特許第6405312号(P6405312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405312
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】眼科用のキノン系一酸化窒素供与化合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/21 20060101AFI20181004BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20181004BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20181004BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   A61K31/21
   A61P27/06
   A61P27/02
   A61K45/00
【請求項の数】22
【全頁数】87
(21)【出願番号】特願2015-537198(P2015-537198)
(86)(22)【出願日】2013年10月10日
(65)【公表番号】特表2015-536310(P2015-536310A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2013071148
(87)【国際公開番号】WO2014063923
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年9月21日
(31)【優先権主張番号】12189549.4
(32)【優先日】2012年10月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515019489
【氏名又は名称】ニコックス サイエンス アイルランド
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】オンジーニ、 エンニーオ
(72)【発明者】
【氏名】アルミランティフ、 ニコレッタ
(72)【発明者】
【氏名】ストローニ、 ラウラ
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/022467(WO,A1)
【文献】 特表2002−531405(JP,A)
【文献】 特許第6158194(JP,B2)
【文献】 特表2007−518716(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/004990(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/007814(WO,A1)
【文献】 特表平09−507672(JP,A)
【文献】 特表2008−531579(JP,A)
【文献】 特表2005−539089(JP,A)
【文献】 特表平08−507773(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02349385(GB,A)
【文献】 Tetrahedron Letters,2002年,43(45),p.8153-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、または高眼圧症の治療用の眼科用組成物の調製における眼内圧を低下させる活性を有する一酸化窒素供与体としての、下記式(Ib)または式(If)の化合物またはその立体異性体の使用:
【化1-1】

(式中、
nは、0〜10の整数であり;
mは、0〜6の整数であり;
pは、0〜1の整数であり;
Xは、O、S又は−CHONOである。
但し、Xが−CHONOである時、mは0である。)。
【請求項2】
高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、または高眼圧症の治療用の眼科用組成物の調製における眼内圧を低下させる活性を有する一酸化窒素供与体としての、下記式(Ib)の化合物またはその立体異性体の使用:
【化4】

式中、
nは、0〜10の整数であり;
mは、0〜6の整数であり;
pは、0〜1の整数であり;
Xは、O、S又は−CHONOである。
但し、Xが−CHONOである時、mは0である。
【請求項3】
高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、または高眼圧症の治療用の眼科用組成物の調製における眼内圧を低下させる活性を有する一酸化窒素供与体としての、下記式(If)の化合物またはその立体異性体の使用:
【化8】

式中、
nは、0〜10の整数であり;
mは、0〜6の整数であり;
pは、0〜1の整数であり;
Xは、O、S又は−CHONOである。
但し、Xが−CHONOである時、mは0である。
【請求項4】
pが0である
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(Ib)または式(If)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項5】
pが1であり、
XがO又はSである
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(Ib)または式(If)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項6】
pが1であり、
Xが−CHONOであり、
mが0である
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(Ib)または式(If)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項7】
pが0である
ことを特徴とする、請求項2に記載の式(Ib)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項8】
pが1であり、
XがO又はSである
ことを特徴とする、請求項2に記載の式(Ib)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項9】
pが1であり、
Xが−CHONOであり、
mが0である
ことを特徴とする、請求項2に記載の式(Ib)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項10】
pが0である
ことを特徴とする、請求項3に記載の式(If)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項11】
pが1であり、
XがO又はSである
ことを特徴とする、請求項3に記載の式(If)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項12】
pが1であり、
Xが−CHONOであり、
mが0である
ことを特徴とする、請求項3に記載の式(If)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項13】
前記式(Ib)または式(If)の化合物が下記化合物からなる群から選択される
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(Ib)または式(If)の化合物またはその立体異性体の使用。
【化13-1】

【化13-2】

【化13-3】
【請求項14】
前記式(Ib)の化合物は、10−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)デシル硝酸エステル(化合物(6))である
ことを特徴とする、請求項2に記載の式(Ib)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項15】
前記式(Ib)の化合物は、2−(3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロポキシ)エチル硝酸エステル(化合物(20))である
ことを特徴とする、請求項2に記載の式(Ib)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項16】
前記式(If)の化合物は、3−(3−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)プロポキシ)プロピル硝酸エステル(化合物(25))である
ことを特徴とする、請求項3に記載の式(If)の化合物またはその立体異性体の使用。
【請求項17】
前記眼科用組成物は
αアドレナリン作動性アゴニスト、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、プロスタグランジン類似体、非ステロイド性抗炎症薬及びステロイド性抗炎症薬からなる群から選択される一つまたは複数の付加的な活性成分をさらに含む
ことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記眼科用組成物は、局所、眼周囲、又は眼内に投与するために製剤化される
ことを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
眼内圧を低下させる活性を有する一酸化窒素供与体として、請求項1〜16のいずれか一項に記載されている式(Ib)または式(If)の化合物と、
少なくとも1種の眼科的に許容される成分および/または眼科的に許容される媒体と、を含む眼科用組成物。
【請求項20】
前記眼科用組成物は、
αアドレナリン作動性アゴニスト、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害薬、プロスタグランジン類似体、非ステロイド性抗炎症薬及びステロイド性抗炎症薬からなる群から選択される一つまたは複数の付加的な活性成分をさらに含む
ことを特徴とする、請求項19に記載の眼科用組成物。
【請求項21】
前記眼科用組成物は、局所、眼周囲、又は眼内に投与するために製剤化されている
ことを特徴とする、請求項19または20に記載の眼科用組成物。
【請求項22】
前記眼科用組成物は、局所、眼周囲、又は眼内に投与するための点眼薬の剤形に製剤化されている
ことを特徴とする、請求項21に記載の眼科用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑内障及び高眼圧症の治療及び/又は予防に用いるための式(I)の一酸化窒素供与体化合物に関する。
【0002】
本発明はまた、緑内障及び高眼圧症の治療及び/又は予防に用いるための式(I)の一酸化窒素供与体化合物並びに1つ又は複数のさらなる有効成分を含む組合せに関する。
【背景技術】
【0003】
正常眼圧性及び高眼圧性の緑内障を含む緑内障は、治療しなければ、全盲に帰するおそれがあるポイントまでの視神経への不可逆的損傷に起因する進行性の視野喪失により特徴付けられる眼の疾患である。眼内の液(眼房水)の生成及び排出の不均衡により、眼圧が不健全なレベルにまで上昇すると、高眼圧性緑内障が生ずる。
【0004】
反対に、正常眼圧性緑内障は、眼内圧が適度に低レベルに保たれているにもかかわらず生ずる。
【0005】
原発性開放隅角緑内障(POAG)の一形態では、視野の喪失は、疾患にかかった眼における眼内圧の継続的な増加と関連する。さらに、視野喪失を伴わない眼内圧の上昇は、このPOAGの形態の初期段階を示唆するものと考えられる。
【0006】
正常眼圧性緑内障は、典型的な視神経乳頭変化、網膜神経線維層欠損、及び特徴的な視野欠損に帰着する慢性進行性の視神経症である。さらに、隔角は開放しており、またIOP値は統計的正常範囲内(22mmHg未満)である(Leeら、1998年;レビュー用として、Hoyng及びKitazawa、2002年を参照)。IOPを低下させることにより、正常眼圧性緑内障を治療すれば、緑内障の進行を遅らせることができるという証拠が存在する。IOPを少なくとも30%削減することが、この疾患において好ましい変化を誘発するのに必要である。
【0007】
これらの主要な二種類の緑内障とは別に、その他の病理が、IOPの上昇、すなわちぶどう膜炎後緑内障及びステロイド誘発性緑内障を含む続発性緑内障をもたらしうる。緑内障の先行技術治療法は、眼内における眼房水の生成を削減する、又は液排出を増加させるいずれかの薬物、例えばβ−遮断薬、α−作動薬、コリン作動薬、炭酸脱水酵素阻害剤、又はプロスタグランジン類似体等を投与することによって眼内圧を低下させることにある。
【0008】
いくつかの副作用は、緑内障を治療するのに従来から用いられている薬物と関連する。
【0009】
局所的β−遮断薬は、重篤な肺の副作用、鬱、疲労、意識障害、性交不能、脱毛、心不全、及び徐脈を呈する。
【0010】
局所的α−作動薬は、アレルギー性反応又は毒性反応の発生率がかなり高い;局所的コリン作動薬(縮瞳薬)は、視力上の副作用を引き起こすおそれがある。
【0011】
経口炭酸脱水酵素阻害剤と関連した副作用として、疲労、無食欲、鬱、知覚異常、及び血清電解質異常が挙げられる(「The Merck Manual of Diagnosis and Therapy」、第17版、M.H.Beers及びR.Berkow編集、セクション8、チャプター100)。
【0012】
最後に、緑内障の治療で用いられる局所的プロスタグランジン類似体(ビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト、及びウノプロストン)は、眼球の副作用、例えば虹彩の色素沈着亢進、眼球の炎症、結膜充血、虹彩炎、ぶどう膜炎、及び網膜黄斑浮腫等を生成し得る(Martindale、第33版、1445頁)。
【0013】
網膜黄斑の疾患、例えば加齢性の黄斑変性及び糖尿病性網膜黄斑浮腫等は、失明の主要原因である。網膜黄斑の疾患を治療するために現在用いられる薬物は、トリアムシノロンアセトニド又はフルオシノロン等のステロイド系抗炎症薬である。しかし硝子体中へのトリアムシノロン注射は、眼内圧上昇を含む多くの眼の合併症と関連する。
【0014】
眼内圧の上昇は、経扁平部硝子体切除術、網膜硝子体手術、網膜剥離手術、汎網膜光凝固等の眼の手術後の一般的な術後合併症である。
【0015】
眼内において、一酸化窒素(NO)は、ある種の生理学的プロセス、例えば眼房水動力学、血管緊張、網膜神経伝達、アポトーシスによる網膜神経節細胞死、光伝達、及び眼球免疫応答の制御において重要な役割を有する一方、NOが過剰に生成すると、いくつかの眼の疾患に関係することが公知である。
【0016】
米国特許第4,590,207号(特許文献1)は、高眼内圧症及び緑内障を治療及び/又は予防するための有効成分として一硝酸イソソルビドを含有する眼病用の溶液について開示している。米国特許出願第2002/0168424号は、ミノキシジル、ニトログリセリン、L−アルギニン、二硝酸イソソルビド、又はニトロプルシドのようなニトロ血管拡張剤等の一酸化窒素(NO)供与体と、緑内障又は高眼圧症を治療するための、クエン酸シルデナフィル等のサイクリックグアノシン3’,5’−モノホスフェート(cGMP)特異的ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤との混合物の使用について開示している。当該開示の組合せは、全身性の血管弛緩、視神経への血流増強、線維柱帯、シュレム管、及びぶどう膜強膜流出チャンネル組織の拡張、眼房水排出の増強、したがって哺乳動物の眼における眼内圧(IOP)の低下を促進する。
【0017】
有機硝酸塩は、心臓疾患の治療で1世紀を超えて用いられてきたが、しかし治療で用いられる古典的な有機硝酸塩、例えば三硝酸グリセリン、二硝酸イソソルビド、又はイソソルビド5−モノニトレート等は、耐性が生じ、投与を反復するとその活性を失うことが公知である。これまでの治療レベルに対する血管感受性の低下を反映して薬物血漿濃度を高めても、硝酸塩に対する耐性が発現する。この耐性発現は、投与スケジュールに硝酸塩が存在しない期間を設けることにより防止又は削減可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4590207号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の根底にある技術的問題は、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症の治療及び/又は予防で用いる有効な治療薬を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
驚くべきことに、本発明の一酸化窒素供与体は、眼内圧を低下させ、また当技術分野で記載されている一酸化窒素供与体の耐性よりも有意に少ない耐性を発現することが、今回判明した。
【0021】
また驚くべきことに、本発明の一酸化窒素供与体は、一酸化窒素の送達と相乗的に働き、線維柱帯を経由する眼房水流出の制御、細胞の修復及び保護を促進する、追加の有益な抗炎症特性及び抗酸化特性を有することも判明した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物
【0023】
【化1】
【0024】
またはその立体異性体に関する。ここで、
は、H、メチル基、メトキシ基から選択され;
は、H、メチル基、メトキシ基から選択され、
又はRとRが一緒に−CH=CH−CH=CH−を形成する;
は、Hまたはメチル基であり;
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
Qは以下の群:
【0025】
【化2】
【0026】
から選択され、ここで、
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、0〜1の整数であり;
Xは、O、S又は−CHONOである、但し、Xが−CHONOである時、mは0である。
【0027】
本発明の一実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(Ia)を有する:
【0028】
【化3】
【0029】
ここで、
は、H、メチル基、メトキシ基から選択され;
は、H、メチル基、メトキシ基から選択され、
又はRとRが一緒に−CH=CH−CH=CH−を形成する;
は、Hまたはメチル基であり;
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、0〜1の整数であり;
Xは、O、S又は−CHONOである、但し、Xが−CHONOである時、mは0である。
【0030】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(Ia)を有する:
【0031】
【化4】
【0032】
ここで、
は、H、メチル基、メトキシ基から選択され;
は、H、メチル基、メトキシ基から選択され、
又はRとRが一緒に−CH=CH−CH=CH−を形成する;
は、Hまたはメチル基であり;
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、0である。
【0033】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(Ia)を有する:
【0034】
【化5】
【0035】
ここで、
は、H、メチル基、メトキシ基から選択され;
は、H、メチル基、メトキシ基から選択され、
又はRとRが一緒に−CH=CH−CH=CH−を形成する;
は、Hまたはメチル基であり;
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、1であり;
Xは、Oである。
【0036】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(Ib)又は(Ic)を有する:
【0037】
【化6】
【0038】
ここで、
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、0〜1の整数であり;
Xは、O、S又は−CHONOである、但し、Xが−CHONOである時、mは0である。
【0039】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(Ib)又は(Ic)を有する:
【0040】
【化7】
【0041】
ここで、
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、0である。
【0042】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(Ib)又は(Ic)を有する:
【0043】
【化8】
【0044】
ここで、
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、1であり、Xは、O又はSである。
【0045】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(Id)又は(Ie)を有する:
【0046】
【化9】
【0047】
ここで、
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、0〜1の整数であり;
Xは、O、S又は−CHONOである、但し、Xが−CHONOである時、mは0である。
【0048】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物は、式(Id)又は(Ie)を有する:
【0049】
【化10】
【0050】
ここで、
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、0である。
【0051】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(Id)又は(Ie)を有する:
【0052】
【化11】
【0053】
ここで、
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、1であり、Xは、O又はSである。
【0054】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物は、式(If)を有する:
【0055】
【化12】
【0056】
ここで、
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、0である。
【0057】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(If)を有する:
【0058】
【化13】
【0059】
ここで、
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数であり;
mは、0〜6の整数;好ましくは、mは0〜3の整数であり;
pは、1であり;
Xは、O、S又は−CHONOである、但し、Xが−CHONOである時、mは0である。
【0060】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(Ig)又は(Ih)を有する:
【0061】
【化14】
【0062】
ここで、
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数である。
【0063】
本発明の別の実施形態において、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物、またはその立体異性体は、式(Ii)、(Il)又は(Im)を有する:
【0064】
【化15】
【0065】
ここで、
nは、0〜10の整数;好ましくは、nは0〜6の整数である。
【0066】
本発明の別の実施形態は、下記群から選択される、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症における使用のための式(I)の化合物を提供する。
【0067】
【化16】
【0068】
【化17】
【0069】
【化18】
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
さらに本発明は、加齢性の黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症、黄斑変性、炎症性網膜疾患、ぶどう膜炎の治療及び/又は予防で用いるための式(I)の化合物に関する。
【0073】
本発明の別の実施形態は、眼窩浮腫、術後合併症、眼内炎症、瞳孔ブロック、又は突発性原因に起因する高眼内圧を治療するための式(I)の化合物に関する。
【0074】
本発明はまた、αアドレナリン作動薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害剤、プロスタグランジン類似体、非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド系抗炎症薬からなる群より選択される1つ又は複数のさらなる有効成分と併用される、式(I)の一酸化窒素供与体を含む組成物に関する。
適するαアドレナリン作動薬の例は、ブリモニジン、アプラクロニジン、クロニジンである。
適するβ遮断薬の例は、チモロール、カルテオロール、ベタキソロール、レボブノロールである。
適する炭酸脱水酵素阻害剤の例は、ドルゾラミド、アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミドである。
適するプロスタグランジン類似体の例は、ビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストン、及びタフルプロストである。
非ステロイド系抗炎症薬の例は、ブロムフェナク、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェンである。
ステロイド系抗炎症薬の例は、デキサメタゾン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニド、プレドニゾロンである。
【0075】
本発明の別の実施形態は、高眼圧性緑内障、正常眼圧性緑内障、続発性緑内障、及び高眼圧症の治療及び/又は予防で用いるための上記報告の組成物である。
【0076】
本発明の別の実施形態は、続発性緑内障、加齢性の黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑変性、炎症性網膜疾患、ぶどう膜炎の治療及び/又は予防で用いるための上記報告の組成物である。
【0077】
本発明の別の実施形態は、眼窩浮腫、術後合併症、眼内炎症、瞳孔ブロック、又は突発性原因に起因する高眼内圧の治療で用いるための上記報告の組成物である。
【0078】
本発明の別の実施形態は、少なくとも式(I)の一酸化窒素供与体、並びに少なくとも眼科的に許容される成分及び/又は眼科的に許容される媒体を含む、眼周囲又は眼内に局所投与するための医薬製剤を提供する。
【0079】
本発明の別の実施形態は、少なくとも式(I)の一酸化窒素供与体、αアドレナリン作動薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害剤、プロスタグランジン類似体、非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド系抗炎症薬からなる群より選択される1つ又は複数のさらなる有効成分、並びに少なくとも眼科的に許容される成分及び/又は眼科的に許容される媒体を含む、眼周囲又は眼内に局所投与するための医薬製剤を提供する。
【0080】
本発明の化合物及び組成物の好ましい投与経路は、局所又は硝子体中である。本発明の化合物及び組成物は、局所用途の溶液、懸濁物、又はエマルジョン(分散物)として投与可能である。
【0081】
また、現発明で用いるための化合物は、眼周囲への投与を経由して投与することも可能であり、眼周囲に投与するために、溶液又は懸濁物の状態で処方され得る。眼周囲への投与に有用な製剤は、一般的に眼周囲注射製剤又は外科用灌流液である。眼周囲への投与とは、眼近傍の組織への投与、例えば眼球を囲む及び眼窩内の組織又は空間への投与等を意味する。眼周囲への投与は、注射、付着、又は任意のその他の留置方式により実施可能である。
【0082】
本発明の化合物及び組成物は、眼内投与用の溶液又は懸濁物の状態で処方され得る。眼内投与に有用な組成物は、一般的に眼内注射組成物又は外科用灌流液である。
【0083】
「眼科的に許容される」成分とは、意図した濃度及び意図した使用時間において、何らかの顕著な眼の損傷又は眼の不快感を引き起こさない成分を意味する。可溶化剤及び安定剤は、非反応性であるべきである。「眼科的に許容される媒体」とは、化合物と非反応性で、患者への投与に適する任意の物質又は物質の組合せを意味する。
【0084】
本発明の一酸化窒素供与体は、本明細書で検討される眼周囲又は眼内用の局所的製剤中に、約0.001から約10.0%重量/容積の量で一般的に含有される。好ましい濃度は、約0.1から約5.0%w/vの範囲である。
【0085】
実施した試験から、式(I)の化合物は、一硝酸イソソルビドの活性に匹敵する血管拡張活性を示すことが実証された。さらに、式(I)の化合物は、一硝酸イソソルビドで認められる場合と比較して、その耐性及び/又は副作用につき大幅に少ない耐性及び/又は副作用を示す。
【0086】
式(I)の化合物は、下記に報告の一般的合成法及び例に従って合成可能である:
1.式(I)
【0087】
【化21】
【0088】
〔ここで、n、R、R及びRは上記で定義され、Qは、式(II)の基
【0089】
【化22】
【0090】
(ここで、pが0であり、mは上記で定義されたとおりである)を示す〕の化合物は、化合物(V)をニトロ化することによって合成することができる。
【0091】
【化23】
【0092】
(ここで、Yはハロゲン原子であるか、またはYは−OHである。)
Yがハロゲン原子であるとき、ニトロ化剤は、例えば、文献で知られているように、アセトニトリル中のAgNOであってもよい、
YがOHである場合、化合物(V)は、例えば、ピリジン、ルチジン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジンなどの塩基の存在下で、ニトロ化剤として、無水酢酸とHNOの混合物、又はトリフルオロメタンスルホン酸無水物と硝酸テトラアルキルアンモニウムの混合物を用いてニトロ化することができる。あるいは、ヒドロキシル基は、はじめに対応するメシル基又はトシル基又はトリフラート基に変換され、次いで、公知の方法で硝酸テトラアルキルアンモニウムと硝酸ナトリウムなどの適当なニトロ化剤を用いてニトロ化される。
【0093】
式(V)の化合物(式中、Y、n、m、R、R及びRは上記定義である)は文献公知であるか、または文献(Duveau D.Y. Bioor & Med Chemistry 2010, 18, 6429-6441)に記載された方法で製造される。
【0094】
1.1 あるいは、式(I)〔式中、n、R、R及びRは上記で定義され、Qは、式(II)の基
【0095】
【化24】
【0096】
(pが0であり、mは上記で定義されたとおりである)を示す〕の化合物は、Breyer, S.及びその同僚らによるChem Med Chem, 2009, 4(5), 761-768、又はDuveau D.Y.らによるBioor & Med Chemistry 2010, 18, 6429-6441、又はR及びRの2つの基が一緒になって−CH=CH−CH=CH−を形成するときはKayashima, TomokoらによるBioor & Med Chemistry 2010, 18(10), 6305-6309に記載されるように、下記化合物(VI)と式(VII)のカルボン酸 HOOC−(CH−(CH−CHONOを、ペルオキシ二硫酸塩、例えばアンモニウム塩又はカリウム塩と、アセトニトリル又はアセトニトリル/水のような適当な溶媒中のAgNOの存在下で、還流下に反応させることにより製造することができる。
【0097】
【化25】
【0098】
化合物(VII)は、文献公知であるか、又はそれらは、公知の反応による、相当する式(VIIa) HOOC−(CH−(CH−CHOHのヒドロキシ酸又は式(VIIb) HOOC−(CH−(CH−CH−Halのハロゲン酸のニトロ化反応によって得ることができる。化合物(VIIa)及び(VIIb)は、市販されているか、または公知の方法から製造される。
【0099】
がH又はメチル基であり、R及びRがメトキシ又はR及びRが一緒になって−CH=CH−CH=CH−を形成している化合物(VI)は市販されている。
【0100】
とR及びRがメチル基である化合物(VI)は文献公知であり、そして、市販の化合物から製造することができる(例えば、Duveau D.Y. Bioor & Med Chemistry 2010, 18, 6429-6441の例2を参照されたい)。
【0101】
がメチル基であり、R及びRが異なってメチル基であるかメトキシ基である化合物(VI)は、文献公知であり、市販の化合物から製造することができる(例えば、Duveau D.Y. Bioor & Med Chemistry 2010, 18, 6429-6441を参照されたい)。
【0102】
2.式(I)の化合物〔式中、n、R、R及びRは上記で定義され、Qは、式(II)の基
【0103】
【化26】
【0104】
(pが1であり、XがOである)を示す〕は、ウィリアムソン反応についての文献に公知のように、化合物(VIII)を式(IX) Hal−(CH−ONOのハロゲン−アルキル−ニトレートと、以下のスキーム
【0105】
【化27】
【0106】
に示すように、塩基の存在下、アセトニトリル、トルエン、DMFなどの適当な溶媒中、25〜100℃の温度で反応させることで合成できる。
【0107】
[Yが−OHである化合物(V)に関して上述したように、化合物(VIII)を製造することができる]。
【0108】
2.1 あるいは、式(I)の化合物は、以下の手順により製造することができる:
【0109】
【化28】
【0110】
化合物(I)は、ウィリアムソン反応についての文献に公知のように、式(VIII)の化合物と、PGがジメチル−tert−ブチルシリルまたは他のシリル誘導体基、トリチル基又はベンジル基などのヒドロキシル保護基である式(X)の保護されたハロゲン−アルキル−アルコールとを、塩基の存在下、アセトニトリル、トルエン、DMFなどの適当な溶媒中、25〜100℃の温度で反応させることで製造することができる。得られたキノン誘導体(XI)は、文献公知の方法で脱保護し、ニトロ化によって、式(I)の化合物に変換される。
【0111】
一般式(VIII)の化合物は、文献公知であるか、または文献(Duveau D.Y. Bioor & Med Chemistry 2010, 18, 6429-6441)に記載される方法から製造される。
【0112】
3.式(I)の化合物〔式中、n、R、R及びRは上記で定義され、Qは、式(II)の基
【0113】
【化29】
【0114】
(mが0であり、pが1であり、Xが−CHONOである)を示す〕は、Breyer, S.及びその同僚らによるChem Med Chem, 2009, 4(5), 761-768、又はDuveau D.Y.らによるBioor & Med Chemistry 2010, 18, 6429-6441、又はR及びRの2つの基が一緒になって−CH=CH−CH=CH−を形成するときはKayashima, TomokoらによるBioor & Med Chemistry 2010, 18(10), 6305-6309に単純カルボン酸について記載されるように、化合物(VI)を、ペルオキシ二硫酸塩、例えばアンモニウム塩又はカリウム塩と、アセトニトリル又はアセトニトリル/水のような適当な溶媒中のAgNOの存在下で、還流下に反応させることにより製造することができる。
【0115】
【化30】
【0116】
化合物(XV)は、文献公知であるか、またそれらは、例えば、直接IとAgNOでニトロ化するなどの公知の反応によって、式(XVI) HOOC−(CH−CH=CHの相当する不飽和酸のニトロ化反応により、又ははじめに式(XVI)の不飽和酸をジオール(XVII) HOOC−(CH−CHOH−CHOHに変換し、次いで、HNOと無水酢酸でニトロ化することによって製造することができる。
【0117】
4.式(I)の化合物〔式中、n、R、R及びRは上記で定義され、Qは、式(II)の基
【0118】
【化31】
【0119】
(pが1であり、XがSである)〕は、以下のスキーム
【0120】
【化32】
【0121】
(ここで、Zはハロゲン原子又は−O−メシル基又は−O−トシル基であり、PG1は、例えば、ジメチル−tert−ブチルシリル基または他のシリル誘導体基又はトリチル基のようなヒドロキシル保護基である。)に示すように製造することができる。
【0122】
化合物(I)は、Yの意味に応じた公知の方法で、化合物(XII)と式(XIII)のチオール化合物とを反応させることによって製造できる。得られたキノン誘導体(XIV)は、式(I)の化合物に既知の脱保護/ニトロ化法により変換される。
【0123】
化合物(XII)は、文献公知であるか、文献(Duveau D.Y. Bioor & Med Chemistry 2010, 18, 6429-6441)に記載された方法から製造される。
【0124】
5.式(I)〔式中、n、R、R及びRは上記で定義され、Qは、式(III)
【0125】
【化33】
【0126】
である〕の化合物は、以下に示す方法に従って製造することができる。
【0127】
【化34】
【0128】
ここで、R、R、R、nが上記のように定義され、PGは、メチル基又は−boc基などの酸素保護基である。
【0129】
化合物(XVIII)は、まず、文献(例えば、Duveau D.Y. Bioor & Med Chemistry 2010, 18, 6429-6441を参照)に記載されているように、例えば、NaBHか亜ジチオン酸塩を用いてフェノール類に還元される。化合物(XIX)のヒドロキシル基は保護され、次いでPCCまたは他の適切なアルコール酸化試薬でアルデヒドに酸化される。アルデヒド(XX)は、化合物MeM(XXIII)(式中、Mは−Li又は−Mg基であり、Halはハロゲン原子である)で公知の手順を用いてアルキル化される。アルコール(XXI)は、次いで公知の方法でニトロ化され、化合物(XXII)は、次に公知の方法で脱保護される。
【0130】
6.式(I)〔式中、n、R、R及びRは上記で定義され、Qは、式(IV)
【0131】
【化35】
【0132】
である〕の化合物は以下のスキームに示すように製造することができる。
【0133】
【化36】
【0134】
化合物(XXIV)は、化合物(XXV)に酸化され、次いで公知の方法により化合物(XXVI)を得るためにビニル化される。化合物(XXVII)は、古典的なウィリアムソン反応により得られ、公知のメタセシス方法によってフラン誘導体(XXVIII)に変換される。化合物(XXX)は化合物(XXVIII)のヒドロキシル化及びニトロ化反応で製造される。化合物(I)は、化合物(XXX)の加水分解及び再酸化から得られる。
【0135】
、R及びRが上記で定義の通りである化合物(XXIV)は、文献公知であるか、公知の方法により製造される。
【実施例】
【0136】
例1
10−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)デシル硝酸エステル(化合物(6))の合成
【0137】
【化37】
【0138】
方法A
ジクロロメタン(250mL)中の、2−(10−ヒドロキシデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン(7g、20.7mmol)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(6.37g、31mmol、1.5当量)及び硝酸テトラブチルアンモニウム(7.5g、24.8mmol、1.2当量)を含有する500mLの乾燥丸底フラスコを、−70℃に冷却し、ジクロロメタン(30mL)中のトリフルオロメタンスルホン酸無水物(4mL、24.8mmol、1.2当量)の溶液を滴下している間、攪拌しながら、この温度を維持した。反応混合物を−70℃で2時間攪拌し、次いで、室温に暖まるまで放置した。反応混合物はHOで洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP340、4/6の酢酸エチル/n−ヘキサンから60/40の酢酸エチル/n−ヘキサンへのグラジエント系)で精製し、表題化合物を赤み油状物として得た(6.0g、75%)。
【0139】
方法B
工程1:10−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)デシルメタンスルホネートの合成
2−(10−ヒドロキシデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチルシクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン(2.0g、5.91mmol)及びトリエチルアミン(0.9mL、6.5mmol、1.1当量)の乾燥CHCl(20mL)溶液に、0℃で塩化メタンスルホニル(505μL、6.5mmol、1.1当量)のCHCl(5mL)溶液、次いでDMAP(10mg)を加えた。反応を室温で16時間維持し、次いで、水、飽和NaHCO、水及び食塩水で連続して洗浄した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SNAP100、20/80の酢酸エチル/n−ヘキサンから40/60の酢酸エチル/n−ヘキサンへのグラジエント系を10CV(カラムボリューム)で送液)によって精製し、表題化合物をオレンジ色固体として得た(2.21g、91%)。
【0140】
【数1】
【0141】
工程2:10−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)デシル硝酸エステルの合成
10−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)デシルメタンスルホネート(2.21g、5.3mmol)のBuOAc/MeCN(3:1,5mL)中の攪拌溶液に、硝酸テトラブチルアンモニウム(0.32g、1.06mmol、0.2当量)及び硝酸ナトリウム(0.68g、7.95mmol、1.5当量)を加えた。80℃で18時間加熱して反応させ、次いで室温に冷却した。反応混合物をEtOAc及び水で希釈した。有機層を抽出し、水で2回、次いで食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)、濾過し、蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(SNAP 100、40/60の酢酸エチル/n−ヘキサンから60/40の酢酸エチル/n−ヘキサンへのグラジエント系)で精製し、表題化合物を赤み油状物として得た(1.81g、89%)。
【0142】
【数2】
【0143】
例2
5−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ペンチル硝酸エステル(化合物(1))の合成
【0144】
【化38】
【0145】
工程1:2,3,5−トリメチル−p−ベンゾキノンの合成
【0146】
【化39】
【0147】
0℃に冷却された、トリメチル−p−ヒドロキノン(1.5g、6.57mmol)、I(0.08g、0.33mmol)及び30%のH水溶液(0.33ml、2.90mmol)のMeOH(20ml)溶液に、濃硫酸(0.33ml、0.93mmol)を添加した。溶液を0℃で1時間、室温で2時間攪拌し、その後、EtO(50ml)及びHO(50ml)で希釈した。二相を分離し、水層をEtO(50ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaS溶液(50ml)及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP100gカラム、ヘキサン/EtOAcの95:5を10CVで送液)によって精製し、0.70g(71%収率)の表題化合物をオレンジ色固体として得た。
【0148】
【数3】
【0149】
工程2:6−(ニトロオキシ)ヘキサン酸の合成
6−ブロモヘキサン酸(0.50g、2.56mmol)のCHCN(10ml)溶液に、AgNO(0.52g、3.07mmol)を添加した。この溶液を、122℃で20分間マイクロ波(mw)加熱した。塩を濾別し、溶媒を蒸発させた。EtOAcを添加し、塩を再度濾別し、溶媒を蒸発させ、0.40g(収率:80%)の表題化合物を透明油状物として得た。
【0150】
【数4】
【0151】
工程3:5−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ペンチル硝酸エステルの合成
75℃に加熱された、2,3,5−トリメチル−p−ベンゾキノン(0.94g、6.28mmol)、6−(ニトロオキシ)ヘキサン酸(1.12g、6.28mmol)及びAgNO(1.28g、7.54mmol)のCHCN(50ml)溶液に、K(2.04g、7.54mmol)のHO(50ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で5時間攪拌し、その後室温に冷却させ、HO(50ml)に排出した。生成物をEtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP100gカラム、ヘキサン/EtOAcの97:3を10CV、ヘキサン/EtOAcの95:5を3CVで送液)によって精製し、390mg(収率:22%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0152】
【数5】
【0153】
例3
5−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ペンチル硝酸エステル(化合物(2))の合成
【0154】
【化40】
【0155】
75℃に加熱された、2,3−ジメトキシ−5−メチル−p−ベンゾキノン(0.93g、5.12mmol)、6−(ニトロオキシ)ヘキサン酸(0.93g、5.12mmol)(例2の工程2に記載したように調製)及びAgNO(1.04g、6.14mmol)のCHCN(50ml)溶液に、K(1.66g、6.14mmol)のHO(50ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で5時間攪拌し、ついで室温に冷却させ、HO(50ml)に排出した。生成物をEtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP100gカラム、ヘキサン中、5%から40%のEtOAcを10CVで送液)によって精製し、130mg(8%収率)の表題化合物をオレンジ色油状物として得た。
【0156】
【数6】
【0157】
例4
5−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)ペンチル硝酸エステル(化合物(12))の合成
【0158】
【化41】
【0159】
75℃に加熱された、2−メチル−1,4−ナフトキノン(1.06g、6.15mmol)、6−(ニトロオキシ)ヘキサン酸(0.93g、5.12mmol)及びAgNO(0.88mg、5.13mmol)のCHCN(50ml)溶液に、K(1.66g、6.15mmol)のHO(50ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で5時間攪拌し、ついで室温に冷却させ、HO(50ml)に排出した。生成物をEtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製 SP1装置、SNAP100gカラム、ヘキサン:酢酸エチルの95:5を5CVで、及び90:10を5CVで送液)によって精製し、760mg(収率:48%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0160】
【数7】
【0161】
例5:インビトロ抗酸化活性(TBARS試験)
化合物(6)(例1に開示)及び化合物(23)(例19に開示されている)と対照抗酸化化合物の抗酸化特性は、2−チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)の可視分光法による検出を用いたラット肝細胞における膜脂質のNADPH誘導性脂質過酸化後に評価した。
【0162】
雄ウィスターラット(200〜250g)からの肝ミクロソーム膜は、HEPES/スクロース緩衝液(10mM,250mM,pH7.4)中、分画遠心法(8000g、20分;120000g、1時間)により調製し、−80℃で保存した。インキュベーションを、ミクロソーム膜(2mgプロット/mL)、アスコルビン酸ナトリウム(100μM)及び試験化合物のDMSO溶液を含むTris−HCl/KCl(100mM/150mM,pH7.4)中、37℃で行った。脂質過酸化は、ADP−FeCl及びNADPH(方法A)または2.5μMのFeSO(方法B)を添加することによって開始した(Boschi D. et al., J. Med. Chem. 2006, 49:2886-2897によって記載される)。アリコートを、5、15、30分でインキュベーション混合物から取り出し、トリクロロ酢酸(TCA)10%w/vで処理した。脂質過酸化は、主としてマロンジアルデヒド(MDA)から成るTBARSの分光光度(543nm)を測定することにより評価した。TBARS濃度(タンパク質1mg当たりのnmolで表す)は、MDA標準曲線で補間することによって得た。試験化合物の抗酸化活性は、インキュベーションの30分後に得られた値を用いて、対照サンプルに対するTBARS生成の阻害率として評価した。IC50値は、非線形回帰分析により算出した。
【0163】
表1に報告された結果は、化合物(6)(IC50=2μM)と化合物(23)(IC50=1.4μM)が、フェルラ酸、コーヒー酸、エダラボン又はメラトニンなどの既知の抗酸化化合物よりも優れている効力(IC50=2μM)で濃度依存的にTBARSの生成を阻害することが証明されたことを示した。
【0164】
【表1】
【0165】
例6:インビトロNO−媒介活性
例1に開示されている化合物(6)の能力は、NO放出の機能的マーカーであるインビトロ血管弛緩を誘導するために、メトキサミン事前収縮ウサギ大動脈リングで評価した。
【0166】
雄のニュージーランドウサギまたは雄のSD(Sprague Dawley)ラットからの胸部大動脈を用いた。その大動脈をクレブス−HEPES緩衝液(pH7.4;組成 mM:NaCl 130.0、KC1 3.7、NaHCO 14.9、KHPO 1.2、MgSO・7HO 1.2、グルコース 11.0、HEPES 10.0、CaCl・2HO 1.6)中に直ちに配置された。結合組織を除去し、大動脈をリングセグメント(長さ4〜5mm)に切断した。各リングは、クレブス−HEPES緩衝液(37℃)で満たされた5mLの組織浴に置かれ、95%O及び5%COを通気し、等長伸縮の測定のためにBIOPAC MP150システムに接続された力変換器(Glass FT03)に取り付けた。準備は、15分ごとにバッファーを取り替えながら、ウサギ大動脈に対して2g及びラット大動脈に対して1gの静止張力で1時間平衡化させた。次いで、リングは、介在洗浄液と共に90mMのKCl(3回)への曝露によって刺激した。
【0167】
ウサギ大動脈:平衡化した後、ウサギ大動脈は、メトキサミン(3μM)で準最大に事前収縮させ、収縮が安定した時に、アセチルコリン(ACh、3μM)を添加した。AChに対する弛緩応答は機能性内皮の存在を示した。ウォッシュアウトした後、リングをメトキサミン3μMで準最大に事前収縮させた。収縮の定常状態レベルが得られたときに、試験化合物(0.01〜100μM)に対する累積濃度−応答曲線は、機能内皮の存在下で得られた。
【0168】
ラット大動脈:平衡化した後、ラット大動脈は、KCl(90mM)で事前収縮させ、収縮が安定した時に、アセチルコリン(ACh、0.01〜100μM)に対する累積濃度−応答曲線を加えた。ウォッシュアウトした後、リングをKCl(90mM)で再度事前収縮させた。収縮の定常状態レベルが得られたときに、試験化合物(0.01〜100μM)に対する累積濃度−応答曲線を得た。
【0169】
データ分析:結果は平均±SEMで与えられる。血管応答は緩和をパーセントとして表現し、濃度に対してプロットしている。別の血管拡張薬の単離された大動脈の感度は最大応答の50%を誘発する濃度(EC50)として表される。応答は、グラフパッドソフトウェアを用いて、非線形曲線フィッティングによって濃度応答曲線から得られたEC50とのEmax(最大の血管拡張作用)値の観点で定量化される。
【0170】
化合物(6)は、EC50=4.7±0.2μMで濃度依存性弛緩を誘発し、100μMで試験した最高濃度で89±1%の弛緩を達成している。
【0171】
例7:ラットのL−NAME誘発性高血圧症における化合物6及びイソソルビド−5−モノニトレート(5−ISMN)の効果
インビボでのNO−依存活性を評価するために、化合物(6)は、L−NAMEによって誘発されるNO−欠乏のラットモデルにおける収縮期血圧(SBP)の減少効力について評価し、5−ISMNと比較した。
【0172】
ハーランイタリー社(コッレッツァーナ、ミラノ、イタリア)から取得した絶食雄性SDラット(250〜300g、1グループ当たりn=3−5)を、強制経口投与で4ml/kgの総体積で経口的に試験化合物またはビヒクル(DMSO:1%メトセル=2/98v/v)を用いて処理した。各時点(1、3、6及び24時間)で、試験動物は、Zoletil(登録商標)100(3mg/kg)を筋肉内投与して深く麻酔した。その後、圧力カテーテル(Samba Sensors、Harvard Apparatus社、UK)を、中心血圧測定のために総頸動脈に導入した。圧力変換器は、圧力トレースのリアルタイム監視を可能にするために、パーソナルコンピュータに接続した。基底記録の10分後、L−NAME(50mg/kg)を腹腔内投与し、SBPに対する効果をモニターした。SBPが安定(ばらつきなく5分)したとき、記録を停止した。機能的活性がNO−依存であることをさらに確認するため、各時点で血中15N−亜硝酸塩レベルを、例12に記載された手順に従って測定した。
【0173】
表2に報告された結果は、麻酔されたラットにL−NAMEの50mg/kgを腹腔内注射すると、約70mmHgの収縮期血圧(SBP)の増加(129±5から197±9mmHg)を誘発することを示した。経口投与する場合、参照NO−供与体の5−ISMN(30mg/kg)は処置後3時間までL−NAME誘発性高血圧症を阻害するが、化合物(6)(100mg/kg)は、ラットへの単回経口投与後6時間以上SBP増加を防止し、効果的かつ長期の全身的なNO放出を示すなどの、より持続的な効果を誘発した。驚くべきことに、化合物(6)が5−ISMNと比較して少ないNO放出であっても、表2に示す15N−亜硝酸塩の血中レベルによって示されるように、血圧において匹敵する効力を誘発することができた。
【0174】
【表2】
【0175】
例8:インビボ耐性評価
ニトレート類に属する薬物のほとんどで観察されるように、化合物(6)がニトレート耐性を誘発したかどうかを調べるため、例7に記載されたL−NAME誘発性高血圧症のラットモデルを、次の反復経口処置に供した。ラットはビヒクル、化合物(6)(100mg/kg)又は5−ISMN(30mg/kg)で経口的に5日間処理した。化合物(6)は5日間の経口処理後に、L−NAME誘発性高血圧症を阻害した。逆に、5日間の治療後に参照ニトレートである5−ISMNは、L−NAME誘発性高血圧症の予防にその有効性を維持しておらず、ニトレート耐性の発生を示唆している。実験は、ピーク効果(5−ISMNに対して1時間、化合物(6)に対して3時間)で行い、結果を表3に報告する。
【0176】
【表3】
【0177】
例9:生体外耐性評価
ニトレートに対する耐性は、さらに以下の反復処置で化合物(6)の血管作用を5−ISMNと比較して評価検討した。化合物自体に対する血管応答自体は、経口的に、化合物(6)(100mg/kg)を用いて5日間処理したラットから単離した大動脈で評価した。例6に記載したように血管反応を行った。
【0178】
化合物(6)で処置した動物の動脈は、ビヒクルのみで処置した動物の動脈と、化合物(6)に対して同じ感度を示した。逆に、参照5−ISMN(30mg/kg)を用いて処置した動物からの大動脈は、対照動脈と比較して5−ISMNに対して低減した血管応答を示し、つまり、ニトレート耐性の発現を確認した。血管応答は、最後の投与後の1時間(ISMN)又は3時間(化合物(6))で行い、最大応答の50%を誘発した試験化合物の濃度(EC50)を表4に示す。
【0179】
【表4】
【0180】
例10:内皮機能障害の評価
内皮依存性血管拡張(アセチルコリンAChに対する血管応答)は、化合物(6)(100mg/kg)又は5−ISMN(30mg/kg)を用いて5日間の処置後に評価した。AChに対する弛緩応答は機能性内皮の存在を示した。例6に記載したように血管応答を行った。表5に報告の最大血管拡張作用値(Emax)は、5−ISMNがAchに対する低減応答を引き起こしたのに対して、化合物(6)は、内皮依存性血管弛緩を変更しないことを示した。
【0181】
【表5】
【0182】
例11
6−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ヘキシルニトレート(化合物(15))の合成
【0183】
【化42】
【0184】
ステップ1:エチル7−(ニトロオキシ)ヘプタノエートの合成
CHCN(20ml)中エチル7−ブロモヘプタノエート(1.40g;6.00mmol)の溶液に、AgNO(1.23g;7.20mmol)を添加した。当該溶液を120℃でmw22分間加熱した。塩を濾過して除き、溶媒を蒸発させた。EtOAcを添加し、再度塩を濾過して除き、溶媒を蒸発させて、表題の化合物1.3g(収率:100%)を透明な油として得た。
【0185】
【数8】
【0186】
ステップ2:7−(ニトロオキシ)ヘプタン酸の合成
4℃に冷却したエチル7−(ニトロオキシ)ヘプタノエート(1.3g;6.0mmol)の溶液に、2M LiOH溶液(7.5ml;15.0mmol)を滴加した。当該溶液を4℃で、終夜撹拌し、次に3N HClによりpH=1まで酸性化し、生成物をCHCl(5×20ml)で抽出した。収集混合した有機層をNaSO上で乾燥し、濃縮して、0.91g(収率:79%)を透明な油として得た。
【0187】
【数9】
【0188】
ステップ3:6−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ヘキシルニトレートの合成
75℃に加熱した、CHCN(20ml)中2,3,5−トリメチル−p−ベンゾキノン(0.71g、4.71mmol)、7−(ニトロオキシ)ヘプタン酸(0.91g、4.71mmol)、及びAgNO(0.80g、4.71mmol)の溶液に、HO(20ml)中K(1.27g、4.71mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を75℃で3時間撹拌し、次にこれを室温まで放置冷却し、HO(20ml)に注入した。生成物をEtOAc(2×15ml)で抽出した。収集混合した有機層を飽和NaHCO溶液及びブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage SP1 instrument、SNAP 50gカラム、Hex/EtOAc 97:3、20cv)により精製し、表題の化合物560mg(収率:40%)を黄色の油として得た。
【0189】
【数10】
【0190】
例12
4−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ブチル硝酸エステル(化合物(3))の合成
【0191】
【化43】
【0192】
工程1:5−(ニトロオキシ)吉草酸エチルの合成
5−ブロモ吉草酸エチル(0.63g、3.00mmol)のCHCN(10ml)溶液に、AgNO(0.61g、3.6mmol)を添加した。この溶液を、120℃で22分間マイクロ波加熱した。塩を濾別し、溶媒を蒸発させた。EtOAcを添加し、塩を再度濾別し、溶媒を蒸発させ、0.55g(収率:96%)の表題化合物を透明油状物として得た。
【0193】
【数11】
【0194】
工程2:5−(ニトロオキシ)ペンタン酸の合成
4℃に冷却された5−(ニトロオキシ)吉草酸エチル(0.55g、2.87mmol)溶液に、2NのLiOHの溶液(4.0ml、7.50mmol)を滴下した。溶液を、4℃で一晩攪拌し、次いでpH=1になるまで3NのHClで酸性化し、生成物をCHCl(5×15ml)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥、濃縮し、0.47g(収率:100%)の透明油状物を得た。
【0195】
【数12】
【0196】
工程3:4−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ブチル硝酸エステルの合成
75℃に加熱された、2,3,5−トリメチル−p−ベンゾキノン(0.50g、3.34mmol)、5−(ニトロオキシ)ペンタン酸(0.47g、2.87mmol)及びAgNO(0.57g、3.34mmol)のCHCN(20ml)溶液に、K(1.08g、4.01mmol)のHO(20ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温に冷却して、HO(20ml)に排出した。生成物をEtOAc(2×15ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン/EtOAcの97:3を15cvで送液)により精製し、220mg(収率:24%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0197】
【数13】
【0198】
例13
5−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ペンタン−1,2−ジイル 二硝酸エステル(化合物(10))の合成
【0199】
【化44】
【0200】
工程1:4−ニトロフェニル−5−ヘキセノエートの合成
【0201】
【化45】
【0202】
0℃に冷却された、4−ニトロフェノール(2.0g,14.38mmol)及び5−ヘキセン酸(1.7ml、14.38mmol)のCHCl(30ml)溶液に、ジメチルアミノプロピルn−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC)(3.3g、17.26mmol)及びジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.35g、2.88mmol)を少しずつ加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、次いで、NaHPOの5%溶液(30ml)、HO(20ml)及び食塩水(20ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥、濃縮し、3.2g(定量的収率)の表題化合物を褐色油状物として得、さらに精製することなく使用した。
【0203】
工程2:4−ニトロフェニル−5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキサノエートの合成
−10℃に冷却された4−ニトロフェニル−5−ヘキセノエート(1.0g、4.25g(mmol))のCHCN(20ml)溶液に、AgNO(0.87g、5.1mmol)及びI(1.3g、5.1mmol)を添加した。混合物を−10℃で20分間攪拌し、次いでAgNO(1.3g、7.65mmol)を添加し、混合物を75℃で24時間加熱した。塩を濾別し、溶媒を蒸発させた。EtOAc(30ml)を添加し、塩を再度濾過し、そして溶媒を蒸発させ表題化合物の1.1gを得、さらに精製せずに使用した。
【0204】
工程3:5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキサン酸の合成
0℃に冷却された、4−ニトロフェニル−5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキサノエート(1.1g、3.04mmol)のTHF/EtOH(2:1、15ml)溶液に、2NのNaOH(4.6ml、9.12mmol)を滴下した。溶液を0℃で30分間攪拌し、次いで溶媒を除去した。CHCl(10ml)及びHO(10ml)を残渣に添加し、発煙塩酸をpH=1になるまで加えた。二相に分離し、有機層をCHCl(2×10ml)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥、濃縮し、表題化合物の470mgを得、さらに精製することなく使用した。
【0205】
【数14】
【0206】
工程4:5−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ペンタン−1,2−ジイル 二硝酸エステルの合成
75℃に加熱された、2,3,5−トリメチル−p−ベンゾキノン(0.29g、1.96mmol)、5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキサン酸(0.47g、1.96mmol)及びAgNO(0.33g、1.96mmol)のCHCN(10ml)溶液に、K(0.53g、1.96mmol)のHO(10ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、室温に冷却して、HO(10ml)に排出した。生成物をEtOAc(2×10ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン/EtOAcの90:10を15cvで送液)で生成し、266mg(収率:39%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0207】
【数15】
【0208】
例14
3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロピル硝酸エステル(化合物(8))の合成
【0209】
【化46】
【0210】
工程1:4,5−ジメトキシ−2−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4,9−ジエン−3,6−ジオンの合成
2,3−ジメトキシ−5−メチル−p−ベンゾキノン(4.0g、21.96mmol)の氷酢酸(100mL)溶液に、新たに蒸留したシクロペンタジエン(2.8mL、32.94mmol、1.5当量)を添加し、反応物を室温で一晩攪拌した。反応物を0℃に冷却し、氷/水を加えた。水層を3MのNaOH水溶液を用いて中和し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過、蒸発し、表題化合物(5.4g、収率98%)を暗赤色油状物として得た。
【0211】
【数16】
【0212】
工程2:2−アリル−4,5−ジメトキシ−7−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4,9−ジエン−3,6−ジオンの合成
0℃に冷却された、粗4,5−ジメトキシ−2−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4,9−ジエン−3,6−ジオン(5.4g)の乾燥THF(100mL)中の攪拌溶液に、少しずつカリウムtert−ブトキシド(4.0g、32.9mmol、1.5当量)を加えた。反応物が暗赤色となり、さらに30分間この温度で攪拌し、次いで、臭化アリル(2.9mL、35.1mmol、1.6当量)の乾燥THF(30mL)溶液を徐々に添加した。水(30mL)を添加する前に、反応物を2時間攪拌した。水層をpH2に酸性化し、溶液をEtO(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製装置、SNAP340カラム、ヘキサン中20%〜40%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を淡黄色油状物として得た(4.22g、収率:67%)。
【0213】
【数17】
【0214】
工程3:2−アリル−3−メチル−5,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノンの合成
2−アリル−4,5−ジメトキシ−7−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデカ−4,9−ジエン−3,6−ジオン(4.1g、14.22mmol)のトルエン(50mL)溶液を7時間加熱還流した。次いで、反応物を冷却し、溶媒を蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製装置、SNAP340カラム、ヘキサン中20%〜40%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を赤色油状物として得た(4.22g、収率:67%)。
【0215】
【数18】
【0216】
工程4:1−アリル−2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルベンゼンの合成
2−アリル−3−メチル−5,6−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン(27g、121.5mmol)及び臭化テトラブチルアンモニウム(2.0g)のTHF/水(1/1、各700mL)中の攪拌溶液に、亜ジチオン酸ナトリウム(211g、1.215モル、10当量)を加えた。反応物を30分間攪拌し、次いで0℃に冷却してNaOH(73mg、15当量)を加えた。30分間攪拌した後、ヨウ化メチル(100mL、1.215モル、10当量)を添加し、反応物を40℃で一晩加熱した。反応物を水(1L)で希釈し、EtO(各500mL)で3回抽出した。合わせた有機層を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、3SNAP340カラム、ヘキサン中5%〜20%のEtOAcを10CVで送液)で精製し、表題化合物を無色油状物として得た(19.7g、収率:64%)。
【0217】
【数19】
【0218】
工程5:1−(3−ヒドロキシプロピル)−2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルベンゼンの合成
1−アリル−2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルベンゼン(6.8g、26.95mmol)の乾燥THF(100mL)攪拌溶液に、0℃で、0.5Mの9−BBNのTHF溶液(108mL、53.9mmol、2当量)を加えた。反応物を室温で16時間攪拌した。反応物を0℃に冷却し、同時に3MのNaOH水溶液(44.1mL)及び30%H水溶液(44.1mL)を添加した。反応物を30分間攪拌し、次いで、水次いでEtO(150mL)を加え、有機層を分離した。水層をEtO(50mL)で二回再抽出した。合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製装置、SNAP340カラム、ヘキサン中30%〜60%のEtOAcを10CVで送液)で精製し、表題化合物を無色油状物として得た(5.43g、収率:74%)。
【0219】
【数20】
【0220】
工程6:3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピルメタンスルホネートの合成
1−(3−ヒドロキシプロピル)−2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルベンゼン(5.4g、20mmol)及びEtN(2.8mL、20.4mmol、1.02当量)及びDMAP(0.2g)の乾燥CHCl(50mL)の攪拌溶液に、塩化メタンスルホニル(2.31g、20.2mmol、1.01当量)を0℃で滴下し、反応物をこの温度で5時間攪拌し、次いで水で希釈した。有機層を分離し、水、0.1MのHCl水溶液、水で順次に洗浄した。
【0221】
【数21】
【0222】
工程7:3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピル硝酸エステルの合成
3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピルメタンスルホネート(1.31g、3.77mmol)、硝酸テトラブチルアンモニウム(0.23g、0.75mmol、0.2当量)及び硝酸ナトリウム(0.43g、5.07mmol、1.5当量)の酢酸ブチル及びアセトニトリルの3/1混合物(10mL)中の攪拌溶液を、90℃で16時間加熱し、次いで、室温に冷却した。反応物を水で希釈し、有機層を分離し、水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製、SP4装置、SNAP100カラム、n−ヘキサン中20%〜30%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た(0.73g、収率:45%)。
【0223】
【数22】
【0224】
工程8:3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロピル硝酸エステル(化合物(8))の合成
0℃に冷却された、3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピル硝酸エステル(0.294g、0.929mmol)のアセトニトリル/水の1:1(10mL)溶液に、CAN(1.16g、2.05mmol、2当量)を加えた。3時間後、反応物をHO/EtOAcで希釈し、有機層を分離し、水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4装置、SNAP100カラム、n−ヘキサン中20%〜30%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物をオレンジ色の油状物として得た(0.198g、収率:74%)。
【0225】
【数23】
【0226】
例15
6−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ヘキシル硝酸エステル(化合物(16))の合成
【0227】
【化47】
【0228】
75℃に加熱された、2,3−ジメトキシ−5−メチル−p−ベンゾキノン(1.04g、5.72mmol)、7−(ニトロオキシ)ヘプタン酸(1.10g、5.72mmol)及びAgNO(0.97g、5.72mmol)のCHCN(50ml)溶液に、K(1.55g、5.72mmol)のHO(50ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、室温に冷却させ、HO(50ml)に排出した。生成物をEtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン中5%〜50%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、125mg(収率7%)の表題化合物を赤色油状物として得た。
【0229】
【数24】
【0230】
例16
4−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ブチル硝酸エステル(化合物(4))の合成
【0231】
【化48】
【0232】
75℃に加熱された、2,3−ジメトキシ−5−メチル−p−ベンゾキノン(0.54g、2.95mmol)、5−(ニトロオキシ)ペンタン酸(0.48g、2.95mmol)及びAgNO(0.50g、2.95mmol)のCHCN(15ml)溶液に、K(0.96g、3.54mmol)のHO(15ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、室温に冷却させ、HO(10ml)に排出した。生成物をEtOAc(2×10ml)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン中5%〜40%のEtOAcを15CVで送液)により精製し、90mgの赤色油状物を得た(収率:10%)。
【0233】
【数25】
【0234】
例17
11−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ウンデカン−1,2−ジイル 二硝酸エステル(化合物(17))の合成
【0235】
【化49】
【0236】
工程1:10−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)デカナールの合成
−78℃に冷却された、塩化オキサリル(1.0mL、11.82mmol、2当量)の乾燥ジクロロメタン(40mL)溶液に、5分間かけてDMSO(1.68mL、23.64mmol、4当量)を添加した。この温度で10分間攪拌した後、イデベノン(2.0g、5.91mmol)のCHCl(20mL)溶液を5分間かけて加えた。さらに5分の攪拌後、EtN(6.6mL、47.28mmol、8当量)を加え、反応物を1時間攪拌し、次いで室温に温まるまで放置した。水を加え、有機層を抽出し、0.1MのHCl水溶液、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、ヘキサン中の20%〜40%EtOAcを10CVで送液)で精製し、表題化合物を黄色固体として得た(1.68g、収率:84%)。
【0237】
【数26】
【0238】
工程2:2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−(10−ウンデセニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオンの合成
乾燥THF中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(860mg、2.4mmol、1.2当量)の攪拌溶液に、0℃でTHF中のリチオビス(トリメチルシリル)アミド(2.5mL、2.6mmol、1.3当量)の1M溶液を加えた。30分攪拌の後、10−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)デカナール(672mg、2.0mmol)を添加した。溶液は、緑色となった後、褐色になった。次いで、水を加えて反応を停止し、1MのHClでpH4に酸性化した。反応物をEtO(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水及び食塩水で洗浄し、乾燥(硫酸ナトリウム)し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、ヘキサン中15%〜40%のEtOAcを10CVで送液)によって精製し、表題化合物を黄色油状物として得た(132mg、収率:10%)。
【0239】
工程3:11−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ウンデカン−1,2−ジイル 二硝酸エステル(化合物(17))の合成
−15℃に冷却された、2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−(10−ウンデセニル)シクロヘキサ−2,5−ジエン−1,4−ジオン(130mg、0.39mmol)及び硝酸銀(660mg、0.39mmol、1当量)のアセトニトリル中の攪拌溶液に、ヨウ素(100mg、0.39mmol、1当量)を添加した。反応物をこの温度で30分間攪拌し、次いで硝酸銀(660mg、0.39mmol、1当量)を添加し、さらに反応物を40℃で8時間加熱した。反応物を冷却し、食塩水を加えた。30分攪拌の後、EtOAcを加え、沈殿物を濾別した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、ヘキサン中15%〜40%のEtOAcを10CVで送液)によって精製し、表題化合物を赤み油状物として得た(71mg、収率:40%)。
【0240】
【数27】
【0241】
例18
11−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ウンデカン−2−イル硝酸エステル(化合物(18))の合成
【0242】
【化50】
【0243】
工程1:2−(10−ヒドロキシデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチルベンゼン−1,4−ジオールの合成
工程2:2−(10−ヒドロキシデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチルの合成
2−(10−ヒドロキシデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチルベンゼン−1,4−ジオール(1g、2.94mmol)及びEtN(0.9mL、6.47mmol、2.2当量)の乾燥THF(40mL)中の攪拌溶液に、0℃でBocO(1.34g、6.17mmol、2.1当量)の乾燥THF(5mL)溶液を加えた。反応物を室温で一晩攪拌し、次いでHO/EtOAcで希釈した。有機層を分離し、0.1MのHCl、水、飽和NaHCO水溶液、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、ヘキサン中20%〜40%のEtOAcを10CVで送液)によって精製し、表題化合物を無色油状物として得た(1.26g、収率:79%)。
【0244】
工程3:2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−(10−オキソデシル)−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチルの合成
0℃に冷却された、2−(10−ヒドロキシデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチル(900mg、1.66mmol)の乾燥CHCl中の攪拌溶液に、PCC(0.54g、2.5mmol、1.5当量)を添加し、反応物をこの温度で6時間攪拌した。次いで、固体を濾別し、CHClで洗浄した。有機層を水、1MのHCl、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP50カラム、ヘキサン中15%〜30%のEtOAcを10CVで送液)によって精製し、表題化合物を無色油状物として得た(640mg、収率:71%)。
【0245】
工程4:2−(10−ヒドロキシウンデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチルの合成
−78℃に冷却された、tert−ブチル2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−(10−オキソデシル)−1,4−フェニレンジカーボネート(430mg、0.835mmol)の乾燥THF(10mL)中の攪拌溶液に、ヨウ化メチルマグネシウム(0.4mL、1.2mmol、1.2当量)のEtO中の3M溶液をゆっくり添加し、反応物をこの温度で1時間攪拌し、その後再び室温に戻るまで放置した。反応を水、次いで1MのHCl水溶液の添加により停止し、マグネシウム塩を溶解した。EtOAcを加え、有機層を抽出し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン中10%〜30%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た(364mg、収率:79%)。
【0246】
工程5:2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−(10−(ニトロオキシ)ウンデシル)−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチルの合成
−78℃に冷却された、2−(10−ヒドロキシウンデシル)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチル(310mg、0.561mmol)、硝酸テトラブチルアンモニウム(180mg、5.89mmol、1.05当量)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(126mg、0.617mmol、1.1当量)の乾燥CHCl中の攪拌溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.1mL、5.89mmol、1.1当量)を滴下し、反応物を−78℃で1時間攪拌し、その後室温に戻るまで放置した。次いで、反応を水で停止し、有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、ヘキサン中20%〜30%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を黄色がかった油状物として得た(126mg、収率:21%)。
【0247】
工程6:11−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−−1,4−ジエニル)ウンデカン−2−イル硝酸エステル(化合物(18))の合成
2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−(10−(ニトロオキシ)ウンデシル)−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチル(250mg、0.416mmol)のEtOAc(10mL)溶液をジオキサン中の4MのHCl溶液(0.41mL、1.66mmol、3当量)で処理し、一晩室温で攪拌した。反応物を乾燥するまで蒸発させ、次いでEtOで希釈し、AgO(192mg、0.832mmol、2当量)を添加し、反応物を2時間攪拌した。銀塩を濾過し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、ヘキサン中20%〜40%EtOAcを10CVで送液)により2回精製し、表題化合物を赤色油状物として得た(94mg、収率:52%)。
【0248】
【数28】
【0249】
例19
3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロパン−1,2−ジイル 二硝酸エステル(化合物(9))の合成
【0250】
【化51】
【0251】
工程1:2−アリル−5,6−ジメトキシ−3−メチル−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチルの合成
EtOH(20mL)中の2−アリル−5,6−ジメトキシ−3−メチルベンゾ−1,4−キノン(1.2g、5.4mmol)の攪拌溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.51g、13.5mmol、2.5当量)を少しずつ添加し、反応物を30分間攪拌した。反応物を0℃に冷却し、反応を水の添加により注意深く停止した。EtOAcを加え、有機層を分離し、水、食塩水で洗浄し、濾過し、蒸発させた。次いで、残渣を乾燥THF(20mL)及びEtN(2.26mL、16.2mmol、3当量)で希釈し、続いてBocO(3.5g、16.2mmol、3当量)のTHF溶液を添加した。反応物を室温で一晩攪拌し、次いで水、1MのHCl、水及び食塩水で洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、n−ヘキサン中10%〜20%のEtOAcを10CVで送液)より精製し、表題化合物を無色油状物として得た(1.27g、収率:55%)。
【0252】
工程2:2−(2,3−ビス(ニトロオキシ)プロピル)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチルの合成
−15℃に冷却された、2−アリル−5,6−ジメトキシ−3−メチル−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチル(500mg、1.18mmol)及び硝酸銀(200mg、1.18mmol、1当量)のアセトニトリル(15mL)の攪拌溶液に、ヨウ素(300mg、1.18mmol、1当量)を加え、反応物を30分間この温度で攪拌し、次いで30分間室温まで放置した。硝酸銀(200mg、1.18mmol、1当量)を添加し、反応物を室温で16時間攪拌した。食塩水を添加し、反応物を30分間攪拌した。形成された塩を濾別し、EtOAcで洗浄し、得られた溶液を水(30mL)とEtOAc(30mL)で希釈した。有機層を分離し、食塩水で洗浄し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、n−ヘキサン中10%〜30%のEtOAcを10CVで送液)によって精製し、表題化合物を赤色油状物として得た(361mg、収率:56%)。
【0253】
工程3:3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロパン−1,2−ジイル 二硝酸エステル(化合物(9))の合成
EtO中の2−(2,3−ビス(ニトロオキシ)プロピル)−5,6−ジメトキシ−3−メチル−1,4−フェニレン ジカルボン酸tert−ブチル(360mg、6.56mmol)を4MHClのジオキサン溶液(0.5mL)で一晩処理した。次いで、反応物を乾燥するまで濃縮し、直接フラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、n−ヘキサン中20%〜40%までのEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を赤色油状物として得た(31mg、収率:13%)
マススペクトル(EI)、m/z 348.25(M+H) (C121410は347.24を要求)。
【0254】
例20
3−(3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロポキシ)プロピル硝酸エステル(化合物(14))の合成
【0255】
【化52】
【0256】
工程1:1−[3−(アリルオキシ)プロピル]−2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルベンゼンの合成
乾燥THF中のアリルアルコール(0.10g、1.72mmol、1.2当量)の攪拌溶液に、水素化ナトリウム(0.046g、鉱油中の90%、1.4当量)を加え、10分後、3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピルメタンスルホネート(0.5g、1.43mmol)と触媒量の15−クラウン−5を添加した。反応物を70℃で一晩加熱し、その後、乾燥するまで蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4装置、SNAP100カラム、ヘキサン中15%〜30%のEtOAcを8CVで送液)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た(0.415g、収率:93%)。
【0257】
【数29】
【0258】
工程2:2−[3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロポキシ]プロパノールの合成
乾燥THF中の1−[3−(アリルオキシ)プロピル]−2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルベンゼン(0.415g、1.34mmol)の攪拌溶液に、0.5Mの9−BBNのTHF溶液(2.9mL、1.2当量)を0℃で加え、反応物を室温で18時間攪拌した。反応物を0℃に冷却し、同時にNaOH(2.2mL)の3M水溶液及び30%H(2.2mL)水溶液を添加した。30分後、有機層をEtO(30mL)及び水(50mL)で希釈し、有機層を分離した。水層をEtO(30mL)で2回抽出した。合わせた有機層を、HO、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、カラムSNAP100、ヘキサン中20%〜50%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を無色の油状物として得た(0.165g、収率:37%)。
【0259】
【数30】
【0260】
工程3:2−[3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロポキシ]エチル硝酸エステルの合成
−78℃に冷却された、2−[3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロポキシ]プロパノール(162mg、0.493mmol)、硝酸テトラブチルアンモニウム(158mg、0.518mmol、1.1当量)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(106mg、0.518mmol、1.1当量)の乾燥ジクロロメタン(5mL)溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(87μL、0.518mmol、1.1当量)をゆっくりと加えた。反応物を−78℃で30分間攪拌し、その後、室温に戻るまで放置した。次いで、反応を水で停止した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、カラムSNAP50、ヘキサン中20%〜40%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、無色油状物(0.05472g、収率29%)として表題化合物を、赤み油状物(0.036g、収率:21%)としての化合物14と一緒に得た。
【0261】
【数31】
【0262】
工程4:3−(3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロポキシ)プロピル硝酸エステル(化合物(14))の合成
水及びアセトニトリル中の1/1混合物(2mL)中の2−[3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロポキシ]エチル硝酸エステル(54mg、0.144mmol)の溶液に、0℃で硝酸セリウムアンモニウム(CAN、0.171g、0.303mmol、2.1当量)を加えた。次いで、反応物を3時間攪拌し、次いで水及びEtOAcで希釈した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、カラムSNAP25、n−ヘキサン/EtOAcの8/2〜7/3を8CVで送液)により精製し、表題化合物を赤色油状物として得た(37mg、収率:74%)。
【0263】
【数32】
【0264】
例21
2−(3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロポキシ)エチル硝酸エステル(化合物(20))の合成
【0265】
【化53】
【0266】
工程1:((2−(3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロポキシ)エトキシ)メタントリイル)トリベンゼンの合成
乾燥DMF中の3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロパン−1−オール(0.54g、2.0mmol)の攪拌溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中90%、0.057g、2.4mmol、1.2当量)及び触媒量の15−クラウン−5を0℃で加えた。反応物を15分間攪拌し、次いで、[(2−ヨードエトキシ)(ジフェニル)メチル]ベンゼン(0.83g、2.0mmol、1当量)を添加し、反応物を80℃で一晩加熱した。次いで水及びEtO(各々20mL)を室温で添加し、有機層を分離した。水層をEtOで1回抽出し、合わせた有機層を、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、カラムSNAP100、ヘキサン中10%〜30%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を油状物として得た(0.25g、収率:22%)。
【0267】
【数33】
【0268】
工程2:2−[3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロポキシ]エタノールの合成
((2−(3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロポキシ)エトキシ)メタントリイル)トリベンゼン(0.25g、0.449mmol)及びピリジニウムp−トルエンスルホン酸(56mg、0.224mmol、0.5当量)のCHCl/MeOHの1/1混合溶液を、一晩攪拌した。次いで、反応物を乾燥するまで蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、カラムSNAP50、ヘキサン中20%〜40%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を油状物として得た(0.121g、収率:86%)。
【0269】
【数34】
【0270】
工程3:2−(3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロポキシ)エチル硝酸エステルの合成
−78℃に冷却された、2−[3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロポキシ]エタノール(0.121g、0.385mmol)、硝酸テトラブチルアンモニウム(134mg、0.435mmol、1.1当量)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(106mg、0.518mmol、1.1当量)の乾燥ジクロロメタン(5mL)溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(87μL、0.518mmol、1.1当量)をゆっくりと加えた。反応物を−78℃で30分間攪拌し、その後、室温に戻るまで放置した。次いで、反応は水を用いて停止した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、カラムSNAP50、ヘキサン中20%〜40%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、無色油状物(0.072g、収率:37%)として表題化合物を、赤み油状物(0.036g、収率:21%)としての化合物14と一緒に得た。
【0271】
【数35】
【0272】
工程4:2−(3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロポキシ)エチル硝酸エステル(化合物(20))の合成
2−(3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロポキシ)エチル硝酸エステル(72mg、0.144mmol)の水及びアセトニトリルの1/1混合(2mL)溶液に、0℃で硝酸セリウムアンモニウム(CAN、237mg、0.42mmol、2.1当量)を加えた。次いで、反応物を3時間攪拌し、水及びEtOAcで希釈した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP25gカラム、n−ヘキサン/EtOAcの8/2〜7/3を8CVで送液)により精製し、表題化合物を赤色油状物として得た(52mg、収率:79%)。
【0273】
【数36】
【0274】
例22
6−(3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロピルチオ)ヘキシル硝酸エステル(化合物(21))の合成
【0275】
【化54】
【0276】
工程1:S−[3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピル]エタンチオエートの合成
3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピルメタンスルホネート(例7の工程1−6と同様に合成)(3.0g、8.6mmol)のDMF(30ml)溶液中に、チオ酢酸カリウム(2.0g;17.2mmol)とNaI(0.26g:1.7mmol)を添加した。混合物を室温で3時間攪拌し、次いでHO(30ml)及び酢酸エチル(30ml)を加えた。二相を分離し、有機層をEtOAc(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層を、HO(5×20ml)および食塩水(20ml)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下に濃縮して、2.8g(収率:100%)の表題化合物を透明油状物として得た。
【0277】
【数37】
【0278】
工程2:3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロパン−1−チオールの合成
S−[3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピル]エタンチオエート(0.10g;0.30mmol)のMeOH(2ml)溶液に、ナトリウムメトキシドの25質量%MeOH溶液を3滴加えた。溶液を室温で15分間攪拌し、次いでアンバーライト(登録商標)IR−120Hイオン交換樹脂でクエンチした。樹脂を濾過し、溶媒を蒸発させて、80mg(収率:92%)の表題化合物を得た。
【0279】
【数38】
【0280】
工程3:6−(3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピルチオ)ヘキサン−1−オールの合成
0℃に冷却された、3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロパン−1,2−チオール(0.59g、2.06mmol)及び6−ブロモ−1−ヘキサノール(0.32μl;2.47mmol)のDMF(10ml)溶液に、CsCO(0.80g、2.47mmol)を添加した。混合物を室温で2時間攪拌し、次いでHO(10ml)とEtOAc(10ml)を加えた。二相を分離し、水層をEtOAc(2×10ml)で抽出した。合わせた有機層を、HO(5×10ml)、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン中9%〜60%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、590mg(収率:74%)の表題化合物を透明油状物として得た。
【0281】
【数39】
【0282】
工程4:6−(3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピルチオ)ヘキシル硝酸エステルの合成
−78℃に冷却された、6−(3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピルチオ)ヘキサン−1−オール(0.59g、1.53mmol)、EtNNO(0.35g、1.83mmol)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(0.38g、1.83mmol)の乾燥CHCl(25ml)溶液に、N雰囲気下、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.30mL、1.83mmol)のCHCl(5ml)溶液を滴下した。混合物を−78℃で3時間攪拌し、次いで、NHCl飽和溶液(10ml)を加え、混合物を室温に到達させた。二相を分離し、水層をCHCl(20ml)で抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP25gカラム、ヘキサン/EtOAc94:6、10CV)によって精製し、108mg(収率:16%)の表題化合物を透明油状物として得た。
【0283】
【数40】
【0284】
工程5:6−(3−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)プロピルチオ)ヘキシル硝酸エステルの合成
6−(3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロピルチオ)ヘキシル硝酸エステル(0.18g、0.41mmol)のCHCN:HOの1:1(8ml)溶液に、硝酸アンモニウムセリウム(0.58g、1.02mmol)を添加した。混合物を室温で3時間攪拌し、次いでHO(5ml)とEtO(10ml)を加えた。二相を分離し、水層をEtO(10ml)で抽出した。合わせた有機層をHO(10ml)及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP25gカラム、ヘキサン中5%〜50%のEtOAcを10CVで送液)によって精製し、90mg(収率:55%)の表題化合物をオレンジ色油状物として得た。
【0285】
【数41】
【0286】
例23
10−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)デシル硝酸エステル(化合物(13))の合成
【0287】
【化55】
【0288】
工程1:11−(ニトロオキシ)ウンデカン酸の合成
11−ブロモウンデカン酸(1.50g、5.65mmol)のCHCN(20ml)溶液に、AgNO(1.15g、6.78mmol)を添加した。この溶液を120℃で22分間マイクロ波加熱した。塩を濾過し、溶媒を蒸発させた。EtOAcを添加し、塩を再度濾別し、溶媒を蒸発させ、1.3g(収率100%)の表題化合物を透明油状物として得た。
【0289】
【数42】
【0290】
工程2:10−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)デシル硝酸エステルの合成
75℃に加熱された、2−メチル−1,4−ナフトキノン(0.97g、5.65mmol)、11−(ニトロオキシ)ウンデカン酸(1.3g、5.65mmol)及びAgNO(0.96mg、5.65mmol)のCHCN(50ml)溶液に、K(1.83g、6.77mmol)のHO(50ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で5時間攪拌し、次いで、室温まで冷却して、HO(50ml)に排出した。生成物をEtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP100gカラム、ヘキサン:EtOAc=95:5、10CV)によって精製し、419mg(収率:20%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
マススペクトル(EI)、m/z 374.18(M+H) (C2127NOは373.45を要求)。
【0291】
例24
4−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)ブチル硝酸エステル(化合物(22))の合成
【0292】
【化56】
【0293】
75℃に加熱された、2−メチル−1,4−ナフトキノン(0.63g、3.68mmol)、5−(ニトロオキシ)ペンタン酸(例4の工程2及び3と同様に合成)(0.60g、3.68mmol)及びAgNO(0.62g、3.68mmol)のCHCN(20ml)溶液に、K(1.20g、4.41mmol)のHO(20ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温まで冷却して、HO(20ml)に排出した。生成物をEtOAc(2×15ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン:EtOAc=97:3、24CV)によって精製し、260mg(収率:24%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0294】
【数43】
【0295】
例25
6−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)ヘキシル硝酸エステル(化合物(23))の合成
【0296】
【化57】
【0297】
75℃に加熱された、2−メチル−1,4−ナフトキノン(0.98g、5.72mmol)、7−(ニトロオキシ)ヘプタン酸(例3の工程2及び3と同様に合成)(1.1g、5.72mmol)及びAgNO(0.97g、5.72mmol)のCHCN(25mL)溶液に、K(1.55g、5.72mmol)のHO(25ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで、室温まで冷却して、HO(25ml)に排出した。生成物をEtOAc(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP100gのカラム、ヘキサン:EtOAc=97:3、15CV)によって精製し、990mg(収率:54%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0298】
【数44】
【0299】
例26
3−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)プロピル硝酸エステル(化合物(24))の合成
【0300】
【化58】
【0301】
工程1:化合物Aの合成
【0302】
【化59】
【0303】
酢酸中のメナジオン(6.89g、40mmol)の攪拌溶液に、新たに蒸留したシクロペンタジエン(5mL、60mmol、1.5当量)を加え、反応物を2日間攪拌した。次いで、反応物を水/氷に排出し、EtOAc(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層を、NaHCO飽和水溶液、水及び食塩水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させ、表題化合物を淡黄色固体として得た(7.76g、収率:78%)。
【0304】
【数45】
【0305】
工程2:化合物Bの合成
【0306】
【化60】
【0307】
0℃に冷却された、乾燥THF(100mL)中の粗A(工程1)(5.4g)の攪拌溶液に、カリウムtert−ブトキシド(4.0g、32.9mmol、1.5当量)を少しずつ加えた。反応物が暗赤味となり、さらにこの温度で30分間攪拌した後、臭化アリル(2.9mL、35.1mmol、1.6当量)の乾燥THF(30mL)溶液を徐々に添加した。水(30mL)を添加する前に、反応物を2時間攪拌した。水層をpH2に酸性化し、溶液をEtO(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製装置、SNAP340カラム、ヘキサン中20%〜40%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を淡黄色油状物として得た(4.22g、収率:67%)。
【0308】
【数46】
【0309】
工程3:2−アリル−3−メチルナフトキノンの合成
B(工程2)(0.67g、2.4mmol)のトルエン溶液を、120℃で5時間加熱した。溶媒を減圧下に蒸発させ、残渣をヘキサン/EtOから結晶化して、表題化合物を淡黄色固体として得た(480mg、収率:94%)。
【0310】
【数47】
【0311】
工程4:2−アリル−1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレンの合成
2−アリル−3−メチルナフトキノン(8.0g、37.7mmol)及び塩化テトラブチルアンモニウム(0.5g)のTHF/水(1/1、各々500mL)の攪拌溶液にゆっくりと亜ジチオン酸ナトリウム(65.6g、377mmol、10当量)を添加した。次いで、反応物をこの温度で30分間攪拌し、次いで0℃に冷却し、ソーダ(22.6g、565mmol、15当量)を少しずつ添加した。10分後、ヨウ化メチル(46mL、754mmol、20当量)を添加し、反応物を40℃で一晩加熱した。次いで、反応物を水(200mL)で希釈し、EtO(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、2×SNAP340gカラム、n−ヘキサン:EtOAc=95/5〜85/15、10CV)により精製し、表題化合物を淡黄色の固体として得た(7.5g、収率:82%)。
【0312】
【数48】
【0313】
工程5:3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロパン−1−オールの合成
0℃に冷却された、2−アリル−1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン(7.5g、30.95mmol)の乾燥THF(300mL)溶液に、THF中の9−BBNの0.5M溶液(124mL、62mmol、2当量)を滴下し、反応物を室温で一晩攪拌した。反応物を0℃に冷却し、同時に3MのNaOH水溶液(81mL)及び30%H水溶液(81mL)を添加した。60分の攪拌後、有機層をEtO(300mL)及び水(500mL)で希釈し、有機層を分離した。水層をEtO(300mL)で2回抽出した。合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、カラムSNAP340、ヘキサン中20%〜50%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た(5.62g、収率:70%)。
【0314】
【数49】
【0315】
工程6:3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロピルメタンスルホネートの合成
0℃に冷却された、3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロパン−1−オール(5.6g、21.51mmol)、EtN(3.6mL、25.8mmol、1.2当量)及びDMAP(0.2g)の乾燥CHCl(70mL)溶液に、塩化メシル(5.04g、23.6mmol、1.1当量)のCHCl(20mL)溶液を滴下した。反応物を室温で6時間攪拌し、次いで水(100mL)で希釈した。有機層を分離し、水、0.1MのHCl、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、カラムSNAP340、ヘキサン中20%〜50%のEtOAcを10CVで送液)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た(5.62g、収率:70%)。
【0316】
【数50】
【0317】
工程7:3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロピル硝酸エステルの合成
3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロピルメタンスルホネート(650mg、1.92mmol)、硝酸テトラブチルアンモニウム(117mg、0.38mmol、0.2当量)及び硝酸ナトリウム(151mg、2.3mmol、1.2当量)の酢酸ブチル及びアセトニトリルの1/1混合(10mL)溶液を90℃で一晩加熱した。次いで、反応物を冷却し、水で希釈した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100gのカラム、n−ヘキサン/EtOAc=80/20〜40/60、10CV)によって精製し、表題化合物を透明油状物として得た(500mg、収率:89%)。
【0318】
【数51】
【0319】
工程8:3−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)プロピル硝酸エステル(化合物24)の合成
3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロピル硝酸エステル(500mg、1.63mmol)の水とアセトニトリルの1/1混合(10mL)溶液に、硝酸セリウムアンモニウム(CAN、1.94g、3.43mmol、2.1当量)を0℃にて添加した。次いで、反応物を3時間攪拌し、水及びEtOAcで希釈した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100gカラム、nHex/EtOAc=8/2〜7/3、8CV)によって精製し、表題化合物を赤色油状物として得た(231mg、収率:89%)。
【0320】
【数52】
【0321】
例27
3−(3−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)プロポキシ)プロピル硝酸エステル(化合物(25))の合成
【0322】
【化61】
【0323】
工程1:2−[3−(アリルオキシ)プロピル]−1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレンの合成
0℃に冷却された、3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロパン−1−オール(例21、工程5)(900mg、3.46mmol)のDMF溶液に、少しずつ水素化ナトリウム(鉱油中90%、110mg、4.15mmol、1.2当量)を加えた。15分後、臭化アリル(0.36mL、4.15mmol、1.2当量)及び15−クラウン−5(0.1mL)を添加し、反応物を90℃で一晩加熱した。反応を水で停止し、EtOAcを加えた。有機層を分離し、水、次いで食塩水で洗浄した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100gカラム、nHex/EtOAc=85/15〜7/3、8CV)によって精製し、表題化合物を無色油状物として得た(750mg、収率:72%)。
【0324】
【数53】
【0325】
工程2:3−[3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロポキシ]プロパン−1−オールの合成
2−[3−(アリルオキシ)プロピル]−1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン(1.5g、4.99mmol)の乾燥THF(40mL)溶液に、9−BBN(26mL、13mmol、2.2当量)の0.5M溶液を滴下し、反応物を室温で一晩攪拌し、次いで、0℃に冷却した。水酸化ナトリウムの3M水溶液(8.2mL、25mmol、5当量)及びHの30%水溶液(8.2mL、5当量)を加えた。次いで、反応物を30分間攪拌し、水及びEtOで希釈した。有機層を分離し、水層をEtO(10mL)で3回抽出した。合わせた有機層を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100gカラム、nHex/EtOAc=7/3〜5/5、8CV)により精製し、表題化合物を白色固体として得た(510mg、収率:32%)。
【0326】
【数54】
【0327】
工程3:3−[3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロポキシ]プロピル硝酸エステルの合成
−78℃に冷却された、3−[3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロポキシ]プロパン−1−オール(0.51g、1.60mmol)、BuNNO(0.586g、1.92mmol、1.2当量)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(0.362g、1.76mmol)の乾燥CHCl(20ml)溶液に、N雰囲気下、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.29ml、1.76mmol)のCHCl(5ml)溶液を滴下した。混合物を−78℃で1時間攪拌し、その後、NHCl飽和溶液(10ml)を加え、混合物を室温に到達させた。二相を分離し、水相をCHCl(20ml)で抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、ヘキサン/EtOAc=80/20〜60/40、10CV)によって精製し、表題化合物を透明油状物として得た(354mg、収率:60%)。
【0328】
【数55】
【0329】
工程4:3−(3−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)プロポキシ)プロピル硝酸エステル(化合物(25))の合成
0℃に冷却された水及びアセトニトリルの1:1混合物(10mL)中の、3−[3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロポキシ]プロピル硝酸エステル(354mg、0.971mmol)の攪拌溶液に、硝酸セリウムアンモニウム(1.15g、2.04mmol、2.1当量)を加えた。反応物を0℃で3時間攪拌し、次いで水及びEtOAcで希釈した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、ヘキサン/EtOAc=80/20〜60/40、10CV)によって精製し、表題化合物を黄色油状物として得た(275mg、収率:85%)。
【0330】
【数56】
【0331】
例28
3−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)プロパン−1,2−ジイル 二硝酸エステル(化合物(27))の合成
【0332】
【化62】
【0333】
工程1:3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロパン−1,2−ジオールの合成
2−アリル−1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン(2.42g、10mmol)の攪拌溶液に、ADmix(7gのADmix α及び7gのADmix β)の水とtBuOHの1/1の混合(各50mL)溶液を添加した。反応物を16時間室温で攪拌し、反応物を水/EtOAc(各20mL)で希釈した。亜ジチオン酸ナトリウム(3.6g)をゆっくりと添加し、30分間攪拌した後に、有機層を抽出し、水、食塩水で洗浄し、濾過し、蒸発させた。残渣をEtO中で一晩結晶化させ、表題化合物を白色固体として得た(2.03g、73%)。
【0334】
【数57】
【0335】
工程2:3−(3−メチル−1,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロナフタレン−2−イル)プロパン−1,2−ジイル 二硝酸エステル(化合物(27))の合成
−78℃に冷却された、3−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−2−ナフチル)プロパン−1,2−ジオール(0.59g、1.53mmol)、BuNNO(0.73g、1.83mmol、2.4当量)及び2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(0.38g、1.83mmol)の乾燥CHCl(25ml)溶液に、N雰囲気下、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.30ml、1.83mmol)のCHCl(5ml)溶液を滴下した。混合物を−78℃で3時間攪拌し、次いで、NHCl飽和溶液(10ml)を加え、混合物を室温に到達させた。二相を分離し、水相をCHCl(20ml)で抽出した。合わせた有機相を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下に濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、Hex/EtOAc=80/20〜60/40、10CV)によって精製し、表題化合物を赤色油状物として得た(51mg、収率:15%)。
マス量スペクトル(EI)、m/z 360.18(M−Na)(C1412は337.25を要求)。
【0336】
例29
6−(5−メトキシ−2,4−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ヘキシル硝酸エステル(化合物(28))の合成
【0337】
【化63】
【0338】
工程1:3,5−ジメチル−2−メトキシ−p−ベンゾキノンの合成
【0339】
【化64】
【0340】
表題化合物を、文献(Bioorganic&Medical Chemistry 18(2010)6429-6441)に記載されているように合成した。すなわち、無水酢酸とジエチル三フッ化ホウ酸14により40℃で処理された2,6−ジメチル−p−ベンゾキノンから出発して、1,2,4−トリアセトキシ−3,5−ジメチルベンゼンを92%の収率で得た。1,2,4−トリアセトキシ−3,5−ジメチルベンゼンを、次いで23℃で、メタノール中の水酸化ナトリウム及び硫酸ジメチルで処理し、82%の収率で3,5−ジメチル−1,2,4−トリメトキシベンゼンを得た。最後に、3,5−ジメチル−1,2,4−トリメトキシベンゼンを、ヨウ化フェニルジアセテート(PIDA)を用いて酸化し、65%の収率で3,5−ジメチル−2−メトキシ−p−ベンゾキノンを得た。
【0341】
工程2:6−(5−メトキシ−2,4−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ヘキシル硝酸エステル(化合物(28))の合成
75℃に加熱された、3,5−ジメチル−2−メトキシ−p−ベンゾキノン(0.52g、3.12mmol)、7−(ニトロオキシ)ヘプタン酸(例3の工程2,3と同様に合成)(0.6g、3.12mmol)及びAgNO(0.53g、3.12mmol)のCHCN(55ml)溶液に、K(1.00g、3.74mmol)のHO(55ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温まで冷却して、HO(55ml)中に排出した。生成物をEtOAc(2×35mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン:EtOAc=95:5、10CV)によって精製し、150mg(収率:15%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0342】
【数58】
【0343】
例30
6−(4−メトキシ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ヘキシル硝酸エステル(化合物(29))の合成
【0344】
【化65】
【0345】
工程1:3,6−ジメチル−2−メトキシ−p−ベンゾキノンの合成
【0346】
【化66】
【0347】
表題化合物を、文献(Bioorganic&Medical Chemistry 18(2010)6429-6441)に記載されているように合成した。すなわち、無水酢酸とジエチル三フッ化ホウ酸により40℃で処理された2,5−ジメチル−p−ベンゾキノンから出発して、1,2,4−トリアセトキシ−3,6−ジメチルベンゼンを92%の収率で得た。1,2,4−トリアセトキシ−3,6−ジメチルベンゼンを、次いで23℃で、メタノール中の水酸化ナトリウム及び硫酸ジメチルで処理し、82%の収率で3,6−ジメチル−1,2,4−トリメトキシベンゼンを得た。最後に、3,6−ジメチル−1,2,4−トリメトキシベンゼンを、ヨウ化フェニルジアセテート(PIDA)を用いて酸化し、65%の収率で3,6−ジメチル−2−メトキシ−p−ベンゾキノンを得た。
【0348】
工程2:6−(4−メトキシ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)ヘキシル硝酸エステルの合成
75℃に加熱された、3,6−ジメチル−2−メトキシ−p−ベンゾキノン(0.52g、3.12mmol)の溶液に、7−(ニトロオキシ)ヘプタン酸(例3の工程2,3と同様に合成)(0.6g、3.12mmol)及びAgNO(0.53g、3.12mmol)のCHCN(55ml)溶液に、K(1.00g、3.74mmol)のHO(55ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温まで冷却して、HO(55ml)中に排出した。生成物をEtOAc(2×35mL)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン:EtOAc=95:5、10CV)によって精製し、140mg(収率:14%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0349】
【数59】
【0350】
例31
10−(4−メトキシ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−−ジエニル)デシル硝酸エステル(化合物(30))の合成
【0351】
【化67】
【0352】
75℃に加熱された、3,6−ジメチル−2−メトキシ−p−ベンゾキノン(0.52g、3.12mmol)、11−(ニトロオキシ)ウンデカン酸(例18の工程1と同様に合成した)(0.48g、2.89mmol)、及びAgNO(0.49g、2.89mmol)のCHCN(15ml)溶液に、K(0.94g、3.47mmol)のHO(15ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温まで冷却して、HO(15ml)中に排出した。生成物をEtOAc(2×20ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン:EtOAc=97:3、10CV)によって精製し、350mg(収率:33%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0353】
【数60】
【0354】
例32
10−(5−メトキシ−2,4−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−−ジエニル)デシル硝酸エステル(化合物(31))の合成
【0355】
【化68】
【0356】
75℃に加熱された、3,5−ジメチル−2−メトキシ−p−ベンゾキノン(0.67g、4.03mmol)、11−(ニトロオキシ)ウンデカン酸(例18の工程1と同様に合成した)(1.00g、4.03mmol)、及びAgNO(0.68g、4.03mmol)のCHCN(25ml)溶液に、K(1.31g、4.83mmol)のHO(25ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温まで冷却して、HO(25ml)中に排出した。生成物をEtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン:EtOAc=97:3、10CV)によって精製し、460mg(収率:31%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0357】
【数61】
【0358】
例33
8−(4−メトキシ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)オクチル硝酸エステル(化合物(32))の合成
【0359】
【化69】
【0360】
工程1:9−ブロモノナン酸の合成
0℃に冷却された9−ブロモ−1−ノナノール(1.50g、6.72mmol)のアセトン(27ml)溶液に、NaHCO飽和溶液(9ml)、NaBr(0.14g、1.34mmol)及び2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシフリーラジカル(TEMPO)(0.10g、0.67mmol)を添加した。次いで、トリクロロイソシアヌル酸(3.1g、13.44mmol)を少しずつ加えた。混合物を0℃で30分間及び室温で3時間攪拌し、次いで、0℃まで冷却して、2−プロパノール(8ml)をゆっくりと加えた。混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで白色沈殿物を濾別し、混合物を減圧下で濃縮した。HO(10ml)及びCHCl(10ml)を残渣に添加した。二相を分離し、水層をCHCl(2×10ml)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濃縮して、1.60g(収率:100%)の表題化合物を白色固体として得た。
【0361】
【数62】
【0362】
工程2:9−(ニトロオキシ)ノナン酸の合成
9−ブロモノナン酸(1.60g、6.72mmol)のCHCN(30ml)溶液に、AgNO(1.53g、8.96mmol)を添加した。この溶液を120℃で22分間、マイクロ波加熱した。塩を濾別し、溶媒を蒸発させた。EtOAcを添加し、塩を再度濾別し、溶媒を蒸発させ、1.45g(収率:98%)の表題化合物を透明油状物として得た。
【0363】
【数63】
【0364】
工程3:8−(4−メトキシ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキソ−シクロヘキサ−1,4−ジエニル)オクチル硝酸エステルの合成
75℃に加熱された、3,6−ジメチル−2−メトキシ−p−ベンゾキノン(0.54g、3.26mmol)、9−(ニトロオキシ)ノナン酸(0.72g、3.26mmol)及びAgNO(0.55g、3.26mmol)のCHCN(20ml)溶液に、K(1.06g、3.91mmol)のHO(20ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温まで冷却して、HO(20ml)中に排出した。生成物をEtOAc(2×25ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン:EtOAc=97:3、15CV)によって精製し、300mg(収率:25%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0365】
【数64】
【0366】
例34
8−(5−メトキシ−2,4−ジメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)オクチル硝酸エステル(化合物(19))の合成
【0367】
【化70】
【0368】
75℃に加熱された、3,5−ジメチル−2−メトキシ−p−ベンゾキノン(0.54g、3.26mmol)、9−(ニトロオキシ)ノナン酸(0.72g、3.26mmol)(例35の工程2,3と同様に合成された)及びAgNO(0.55g、3.26mmol)のCHCN(20ml)溶液に、K(1.06g、3.91mmol)のHO(20ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温まで冷却して、HO(20ml)中に排出した。生成物をEtOAc(2×25ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン:EtOAc=97:3、15CV)によって精製し、80mg(収率:7%)の表題化合物を黄色油状物として得た。
【0369】
【数65】
【0370】
例35
10−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)デシル硝酸エステル(化合物(5))の合成
【0371】
【化71】
【0372】
75℃に加熱された、2,3,5−トリメチル−p−ベンゾキノン(0.95g、6.33mmol)、11−(ニトロオキシ)ウンデカン酸(例18、工程1と同様に合成した)(1.39g、5.65mmol)及びAgNO(0.96g、5.65mmol)のCHCN(50ml)溶液に、K(1.83g、6.77mmol)のHO(50ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温まで冷却して、HO(20ml)中に排出した。生成物をEtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン:EtOAc=97:3、15CV)によって精製し、600mg(収率:27%)の表題化合物をオレンジ色油状物として得た。
マススペクトル(EI)、m/z 352.19(M+H) (C1929NOは351.44を要求)。
【0373】
例36
8−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)オクチル硝酸エステル(化合物(33))の合成
【0374】
【化72】
【0375】
75℃に加熱された、2,3−ジメトキシ−5−メチル−p−ベンゾキノン(0.774g、4.01mmol)、9−(ニトロオキシ)ノナン酸(0.90g、4.01mmol)(例28の工程2,3と同様に合成された)及びAgNO(0.68g、4.01mmol)のCHCN(25ml)溶液に、K(1.30g、4.81mmol)のHO(25ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温まで冷却して、HO(50ml)中に排出した。生成物をEtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン:EtOAc=9:1、15CV)によって精製し、80mg(収率:6%)の表題化合物を赤色油状物として得た。
【0376】
【数66】
【0377】
例37
8−(2,4,5−トリメチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエニル)オクチル硝酸エステル(化合物(34))の合成
【0378】
【化73】
【0379】
75℃に加熱された、2,3,5−トリメチル−p−ベンゾキノン(0.49g、3.27mmol)、9−(ニトロオキシ)ノナン酸(0.72g、3.27mmol)(例28の工程2,3と同様に合成された)及びAgNO(0.55g、3.27mmol)のCHCN(20ml)溶液に、K(1.06g、3.92mmol)のHO(20ml)溶液を滴下した。反応混合物を75℃で3時間攪拌し、次いで室温まで冷却して、HO(50ml)中に排出した。生成物をEtOAc(2×30ml)で抽出した。合わせた有機層をNaHCO飽和溶液及び食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP1装置、SNAP50gカラム、ヘキサン:EtOAc=97:3、10CV)によって精製し、195mg(収率:17%)の表題化合物をオレンジ色油状物として得た。
【0380】
【数67】
【0381】
例38
2−[2−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエン−1−イル)エチル]−4−(ニトロオキシ)テトラヒドロフラン−3−イル硝酸エステル(化合物(35))の合成
【0382】
【化74】
【0383】
工程1:3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロパナールの合成
0℃に冷却された、1−(3−ヒドロキシプロピル)−2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルベンゼン(4.0g、14.8mmol)のCHCl(100mL)攪拌溶液に、クロロクロム酸ピリジニウム(4.8g、22.2mmol、1.5当量)を加え、反応物を室温で6時間攪拌した。反応物をセライトの層で濾過し、蒸発乾固した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAPカラム340、nHex/15%〜30%のEtOAc、10CV)によって精製し、表題化合物を無色油状物として得た(3.28g、収率:83%)。
【0384】
【数68】
【0385】
工程2:5−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)−1−ペンテン−3−オールの合成
−78℃に冷却された、3−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)プロパナール(1.00g、3.72mmol)の乾燥THF(20mL)溶液に、THF中の臭化ビニルマグネシウムの1M溶液(5mL、5mmol、1.3当量)を加えた。反応物を−78℃で1時間攪拌し、次いで水の添加により停止した。EtOAcを加え、有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、nHex/EtOAcの80/20〜55/45、10CV)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た(0.76g、収率:69%)。
【0386】
【数69】
【0387】
工程3:2−[3−(アリルオキシ)−4−ペンテニル]−3,4,5,6−テトラメトキシ−1−メチルベンゼンの合成
−10℃に冷却された、5−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)−1−ペンテン−3−オール(0.76g、2.57mmol)の乾燥THF(10mL)攪拌溶液に、NaHMDSの40%THF溶液(0.565g、3.08mmol、1.2当量)を滴下した。反応物を5分間攪拌し、次いで15−クラウン−5(51μl、0.26mmol、0.1当量)及び臭化アリル(0.26g、3.08mmol、1.2当量)を添加した。反応物を室温で一晩攪拌し、水とEtOAcを添加した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、nHex/15%〜35%のEtOAc、10CV)によって精製し、表題化合物を無色油状物として得た(0.65g、収率:75%)。
【0388】
【数70】
【0389】
工程4:2−[2−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)エチル]−2,5−ジヒドロフランの合成
2−[3−(アリルオキシ)−4−ペンテニル]−3,4,5,6−テトラメトキシ−1−メチルベンゼン(0.65g、1.93mmol)の乾燥CHCl(6mL)の脱気溶液に、グラブス(Grubbs)触媒の第1世代(0.153g、0.19mmol、0.05当量)を加え、反応物を2時間還流した。反応物を室温に冷却し、蒸発乾固した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、nHex/10%〜25%のEtOAc、8CV)によって精製し、表題化合物を無色油状物として得た(0.52g、収率:87%)。
【0390】
【数71】
【0391】
工程5:2−[2−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)エチル]テトラヒドロフラン−3,4−ジオールの合成
【0392】
【化75】
【0393】
ADmixβ(5.44g、1.4g/mmol)の水/tBuOH(各20mL)の1:1混合溶液に、2−[2−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)エチル]−2,5−ジヒドロフラン(1.2g、3.9mmol)を添加し、次いでメタンスルホンアミド(74mg、0.2当量)を加えた。反応物を室温で一晩攪拌し、次に水/EtOAcで希釈した。反応液に亜ジチオン酸ナトリウム(1.2g)を添加し、攪拌を30分間続けた。有機層を分離し、水層をEtOAc(20mL)で抽出した。合わせた有機層を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、nHex/40%〜90%のEtOAc、12CV)によって精製し、表題化合物を無色油状物として得た(1.16g、収率:87%)。2つのジアステレオ異性体は分離しなかった。
【0394】
【数72】
【0395】
工程6:2−[2−(4,5−ジメトキシ−2−メチル−3,6−ジオキソシクロヘキサ−1,4−ジエン−l−イル)エチル]−4−(ニトロオキシ)テトラヒドロフラン−3−イル硝酸エステルの合成
【0396】
【化76】
【0397】
−78℃に冷却された、2−[2−(2,3,4,5−テトラメトキシ−6−メチルフェニル)エチル]テトラヒドロフラン−3,4−ジオールのラセミ体(1.15g、3.36mmol)、BuNNO(2.35g、7.7mmol、2.2当量)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(1.51g、7.35mmol、2.05当量)の乾燥CHCl(40mL)中の攪拌溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.21mL、7.2mmol、2.0当量)の乾燥CHCl(5mL)溶液を滴下した。反応物を−78℃で1時間攪拌し、30分間室温に戻るまで放置した。反応をNHCl飽和溶液(5mL)の添加により停止し、有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、EtOAc/nHex=25/75〜60/40、12CV)により精製し、表題化合物を赤色油状物として得た(153mg、収率:11%)。唯一のジアステレオ異性体1が単離された。
【0398】
【数73】
【0399】
例39
2−[2−(1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン−2−イル)−エチル]−3,4−ビス−ニトロオキシ−テトラヒドロ−フラン(化合物(36)及び(37))の合成
【0400】
【化77】
【0401】
工程1:3−(1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン−2−イル)−プロピオンアルデヒドの合成
0℃に冷却された、3−(1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン−2−イル)−プロパン−1−オール(4.3g、16.5mmol)の乾燥DCM攪拌溶液に、クロロクロム酸ピリジニウム(5.34g、24.8mmol、1.5当量)を加えた。反応物を室温で5時間攪拌し、次いでセライトの層で濾過した。ろ液を減圧下に蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAPカラム340、nHex/EtOAcの85/15〜70/30を8CVで送液)によって精製し、表題化合物を無色油状物として得た(1.76g、収率:41%)。
【0402】
【数74】
【0403】
工程2:5−(1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン−2−イル)−1−ペンテン−3−オールの合成
−78℃に冷却された、3−(1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン−2−イル)−プロピオンアルデヒド(1.76g、6.82mmol)の乾燥THF(40mL)溶液に、1Mの臭化ビニルマグネシウムのTHF溶液(18mL、18mmol、2.6当量)を加えた。反応物を−78℃で1時間攪拌し、次いで水の添加により停止した。EtOAcを加え、有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、nHex/EtOAcの80/20〜55/45を10CVで送液)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た(1.65g、収率:85%)。
【0404】
【数75】
【0405】
工程3:2−(3−アリルオキシ−4−ペンテニル)−1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレンの合成
−10℃に冷却された、5−(1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン−2−イル)−1−ペンテン−3−オール(1.65g、5.76mmol)の乾燥THF(40mL)の攪拌溶液に、ナトリウムビストリメチルシリルアミドの40%THF溶液(3.81mL、8.17mmol、1.4当量)を加えた。10分間の攪拌後、15crown−5(0.127g、0.58mmol、0.1当量)及び臭化アリル(0.99g、8.17mmol、1.2当量)を加え、反応物を室温で一晩攪拌した。次いで、反応物を水で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、nHex/EtOAcの80/20〜65/35を10CVで送液)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た(0.89g、収率:40%)。
【0406】
【数76】
【0407】
工程4:2−[2−(1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン−2−イル)−エチル]−2,5−ジヒドロフランの合成
2−(3−アリルオキシ−4−ペンテニル)−1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン(0.889g、2.73mmol)及びグラブス触媒の第1世代(99mg、0.121mmol、0.05当量)の溶液を2時間加熱還流した後、室温まで冷却し、蒸発乾固させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、nHex/EtOAcの85/15〜65/35を10CVで送液)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た(0.749g、収率:92%)。
【0408】
【数77】
【0409】
工程5:2−[2−(1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン−2−イル)−エチル]−テトラヒドロフラン−3,4−ジオールの合成
ADmixβ(3.5g、1.4g/基質mmol)の水及びtBuOH(各々7.5mL)の1:1混合溶液に、2−[2−(1,4−ジメトキシ−3−メチル−ナフタレン−2−イル)−エチル]−2,5−ジヒドロフラン(0.749g、2.5mmol)及びメタンスルホンアミド(14mg、0.15mmol、0.2当量)を加えた。反応物を室温で一晩攪拌し、次いで水及びEtOAcで希釈した。反応をメタ重亜硫酸ナトリウム(2.3g)で注意深く停止し、さらに30分間攪拌した。有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、nHex/EtOAcの60/40〜10/90を10CVで送液)により精製し、表題化合物を無色油状物として得た(0.68g、収率:82%)。
【0410】
【数78】
【0411】
工程6:2−[2−(1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン−2−イル)−エチル]−3,4−ビス−ニトロオキシ−テトラヒドロ−フランの合成
−78℃に冷却された、2−[2−(1,4−ジメトキシ−3−メチルナフタレン−2−イル)−エチル]−テトラヒドロ−フラン−3,4−ジオールのラセミ体(200mg、0.602mmol)、BuNNO(404mg、1.32mmol、2.2当量)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(271mg、1.32mmol、2.2当量)の乾燥CHCl(10mL)中の攪拌溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(205μL、1.25mmol、2.1当量)の乾燥CHCl(3mL)溶液を滴下した。反応物を−78℃で1時間攪拌し、その後、室温に戻るまで30分間放置した。反応をNHCl飽和溶液(5mL)の添加により停止し、有機層を分離し、水及び食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(バイオテージ社製SP4、SNAP100カラム、EtOAc/nHexの25/75〜60/40を12CVで送液)により精製し、以下の異性体を得た。
【0412】
F1:化合物36、赤色油状物(34mg、収率:14%)
【0413】
【数79】
【0414】
第二ジアステレオ異性体F2:化合物37、淡黄色の固体(30、収率:13%)
【0415】
【数80】
【0416】
例40
ウサギの高張生理食塩水誘発型眼内圧(IOP)増加におけるIOP低下活性
IOPが上昇したこの動物モデルを、本発明のいくつかの化合物、チモロール、ドルゾラミド、及び5−イソソルビドモノニトレートの眼内圧(IOP)低下活性を評価するために用いた。
試験化合物:
− 化合物(6)、(20)、及び(25)
− 緑内障及び高眼圧症の治療用に一般的に用いられる薬物である、チモロール及びドルゾラミド。
− 一般的に用いられる一酸化窒素供与体薬物である一硝酸イソソルビド(5−ISMN)。
チモロール、ドルゾラミド、及び5−ISMNを参照化合物として試験した。ニュージーランド白ウサギのオス成獣、体重1.8〜2.0Kgを本実験で用いた。
【0417】
高張生理食塩水注射(基準)前と、その後30、60、120、及び240分において、Tono−Pen XLを用いてIOPを測定した。高張生理食塩水注射直後に、媒体(pH6.0のPBS中5%cremophor−EL;0.3%DMSO;0.2mg/ml BAK)及び媒体に溶解したすべての試験化合物を点眼薬として滴下注入した。眼を異なる治療群に無作為に割り振った。媒体及び試験化合物を結膜ポケットに所望の用量で直接滴下注入した。各一連の圧力測定直前に、0.4%塩酸オキシブプロカイン(Novesine、Sandoz)、1滴を各眼に滴下注入した。
【0418】
結果を表6に報告し、試験済化合物の眼圧低下活性を、媒体及び基準のIOPに対する局所投与後60分及び120分におけるIOP変化として示す。
【0419】
表1に示す通り、本発明の化合物のIOP−低下効果は、チモロールの効果に匹敵し、またドルゾラミドの効果より高い。さらに、滴下注入後2時間では、本発明の化合物による治療群のIOP−低下効果は、チモロール、ドルゾラミド、及び5−ISMNによる治療群におけるより高く、本発明の化合物の、参照化合物に対して長時間のIOP−低下効果を示している。
【0420】
実験結果から、強力な眼圧低下効果及び長期にわたる作用が、本発明の化合物を用いることにより得られることが明らかにされた。
【0421】
【表6】
【0422】
例41
正常眼圧のニュージーランドウサギにおける眼内圧(IOP)低下活性
試験化合物:
− 化合物(6)
− 緑内障及び高眼圧症の治療用に一般的に用いられる薬物であるチモロール
− 一般的に用いられる一酸化窒素供与体薬物であるイソソルビドモノニトレート(5−ISMN)
チモロール、ドルゾラミド、及び5−ISMNを参照化合物として試験した。ニュージーランド白ウサギのオス成獣、体重1.8〜2.0Kgを本実験で用いた。
【0423】
局所使用(基準)前と、その後の異なる時点(30、60、120、240、及び300分)において、空気眼圧計30 CLASSIC(商標)を用いてIOPを測定した。媒体(pH6.0のPBS中5%cremophor−EL;0.3%DMSO;0.2mg/ml BAK)又は媒体に溶解した試験化合物を点眼薬として結膜ポケットに滴下注入した。眼を異なる治療群に無作為に割り振った。各一連の圧力測定直前に、0.4%塩酸オキシブプロカイン(Novesine、Sandoz)、1滴を各眼に滴下注入した。
【0424】
試験結果を表7に報告し、眼圧低下活性を、媒体及び基準のIOPに対する局所投与後30、60、120、及び300分におけるIOP変化として示す。
【0425】
実験結果は、本発明の化合物が滴下注入後5時間、その眼圧低下活性を維持したこと、また本発明の化合物による治療群のIOP低下効果は、チモロール及び5−ISMNによる治療群におけるより高いことを示し、本発明の化合物の、参照化合物に対して長期にわたるIOP低下効果を実証した。
【0426】
実験結果より、長期にわたるIOP低下効果が、本発明の化合物を用いることにより得られることが明らかにされた。
【0427】
【表7】