(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載のサーボコントローラでは、直前に取得した入力信号に基づいて、出力信号が演算され、その出力信号が、1周期より短い時間保持された後、若しくは、保持されることなく、駆動回路に送信される。これにより、位置情報等が出力されてから、その位置情報に応じた制御指令が駆動回路に到達するまでの時間(以下、「遅延時間」と記載する場合がある)が短くなり、レスポンスよく、サーボモータを作動させることが可能となる。しかしながら、上記手法でサーボモータの作動を制御する際には、短い時間で制御値等を演算する必要がある。このため、演算能力の高いサーボコントローラを採用する必要があり、コスト的に不利である。
【0005】
また、製造作業機の作動装置には、例えば、作業ヘッド等のように、複数台の製造作業機で共有可能な作動装置があり、それら複数の製造作業機のコントローラの制御周期が異なる場合には、その共有される作動装置が、予期せぬタイミングで動作する場合がある。詳しくは、制御周期がX周期のサーボコントローラを有する第1製造作業機と、制御周期がY(>X)周期のサーボコントローラを有する第2製造作業機との各々に、作業ヘッドが着脱可能である場合には、第1製造作業機での遅延時間は、第2製造作業機での遅延時間より短くなる。このため、第1製造作業機に装着された作業ヘッドは、第2製造作業機に装着される場合と比較して、レスポンスよく作動する。つまり、第1製造作業機に装着された作業ヘッドが、第2製造作業機に装着される場合と比較して、速いタイミングで作動し始める。これにより、作業ヘッドが、他の装置等と衝突,干渉等する虞があり、望ましくない。
【0006】
このように、サーボコントローラには、改良の余地が多分に残されており、種々の改良を施すことで、サーボコントローラの実用性は向上すると考えられる。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高いサーボコントローラの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載のサーボコントローラは、製造作業機の作動装置に対応する駆動回路からの入力信号、若しくは、前記駆動回路への出力信号を所定の周期毎に送受信することが可能なサーボコントローラであって、前記製造作業機が、駆動回路からの入力信号、若しくは、前記駆動回路への出力信号を前記所定の周期より長い第2の周期毎に送受信することが可能な第
2サーボコントローラをも有し、当該サーボコントローラが、前記所定の周期以内に受信した入力信号ではなく、前記所定の周期より前であり前記第2の周期以内に受信した入力信号に基づいて出力信号を演算し、その出力信号を、前記所定の周期以上の時間保管した後に、前記駆動回路が前記第2サーボコントローラからの出力信号を受信するタイミングと同じとなるように前記駆動回路に送信することを特徴とする。
【0008】
【0009】
また、請求項2に記載のサーボコントローラは、請求項1に記載のサーボコントローラにおいて、前記製造作業機の前記作動装置と異なる第2作動装置に対応する第2駆動回路からの入力信号、若しくは、前記第2駆動回路への出力信号を前記所定の周期毎に送受信することが可能であり、前記所定の周期以内に受信した入力信号に基づいて出力信号を演算し、その出力信号を、前記所定の周期より短い時間保管した後、若しくは、保管することなく、前記第2駆動回路に送信することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載のサーボコントローラでは、請求項2に記載のサーボコントローラにおいて、前記作動装置が、作業ヘッドであり、前記第2作動装置が、前記作業ヘッドを任意の位置に移動させるための移動装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のサーボコントローラでは、直前に受信した入力信号ではなく、1周期より前に受信した入力信号に基づいて出力信号が演算される。そして、従来の手法では、出力信号が、1周期より短い時間保管された後、若しくは、保持されることなく、駆動回路に送信されるが、請求項1に記載のサーボコントローラでは、出力信号が、1周期以上の時間保管された後に、駆動回路に送信される。これにより、従来の手法より長い時間をかけて制御値を演算することが可能となり、演算能力の低いサーボコントローラを採用することが可能となる。
【0012】
また、請求項1に記載のサーボコントローラでは、第1製造作業機での遅延時間と、第2製造作業機での遅延時間とが同じにされている。これにより、第1製造作業機に装着された作動装置の作動タイミングと、第2製造作業機に装着された作動装置の作動タイミングとを同じにすることが可能となり、作動装置の他の装置等への衝突,干渉等を防止することが可能となる。
【0013】
また、請求項2に記載のサーボコントローラでは、第2作動装置が、従来の手法に従って制御されている。つまり、サーボコントローラは、作動装置を、本発明の手法に従って制御し、第2作動装置を、従来の手法に従って制御している。これにより、例えば、遅延時間の短縮により、他の装置と衝突,干渉等を生じる虞のある作動装置を、本発明の手法に従って制御し、遅延時間の短縮により、他の装置と衝突,干渉等を生じる虞のない作動装置を、従来の手法に従って制御することが可能となる。つまり、他の装置と衝突,干渉等を生じる虞のある作動装置に対しては、衝突等を防止し、他の装置と衝突,干渉等を生じる虞のない作動装置に対しては、レスポンスよく作動させることが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載のサーボコントローラでは、作動装置が、作業ヘッドとされ、第2作動装置が、作業ヘッドを任意の位置に移動させるための移動装置とされている。作業ヘッドには、作業具等を上下方向に移動させる機構を有しているものがあり、作業ヘッドの作動により、作業具等が他の装置等に衝突,干渉等する虞がある。一方、移動装置には、作業ヘッドを同一平面上で移動させるものがあり、このような移動装置では、衝突,干渉等が生じる可能性は低い。このため、
請求項3に記載のサーボコントローラによれば、作業ヘッドと他の装置等との衝突,干渉等を防止するとともに、移動装置をレスポンスよく作動させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0017】
<電子部品装着装置の構成>
図1に、電子部品装着装置10を示す。電子部品装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に並んで配設された2つの装着機16とを有している。なお、以下の説明では、装着機16の並ぶ方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称し、その方向に直角な鉛直方向をZ軸方向と称する。
【0018】
各装着機16は、主に、装着機本体20、搬送装置22、装着ヘッド移動装置(以下、「移動装置」と略す場合がある)24、装着ヘッド26、供給装置28を備えている。装着機本体20は、フレーム部30と、そのフレーム部30に上架されたビーム部32とによって構成されている。
【0019】
搬送装置22は、2つのコンベア装置40,42を備えている。それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム部30に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(
図3参照)46によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する。また、回路基板は、所定の位置において、基板保持装置(
図3参照)48によって固定的に保持される。
【0020】
移動装置24は、XYロボット型の移動装置である。移動装置24は、スライダ50をX軸方向にスライドさせる電磁モータ(
図3参照)52と、Y軸方向にスライドさせる電磁モータ(
図3参照)54とを備えている。スライダ50には、装着ヘッド26が取り付けられており、その装着ヘッド26は、2つの電磁モータ52,54の作動によって、フレーム部30上の任意の位置に移動する。
【0021】
装着ヘッド26は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド26は、
図2に示すように、複数の棒状の装着ユニット60を備えており、複数の装着ユニット60の各々の先端部には、吸着ノズル62が装着されている。吸着ノズル62は、負圧エア,正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(
図3参照)66に通じている。吸着ノズル62は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、複数の棒状の装着ユニット60は、ユニット保持体68の外周部に、等角度ピッチで、軸方向が垂直となる状態に保持されており、吸着ノズル62は、ユニット保持体68の下面から下方に向かって延び出している。
【0022】
また、ユニット保持体68は、保持体回転装置70の電磁モータ(
図3参照)72によって、装着ユニット60の配設角度毎に間欠回転する。これにより、複数の装着ユニット60の停止位置のうちの1つの停止位置である昇降ステーション(最も前方に位置するステーション)に、装着ユニット60が順次停止する。そして、その昇降ステーションに位置する装着ユニット60は、ユニット昇降装置74の電磁モータ(
図3参照)76によって昇降する。これにより、吸着ノズル62に吸着保持された電子部品の上下方向の位置が変更される。また、昇降ステーションとは別の停止位置が、自転ステーションとされており、そのステーションに位置する装着ユニット60が、自転装置78の電磁モータ(
図3参照)80によって自転する。これにより、吸着ノズル62によって吸着保持された電子部品の保持姿勢が変更される。なお、装着ヘッド26は、スライダ50に着脱可能とされており、装着機16と異なる装着機のスライダに装着することが可能とされている。つまり、装着ヘッド26は、装着機16と他の装着機とで、共有することが可能となっている。
【0023】
供給装置28は、フィーダ型の供給装置であり、フレーム部30の前方側の端部に配設されている。供給装置28は、テープフィーダ86を有している。テープフィーダ86は、テープ化部品を巻回させた状態で収容している。テープ化部品は、電子部品がテーピング化されたものである。そして、テープフィーダ86は、送出装置(
図3参照)88によって、テープ化部品を送り出す。これにより、フィーダ型の供給装置28は、テープ化部品の送り出しによって、電子部品を供給位置において供給する。なお、テープフィーダ86は、フレーム部30に着脱可能であり、電子部品の交換等に対応することが可能である。
【0024】
装着機16は、さらに、
図3に示すように、制御装置100を備えている。制御装置100は、コントローラ102を有しており、コントローラ102は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものである。コントローラ102は、複数の駆動回路106に接続されており、それら複数の駆動回路106は、上記電磁モータ46,52,54,72,76,80、基板保持装置48、正負圧供給装置66、送出装置88に接続されている。これにより、搬送装置22、移動装置24等の作動が、コントローラ102によって制御される。
【0025】
<装着機による装着作業>
装着機16では、上述した構成によって、搬送装置22に保持された回路基板に対して、装着ヘッド26によって装着作業を行うことが可能とされている。具体的には、コントローラ102の指令により、回路基板が作業位置まで搬送され、その位置において、基板保持装置48によって固定的に保持される。また、テープフィーダ86は、コントローラ102の指令により、テープ化部品を送り出し、電子部品を供給位置において供給する。そして、装着ヘッド26が、コントローラ102の指令により、電子部品の供給位置の上方に移動し、吸着ノズル62によって電子部品を吸着保持する。続いて、装着ヘッド26は、コントローラ102の指令により、回路基板の上方に移動する。そして、装着ヘッド26は、ユニット昇降装置74,自転装置78等の作動により、保持している電子部品の上下方向の位置,電子部品の保持姿勢等を調整し、回路基板上の所定の位置に装着する。
【0026】
<制御遅延の改善>
装着機16では、上述したように、電子部品の装着作業時において、移動装置24による装着ヘッド26のX軸方向およびY軸方向での位置制御,装着ヘッド26による吸着ノズル62のZ軸方向の位置制御が行われる。この位置制御では、フィードバック制御が用いられており、エンコーダ等から各軸方向の位置に関する情報を取得し、その位置情報に基づいて、電磁モータ等の制御値が演算される。そして、その制御値に応じた制御指令が、駆動回路に送信されることで、対象となる電磁モータが作動し、装着ヘッド26,吸着ノズル62等の位置制御が行われる。
【0027】
フィードバック制御による位置制御によれば、目標とする位置に、装着ヘッド26,吸着ノズル62等を適切に移動させることが可能となり、装着作業を適切に行うことが可能となる。ただし、フィードバック制御では、エンコーダ等から位置情報が出力されてから、その位置情報に応じた制御指令が駆動回路に到達するまでの時間(以下、「遅延時間」と記載する場合がある)が、存在するため、制御遅延が生じ、制御が不安定になる虞がある。このため、装着機16では、従来のコントローラより制御周期の短いコントローラ102が採用されており、制御遅延の改善が図られている。
【0028】
詳しくは、従来のコントローラの制御周期は、A周期であり、
図4に示すように、従来のコントローラは、A周期毎に、駆動回路からの入力信号、若しくは、駆動回路への出力信号を送受信することが可能である。このコントローラでは、例えば、位置情報に関する情報が、駆動回路から時刻t1に出力された場合には、その情報は、伝送路を介して、コントローラに時刻t2に入力される。位置情報を入力信号として受信したコントローラは、その位置情報に基づいて、電磁モータの制御値を演算する。つまり、コントローラは、1周期以内に取得した入力信号に基づいて、制御値を演算する。そして、コントローラは、演算された制御値を、A周期より短い時間保管した後、若しくは、保管することなく、その制御値に応じた制御指令を、時刻t3に送信する。その出力信号として送信された制御指令は、伝送路を介して、駆動回路に時刻t4に入力される。制御指令が入力されると、駆動回路は、制御指令に基づいて、電磁モータの作動を制御する。これにより、装着ヘッド26等が目標位置に移動する。この際の、遅延時間は、時刻t1から時刻t4迄の時間(t4−t1=B)となる。
【0029】
一方、装着機16のコントローラ102の制御周期は、A/2周期であり、従来のコントローラの制御周期の半分である。このため、コントローラ102は、
図5に示すように、A/2周期毎に、駆動回路からの入力信号、若しくは、駆動回路への出力信号を送受信することが可能である。このコントローラ102では、例えば、位置情報に関する情報が、駆動回路から時刻t5に出力された場合には、その情報は、伝送路を介して、コントローラ102に時刻t6に入力される。位置情報を入力信号として受信したコントローラ102は、その位置情報に基づいて、電磁モータの制御値を演算する。そして、コントローラは、演算された制御値を、A/2周期より短い時間保管した後、若しくは、保管することなく、その制御値に応じた制御指令を、時刻t7に送信する。その制御指令は、伝送路を介して、駆動回路に時刻t8に入力される。制御指令が入力されると、駆動回路は、制御指令に基づいて、電磁モータの作動を制御する。これにより、装着ヘッド26等が目標位置に移動する。この際の、遅延時間は、時刻t8から時刻t5迄の時間(t8−t5=B/2)となり、従来のコントローラの遅延時間の半分となる。このように、制御周期の短いコントローラ102を採用することで、遅延時間を短くすることが可能となり、制御遅延の改善を図ることが可能となる。
【0030】
<制御遅延の改善による弊害の是正>
しかしながら、制御遅延の改善、つまり、遅延時間の短縮により、種々の弊害が発生する虞がある。例えば、回路基板上に電子部品が装着される際に、電子部品を保持した装着ヘッド26は、装着予定位置の真上に移動した後に、吸着ノズル62を下降させるのではなく、装着予定位置の真上に移動する前から、吸着ノズル62を下降させている。具体的には、
図6に示すように、電子部品110が装着された回路基板112上の装着予定位置114に、電子部品(図示省略)が装着される際に、装着ヘッド26は、まず、移動装置24によって、装着予定位置114に向かって移動する。この際、装着ヘッド26に保持された電子部品は、実線の矢印116に示すように、回路基板112に装着された電子部品110の上端より高い位置を移動する。
【0031】
そして、装着ヘッド26に保持された電子部品が、A地点に達したときに、吸着ノズル62が下降するように、ユニット昇降装置74の電磁モータ76の作動が制御される。この際、装着ヘッド26は、移動装置24によって、装着予定位置114に向かって移動し続ける。これにより、装着ヘッド26に保持された電子部品は、実線の矢印116に示すように、回路基板112に装着された電子部品110を回避しつつ、緩やかなカーブの軌跡に沿って、装着予定位置114に向かって下降する。これにより、僅かであるが、装着時間を短縮することが可能となる。
【0032】
ただし、上記説明で用いた矢印116は、装着ヘッド26の作動が、従来のコントローラによって制御された場合の電子部品の軌跡である。詳しくは、装着ヘッド26は、上述したように、スライダ50に着脱可能となっており、装着機16と他の装着機とで、共有することが可能となっている。このため、従来のコントローラを備えた装着機のスライダに、装着ヘッド26が装着されている場合には、装着ヘッド26に保持された電子部品は、上述したように、矢印116に沿って移動する。
【0033】
一方、装着機16のスライダ50に装着ヘッド26が装着されている場合には、装着ヘッド26の作動は、コントローラ102によって制御される。コントローラ102では、上述したように、遅延時間が短縮されており、制御遅延が改善されている。このため、コントローラ102によって装着ヘッド26の作動を制御する際に、従来のコントローラと同じタイミングで装着ヘッド26の作動を制御すると、遅延時間が短いため、装着ヘッド26が、レスポンスよく作動する。すると、装着ヘッド26に保持された電子部品は、点線の矢印118に示すように、下降し、回路基板112に装着された電子部品110に衝突する虞がある。
【0034】
このような衝突を回避するためには、装着ヘッド26に保持された電子部品が、B地点に達したときに、点線の矢印120に沿って下降するように、ユニット昇降装置74の電磁モータ76の作動を制御する必要がある。ただし、装着ヘッド26のユニット昇降装置74の制御タイミング等を変更するためには、制御プログラム,パラメータ等を調整する必要があり、非常に手間がかかる。
【0035】
このようなことに鑑みて、装着機16では、装着ヘッド26の作動を制御する際に、遅延時間が、従来のコントローラでの遅延時間と同じとなるように、装着ヘッド26の作動が制御される。詳しくは、
図7に示すように、位置情報に関する情報が、駆動回路から時刻t9に出力された場合に、その情報は、伝送路を介して、コントローラ102に時刻t10に入力される。位置情報を入力信号として受信したコントローラ102は、その位置情報に基づいて、装着ヘッド26の電磁モータ76等の制御値を演算する。
【0036】
演算が完了すると、コントローラ102は、演算された制御値を、A/2周期以上の時間保管した後、その制御値に応じた制御指令を、時刻t11に送信する。その制御指令は、伝送路を介して、駆動回路に時刻t12に入力される。制御指令が入力されると、駆動回路は、制御指令に基づいて、電磁モータ76等の作動を制御する。この際の、遅延時間は、時刻t12から時刻t9迄の時間(t12−t9=B)となり、従来のコントローラの遅延時間と同じとなる。つまり、装着ヘッド26の作動が制御される際に、コントローラ102は、1周期以内に取得した入力信号ではなく、1周期より前に取得した入力信号に応じて制御値を演算し、その制御値を、1周期以上保管することで、遅延時間を調整している。これにより、コントローラ102での遅延時間と、従来のコントローラでの遅延時間とを同じにすることが可能となり、制御プログラム,パラメータ等を変更することなく、装着ヘッド26に保持された電子部品を矢印116に沿って移動させることが可能となる。このように、コントローラ102は、遅延時間の調整を図ることで、制御遅延の改善による弊害を是正している。
【0037】
また、装着ヘッド26を制御するコントローラ102では、上述したように、演算された制御値が、1周期以上保管されているが、従来のコントローラ等では、演算された制御値が、1周期より短い時間保管されているか、保管されることなく、送信される。つまり、装着ヘッド26を制御するコントローラ102では、演算に用いる時間を、従来のコントローラ等と比較して、長くすることが可能となる。このため、コントローラ102の演算能力を抑えることが可能となり、コスト的に有利である。
【0038】
なお、装着ヘッド26が作動する際、つまり、ユニット昇降装置74等による吸着ノズル62がZ軸方向に移動する際に、制御遅延の改善に依拠して、電子部品の衝突等が生じる虞があるが、移動装置24が作動する際、つまり、装着ヘッド26が、X軸方向およびY軸方向に移動する際には、制御遅延の改善に依拠して、電子部品の衝突等が生じる虞はない。このため、移動装置24の作動が制御される際には、従来の手法に従って、コントローラ102は、移動装置24の作動を制御する。つまり、コントローラ102は、1周期以内に取得した入力信号に応じて制御値を演算し、演算された制御値を、A/2周期より短い時間保管した後、若しくは、保管することなく、その制御値に応じた制御指令を、駆動回路に送信する。これにより、遅延時間を短くすることが可能となり、移動装置24は、レスポンスよく作動する。
【0039】
ちなみに、上記実施例において、装着機16は、製造作業機の一例である。移動装置24は、第2作動装置および移動装置の一例である。装着ヘッド26は、作動装置および作業ヘッドの一例である。コントローラ102は、サーボコントローラの一例である。移動装置24に対応する駆動回路106は、第2駆動回路の一例である。装着ヘッド26に対応する駆動回路106は、駆動回路の一例である。A/2周期は、所定の周期の一例である。A周期は、第2の周期の一例である。従来のコントローラは、第2サーボコントローラの一例である。
【0040】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、本発明の技術が、装着作業を実行するための装着機16に適用されているが、回路基板に対する種々の作業を実行するための装置に、本発明の技術を適用することが可能である。詳しくは、例えば、回路基板上にクリーム半田等を塗布するための装置、回路基板上に粘着剤等を吐出するための装置、回路基板に対して各種の処理を施すための装置等に、本発明の技術を適用することが可能である。また、回路基板に対する作業を行う装置に限られず、製造作業に用いられる種々の作業機に、本発明の技術を適用することが可能である。