(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405333
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置
(51)【国際特許分類】
A01M 1/02 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
A01M1/02 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-82841(P2016-82841)
(22)【出願日】2016年4月18日
(65)【公開番号】特開2017-192306(P2017-192306A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2016年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】592236603
【氏名又は名称】伊藤 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 光夫
【審査官】
中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−044577(JP,U)
【文献】
実公昭10−005812(JP,Y1)
【文献】
特開2015−216877(JP,A)
【文献】
特開昭61−135524(JP,A)
【文献】
実開昭61−105484(JP,U)
【文献】
特開平11−171222(JP,A)
【文献】
特開2012−232792(JP,A)
【文献】
実開昭58−192581(JP,U)
【文献】
特開2006−306490(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3032007(JP,U)
【文献】
特開2012−039992(JP,A)
【文献】
特開2014−103933(JP,A)
【文献】
特表2001−523476(JP,A)
【文献】
硬度について 日立市企業局,日本,2010年 3月15日,URL,http://www.city.hitachi.lg.jp/kigyo/012/001/p003033.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00−99/00
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封外蓋と、誘引捕獲中蓋と、捕獲収納容器と、誘引捕獲液と、で構成される蚊の誘引捕獲装置であって、
前記密封外蓋は、上面外周縁から鉛直下方に延伸する側壁の内面に前記誘引捕獲中蓋の上端縁部に嵌着または螺着可能な装着手段を設けて成り、
前記誘引捕獲中蓋は、上端縁部に前記密封外蓋が嵌着または螺着可能な装着手段を設けると共に、中央部には開口部が下方に向かって徐々に縮径し、さらに下方に垂直に延出する誘引筒部を形成するロート状の誘引捕獲開口部を形成すると共に、外筒部の内面に前記捕獲収納容器の上端縁部に嵌着または螺着可能な装着手段を設けて成り、
前記捕獲収納容器は、上方が開口する透明若しくは半透明なガラスまたは合成樹脂材で形成される筒状容器の上端縁部に前記誘引捕獲中蓋が嵌着または螺着可能な装着手段を設けて成り、
前記誘引捕獲液は、酵母と砂糖と軟水とを所定の調合比率割合で混合し、前記捕獲収納容器内に収容されて成ることを特徴とする蚊の誘引捕獲装置。
【請求項2】
前記捕獲収納容器の下面に、前記誘引捕獲液を排出する排出口を設けると共に、該排出口の出口には開閉操作を可能にする開閉栓を設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置。
【請求項3】
前記密封外蓋の上面に、前記誘引捕獲開口部に連通するスライド式または嵌め込み式の誘引開口部を設けて成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置。
【請求項4】
前記捕獲収納容器の下端縁部に、前記密封外蓋が嵌着または螺着可能な装着手段を設けて成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置。
【請求項5】
前記誘引捕獲液における酵母と砂糖と軟水の調合比率割合が、重量比で1:0.8〜1.2:150〜250の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか記載の蚊の誘引捕獲装置。
【請求項6】
前記酵母が、イースト菌であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか記載の蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫の駆除ならびに生きたままの生体捕獲が可能な蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から行われている蚊の一般的な駆除ならび退治方法としては、殺虫剤の散布による薬物散布処理や、蚊の成虫の産卵場所となる水たまりを除去することなどによって行われてきた。しかしながら、蚊の発生を根本的に一掃する方法は、駆除装置の設置に手間取るばかりではなく駆除効率が非効率であり、特に薬剤散布による駆除方法は、自然環境と人体に悪影響を及ぼすことを避ける傾向にあることから、近年においては粘着紙、網、酵母、光、暖気、炭酸ガス、オクテノール、水蒸気、乳酸などを利用して蚊を安全且つ効率的な方法によって捕獲する手段が採られている。
【0003】
その具体的な捕獲手段の提案としては、例えば、回収された蚊を外部へ廃棄可能な「蚊の誘引捕獲装置」(特許文献1)が提案され、公知技術となっている。
具体的には、ケースと、このケースに収納される蚊を誘引する誘引部と、この誘引部によって誘引した前記蚊を前記ケース内に吸引する吸引部と、前記ケースに臨み前記吸引部によって吸引された前記蚊を回収可能な回収部と、により構成される蚊の誘引捕獲装置であって、前記回収部は、前記ケースに対して、スライド可能に取り付けられている提案である。
【0004】
しかしながら、かかる「蚊の誘引捕獲装置」の提案は、構造的に複雑で、設置ならびに回収に手間取ると共に、ウィルスの感染経路の特定や蚊のDNA鑑定を行うことによって早期の退治策を講じるべく生きたままの生体捕獲手段が採れないといった問題があった。
【0005】
また、蚊用餌を発生させると共に、ヒトの表面温度および匂いに似たものを発生させるための装置および方法を提供する「蚊を誘引するための微生物媒介方法及びその装置」(特許文献2)が提案され、公知技術となっている。
具体的には、屋内外で使用可能な蚊捕捉用携帯用蚊制御システムであり、複数のチャンネルを含み、該チャンネルが蚊を導入、捕捉させるため内側に開口するようにした上部仕切り室と;底部仕切り室と;該上部仕切り室と底部仕切り室とを接続するための蝶ネジ式容器であって、少なくとも上部蝶ネジと、下部蝶ネジと、該上部蝶ネジと、下部蝶ネジとの間に設けられたグリッドとを具備してなるものと;第1のボトルを保持する第1の固定具であって、該第1のボトルが少なくとも第1の蚊用餌を収容し、該第1の蚊用餌が少なくとも酵母発酵物を含むものと;第2のボトルを保持する第2の固定具であって、該第2のボトルが少なくとも第2の蚊用餌を収容し、該第2の蚊用餌が少なくとも微生物培養物を含むものと;該微生物培養物および酵母発酵物のため熱を発生させるための制御可能な加熱手段と;該第1の蚊用餌および第2の蚊用餌の解放を助けるための餌解放ユニットであってスプレーノズルと、ポンプとを有するものと;を具備してなるシステムである。
【0006】
しかしながら、かかる「蚊を誘引するための微生物媒介方法及びその装置」の提案は、特許文献1と同様に構造的に複雑で、設置ならびに回収に手間取ると共に、ウィルスの感染経路の特定や蚊のDNA鑑定を行うことによって早期の退治策を講じるべく生きたままの生体捕獲手段が採れないといった問題があった。
【0007】
さらに、哺乳動物の血液を餌とする虫を捕獲するためのデバイスおよび方法に関する「虫捕獲器」(特許文献3)が提案され、公知技術となっている。
具体的には、哺乳動物の血液を餌にする虫に対する、該虫に対する化学的誘引物を備えた捕獲デバイスにおいて、該デバイス中に、加熱暗色パネルからなる物理的誘引物を、該パネルに誘引された蚊を効果的に捕獲する捕獲装置を伴って備えることを包含する方法に改良を加えた提案である。
【0008】
しかしながら、かかる「虫捕獲器」の提案は、その構造として、暗色パネルを加熱することによって物理的誘引剤を発生させる手段をとっているため、電気的供給手段を備える構造であることから、重量的かつ構造的に複雑であると共に、稼働時間に制限が求められるといった問題があった。
【0009】
本出願人は、以上のような従来から提案されている蚊の捕獲装置の解決することができなかった捕獲誘引剤の成分構成と、捕獲装置の複雑構造に着目し、簡易的且つ廉価な手段によって害虫を効率よく駆除すると同時に生きたままの生体捕獲ができないものかという着想の下、害虫の駆除ならびに生きたままの生体捕獲が同時にできる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置を開発し、本発明における「蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2015−181430号公報
【特許文献2】特開2003−164246号公報
【特許文献3】特表2001−523476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点を鑑み、害虫の駆除ならびに生きたままの生体捕獲が同時にできる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、密封外蓋と、誘引捕獲中蓋と、捕獲収納容器と、誘引捕獲液と、で構成される蚊の誘引捕獲装置であって、密封外蓋は、上面外周縁から鉛直下方に延伸する側壁の内面に誘引捕獲中蓋の上端縁部に嵌着または螺着可能な装着手段を設けて成り、誘引捕獲中蓋は、上端縁部に密封外蓋が嵌着または螺着可能な装着手段を設けると共に、中央部には開口部が下方に向かって徐々に縮径し、さらに下方に垂直に延出する誘引筒部を形成するロート状の誘引捕獲開口部を形成すると共に、外筒部の内面に捕獲収納容器の上端縁部に嵌着または螺着可能な装着手段を設けて成り、捕獲収納容器は、上方が開口する透明若しくは半透明なガラスまたは合成樹脂材で形成される筒状容器の上端縁部に誘引捕獲中蓋が嵌着または螺着可能な装着手段を設けて成り、誘引捕獲液は、酵母と砂糖と
軟水とを所定の調合比率割合で混合し、捕獲収納容器内に収容されて成る構成となっている。
【0013】
また、本発明は、前記捕獲収納容器の下面に、前記誘引捕獲液を排出する排出口を設けると共に、該排出口の出口には開閉操作を可能にする開閉栓を設けた構成を採用し得る。
【0014】
さらに、本発明は、前記密封外蓋の上面に、前記誘引捕獲開口部に連通するスライド式または嵌め込み式の誘引開口部を設けた構成とすることもできる。
【0015】
またさらに、本発明は、前記捕獲収納容器の下端縁部に、前記密封外蓋が嵌着または螺着可能な装着手段を設けた構成とすることもできる。
【0016】
さらにまた、本発明は、前記誘引捕獲液における酵母と砂糖と
軟水の調合比率割合が、重量比で1:0.8〜1.2:150〜250の範囲内である構成を採用し得る。
【0017】
そしてまた、本発明は、前記酵母が、イースト菌である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置によれば、害虫の駆除ならびに生きたままの生体捕獲が同時にできると共に、誘引捕獲液が自然環境と人体に悪影響がない酵母を使用して安全性と捕獲効率の両方が確保できる、といった優れた効果を奏する。
【0019】
また、本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置によれば、誘引捕獲液が、比較的安価で手に入り易いイースト菌と砂糖と水を使用していることから、安全性と経済性と利便性が同時に確保できる、といった優れた効果を奏する。
【0020】
さらに、本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置によれば、生きたままの生体捕獲ができることによって、テング熱やジカ熱、マラリアなどにおけるウィルスの感染経路の特定や、害虫のDNA鑑定が早期に確認できる、といった優れた効果を奏する。
【0021】
またさらに、本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置によれば、装置自体が簡易構造であることから、安価に製造できると共に、持ち運びが容易であることから、害虫の大量発生場所に複数設置することによって害虫の発生率を極めて早期に抑制できる、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置の第一の実施形態を示す説明図である。(実施例1)
【
図2】本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置の使用状態を示す断面説明図である。
【
図3】本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置の第二の実施形態を示す説明図である。(実施例2)
【
図4】本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置の使用状態を示す断面説明図である。
【
図5】本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置の第三の実施形態を示す説明図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10は、密封外蓋20と、誘引捕獲中蓋30と、捕獲収納容器40と、誘引捕獲液50と、で構成され、蚊Kを主とする害虫の駆除ならびに生きたままの生体捕獲が同時にできることを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0024】
尚、本発明の蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で、適宜変更することができる。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10の第一の実施形態を示す説明図であり、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
本実施形態にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10は、密封外蓋20と、誘引捕獲中蓋30と、捕獲収納容器40と、誘引捕獲液50と、で構成されている。
【0026】
前記密封外蓋20は、上面外周縁から鉛直下方に延伸する側壁の内面に、誘引捕獲中蓋30の上端縁部に嵌着または螺着可能な装着手段21を設けて形成されている。
【0027】
前記誘引捕獲中蓋30は、上端縁部に前記密封外蓋20が嵌着または螺着可能な装着手段31を設けると共に、中央部には開口部32aが下方に向かって徐々に縮径し、さらに下方に垂直に延出する誘引筒部32bを形成するロート状の誘引捕獲開口部32が形成されると共に、外筒部の内面に捕獲収納容器40の上端縁部に嵌着または螺着可能な装着手段31が設けられている。
【0028】
前記捕獲収納容器40は、上方が開口した筒状容器であって、透明若しくは半透明なガラスまたは合成樹脂材で形成され、筒状容器の上端縁部には、前記誘引捕獲中蓋30を嵌着または螺着可能な装着手段41が設けられている。尚、透明若しくは半透明なガラスまたは合成樹脂材で形成する理由は、容器内に日光を通すことによって、後述する誘引捕獲液50の醗酵を促す効果があることによる。
【0029】
前記捕獲収納容器40について、その下端縁部に、図示されているように、前記密封外蓋20が嵌着または螺着可能な装着手段41を設けて形成する態様が考え得る。かかる態様を採ることで、使用に際し取り外した前記密封外蓋20を装着手段21,41を介して捕獲収納容器40の下端縁部に嵌着または螺着しておくことで、別の場所に保管する必要がなく紛失の心配がなくなる。
【0030】
誘引捕獲液50は、酵母と砂糖と水とを所定の調合比率割合で混合したもので、捕獲収納容器40内に収容されている。酵母は、その発酵作用により蚊を誘引する二酸化炭素を発生させる基となるものであって、安価且つ身近に入手可能なイースト菌が好適であるが、イースト菌のほかに酵母エキスを用いることも可能である。砂糖は、酵母のエサとなるものであって、発酵を促進させるものである。水は、これら酵母と砂糖の溶媒として用いるもので、天然水と水道水とを問わないが、酵母の吸水と発酵を促すためには、ミネラル分の少ない軟水
が用いられる。
【0031】
前記誘引捕獲液50における酵母と砂糖と
軟水の調合比率割合については、重量比で1:0.8〜1.2:150〜250の範囲内であって、より好ましくは1:1:200である。具体的な数値(重量)については、捕獲収納容器40の大きさ(許容量)や酵母の種類によって変更されるものであるが、例えば酵母としてイースト菌粉末を3g使用する場合、砂糖は3g、
軟水が450〜750cc(600ccが好適)となる。
【0032】
以上の通り構成される本実施形態にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10について、次に、その使用態様について説明する。
図2は、本実施形態にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置の使用状態を示す説明図であり、(a)は設置状態を示す斜視図、(b)は誘引捕獲状態を示す断面説明図である。以下、蚊Kを例にとって、その具体的な誘引捕獲状況を手順に沿って説明する。
【0033】
《誘引捕獲手順》
(1)密封外蓋20を外し、捕獲収納容器40の下端縁部に嵌着または螺着した状態で、日光の当たる場所に設置する。
(2)日光により捕獲収納容器40内の誘引捕獲液50が暖められることで、酵母の発酵が促進されて二酸化炭素が発生し、その二酸化炭素が誘引捕獲中蓋30の誘引筒部32b及び開口部32aを介して外へ放出される。
(3)放出された二酸化炭素に誘引されて、空中に飛遊している蚊Kが誘引捕獲中蓋30の誘引捕獲開口部32付近に飛来する。
(4)誘引捕獲開口部32付近に飛来した蚊Kは、二酸化炭素の放出源へ向け、徐々に縮径している開口部32aに沿って下降し、さらに誘引筒部32bを下降・通過して捕獲収納容器40内に到達する。これにより、蚊Kは捕獲収納容器40内で捕獲された状態となる。
(5)蚊Kは真上に上昇できない体質から、捕獲収納容器40内の蚊Kは誘引筒部32bを上方へ通り抜けることができない。したがって、一部は寿命尽きて息絶えるものもあるが、捕獲収納容器40内において生きた状態で蚊Kを捕獲することが可能となる。
【0034】
尚、上記手順(1)において、蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10を日光の当たる場所に設置する旨述べたが、照明装置や保温・加温装置を用いることで、日光の代替手段とすることができる。かかる代替手段を採ることで、日光の出ていない雨や曇りの日、および夜間であっても本装置を使用することが可能となる。
【0035】
以上のように、本実施形態にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10によれば、害虫(蚊K)の駆除ならびに生きたままの生体捕獲が同時にできると共に、誘引捕獲液50が自然環境と人体に悪影響がない酵母(イースト菌)を使用して安全性と捕獲効率の両方を確保可能な蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10を提供することができる。
【実施例2】
【0036】
図3は、本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10の第二の実施形態を示す説明図であり、(a)は分解斜視図、(b)は断面図である。
本実施形態にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10において、上記第一の実施形態(実施例1)と異なる構成態様は、前記捕獲収納容器40の下面所定箇所に、前記誘引捕獲液50を排出するための排出口42を設けたことであり、その他の構成態様は上記第一の実施形態(実施例1)と同様であるため、説明は省略する。
【0037】
前記排出口42は、捕獲収納容器40の下面所定箇所に設けられるもので、該排出口42の出口には開閉操作を可能にする開閉栓43を設けて形成される。
開閉栓43は、使用時においては閉塞し、回収時においては開放することができる構造を有して形成される。
【0038】
該排出口42は、使用済みの誘引捕獲液50を捕獲収納容器40内から排出するためのもので、誘引捕獲液50を溶液内に沈んだ害虫(蚊K)の死骸とともに排出して、捕獲収納容器40内にて生きたままの害虫(蚊K)を回収することができる構造としたものである。尚、生体捕獲を必要としないときは、捕獲収納容器40を揺すって生きた状態の害虫(蚊K)を誘引捕獲液50内に取り込んで死滅させ、排出口42から害虫(蚊K)の死骸と誘引捕獲液50を同時に排出することもできる。
【0039】
以上の通り構成される本実施形態にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10について、次に、その使用態様について説明する。
図4は、本実施形態にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置の使用状態を示す説明図であり、(a)及び(b)は誘引捕獲状態を示す断面説明図、(c)は捕獲完了状態を示す断面説明図、(d)は使用済み誘引捕獲液50を廃棄した状態を示す断面説明図である。以下、蚊Kを例にとって、その具体的な誘引捕獲状況を手順に沿って説明する。
【0040】
《誘引捕獲手順》
(1)密封外蓋20を外し、捕獲収納容器40の下端縁部に嵌着または螺着した状態で、日光の当たる場所に設置する。
(2)日光により捕獲収納容器40内の誘引捕獲液50が暖められることで、酵母の発酵が促進されて二酸化炭素が発生し、その二酸化炭素が誘引捕獲中蓋30の誘引筒部32b及び開口部32aを介して外へ放出される。
(3)放出された二酸化炭素に誘引されて、空中に飛遊している蚊Kが誘引捕獲中蓋30の誘引捕獲開口部32付近に飛来する。
(4)誘引捕獲開口部32付近に飛来した蚊Kは、二酸化炭素の放出源へ向け、徐々に縮径している開口部32aに沿って下降し、さらに誘引筒部32bを下降・通過して捕獲収納容器40内に到達する。これにより、蚊Kは捕獲収納容器40内で捕獲された状態となる。
(5)蚊Kは真上に上昇できない体質から、捕獲収納容器40内の蚊Kは誘引筒部32bを上方へ通り抜けることができない。したがって、一部は寿命尽きて息絶えるものもあるが、捕獲収納容器40内において生きた状態で蚊Kを捕獲することが可能となる。
(6)最後に、開閉栓43を開放して、捕獲収納容器40の排出口42から使用済みの誘引捕獲液50を蚊Kの死骸とともに排出し、終了後に開閉栓43を閉塞する。
【0041】
尚、上記手順(1)において、蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10を日光の当たる場所に設置する旨述べたが、照明装置や保温・加温装置を用いることで、日光の代替手段とすることができる。かかる代替手段を採ることで、日光の出ていない雨や曇りの日、および夜間であっても本装置を使用することが可能となる。
【0042】
以上のように、本実施形態にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10によれば、害虫(蚊K)の駆除ならびに生きたままの生体捕獲が同時にできると共に、捕獲収納容器40内の使用済み誘引捕獲液50を害虫(蚊K)の死骸とともに排出することが可能な蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10を提供することができる。
【実施例3】
【0043】
図5は、本発明にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10の第三の実施形態を示す説明図である。
本実施形態にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10において、上記第一及び第二の実施形態(実施例1,2)と異なる構成態様は、前記密封外蓋20の上面所定箇所に、前記誘引捕獲開口部32に連通するスライド式または嵌め込み式の誘引開口部23を設けたことであり、その他の構成態様は上記第一及び第二の実施形態(実施例1,2)と同様であるため、説明は省略する。
【0044】
前記誘引開口部23は、スライド式または嵌め込み式の密封開閉蓋によって形成されるもので、密封開閉蓋をスライド式または嵌め込み式にすることによって、蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10の移動ならびに設置作業が容易にできる構造となる。すなわち、蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10を設置するに際し、密封外蓋20を装着状態のまま外さずに誘引開口部23を開放すれば足り、移動や捕獲終了時には、逆に誘引開口部23を閉塞すれば足りることとなる。
【0045】
以上のように、本実施形態にかかる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10によれば、移動ならびに設置作業が容易となる蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置10を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、蚊Kの駆除ならびに生きたままの生体捕獲が同時にできると共に、誘引捕獲液50が自然環境と人体に悪影響がない酵母を使用して安全性と捕獲効率の両方を確保することが可能である。また、捕獲可能な害虫は、蚊Kだけでなく、ハエ類(コバエ、ショウジョウバエ、ミカンバエ等)やハチ類(スズメバチ等)も捕獲することが可能であって、本発明にかかる「蚊の誘引捕獲装置」の産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0047】
10 蚊を主とする害虫の誘引捕獲装置
20 密封外蓋
21 装着手段
22 誘引開口部
23 誘引開口部
30 誘引捕獲中蓋
31 装着手段
32 誘引捕獲開口部
32a 開口部
32b 誘引筒部
40 捕獲収納容器
41 装着手段
42 排出口
43 開閉栓
50 誘引捕獲液
K 蚊