補修が必要となる場合がある。
【0004】
このような、受口内面への塗料の飛散を防止するために、たとえば、管の受口の塗装においてはディッピング塗装が行われている(たとえば、特許文献1参照)。ディッピング塗装は、管の受口のフランジ部をディッピング槽に浸漬することにより受口の端面に塗装を施す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−79206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ディッピング塗装では、均一な塗料の膜厚を確保することが困難であり、塗装後の塗りムラや余分な塗料による液ダレを防止するために、刷毛押さえが必要になる場合が多く、作業性にやや問題がある。
【0007】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、管端の塗装時に、容易に管内面への塗料の浸入を防止することができ、作業性の良い塗装装置および塗装方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の塗装装置は、鋳鉄管の管端の外面および/または端面を塗装する塗装装置であって、前記塗装装置が、前記鋳鉄管の管端の外面および/または端面に塗料を噴霧するノズルと、前記塗料が噴霧される側の管端とは反対側の管端から、前記塗料が噴霧される側の管端側に向かってエアを供給するエア供給部と、前記塗料が噴霧される側の管端側に、前記塗料が噴霧される側の管端側の開口を少なくとも部分的に覆うように配置される遮蔽部材とを備え、前記遮蔽部材が、前記ノズルによる噴霧部位において、前記エア供給部から供給されたエアが排出される隙間が形成されるように配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記遮蔽部材が、前記管端の内径より小さい径を有する円板状に形成され、円板状の前記遮蔽部材と前記鋳鉄管の管端との間に、環状の流路が形成されることが好ましい。
【0010】
また、前記塗装装置が、前記鋳鉄管を軸周りに回転可能に支持する支持機構を備え、前記鋳鉄管の管端が回転しながら塗装されることが好ましい。
【0011】
また、本発明の塗装方法は、鋳鉄管の管端の外面および/または端面を塗装する塗装方法であって、前記塗装方法が、前記鋳鉄管の管端の外面および/または端面に塗料を噴霧する工程と、前記塗料が噴霧される側の管端とは反対側の管端から、前記塗料が噴霧される側の管端側に向かってエアを供給する工程と、前記塗料が噴霧される側の管端側に、前記塗料が噴霧される側の管端側の開口を少なくとも部分的に覆うように遮蔽部材を配置する工程とを含み、前記遮蔽部材が、前記ノズルによる噴霧部位において、前記エア供給部から供給されたエアが排出される隙間が形成されるように配置されていることを特徴とする。
【0012】
また、上記塗装方法は、前記遮蔽部材が、前記管端の内径より小さい径を有する円板状に形成され、円板状の前記遮蔽部材と前記鋳鉄管の管端との間に、環状の流路が形成されることが好ましい。
【0013】
また、上記塗装方法は、前記鋳鉄管が、前記鋳鉄管を軸周りに回転可能に支持する支持機構により支持され、前記方法が、前記鋳鉄管を軸周りに回転する回転工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の塗装装置および塗装方法によれば、管端の塗装時に、容易に管内面への塗料の浸入を防止することができ、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の塗装装置を示す全体図である。
図2】本発明の一実施形態の塗装装置を、鋳鉄管の受口側から見た概略図である。
図3】本発明の一実施形態の塗装装置の、鋳鉄管の受口と遮蔽部材との間に形成された隙間を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照し、本発明の一実施形態の塗装装置および塗装方法を詳細に説明する。以下に説明する実施形態では、鋳鉄管の受口端面の塗装を例にあげて説明するが、本発明は、受口端面の塗装時に限定されず、挿し口端面の塗装時にも適用することができる。また、本発明は、受口や挿し口等、管端の端面の塗装時だけでなく、管端の端面近傍の、受口外面や、挿し口の外面への塗装にも適用することができる。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態の塗装装置1は、鋳鉄管Pに塗料を噴霧するノズル2と、鋳鉄管P内にエアを供給するエア供給部3と、鋳鉄管Pの管端の開口を部分的に覆う遮蔽部材4とを備えている。
【0018】
塗装装置1は、本実施形態では、図1に示されるように、鋳鉄管Pを軸周りに回転可能に支持する支持機構5を備え、鋳鉄管Pが回転しながら塗装されるように構成されている。支持機構5は、鋳鉄管Pの軸方向に離間して配置された一対のロール部5a、5bを備えている。ロール部5a、5bのそれぞれは、鋳鉄管Pを支持する、回転可能な一対のターニングロールを備え、ターニングロールが駆動されて回転することにより、鋳鉄管Pを支持した状態で、鋳鉄管Pをその軸回りに回転させる。
【0019】
ノズル2は、鋳鉄管Pの管端(受口P1または挿し口P2)の外面および/または端面に塗料を噴霧する。図1においては、ノズル2は、鋳鉄管Pの受口P1の端面Eに向かって塗料を噴霧している。ノズル2は、公知のスプレーガンのノズルとすることができ、たとえば、スプレーガンを鋳鉄管Pの軸方向に沿って移動させることにより、鋳鉄管Pの外面および端面を塗装することができる。なお、ノズル2から噴霧される塗料は、鋳鉄管Pに防食性を付与することができれば特に限定されず、水系塗料や溶剤系塗料とすることができるが、たとえば、日本水道協会規格のJWWA K 139「水道用ダクタイル鉄管合成樹脂塗料」に規定される合成樹脂塗料などの水系塗料を用いることが好ましい。
【0020】
エア供給部3は、塗料が噴霧される側の管端とは反対側の管端から、塗料が噴霧される側の管端側に向かってエアを供給する。本実施形態では、図1に示されるように、エア供給部3は、塗料が噴霧される側の受口P1とは反対側の挿し口P2側から、受口P1側に向かってエアを供給している。なお、エア供給部3の配置位置は図示する位置に限定されるものではなく、塗料が噴霧される側の管端(すなわち、受口P1)に向かう空気流を生じさせることができればよい。エア供給部3は、本実施形態では図1に示されるように、コンプレッサー31を用いて圧縮空気をエアノズル32から送り出すように構成されている。しかし、エア供給部3は、エアを供給することができれば特にその種類は限定されず、公知のブロワやファンなどであってもよい。エア供給部3から供給されるエアの風圧は、詳細は後述するが、受口P1など、塗料が噴霧される側の管端の開口から塗料が浸入することを防止し、かつ塗料が噴霧される側の管端の端面において、ノズル2から噴霧された塗料が付着するのを許容するような風圧であればよい。また、エア供給部3は、鋳鉄管Pの軸方向(図1中、左右方向)に移動可能としてもよい。これにより、複数の鋳鉄管Pの塗装を連続して処理することが容易となり、作業性が向上する。
【0021】
遮蔽部材4は、塗料が噴霧される側の管端側に、塗料が噴霧される側の管端側の開口を少なくとも部分的に覆うように配置される。本実施形態では、図1に示されるように、遮蔽部材4は受口P1側に配置され、受口P1側の開口を部分的に覆っている。また、遮蔽部材4は、図1図3に示されるように、ノズル2による噴霧部位において、エア供給部3から供給されたエアが排出される隙間Sが形成されるように配置されている。
【0022】
遮蔽部材4は、ノズル2から噴霧される塗料を直接遮蔽するとともに、図3に示されるように、遮蔽部材4と鋳鉄管Pの管端(受口P1)との間に形成された隙間Sから出るエアの流れAFにより、管内面への塗料の浸入が防止される。
【0023】
遮蔽部材4は、ノズル2から噴霧される塗料を遮蔽することができ、鋳鉄管Pの管端との間に隙間Sが形成されるように配置することが可能であれば、その形状は特に限定されず、本実施形態のように板状であってもよいし、板状以外の柱状、錘状等、他の形状であっても構わない。本実施形態では、図2に示されるように、管端の内径より小さい径を有する円板状に形成され、円板状の遮蔽部材4と鋳鉄管Pの管端との間に、環状の流路が形成されている。隙間Sが環状に形成された環状の流路によって、管端の周方向の全方向からエアが排出されるため、ノズル2から噴霧される塗料以外に、空中に浮遊するミスト状の塗料などが管内面へ浸入することも防止することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、遮蔽部材4は、図1に示されるように、鋳鉄管Pの受口P1の端面Eから鋳鉄管Pの軸方向で外側(図1中、左側)に遮蔽部材4が配置されているが、遮蔽部材4は鋳鉄管Pの端面Eと、鋳鉄管Pの軸方向で一致する位置に配置されていても良いし、端面Eからわずかに鋳鉄管Pの軸方向で内側(図1中、端面Eよりもわずかに右側)に配置されていてもよい。遮蔽部材4の軸方向での位置は、上述したように、受口P1に塗料が浸入することを防止し、かつ端面Eにおいて、ノズル2から噴霧された塗料が付着するのを許容するような風圧で、エアが隙間Sから排出されるように決定される。このような隙間Sが形成されることにより、隙間Sの総面積が受口P1側の開口の開口面積よりも狭く、隙間Sの位置でエアの流れAFの流路が狭くなっている。そのため、隙間Sの位置でエアの流速が速くなる。したがって、塗料の浸入を防ぐのに必要なエア供給部3からのエアの供給量を減らすことができ、少ないエアの供給量でも塗料の管内への浸入を防止することができる。また、図3に示されるように、隙間Sにより受口P1から排出されるエアの流れAFの方向付けがされるため、エア供給部3のエアノズル32から放出されるエアの方向付け(エアの放出角度など)は不要であり、複雑な構造のエアノズルなどを用いる必要がなく、シンプルな構成のエア供給部3を用いることができる。なお、隙間Sにより形成される開口面積は特に限定されないが、たとえば、隙間Sにより形成される開口の総面積が、端面Eにおける開口面積(鋳鉄管Pの端部における開口の面積)の1〜20%、より好ましくは5〜15%となるように、遮蔽部材4を配置することができる。
【0025】
また、遮蔽部材4は、隙間Sが形成されるように配置されているため、鋳鉄管Pの端面Eや内面とは非接触となる。このため、遮蔽部材4に付着した塗料が鋳鉄管Pの内面に付着することがなく、鋳鉄管Pが傷つくこともない。また、遮蔽部材4は鋳鉄管Pを完全に封鎖するものではないため、遮蔽部材4の、鋳鉄管Pの内径等に対する寸法精度は必要ない。
【0026】
なお、遮蔽部材4は、手動で配置しても構わないが、遮蔽部材4を移動させる移動機構などにより、鋳鉄管Pの軸方向に沿って、管端に対して進退移動可能とすることもできる。これにより、連続して鋳鉄管Pを塗装するときに自動で遮蔽部材4を移動させて配置することができ、作業性が向上する。また、遮蔽部材4の位置を調整することにより、隙間Sの間隔を変えることも可能となる。
【0027】
つぎに、本実施形態の塗装装置1を用いた塗装方法について説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、塗装方法は以下の例に限定されるものではない。また、塗装方法の各工程の順序は、本発明の目的を達成することができれば、適宜変更が可能である。
【0028】
まず、エポキシ樹脂粉体塗装など、管内面の塗装が完了した鋳鉄管Pを塗装装置1の支持機構5に移動させ、支持機構5に支持させる。つぎに、図1に示されるように、鋳鉄管Pの受口P1側に、隙間Sが形成されるように遮蔽部材4を配置し、鋳鉄管Pの挿し口P2側に、エアを供給するエア供給部3を配置して、塗装の準備が完了する。遮蔽部材4は、移動機構により鋳鉄管Pの軸方向に沿って移動される場合、容易に塗装の準備を完了することができ、複数の鋳鉄管Pを連続して処理する際の作業性が向上する。また、この際に、ノズル2からの噴射圧や、エアの供給量や、鋳鉄管Pの大きさ・形状などに応じて、遮蔽部材4を受口P1に対して進退させて、形成される隙間Sの大きさを調整しても良い。
【0029】
塗装の準備が完了すると、挿し口P2側のエア供給部3から受口P1側に向かってエアが供給されるようにエア供給部3を作動させる。エア供給部3からのエアが隙間Sから排出される状態で、支持機構5のロール部5a、5bを駆動し、鋳鉄管Pを軸周りに回転させながら、ノズル2により塗料を鋳鉄管Pの端面Eに噴霧する。ノズル2により噴霧された塗料は、図1および図3に示されるように、鋳鉄管Pの端面Eに噴霧され、端面Eが塗装される。一方、端面E以外に向かって噴霧される塗料は、隙間Sから排出されるエアによって、鋳鉄管Pの内側に浸入することが防止されて、鋳鉄管Pの内面への塗料の付着が防止される。それ以外の塗料も、遮蔽部材4が物理的な壁となり、鋳鉄管Pの内側に浸入することが阻止される。このように、本実施形態によれば、遮蔽部材4が開口を覆うように配置され、遮蔽部材4が、ノズル2の噴霧部位において、エアが排出される隙間Sが形成されるように配置することにより、鋳鉄管Pの受口P1等の管端の塗装時に、容易に管内面への塗料の浸入を防止することができる。そのため、従来のようにディッピング塗装をした後に刷毛押さえなどの作業が不要となるため、作業性が向上する。また、端面Eの塗装をする際に、ディッピング塗装ではなく、ノズル2により塗料を噴霧して塗装することができるため、塗料の膜厚が均一となり、端面Eの鋳出しマークなど、端面Eに形成される複雑な凹凸形状にも対応することができる。
【0030】
また、空気中に浮遊する塗料のミストなど、ノズル2からの噴射方向とは異なる方向からの塗料(たとえば図1中、遮蔽部材4の下側辺りで浮遊する塗料のミストなど)は、環状の流路として周方向で全方向に形成された隙間Sにより、鋳鉄管Pの内側に浸入することが防止されて、鋳鉄管Pの内面への塗料の付着が確実に防止される。
【0031】
なお、上述した実施形態では、エア供給部3が設けられる挿し口P2側の開口は開放された状態で示されているが、エア供給部3が設けられる管端は閉鎖されていてもよい。エア供給部3が設けられる側の管端が閉鎖することにより、供給されたエアが挿し口P2から漏れずに、より効率よく隙間Sからエアを排出することができる。また、遮蔽部材4は本実施形態では、受口P1側の開口を部分的に覆う大きさとされているが、遮蔽部材4と受口P1との間に隙間Sが形成されるのであれば、受口P1の開口の開口径とほぼ同程度か、わずかに大きい径を有する遮蔽部材4としても構わない。
【符号の説明】
【0032】
1 塗装装置
2 ノズル
3 エア供給部
31 コンプレッサー
32 エアノズル
4 遮蔽部材
5 支持機構
5a、5b ロール部
AF エアの流れ
P 鋳鉄管
P1 受口
P2 挿し口
E 鋳鉄管の端面
S 隙間
図1
図2
図3