特許第6405354号(P6405354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405354
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】時計ブレスレット
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/00 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   A44C5/00 D
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-200672(P2016-200672)
(22)【出願日】2016年10月12日
(65)【公開番号】特開2017-109078(P2017-109078A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2016年10月12日
(31)【優先権主張番号】15200076.6
(32)【優先日】2015年12月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507276380
【氏名又は名称】オメガ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】セドリック・ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリ・フォスティニス
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−040175(JP,A)
【文献】 実開昭60−015693(JP,U)
【文献】 特表2003−514231(JP,A)
【文献】 特開平07−012965(JP,A)
【文献】 米国特許第03488565(US,A)
【文献】 特開平07−322905(JP,A)
【文献】 特開2010−035797(JP,A)
【文献】 特開平07−225285(JP,A)
【文献】 特開昭62−194431(JP,A)
【文献】 特開2015−138476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00−5/24
G04B 1/00−99/00
G04C 1/00−99/00
G04G 3/00−99/00
G04R 20/00−60/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計ケース(8)のためのブレスレット又はストラップであって、前記ブレスレット又はストラップは、第1の印刷回路部分(4)を内部に収容する第1のアーム(58)、及び第2のアーム(60)を備え、前記第1のアーム(58)は、中央部(6)によって延在し、前記中央部(6)は、前記時計ケース(8)の下に位置するように構成し、電気接続手段によって前記第1の印刷回路部分(4)に接続した第2の印刷回路部分(10)を含み、前記第1の印刷回路部分(4)は、少なくとも1つの電気エネルギー源(38)及びマイクロコントローラ(30)を保持し、圧力センサ(32)に給電し、前記圧力センサ(32)を制御し、前記中央部(6)は、前記時計ケース(8)のための座として働くように構成した挿入体(16)によって覆い、前記圧力センサ(32)を内部に配置する筐体(50)は、前記挿入体(16)内に設け、外部と連通し、前記圧力センサ(32)を周囲媒体と接触する状態にすることを可能にし、前記圧力センサ(32)は、前記第2の印刷回路部分(10)上に組み付け、封止ガスケット(54)を前記筐体(50)と前記第2の印刷回路部分(10)との間に挿入する、ブレスレット又はストラップ。
【請求項2】
前記挿入体(16)は、前記時計ケース(8)が保持する2つのそれぞれの対のホーン(42)の間に配置するように構成した2つの案内要素(44)を含み、前記案内要素(44)はそれぞれ、ピン(48)を通す穴(46)が開けられ、前記ブレスレット(1)を前記時計ケース(8)に取り付けることを可能にし、前記圧力センサ(32)を内部に配置する前記筐体(50)は、前記案内要素(44)のうち1つの内部に配置し、前記対応するピン(48)を通す前記穴(46)に開口し、前記穴(46)は、前記穴(46)の周辺部の一部に、局所直径増大部(52)を有し、前記圧力センサ(32)を前記周囲媒体と接触する状態にすることを特徴とする、請求項1に記載のブレスレット。
【請求項3】
前記第2のアーム(60)内部に収容し、少なくとも1つの他の電子構成要素を保持する第3の印刷回路部分(28)は、前記第1のアーム(58)内部に収容した前記第1の印刷回路部分(4)に、前記第2の印刷回路部分(10)を介して接続することを特徴とする、請求項1又は2に記載のブレスレット。
【請求項4】
前記第1の印刷回路部分(4)、前記第2の印刷回路部分(10)及び前記第3の印刷回路部分(28)は、一体に作製することを特徴とする、請求項3に記載のブレスレット。
【請求項5】
前記中央部(6)は、少なくとも1つの弓形部分(78)を含むことを特徴とする、請求項3又は4に記載のブレスレット。
【請求項6】
前記第1のアーム(58)及び前記第2のアーム(60)は、前記第1の印刷回路部分(4)及び前記第3の印刷回路部分(28)によって形成し、前記第1の印刷回路部分(4)及び前記第3の印刷回路部分(28)は、第1のオーバーモールド層(56)で被覆することを特徴とする、請求項3から5のうちいずれか一項に記載のブレスレット。
【請求項7】
前記挿入体(16)も前記第1のオーバーモールド層(16)で被覆することを特徴とする、請求項6に記載のブレスレット。
【請求項8】
前記ブレスレット(1)は、接続部(68)によって互いに接続した第1のストランド(64)及び第2のストランド(66)から形成したスリーブ(62)を含み、前記第1のストランド(64)及び前記第2のストランド(66)は、中空であり、それぞれ開口(70)を備え、前記第1のアーム(58)及び前記第2のアーム(60)が前記開口(70)の中で摺動できるようにすることを特徴とする、請求項6又は7に記載のブレスレット。
【請求項9】
前記スリーブ(62)は、前記スリーブ(62)の周縁部(76)に沿って互いに接合する上側バンド(72)及び下側バンド(74)から形成することを特徴とする、請求項8に記載のブレスレット。
【請求項10】
前記ブレスレット(1)は、第2のプラスチック又はエラストマ材料でオーバーモールドすることを特徴とする、請求項6又は7に記載のブレスレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計ブレスレット又はストラップに関する。より詳細には、本発明は、少なくとも1つの電子機能を実施するように構成した1つ又は複数の電子構成要素を中に収容する時計ブレスレットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の市場にはコネクテッド・ウォッチ(connected watch)に関する強力な傾向があり、こうしたコネクテッド・ウォッチとは、1つ又は複数の電子機能を有し、例えばスマート・フォン型の携帯電話と通信可能なものである。しかし、コネクテッド・ウォッチの場合、そのような時計の美的外観、時間の計測及び不浸透性といった品質ではなく、そのような時計がユーザに提供する一連の電子機能がより重要視される。したがって、現在市場で入手可能なコネクテッド・ウォッチは、外観が魅力的ではなく、比較的壊れやすい物体であり、これらを日常的に使用するには、ユーザの側で多大な注意を必要とする。
【0003】
利用可能な電子機能のうち、ユーザが、潜水パラメータ(潜水時間、到達深度、温度)を記憶させ、次に、自分の潜水履歴をスマート・フォン又はパーソナル・コンピュータ内に保存することを可能にする圧力センサの提供を想定することができる。圧力センサは、時計ブレスレットの内部に収容するため、機械式であっても、電気式であっても、電気機械式であってもよい計時器ムーブメントを収容する時計ケースを修正する必要をなくすことができる。したがって、時計ケースは、当該発明のブレスレットの追加により、その美的外観、不浸透性及び時間の計測に対する特性の全てを維持する一方で、ユーザに更なる電子機能を提供する。
【0004】
しかし、圧力センサをブレスレット内に組み込むと、ある問題を引き起こす。実際、圧力センサは、圧力を測定すべき媒体と接触させなければならない。したがって、ダイバーズ・ウォッチの場合、圧力センサは、水と接触させなければならず、このことは特に封止の点で深刻な問題を引き起こす。実際、圧力センサをブレスレットの内部に収容する場合、圧力センサが水と接触できるようにオリフィスをブレスレットの中に設けなければならない。コネクテッド・ウォッチのブレスレット又はストラップは、通常、エラストマ製であり、したがって、オリフィスは、エラストマ材料の成形の際に作り出すか、又は成形後エラストマ材料に切れ目を入れなければならない。どちらの場合も、このことは、様々なブレスレット構成要素に対し非常に正確な位置決めを必要とし、工業生産の場合に達成が非常に困難であり、オリフィスを典型的には接合によって封止しなければならないことを意味し、これにより、長期信頼性に対する問題が引き起こされる。実際、ブレスレットは、ユーザの手首の形状及び動きに適合させるため、絶えず曲げ及びひねりの動作にさらされ、水中潜水の間、高い圧力にさらされる。したがって、オリフィスは、その不浸透性を失う危険性があり、これにより、時計ブレスレットの内部に収容した電子構成要素を破壊するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水中潜水パラメータを測定する機能を可能にし、時計ケースと関連付けたブレスレット又はストラップを提供することによって、これら及び他の問題を克服することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的で、本発明は、時計ケースのためのブレスレット又はストラップに関し、ブレスレット又はストラップは、第1の印刷回路部分を内部に収容する第1のアーム、及び第2のアームを備え、第1のアームは、中央部によって延在し、中央部は、時計ケースの下に位置するように構成し、電気接続手段によって第1の印刷回路部分に接続した第2の印刷回路部分を含み、第1の印刷回路部分は、少なくとも1つの電気エネルギー源及びマイクロコントローラを保持し、圧力センサに給電し、これを制御し、中央部は、時計ケースのための座として働くように構成した硬質挿入体によって覆われ、圧力センサを内部に配置する筐体は、挿入体内に設け、外部と連通し、圧力センサを周囲媒体と接触する状態にすることを可能にし、圧力センサは、第2の印刷回路部分上に組み付け、封止ガスケットは、筐体と第2の印刷回路部分との間に挿入する。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、第2のアーム内部に収容し、少なくとも1つの他の電子構成要素を保持する第3の印刷回路部分は、第1のアーム内部に収容した第1の印刷回路部分に、第2の印刷回路部分を介して接続する。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、第1の印刷回路部分、第2の印刷回路部分及び第3の印刷回路部分は、一体に作製する。
【0009】
本発明のまた別の実施形態によれば、中央部は、少なくとも1つの弓形部分を備える。
【0010】
これらの特徴により、本発明は、水中潜水の間圧力を測定する圧力センサを内部に収容する、時計ケースのためのブレスレット又はストラップを実現する。圧力センサを挿入体の内部に収容することにより、センサに硬質な筐体を与え、この筐体は、単純な封止ガスケットにより不浸透性にすることができる。したがって、このことは、ブレスレットの内部に収容した電子及び電気構成要素が、水の進入によって損傷又は破壊されるという危険性を取り除く。更に、圧力センサは、圧力センサを第2の印刷回路部分に単に固定し、次に挿入体を適切な方向で置き、第2の印刷回路シートを挿入体で覆うことによって組み付けられ、圧力センサが挿入体内部に配置した筐体に入り込むことを保証する。したがって、圧力センサを組み付ける作業は、非常に単純で、容易に自動化できることに留意されたい。最後に、圧力センサは、挿入体内に配置した筐体を介して水と接触する状態にするため、ここでも、水圧の影響により損傷する危険性、又はブレスレットの変形の危険性がない。
【0011】
ブレスレットが摩耗した場合、又はブレスレットが収容する電気エネルギー源が消耗した場合、ブレスレットは、新たなブレスレットと容易に交換することができる。当然、一変形形態によれば、電気エネルギー源は、充電可能又は交換可能なものであってもよい。
【0012】
本発明の更なる利点によれば、印刷回路シートが2つのブレスレット・ストランド内に配設されること、及びこれらの印刷回路シートが互いに電気的に接続されることにより、ブレスレットの内部に収容する電子構成要素の数を増大可能にし、したがってユーザが利用可能な電子機能の数を増大可能にするか、又は電子構成要素を最適な様式で2つのブレスレット・ストランドの間に分散可能にすることを意味する。
【0013】
本発明の他の特性及び利点は、本発明によるブレスレットの一実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。この例は、添付の図面を参照する単なる非限定的な例示として示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】非組立て状態における、本発明によるブレスレットの斜視図であり、第1の印刷回路シートは、時計ケースの下に位置するように構成した中央部を介して第3の印刷回路シートに接続し、この中央部は、第1の印刷回路シートと第3の印刷回路シートとの間の電気的な導通を保証する手段を含み、時計ケースの座として働く硬質挿入体によって覆う。
図2図1と同様の図であり、第1の印刷回路シート及び第3の印刷回路シートは、プラスチック又はエラストマ材料の第1の層でオーバーモールドされる。
図3A図2のブレスレットの長手方向軸に沿った垂直断面図である。
図3B図3Aの円で囲んだ領域のより大きな縮尺図である。
図4図2のブレスレットを中に挿入するスリーブの図である。
図5A】ケースの図であり、図4のスリーブは、本発明の一実施形態によるブレスレットを間に配置する上側バンド及び下側バンドを含み、上側バンド及び下側バンドは、それらの周縁部に沿って例えば縫い合せ又は熱溶接によって互いに組み付けられる。
図5B】ケースの図であり、図4のスリーブは、本発明の一実施形態によるブレスレットを間に配置する上側バンド及び下側バンドを含み、上側バンド及び下側バンドは、それらの周縁部に沿って例えば縫い合せ又は熱溶接によって互いに組み付けられる。
図6】ケースの図であり、中央部は、第1の印刷回路部分と第3の印刷回路部分とを互いに電気的に接続する導電性経路を保持するための唯一の弓形部分を有する。
図7】挿入体を案内する要素のうちの1つのより大きな縮尺詳細図であり、挿入体の内部に、封止ガスケットを挿入した圧力センサを収容する。
図8】他の案内要素のより大きな縮尺詳細図であり、案内要素の内部に、点光源によって生成した光を外部に向けて伝える案内部を収容する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、時計ムーブメント、好ましくは、限定はしないが機械式ムーブメントを収容する時計ケースを、ブレスレット又はストラップと関連付けることにある大まかな発明的発想から進行するものであり、ブレスレット又はストラップの厚さ部の中に、少なくとも1つの電気エネルギー源及びマイクロコントローラを収容し、水中潜水測定センサに給電し、これを制御する。この圧力センサは、ユーザが自分の潜水履歴(潜水時間、深度、温度)を保存し、次に、その情報を携帯電話又はパーソナル・コンピュータに転送可能にしなければならならない。この目的で、本発明によるブレスレットは、第1の印刷回路部分を内部に収容した第1のアームを含み、第1のアームは、時計ケースの下に位置するように構成した中央部によって延在し、中央部は、電気接続手段によって第1の印刷回路部分に接続した第2の印刷回路部分を含む。第1の印刷回路部分は、少なくとも1つの電気エネルギー源及びマイクロコントローラを保持し、圧力センサに給電し、これを制御する一方で、中央部は、時計ケースの座として働く硬質挿入体によって覆われ、硬質挿入体の中に、ブレスレットを時計ケースに固定可能にする棒を案内する2つの要素を配置する。これらの案内要素のうち1つの厚さ部内に、圧力センサを内部に配置する筐体を設ける。この筐体は、中央部の一方の側で開口し、圧力センサを第2の印刷回路部分に固定することを可能にし、もう一方の側で、ピンを通す穴に開口し、圧力センサを水と連通する状態にする。単純な封止ガスケットにより、ブレスレット内部に収容した電子構成要素を水から効率的に隔離することができる。更に、圧力センサは硬質筐体の中に配設するので、ブレスレットをユーザの手首に装着したときにブレスレットが受ける変形により圧力測定システムが損傷する危険性がない。
【0016】
図1は、非組立て状態における、本発明の一実施形態によるブレスレットの斜視図である。全体参照番号1により全体が指定されたこのブレスレットは、第1の印刷回路部分4から形成した印刷回路シート2を含み、第1の印刷回路部分4は、時計ケース8の下に位置するように構成した中央部6によって延在し、中央部6は、電気接続手段によって第1の印刷回路部分4に接続した第2の印刷回路部分10を含み、電気接続手段は、第1の印刷回路部分4と第2の印刷回路部分10との間の電気的な導通を保証する。
【0017】
第2の印刷回路部分10は、第1の印刷回路部分4から電気的に分離することができる。しかし、そのような場合、第1の印刷回路部分4と第2の印刷回路部分10との間に、ワイヤ等の電気接続手段を設けることが必要であるため、必ずしも、それほど好都合でも、それほど安全でもないと思われる。というのは、本発明の好ましい実施形態によれば、第1の印刷回路部分4及び第2の印刷回路部分10は、一体に作製するためである。したがって、中央部6は、印刷回路シートの一部分から形成されることになり、この一部分の上に、第1の印刷回路部分4との電気的な導通を保証する導電性経路(複数可)を構成する。
【0018】
図示のように、特に図1では、ほぼ環形状である中央部6は、2つの弓形部分6a及び6bから形成し、2つの弓形部分6a及び6bは、時計ケース8の外径に実質的に対応する外径を画定し、時計ケース8は、ケース中板12及びケース裏蓋14によって範囲を定める。時計ケース8は、中央部6の上に配置することを意図し、挿入体16を時計ケース8と中央部6との間に挿入する。この挿入体16は、硬質リング18を含み、硬質リング18の形状は、中央部6の形状と同様であり、硬質リング18は、接着剤接合等のあらゆる適切な手段によって中央部6に取り付けられる。この硬質リング18は、中央部6に剛性及び機械的強度を与え、時計ケース8の座として働く。中央部6は、そのリング形状のために、時計ケース8のケース裏蓋14を見えたままにすることを理解されたい。
【0019】
次に、ブレスレット1の長手方向に沿って延在する平面の断面図である図3Aをより詳細に参照して、本発明の一実施形態によるブレスレット1を考察する。この図により示すように、時計ケース8は、一組の針、即ち時針22a及び分針22bを駆動する時計ムーブメント20を収容する。これらの時針22a及び分針22bは、文字板24の上で移動し、ガラス26によって覆われる。
【0020】
時計ケース8の内部に収容した時計ムーブメント20は、あらゆる種類のものであり得ると理解することが重要である。時計ムーブメント20は、単なる機械式ムーブメントであっても、単なる電気式ムーブメントであっても、電気機械式ムーブメントであってもよい。実際、時計ムーブメント20の機械的又は電気的な性質は、時計ケース8が本発明によるブレスレット1から完全に独立し且つそのようなブレスレット1の追加が時計ケース8の内部に収容した様々な構成要素に対し何ら修正を必要としないことを考えれば、本発明の目的にとって重要ではない。
【0021】
したがって、本発明は、時計ムーブメント20が機械式ムーブメントである場合に特に有利であることを上記から理解されよう。実際、そのような単なる機械式時計ムーブメント20を収容する時計ケース8に本発明のブレスレット1を追加すると、美的外観、機械的品質及び時計ケース8の封止を損なわずに、ユーザに前例のない電子機能を提供することを可能にする。
【0022】
上述のように、本発明の一実施形態によるブレスレット1は、好ましくは中央部6と一体に作製した第1の印刷回路部分4から形成した印刷回路シート2を含み、中央部6は、第2の印刷回路部分10を含み、第2の印刷回路部分10の上に、第1の印刷回路部分4との電気的な導通を保証する導電性経路(複数可)を構成する。印刷回路のそのような構成が、本発明の目的で十分であることは、本明細書の後で明らかになるであろう。しかし、本発明の好ましい実施形態によれば、ブレスレット1は、第3の印刷回路部分28を含み、第3の印刷回路部分28は、中央部6を介して第1の印刷回路部分4に電気的に接続し、中央部6と一体に作製される。そのような構成は、多数の利点を有し、とりわけ、以下のことを述べることができる:より多くの電子構成要素をブレスレット内に有するため、ユーザが利用可能な電子機能の数を増大することができる、又は電子構成要素を最適な様式で2つのブレスレット・ストランドの間に分散することができる。特に、電気エネルギー源(複数可)を印刷回路シートのうち1つの上に組み付け、もう一方の印刷回路シート上に電子構成要素を組み付けるという想定が可能である。より多くの空間を利用可能にすることで、設計者が人間工学、及びユーザとブレスレットとの間の対話を最適にすることも理解されよう。
【0023】
図3Aの考察によって示すように、圧力センサ32、加速度計34及び磁気センサ36を制御するマイクロコントローラ30等の電子構成要素は、第3の印刷回路部分28の表面に組み付けられる。これらの電子構成要素は、電気エネルギー源38により給電され、電気エネルギー源38も、第3の印刷回路部分28上に組み付けられ、プッシュボタン39によって覆われる。同様に、別のプッシュボタン39によって覆われた電気エネルギー源38及び別のマイクロコントローラ30は、第1の印刷回路部分4の表面に組み付けられる。最後に、例えばブルートゥース(登録商標)、Wi−Fi又はNFCインターフェースの使用により別のデバイスと通信可能な集積回路40は、第3の印刷回路部分28上に組み付けられる。
【0024】
図1の考察は、特に、時計ケース8が2対の直径方向に対向するホーン42を含み、時計ケース8を挿入体16の上に配置すると挿入体16がそれぞれの対のホーン42の間に配置されるように構成した2つの案内要素44を含むことを示す。これら2つの案内要素44はそれぞれ、ブレスレット1を時計ケース8に取り付けるピン48を通すための穴46が開けられる。
【0025】
本発明によれば、図3B及び図7で特にわかるように、案内要素44のうち1つの厚さ部の内部に設けた筐体50は、圧力センサ32を収容することができる。この筐体50は、中央部6上の一方の側で開口し、圧力センサ32を第2の印刷回路部分10に固定し、マイクロコントローラ30に接続することを可能にし、もう一方の側で、ピン48を通す穴46に開口し、圧力センサ32を水と連通する状態にする。実際、ピン48を通す穴46は、局所直径増大部52を有し、局所直径増大部52は、ピン48の適切な案内を妨げずに、水を圧力センサ32と接触させる経路をもたらすことがわかる。単純な封止ガスケット54は、筐体50を封止し、ブレスレット1内部に収容した電子構成要素を水から効率的に隔離する。更に、圧力センサ32は硬質筐体50の内部に配設するので、ブレスレット1をユーザの手首に装着したときにブレスレット1が受ける変形により圧力測定システムが損傷する危険性がない。圧力センサ32は、例えばMeasurement Specialities Incが照会番号MS5837−30BAで販売するセンサである。このセンサは、圧電抵抗圧力センサであり、その圧力感知要素は、ホイートストン・ブリッジ内に組み付けた応力ゲージによって形成され、センサ出力信号を最大にし、測定誤差に対する感度を最小にする。
【0026】
全ての電子構成要素を印刷回路部分2上に組み付け、挿入体16を中央部6上に適切に配置したとき、この組立体は、プラスチック又はエラストマ材料の第1の層56でオーバーモールドし、第1のアーム58及び第2のアーム60を形成するようにする(図4を参照)。この第1のオーバーモールド層56の目的は、第1の印刷回路部分4及び第3の印刷回路部分28上に組み付けた電子構成要素を外部の攻撃から保護し、得られたアーム58及び60に形状及び機械的強度を与えることである。好ましくは、オーバーモールド作業時に棒48をホーン42及び案内要素44に通して係合し、穴46がオーバーモールド材料で詰まらないようにする。
【0027】
ブレスレット1は、オーバーモールド作業から得られ、挿入体16により覆われた中央部6によって互いに接続した2つのアーム58及び60を含み、ブレスレット1の厚さ部の中に、所望の電子機能(複数可)の実行に必要な電子構成要素を収容するものであるが、最後に、このブレスレット1をスリーブ62内部に摺動する。図4に示す例では、スリーブ62は、接続部68によって互いに接続した第1のストランド64及び第2のストランド66を含み、接続部68は、挿入体16によって覆われたブレスレット1の中央部6を受け入れるようにサイズ及び形状を適合させる。このスリーブ62は、例えばエラストマ材料を成形又は射出成形する一方で、第1のストランド64及び第2のストランド66が中空でありそれぞれが開口70を備えることを保証することによって得られ、2つのアーム58及び60がスリーブ62の中を摺動できるようにする。図5A及び図5Bに示す変形実施形態によれば、スリーブ62は、本発明によるブレスレット1を間に配置する上側バンド72及び下側バンド74を含み、上側バンド72及び下側バンド74は、それらの周縁部76に沿って例えば縫い合せ又は熱溶接によって互いに組み付けられる。
【0028】
言うまでもなく、本発明は、たった今説明してきた実施形態に限定するものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義する本発明の範囲から逸脱することなく、当業者により様々な単純な修正形態及び変形形態を想定することができる。特に、スリーブ62に対する可能な代替形態は、本発明によるブレスレット1を第2のオーバーモールド作業にかけることと思われ、この第2のオーバーモールド作業は、2つのアーム58、60、及び2つのアーム58、60を接続する中央部6を覆うことを目的とし、第2のプラスチック又はエラストマ材料の層は、第1のオーバーモールド層56に使用した材料と同じであっても、異なっていてもよい。また、図6に示すように、中央部6は、第1の印刷回路部分4及び第3の印刷回路部分28を互いに電気的に接続する導電性経路を保持する唯一の弓形部分78を有することができる。案内要素44のどちらかに設けられた切欠き80は、圧力センサを収容せず、透明な光案内部82を収容することができ、この透明な光案内部82の下に、発光ダイオード等の点光源84を配設し、この点光源84は、第2の印刷回路部分10上に固定され、電気エネルギー源38による電流を供給することにも留意されたい(図8)。点光源84は、色分けにより圧力センサ32の動作状態を表示することができる。最後に、プッシュボタン39を押すことにより、例えば、水中潜水の間、マイクロコントローラ30に圧力の測定を開始するように命令するか、又は集積回路40を介して、水中潜水に関連するデータを携帯電話若しくはパーソナル・コンピュータ等の遠隔デバイスに転送するように命令することが可能であることに留意されたい。マイクロコントローラ30の適切なプログラムにより、マイクロコントローラ30が、例えばプッシュボタン39の短押しと長押しとの間の区別、又は1度押しと2度押しとの間の区別を可能にできることに留意されたい。ブレスレット1が2つのプッシュボタン39を備える場合、2つのプッシュボタンを組み合わせて押すことを用いて、本発明によるブレスレット1に命令を入力することを想定することさえ可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ブレスレット
2 印刷回路シート
4 第1の印刷回路部分
6 中央部
6a 弓形部分
6b 弓形部分
8 時計ケース
10 第2の印刷回路部分
12 ケース中板
14 ケース裏蓋
16 挿入体
18 硬質リング
20 時計ムーブメント
22a 時針(一組の針)
22b 分針(一組の針)
24 文字板
26 ガラス
28 第3の印刷回路部分
30 マイクロコントローラ
32 圧力センサ
34 加速度計
36 磁気センサ
38 電気エネルギー源
39 プッシュボタン
40 集積回路
42 対のホーン
44 案内要素
46 穴
48 ピン
50 筐体
52 直径増大部
54 封止ガスケット
56 第1の層
58 第1のアーム
60 第2のアーム
62 スリーブ
64 第1のストランド
66 第2のストランド
68 接続部
70 開口
72 上側バンド
74 下側バンド
76 周縁部
78 弓形部分
80 切欠き
82 透明な光案内部
84 点光源
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8