特許第6405371号(P6405371)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6405371ジアルキル2,5−フランジカルボキシレート可塑剤及び可塑化ポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405371
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】ジアルキル2,5−フランジカルボキシレート可塑剤及び可塑化ポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08K 5/1535 20060101AFI20181004BHJP
   C08K 5/1515 20060101ALI20181004BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20181004BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20181004BHJP
   C08L 27/06 20060101ALI20181004BHJP
   H01B 7/17 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   C08K5/1535
   C08K5/1515
   C08L63/00 C
   C08L101/00
   C08L27/06
   H01B7/17
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-516675(P2016-516675)
(86)(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公表番号】特表2016-524641(P2016-524641A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】US2014037624
(87)【国際公開番号】WO2014193635
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2017年5月8日
(31)【優先権主張番号】61/828,222
(32)【優先日】2013年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】バーラト・アイ・チャウダリー
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−503120(JP,A)
【文献】 特表2013−503125(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/113607(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/113608(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/113609(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 5/1535
C08K 5/1515
C08L 1/00 −101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートからなる第1の可塑剤構成成分と、
エポキシ化天然油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、第2の可塑剤構成成分と、を含む可塑剤であって、
22℃及び1大気圧で液体であり、
前記第2の可塑剤構成成分が前記可塑剤全体の重量に対し、30〜90重量%の量で存在する、前記可塑剤。
【請求項2】
前記ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートは、以下の構造を有し、
【化1】


式中、R及びRは、独立して、任意の直鎖、分岐、環式、飽和、または不飽和のC〜C20アルキル基である、請求項1に記載の前記可塑剤。
【請求項3】
及びRは、独立して、飽和、直鎖、または分岐のC〜C13アルキル基から選
択される、請求項2に記載の前記可塑剤。
【請求項4】
前記エポキシ化天然油は、エポキシ化大豆油である、請求項1〜のいずれか1項に記載の前記可塑剤。
【請求項5】
前記エポキシ化脂肪酸アルキルエステルは、エポキシ化脂肪酸メチルエステルである、請求項1〜のいずれか1項に記載の前記可塑剤。
【請求項6】
ポリマーと、
請求項1〜のいずれか1項に記載の可塑剤と、を含む、可塑化ポリマー組成物。
【請求項7】
前記ポリマーは、ポリ塩化ビニルである、請求項に記載の前記組成物。
【請求項8】
前記可塑剤は、前記可塑化ポリマー組成物の総重量に対し10〜80重量パーセントの範囲の量で存在し、前記ポリマーは、前記可塑化ポリマー組成物の総重量に対し20〜90重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項または請求項のいずれかに記載の前記組成物。
【請求項9】
導電性コアと、前記導電性コアの少なくとも一部を取り囲むポリマー層とを含む被覆導体であって、請求項のいずれか1項に記載の前記可塑化ポリマー組成物が、前記ポリマー層を構成する、前記被覆導体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2013年5月29日に出願された米国仮出願第61/828,222号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明の種々の実施形態は、1つ以上のジアルキル2,5−フランジカルボキシレートを含む可塑剤及びそれを用いて調製される可塑化ポリマー組成物に関する。
【0003】
可塑剤は、弾性率及び引張強度を低下させ得るポリマー樹脂に添加される化合物または化合物の混合物であり、これらが添加された樹脂(典型的には熱可塑性ポリマー)の可撓性、伸度、衝撃強度、及び引裂強度を増加させる。可塑剤はまた、ポリマー樹脂のガラス転移温度を低下させることもでき、これは、ポリマー樹脂の加工性を向上させる。
【0004】
フタル酸ジエステル(「フタル酸塩」としても知られる)は、可塑剤として、ポリ塩化ビニル(「PVC」)及び他のビニルポリマーから形成されるポリマー生成物等の、多くの可撓性ポリマー生成物において一般的に使用される。フタル酸塩可塑剤の実施例としては、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジアリル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、及びフタル酸ジイソデシルが挙げられる。
【0005】
フタル酸塩可塑剤は、近年フタル酸塩の環境への悪影響及びフタル酸塩に曝露されたヒトの健康に対する潜在的悪影響について懸念する公益団体による、厳重な検査の対象となっている。したがって、フタル酸塩可塑剤の適した代替品が所望される。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態は、可塑剤であり、本可塑剤は、
ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートからなる第1の可塑剤構成成分と、
エポキシ化天然油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される第2の可塑剤構成成分と、を含み、
該可塑剤は、22℃及び1大気圧で液体である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の種々の実施形態は、ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートを含む可塑剤に関する。これらの可塑剤はまた、場合によっては、エポキシ化天然油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル、またはそれらの両方を含み得る。かかる可塑剤は、ポリマー樹脂と組み合わせて可塑化ポリマー組成物を生成することができ、次いでこれを種々の製品に使用することができる。
【0008】
可塑剤
本開示は、ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートを含む可塑剤を提供する。一実施形態では、可塑剤はフタル酸塩非含有、または、さもなければフタル酸塩混入がないか、または実質的に有さない。更に、かかる可塑剤は、トリメリテート混入がないかまたは実質的に有さない場合がある。ここで使用される「実質的に有さない」とは、重量あたり1,000万分以下の濃度を意味する。
【0009】
ここに提供される可塑剤は、下記構造を有するジアルキル2,5−フランジカルボキシレートを含み、
【0010】
【化1】
【0011】
式中、R及びRは、独立して、アルキル基である。ここで使用される「アルキル」とは、炭化水素から水素原子を取り除くことにより生成される1価の基を示す。1つ以上の実施形態では、R及びRは、同一のアルキル基であり得る。一実施形態では、R及びRは、独立して、任意の飽和または不飽和、直鎖、分岐、または環式のC〜C20(すなわち、1〜20の炭素原子を有する)、C〜C12、またはC〜C13アルキル基になり得る。種々の実施形態では、R及びRはそれぞれ、飽和、直鎖、または分岐のC〜C13アルキル基である。1つ以上の実施形態では、R及びRは、分岐のC10〜C13アルキル基から選択される。種々の実施形態では、R及びRは、同一のアルキル基である。R及びRとしての使用に適したアルキル基の具体的な実施例としては、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、イソトリデシル、及びトリデシルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、R及びRはそれぞれ、イソトリデシルアルキル基である。他の実施形態では、R及びRはそれぞれ、n−デシル基である。
【0012】
種々の実施形態では、可塑剤は、ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートの混合物を含む場合があり、アルキル基R及びRは、2つ以上の異なる構造を含む。例えば、種々の実施形態では、可塑剤は、ジデシル2,5−フランジカルボキシレート、ジオクチル2,5−フランジカルボキシレート、及びビス(2−エチルヘキシル)2,5−フランジカルボキシレートを含む、ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートの混合物を含む場合がある。更に、可塑剤は、2−エチルヘキシル、オクチル、及びデシル基から選択されたアルキル基を有するアルキル2,5−フランジカルボキシレートの混合物を含む場合がある。かかる混合物は、ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートを含む場合があり、R及びRは、同一または異なることを理解されたい。例えば、かかる混合物としては、以下の分子が挙げられる。(1)ジデシル2,5−フランジカルボキシレート、(2)ジオクチル2,5−フランジカルボキシレート、(3)ビス(2−エチルヘキシル)2,5−フランジカルボキシレート、(4)デシルオクチル2,5−フランジカルボキシレート、(5)デシル2−エチルヘキシル2,5−フランジカルボキシレート、及び(6)オクチル2−エチルヘキシル2,5−フルアンジカルボキシレート(fruandicarboxylate)。つまり、種々の実施形態では、上記構造内のR及びRは、独立して、2−エチルヘキシル、オクチル、及びデシルアルキル基の組み合わせから選択し得る。かかる実施形態で、ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートの混合物は、可塑剤内のジアルキル2,5−フランジカルボキシレートの総重量に対し、少なくとも10モルパーセント(「mol%」)、少なくとも15mol%、少なくとも20mol%、または少なくとも25mol%の量の、少なくとも10の炭素原子のアルキル基を有するジアルキル2,5−フランジカルボキシレートを含み得る。かかる実施形態で、少なくとも10の炭素原子のアルキル基を有するジアルキル2,5−フランジカルボキシレートの濃度は、可塑剤内のジアルキル2,5−フランジカルボキシレートの総量に対し、最大90mol%、最大80mol%、最大70mol%、最大60mol%、最大50mol%、最大40mol%、または最大30mol%になり得る。これらの実施形態で、ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートのアルキル基は、10〜13の範囲の数の炭素原子を有し得る。
【0013】
その使用に適した可塑剤は、22℃及び1大気圧(「atm」)で液体である。したがって、種々の実施形態で、ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートまたは2つ以上のジアルキル2,5−フランジカルボキシレートの混合物は、22℃及び1atmで液体であり得る。
【0014】
その使用に適したジアルキル2,5−フランジカルボキシレートは、当技術分野における、既知のまたは以後に発見されるエステル化法のいずれかを使用して調製され得る。具体的に、ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートは、2,5−フランジカルボン酸及び適したアルコールまたは所望のアルキル部分を含むアルコールの組み合わせの間におけるエステル化反応により、調製され得る。例えば、ジイソトリデシル2,5−フランジカルボキシレートが所望の製品である場合、適量(例えば、少なくともアルコール対ジカルボン酸の分子比2:1)のイソトリデシルアルコール及び2,5−フランジカルボン酸を試薬として、選択し得る。あるいは、当業者には既知であるとおり、エステル交換は、2,5−フランジカルボキシレート及び適したアルコールを、開始試薬として使用して用いることができる。一般的なエステル化の条件は、高温(例えば、170℃)で、機械的攪拌中に、触媒(例えば、硫酸などの酸触媒)存在下における反応を行うことを含み得る。エステル化後、水及び過剰アルコールは、従来の方法を介して取り除くことができる。
【0015】
種々の実施形態で、現在の可塑剤は、エポキシ化天然油(「eNO」)、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(「eFAAE」)、及びその組み合わせからなる群から選択される第2の可塑剤構成成分を含み得る。ここで使用される「天然油」とは、脂肪酸トリグリセリドからなり、微生物(コケ類、バクテリア)、植物/野菜、及び/または種子由来の油である。一実施形態において、天然油は遺伝子改変の天然油を含む。「天然油」とは、石油由来の油を除く。適した天然油の非限定的な実施例としては、牛脂、キャノーラ油、ひまし油、コーン油、魚油、亜麻仁油、パーム油、なたね油、サフラワー油、大豆油、ひまわり油、トール油、きり油、及びその任意の組み合わせが挙げられる。
【0016】
ここで使用される「エポキシ化天然油」とは、少なくとも1つの脂肪酸部分が少なくとも1つのエポキシド基を含む天然油である。エポキシ化は従来の方法、一般的には、実例として、しばしば酸または塩基触媒の存在する中で、天然油と、過酸化水素、過カルボン酸、及び/または他のペルオキシ化合物間の反応を介して行うことができる。
【0017】
適したeNOsの非限定的な実施例としては、エポキシ化藻類油、エポキシ化牛脂、エポキシ化キャノーラ油、エポキシ化ひまし油、エポキシ化コーン油、エポキシ化魚油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化パーム油、エポキシ化なたね油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化トール油、エポキシ化きり油、及びその任意の組み合わせが挙げられる。
【0018】
一実施形態で、エポキシ化天然油は、エポキシ化大豆油(「eSO」)である。
【0019】
適した市販のエポキシ化天然油の実施例としては、PLAS−CHEK(商標)775エポキシ化大豆油、Ferro Corp.,Mayfield Heights,OH,USAから入手可能、VIKOFLEX(商標)7170エポキシ化大豆油及びVIKOFLEX(商標)7190エポキシ化亜麻仁油、共にArkema Inc.,Philadelphia,PA,USから入手可能、が挙げられる。
【0020】
前述のとおり、可塑剤は、場合によっては、第2の可塑剤構成成分の一部としてまたはすべてに、エポキシ化脂肪酸メチルエステル等の、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル(「eFAAE」)を含み得る。市販のeFAAEの非限定的な実施例としては、VIKOFLEX(商標)7010、VIKOFLEX(商標)7040、VIKOFLEX(商標)7080、VIKOFLEX(商標)9010、VIKOFLEX(商標)9040、及びVIKOFLEX(商標)9080(Arkema Inc.,Philadelphia,PA,USAの製品)が挙げられる。
【0021】
一実施形態において、第2の可塑剤構成成分が使用される場合、可塑剤は、可塑剤全体の重量に対し、10〜90重量パーセント(「重量%」)、30〜70重量%の範囲、または約50重量%の量のジアルキル2,5−フランジカルボキシレートを含み得る。更なる実施形態において、可塑剤は、可塑剤全体の重量に対し、10〜90重量%、30〜70重量%の範囲、または約50重量%の量の第2の可塑剤構成成分(すなわち、eNOまたは/及びeFAAE)を含み得る。それ故、種々の実施形態において、ジアルキル2,5−フランジカルボキシレート及び第2の可塑剤構成成分は、重量比9:1〜1:9、7:3〜3:7の範囲、または約1:1のジアルキル2,5−フランジカルボキシレート対第2の可塑剤構成成分で存在し得る。1つ以上の実施形態において、可塑剤は、eNO及び/またはeFAAEを伴うジアルキル2,5−フランジカルボキシレートからなる、または本質的になる。
【0022】
ポリマー組成物
本開示は、ポリマー及び前述の可塑剤ポリマー組成物を提供する。
【0023】
適したポリマーの非限定的な実施例としては、ポリスルフィド、ポリウレタン、アクリル、エピクロロヒドリン、ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、合成ゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、及び塩化ビニル樹脂が挙げられる。「プロピレン系ポリマー」とは、過半重量パーセント重合プロピレンモノマー(重合可能なモノマーの総量に基づく)及び、場合によっては、少なくとも1つの重合コモノマーを含むポリマーを示す。「エチレン系ポリマー」とは、過半重量パーセント重合エチレンモノマー(重合可能なモノマーの総量に基づく)及び、場合によっては少なくとも1つの重合コモノマーを含むポリマーを示す。
【0024】
「塩化ビニル樹脂」とは、ポリ塩化ビニル(「PVC」)等の塩化ビニルポリマー、または塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル/エチレンコポリマー、または塩化ビニルをエチレン/酢酸ビニルコポリマーにグラフト重合することにより調製されたコポリマー等の塩化ビニルコポリマーを示す。塩化ビニル樹脂はまた、上述の塩化ビニルポリマーまたは塩化ビニルコポリマーと、塩素化ポリエチレン、熱可塑性ポリウレタン、メタクリルポリマー等のオレフィンポリマー、またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー等、しかしこれらに限定されない、他の混和性または相溶性ポリマーとのポリマーブレンドを含み得る。
【0025】
一実施形態において、塩化ビニル樹脂はPVCである。
【0026】
一実施形態において、ポリマー組成物は、ポリマー組成物全体の重量に対し、20〜90重量%、30〜85重量%、40〜80重量%、または50〜65重量%の範囲の量のポリマーを含む。種々の実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物全体の重量に対し、10〜80重量%、15〜70重量%、20〜60重量%、または25〜35重量%の範囲の量の前述の可塑剤を含む。
【0027】
種々の実施形態では、ポリマー組成物は、ASTM D2240で定められているとおり、ショアD硬度43未満または41未満を有し得る。かかる実施形態では、ポリマー組成物は、最小ショアD硬度25を有し得る。1つ以上の実施形態では、ポリマー組成物は、ASTM D2240に定められているとおり、ショアA硬度96未満または94未満を有し得る。かかる実施形態では、ポリマー組成物は、最小ショアA硬度81を有し得る。ショア硬度(A及びD共に)は、ポリマー100重量部に対し、100分の52の樹脂(「phr」)添加の可塑剤を有するポリマー組成物にて測定される。
【0028】
種々の実施形態では、ポリマー組成物は、ASTM D638で定められているとおり、100℃、113℃、及び/または136℃で168時間熱老化後、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも70%の引張伸び保持率(「TER」)を有する。ポリマー組成物の熱老化は、以下の実験方法の節にて後述する手順に従って行われる。TERは、52phrを添加する可塑剤を有するポリマー組成物にて測定され得る。
【0029】
種々の実施形態では、ポリマー組成物は、ASTM D638で定められているとおり、100℃、113℃、及び/または136℃で168時間熱老化後、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%の引張強度保持率(「TSR」)を有する。TSRは、52phrを添加する可塑剤を有するポリマー組成物にて測定され得る。
【0030】
種々の実施形態では、ポリマー組成物は、100℃、113℃、及び/または136℃、168時間での熱老化後、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、または少なくとも65%の重量保持率を有する。重量保持率は、52phrを添加する可塑剤を有するポリマー組成物にて測定され得る。
【0031】
添加物
ポリマー組成物は、以下の1つ以上の任意の添加物を含み得る:充填剤、難燃剤、熱安定剤、防滴剤、着色剤、潤滑剤、低分子ポリエチレン、ヒンダードアミン光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、ブースタ、抑制剤、加工助剤、溶剤、帯電防止剤、核剤、スリップ剤、粘度調節剤、粘着剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、エクステンダー油、掃酸剤、金属不活性化剤、及びその任意の組み合わせ。
【0032】
一実施形態において、ポリマー組成物は、熱安定剤を含む。適した熱安定剤の非限定的な実施例としては、無鉛金属石鹸、鉛安定剤、有機熱安定剤、エポキシド、ノカルボン酸の塩、フェノール系酸化防止剤、有機亜リン酸エステル、及び/またはベータジケトンが挙げられる。一実施形態において、熱安定剤は、無鉛混合金属石鹸が使用される。「金属石鹸」とは、金属を含む酸の塩を示す。使用に適した金属石鹸は、脂肪酸の亜鉛塩(例えば、ステアリン酸亜鉛)、脂肪酸のカルシウム塩、脂肪酸のバリウム塩、脂肪酸のマグネシウム塩、脂肪酸のスズ塩、及びこれらの2つ以上の混合物を含む。熱安定剤は、ポリマー組成物内に、ポリマー組成物の全体重量に対し、0.2〜10重量%、0.4〜7重量%、または0.6〜5重量%の範囲の量で存在し得る。
【0033】
一実施形態において、ポリマー組成物は、PVC、本可塑剤、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、粘土、シリカ、及びこれらの任意の組み合わせ)、1つ以上の金属石鹸安定剤、フェノール系または他の抗酸化剤、及び加工助剤を含む。
【0034】
被覆導体
本開示は、被覆導体を提供する。被覆導体は、伝導体及び伝導体または伝導体を覆う仲介層上の被膜を含み、皮膜は少なくとも、部分的に上記のポリマー組成物から形成される。
【0035】
ここで使用される「伝導体」とは、熱、光、及び/または電気を伝導するための、1つ以上の線またはファイバーである。伝導体は、単線/ファイバーまたは多線/ファイバーである場合があり、鎖形状または管形状であり得る。「線」とは、導電性金属の一本鎖または光ファイバーの一本鎖を意味する。適した伝導体の非限定的な実施例としては、銀、金、銅、炭素、及びアルミニウムが挙げられる。伝導体は、また、ガラスまたはプラスチックから作られる光ファイバーを含み得る。
【0036】
被覆導体は、可撓性、半硬質または硬質であり得る。皮膜(「ジャケット」、「シース」、または「絶縁体」としても参照される)は、伝導体上に直接または伝導体を取り囲む別の層上のどちらかに設置され得る。
【0037】
一実施形態において、被覆導体はケーブルである。「ケーブル」及び「電源ケーブル」は、シース内の少なくとも1つの線または光ファイバーを意味する。一般に、ケーブルは、2つ以上の線または光ファイバーが束ねられたもので、一般にそれを覆う一般的な絶縁皮膜及び/または保護ジャケット内にある。シース内部の個別の線またはファイバーは、露出、被覆、または絶縁され得る。結合ケーブルは、電線及び光ファイバーの両方を含み得る。ケーブルは、低、中、及び/または高電圧応用に設計され得る。一般的なケーブルデザインは、米国特許第5,246,783号、同第6,496,629号、及び同第6,714,707号に図示される。
【0038】
一実施形態において、ケーブルは、Underwriters Laboratories(「UL」)社規格83及び1581に規定される、60℃、75℃、80℃、90℃、または105℃定格のケーブルである。
【0039】
実験方法
ショア硬化
ショア(A及びD)硬化を、ASTM D2240に従って、厚み250ミル(6.35mm)の成形供試体を使用し、測定する。
【0040】
引張特性
厚み30ミル(0.762mm)の成形プラークから切断したType IVドッグボーンの形状をした供試体上での変位速度毎分2インチのASTM D638に従って、未老化及び熱老化したサンプル両方に対し、引張強度、引張伸び、及び割線弾性率を測定する。
【0041】
体積抵抗率
体積抵抗(23℃でオームcm)を、ASTM D257に従って、500ボルト直流で測定する。厚み40ミル(1.016mm)の成形プラークから切断した直径3.5インチ(8.89cm)の供試体、及びHewlett Packard 4329A高抵抗計に接続したHewlett Packard 16008A抵抗率セルを使用する。
【0042】
動的貯蔵弾性率(E’)
動的貯蔵弾性率(E’)を、動的機械的分析(「DMA」)により、シングルカンチレバー固定具を有するTA Instrument Q800レオメーターを使用して測定する。供試体を、長方形固体(長さ35mm×幅13mm×厚み40ミル)の形状で、屈曲モードでテストする。各長方形固体サンプルは、両端を挟着され、その挟着された位置間の長さが17.5mmになるようにし、テスト中、その長さに沿って一端を曲げる。サンプル片方はかたく安定させられているが、可動の端は、振幅25マイクロメートルで揺動(上及び下)される。温度は、傾斜率毎分5℃で−100℃〜+100℃で変化し、振幅の周波数は、6.283rad/秒(1Hz)で一定に保たれる。サンプルの貯蔵及び損失弾性率は、損失正接と同様、温度の機能として測定される。この変形モードから得られる機械的係数は、ヤングの係数(E’、E”」)である。−20℃での動的貯蔵弾性率(E’)は、低温可撓性の基準として使用される。粘弾性物質の貯蔵及び損失弾性率は、蓄積エネルギー(弾性部を表す)及び熱として拡散したエネルギー(粘性部を表す)の基準である。
【0043】
ループ滲出及び可塑剤相溶性
ASTM D3291に従って、厚み75ミル(1.905mm)の供試体上のループ滲出を測定する。ポリマー組成物中の可塑剤相溶性はまた、高温度(例えば、100℃または113℃または136℃)で一定期間(例えば7日間)老化させた、成形または押出供試体の外観検査によって評価される。押出供試体はまた、線の形状(例えば、伝導体上に押出した絶縁体)であり得る。
【0044】
重量保持率
重量保持率は、パーセントで表され、高温度の種々の日後、厚さ30ミル(0.762mm)の成形プラークから切断された直径1.25インチ(3.715cm)の供試体において保持される重量を測定する。
【0045】
熱老化
(上述の形状の)引張及び重量保持率供試体の熱老化は、Type II ASTM D5423−93試験機械的対流式オーブンを使用して行う。
【0046】
試薬
以下に詳述する実施例では、以下の試薬が使用される:
フラン2,5−ジカルボン酸、2−エチルヘキサノール、1−ドデカノール、1−オクタノール、1−デカノール、硫酸、及びケイ酸マグネシウムはすべて、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USAから入手可能。
イソトリデシルアルコールは、BOC Sciences,Shirley,NY,USAから入手可能。
使用されるポリ塩化ビニル(「PVC」)は、OXYVINYLS(商標)240Fで、Occidental Chemical Corporation,Dallas,TX,USAから入手可能。
使用される充填剤は、SATINTONE(商標)SP−33 Clayであり、BASF Corporation,Florham Park,NJ,USAから入手可能。
熱安定剤は、カルシウム/亜鉛金属石鹸で、BAEROPAN(商標)MC 90249 KAの商標名の下に、Baerlocher USA,Dover,OH,USAから入手可能。
難燃剤は、三酸化アンチモンであり、MICROFINE(商標)AO9の商標名の下、Chemtura Corp.,Middlebury,CT,USAから入手可能。
抗酸化剤は、IRGANOX(商標)1076であり、BASF Corporation,Florham Park,NJ,USAから入手可能。
ビス(2−エチルヘキシル)フタル酸(「DEHP」)は、Alfa Aesar,Ward Hill,MA,USAから入手可能。
フタル酸ジイソデシル(「DIDP」)は、TCI Tokyo Kasei,Tokyo,Japanから入手可能。
トリオクチルトリメリテート(「TOTM」)は、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USAから入手可能。
エポキシ化大豆油(「eSO」)は、PLAS−CHEK(商標)775の商標名の下、Ferro Corp,Mayfield Heights,OH,USAから入手可能。
エポキシ化脂肪酸メチルエステル(「eFAME」)は、VIKOFLEX(商標)7010の商標名の下、Arkema,Inc.,King of Prussia,PA,USAから入手可能。
【実施例】
【0047】
実施例1―ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートの調製
下記手順に従って、6つの異なるジアルキル2,5−フランジカルボキシレートを調製する。室温で固形のジアルキル2,5−フランジカルボキシレートは、可塑剤としての使用に不適当であることを留意されたい。
【0048】
ビス(2−エチルヘキシル)2,5−フランジカルボキシレート
ビス(2−エチルヘキシル)2,5−フランジカルボキシレート(「2−EH FDC」)を、2000mL4つ首丸底フラスコの中に、461.44gの2−エチルヘキサノールを計量することにより、調製する。コンデンサー、ディーンスタークトラップ、thermowatch温度調整装置付き温度計、オーバーヘッド機械攪拌機、停止装置、及びN注入口を加える。攪拌機を起動させる。フラスコに171.51gのフラン2,5−ジカルボン酸を加える。フラスコ及びディーンスタークトラップの周りに断熱材を巻きつける。硫酸を数滴加え、温度を170℃まで上げる。オーバーヘッド採取を開始し、フラスコの内容物を夜通し混合する。翌日、ガスクロマトグラフィー(「GC」)で反応が終了していることを確認する。ディーンスタークトラップからHO及び2−エチルヘキサノールを採取し、火をとめる。サンプルは非常に澄んだ明るいオレンジ色である。余剰の2−エチルヘキサノールを取り除くため、サンプルを、85℃に設定した湯煎を備えるロータリーエバポレータ(ポンプを確保した)を使用して蒸発させる。GCがまだ余剰の2−エチルヘキサノールが存在すると裏付ける場合、サンプルを105℃の温度のジャケット、15℃の温度のコールドフィンガー、246rpmの攪拌速度、100ミリトール(「mTorr」)の圧力、及び1.5mL/分の流量を使用して、拭き取りフィルム蒸発(wiped film evaporation)(「WFE」)にかける。オーバーヘッドを廃棄する。得られた物質は、室温で液体である。
【0049】
ジドデシル2,5−フランジカルボキシレート
ジドデシル2,5−フランジカルボキシレート(「C12 FDC」)を、2000mL4つ首丸底フラスコに203.38gのフラン2,5−ジカルボン酸を計量することにより調製する。コンデンサー、ディーンスタークトラップ、thermowatch温度調整装置付き温度計、オーバーヘッド機械攪拌機、停止装置、及びN注入口を加える。攪拌機を起動させる。フラスコ及びディーンスタークトラップの周りに断熱材を巻きつける。723.9gの1−ドデカノールをフラスコに加え、温度を180℃まで上げる。硫酸を5滴加える。5時間後、ディーンスタークトラップに採取物が存在しない場合、火を190℃まで上げる。水のオーバーヘッド採取を開始し、フラスコの内容物を夜通し混合する。翌日、追加の1−ドデカノール80mL及び追加の硫酸2滴を加える。火を195℃に上げる。GCを介した反応終了の確認に続き、反応を止める。反応混合物が冷えるに従って、反応媒体から固形物が沈殿する。得られたジドデシル2,5−フランジカルボキシレートは、室温で固形である。
【0050】
混合(75/25%)2−EH及びC12 FDC
まず、2−エチルヘキシル及びドデシルアルキル置換基を有する混合2,5−フランジカルボキシレートを、1000mL4つ首丸底フラスコの中に、フラン2,5−ジカルボン酸78.33gを計量することにより調製する。コンデンサー、ディーンスタークトラップ、thermowatch温度調整装置付き温度計、オーバーヘッド機械攪拌機、停止装置、及びN注入口を加える。フラスコ及びディーンスタークトラップの周りに断熱材を巻きつける。攪拌機を起動させる。197.39gの2−エチルヘキサノール及び95.12gの1−ドデカノールをフラスコに加える。硫酸5滴を加え、温度を180℃に上げる。水のオーバーヘッド採取を開始し、フラスコの内容物を夜通し混合する。翌日、GCで反応が終了していることを確認する。ディーンスタークトラップからHOを採取し、火をとめる。サンプルは、冷えるに従って凝固し、室温で固形になる。
【0051】
混合(50/50%)2−EH及びC12 FDC
まず、2−エチルヘキシル及びドデシルアルキル置換基を有する混合2,5−フランジカルボキシレートを、1000mL4つ首丸底フラスコの中に、フラン2,5−ジカルボン酸80.16gを計量することにより調製する。コンデンサー、ディーンスタークトラップ、thermowatch温度調整装置付き温度計、オーバーヘッド機械攪拌機、停止装置、及びN注入口を加える。フラスコ及びディーンスタークトラップの周りに断熱材を巻きつける。攪拌機を起動させる。133.1gの2−エチルヘキサノール及び187.01gの1−ドデカノールをフラスコに加える。硫酸5滴を加え、温度を180℃に上げる。水のオーバーヘッド採取を開始し、フラスコの内容物を夜通し混合する。翌日、GCで反応が終了していることを確認する。ディーンスタークトラップからHOを採取し、火をとめる。サンプルは、冷えるに従って凝固し、室温で固形になる。
【0052】
混合(50/25/25%)2−EH、C8、及びC10 FDC
まず、2−エチルヘキシル、オクチル(「C8」)、及びデシル(「C10」)アルキル置換基(集団的に、「2−EH/C8/C10 FDC」)を有する混合2,5−フランジカルボキシレートを、1000mL4つ首丸底フラスコの中に、フラン2,5−ジカルボン酸79.25gを計量することにより調製する。コンデンサー、ディーンスタークトラップ、thermowatch温度調整装置付き温度計、オーバーヘッド機械攪拌機、停止装置、及びN注入口を加える。フラスコ及びディーンスタークトラップの周りに断熱材を巻きつける。攪拌機を起動させる。161.75gの2−エチルヘキサノール、84.59gの1−オクタノール、及び102.35gの1−デカノールを、フラスコに加える。硫酸5滴を加え、温度を180℃に上げる。水のオーバーヘッド採取を開始し、フラスコの内容物を夜通し混合する。翌日、2滴の硫酸を加え、反応を進行させる。GCによって反応の終了を確認後、ディーンスタークトラップからHOを採取し、火を止める。サンプルは、澄んで暗い黄色である。
【0053】
サンプルを、160℃の温度のジャケット、10℃の温度のコールドフィンガー、459rpmの攪拌速度、350mTorrの圧力、及び2.0mL/分の流量を使用して、WFEにかける。オーバーヘッドを廃棄する。まだ得られたサンプルの色が濃い場合、サンプルを、再び200℃の温度のジャケット、25℃の温度のコールドフィンガー、372rpmの攪拌速度、180mTorrの圧力、及び3.5mL/分の流量を使用して、WFEにかけ、オーバーヘッドを採取し、残留物を廃棄する。
【0054】
上記サンプルは、133.46gを採集し、サンプルを500mL3つ首丸底フラスコに入れ、1%ケイ酸マグネシウム処理を施す。コンデンサー、N注入口、thermowatch温度調整装置付き温度計、及びオーバーヘッド機械攪拌機を加える。攪拌機を起動させる。1.32gのケイ酸マグネシウムを加える。火を70℃に上げる。サンプルが70℃に達したら、1時間混ぜさせておく。その後、火を止め、サンプルを、1マイクロメートル(「μm」)の孔径を有する濾紙付き90mmの精密濾過装置を使用し、濾過する。サンプルは、濾過されるに従い、サンプルの色は澄んだ濃い黄色の生成物から、澄んだ薄い黄色の生成物になる。123.23gを採取する。得られた物質は、室温で液体である。
【0055】
ジイソトリデシル2,5−フランジカルボキシレート
まず、61.09gのフラン2,5−ジカルボン酸を、1000mL4つ首丸底フラスコの中に計量することにより、ジイソトリデシル2,5−フランジカルボキシレート(「DITD FDC」)を調製する。コンデンサー、ディーンスタークトラップ、thermowatch温度調整装置付き温度計、オーバーヘッド機械攪拌機、停止装置、及びN注入口を加える。フラスコ及びディーンスタークトラップの周りに断熱材を巻きつける。攪拌機を起動させる。299.66gのイソトリデシルアルコールを加え、温度を180℃に上げる。6滴の硫酸を加える。水のオーバーヘッド採取を開始し、フラスコの内容物を夜通し混合する。翌日、追加の2〜3滴の硫酸を加え、夜通し混ぜながら反応を継続させる。3日目、反応の終了をGCで確認する。ディーンスタークトラップからHOを採取し、火をとめる。サンプルは、澄んで暗いオレンジ色である。
【0056】
サンプルを、140℃の温度のジャケット、20℃の温度のコールドフィンガー、431rpmの攪拌速度、100mTorrの圧力、及び2.0mL/分の流量を使用して、WFEにかける。オーバーヘッドを廃棄する。得られたサンプルがまだ色が濃い場合、サンプルを、再び210℃の温度のジャケット、20℃の温度のコールドフィンガー、459rpmの攪拌速度、160mTorrの圧力、及び2.0mL/分の流量を使用して、WFEにかけ、オーバーヘッドを採取し、残留物を廃棄する。
【0057】
上記のサンプルは、162.64g採取し、サンプルを500mL3つ首丸底フラスコに入れ、2%ケイ酸マグネシウム処理を施す。コンデンサー、N注入口、thermowatch温度調整装置付き温度計、及びオーバーヘッド機械攪拌機を加える。攪拌機を起動させる。3gのケイ酸マグネシウムを加える。火を70℃に上げる。サンプルが一旦70℃に達したら、1時間混ぜさせておく。その後、火を止め、サンプルが室温に達したら、1μmの孔径を有する濾紙付き90mmの精密濾過装置を使用し、濾過する。サンプルは、濾過されるに従い、サンプルの色は澄んだ薄いオレンジの生成物から、澄んだ薄い黄色の生成物になる。140mL採取する。得られたジイソトリデシル2,5−フランジカルボキシレートは、室温で液体である。
【0058】
実施例2―フタル酸、またはトリメリテートを使用して可塑化したPVC(比較)
以下表1に提供する配合に従って、3つの比較可塑化PVCサンプル(CS1〜CS3)を調製する。
【0059】
【表1】
【0060】
上記サンプルは、可塑剤(または可塑剤混合物)を60℃で少なくとも60分間予熱しておき、使用前に数秒間手で振って調製する。個々の構成成分を計量後、可塑剤組成物をPVC粉末に浸して、その後溶解混合物を調製する。「ドライブレンド」は以下のとおり調製する:
(a)可塑剤及び充填剤以外の成分を、すべて容器の中でへらを使って混ぜ合わせる。
(b)シグマブレード付き40cmブラベンダーミキシングボウルを90℃及び40rpmで2分間温める。
(c)ステップ(a)の混合成分をミキシングボウルに加え、60秒間混合する。
(d)可塑剤をミキシングボウルに加え、10分間または20分間混ぜ、完全な可塑剤吸収の時間を記録し、それは、外観観察によって判断する。
(e)充填剤を加え、60秒間混合する。
(f)停止し、ドライブレンドを取り除く。
その後、「ドライブレンド」を、40rpm設定で、カムロータ付きブラベンダーミキシングボウルを使用し、180℃で添加時間から10分間混ぜて融解混合する。
【0061】
得られたブレンド組成物を、180℃で5分間(500psiで約2分間、続いて約2,000psiで3分間)圧縮成形する。上述の手順を用い、(1)未老化供試体、及び(2)高温で老化させた供試体、の特性を測定する。熱老化した供試体は、また、表面の浸出(滲出)の形跡を目視検査する。結果を以下表2に提供する。
【0062】
【表2】
【0063】
実施例3―2−EH FDC、2−EH/C8/C10 FDC、またはDITD FDCにより可塑化したPVC
以下表3に提供される配合に従って、上記実施例2に記載する手順を使用し、6つの可塑化PVCサンプルを調製する。2−EH FDCを使用したサンプルは、比較(CS4及びCS5)である。サンプルS1及びS2は、混合2−EH/C8/C10 FDC可塑剤を使用して調製され、サンプルS3及びS4は、DITD FDC可塑剤を使用して調製される。
【0064】
【表3】
【0065】
サンプルCS4、CS5、及びS1〜S4を前述の手順に従って分析する。結果を以下表4に提供する。
【0066】
【表4】
【0067】
表4の結果から理解することができるように、サンプルS1〜S4は、十分に軟質及び可撓性(−20℃もの低温においてさえも)であり、熱老化前及び後に優れた特性を提供し、ループ滲出テストまたは高温での老化に供された後も、浸出なしまたは僅かな浸出だけを示す。
【0068】
実施例4―組み合わせ2−EH FDC/eSOにより可塑化したPVC
以下表5に提供される配合に従って、以上実施例2に記載する手順を使用し、可塑化PVCサンプルを調製する。以下サンプルにおいて、サンプルS5に使用する可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、90重量%の2−EH FDC及び10重量%のエポキシ化大豆油(「eSO」)のブレンドを使用する。サンプルS6の可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、70重量%の2−EH FDC及び30重量%のeSOのブレンドである。サンプルS7及びS8の可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、50重量%の2−EH FDC及び50重量%のeSOのブレンドである。サンプルS9の可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、30重量%の2−EH FDC及び70重量%のeSOのブレンドである。サンプルS10の可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、10重量%の2−EH FDC及び90重量%のeSOのブレンドである。100重量%のeSO可塑剤を含む比較サンプルCS6もまた、提供される。
【0069】
【表5】
【0070】
前述の手順に従って、サンプルS5〜S10、及び比較サンプルCS6を分析する。結果を以下表6に提供する。
【0071】
【表6】
【0072】
表6に提供される結果は、サンプルS5〜S10が、広範囲の濃度組み合わせにわたるビス(2−エチルヘキシル)2,5−フランジカルボキシレートとeSOの組み合わせにおいてさえも、十分に軟質及び可撓性(−20℃もの低温においてさえも)であり、熱老化前及び後に許容される特性を提供し、ループ滲出テストまたは高温での老化に供された後も、浸出なしまたは僅かな浸出だけを示すことを示す。熱老化性能は、eSOの濃度上昇に伴い向上し、可塑剤内の10重量%のeSOでさえも、ビス(2−エチルヘキシル)2,5−フランジカルボキシレート単独に対する(上記CS4及びCS5と比較して)大幅な改善を示すことを留意されたい。
【0073】
実施例5―混合2−EH/C8/C10 FDC/eSOにより可塑化したPVC
以下表7に提供される配合に従って、上記実施例2に記載する手順を使用し、可塑化PVCサンプルを調製する。以下サンプルにおいて、サンプルS11に使用する可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、90重量%の2−EH/C8/C10 FDC及び10重量%のeSOのブレンドを使用する。サンプルS12の可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、50重量%の2−EH/C8/C10 FDCと50重量%のeSOのブレンドである。サンプルS13の可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、10重量%の2−EH/C8/C10 FDCと90重量%のeSOのブレンドである。比較のため、比較サンプルCS6はまた、以下表7及び8にて再生成される。
【0074】
【表7】
【0075】
前述の手順に従って、サンプルS11〜S13を分析する。結果を以下表8に提供する。
【0076】
【表8】
【0077】
表8に提供される結果は、サンプルS11〜S13が、広範囲の濃度組み合わせにわたる2−EH/C8/C10 FDCとeSOの組み合わせにおいてさえも、十分に軟質及び可撓性(−20℃もの低温においてさえも)であり、熱老化前及び後に優れた特性を提供し、ループ滲出テストまたは高温での老化に供された後も、浸出なしまたは僅かな浸出だけを示すことを示す。熱老化性能は、特に136℃の温度においてeSOの濃度上昇に伴い向上し、可塑剤内の10重量%のeSOでさえも、2−EH/C8/C10 FDC単独に対する(上記S1及びS2と比較して)大幅な改善を示すことを留意されたい。
【0078】
実施例6―組み合わせDITD FDC/eSOにより可塑化したPVC
以下表9に提供される配合に従って、以上実施例2に記載する手順を使用し、可塑化PVCサンプルを調製する。以下サンプルにおいて、サンプルS14に使用する可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、90重量%のDITD FDC及び10重量%のeSOのブレンドを使用する。サンプルS15の可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、50重量%のDITD FDC及び50重量%のeSOのブレンドである。サンプルS16の可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、10重量%のDITD FDC及び90重量%のeSOのブレンドである。比較のため、比較サンプルCS6はまた、以下表9及び10にて再生成される。
【0079】
【表9】
【0080】
前述の手順に従って、サンプルS14〜S16を分析する。結果を以下表10に提供する。
【0081】
【表10】
【0082】
表10に提供される結果は、サンプルS14〜S16が、広範囲の濃度組み合わせにわたるDITD FDCとeSOの組み合わせにおいてさえも、十分に軟質及び可撓性(−20℃もの低温においてさえも)であり、熱老化前及び後に優れた特性を提供し、ループ滲出テストまたは高温での老化に供された後も、浸出なしまたは僅かな浸出だけを示すことを示す。熱老化性能は、DITD FDCとeSOのすべての混合物組成物、及びDITD FDC単独のみだけにおいて、(上記S3及びS4と比較して)非常に良好であることを留意されたい。
【0083】
実施例7―組み合わせDITD FDC/eFAMEにより可塑化したPVC
以下表11に提供される配合に従って、上記実施例2に記載する手順を使用し、可塑化PVCサンプルを調製する。以下サンプルにおいて、サンプルS17に使用する可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、50重量%のDITD FDC及び50重量%のエポキシ化脂肪酸メチルエステル(「eFAME」)のブレンドを使用する。サンプルS18の可塑剤は、可塑剤の総重量に対し、70重量%のDITD FDC及び30重量%のeFAMEのブレンドである。100重量%のeFAME可塑剤を含む比較サンプルCS7もまた、提供される。
【0084】
【表11】
【0085】
前述の手順に従って、サンプルS17、S18、及びCS7を分析する。結果を以下表12に提供する。
【0086】
【表12】
【0087】
表12に提供される結果は、サンプルS17及びS18が、広範囲の濃度組み合わせにわたるDITD FDCとeFAMEの組み合わせにおいてさえも、十分に軟質及び可撓性であり、熱老化前及び後に優れた特性を提供し、ループ滲出テストまたは高温での老化に供された後も、浸出なしまたは僅かな浸出だけを示すことを示す。具体的に、組み合わせDITD FDC:eFAME可塑剤は、単独可塑剤として使用されるeFAMEと比較し、熱老化後に引張伸びの著しい改善を示した。

本発明は、以下の態様を含む。
[1]
ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートからなる第1の可塑剤構成成分と、
エポキシ化天然油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、第2の可塑剤構成成分と、を含む可塑剤であって、
22℃及び1大気圧で液体である、前記可塑剤。
[2]
前記ジアルキル2,5−フランジカルボキシレートは、以下の構造を有し、
【化2】

式中、R及びRは、独立して、任意の直鎖、分岐、環式、飽和、または不飽和のC〜C20アルキル基である、[1]に記載の前記可塑剤。
[3]
及びRは、独立して、飽和、直鎖、または分岐のC〜C13アルキル基から選択される、[2]に記載の前記可塑剤。
[4]
前記第1の可塑剤構成成分及び前記第2の可塑剤構成成分は、9:1〜1:9の範囲の重量比で存在する、[1]〜[3]のいずれかに記載の前記可塑剤。
[5]
前記エポキシ化天然油は、エポキシ化大豆油である、[1]〜[4]のいずれかに記載の前記可塑剤。
[6]
前記エポキシ化脂肪酸アルキルエステルは、エポキシ化脂肪酸メチルエステルである、[1]〜[5]のいずれかに記載の前記可塑剤。
[7]
ポリマーと、
[1]〜[6]のいずれかに記載の可塑剤と、を含む、可塑化ポリマー組成物。
[8]
前記ポリマーは、ポリ塩化ビニルである、[7]に記載の前記組成物。
[9]
前記可塑剤は、前記可塑化ポリマー組成物の総重量に対し10〜80重量パーセントの範囲の量で存在し、前記ポリマーは、前記可塑化ポリマー組成物の総重量に対し20〜90重量パーセントの範囲の量で存在する、[7]または[8]のいずれかに記載の前記組成物。
[10]
導電性コアと、前記導電性コアの少なくとも一部を取り囲むポリマー層とを含む被覆導体であって、[7]〜[9]のいずれかに記載の前記可塑化ポリマー組成物が、前記ポリマー層を構成する、前記被覆導体。