(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブリッジ配線部は、前記複数の第2透明電極のうちで隣り合う2つの前記第2透明電極の連結部の下側に設けられたことを特徴とする請求項1記載の静電容量式センサ。
前記導電性ナノワイヤは、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、および銅ナノワイヤよりなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の静電容量式センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、透光性電極および中継電極の材料に導電性ナノワイヤを含む材料を用いると、透光性電極と中継電極との接触がワイヤとワイヤとの接触となる。すると、透光性電極と中継電極との接触面積が比較的狭くなる。そのため、静電気放電(ESD;Electro Static Discharge)が発生し、大電流が透光性電極と中継電極との接触部分に流れると、その接触部分が局所的に発熱して溶断するおそれがある。つまり、透光性電極および中継電極の材料に導電性ナノワイヤを含む材料を用いると、例えば静電容量型入力装置の変形の性能が向上する一方で、ESD耐性が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、ブリッジ構造(透光性電極の交差構造)が設けられた場合において、ESD耐性を向上させることができる静電容量式センサ、タッチパネルおよび電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の静電容量式センサは、一態様において、検出領域において第1方向と平行に配置され、透光性を有し、導電性ナノワイヤを含む材料により形成された複数の第1透明電極と、前記検出領域において前記第1方向と交差する第2方向と平行に配置され、透光性を有し、前記第1透明電極と絶縁された複数の第2透明電極と、前記複数の第1透明電極と前記複数の第2透明電極とが互いに交差する部分に設けられ、導電性ナノワイヤを含む材料により形成され、前記複数の第1透明電極を互いに電気的に接続するブリッジ配線部と、前記第1透明電極と前記ブリッジ配線部との間に設けられ透光性を有し導電性材料からなるコンタクト部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
第1透明電極およびブリッジ配線部は、いずれも、導電性ナノワイヤを含む材料、具体的には導電性ナノワイヤが絶縁性のバインダー内に分散した材料により形成されている。このため、第1透明電極とブリッジ配線部との間にコンタクト部が設けられていない場合には、第1透明電極とブリッジ配線部との電気的接続は、第1透明電極の表面に露出した導電性ナノワイヤと、ブリッジ配線部の表面に露出した導電性ナノワイヤとの接触によってもたらされる。しかしながら、第1透明電極やブリッジ配線部の表面に露出する導電性ナノワイヤの位置を制御することは困難である。このため、第1透明電極の表面に露出した導電性ナノワイヤの全てについてブリッジ配線部の表面に露出した導電性ナノワイヤと接触させることは実質的に不可能であり、第1透明電極の表面に露出した導電性ナノワイヤの一部だけがブリッジ配線部の表面に露出した導電性ナノワイヤと接触することができる。
【0010】
この場合において、ESDが発生して第1透明電極とブリッジ配線部と間に大電流が流れると、第1透明電極の表面に露出した導電性ナノワイヤの一部とブリッジ配線部の表面に露出した導電性ナノワイヤの一部との接触部からなる電気的接続部分に大電流が流れて、この部分が局所的に発熱して溶断するおそれがある。つまり、第1透明電極およびブリッジ配線部のそれぞれが導電性ナノワイヤを含む材料により形成された場合において、第1透明電極とブリッジ配線部とを直接的に接触させる構成では、ESD耐性が低下するおそれがある。
【0011】
これに対して、本発明の一態様に係る静電容量式センサは、第1透明電極とブリッジ配線部との間に設けられたコンタクト部を備える。コンタクト部は導電性材料からなるため、第1透明電極の表面に露出した導電性ナノワイヤのほぼ全てがコンタクト部と電気的に接触することができ、かつブリッジ配線の表面に露出した導電性ナノワイヤのほぼ全てがコンタクト部と電気的に接触することができる。したがって、第1透明電極の表面に露出した導電性ナノワイヤの全てとブリッジ配線部の表面に露出した導電性ナノワイヤの全てとを実質的に電気的に接続させることができる。このように、コンタクト部を設けることにより、第1透明電極とブリッジ配線部との電気的接続の安定性を高めることができる。また、ESDが発生した場合であっても、コンタクト部は緩衝作用を及ぼして、一部の導電性ナノワイヤに局所的に大電流が流れることを抑えることができる。言い換えれば、ブリッジ配線部とコンタクト部との接触、および第1透明電極とコンタクト部との接触は、ワイヤとワイヤとの接触ではなく、ワイヤと面との接触となる。そのため、ESDが発生した場合において、コンタクト部に流れ込んだ大電流はコンタクト部内で拡散され、コンタクト部に接する導電性ナノワイヤのそれぞれに分散して流れ出る。したがって、第1透明電極の表面に露出した導電性ナノワイヤの一部およびブリッジ配線部の表面に露出した導電性ナノワイヤの一部に局所的に大電流が流れることを抑えることができる。これにより、第1透明電極の導電性ナノワイヤおよびコンタクト部の導電性ナノワイヤの局所的な溶断が生じにくくなり、ESD耐性を向上させることができる。
【0012】
また、ブリッジ配線部とコンタクト部との接触、および第1透明電極とコンタクト部との接触がワイヤと面との接触となるため、ブリッジ配線部が第1透明電極と直接的に接触する場合と比較すると、接触面積を広げることができる。そのため、第1透明電極とブリッジ配線部との間のコンタクト抵抗を低減することができる。
【0013】
さらに、第1透明電極の表面をコンタクト部が保護するため、静電容量式センサの製造工程中における腐食ダメージを低減することができる。
【0014】
本発明の静電容量式センサにおいて、前記ブリッジ配線部は、前記複数の第2透明電極のうちで隣り合う2つの前記第2透明電極の連結部の下側に設けられていてもよい。これによれば、ブリッジ配線部は、基材の平坦な表面の上に設けられる。そのため、ブリッジ配線部を精度よく安定した形状で形成することができる。
【0015】
本発明の静電容量式センサにおいて、前記コンタクト部の導電性材料は、酸化物系材料を含んでいてもよい。これによれば、コンタクト部の透光性を保つとともに、大電流が第1透明電極およびブリッジ配線部に局所的に流れることを抑え、ESD耐性を向上させることができる。
【0016】
本発明の静電容量式センサにおいて、前記コンタクト部の導電性材料は、金属系材料を含んでいてもよい。これによれば、第1透明電極とブリッジ配線部との間のコンタクト抵抗をより低減できるとともに、大電流が第1透明電極およびブリッジ配線部に局所的に流れることを抑え、ESD耐性を向上させることができる。
【0017】
本発明の静電容量式センサにおいて、導電性ナノワイヤは、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、および銅ナノワイヤよりなる群から選択された少なくとも1つであってもよい。これによれば、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、および銅ナノワイヤなどの導電性ナノワイヤを含む材料により形成された第1透明電極とブリッジ配線部との電気的な接続部分のESD耐性を向上させることができる。
【0018】
本発明のタッチパネルは、一態様において、表示パネルと、前記表示パネルの上に設けられたタッチセンサと、を備え、前記タッチセンサは、上記のいずれかの静電容量式センサであることを特徴とする。これによれば、第1透明電極およびブリッジ配線部のそれぞれが導電性ナノワイヤを含む材料により形成されていても、第1透明電極とブリッジ配線部との電気的な接続部分のESD耐性を向上させることができる。
【0019】
本発明の電子機器は、一態様において、上記のタッチセンサを備えたことを特徴とする。これによれば、ESD耐性を向上させたタッチパネルを備えた電子機器を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ブリッジ構造(透光性電極の交差構造)が設けられた場合において、ESD耐性を向上させることができる静電容量式センサ、タッチパネルおよび電子機器を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態に係る静電容量式センサを表す模式的平面図である。
図2は、本実施形態に係る静電容量式センサを表す模式図である。
図2(a)は、
図1に表したA部の模式的拡大図である。
図2(b)は、
図2(a)に表した切断面X1−X1における模式的断面図である。
【0023】
本願明細書において「透明」および「透光性」とは、可視光線透過率が50%以上(好ましくは80%以上)の状態を指す。更に、ヘイズ値が6%以下であることが好適である。
【0024】
図1に表したように、本実施形態に係る静電容量式センサ1は、基材10(
図2(b)参照)の検出領域Sに設けられた第1電極11および第2電極12を備える。第1電極11は、基材10の表面10a(
図2(b)参照)に沿ったX方向(第1方向)に延在する。第2電極12は、基材10の表面10aに沿いX方向と直交するY方向(第2方向)に延在する。第1電極11および第2電極12は、互い絶縁される。本実施形態では、Y方向に所定のピッチで複数の第1電極11が配置され、X方向に所定のピッチで複数の第2電極12が配置される。
【0025】
図2(a)に表したように、第1電極11は、複数の第1透明電極111を有する。本実施形態では、複数の第1透明電極111は、菱形に近い形状を有し、X方向に並んで配置される。つまり、複数の第1透明電極111は、X方向と平行に配置されている。また、第2電極12は、複数の第2透明電極121を有する。複数の第2透明電極121は、菱形に近い形状を有し、Y方向に並んで配置される。つまり、複数の第2透明電極121は、X方向と交差するY方向と平行に配置されている。
【0026】
第1透明電極111および第2透明電極121のそれぞれは、透光性を有し、導電性ナノワイヤを含む材料により形成される。導電性ナノワイヤとしては、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、および銅ナノワイヤよりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。導電性ナノワイヤを含む材料を用いることで、第1透明電極111および第2透明電極121の高い透光性とともに低電気抵抗化を図ることができる。
【0027】
導電性ナノワイヤを含む材料は、導電性ナノワイヤと、透明な樹脂層と、を有する。導電性ナノワイヤは、樹脂層の中において分散されている。導電性ナノワイヤの分散性は、樹脂層により確保されている。透明な樹脂層の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、およびポリウレタン樹脂などが挙げられる。導電性ナノワイヤのそれぞれが少なくとも一部において互いに接触することにより、導電性ナノワイヤを含む材料の面内における導電性が保たれている。
【0028】
複数の第1電極11のそれぞれには、
図1に表したように、検出領域Sの外側へ引き出される引き出し配線11aが接続される。また、複数の第2電極12のそれぞれには、検出領域Sの外側へ引き出される引き出し配線12aが接続される。第1電極11には引き出し配線11aを介して駆動電圧が与えられ、第2電極12には引き出し配線12aを介して駆動電圧が与えられる。各引き出し配線11a、12aは、第1透明電極111および第2透明電極121と同様な導電性ナノワイヤを含む材料により形成されてもよいし、透光性は必ずしも要求されないので別の金属材料により形成してもよい。これにより、線幅が細くなっても高い導電性を得ることができる。
【0029】
第1透明電極111、第2透明電極121、引き出し配線11a、12aのそれぞれは、例えばスクリーン印刷やエッチングによって形成される。また、第1透明電極111、第2透明電極121、引き出し配線11a、12aのそれぞれは、感光型導電性シート(いわゆる、ドライフィルムレジストに導電層を有したシート)によって形成されてもよい。感光型導電性シートを用いることで、このシートを貼り付けて露光および現像を行って第1透明電極111、第2透明電極121、引き出し配線11a、12aを生産性高く形成することができる。
【0030】
図2(a)および
図2(b)に表したように、第1電極11と第2電極12とは、隣り合う2つの第1透明電極111の連結位置と、隣り合う2つの第2透明電極121の連結位置と、で交差している。この交差部分にブリッジ配線部20が設けられ、交差部分において第1電極11と第2電極12とが接触しないようになっている。つまり、本実施形態に係る静電容量式センサ1は、ブリッジ構造(電極同士の交差構造)を有する。
【0031】
本実施形態において、隣り合う2つの第2透明電極121の間には連結部122が設けられる。したがって、第2電極12は、Y方向に第2透明電極121と連結部122とが交互に繰り返される構成となる。連結部122は、第2透明電極121と一体的に形成されていてもよい。
【0032】
一方、隣り合う2つの第1透明電極111の間にはブリッジ配線部20が設けられる。したがって、第1電極11は、X方向に第1透明電極111とブリッジ配線部20とが交互に繰り返される構成となる。
【0033】
図2(b)に表したように、第1透明電極111とブリッジ配線部20との間には、コンタクト部131が設けられる。コンタクト部131は、透光性を有し、導電性材料により形成される。コンタクト部131は、実質的に導電性材料により形成されていればよく、導電性に実質的に影響を与えない程度あれば導電性が低い材料(印刷ペーストに含有される溶剤など有機物質が例示される。)を含んでいてもよい。
【0034】
コンタクト部131の導電性材料は、酸化物系材料を含む。この酸化物系材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、GZO(Gallium-doped Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)およびFTO(Fluorine-doped Zinc Oxide)などが挙げられる。あるいは、コンタクト部131の導電性材料は、金属系材料を含んでもよい。この金属系材料としては、例えば、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)および銀(Ag)、ならびにこれらの少なくともいずれかの元素を含む合金などが挙げられる。
【0035】
コンタクト部131の厚さは、適切な透光性および導電性を有するように適宜設定され、例えば約5ナノメートル(nm)以上、100nm以下程度である。コンタクト部131の厚さは、例えば約10nm以上、50nm以下程度であることが好適である。さらに、コンタクト部131の厚さは、例えば約30nm程度であることがより好適である。
【0036】
コンタクト部131は、スパッタ、蒸着等のドライプロセス、あるいは塗布、印刷、めっき等のウエットプロセスにより形成される。また、コンタクト部131は、複数の材料が積層された積層構造を有していてもよい。コンタクト部131が積層構造を有する場合において、各層の組成は、特には限定されない。
【0037】
連結部122の表面には、絶縁層30が形成されている。
図2(b)に示すように、絶縁層30は、連結部122と第1透明電極111との間の空間を埋め、第1透明電極111の表面にも多少乗り上げている。絶縁層30としては、例えばノボラック樹脂(レジスト)が用いられる。
【0038】
ブリッジ配線部20は、絶縁層30の表面30aから絶縁層30のX方向の両側に位置する各コンタクト部131の表面にかけて形成されている。ブリッジ配線部20は、透光性を有し、第1透明電極111および第2透明電極121と同様な導電性ナノワイヤを含む材料により形成される。これにより、ブリッジ配線部20は、各コンタクト部131を介して各第1透明電極111間を電気的に接続している。
【0039】
このように、連結部122の表面には絶縁層30が設けられ、各コンタクト部131を介して各第1透明電極111を電気的に接続するブリッジ配線部20が絶縁層30の表面30aに設けられている。つまり、連結部122とブリッジ配線部20との間には絶縁層30が介在し、第1透明電極111と第2透明電極121とは電気的に絶縁された状態となっている。本実施形態では、第1透明電極111と第2透明電極121とを同じ面(基材10の表面10a)に形成することができ、静電容量式センサ1の薄型化を実現できる。
【0040】
ブリッジ配線部20の上には、光学透明粘着層(OCA;Optical Clear Adhesive)35を介して保護層50が設けられている。保護層50は、光学透明粘着層35を介して基材10と接合されている。保護層50の材料は、特には限定されない。保護層50の材料としては、ガラス基材やプラスチック基材が好ましく適用される。光学透明粘着層35は、アクリル系粘着剤や両面粘着テープ等である。基材10は、透光性を有し、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルム状の透明基材やガラス基材等で形成される。
【0041】
静電容量式センサ1では、各引き出し配線11a、12aを流れる電流の変化を図示しない検出回路で検出する。すなわち、第1電極11および第2電極12に所定の電位を与えた状態で、検出領域Sに指Fを近づけると、第1電極11および第2電極12のそれぞれと指との間に容量が生じる。この容量によって生じる電位低下を検出することで、指Fが接近した検出領域S内でのX,Y座標を判定する。
【0042】
ここで、コンタクト部131が設けられていない場合を例に挙げて説明する。コンタクト部131が設けられていない場合には、ブリッジ配線部20は、第1透明電極111と直接的に接触する。すると、ブリッジ配線部20および第1透明電極111のそれぞれは、導電性ナノワイヤを含む材料により形成されるため、ブリッジ配線部20と第1透明電極111との接触は、ブリッジ配線部20の表面に露出したワイヤと、第1透明電極111の表面に露出したワイヤ、との接触となる。そのため、ブリッジ配線部20と第1透明電極111との接触面積は、比較的狭くなる。
【0043】
この場合において、静電気放電(ESD;Electro Static Discharge)が発生し、大電流がブリッジ配線部20と第1透明電極111との接触部分に流れると、その接触部分(ワイヤとワイヤとが接触した部分)が局所的に発熱して溶断するおそれがある。つまり、ブリッジ配線部20および第1透明電極111のそれぞれが導電性ナノワイヤを含む材料により形成された場合において、ブリッジ配線部20および第1透明電極111が互いに直接的に接触すると、ESD耐性が低下するおそれがある。
【0044】
これに対して、本実施形態に係る静電容量式センサ1では、コンタクト部131が第1透明電極111とブリッジ配線部20との間に設けられている。コンタクト部131は、導電性材料により形成されるため、第1透明電極111とブリッジ配線部20との電気的接続を安定化させ、ESDが発生した場合であっても、緩衝作用を及ぼし、大電流がブリッジ配線部20および第1透明電極111に局所的に流れることを抑えることができる。言い換えれば、ブリッジ配線部20とコンタクト部131との接触、および第1透明電極111とコンタクト部131との接触は、ワイヤとワイヤとの接触ではなく、ワイヤと面との接触となる。そのため、ESDが発生した場合において、大電流がブリッジ配線部20および第1透明電極111に局所的に流れることを抑えることができる。これにより、ESD耐性を向上させることができる。
【0045】
また、ブリッジ配線部20とコンタクト部131との接触、および第1透明電極111とコンタクト部131との接触がワイヤと面との接触となるため、ブリッジ配線部20が第1透明電極111と直接的に接触する場合と比較すると、接触面積を広げることができる。そのため、ブリッジ配線部20と第1透明電極111との間のコンタクト抵抗を低減することができる。
【0046】
さらに、第1透明電極111の表面をコンタクト部131が保護するため、静電容量式センサ1の製造工程中における腐食ダメージを低減することができる。
【0047】
以下、本発明の他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図3は、他の実施形態に係る静電容量式センサを表す模式図である。
図3(a)は、
図1に表したA部の模式的拡大図である。
図3(b)は、
図3(a)に表した切断面X2−X2における模式的断面図である。
【0048】
図2(a)および
図2(b)に関して前述した静電容量式センサ1では、ブリッジ配線部20は、連結部122の上側に設けられ、各コンタクト部131を介して各第1透明電極111間を電気的に接続している。一方で、
図3(a)および
図3(b)に表した静電容量式センサ1aでは、ブリッジ配線部20は、第2電極12の連結部122の下側に設けられ、各コンタクト部131を介して各第1透明電極111間を電気的に接続している。つまり、
図3(a)および
図3(b)に表した静電容量式センサ1aでは、ブリッジ配線部20は、連結部122の下側で連結部122と交差している。
【0049】
具体的には、
図3(b)に表したように、基材10の上にはブリッジ配線部20が設けられる。ブリッジ配線部20は、基材10の平坦な表面10aに設けられる。ブリッジ配線部20の上には、コンタクト部131が設けられる。コンタクト部131の上には、絶縁層30が設けられる。絶縁層30は、ブリッジ配線部20上およびその周辺部のみに島状に形成されてもよいし、
図3(b)に表したように全面に形成されてもよい。この絶縁層30の上に少なくとも一部が重なるように、第1電極11および第2電極12が設けられる。第1電極11および第2電極12は、同層に設けられる。
【0050】
ブリッジ配線部20の両端部分には、絶縁層30の開口30hが設けられる。第1電極11は、開口30h内にビア112を有する。第1電極11は、ビア112およびコンタクト部131を介してブリッジ配線部20と導通する。これにより、第1電極11は、ブリッジ配線部20を介して第2電極12の連結部122の下を通る電流経路を構成する。第1電極11および第2電極12の上には層間絶縁膜40が設けられ、その上に光学透明粘着層35を介して保護層50が設けられる。
【0051】
このような構成を備えた静電容量式センサ1aにおいては、平坦な表面10aの上にブリッジ配線部20が設けられているため、ブリッジ配線部20を精度よく安定した形状で形成することができる。また、第1電極11および第2電極12は、絶縁層30の上における同層に設けられる。絶縁層30を全面に形成した場合には平坦性が高くなるため、絶縁層30の上に第1電極11および第2電極12を精度よく安定した形状で形成することができる。
【0052】
第1透明電極111、第2透明電極121、基材10、ブリッジ配線部20、絶縁層30、および保護層50のそれぞれの材料は、
図1〜
図2(b)に関して前述した通りである。また、第1透明電極111および第2透明電極121が感光型導電性シートにより形成される場合において、感光型導電性シートが感光性樹脂層を有する場合には、その感光性樹脂層を層間絶縁膜40として利用してもよい。
【0053】
本実施形態に係る静電容量式センサ1aでは、ブリッジ配線部20が連結部122の下側に設けられている場合において、コンタクト部131が第1透明電極111とブリッジ配線部20との間に設けられている。そのため、
図1〜
図2(b)に関して前述したように、ESDが発生した場合において、大電流がブリッジ配線部20および第1透明電極111に局所的に流れることを抑えることができる。これにより、ESD耐性を向上させることができる。また、
図1〜
図2(b)に関して前述した他の効果を同様に得ることができる。
【0054】
次に、本発明者が実施した実験の結果の一例について、図面を参照しつつ説明する。
図4は、
図2(b)に表した静電容量式センサについて本発明者が実施した実験の結果の一例を例示するグラフ図である。
図5は、
図3(b)に表した静電容量式センサについて本発明者が実施した実験の結果の一例を例示するグラフ図である。
図6は、比較例に係る静電容量式センサについて本発明者が実施した実験の結果の一例を例示するグラフ図である。
【0055】
図4、
図5および
図6に表したグラフ図の横軸は、ブリッジ配線部20の抵抗値(Ω:オーム)を表す。
図4、
図5および
図6に表したグラフ図の縦軸は、ESD耐圧(kV:キロボルト)を表す。本願明細書において「ESD耐圧」とは、ブリッジ配線部20が破壊(溶断)したときの電圧をいうものとする。ブリッジ配線部20の抵抗値については、主としてブリッジ配線部20の幅W(
図2(a)および
図3(a)参照)を変えることでブリッジ配線部20の抵抗値を変化させた。
【0056】
まず、
図6に表したグラフ図について説明する。
図6に表したグラフ図は、比較例に係る静電容量式センサについて実施した実験の結果の一例を例示している。比較例に係る静電容量式センサは、
図3(b)に関して前述した静電容量式センサ1aの構造と同様に、ブリッジ配線部20が連結部122の下側で連結部122と交差した構造を有する。比較例に係る静電容量式センサでは、コンタクト部が設けられていない。つまり、第1透明電極111とブリッジ配線部20との間にはコンタクト部が設けられておらず、第1透明電極111とブリッジ配線部20との接触は、第1透明電極111の表面に露出したワイヤと、ブリッジ配線部20の表面に露出したワイヤとの接触となっている。
【0057】
第1透明電極111およびブリッジ配線部20のそれぞれの材料は、銀ナノワイヤを含む材料である。第1透明電極111は、スピンコートにより形成されている。ブリッジ配線部20は、ロールコートにより形成されている。第1透明電極111の厚さは、約100nm程度である。また、第1透明電極111およびブリッジ配線部20のそれぞれのシート抵抗は、40Ω/□である。ブリッジ配線部20の抵抗値は、約160Ω以上、260Ω以下程度である。このときのブリッジ配線部20の幅Wは、約150マイクロメートル(μm)以上、200μm以下程度である。
【0058】
図6に表したグラフ図によれば、コンタクト部が設けられていない静電容量式センサ(比較例に係る静電容量式センサ)のESD耐圧は、約0.2kV程度である。
【0059】
次に、
図5に表したグラフ図について説明する。
図5に表したグラフ図は、
図3(b)に表した静電容量式センサ1aについて実施した実験の結果の一例を例示している。つまり、
図5に表したグラフ図の実験に用いた静電容量式センサ1aでは、コンタクト部131が、第1透明電極111とブリッジ配線部20との間に設けられている。コンタクト部131の材料は、ITOである。コンタクト部131の厚さは、約30nm程度である。
【0060】
その他の構造は、比較例に係る静電容量式センサと同じである。また、第1透明電極111およびブリッジ配線部20のそれぞれの材料、形成方法、厚さ、シート抵抗、および抵抗値は、比較例に係る静電容量式センサのそれぞれと同じである。
【0061】
図5に表したグラフ図によれば、本実験に用いた本実施形態に係る静電容量式センサ1aのESD耐圧は、約1.6kV以上、2kV以下程度である。これにより、コンタクト部131が第1透明電極111とブリッジ配線部20との間に設けられていることで、ESD耐圧を向上できることが分かる。
【0062】
次に、
図4に表したグラフ図について説明する。
図4に表したグラフ図は、
図2(b)に表した静電容量式センサ1について実施した実験の結果の一例を例示している。つまり、
図4に表したグラフ図の実験に用いた静電容量式センサ1では、コンタクト部131が、第1透明電極111とブリッジ配線部20との間に設けられている。コンタクト部131の材料は、ITOである。コンタクト部131の厚さは、約30nm程度である。
【0063】
図4に表したグラフ図によれば、本実験に用いた本実施形態に係る静電容量式センサ1のESD耐圧は、約1.6kV以上、2.2kV以下程度である。これにより、コンタクト部131が第1透明電極111とブリッジ配線部20との間に設けられていることで、ESD耐圧を向上できることが分かる。
【0064】
次に、本実施形態に係る静電容量式センサ1の適用例について説明する。
図7(a)〜
図8(b)は、本実施形態に係る静電容量式センサの適用例を示す模式図である。
図7(a)には、静電容量式センサ1をタッチパネル200に適用した例が表される。タッチパネル200は、表示パネル210と、表示パネル210の上に設けられた静電容量式センサ1と、を備える。表示パネル210としては、例えば液晶表示パネルが用いられる。液晶表示パネルからなる表示パネル210は、互いに対向配置された駆動基板211および対向基板212を有し、駆動基板211と対向基板212との間に液晶層213が設けられる。タッチセンサ220は、対向基板212の表側に設けられる。
【0065】
図7(b)には、タッチパネル200を備えた電子機器300の例が表される。電子機器300は、例えばテレビである。電子機器300は、筐体310と表示部320とを備える。表示部320の表面には、タッチパネル200が設けられる。なお、電子機器300はテレビに限定されず、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末など他の機器であってもよい。
【0066】
図8(a)には、タッチパネル200を備えたコンピュータ400の例(ノート型コンピュータ)が表される。コンピュータ400は、ディスプレイ410、キーボード420、入力パッド430などを備える。
図8(b)に表したように、コンピュータ400は、中央演算部401、主記憶部402、副記憶部403、入力部404、出力部405およびインタフェース406を備える。キーボード420および入力パッド430は、入力部404の一例である。ディスプレイ410は、出力部405の一例である。タッチパネル200は、ディスプレイ410に含まれる。タッチパネル200は、入力部404および出力部405の両方を兼ねた例である。
【0067】
これらの機器に本実施形態の静電容量式センサ1を適用することで、第1電極11と第2電極12とが、隣り合う2つの第1透明電極111の連結位置と、隣り合う2つの第2透明電極121の連結位置と、で交差し、この交差部分にブリッジ配線部20が設けられた場合において、ESD耐性を向上させることができるタッチパネル200、電子機器300およびコンピュータ400を提供することが可能になる。
【0068】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。