特許第6405309号(P6405309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サン‐ゴバン、クリストー、エ、デテクトゥールの特許一覧

特許6405309特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法
<>
  • 特許6405309-特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法 図000002
  • 特許6405309-特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法 図000003
  • 特許6405309-特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法 図000004
  • 特許6405309-特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法 図000005
  • 特許6405309-特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法 図000006
  • 特許6405309-特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法 図000007
  • 特許6405309-特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法 図000008
  • 特許6405309-特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法 図000009
  • 特許6405309-特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405309
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】特定の結晶学的特徴を有するIII−V族基板材料および形成方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/38 20060101AFI20181004BHJP
   C30B 25/20 20060101ALI20181004BHJP
   C23C 16/34 20060101ALI20181004BHJP
   C23C 16/01 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   C30B29/38 D
   C30B25/20
   C23C16/34
   C23C16/01
   H01L21/205
   H01L21/20
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-530388(P2015-530388)
(86)(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公表番号】特表2015-534531(P2015-534531A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(86)【国際出願番号】EP2013068376
(87)【国際公開番号】WO2014037446
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】61/696,908
(32)【優先日】2012年9月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510207298
【氏名又は名称】サン‐ゴバン、クリストー、エ、デテクトゥール
【氏名又は名称原語表記】SAINT−GOBAIN CRISTAUX & DETECTEURS
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ピエール、フォーリー
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、ボーモン
【審査官】 今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−147271(JP,A)
【文献】 特開2007−246331(JP,A)
【文献】 特表2009−519202(JP,A)
【文献】 特開2012−006794(JP,A)
【文献】 P.R. Hageman et.al,Thick GaN layers grown by hydride vapor-phrase epitaxy: hetero- versus homo-epitaxy,Journal of Crystal Growth,Elzevier,2003年 8月 1日,Vol.255 Issue 3-4,pp.241-249
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/38
C23C 16/01
C23C 16/34
C30B 25/20
H01L 21/20
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を形成する方法において、
半導体材料を含んでなるベース基板を用意し、そして
13−15族材料を含んでなるベース基板を覆う第1の半導体層を、ハイドライド気相成長(HVPE)を通じて形成するに際し、前記第1の半導体層が、N面配向を有する上面を含んでなり、前記第1の半導体層の上面が複数の突起を含んでなる、半導体基板を形成する方法であって、
前記突起が、約0.3以下の高さ比(h/t)を有する(ここで、hは、前記複数の突起の平均高さを表し、tは、前記第1の半導体層の厚さを表す)、方法。
【請求項2】
前記ベース基板が窒化ガリウム(GaN)を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の半導体層の形成を、950℃よりも高い温度で実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の半導体層を、介在バッファー層の形成無しにベース基板上に直接形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の半導体層が窒化ガリウム(GaN)を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の半導体層が、Si、Ge、Fe、Mg、Zn、またはそれらの組合せを含むドーパントを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の半導体層が、少なくとも約0.1mmの平均厚さを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の半導体層の形成を、少なくとも約50ミクロン/時間の速度で実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の半導体層の形成が、三次元成長モード、二次元成長モード、およびエピタキシャル成長の間に、三次元と二次元の成長モードの間で切り替えることを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の半導体層の上面の少なくとも一部分を除去することをさらに含んでなり、除去は、前記上面から複数の突起を除去することを含み、除去は、前記第1の半導体層の元来の平均厚さの約15%以下であり、かつ、前記第1の半導体層の元来の平均厚さの少なくとも約5%だけ、前記第1の半導体層の厚さを減少させることを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記上面に対向する、前記第1の半導体層の背面の一部分を除去することをさらに含んでなり、前記背面がGa面配向を有し、除去が機械的工程を含んでなり、除去が破砕を含み、除去が研磨を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
単一形成工程を使用して一連の半導体基板を形成する方法であって、
窒素を含む半導体材料を含んでなるベース基板を用意し、13−15族材料を含んでなるベース基板を覆う第1の半導体層を、ハイドライド気相成長(HVPE)を通じて形成し、前記ベース基板は、N面配向を有する成長面を含んでなり、
前記ベース基板を覆うブール(boule)を形成し、そして
前記ブールを切断して、複数の個別の半導体基板を形成すること、を含み、
前記ブールが剥離層を含んでなり、さらに
前記第1の半導体層の上面が複数の突起を含んでなり、前記突起が、約0.3以下の高さ比(h/t)を有する(ここで、hは、前記複数の突起の平均高さを表し、tは、前記第1の半導体層の厚さを表す)、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、半導体基板を形成する方法、そして具体的には、基板を成形し、そのような基板から形成されたデバイスを改良する方法を目的としている。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)等のIII−V族材料、窒化インジウムガリウム(InGaN)および窒化ガリウムアルミニウム(GaAlN)等の三元化合物、そしてさらには四元化合物(AlGaInN)を含む、半導体系化合物は、直接遷移型半導体である。そのような材料は、短波長発光に向けた大きな可能性を有すると認識されており、従って、発光ダイオード(LEDs)、レーザーダイオード(LDs)、UV検出器、および高温電子デバイスの製造に使用するには好適である。
【0003】
しかしながら、そのような半導体材料の成長は、そのような材料の処理工程、詳細には、材料の高品質な単結晶形の形成を取り巻く困難さによって阻まれおり、この形成は、オプトエレクトロニクスにおける短波長発光の製造に必要とされているものである。GaNは、天然に存在する化合物としては見つかっておらず、従って、シリコン、ガリウムヒ素、またはサファイヤと同じようにして、ブール(boule)から溶融させて引き上げることはできないが、その理由は、常圧では、その理論的融点が、その分解温度を超過するからである。その代わりとして、工業界は、エピタキシャル成長工程を使用してバルクGaN結晶を形成する方向に舵を切っている。しかしながら、エピタキシャル法に伴う問題は依然として存在し、それらには、好適な低欠陥密度のバルクGaN材料の形成、およびその他の結晶形態学的差異の存在、例えば結晶弓が挙げられる。
【0004】
広範な欠陥(貫通転位、積層欠陥、および逆位相境界)の存在により、性能が顕著に劣化し、その結果、デバイスの動作寿命が短くなる。より詳細には、転位は、非発光中心として振る舞い、従って、これらの材料から形成された発光ダイオードおよびレーザーダイオードの発光効率を低減させる。さらには、その他の要因、例えば結晶配向は、GaN材料上に形成されたデバイスの性能に負の影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態では、半導体基板を形成する方法は、半導体材料を有するベース基板を提供すること、そして13−15族材料を有するベース基板を覆う第1の半導体層を、ハイドライド気相成長(HVPE)を通じて形成することを含む。第1の半導体層は、N面配向を有する上面を有する。
【0006】
別の実施形態では、半導体基板を形成する方法は、窒素を含む半導体材料を有するベース基板を提供することを含み、ベース基板はまた、N面配向を有する成長面も有する。この実施形態の方法はまた、GaNを有するベース基板を覆う第1の半導体層を、ハイドライド気相成長(HVPE)を通じて形成することも含む。第1の半導体層は、N面配向を有する上面を有する。
【0007】
さらに別の実施形態では、単一形成工程を使用して一連の半導体基板を形成する方法は、窒素を含む半導体材料を有するベース基板を提供することを含む。ベース基板は、N面配向を有する成長面を有する。この実施形態の方法はまた、ベース基板を覆うブール(boule)を形成すること、およびブールを切断して複数の個別の半導体基板を形成することも含む。
【0008】
さらに別の実施形態では、半導体物品が、GaNと、少なくとも1cmの平均厚さと、N面配向を有する上面とを有するブールを含む。
【0009】
本開示は、付随の図面を参照することにより当業者には、より良く理解できることがあり、その多くの特徴および利点が明らかになることもある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に準拠した、半導体基板を形成する方法を例示するフローチャートを含む。
図2A】本明細書の実施形態に従う特定の層の例示を含む。
図2B】本明細書の実施形態に従う特定の層の例示を含む。
図3A】GaN結晶構造のGa面配向の例示を含む。
図3B】GaN結晶構造のN面配向の例示を含む。
図4】c面、a面、およびm面の帰属を含む結晶構造の例示を提供する。
図5】実施形態に従う半導体層の断面図を含む。
図6】実施形態に従う仕上げ済み半導体ウェーハの断面図を含む。
図7】実施形態に従うブールの断面図を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下は概して、基板材料、そして半導体材料を含んでなる特定の基板を目的としており、複数の半導体層(すなわち半導体基板)、およびそのような物品を形成する方法を含み得る。半導体基板は、例えば窒化ガリウム(GaN)を含む13−15族材料を含んでいてもよい。13−15族材料への言及には、IUPAC元素周期律表の2011年1月21日付け版を基準にした元素周期律表の13族からの少なくとも一つの元素、およびこの元素周期律表の15族からの少なくとも一つの元素を含む化合物が含まれることは、認識されるであろう。また認識されるであろうように、本明細書の実施形態は、ブールの形成を目的としており、これは、単一の形成工程を使用して複数の基板を形成することを容易にし得るものである。
【0012】
図1は、本実施形態に準拠した半導体基板を形成する方法を例示するフローチャートを含む。図2A〜2Bは、本明細書の実施形態に従う特定の層の例示を含む。図1を参照して、半導体基板を形成する工程を、ベース基板201を準備することによりステップ101で開始することができる。ベース基板201は、その上に複数の層を支持するのに好適な構造であり得、そして成長面202を有し、これは、この上で一つまたは複数の層を形成するのに好適であり得る。
【0013】
一実施形態に従って、ベース基板201は、半導体材料を含み得る。いくつかの好適な半導体材料は、13−15族化合物材料を含み得る。一実施形態に従って、ベース基板201はガリウムを含み得る。別の例は、ベース基板201は、窒素を含んでいてもよい。特定の一実施形態では、ベース基板201は、窒化ガリウム(GaN)を含んでなり得、より詳細には、窒化ガリウムから本質的になっていてもよい。
【0014】
図3Aおよび3Bは、GaN結晶構造のGa極性配向(Ga面配向とも呼ばれる)、およびN極性配向の例示を提供する。図2Aを参照して、特定の実施形態では、ベース基板201の底面220は、Ga面配向を有し得て、ここで結晶構造のGa原子(Ga)は、底面220を画定し、これに交差する。他の実施形態では、ベース基板201は、a〜c配向する、またはN極性配向(N面配向とも呼ばれる)を有する成長した面を有し得る。図3Bは、N面配向を例示しており、ここで、結晶構造の窒素原子(N)は、ベース基板201の成長面202を画定し、これに交差する。とりわけ、極性面、例えば、ウルツ鉱型構造における(0002)c面の場合には、ベース基板201は、極性に関して成長面202とは反対の底面220を有することになる。
【0015】
さらなる実施形態では、ベース基板201は、N面配向を有する成長面を有してもよい。特定の実施形態では、ベース基板201は、エピ容易なN極性でc面配向したバルクGaN基板である。エピタキシャル層における歪みは、エピ容易なN極性でc面配向したバルクGaN基板から出発した場合には、サファイヤ基板から出発したエピタキシャル層における歪みよりも実質的に少ないことが認識されるであろう。N面配向した成長面の欠陥密度は、これに対応しGa面配向した背面の欠陥密度より少ないこともまた認識されるであろう。
【0016】
一実施形態に従えば、ベース基板201は、ドーパント材料を本質的に含まなくてもよい。さらにその他の例でも、ベース基板201は、n型、例えば、O、Si、Ge等の元素、およびそれらの組み合わせを含むドーパントを有し得る。ベース基板201は、少なくとも約1×1022cmかつ約1×1017cm以下の、n型ドーパントのドーパント濃度を有し得る。代わりの設計では、ベース基板201は、p型ドーパントを有し得る。一つの好適なp型ドーパントには、Mg、Fe、およびZnが挙げられる。少なくとも一実施形態については、ベース基板201内のp型ドーパントのドーパント濃度は、少なくとも約1×1017cmかつ約1×1022cm以下であり得る。
【0017】
別の実施形態によれば、ベース基板201は、c面の結晶配向、例えば図3Bに示す結晶配向を有し得る。具体的な例では、ベース基板201は、ベース基板201の上外面を画定する成長面202を有し得る。さらに、特定の例では、ベース基板201は、結晶材料内の成長面202と結晶基準面との間で定義された角度としてのオフカット角を有し得る。例えば、ベース基板201は、a面またはm面に対して、少なくとも約0.05度、例えば少なくとも約0.08度、少なくとも約0.1度、またはさらには少なくとも約0.3度のオフカット角を有するc面配向を有し得る。一つの非制限的実施形態では、オフカット角は、約5度以下、例えば約3度以下、約1度以下、またはさらには約0.8度以下であってもよい。オフカット角は、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲にあってもよいことは認識されるであろう。別の非制限的実施形態では、オフカット角は、10度以下、例えば約8度以下、約5度以下、および約3度以下であり得る。さらに、図4は、c面、a面、およびm面の帰属を含むGaN結晶構造の例示を提供し、ここで、a面およびm面は非極性面であり得る。
【0018】
図1を再び参照し、ステップ101で基板を準備した後、工程は、ステップ103において、ベース基板201を覆う半導体層205形成することにより続行することができる。いくつかの実施形態では、半導体層205は、ベース基板201の成長面202上に直接形成することができる。図2Bは、これらの実施例に従って形成された半導体基板の例示を含む。しかしながら、いくつかの実施例では、ベース基板201および半導体層205の間の一つまたは複数の介在層、例えばバッファー層を使用してもよいことは認識されるであろう。
【0019】
特定の一例では、半導体層205は、13−15族の材料から形成することができる。いくつかの好適な13−15族材料は、窒化物材料を含んでいてもよい。さらには、半導体層205は、ガリウムを含んでいてもよい。特定の例では、半導体層205は窒化ガリウム(GaN)を含んでいてもよく、より詳細には、窒化ガリウムから本質的になっていてもよい。
【0020】
半導体層205を形成する特定の方法を行うことができる。例えば、HVPE工程の使用では、ベース層材料の形成は、様々な成長モードで実行することができる。例えば、一実施形態では、ベース層は最初、三次元(3D)成長モードで成長したエピタキシャル層として形成される。3D成長モードは、複数の結晶方向に沿っての、半導体層205の材料の同時成長を含んでいてもよい。3D成長モードでは、c軸に沿った成長は、水平方向での成長よりも速い。その結果、3D成長モードでは、ファセット面の成長がc面よりも有利であり、これは層の形態に反映されることとなり、この形態は、小さいc面(メサ)を示すものであって、メサの間には複数のファセットおよび谷が存在する。
【0021】
あるいは、またはさらに、半導体層205の形成は,二次元(2D)成長モードでのエピタキシャル成長を含み得る。2D成長モードは、いわゆる一層毎の成長モードを特徴とする。実際に2D成長モードでは、c軸に沿った成長は、水平方向での成長より遅い。その結果、2D成長モードでは、c面の成長がファセット面の成長よりも有利である。例えば、一実施形態では、2D成長モードでの、GaNを含んでなる半導体層205の形成は、c面(0001)でのGaNの選択的成長を含み、その結果、205層は、c面配向する平坦な形態を示すであろう。
【0022】
実施形態では、半導体層205の形成に、3Dおよび2D成長モードの組み合せを援用してもよいことは認識されるであろう。例えば、半導体層205は、最初、3D成長モードで形成させてもよく、ここで、アイランドの特徴が、成長のまさしく第1のステップの間に、材料の非連続層として、バッファー層203(またはベース基板201)上で自発的に形成される。
【0023】
3D成長モードを組み込む実施形態では、成長面は、ピット、ファセットおよび/またはテラスを有する粗く非平坦な3D形態を成長させ得る。半導体層205の成長は、c軸に沿って、しかし複数の結晶方向に沿った同時成長を通じて進行してもよい。水平方向よりもc軸に沿った成長速度が速いせいで、半極性面のファセットが、半導体層205中のc面テラスよりも速く成長する。
【0024】
代わりに、またはさらに、特定の実施形態では、半導体層205を、二次元(2D)エピタキシャル成長モードを使用して形成することができる。2D成長モードでは、成長しつつある表面は、成長工程の間、実質的に平滑であって、且つ本質的に平坦のままであり得る。
【0025】
半導体層の形成は、成長温度、成長速度、気相反応剤および非反応剤材料の圧力、反応雰囲気における反応剤および非反応剤材料の比、成長チャンバーの圧力、およびそれらの組み合わせを含む特定の成長工程パラメータを制御することにより達成することができる。本明細書では、反応剤材料への言及には、反応材料、例えば窒素含有材料、例えばアンモニアが含まれる。その他の反応材料には、例えば、塩化ガリウム等の金属ハロゲン化物成分を含むハロゲン化物相成分が含まれ得る。非反応剤材料には、例えば貴ガス、不活性ガス等を含む特定タイプのガスが含まれ得る。具体的な例では、非反応剤材料には、窒素および/または水素等のガスが含まれ得る。
【0026】
実施形態では、半導体層205の形成の間に、3D成長モードでの半導体層205の作製を含み、成長温度は少なくとも約750℃であり得る。他の実施形態では、成長温度は、より高い、例えば少なくとも約800℃、少なくとも約850℃、少なくとも約875℃、少なくとも約900℃、またはさらには少なくとも約925℃であり得る。形成の一方法に従えば、層205を形成する間の成長温度は、約1200℃以下、例えば約1150℃以下、約1125℃以下、約1050℃以下、またはさらには約1000℃以下であり得る。さらにその他の実施例では、半導体層205を形成する間の成長温度は、少なくとも約950°C、例えば少なくとも約980℃、少なくとも約1000℃、少なくとも約1020℃、少なくとも約1050℃、またはさらには少なくとも約1100℃であり得る。さらにその他の実施例では、成長温度は、約1500℃以下、約1400℃以下、約1350℃以下、約1300℃以下、または約1250℃以下であり得る。特定の一実施形態では、半導体層205を形成する間の成長温度は、約1020℃から約1080℃の範囲であり得る。成長温度は、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲にあってもよいことは認識されるであろう。
【0027】
特定の工程については、成長温度を変化させることによって、3Dおよび2D成長モードの間での変化を促進してもよい。この一層毎の成長モードは、半導体層205の水平方向の成長速度がc軸に沿ったものより高い、従って半極性面(ファセット)よりもc面(0001)成長が有利であるということを特徴とし得る。
【0028】
例えば、3Dから2Dへの成長モードの変化では、温度を、少なくとも約5℃、例えば少なくとも約10℃、少なくとも約15℃、少なくとも約20℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、またはさらには少なくとも約40℃だけ変化させることができる。さらにその他の実施例では、3D成長モードから2D成長モードへの変化では、成長温度を、約100℃以下、例えば約90℃以下、約80℃以下、約70℃以下、またはさらには約60℃以下だけ変化させることができる。成長温度の変化には、3D成長モードから2D成長モードへの変化における成長温度の増加が含まれ得る。成長温度の変化は、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲にあってもよいことは認識されるであろう。
【0029】
特定の実施例に準拠して、半導体層205を形成する工程は、少なくとも毎時50ミクロンの成長速度で実行することができる。他の実施形態では、半導体層205を形成する速度はさらに大きく、例えば少なくとも毎時約75ミクロン、少なくとも毎時約100ミクロン、少なくとも毎時約150ミクロン、少なくとも毎時約200ミクロン、またはさらには少なくとも毎時約250ミクロンであり得る。さらにその他の実施例では、半導体層205を形成する工程は、毎時約1mm以下、例えば、毎時約750ミクロン以下、毎時500ミクロン以下、またはさらには毎時約300ミクロン以下であってもよい。ベース層を形成する工程は、上に言及したいかなる最低最高値の間の範囲にある速度で実行してもよいことは認識されるであろう。
【0030】
特定の工程については、成長速度を変化させて、3D成長モードおよび2D成長モードの間での変化を促進してもよい。例えば、3Dから2Dへの成長の変化では、成長速度は、少なくとも毎時約5ミクロン、例えば少なくとも毎時約10ミクロン、少なくとも毎時約15ミクロン、少なくとも毎時約20ミクロン、少なくとも毎時約40ミクロン、少なくとも毎時約50ミクロン、またはさらには少なくとも毎時約75ミクロンだけ変化し得る。さらにその他の実施例では、3D成長モードから2D成長モードへの変化では、成長速度は、毎時約200ミクロン以下、例えば毎時約175ミクロン以下、毎時約150ミクロン以下、毎時約125ミクロン以下、またはさらには毎時約100ミクロン以下だけ変化し得る。成長速度の変更は、3D成長モードから2D成長モードへの変化の場合、成長速度の減少であってもよいことは認識されるであろう。成長速度の変化は、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲にあってもよいことは認識されるであろう。
【0031】
その他の実施例に従えば、3D成長モードから2D成長モードへ変化させる工程は、少なくとも2倍、成長速度を変化させることにより生じるものであってもよい。例えば、成長速度は、3Dから2Dへの成長モードの変化において、少なくとも2倍だけ、減少し得る。他の実施形態では、成長速度は、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、またはさらには少なくとも約5倍、減少し得る。特定の例では、成長速度の減少は、約8倍以下、約7以下、または約6以下である。
【0032】
成長モードの変化では、上に定義された一つまたは複数の倍数を変化させ得ることは認識されるであろう。例えば、成長速度は定常に維持しつつ、成長温度を変化させることができる。あるいは、成長温度を維持しつつ、成長速度を変化させることができる。そしてさらに、別の実施形態では、成長速度および成長温度の両方を変化させて成長モードの変化を達成してもよい。成長モードが3Dから2Dに変化することにより、垂直/水平の成長速度比が、1超から1未満に減少することになろう。この遷移の間、結晶は成長していると同時に、表面の形態(小さいテラス、良好に成長した半極性ファセットおよび谷を含む)は、平坦なc面に向け進化することになろう。成長モードを2Dから3Dへ変化させる場合には、反対のこと、または逆転が生じるであろう。従ってこれは、半極性ファセットおよび谷が「永久欠陥」を表してはいないことを示すものである。「永久欠陥」という語句は、例えば3Dおよび2Dの間での成長モードの変更等の、従来の成長技術を通じては除去できない欠陥として記述することができる。
【0033】
Ga面配向する成長面上で成長する場合には、得られるウェーハは、半導体層205の内部に多様な欠陥を含んでいることがある。例えば、欠陥は、厚さ(t)として定義された、半導体層205の体積中に広がるピットの形であり得る。そのような欠陥はまた、永久ピット(永久欠陥)の形をとることもある。場合によっては、永久ピットは、微視的なピットであることもある。微視的ピットの形状は、多様であり得、逆転した六角錐、または逆転した十二角錐といった形状を含む。
【0034】
永久ピットはまた、ファセットにより画定された側面を含み得る。より詳細には、ピットの底面と半導体層205の上面とを結合させるため、ファセットを生成させる。そのようなファセットは、例えば、{11−22}面、{1−101}面、およびそれらの組み合わせを含む、半導体材料の特定の結晶面により画定され得る、半極性ファセットであってもよい。
【0035】
加えて、Ga面配向する成長面上で成長する場合に生じることがある欠陥はまた、永久欠陥領域も含み得る。特定の場合には、永久欠陥領域は、欠陥の底面を含み得て、場合によっては、欠陥の前記底面により画定されることもある。例えば、永久欠陥領域の底面が、特定タイプの欠陥を画定する役割を果たす場合には、欠陥は結果として、包接、多結晶グレイン、単結晶グレインであって、周囲を取り巻く層205の半導体材料と共通のc軸を有する、または有さないもの、反転領域、境界(例えば、逆位相境界、双晶境界、グレイン境界)、および/またはそれらの組み合わせとなることがある。
【0036】
境界に関しては、境界は、結晶相の正常配列におけるずれを表す、半導体層の領域を画定することができる。例えば、結晶構造の極性反転であって、例えば結晶構造のGa極性面およびN極性面等の極性面の秩序変化を含むものは、逆位相境界を生じ得る。双晶関係を有する結晶面間のずれは、双晶境界と呼ばれる境界を生成する。さらには、欠陥領域における単結晶と、その周囲を取り巻く、半導体層205の半導体材料の結晶構造との間の結晶配向のずれは、グレイン境界の形をとって永久欠陥を画定し得る。欠陥247は、半導体層205の結晶構造内の永久かつ不可逆な領域を画定し得て、この領域は、さらなる成長を通じて構造の隅々に伝搬することがあり、連続成長技術を通じて容易に除去されないことがあるものである。
【0037】
詳細には、永久欠陥上で発生する成長は、半導体層205の結晶構造内の永久かつ不可逆な領域に対応するものであり得る。永久欠陥(Ga面配向する成長面上で成長する場合に発生しうる欠陥)上の成長は、多結晶グレインまたはN極性を有する反転領域の形であり得る。
【0038】
さらには、成長速度は、N極性とは反対に、Ga極性に沿った場合よりも遅いことは認識されるであろう。この成長速度差に起因して、ピットの深さおよび幅は、Ga極性に沿った成長については半導体層205厚さとともに増加する。場合によっては、およそ60%の半導体上層205が、Ga面配向する成長面上で成長する場合に、ピットを含有する。そのような欠陥性の上層を除去することに伴う材料損失は、エピ容易なGaN基板のコストに顕著な影響を及ぼす。
【0039】
N極性に沿った成長(Ga極性に沿った成長とは反対に)はまた、半導体層205内に欠陥を生成し得る。N極性に沿った成長に関連する永久欠陥は、ヒロック(hilloc)、突起、または錐の形をとることがあり、これらは、Ga極性を示すこれらの先端上に反転領域を伴っている。
【0040】
ヒロック、突起、または錐の成長速度は、N極性に沿って成長している半導体層205については、さらに速いことは認識されるであろう。従って、Ga極性に沿った成長に関して観察されるものと比較して、永久欠陥を除去する工程において失われる半導体層205は実質的に少ない量であり、コストの利点は顕著である。
【0041】
実施形態では、半導体層205を、特定の厚さを有するように形成して、さらなる工程、および本明細書の実施形態に従う高品質の材料の形成を促進することができる。例えば、半導体層205は、少なくとも約0.1mm、例えば少なくとも約0.5mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mm、またはさらには少なくとも約3mmの平均厚さを有してもよい。さらには、他の実施形態では、半導体層205は、約50mm以下、例えば約40mm以下、またはさらには約20mm以下の平均厚さを有するように形成することができる。半導体層205は、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲内にある平均厚さを有するようにも形成できることは認識されるであろう。
【0042】
実施形態では、半導体層205を、特定の転位密度を有するように形成することができる。ベース205の転位密度は、形成時にベース層の上面で測定することができる。転位密度を測定する好適な方法には、室温で動作するカソードルミネッセンス顕微鏡、および、10keVの電子ビーム、スポットサイズ70の下、モノクロメーター無しの多色光検出を使用することが挙げられ、ここで装置は、日本電子(JEOL)社から購入可能なSEM JSM−5510である。およそ10cmの転位密度測定には、倍率は、4000×、そして面積は典型的には700μmである。およそ10cmの転位密度測定には、倍率は、典型的には500〜1000×、そして面積は典型的には0.1mmである。
【0043】
例えば、半導体層205は、半導体層205の上面で測定して、約1×10転位/cm以下の転位密度を有し得る。他の実施形態では、半導体層205の転位密度は、さらに少なく、約1×10転位/cm以下、約5×10転位/cm以下、またはさらには約1×10転位/cmであり得る。さらには、半導体層205は、少なくとも約1×10転位/cm、またはさらには少なくとも1×10転位/cmである転位密度を有することがある。半導体層205は、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲にある転位密度を有してもよいことは認識されるであろう。
【0044】
特定の場合には、半導体層205は、N面配向を有する上面210を有し得る。再び、図3Bを参照すると、GaN結晶のGa面配向の例示が提供される。特定の一実施形態に従えば、結晶構造の窒素原子(N)は、半導体層205の上面210を画定しこれに交差する。
【0045】
一実施形態に従えば、第1の半導体層205は、ドーパント、例えばn型ドーパントまたはp型ドーパントを含み得る。好適なn型ドーパントには、O、Si、Ge、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。p型ドーパントの好適な例には、Mg、Fe、およびZnを挙げることができる。さらに、半導体層205は、少なくとも約1×1017cm、例えば少なくとも約1×1018cm、またはさらには少なくとも約1×1019cmの、n型またはp型ドーパントの濃度を含有してもよい。さらには、非制限的な一実施形態では、半導体層205におけるn型またはp型ドーパントの濃度は、約1×1022cm以下であり得る。
【0046】
本開示に従う特定の実施形態では、N面配向を有するベース基板201上に直接形成された半導体層205を含んでなるテンプレート基板構造を、バッファー層を使用すること無しに作製できることは認識されるであろう。これらの実施形態では、成長は、N極性配向するバルクGaNベース基板を使用して、c面に沿って発生する。特定の実施形態では、N極性配向における成長は、バルクGaN基板のN極性でエピ容易な背面上で達成することができる。
【0047】
特定の一実施形態では、第1の半導体層の上面は、複数の錐および/またはヒロックを含んでなる。錐および/またはヒロックは、特定サイズであってもよく、また半導体層205の上面210のN面から延びる突起とも見なし得る。特定の例に従えば、突起は、約0.6以下の平均高さ比(h/ti)を有し得て、ここでhは、複数の突起の平均高さを表し、tは、半導体層205の厚さを表す。さらにその他の例では、突起の平均高さ比は、約0.5以下、約0.4以下、約0.3以下、約0.2以下、または約0.1以下であり得る。とりわけ、上面としてGa面を用いる具体的なGaN基板の成長と反対に、本実施例は、上面210上の突起の形成を容易にするN面配向を使用する結果、後処理手順は、さらに効率的になる。
【0048】
図5は、実施形態に従う半導体層205の断面図を含む。とりわけ、半導体層205は、N面配向を有し複数の突起501を含む上面210を有し得て、ここで各突起は高さ(h)を有し、上面上の突起501の代表的なサンプリング高さを平均することにより、平均高さの計算が容易になる。
【0049】
特定の実施形態では、突起501は、平均高さ比(h/ti)を有し得て、ここでhは、複数の突起の平均高さを表し、tは、半導体層205の平均厚さを表す。例えば、突起の平均高さ比は、約0.6以下、約0.5以下、約0.4以下、約0.3以下、約0.2以下であり得る。他の実施形態では、平均高さ比は、少なくとも約0.01、少なくとも約0.05、または少なくとも約0.1であり得る。具体的な実施形態に従えば、平均高さ比(h/t)は、約0.25以下であり得る。平均高さ比は、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲にあってもよいことは認識されるであろう。
【0050】
一実施形態に従えば、複数の突起の各突起501は、半導体層205における永久欠陥領域を画定し得る。永久欠陥領域は、結晶面の正常配列におけるずれであり得る。特定の一例では、永久欠陥領域は、包接、多結晶グレイン、単結晶グレイン、反転領域、境界(例えば、反位相境界、双晶境界、グレイン境界)、およびそれらの組み合わせであり得る。半導体層205の永久欠陥領域は、結晶相の正常配列におけるずれを表し得る。例えば、結晶構造のG極性面およびN極性面等の極性面の秩序変化を含む、結晶構造の極性反転は、結果として逆位相境界を生じる。双晶関係を有する結晶面間のずれは、双晶境界と呼ばれる境界を生成する。さらには、欠陥領域における単結晶と、その周囲を取り巻く、半導体層205の半導体材料の結晶構造との間の結晶配向のずれは、グレイン境界の形をとって永久欠陥を画定し得る。永久欠陥は、半導体層205の結晶構造内の永久かつ不可逆な領域を画定し得て、この領域は、さらなる成長を通じて構造の隅々に伝搬することがあり、連続成長技術を通じて容易に除去されないことがあるものである。
【0051】
図5に例示したとおり、半導体層205はまた、表面210に対向し半導体層205の側面209により分離される背面208を含んでなる。背面208は、図5に例示したとおり、Ga面配向を有し得て、ピットのない実質的に平坦な表面も有する。ピットの非存在は、図2Bを参照して説明することができる。例えば、実施形態では、HVPEによるGaN成長を、ベース基板201、例えばN極性GaN基板上で開始する。201/205界面では、GaNベース基板のN極性上面は、Ga極性である半導体層205(この実施例では、GaNエピ層)の背面に接触している。結果として、201/205界面は、実質的に平坦であり、いかなる幾何学的性質、例えばピットも本質的に含まないが、この性質は、これ以外では、もし半導体層205がGa面配向を用いて形成されたなら発生する可能性のあるものである。
【0052】
図1を再び参照すると、半導体基板を形成する工程は、随意のステップ107で続行してもよく、このステップは、半導体層205の仕上げを含む。実施形態に従えば、仕上げ工程は、第1の半導体層205の上面210の少なくとも一部分を除去すること、そしてとりわけ、上面210から複数の突起501を除去することを含み得る。
【0053】
特定の一実施形態に従えば、除去の工程は、機械的工程、化学的工程、およびそれらの組み合わせを通じて実行することができる。例えば、上面210の一部分を機械的に除去する工程は、一連の研磨工程を含むことができる。例えば、除去の工程は、半導体層205の上面210から材料の相当部分を除去する第1の破砕工程により開始することができる。第1の破砕工程は、固定砥粒、そして詳細には、セルフドレッシング(self−dressing)ガラス化固定砥粒品を使用してもよい。第1の破砕工程の後に、第2の除去工程があってもよい。第2の除去工程は、微粉砕工程、擦り合わせ工程、研磨工程、およびそれらの組み合わせを含み得る。特定の微粉砕工程では、第2の固定砥粒品(例えば、セルフドレッシングガラス固定砥粒)は、第1の破砕工程で使用したものと比較してさらに細かい砥粒径のものを使用してもよい。さらに、またはあるいは、第2の除去工程は、擦り合わせ工程を含み得て、これはパッドおよび遊離砥粒スラリーを使用してもよい。遊離砥粒スラリーは、上面210の材料を化学的除去するのを促進し得る化学成分を含んでいてもよい。さらに、またはあるいは、第2の除去工程には、特に微細な砥粒サイズを有する遊離砥粒スラリーの使用を含み得る研磨工程が含まれていてもよい。半導体層205の仕上げを実行して、N面配向を有するエピ容易な上面210を作製、準備し、その上に電子デバイスを形成することができる。
【0054】
仕上げ工程はまた、半導体層205上面210上で、および/またはベース基板201の裏側の少なくとも一部分で随意に実行してもよいことは認識されるであろう。仕上げ工程は、機械的工程、化学的工程、およびそれらの組み合わせに関して上に記載された工程の一つまたは組み合せを含んでいてもよい。一実施形態では、仕上げの工程には、半導体層205の上面210から延びた突起と、ベース基板201の裏側の少なくとも一部分とを除去することが含まれ得る。
【0055】
ピット若しくは突起のいずれか、またはそれらの組み合わせは、成長の間に、半導体層表面の内部にまたはその上に形成されることがあるものの、ボイドおよび/または層欠陥の存在しない半導体層の成長を促進するには、ピットではなく突起を有する半導体層を得るのが概して望ましいこともまた認識されるであろう。前記ボイドおよび/または層欠陥は、半導体層の結晶性に悪影響を及ぼす。突起またはピットの、光を散乱するまたは回折させる能力は阻害され、その結果、発光デバイスの出力は低下する。半導体層において欠陥が成長するのを予防し、例えば、半導体層を使用する仕上げ済み製造物の回路性能に及ぼす悪影響を最低限にするためには、上に記載されるとおりの、様々な洗浄、仕上げ工程を適用する。ピットよりも突起を除去するのがより簡単でより対費用効果があるが、その理由は、平坦または平滑な表面を得るには、ピットの除去に適用される工程は結果的に、半導体層材料の相当量を除去することになるからであることは認識されるであろう。
【0056】
図6は、実施形態に従う仕上げ済み半導体ウェーハの断面図を含む。例示したとおり、前面210は、突起501を本質的に含まない。半導体層205の背面208は、図5と同様に、本質的に原子レベルで平坦な、ピットを有さない表面を有し、これは図6に例示したとおりである。
【0057】
さらには、図5および図6の比較において例示したとおり、除去の工程は、半導体層205の平均厚さの低減を含み得る。実施形態に準拠して、除去の工程は、層205の平均厚さを、除去の工程に先だつ半導体層205の元来の厚さ(t)の約50%以下だけ、低減させることを含み得る。平均厚さ(Δt)の変化(例えば低減)は、式((t−t)/t)により測定することができ、ここでtは、初期厚さ、そしてtは、除去工程を実行した後の半導体層205の厚さである。とりわけ、本明細書の実施形態に従う半導体層205を形成する方法を考えると、仕上げ済み半導体ウェーハを作製するために半導体層205から除去される材料の量はさらに少なく、従って、工程の効率が改善する。他の実施形態では、半導体層205の平均厚さは、約45%以下、約40%以下、約35%以下、またはさらには約30%以下だけ低減し得る。さらには、非制限的な一実施形態では、除去の工程は、半導体層205の厚さを、除去に先だつ第1の半導体層の元来の厚さの、少なくとも約5%、少なくとも約16%、またはさらには少なくとも約18%だけ低減し得る。半導体層205の平均厚さの変化は、上に言及したいかなる最低および最高百分率の間の範囲にあってもよいことは認識されるであろう。
【0058】
一実施形態に従えば、半導体層205の上面210の仕上げおよび準備を実行した後、得られた仕上げ済み半導体ウェーハを販売および使用して、上面210上での電子デバイスの作製を促進してもよい
【0059】
あるいは、さらなる工程を実行してもよい。例えば、代わりの一実施形態では、分離および仕上げに先だって、半導体ブールを形成してもよく、ここでブールは、少なくとも二つの個別の自立半導体ウェーハを形成するのに充分な平均厚さを有する半導体層205を含んでなる。いくつかの実施形態では、ブールの平均厚さは、少なくとも約0.5mm、例えば少なくとも約1.1cm、少なくとも約1.2cm、少なくとも約1.25cm、少なくとも約1.5cm、および少なくとも約2cmであり得る。非制限的一実施形態では、ブールの平均厚さは、約10cmより少ない、例えば約8cmより少ない、約6cmより少ない、またはさらには約5cmより少ないことがあり得る。ブールの平均厚さが、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲にあってもよいことは認識されるであろう。
【0060】
特定の実施形態では、ブールは、好適な厚さが達成されるまで、半導体層を連続成長させるにより形成することができる。別の代わりの実施形態に従えば、ブールは、連続成長プロセスを実行することにより形成することができ、ここでブールは、複数の半導体層によって互いに間隔を隔てられた複数の剥離層を有するように形成される。異なる半導体層を分離すること、そしてブールの別個の半導体層から、個別のそして分離した自立半導体ウェーハを形成することが、剥離層によって容易になる。
【0061】
例えば、図7は、実施形態に従うブールの例示を含む。例示したとおり、ブール700は、ベース基板201、およびバッファー層203とベース基板201とを覆う複数の半導体層725を含み得る。特に、複数の半導体層725は、第1の半導体層705、第1の半導体層705を覆う第1の剥離層707、第1の剥離層707を覆う第2の半導体層709、第2の半導体層709を覆う第2の剥離層711、および第2の剥離層711を覆う第3の半導体層713を含み得る。半導体層725は、連続成長工程に従って形成することができ、ここで各層は、堆積またはエピタキシー工程を中断すること無しに、互いの上に連続成長させる。とりわけ、複数の半導体層725の各層は、HVPEを使用して形成することができ、剥離層707および711の形成は、特定の成長工程パラメータの変化によって促進することができるが、これらのパラメータは、半導体層705、709および713の形成の間に使用するエピタキシャル条件の変化を促進にするものである。成長温度、成長速度、気相反応剤および非反応剤材料の圧力、反応雰囲気における反応剤および非反応剤材料の比、成長チャンバー圧力等の、成長工程パラメータの一つまたは組み合せを変更して、剥離層707および711の形成を促進することができる。さらには、半導体層725の各層は、N面配向を有し得る。
【0062】
特定の一実施形態では、ブールの上面は、複数の突起を含んでなり、ここで、突起は約0.6以下の平均高さ比(h/t)を有し、hは複数の突起の平均高さを表し、tは半導体層713の厚さを表す。
【0063】
特定の実施形態に準拠して、第1の剥離層707の形成は、反応チャンバー内の気相反応剤材料の濃度を、ベース層205形成から第1の剥離層707の形成へと変化させることにより促進することができる。例えば、特定の気相反応剤材料、例えばドーパント材料を反応チャンバーに導入して、第1の剥離層707の形成を促進してもよい。実施形態に準拠して、好適なドーパントには、C、Mg、Zn、Si、Sn、O、Fe、Ge等の元素、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。特定の一実施形態では、第1の剥離層707を形成する間、2D成長モードを使用することができる。そのような例では、ドーパント材料、例えばFe、Ge、またはそれらの組み合わせを成長チャンバーに導入して、剥離層の形成を促進することができる。別の実施形態に従えば、剥離層は、3D成長モードを使用して形成することができる。3D成長モードでの使用に好適なドーパント材料には、O、Ge、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。ドーパント材料を、反応チャンバーに特定の方法で導入して、例えば、吸収係数を含め所望の性質を有する第1の剥離層707の好適な形成を促進することができる。ドーパント材料は、少なくとも約0.001、および約0.01以下のドーパント/Ga気相の比で注入することができる。
【0064】
ドーパント材料は、反応チャンバーに特定の期間、導入することができる。例えば、ドーパントは、反応チャンバー内に少なくとも約1秒かつ約5分以下の期間、存在し得る。
【0065】
実施形態に準拠して、第1の剥離層707は、特定濃度のドーパント材料を有するように形成することができる。例えば、第1の剥離層707内のドーパントの濃度は、少なくとも約2×1018cm、例えば少なくとも約4×1018cm、少なくとも約8×1018cm、またはさらには少なくとも約1×1019cmであり得る。さらには、第1の剥離層707は、ドーパント濃度が約1×1021cm以下、例えば1×1020cm以下、またはさらには5×019cmとなるよう形成してもよい。第1の剥離層707内のドーパント濃度が、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲にあってもよいことは認識されるであろう。
【0066】
第1の剥離層707は、ドーパント材料を含む13−15族材料を含み得る。例えば、第1の剥離層707は、窒化物材料を含み得る。一例では、第1の剥離層707は、ガリウムを含み得て、より詳細には窒化ガリウム含んでいてもよい。特定の実施形態では、第1の剥離層707は、例えば窒化ガリウムから本質的になるように形成される。窒化ガリウムから本質的に成ることで、本明細書に記載の特定濃度のドーパント材料が実際に可能となることは認識されるであろう。
【0067】
第1の剥離層707は特定波長の発光、例えば、特定の可視スペクトルの範囲にある波長を有する発光に関して、特定の吸収係数を有するように形成することができる。第1の剥離層707は、第1の半導体層205よりも顕著に大きい量の発光を吸収するように形成することができ、そしてその結果、第1の剥離層707の吸収係数は、第1の半導体層205の吸収係数よりも顕著に大きくなり得る。
【0068】
一実施形態に従えば、第1の剥離層707を、可視スペクトルの範囲の発光向けに、少なくとも800cm−1の吸収係数を有するように形成することができる。他の実施形態では、第1の剥離層707の吸収係数は、さらに大きい、例えば少なくとも約1000cm−1、約2000cm−1、少なくとも約3000cm−1、またはさらには少なくとも約5000cm−1であり得る。さらには、第1の剥離層707の吸収係数は、可視スペクトルの範囲内の発光向けに、約10,000cm−1以下、例えば約9,000cm−1以下、約8,000cm−1以下、またはさらには約7,000cm−1以下であり得ることは認識されるであろう。第1の剥離層707は、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲にある吸収係数を有するように形成してもよいことは認識されるであろう。
【0069】
第1の剥離層707を、特定の平均厚さを有するように形成することができる。例えば、第1の剥離層707の厚さは、ベース層205の平均厚さよりも顕著に小さくなり得る。例えば、第1の剥離層707は、約100ミクロン以下、例えば約80ミクロン以下、約50ミクロン以下、またはさらには約30ミクロン以下の平均厚さを有し得る。他の実施形態では、第1の剥離層707を、少なくとも約1ミクロン、例えば少なくとも約2ミクロン、少なくとも約3ミクロン、少なくとも約5ミクロン、またはさらには少なくとも約10ミクロンの平均厚さを有するように形成することができる。第1の剥離層707は、上に言及したいかなる最低または最高値の間の範囲にある平均厚さも有し得ることは認識されるであろう。
【0070】
実施形態に準拠して、第1の剥離層707は、層の上面における測定として、特定の転位密度を有し得る。例えば、第1の剥離層707の上面での転位密度は、第1の半導体層205の上面での転位密度と実質的に同一であり得る。例えば、第1の剥離層707は、約1×10転位/cm以下、例えば約1×10転位/cm以下、約6×10転位/cm以下、またはさらには約1×10転位/cm以下である転位密度を有し得る。他の実施形態では、第1の剥離層707は、少なくとも約1×10転位/cm、またはさらには少なくとも2×10転位/cmである転位密度を有し得る。第1の剥離層707は、上に言及したいかなる最低および最高値の間の範囲にある転位密度も有し得ることは認識されるであろう。
【0071】
第1の剥離層707は、成長工程に依存して、第1の半導体層205と実質的に同一速度で成長してもよい。とりわけ、成長速度は、第1の半導体層205の形成から第1の剥離層707の形成への遷移中に変化しないことが好ましい。例えば、第1の剥離層707を、少なくとも毎時50ミクロンの成長速度で形成することができる。他の実施形態では、第1の剥離層707を形成する速度は、さらに大きい、例えば少なくとも毎時約75ミクロン、少なくとも毎時約100ミクロン、少なくとも毎時約150ミクロン、少なくとも毎時約200ミクロン、またはさらには少なくとも毎時約250ミクロンであり得る。別の実施形態では、第1の剥離層707を、毎時約1mm以下、例えば毎時750ミクロン以下、毎時500ミクロン以下、またはさらには毎時約300ミクロン以下の成長速度で形成することができる。第1の剥離層707を形成する工程は、上に言及したいかなる最低最高値の間の範囲内にある速度でも構築し得ることは認識されるであろう。
【0072】
第1の剥離層707を形成した後、工程は、第1の剥離層707の上に、第2の半導体層709を形成することにより、続行することができる。第2の半導体層709の形成は、連続成長プロセスの間、詳細には第1の半導体層205を形成するのに使用したのと実質的に同一条件の下で実行することができる。さらには、第2の半導体層709は、本明細書の実施形態のいかなる半導体層(例えば第1の半導体層205)の同一特徴のいかなるものも有し得る。
【0073】
第2の半導体層709を形成した後、工程は、第2の半導体層709の上に第2の剥離層711を形成することにより、続行することができる。第2の剥離層711の形成は、連続成長プロセスの間、詳細には第1の剥離層707の形成に使用したのと実質的に同一条件の下で実行することができる。さらには、第2の剥離層711は、本明細書の実施形態のいかなる剥離層(例えば、第1の第2の剥離層707)の同一特徴のいかなるものも有し得る。
【0074】
第2の剥離層711形成した後、工程は、第2の剥離層711上に第3の半導体層713形成することにより、続行することができる。第3の半導体層713の形成は、連続成長プロセスの間、詳細には第1の半導体層205を形成するのに使用したのと実質的に同一条件の下で実行することができる。さらには、第3の半導体層713は、本明細書の実施形態のいかなる半導体層(例えば、第1の半導体層205)の同一特徴のいかなるものも有し得る。
【0075】
第1および第2の剥離層707および711を参照して、第2の剥離層711内に存在する第2のドーパント材料は、第1の剥離層707の内に存在する第1のドーパント材料と同一の元素または組成物であり得る。あるいは、特定の例では、第2のドーパント材料は、第1のドーパント材料とは異なって、第1の剥離層707および第2の剥離層711が異なった組成を有し得るようにすることができる。例えば、第1のドーパント材料は、第1の元素を含み得て、第2のドーパント材料は、第1のドーパント材料の第1の元素とは異なる第2元素を含み得る。
【0076】
さらには、第1の剥離層707および第2の剥離層711は、互いに異なった濃度のドーパント材料を有し得て、これにより、特定波長の発光向けに、第1および第2の剥離層707および711の間で異なった吸収の性質が促進されることがある。例えば、第1の剥離層707は、第1のドーパント濃度を有し得て、第2の剥離層711は、第2のドーパント濃度を有し得るが、ここで第1のドーパント濃度は、第2のドーパント濃度とは異なっている。
【0077】
さらには、第1の剥離層707および第2の剥離層711は、互いに異なった厚さを有し得て、これにより、特定波長の発光に向け、第1および第2の剥離層707および711の間で異なった吸収の性質が促進されることがある。例えば、一例では、第1の剥離層707は、第2の剥離層711の厚さよりも大きい厚さを有し得る。あるいは、第1の剥離層707は、第2の剥離層711の厚さより少ない厚さを有し得る。
【0078】
第1および第2の剥離層707および711は、特定波長の発光に向け、互いに比較して異なった吸収係数を有し得る。例えば、第1の剥離層707は、第1の波長の発光の50%超をこの層が吸収するような吸収係数を有し得る一方、第2の剥離層711は、第1の波長の発光の実質的にすべてをこの層が透過するような吸収係数を有し得る。あるいは、または更に、第2の剥離層711は、第2の波長の発光の50%超をこの層が吸収するような吸収係数を有し得る一方で、第1の剥離層707は、第2の波長の発光の実質的にすべてをこの層が透過するような吸収係数を有し得る。
【0079】
第1および第2の剥離層707および711の選択的吸収の性質によって、選択された発光波長に基づきブール700から半導体層725を選択的に分離することが容易になる。例えば、第1の剥離層707に関する、第1の発光波長の選択および影響により、第1の半導体層705を、第2の半導体層709および/またはその他の半導体層725(すなわち第2の剥離層711および第3の半導体層713)から分離するのが容易になり得る。第2の剥離層711に関する、第2の発光波長の選択および影響により、第3の半導体層713を、第2の半導体層709および/またはその他の半導体層725(例えば第1の半導体層705および第1の剥離層707)から分離するのが容易になり得る。
【0080】
半導体層725の選択的吸収の性質により、デバイス形成が容易な複数基板の作製が容易になり得る。すなわち、ブール700の第2および第3の半導体層711および713を、選択的に分離し、電子デバイスの製造業者にデバイス容易な基板として提供することができる。わすか二つの剥離層を例示しただけであるが、さらなる剥離層を、本明細書で開示される連続成長方法を使用する効率的なやり方で、半導体基板に形成可能であることは認識されるであろう。
【0081】
本明細書の実施形態に従う半導体基板の形成は、固有マスクの作製、溝削りもしくは粗化、またはエッチング技術の使用を通じた基板表面の改質を必ずしも必要とせずに達成されることがあることも、また認識されるであろう。
【0082】
本開示の実施例に従う、半導体ブールからの少なくとも二つの個別の自立ウェーハの形成はまた、その他の手順も同様に用いて達成可能でることもまた認識されるであろう。そのような実施例では、ヒロックおよび/または突起が、半導体層205の上面210から除去される。ブール700はその後、例えば、ダイヤモンドソー(diamond saw)を使用して切断し、自立ウェーハにする可能性がある。そのような実施例では、各自立ウェーハをその後、破砕、擦り合わせ、研磨、および/またはCMP(化学的機械的平坦化)工程の、少なくとも一つそしてすべてにいたるまでを適用して仕上げる可能性がある。
【実施例1】
【0083】
ベース基板は、サファイヤ基板上にMOVPEを通じて、二つの部分からなるバッファー層の第1の成長により形成する。バッファー層は、サファイヤ基板上、じかにシリコンの第1の層、続いてAlNのエピタキシャル成長を含む。MOVPE反応器中にサファイヤ基板を搬送した後、サファイヤ基板を、シリコン膜の成長前にN下でアニールする必要がある。好ましくは、温度は870℃である。シリコンの成長層は、N雰囲気下、100トルで、シランの熱分解から約0.4ミクロンの厚さに形成される。
【0084】
温度を約1140℃に上昇させるが、成長気体は依然として70トルの純粋なNである。NHを、最初に反応チャンバーに導入し、そしてその後、TMAl有機金属材料を導入して、シリコン上のAlN層の形成を開始させる。およそ20分の成長後、0.2μm厚のAlN層が、Si層の最上部に堆積し、バッファー層を形成する。
【0085】
ベース層の製造は、HVPEを通じた、AlN層上でのGaNの成長により開始する。概して、GaNバルク層は、3D成長モードで、少なくとも1.5mmの厚さに成長させる。バルク層についての成長条件には、成長速度およそ150μm/時間、950℃の成長温度、10のV/III比、および200トルの圧力が含まれる。
【0086】
冷却後、GaNブランクは、もはや基板サファイヤには結合せず、破砕、擦り合せ、研磨、およびCMPを通じて仕上げる。この実施例については、N極性面は、好適なCMPスラリー、例えばコロイド状シリカを通じてエピ容易に仕上げる。仕上げ後のGaNを、GaNバルク層の以降のエピタキシャル成長に向け、ベースGaN基板として使用する。
【0087】
ベースGaN基板をその後、HVPE装置にN極性面を上にして導入する。GaN成長を、950℃で5時間、そして1030℃で5時間の、2ステップの温度工程を使用して実行する。バルク層は、0.4mmの厚さに成長し、したがって成長速度は、およそ40μm/時間である。バルク層についての成長条件には、13のV/III比、および200トルの圧力が含まれる。
【0088】
N面配向を有するGaNバルク層の成長は、概して谷に囲まれた六角錐の突起を基本とする形態を示す。角錐の全サイズは、100〜200μmの範囲にあり、角錐の頂点は、5〜20μmの範囲にあり、そして角錐の先端と基部との間の高さの差は、50μmに達し得る。GaNバルク層では、ピークに対する谷(VP)の比(使用できる有効なGaN結晶部分)は、Ga極性に沿った成長の場合の40〜50%と比較して、N極性に沿った成長の場合のこのエピ層では、85%である。高さ比は、約0.25以下であった。
【実施例2】
【0089】
その後、実施例1に従って形成されたベースGaN基板を、単一の温度工程において使用して、HVPE装置内でGaNバルク層を成長させる。基板は、HVPE装置に、N極性面を上にして入れる。GaN成長を、950℃温度で約10時間、実行する。GaNバルク層は、0.4mmの厚さに成長し、成長速度は、およそ40μm/時間である。バルク層についての成長条件には、13のV/III比、そして200トルの圧力が含まれる。全工程を通じて950℃の温度で成長させたバルクGaN層は、およそ0.3超の高さ比を有する、N面上のさらに大きな六角錐突起を示す。
【0090】
前述では、特定の実施形態への言及、および特定の構成要素への関連付けは、例示のためのものである。構成要素が結び付いている、または関連付けられていると称する意図は、前記構成要素どうしの直接的な関連付け、または介在する一つもしくは複数の構成要素を通じた非直接的な関連付けのいずれかを開示することにあって、この関連付けは、本明細書で考察される方法を実行するためのものであると認識されよう。従って、上に開示されている対象は、例示のためであって、制限するものではないと見なされ、添付請求項は、本発明の真の範囲に収まるそのような修正、強化、およびその他の実施例すべてを対象範囲とすることを意図している。よって、本発明の範囲は、以下の請求項およびそれらの均等物の、許容される最大限に広い解釈によって、法律により許容される最大限の程度にまで決定されることになり、前述の詳細な記載によって拘束、または制限されるものではない。
【0091】
開示の要約書は、特許法に準拠すると規定され、請求項の範囲、または意味を解釈する、または制限するのに使用されるものではないという理解に従う。加えて、前述の詳細な記載では、様々な特徴は、開示を簡略化する目的のため、一緒にグループ化してもよいし、単一の実施形態に記載してもよい。特許請求される実施形態には、各請求項において明示的に列挙される以上の特徴が必要であるとする意図が、本開示により反映されていると解釈すべきではない。むしろ、以下の請求項に反映されているとおり、発明対象が目的としているのは、開示されたあらゆる実施形態の特徴の全部でなくともよい。このようにして、以下の請求項は、詳細な記載に援用され、各請求項は、個別に特許請求された対象を定義するものとして自立したものである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7