(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405342
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】分散型アンテナシステムのための遠隔ユニットのデイジーチェーン型リング
(51)【国際特許分類】
H04W 16/26 20090101AFI20181004BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20181004BHJP
【FI】
H04W16/26
H04W92/20
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-139702(P2016-139702)
(22)【出願日】2016年7月14日
(62)【分割の表示】特願2013-525983(P2013-525983)の分割
【原出願日】2011年8月16日
(65)【公開番号】特開2016-197899(P2016-197899A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年8月9日
(31)【優先権主張番号】13/211,247
(32)【優先日】2011年8月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/211,236
(32)【優先日】2011年8月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/211,243
(32)【優先日】2011年8月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/928,943
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/928,934
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/928,933
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/928,931
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/439,940
(32)【優先日】2011年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/382,836
(32)【優先日】2010年9月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/374,593
(32)【優先日】2010年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511257056
【氏名又は名称】ダリ システムズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【弁理士】
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】ステイプルトン, ショーン, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】レムソン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】リン, ビン
(72)【発明者】
【氏名】リー, アルバート エス.
【審査官】
松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許出願公開第01227605(EP,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0238566(US,A1)
【文献】
特開2008−135955(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0170543(US,A1)
【文献】
特開2002−158615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型アンテナシステム(DAS)において通信する方法であって、
複数のデジタル遠隔ユニットを用意するステップと、
前記複数のデジタル遠隔ユニットと通信するように構成された少なくとも1つのデジタルアクセスユニットを用意するステップであって、前記少なくとも1つのデジタルアクセスユニットが少なくとも1つの信号源から複数のダウンリンクチャネルを受信し且つ当該複数のダウンリンクチャネルを前記複数のデジタル遠隔ユニットに送信する、ステップと、
前記複数のダウンリンクチャネルの第1の部分を前記少なくとも1つのデジタルアクセスユニットから前記複数のデジタル遠隔ユニットの第1のデジタル遠隔ユニットに送信するステップと、
前記複数のダウンリンクチャネルの第2の部分を前記少なくとも1つのデジタルアクセスユニットから前記複数のデジタル遠隔ユニットの第2のデジタル遠隔ユニットに送信するステップと、を備え、
前記複数のダウンリンクチャネルの前記第1の部分におけるチャネルの数が、前記複数のダウンリンクチャネルの前記第2の部分におけるチャネルの数と異なっており、
前記複数のダウンリンクチャネルの前記第1の部分における少なくとも幾つかのチャネルが、前記複数のダウンリンクチャネルの前記第2の部分における幾つかのチャネルと同じであり、
前記複数のダウンリンクチャネルの前記第1の部分における少なくとも幾つかのチャネルが、前記複数のダウンリンクチャネルの前記第2の部分における幾つかのチャネルと異なっている、方法。
【請求項2】
前記第1のデジタル遠隔ユニットは、前記少なくとも1つのデジタルアクセスユニットから受信した前記複数のダウンリンクチャネルの前記第1の部分を伝送し且つアップリンクチャネルの対応する第1の部分を受信するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のデジタル遠隔ユニットと前記少なくとも1つのデジタルアクセスユニットは、各デジタル遠隔ユニットが隣のデジタル遠隔ユニット又は前記少なくとも1つのデジタルアクセスユニットに単一の双方向光ファイバにより結びつけられようにリングのデイジーチェーン接続され、且つ、各デジタル遠隔ユニットが当該リングにおいて何れの方向にも前記少なくとも1つのデジタルアクセスユニットによってアクセス可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのデジタルアクセスユニットは、複数のデジタルアクセスユニットを備え、当該複数のデジタルアクセスユニットのそれぞれは前記複数のデジタルアクセスユニットの少なくとも1つと接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のダウンリンクチャネルの前記第1の部分の数は、前記複数のダウンリンクチャネルの前記第2の部分の数よりも少ない、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、参照によりすべてが本明細書に組み込まれている、以下の米国特許出願の利益を主張するものである。
通し番号 出願日 名称
61/374,593 8/17/2010 Neutral Host Architecture for a Distributed Antenna System
61/382,836 9/14/2010 Remotely Reconfigurable Distributed Antenna System and Methods
12/928,931 12/21/2010 Modulation Agnostic Digital Hybrid Mode Power Amplifier System and Method
12/928,933 12/21/2010 Remote Radio Head Unit System with Wideband Power Amplifier and Method
12/928,934 12/21/2010 Multi−Band Wideband Power Amplifier Digital Predistortion System and Method
12/928,943 12/21/2010 High Efficiency,Remotely Reconfigurable Remote Radio Head Unit System and Method for Wireless Communications
61/439,940 2/7/2011 Daisy Chained Ring of Remote Units for a Distributed Antenna System
[まだ譲渡されていない] 8/16/2011 Neutral Host Architecture for a Distributed Antenna System
[まだ譲渡されていない] 8/16/2011 Remotely Reconfigurable Distributed Antenna System and Methods
[まだ譲渡されていない] 8/16/2011 Daisy Chained Ring of Remote Units for a Distributed Antenna System
【0002】
本発明は、一般に、分散型ワイヤレスネットワークの一部として分散型アンテナシステム(DAS)を使用するワイヤレス通信システムに関する。より詳細には、本発明は、一部の実施形態では、デイジーチェーン型リングに構成され得る複数の遠隔ユニットのうちの選択されたいくつかに特定のパケット伝送を割り当てるように構成された、遠隔監視されて且つ制御される1つ又は複数のデジタルアクセスユニットを利用するDASに関する。
【0003】
ワイヤレスネットワーク事業者及びモバイルネットワーク事業者は、高データトラフィック成長速度を効果的に管理するネットワークを構築するという継続的な課題に直面している。移動性、及びエンドユーザに対するより高いレベルのマルチメディアコンテンツが、新たなサービスと、ブロードバンドの定額インターネットアクセスのより大きい要求の両方をサポートする終端間ネットワーク適合を要求する。ネットワーク事業者が直面する最も困難な課題の1つが、費用対効果の大きいDAS展開を保証すると同時に、非常に高い度合いのDAS遠隔ユニット利用可能性をもたらしながら、ネットワーク事業者のDASネットワークの容量を最大化することである。
【0004】
特定のロケーションにおけるネットワーク加入者の短期のニーズを満たすのに十分なだけ大きいDASネットワーク容量を提供し、それでもやはり、無線リソースの高価で非効率な展開を回避するために、DASネットワークを計画する人々は、高い度合いの動的な柔軟性をもたらすDASアーキテクチャ及びDASソリューションを使用することを選好する。したがって、ワイヤレスネットワーク事業者が、高い度合いの柔軟性を有するDASソリューションを使用して、絶えず変化するネットワーク条件及び加入者ニーズに基づいて動的な再構成を実施することが有利である。また、或るDAS展開が将来にわたって長く使い続けられるほど、一般に、そのDAS展開のライフサイクル費用は低くなる。
【0005】
DASネットワークを計画する人々、及びDASシステムを統合する人々は、特定のDAS展開の費用対効果が可能な限り大きいことを確実にするのに役立つように多種多様な斬新的なアプローチを使用する。ネットワークを計画する人々及び統合する人々によって考慮される費用のタイプには、DAS展開費用又はDAS設置費用とともに、メンテナンス費用、緊急時復元費用、及びネットワーク再構成費用を含む運用費用が含まれる。再構成費用は、屋内DASアプリケーションの場合、建造物の用法の頻繁な変更のため、及び施設が変更を必要とするため、特に大きい。したがって、設置費用及び/又はリース費用を最小限に抑えるように、可能な限り少数のDASトランスポート設備に基づくとともに、費用のかさむ緊急時復元サービスの必要性を回避するように自己修復能力を有するDASシステム及びDASメソッドを使用することが有利である。
【0006】
高い度合いのDAS遠隔ユニット利用可能性を得るために、2つの主要な条件が満たされなければならない。第1に、DAS遠隔ユニット自体の信頼性が高くなければならない。第2に、トランスポート媒体の、例えば、光ファイバの信頼性が非常に高くなければならない。電子接続及び/又は光接続自体が、DASネットワークにおける障害又は利用可能性の低下の大きな根本的原因であることがよく知られている。屋外DASネットワークを維持する企業が、屋外設備光ファイバ施設の障害が、希望を満たすほど稀ではないことを報告している。したがって、トランスポート媒体接続に障害が生じた場合に備えて、より高い冗長性、及び/又は自己修復フィーチャを提供するシステム及び方法を使用することが有利である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、1つ又は複数の基地局に応答するとともに、関連付けられた複数のデジタル遠隔ユニット(「DRU」)のパケットトラフィックを制御するようにそれぞれが動作する少なくとも1つの、ただし、一部の実施形態では、複数のデジタルアクセスユニット(「DAU」)を有する分散型アンテナシステムを提供することによって、前述した利点及び利益を実質的に実現し、さらに前述した従来技術の限界を克服する。複数のDAUを使用する実施形態において、DAUは、直線的に、又はリング構成でデイジーチェーン接続され得る。同様に、実施形態に依存して、所与のDAUに関連付けられたDRUは、直線又はリングのデイジーチェーン構成に構成され得る。
【0008】
基地局から受信されたデータは、DAUを用いてダウンコンバートされ、デジタル化され、さらにベースバンドに変換される。次に、これらのデータストリームが、I/Qマップされて、フレーム化され、さらに独立にシリアル化されて、複数のデータストリームがDAUから並行に利用できるようにされる。少なくとも一部の実施形態において、DAUは、関連付けられたDRUと、光トランスポート構成を介して通信する。本発明を使用して、遅延などの特定のDASの技術上のパフォーマンス仕様によってしか限度が課されない、関連付けられた1つ又は複数のDAUによるo個のDRUへの伝送のためにm個のRF出力をそれぞれが供給するn個の基地局を有する分散型アンテナシステムを構成することが可能であることが当業者には認識されよう。
【0009】
接続のためにリング構成を使用することによって、少なくとも一部の実施形態において、DRU及び/又はDAU、フォールトトレランスがシステムに組み込まれて、高い利用可能性がもたらされることになる。単一DAUの実施形態において、各DRUは、2つのパス経由でアクセス可能であり、したがって、断線が生じた場合でさえ、利用可能であり続ける。DAUが直線的にデイジーチェーン接続されるマルチDAUの実施形態において、各DRUは、複数のDRUからアクセス可能であり、したがって、いくつかのDAU障害でさえ、システム動作を妨げない。DAUに関してリング接続を使用する実施形態において、各DAUに至る複数のパスが存在し、このため、さらなるレベルの障害許容値をもたらすとともに、後段でさらに詳細に説明されるとおり、動的な負荷分散及びリソース管理をもたらす。
【0010】
このため、本発明のより高性能のシステムアーキテクチャの構成は、分散型ワイヤレスネットワークの無線リソース効率、使用率、利用可能性、及び全体的なパフォーマンスを管理し、制御し、強化し、促進する高い度合いの柔軟性をもたらす。本発明は、柔軟性のあるサイマルキャスト、自動トラフィック負荷分散、ネットワークリソース及び無線リソースの最適化、ネットワーク較正、自律的/支援されたコミッショニング、キャリアプール、自動周波数選択、無線周波数キャリア配置、トラフィック監視、トラフィックタグ付け、及びパイロットビーコンを使用した屋内ロケーション特定を含む、特殊化されたアプリケーション及び拡張を可能にする。また、本発明は、複数の事業者、マルチモード無線機(変調非依存の)、及び1つの事業者当りマルチ周波数帯域にサービスを提供して、事業者のワイヤレスネットワークの効率及びトラフィック容量を高めることも可能である。
【0011】
さらに、本発明は、高い度合いの動的な柔軟性を提供し、動的な再構成をサポートし、さらに低いライフサイクル費用をもたらす。この高性能のシステムアーキテクチャは、自己修復フィーチャを提供しながら、費用を低減するように、より少数のDASトランスポート設備を使用するDASネットワークの展開を可能にする。また、本発明は、冗長性、及びより高いシステム利用可能性も提供する。
【0012】
本発明の目的は、例えば、光ファイバトランスポートを使用する高い利用可能性のリング構成で、参照により本明細書に組み込まれており、さらに付録Aとして添付されている、2010年9月14日に出願した「Remotely Reconfigurable Distributed Antenna System and Methods」という名称の米国特許仮出願第61/382836号に開示される、柔軟性のあるサイマルキャスト能力を提供することである。前述したとおり、このリング構成は、ダウンリンク信号及びアップリンク信号が、ケーブル断線を迂回してそれぞれのDRUに再ルーティングされ得るため、いずれの光ファイバケーブルの断線もデイジーチェーン型ネットワークをシャットダウンさせないことを確実にする。
【0013】
本発明のさらなる目的は、光ファイバ上の双方向のデータ転送速度を均衡させて、DRUのリングネットワーク上の動作中の実現可能な最大データ転送速度を増加させるようにすることである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、モバイルブロードバンドネットワークの場合に通常、該当するように、ダウンリンクとアップリンクの間でデータトランスポートが非対称である場合に、より高いトランスポートネットワーク容量を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、リング上のトランスポート媒体容量を最適化するための適応的で自動的な制御を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、DRUデイジーチェーンにおける同一チャネルユーザのアップリンク信号をまとめる方法を提供することである。
【0017】
本発明のアプリケーションは、分散型基地局、分散型アンテナシステム、分散型中継器、モバイル機器及びワイヤレス端末装置、ポータブルワイヤレスデバイス、及びマイクロ波通信や衛星通信などの他のワイヤレス通信システムで使用されるのに適している。また、本発明は、遠隔コンピューティングセンタに対するイーサネット接続などのリンクを介して現場でアップグレード可能である。
【0018】
付録Iは、頭字語を含む、本明細書で使用される用語の用語集である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明のさらなる目的及び利点は、添付の図面と併せて解釈される後段の詳細な説明からより完全に理解され得る。
【0020】
【
図1】
図1は、1つのDAUと4つのDRUとを有することに基づく1リングシナリオである、本発明の一実施形態による、基本的な構造、及び単方向のチャネル化されたダウンリンクトランスポートの例を示すブロック図である。
【0021】
【
図2】
図2は、1つのDAUと4つのDRUとを有することに基づく1リングシナリオである、本発明の或る実施形態による、基本的な構造、及び単方向のチャネル化されたアップリンクトランスポートの例を示すブロック図である。
【0022】
【
図3】
図3は、1つのDAUと8つのDRUとを有することに基づく2リングシナリオである、本発明の或る実施形態による、基本的な構造、及び単方向のチャネル化されたアップリンクトランスポートの例を示すブロック図である。
【0023】
【
図4】
図4は、本発明の或る実施形態による、基本的な構造、及び単方向のチャネル化されたアップリンク又はダウンリンクのトランスポートの例を示すブロック図である。5リングシナリオのこの例は、2つのDAUと、20のDRUとを備える。
【0024】
【
図5】
図5は、本発明による、複数のDRUを使用するセルラネットワークシステムの実施形態を示す図である。
【0025】
【
図6】
図6は、本発明による、複数のDRUを相手に異なる周波数チャネルで動作する異なる6つのサービスを使用するマルチバンドシステムの実施形態を示す図である。
【0026】
【
図7】
図7は、DAUに組み込まれたソフトウェア制御モジュールとDRUに組み込まれたソフトウェア制御モジュールの間の対話を示すブロック図である。
【0027】
【
図8】
図8は、デイジーチェーンDAUを含む、本発明の或る態様によるDASの実施形態を示すブロック図である。
【0028】
本発明は、分散型ワイヤレスネットワークの無線リソース効率、使用率、及び全体的なパフォーマンスを管理し、制御し、再構成し、強化し、促進する高い度合いの柔軟性をもたらす斬新的な、再構成可能な分散型アンテナシステムである。
図1は、本発明による分散型アンテナシステム100の実施形態を示す。このシステムは、デジタルアクセスユニット機能105(以降、「DAU」)を使用する。DAU105は、関連付けられた基地局(BTS)110A〜Bと、
図1に4つだけのDRU(デジタル遠隔ユニット)が示されるものの、複数のDRU125A〜nとの間のインターフェースの役割をする。この説明において、「DRU」は、本明細書で説明される機能の類似性のために、遠隔無線ヘッドユニット、又は「RRU」と互換的に使用され、ただし、DRUは、DAUと通信するのに対して、RRUは、基地局と通信することが当業者には認識されよう。さらに、DAUは、
図1に双方向リンク115で示されるとおり、遠隔ネットワーク運用センタ(「NOC」)によって監視され、さらに制御されることが当業者には認識されよう。そのようなリンクは、通常、イーサネット接続又は外部モデムであるが、遠隔監視及び遠隔制御に適した任意の形態のリンクであり得る。NOCは、DRUのパラメータ設定を構成するDAUパラメータ設定を遠隔で構成する能力を有する。NOCは、DAUから情報を要求することが可能である。その後、DAUが、DRUから情報を要求することが可能である。要求される情報には、アップリンク電力、ダウンリンク電力、光学誤り率、利得設定、活性のキャリアなどが含まれるが、以上には限定されない。
【0029】
ダウンリンク(DL)パスに関して、110Aから110pで示されるとおり、RF入力信号120Aから120nが、DAU105において1つ又は複数の基地局(BTS)から受信される。これらのRF入力信号は、DAUによって(デジタルダウンコンバータを使用して)別々にダウンコンバートされ、デジタル化され、さらにベースバンドに変換される。やはりDAU105によって、その後、データストリームが、I/Qマップされて、フレーム化され、さらに、その後、特定の並行のデータストリームが、プラグ接続可能なSFPモジュールを使用して独立にシリアル化され、さらに光信号に変換される。その後、これらの独立してシリアル化された並行のデータストリームは、通常、少なくとも一部の実施形態において、接続ペア140A〜145Aで示されるリング構成に、又は他の実施形態において、デイジーチェーン構成に構成された光ファイバケーブルを介して、異なるDRU125A〜125kに配信される。さらに、各DAUが、関連付けられたDRUで複数のリングをサポートすることが可能であり、それらのさらなるリングが、光ファイバペア140o〜145oによって示される。RF入力、DAU及びDRU、及びリングの数は、遅延などのネットワークパフォーマンス要因によってしか制限されないことが、当業者には認識されよう。さらに、本明細書で
図4に関連して説明されるとおり、DASは、
図1に示されるDRU及びリングの構成をそれぞれがサポートする、DAUのリング又はデイジーチェーンを使用することによってさらに拡張され得る。
【0030】
DAU105の1つの機能は、ダウンリンクチャネルがリングを巡って伝搬される方向を決定することである。単に一例として、
図1に示される実施形態は、ダウンリンクチャネルA、B、C、及びDを第1の方向で、例えば、時計方向に伝搬させ、さらにチャネルE、F、G、及びHを反時計方向に伝搬させるように構成され、ただし、各方向で伝搬するいくつかのチャネルは、等しいことも、隣接していることも、順次であることも必要ないことが理解されよう。同様に、各DRUにおいて受信されるいくつかのチャネルは、DAUによって割り当てられ、等しいことも、隣接していることも、順次であることも必要なく、代わりに、通常、ネットワーク利用を最適化する任意の構成である。
【0031】
次に
図2を参照すると、本発明によるアップリンク(UL)パスの実施形態が、よりよく理解され得る。各DRUに関連付けられたアンテナにおいて受信されたチャネルが、各DRU125A〜125kによって光信号に変換される。DRUから受信された光信号は、DAU105によって逆シリアル化されて、逆フレーム化され、さらにDAU105内に実装されたデジタルアップコンバータを使用してデジタルでアップコンバートされる。次に、やはり、図示される実施形態におけるDAU105内で、各データストリームが、アナログ領域に独立に変換されて、適切なRF周波数帯域にアップコンバートされ、ただし、この機能は、別個であることが可能である。その後、これらのRF信号が、複数のBTS110A〜110pのうちの適切な1つに配信される。
図1に示される構成の場合と同様に、各チャネルの伝搬の方向は、いくつかのチャネルが時計方向に伝搬され、他のいくつかのチャネルが反時計方向に伝搬されて、DAUによって制御される。やはり、
図1に関連して説明されるとおり、
図2で隣接するチャネルが同一の方向で伝搬されるものとして示されているが、このことは、必須ではなく、任意のチャネルがいずれの方向で伝搬されるようにも選択され得る。
【0032】
図1を再び参照すると、DASの一部の実施形態において、各チャネルに複数のキャリアが存在することが可能であり、このため、DRUが、2つ以上のキャリアを含む信号を備えるチャネルを受信することが可能であり、又はワイヤレス事業者が、1チャネル当り複数のRFキャリアを単一の基地局に割り当てていることが可能であることが、当業者には認識されよう。このことは、「複合信号」と呼ばれる。複合ダウンリンク信号が本発明によって管理される仕方は、
図1を参照して、よりよく理解され得る。そのような実例において、DAUは、例えば、1つのワイヤレス事業者に属する第1の基地局110Aからの、RF入力ポート120AにおいてDAU105に入る複合ダウンリンク入力信号130を受信する。複合信号130は、キャリアA〜Dを備える。例えば、同一のワイヤレス事業者に属する第pの基地局110pからの、第2の複合ダウンリンク入力信号が、DAU1 RF入力ポート120nにおいてDAU1に入る。複合信号135が、キャリアE〜Hを備える。DAU105、及びDRU125A〜125kの機能はそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれており、さらに付録Bとして本明細書に添付されている、2010年8月17日に出願した「Neutral Host Architecture for a Distributed Antenna System」という名称の米国特許仮出願第61/374593号において詳細に説明されている。
【0033】
DAU105の1つの光出力が、双方向光ケーブル140Aを介してDRU125Aに供給される。DAU105の第2の光出力が、双方向光ケーブル145Aを介してDRU3に供給される。同様に、双方向光ケーブル150、155、及び160が、DRU125Aが、ケーブル150Aを介してDRU125Bに接続され、DRU125Bが、ケーブル150Bを介してDRU125nに接続され、さらにDRU125kが、ケーブル150mを介してDRU125Cに、つまり、第k−1のDRUに接続されるように、DRU125A〜nをリング構成で接続する。この接続は、DAU105のネットワーキングを円滑にし、このことは、キャリアA〜Hのすべてが、ネットワーク化されたDAUシステム内のソフトウェア設定に依存して、DRU125A〜kにデータをトランスポートするようにDAU105内で利用可能であることを意味する。実施形態に依存して、DRU125A内のソフトウェア設定は、DRU125Aのアンテナポートにおけるダウンリンク出力信号155AにキャリアA〜Hが存在するように、手動で、又は自動的に構成される。8つすべてのキャリアの存在は、DRU125Aが潜在的に、DAU105に供給を行う両方の基地局の全容量にアクセスすることができることを意味する。DRU125Aに関する可能な応用例が、多数のワイヤレス加入者が集まる昼食時間中の企業建造物内のカフェテリアである。
【0034】
DRU125Bは、双方向光ケーブル150Aを介してDRU125Aの第2の光ポートによる供給を受ける。光ケーブル150Aは、DRU125AをDRU125Bとデイジーチェーン接続する機能を実行する。DRU125Aの場合と同様に、DRU125B内のソフトウェア設定が、DRU125Bのアンテナポートにおけるダウンリンク出力信号155BにキャリアA、C、D、及びFが存在するように、手動で、又は自動的に構成される。DRU125Bの容量は、DAU105によって制御されるDRU125Bに特有のチャネル設定のお陰で、DRU125Aと比べて、はるかに低い値に設定される。個々のデジタル遠隔ユニットが、各キャリアに関する利得制御を有する周波数選択的なDUC及びDDCを組み込んでいる。DAUは、利得制御パラメータを介して個々のキャリアを遠隔でオンにしたり、オフにしたりすることができる。
【0035】
DRU125Aに関して前述したのと同様に、DRU125C内のソフトウェア設定が、DRU125Cのアンテナポートにおけるダウンリンク出力信号155CにキャリアB及びFが存在するように、手動で、又は自動的に構成される。DRU125Bのアンテナポートにおけるダウンリンク信号155Bと比較して、やはり、DRU125Cのソフトウェア設定を介して構成されるDRU125Cの容量は、DRU125Bの容量よりはるかに小さい。DRU125nが、簡明のため、
図1にDRU125Cとして示される、第n−1のDRUの第2の光ポートに接続された光ケーブル150mによる供給を受ける。DRU125n内のソフトウェア設定は、DRU125nのアンテナポートにおけるダウンリンク出力信号155DにキャリアA、D、E及びHが存在するように、手動で、又は自動的に構成される。通常、DRU125nの容量は、DRU125Aと比べて、はるかに低い値に設定されるが、DRU125A〜nの各DRUの相対的な容量設定は、それらのDRUに接続されたアンテナの物理的位置によって決まるカバレッジ区域内の容量のニーズを満たすように動的に調整され得る。前述したとおり、リング接続は、光ケーブル150Bを介してDRU125BとDRU125nを互いに接続することによって完成させられる。このリング構成は、いずれの光ケーブル断線も、デイジーチェーン型のネットワークをシャットダウンさせないことを確実にする。ダウンリンク信号及びアップリンク信号は、ケーブル断線を迂回してそれぞれのDRUに再ルーティングされる。
【0036】
本発明は、いくつかの離散的な、相対的に狭いRF帯域幅の変換及びトランスポートを円滑にする。このアプローチは、有用な情報、又は特定の情報を伝送する複数の特定の比較的狭い帯域幅だけの変換を許す。また、このアプローチは、中立ホストアプリケーションに関して利用可能な光ファイバトランスポート帯域幅をより効率的に使用することも許し、さらに光ファイバを介して、より多くの個別の事業者の帯域幅セグメントをトランスポートすることを許す。ともに本発明の譲受人に譲渡された、2010年8月17日に出願した「Neutral Host Architecture for a Distributed Antenna System」という名称の米国特許仮出願第61/374593号とともに、2010年9月14日に出願した「Remotely Reconfigurable Distributed Antenna System and Methods」という名称の米国特許仮出願第61/382836号において開示され、さらに本特許出願の
図1を参照しても開示されるとおり、DRU内に配置されたデジタルアップコンバータは、NOCからのコマンドの結果、いずれかのDAUのそれぞれのRF入力ポートにおいて利用可能である任意の特定の1つ又は複数の狭周波数帯域、RFキャリア、又はRFチャネルをDAU入力から任意の特定のDRU出力にトランスポートするように動的に再構成され得る。この能力が、所与のDRUの出力において特定の周波数帯域、又は特定のRFキャリアだけしか表れない
図1に例示される。より詳細には、NOCから受信されたコマンドを介して、DAUにおけるFPGA、及び関連付けられたDRUのうちの1つ又は複数が、所望される狭帯域だけを変換し、さらにトランスポートするように再プログラミングされる、又は再構成されることが可能である。
【0037】
本発明の関連する能力は、各DRU内に配置されたデジタルアップコンバータが、DAU入力から任意の特定のDRU出力に任意の特定の狭周波数帯域をトランスポートするように構成され得るだけでなく、各DRU内のデジタルアップコンバータが、DAU入力から任意の特定のDRU出力に各キャリアの任意の特定の1つ又は複数のタイムスロットをトランスポートするようにも構成され得ることである。これらのキャリア及びタイムスロットは、信号をフィルタリングすること、及び個々のタイムスロットの電力検出を実行することによってDAUによって監視され、この情報は、所望に応じて、NOCに伝えられることが可能である。次に、デジタルアップコンバータの場合と同様に、DAU又はDRUにおけるフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が、ソフトウェアがプログラミング可能であるのと同様に、NOCから受信されたコマンドによって動的に再構成され得る。DAUは、いずれのキャリア、及び対応するタイムスロットが活性であるかを検出する。この情報が、管理制御−監視プロトコルソフトウェアを介して個々のDRUに中継される。その後、この情報は、適宜、それらのDRUによって、個々のキャリア、及びそれらのキャリアに対応するタイムスロットをオンにしたり、オフにしたりするために使用される。
【0038】
基地局と加入者の間のデータトランスポートは、通常、非対称であり、このため、ダウンリンクデータ転送速度は、アップリンク速度より高い。デイジーチェーン型DRUのリングネットワーク構成は、光ファイバ150A〜150m上のデータトランスポートを最大化するようにこのデータ転送速度の非対称を活用することができる。
【0039】
本発明は、光ファイバ上の双方向のデータ転送速度を均衡させて、DRUのリングネットワーク上の実現可能な最大データ転送速度を増加させるようにする。個々のダウンリンクチャネルは、リングネットワーク上で単方向で伝送される。
図1を参照すると、ダウンリンクチャネルA、B、C、及びDが、DRU125A〜kのリング上で時計方向に伝送される。他方、ダウンリンクチャネルE、F、G、及びHが、DRUのリング上で反時計方向に伝送される。
図2を参照すると、アップリンクチャネルJ、K、L、及びMが、反時計方向に伝送されるのに対して、アップリンクチャネルN、O、P、及びQが、DRUのリング上で時計方向に伝送される。ダウンリンクデータ転送速度とアップリンクデータ転送速度が同一である場合、このトランスポート機構に利点は全く存在しない。しかし、ダウンリンクとアップリンクの間でデータトランスポートが非対称である場合、相当な利点を得ることができる。例えば、ダウンリンクデータ転送速度とアップリンクデータ転送速度が2倍違う場合、データトランスポートの4/3倍の増加が実現され得る。ダウンリンクデータ転送速度とアップリンクデータ転送速度の間の非対称が大きいほど、リング上で単方向チャネルトランスポート機構を使用するデータトランスポートの増加は大きくなる。
【0040】
図1を再び参照すると、本発明の別の態様によるさらなる実施形態が、よりよく理解され得る。ダウンリンクデータ転送速度とアップリンクデータ転送速度の間の非対称に大きな変化が生じた場合、及び/又はBTSにおけるチャネル補完に変化があった場合、通常は各DAU内に含まれる管理制御モジュール[本明細書で
図7に関連して説明した]が、リングの時計方向上、及びリングの反時計方向上のデータトランスポートリソースを、全体的なトランスポート容量を最大化するように自動的に、さらに適応的に再割当てすることができる。前述したとおり、特定のDAUに関してアップリンクデータ転送速度とダウンリンクデータ転送速度の間の非対称が大きいほど、リング上で単方向チャネルトランスポート機構を使用するデータトランスポートの増加は大きくなる。複数のDAUが存在する場合、或る実施形態において、1つのDAUが、NOCによってマスタDAUに指定され、さらにこのマスタDAU内に配置された管理制御モジュールが、全体的なトランスポート容量を最大化する決定を行う。マスタDAUに障害が生じた場合、NOCは、別のDAUをマスタとして指定することができる。代替として、任意の適切なフェイルオーバアルゴリズムが実施され得る。
【0041】
図3を参照して、単一のDAUが、複数のデイジーチェーン型DRUをそれぞれが備える複数のリングを制御する、本発明の代替の実施形態が、よりよく理解され得る。
図3では、300及び305で示される2つのデイジーチェーン型リングが示されており、ただし、リングの数は、より多いことも可能であり、さらにネットワークパフォーマンスによって課せられる限度まで、主に設計上の選好として決定される。リングはそれぞれ、複数のDRU310A〜n及び315A〜mを単一のDAU320に結び付ける。データトランスポートの方向的な流れが、破線325及び点線330として示される。複数のDRUから利用可能なダウンリンクチャネルは、2つのデイジーチェーン型リング上で反対方向に流れる2つのサブセットに分けられる。アップリンクチャネルも同様にトランスポートされる。これらのチャネルは、DRUに向うデータトランスポート、及びDRUからのデータトランスポートを最大化するように2つのサブセットにグループ化される。DAUは、RFポート335A〜pを介して1つ又は複数のBTSと通信する。
【0042】
ヒューリスティックアルゴリズムが、デュアルリングDASにおいてRFチャネルデータを割り当てるのに使用され得る。
図3に関して、2つのファイバリングR1、R2(時計方向及び反時計方向)、及び独立したn≧2個のRFチャネルKi、1≦i≦n(アップリンク及びダウンリンクを含む)のセットTが存在する。チャネルKiは、ファイバリング上でトランスポートするのにb(Ki)の帯域幅を要求する。最適な帯域幅割当て(すなわち、各リングの最大の総計の帯域幅が可能な限り小さい)を有するスケジュールを獲得する時間限定アルゴリズムが、存在する。そのようなスケジューリング最適化問題を解く多数の高性能のヒューリスティックアルゴリズムが開発されている。いくつかの例が、遺伝的アルゴリズム、進化アルゴリズム、貧欲サーチ、タブーサーチ、ハーモニーサーチ、シュミレーテッドアニーリング、蟻コロニー最適化などである。簡明のため、本明細書では、2つのリングに関する単純なヒューリスティックアルゴリズムが説明されるが、リングの数は、2つに限定されない。
【0043】
このアルゴリズムは、帯域幅b(Ki)の高い順にチャネルKiを並べ替えることから始まる。その後、このアルゴリズムは、各チャネルが、総計の帯域幅が小さい方のリングに割り当てられるようにチャネルをスケジュールする。このアルゴリズムの形式的な記述は、以下のとおりである。
【0044】
入力:T=要求される帯域幅b(Ki)、1≦i≦nを有する独立したn個のチャネルKiのセット。
【0045】
出力:L
1、L
2、及びD
1、D
2。Ljは、リングRj上にスケジュールされたチャネルのセットであり、さらにD
jは、リングRjの最大の総計の帯域幅であり、
【数1】
【0047】
ステップ1(Ki及びD
1、D
2を初期設定する) b(Ki)≦b(Ki
+1)、1≦i≦n−1であるようにKiを並べ替える。D
1←0、D
2←0。
【0048】
ステップ2(チャネルをスケジュールする)
【0049】
i=1からnに関して、ステップ1を行う
【0050】
D
1≦D
2である場合、[KiをL
1上に割り当てる、D
1←D
1+b(Ki)]。
【0051】
さもなければ、[KiをL
2上に割り当てる、D
2←D
2+b(Ki)]。
【0052】
次に
図4を参照すると、本発明のさらなる代替の実施形態が理解され得る。
図1に例示される構成は、それぞれ、入力ポート110A及び110pにおいてDAU105に入る、同一のワイヤレス事業者に属する別々の2つの基地局からのダウンリンク信号を備えていた。
図4の実施形態において、第1の複合信号が、第1のDAU400に、そのDAUのRF入力ポートにおいて基地局405から入り、さらに、例えば、異なるワイヤレス事業者に属する第2の基地局410からの第2の複合ダウンリンク入力信号が、DAU415に、その第2のDAUのRF入力ポートにおいて入る。DAU400が、2つのリング420及び425を直接にサポートし、DAU415が、2つのリング430及び435を直接にサポートし、さらにリング440が、DAU400とDAU405の間で共有される。リングのそれぞれは、445で全体的に示されるデイジーチェーン型DRUを備え、さらに、
図1に関連して説明したとおり、例えば、光ファイバリンクを介して接続される。チャネルAは、チャネルBとは反対方向にトランスポートされることに留意されたい。サブセットAの中のダウンリンクチャネルは、各リング上で反時計方向にトランスポートされるのに対して、サブセットBの中のチャネルは、各リング上で時計方向にトランスポートされる。この実施形態において、第1の事業者と第2の事業者の両方に属する信号は、DAU400とDAU405が光ファイバケーブル440を介してデイジーチェーン接続されるため、変換されて、リング440上でDRU445にトランスポートされる。この実施形態は、複数のワイヤレス事業者が、DAU400、DAU415、及びDRU445から成る共通のインフラストラクチャを共有する、中立ホストワイヤレスシステムの例を与える。前述したすべてのフィーチャ及び利点は、2つのワイヤレス事業者のそれぞれのものとなる。
図4は、デイジーチェーン型に結び付けられた2つだけのDAUを例示するが、より多くの複数のDAUをデイジーチェーンすることが可能であり、さらにデイジーチェーン接続されるDAUは、DRUが接続されるのと同様の仕方でリング構成に構成されることも可能であることが、さらに認識されよう。この構成が、後出の
図8に例示される。
【0053】
2010年8月17日に出願した「Neutral Host Architecture for a Distributed Antenna System」という名称の米国特許仮出願第61/374593号に開示され、さらに、やはり本特許出願の
図1を再び参照して開示されるとおり、本発明のDRU内に存在するデジタルアップコンバータは、FDMA、CDMA、TDMA、OFDMA、及びその他を含む様々な信号フォーマット並びに変調タイプを処理するようにプログラミングされ得る。また、それぞれのDRU内に存在するデジタルアップコンバータは、前述した米国特許仮出願第61/374593号で開示されるシステムアーキテクチャの能力及び限界の対象となる様々な周波数帯域内で伝送されるべき信号に対して動作するようにプログラミングされ得る。広帯域CDMA信号が、例えば、DAU105に対する入力ポートにおける第1のキャリアに対応する帯域幅内に存在する本発明の一実施形態において、DRU125A、DRU125B、及びDRUkのアンテナポートにおける伝送される信号は、DAU105に対する入力ポートにおけるその第1のキャリアに対応する帯域幅内に存在する信号と実質的に同一である広帯域CDMA信号である。
【0054】
やはり前掲の米国特許仮出願第61/374593号において開示され、さらに本特許出願の
図1を参照しても開示されるとおり、それぞれのDRU内に存在するデジタルアップコンバータは、所望される任意の複合信号フォーマットをそれぞれのDRUアンテナポートのそれぞれに伝送するようにプログラミングされ得ることを理解されたい。例として、DRU125A内、及びDRU125B内に存在するデジタルアップコンバータは、DRU125Aのアンテナポートに存在する信号が、155Aとして
図1に示されるスペクトルプロファイルに対応するように、さらにDRU125Bのアンテナポートに存在する信号が、155Bとして
図1に示されるスペクトルプロファイルに対応するように、前述したとおり動的にソフトウェア再構成され得る。DRU能力のそのような動的再構成に関する応用例は、例えば、会社会議が、DRU125Bのカバレッジエリアに対応する企業の区域内で急に召集された場合である。
【0055】
やはり
図2を参照すると、本発明の分散型アンテナシステムの別の実施形態が、よりよく理解され得る。前述した米国特許仮出願第61/374593号において開示され、さらに
図2にも示されるとおり、この光リングトランスポート機構が、アップリンク信号に関して実施され得る。ダウンリンク信号に関して、さらに
図1を参照することによって前述したとおり、
図2に示されるアップリンクシステムは、主に、DAU105、並びにDRU125A〜125kから成る。
図1を参照して説明されるダウンリンク動作と同様に、
図2に示されるアップリンクシステムの動作は、以下のとおり理解され得る。
【0056】
DRU125A〜kの各DRU内に存在するデジタルダウンコンバータは、それぞれのDRU125A〜125kの受信アンテナポートに存在する所望される適切な信号フォーマットのアップリンク信号が、処理されて、フィルタリングされ、変換されて、さらにDAU105の適切なアップリンク出力ポートにトランスポートされるべき所望されるアップリンク帯域に基づいて選択されるように、前述したとおり、動的にソフトウェア構成される。DAU及びDRUは、コモンパブリックインターフェース標準(CPRI)を使用して、DAU及びDRUのそれぞれの無線シグネチャに対応する個々のデータパケットをフレーム化する。他のインターフェース標準も、それらの標準が、それぞれのDRUに対してデータパケットを一意に識別するという条件付きで、適用可能である。個別のデータパケットに対応するDRU及びDAUを識別するヘッダ情報が、データパケットと一緒に伝送される。
【0057】
図2に示される実施形態に関する一例において、DRU125A及び125Cが、チャネルK帯域幅内のアップリンク信号を受信するように構成されるのに対して、DRU125BとDRU125nはともに、チャネルK帯域幅内のアップリンク信号を拒否するように構成される。DRU125Cが、適切にフィルタリングされて、処理されるだけ十分に強力な信号を、DRU125Cの受信アンテナポートにおいてチャネルK帯域幅内で受信すると、DRU125C内のデジタルダウンコンバータが、処理及び変換を円滑にする。同様に、DRU125Aが、適切にフィルタリングされて、処理されるだけ十分に強力な信号を、DRU125Aの受信アンテナポートにおいてチャネルK帯域幅内で受信すると、DRU125A内のデジタルダウンコンバータが、処理及び変換を円滑にする。DRU125Aからの信号とDRU125Cからの信号は、活性信号組み合わせアルゴリズムに基づいて組み合わされ、さらにDAU105のアップリンク出力ポートに接続された基地局に供給される。サイマルキャストという用語が、チャネルK帯域幅内のアップリンク信号及びダウンリンク信号に関するDRU125A及びDRU125Cの動作を説明するのに、しばしば、使用される。柔軟性のあるサイマルキャストという用語は、本発明が、各チャネル帯域幅に関する信号組み合わせプロセスにいずれの特定のDRUが関与するかを動的に、及び/又は手動で再構成することをサポートするという事実を指す。
【0058】
やはり
図2を参照すると、DRU125A内に存在するデジタルダウンコンバータが、チャネルJ〜Q帯域幅内の信号を受信し、さらに処理するように構成されている。DRU125B内に存在するデジタルダウンコンバータが、チャネルJ、L、M、及びOの帯域幅内の信号を受信し、さらに処理するように構成されている。DRU125C内に存在するデジタルダウンコンバータが、チャネルK及びOの帯域幅内の信号を受信し、さらに処理するように構成されている。DRU125n内に存在するデジタルダウンコンバータが、チャネルJ、M、N、及びQの帯域幅内の信号を受信し、さらに処理するように構成されている。この4つのDRUの各DRU内で実行される処理からもたらされるそれぞれの高速デジタル信号が、DAUにルーティングされる。前述したとおり、この4つのDRUからのアップリンク信号は、各基地局に対応するそれぞれのDAU内で組み合わされる。
【0059】
要するに、本明細書で説明される本発明の再構成可能な分散型アンテナシステムは、リソースを効率的に節約するとともに、費用を低減する。この再構成可能なシステムは、アルゴリズムが、任意の時点でデジタルプロセッサにおけるソフトウェアのように調整され得るので、適応的である、又は手作業で、現場でプログラミング可能である。
【0060】
次に
図5を参照して、本発明の代替の実施形態が、よりよく理解され得る。各DRUが、特定の遠隔ユニットからの伝送電力に基づいて調整され得るカバレッジ半径を有する。DAUが、様々なDRUの伝送電力を制御し、さらに全体的なカバレッジ区域を最適化することができる。例示される実施形態において、やはりNOC(図示せず)の制御下にあるDAU502が、基地局501に関連付けられ、さらに3つのDRUであるDRU503、504、及び505とインターフェースをとる。モバイルデバイスを有するユーザ506に、この3つのDRUによって範囲に含まれる地域全体にわたって比較的一様なカバレッジが提供される。
【0061】
次に
図6を参照すると、さらなる代替の実施形態が、よりよく理解され得る。入力周波数帯域605〜630(
図6では、700MHz、800MHz、850MHz、1900MHz、2100MHz、及び2600MHzにおける6つの周波数帯域として表される)が、BTS(図示せず)からDAU600に入力される。DAUは、本明細書で説明される機能のなかでもとりわけ、各帯域に関するRF IN部分と、所望されるカバレッジを実現するために3つの別々のリング635、640、及び645上でデイジーチェーン接続された、DRU1〜DRU60として示される複数のDRUに周波数帯域を分配するためのデジタル分配マトリックスとを含む。これらの周波数帯域は、DRUのすべてに、又はサブセットにトランスポートされる。周波数帯域、DAU、DRU、及びリングの特定の数は、単に例示的であり、実際には、ネットワークのパフォーマンス能力及びニーズに適切な任意の数であり得る。
【0062】
次に
図7を参照して、DAU及びDRUに組み込まれた、これらのデバイスの重要な機能の動作を制御するソフトウェアが、よりよく理解され得る。詳細には、DAUに組み込まれたソフトウェア制御モジュール700が、DAU管理制御モジュール705と、DAU監視モジュール710とを備える。DAU管理制御モジュール705は、NOC715と通信し、さらにDAU監視モジュール710と通信する。1つのそのような重要な機能が、所望される容量、及び所望されるスループット目標を実現するように特定のDRU、又は特定のグループのDRUに割り当てられる無線リソース(RFキャリア、CDMA符号、又はTDMAタイムスロットなど)の適切な量を決定すること、及び/又は設定することである。前述したとおり、NOC715が、少なくとも一部の実施形態において、DAS動作を監視し、さらにDRU及びDAUの様々な機能を構成するためにDAUにコマンドを送る。
【0063】
DAU監視モジュールは、他の機能に加えて、各DRUに関していずれのキャリア、及び対応するタイムスロットが活性であるかを検出する。DAU管理制御モジュールが、制御プロトコルにより光ファイバリンク制御チャネルを介して、DRUに組み込まれたソフトウェア制御モジュール720と通信する。或る実施形態において、この制御プロトコルは、制御情報とデータがともにメッセージとして一緒にDRUに伝送されるように、ヘッダとともに、データのパケットを備える。DRUにおいてヘッダが制御するDRU機能又はDRUフィーチャは、通常、実施形態特有であり、とりわけ、アップリンク電力及びダウンリンク電力を測定すること、アップリンク及びダウンリンクの利得を測定すること、及びDRUにおけるアラームを監視すること含み得る。
【0064】
DRUに組み込まれたソフトウェア制御モジュール内のDRU管理制御モジュール725は、特定の無線リソースが特定のDRU、又は特定のDRUのグループによって伝送されることを有効にするように、又は無効にするようにすべてのDRUデジタルアップコンバータ730の個々のパラメータを設定し、さらに特定の無線リソースが特定のDRU、又は特定のDRUのグループによって伝送されることを有効にするように、又は無効にするようにすべてのDRUデジタルダウンコンバータ735の個々のパラメータをやはり設定する。さらに、DRUに組み込まれたソフトウェア制御モジュールは、DRUパイロットビーコン745と通信するDRUパイロットビーコン制御モジュール740を備える。
【0065】
次に
図8を参照すると、DAUのデイジーチェーン型構成の実施形態が、DRUのデイジーチェーン型構成と一緒に例示されている。或る実施形態において、複数の基地局800A〜800nがそれぞれ、DAU805A〜nの1つに関連付けられる。これらのDAUは、デイジーチェーン接続され、さらに各DAUは、リング構成に配置されることも、そのように配置されないことも可能なDRUの1つ又は複数のデイジーチェーン810A〜810mと通信する。DAUは、前述したとおり、リング構成に構成されることも可能であることが認識されよう。
【0066】
各DRUに関して、いずれのキャリアが活性であり、各キャリアに関するいずれの対応するタイムスロットが活性であるかを検出するDAU監視モジュール内で動作するアルゴリズムが、例えば、或る特定のダウンリンクキャリアの負荷のパーセンテージが、或る所定のしきい値を超えると、そのことを識別するのに役立つ情報をDAU管理制御モジュールに供給し、この値は、DAUの遠隔監視−制御機能715によってDAU管理制御モジュールに通信される。そのような情報が供給されると、DAU管理制御モジュールは、通常、ただし、必然的にではなく、ゆっくりと、さらなる無線リソース(RFキャリア、CDMA符号、又はTDMAタイムスロットなど)を、それらの無線リソースをカバレッジ地域内で必要とする特定のDRUによって使用されるように展開しはじめるよう、システム構成を適応的に変更することができる。同時に、通常、DAU管理制御モジュールは、やはり通常、ゆっくりと、或る特定のDRUが使用するためのいくつかの無線リソース(RFキャリア、CDMA符号、又はTDMAタイムスロットなどの)を、そのDRUがそれらの無線リソースをカバレッジ地域内でもはや必要としない場合に、除去しはじめるよう、システム構成を適応的に変更する。
【0067】
本発明は、好ましい実施形態に関連して説明されてきたものの、本発明は、本発明の説明される詳細に限定されないことが理解されよう。様々な代替形態及び変形形態が、以上の説明において示唆されており、さらに他の形態が、当業者には思い浮かべられよう。したがって、すべてのそのような代替形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に包含されることが意図される。