特許第6405373号(P6405373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サン−ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアンの特許一覧

特許6405373サイアロン・マトリックスを有する耐火物
<>
  • 特許6405373-サイアロン・マトリックスを有する耐火物 図000005
  • 特許6405373-サイアロン・マトリックスを有する耐火物 図000006
  • 特許6405373-サイアロン・マトリックスを有する耐火物 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405373
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】サイアロン・マトリックスを有する耐火物
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/101 20060101AFI20181004BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   C04B35/101
   F27D1/00 N
【請求項の数】20
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-518186(P2016-518186)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公表番号】特表2016-538212(P2016-538212A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】IB2014064959
(87)【国際公開番号】WO2015044929
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年9月20日
(31)【優先権主張番号】1359441
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511104875
【氏名又は名称】サン−ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアン
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ボウマーディ,ナジー
(72)【発明者】
【氏名】ルーレ,フレデリック
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特表平06−502138(JP,A)
【文献】 特開昭54−038307(JP,A)
【文献】 特開昭54−050014(JP,A)
【文献】 特開平01−313360(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/048156(WO,A1)
【文献】 特開2012−254910(JP,A)
【文献】 特開2000−302534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00−35/84
F27D 1/00−1/18
F27D 3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下で構成される焼結耐火物(以下、製品という)
−100μmを超えるサイズの粒子(以下、粗粒という)から全て構成される粒状体、ここで該粒状体は、前記製品の55〜85質量%を示し、粗粒の最大サイズが3.5mm未満である、及び
−前記粗粒を結合しており、100μm以下のサイズの粒子(以下、微粒子という)から構成されるマトリックス、ここで前記マトリックスが、式SiAlの少なくとも一つの結晶性サイアロン相を有し、ここで
−xは0以上か、0.05を超えるか、0.1を超えるか、又は0.2を超え、且つ1以下か、0.8以下か、又は0.4以下であり;
−yは0を超えるか、又は0.1を超えるか0.3を超えるか、又は0.5を超え、且つ1以下であり;
−uは、0以上か、0.1を超えるか、又は0.2を超え、且つ1以下か又は0.7以下であり;
−vは、0を超えるか、0.1を超えるか、0.2を超えるか、又は0.5を超えるか、又は0.7を超え、且つ1以下であり;
化学量論的インデックスx、y、u、及びvの少なくとも1つが1に等しく、
前記製品が、2000バールの圧力での水銀圧入、及びその後に1バールへの減圧により該水銀の押出に付され、Viは、2000バールで圧入された水銀の容積を示し、Veは1バールの圧に復帰する間に押し出された水銀の容積を示すとき、パーセンテージとしてのVe/Vi比率は20%未満であり、
ここでx>0及び/又はu>0である。
【請求項2】
製品に基づ質量パーセンテージとして、0.5mm未満のサイズを有する板状アルミナの粗粒を、1〜20質量%の量で含む請求項1に記載の製品。
【請求項3】
10〜100ミクロンのサイズを有する孔の容積割合が、全孔容積の4%を超える、請求項1又は2に記載の製品。
【請求項4】
該粒子の5質量%超が1μm未満の直径を有するアルミナ粒子であるプリフォームを焼結することによって得られ、ここで質量%は乾いた無機物質の質量に基づく、請求項1〜3のいずれか一つに記載の製品。
【請求項5】
該粒子の10質量%超が1μm未満の直径を有するアルミナ粒子であるプリフォームの焼結によって得られる、請求項1〜4のいずれか一つに記載の製品。
【請求項6】
該粒子の10質量%超が、0.5μm未満の直径を有するアルミナ粒子であるプリフォームを焼結することによって得られる、請求項1〜5のいずれか一つに記載の製品。
【請求項7】
製品に基づく質量パーセンテージとして0.02%を超える、Y、Yb、La、Gd、Dy、Er、Ce、Nd、Pr及びSmにより構成される群から選択される元素の含有量を有している請求項1〜6のいずれか一つに記載の製品。
【請求項8】
製品中前記サイアロン相の含有量が、前記製品に基づ質量割合として、7%を超え、製品中のAlN相の含有量は、5%未満である、請求項1〜7のいずれか一つに記載の製品。
【請求項9】
製品に基づく質量パーセンテージとして、
−x>0.05及び/又はu>0.1であり、及び/又は
−アルミナの含有量は、70%を超え且つ90%未満であり、及び/又は
−窒素元素の含有量は、2%を超え且つ10%未満であり、及び/又は
−Y2O3の含有量は、0.05%を超え且つ3%未満であり、及び/又は
−La2O3の含有量は、0.05%を超え且つ0.5%未満であり、及び/又は
−シリコン金属の含有量は、1.0%未満であり、及び/又は
−ホウ素元素の含有量は、0.4%未満であり、及び/又は
−β'サイアロンと呼ばれる式Six"Aly"Ou"Nv"の相の含有量は、15%を超え、ここで最高値のインデックスに対して正規化されている化学量論的インデックスが0.43≦x"≦0.75及び0≦y"≦1及び0<u"≦1及び0.9≦v"≦1であり、及び/又は
−AlN15Rと呼ばれる式Six'Aly'Ou'Nv'の相の含有量は、3%未満であり、ここで最高値のインデックスに対して正規化されている化学量論的インデックスが0.12≦x'≦0.33及び0.78≦y'≦1及び0.33<u'≦0.55及び0.80≦v'≦1であり、及び/又は
−式Si'Al'O'N'のAlNポリタイプの相含有量が、1%を超え、且つ6%以下であり、ここで最高値のインデックスに対して正規化されている化学量論的インデックスが0 ≦ x' ≦ 0.37 及び 0.60 ≦ y' ≦ 1 及び 0 ≦ u' ≦ 0.71 及び 0.76 ≦ v' ≦ 1であり、及び/又は
−Si相の含有量は、3%未満であり、及び/又は
−AlN相の含有量は、3%未満であり、及び/又は
−SiON相の含有量は、3%未満である、
請求項1〜8のいずれか一つに記載の製品。
【請求項10】
アルミナ、シリコン金属、及び式SiAlの前記結晶性サイアロン相は合計でマトリックスの80質量%超えを表す、請求項1〜9のいずれか一つに記載の製品。
【請求項11】
マトリックスが反応性焼結によって得られる、請求項1〜10のいずれか一つに記載の製品。
【請求項12】
前記製品に基づく質量パーセンテージとして、0.5%を超える、及び/又は10%未満のSiC微粒子を有する、請求項1〜11のいずれか一つに記載の製品。
【請求項13】
前記マトリックスが、当該マトリックス中に分散されたSiC粒子を含み、前記SiC粒子は、0.1〜100ミクロンのメディアン径を有する、請求項1〜12のいずれか一つに記載の製品。
【請求項14】
前記製品が、当該製品に基づく質量パーセンテージとして、5%を超えるSiC粗粒を含有する、請求項1〜13のいずれか一つに記載の製品。
【請求項15】
窒素下の反応性焼結によって、請求項1〜14のいずれか一つに記載の製品に導くのに適している組成を有するプリフォームであって、前記プリフォーム中で、乾いた無機物質に基づ質量パーセンテージとして5%を超え且つ25%未満の粒子が3μm未満の直径を有するアルミナ粒子である、プリフォーム。
【請求項16】
以下の逐次工程を有する請求項1〜14のいずれか一つに記載の製品を製造する方法:
a)乾いた無機物質の質量に基づく質量パーセンテージとして5%を超えるシリコン金属、及び5%〜20%の、3μm未満のメディアン径を有する反応性アルミナ粒子の粉末を含有する出発供給原料を調製し、そして70°C未満で維持される温度で混合すること、
b)前記出発供給原料を型に注入すること、
c)型の中で出発供給原料を圧縮して、2.5%〜5.0%の水分含量を持つプリフォームをつくること、
d)型から前記プリフォームを取り出すこと、
)窒素の還元雰囲気下で、又は出発供給原料によって窒素が供給される場合には非酸化雰囲気下でプリフォームを焼成して前記製品を得ること。
【請求項17】
工程a)において、乾いた無機物質の質量に基づいた質量パーセンテージとして、出発供給原料が1%〜15%の板状アルミナ粒子の粉末を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程a)において、以下が出発供給原料に加えられる請求項16又は17に記載の方法:
乾いた無機物質の質量に基づ質量パーセンテージとして、
−20ミクロン未満且つ1ミクロンを超えるメディアン径を有する焼成アルミナ粒子の粉末5%未満、及び/又は
−5%を超え且つ20%未満のシリコン金属、及び/又は
−1%を超え且つ10%未満のアルミニウム金属、及び/又は
−酸化物の形で表される0.1%を超え且つ5%未満のイットリウム、及び/又は
−酸化物の形で表される0.1%を超え且つ5%未満のランタン。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれか一つに記載の製品を有し、かつ以下から選択される製造物
−炉の耐火性の内側の裏張り;
−金属の再溶融又は岩石の溶融を目的とするキューポラ炉;
−熱交換器のコーティング;
−家庭廃棄物焼却装置のコーティング;
−耐摩耗性コーティング;
−鋳鉄又は鋼流を保護するか又は調節するための装置に含まれるセラミック成分;
−機械的混合またはガスの注入による混合のどちらかの溶融金属への混合装置に含まれるセラミック成分;
−家庭に役立ち、及びガス注入装置又は金属流を調節するための注入装置を支持するシーティングブロック;
−ポケット衝撃スラブ又はタンディッシュスラブ;
−溶鉱炉のシャフトの下方傾斜部、ノズルのスカート、るつぼ、ウエスト又はタンク;
−鋳鉄、鋼、及び特殊鋼の鋳造のためのノズル、ブラックヘッド又は樋;
−セラミック製品又は金属粉末を焼成するための支持体。
【請求項20】
溶鉱炉の耐火性の内側の裏張りから選択される、請求項19に記載の製造物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火性焼結製品、特にブロックの形のもの、更に、それを製造する方法に関する。本発明は、この製品の使用、冶金炉のコーティング、及び特にはるつぼ又はタンク又は溶鉱炉の羽口のコーティング、又はその他の炉の耐火性コーティング、熱交換器耐火性コーティング、又は料理支持体、より特別にはセラミック又は金属粉末調理支持体を作るために、この製品またはブロックの使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
サイアロンタイプのバインダーマトリックスを経て結合される耐火性粒状体を含む複合耐火物は、公知である。 この種の製品は、特にUS 4,533,646、US 3,991,166、US 4,243,621又はEP 0 153 000で知られている。これらの製品は、水蒸気による酸化に、及びアルカリによる攻撃に耐性であるが、腐食に十分に耐えない。
【0003】
EP 0 482 984は、式Si6−zAl8−z(0.5<z<4.0を有する)のサイアロンから主に構成されるマトリックスを介して結合される耐火性粒状体を含む耐火物を開示する。六方晶窒化ホウ素(BN)及び/又は片状黒鉛の粒子は、マトリックス中に分散されている。このような製品は、水蒸気による酸化に対して低い抵抗を有する。
【0004】
主にサイアロン、AlN(又はそのポリタイプ)、及び窒化チタン粒子、及び場合によって、六方晶窒化ホウ素、無定形炭素、及び/又は片状黒鉛から構成されるマトリックスを介して結合される耐火性粒状体を含有する耐火物は、WO 96/15999により公知である。このような製品も、水蒸気による酸化に対して低い抵抗を有する。
【0005】
マトリックスを介して結合される耐火性粒状体を含有する焼結耐火物は、WO 2011/070524により公知である。ここで前記マトリックスが製品の質量の少なくとも5%且つ60%未満を表し、該マトリックスの大部分が、結晶性サイアロン相から成り、前記製品が、0.05%を超え且つ3.0%未満の、六方晶BN相の形以外のホウ素の含有量を含む。
【0006】
セラミック物質に関する多くの刊行物は、Si、AlN、Al又はY粉末の混合物の使用に関する。これらの製品は、通常、高温且つ加圧化で焼成される(EP 0 735 988、JP H07ー165462又はWO 02/074419)。それらは、時々微粒子とサイアロン・マトリックスを有する。しかしながら、これらの物質は、生産するのに非常に高価で、焼成すると、かなりの収縮を受けて、ブロック又はプレートの製造を極めて困難にする。最後に、熱サイクルに対するそれらの耐性は、制限される。
【0007】
Thommy Ekstrom及びMats Nygrenによる論文「SiAlON Ceramics」(Thommy Ekstrom and Mats Nygren, J. Am. Soc., 75 (2) 259-76 (1992))は、焼結剤のサイアロンへの影響を記載している。
【0008】
WO 2011/070524に記載されている耐火物は、改良された抗酸化性及び満足のいく耐食性特性を有する。しかしながら、それらの熱機械的強さ(特に熱サイクルに対するそれらの耐性)は、最も厳しい環境において、いまだ不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、熱サイクルに対する耐性と鋳鉄、高炉スラグ又はアルカリに対する耐食性、及び水蒸気による酸化に対する耐性の間で、改良された妥協点を有する耐火物の必要性が存在する。
【0010】
本発明の1つの目的は、この必要性を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従い、本目的は、以下で構成される焼結耐火物(以下、製品という)により達成される:
−100μmを超えるサイズの粒子(以下、粗粒という)から全て構成される粒状体、ここで該粒状体は、前記製品の55〜85重量%を示し、粗粒の最大サイズが3.5mm未満である、及び
−前記粗粒を結合しており、100μm以下のサイズの粒子(以下、微粒子と言う)から構成されるマトリックス、ここで前記マトリックスが、式SiAlの少なくとも一つの結晶性サイアロン相を有し、ここで
−xは0以上か、0.05を超えるか、0.1を超えるか、又は0.2を超え、且つ1以下か、0.8以下か、又は0.4以下であり、
−yは0を超えるか、又は0.1を超えるか0.3を超えるか、又は0.5を超え、且つ1以下であり、
−uは、0以上か、0.1を超えるか、又は0.2を超え、且つ1以下か又は0.7以下であり、
−vは、0を超えるか、0.1を超えるか、0.2を超えるか、又は0.5を超えるか、または0.7を超え、且つ1以下であり、
化学量論的インデックスx、y、u及びvの少なくとも1つが1に等しい。
さらに、前記製品が、2000バールの圧力での水銀圧入、及びその後に1バールへの減圧により該水銀の押出に付され、Viは、2000バールで圧入された水銀の容積を示し、Veは1バールの圧に復帰する間に押し出された水銀の容積を示すとき、パーセンテージとしてのVe/Vi比率は20%未満であり、ここでx>0及び/又はu>0である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の局面によれば、質量パーセンテージとして、粒子の5%超、好ましくは8%超、好ましくは10%超且つ好ましく25%未満、20%未満、15%未満が、直径が3μm未満、好ましくは2μm未満、好ましくは1μm未満、好ましくは0.5μm未満のアルミナ粒子であるプリフォームを焼結することによって、得られるという点で、本製品は注目に値する。
【0013】
第2の局面に従い、本製品に基づく質量パーセンテージとして、1%超、2%超、3%超且つ20%未満、17%未満、さらには15%未満の板状アルミナ粗粒、好ましくは0.5mm未満のサイズの板状アルミナ粗粒を含有するという点で、本製品は注目に値する。
【0014】
第3の局面に従い、2000バールの圧力での水銀圧入、及びその後に1バールへの減圧により該水銀の押出に付され、Viは、2000バールで圧入された水銀の容積を示し、Veは1バールの圧に復帰する間に押し出された水銀の容積を示し、パーセンテージとしてのVe/Vi比率は20%未満であるか、18%未満であるか、16%未満でさえあるか、又は8%未満でさえあるか、又は10%及び/又は5%を超えるか、又は7%を超えさえする。
【0015】
第4の局面に従い、1mmを超えるサイズを有する粗粒が、100ミクロンを超え、且つ好ましくは300ミクロン未満の平均厚さを有する被膜層を備えるという点で、本製品は注目に値する。
【0016】
第5の局面に従い、10〜100ミクロンのサイズを有する孔の容積割合は、孔の総容積の4%を超えるか、又は7%超えさえするという点で、本製品は注目に値する。上記のように、この割合は、特に水銀圧入で測定されることができる。好ましくは、この容積割合は、30%未満、20%未満である。反応性焼結によって、焼成された窒素マトリックスを有する耐火物を得るのに、この割合は特に適している。ここで、このような容積は、物質の焼結及び窒化物形成の間、窒素の通過に非常に好都合である。
【0017】
言うまでもなく、本発明のすべての局面を、結合できる。
【0018】
本件明細書中でより詳細に後述するように、本発明に従う製品は、熱サイクルに対する耐性、及び鋳鉄、高炉スラグ又はアルカリによる腐食に対する耐性及び水蒸気による酸化に対する耐性の間の優れた妥協点を有する。下記の実施例は、特に、目に見えて改良された圧縮強さ及び熱サイクルに対する耐性を示す。溶融金属による腐食、アルカリの化学攻撃、および酸化に対する耐性は、保持され、改善されさえした。
【0019】
各種実施形態において、本発明に従う焼結製品は、以下の任意的特徴の一つ以上を有することもできる:
−マトリックスは、製品の質量の20%を超えるか、25%を超えるか、又は30%さえを超え、及び/又は40%未満を表す。定義上、残りは、粒状体により構成される、
−x及び/又はuは、ゼロではなく、好ましくはx及びuがゼロではない;
−前記製品に基づいた質量パーセンテージとして、製品中のAlの含有量(蛍光X線分析で測定される)は、70%超えるか、75%を超えるか、80%を超えるか又は95%未満、好ましくは90%未満、好ましくは85%未満である;
−好ましくは、本製品を基礎とした質量パーセンテージ(X線回折によって計られた)として、本製品は、60%を超えるか、70%を超えるか、75%を超えるか、及び/又は95%未満、90%未満、85%未満のコランダムの形のアルミナを含有する;
−前記製品に基づいた質量パーセンテージとして、本製品における前記サイアロン相の含有量は、7%を超えるか、10%を超えるか、15%を超えるか、20%を超えるか、及び/又は50%未満、好ましくは40%未満、好ましくは30%未満である;
−前記製品に基づいた質量パーセンテージとして、式Six´Aly´u´v´(最高値のインデックスに対して正規化されている化学量論的インデックスが0 ≦ x' ≦ 0.37 及び 0.60 ≦ y' ≦ 1 及び 0 ≦ u' ≦ 0.71 及び 0.76 ≦ v' ≦ 1)のAlNポリタイプの相、特に2H、8H、12H、15R、21R及び27Rの含有量が、1%を超え,2%を超え、及び/又は6%以下である;
−前記製品に基づいた質量パーセンテージとして、製品のAlN15Rタイプの相の含有量は、6%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満である。AlN15Rタイプの相は、式Six’Aly’u’v’により定義され、ここで最高値のインデックスに対して正規化されている化学量論的インデックスが、0.12 ≦ x' ≦ 0.33及び 0.78 ≦ y' ≦ 1 及び 0.33 ≦ u' ≦ 0.55 及び 0.80 ≦ v' ≦ 1である;
−「β'サイアロン」と呼ばれる製品中の式Six''Aly''Ou''Nv''(最高値のインデックスに対して正規化されている化学量論的インデックスが0.43 ≦ x'' ≦ 0.75及び 0 ≦ y'' ≦ 1 及び0 < u'' ≦ 1 及び0.9 ≦ v'' ≦ 10である)の相の含有量が、前記製品に基づいた質量パーセンテージとして、3%を超えるか、5%を超えるか、10%を超えるか、15%を超え、及び/又は40%未満、35%未満、30%未満、25%未満である、
−「β'サイアロン」結晶相は、式Si6−zAl8−zにより表されることもでき、インデックスzが、0<z<4.2である化学量論的インデックスである。好ましくは、zは、1を超えるか、1.5超えさえするか、及び/又は4未満、又は3.5未満でさえある;
−前記製品を基礎とした質量パーセンテージとして、製品中のSiON相の含有量は、5%未満、3%未満、1%未満、0.5%未満又は実質的にゼロでさえある、
−前記製品を基礎とした質量パーセンテージとして、本製品中のAlN相の含有量は、5%未満、3%未満、1%未満、0.5%未満又は実質的にゼロでさえある、
−前記製品を基礎とした質量パーセンテージとして、製品中のα又はβ形のSi相の含有量は、5%未満、3%未満、1%未満、0.5%未満又は実質的にゼロでさえある;
−1の実施形態において、Si、Al、O及びNを含んでいるすべての相、特にSi、Al、O及びNを含んでいるマトリックスのすべての相は、結晶相である;
−製品中に残留する金属、特に残留するシリコン金属の含有量は、製品に基づいた質量パーセンテージとして、1.8%未満、又は1.5%未満でさえあるか、1.0%未満でさえあるか、0.5%未満でさえあるか、0.3%未満でさえあるか、0.2%未満でさえある;
−1の実施形態において、製品を基礎とした質量パーセンテージとして、本製品は、2%未満、好ましくは1.5%未満、好ましくは1.0%未満、又は0.5%未満でさえあるアルカリ土類金属酸化物、特にCaO及び/又はMgOの総含有量を有する;
−製品を基礎とした質量パーセンテージとして、本製品は、1%未満のアルカリ金属酸化物、特にNaO及びKOの総含有量を有する;
−本製品に基づいた質量パーセンテージとして、本製品は2.0%を超えるか、3.0%を超えるか、4.0%を超えるか、又は5.0%よりさえ大きく、及び/又は12.0%未満、又は、10.0%未満でさえある窒素元素の含有量を有する;
−本製品に基づいた質量パーセンテージとして、本製品は、0.02%を超えるか、0.03%を超えるか、0.05%を超えるか、0.07%を超えるか、0.09%を超えるか、及び/又は5.00%未満、3.00%未満、2.00%未満、1.00%未満の、Y、Yb、La、Gd、Dy、Er、Ce、Nd、Pr及びSm、好ましくはY、Yb、La、Ce、Nd、Pr及びSm、好ましくはY、Yb、及びLaにより構成される群から選択される元素の含有量を有する;
−本製品は、好ましくは、本製品に基づいた質量パーセンテージとして、0.01%を超えるか、0.05%を超え、及び/又は5.0%未満、3.0%未満、2.5%未満、2.0%未満、1.5%未満、1.0%未満のイットリウムの含有量(Yの形で表して)を有する;
−本製品は、好ましくは、本製品に基づいた質量パーセンテージとして、0.01%を超えるか、0.05%を超え、及び/又は5.0%未満、3.0%未満、2.5%未満、2.0%未満、1.5%未満、1.0%未満、0,5%未満のランタンの含有量(La2O3の形で表現される)を有する、
−1の実施形態において、本発明に従う製品は、本製品に基づく質量パーセンテージとして、0.5%を超えるか、好ましくは1%を超えるか、好ましくは2%を超えるか、好ましくは3%を超えるか、又は4%よりさえ大きく、及び/又は好ましくは、10%未満、好ましくは7%未満のSiC微粒子を有する;
−1の実施形態において、本発明による製品は、本製品に基づいた質量パーセンテージとして、0.5%未満、好ましくは0.3%未満、好ましくは0.1%未満のSiC微粒子を有する;
−本製品は、本製品に基づいた質量パーセンテージとして、1.0%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.1%未満、0.05%未満のホウ素元素の含有量を有する;
−単位容積当たりの見かけの質量は、3.10g/cmを超えるか、3.15g/cmを超えるか、3.20g/cmを超え、及び/又は3.35g/cm未満、3.30g/cm未満、3.28g/cm未満である;
−開放気孔率は、9%を超えるか、11%を超えるか、11.5%を超えるか、及び/又は15%未満、14%未満、13.5%未満、13%未満又は12%未満でさえある;
−10〜30ミクロンのサイズを有する孔の割合は、容積で5%を超え且つ20%未満である;
−押圧、粉砕、押出、鋳造、振動により製造されるか又はこれらの各種の成形技術の組合せから誘導されるプリフォームの焼結によって、本焼結製品は得られる。特に、本製品は、成形又は非成形コンクリート又はラミング材から選択される物質でもよい。
【0020】
各種実施形態において、本発明に従う焼結製品の粒状体は、以下の任意的特徴の一つ以上を有することもできる:
−好ましくは、本製品は、板状アルミナ粗粒、好ましくは0.5mm未満のサイズの板状アルミナ粗粒を質量で2%を超えるか、3%を超えるか、及び/又は10%未満、又は8%未満でさえ有する;
−粗粒の最大寸法は、3.5mm未満、好ましくは3.0mm未満及び/又は2.5mmを超える;
−好ましくは、1〜3mmのサイズを有する粗粒の割合は、本製品の質量の25%を超えるか、30%を超えるか、又は40%よりさえ大きく、及び/又は60%未満、55%未満、50%未満を表す;
−好ましくは、0.1〜1mmのサイズを有する粗粒の割合は、本製品の質量の4%を超えるか、8%を超えるか、12%を超えるか、又は15%よりさえ大きく、及び/又は40%未満、35%未満、30%未満を表す;
−好ましくは、0.5〜1mmのサイズを有する粗粒の割合は、本製品の質量の10〜20%を表す;
−好ましくは、0.1〜0.5mmのサイズを有する粗粒の割合は、本製品の質量の5%〜30%、好ましくは7〜20%、好ましくは8〜15%を表す;
−好ましくは、粒状体は、1700°Cを超える融解点及び熱解離温度を有する;
−粒状体は、質量で70%を超えるか、又は、80%を超えさえするか、又は90%を超えさえするか、又は実質的に100%の、アルミナ、及び特に黒か白のコランダム、又は板状アルミナ、スピネル、特にアルミナ−マグネシアスピネル、ヒボナイト、ムライト、ムライト前駆体、ジルコニアでドープされたムライト、酸化クロム、ジルコニア、ジルコン、窒化物(窒化ケイ素以外の)、サイアロン、窒化ケイ素Si、カーバイド、及び特に炭化ケイ素SiC、無定形炭素又は少なくとも一部が結晶形又は黒鉛の形でさえある炭素、及びこれらの物質の混合物から選ばれる物質からなる粗粒で構成され、及び/又は前述の粗粒の混合物から構成される;
−1の実施形態において、粒状体は、窒素性でない;
−1の実施形態において、粒状体は、ホウ素を有さない;
−1の実施形態において、粒状体は、前述の式SiAlに従う結晶性サイアロン相を有さない;
−1の実施形態において、粒状体は、Si相を有さず、及び/又はSiON相を有さない。
【0021】
各種実施形態において、本発明に従う焼結製品のマトリックスは、以下の任意的特徴の一つ以上を有することもできる:
−マトリックスは好ましくは反応性焼結によって得られる;
−質量で本製品の窒素性結晶性部分の90%を超えるか、又は95%をさらに超えるか、又は99%よりさらに超えるか、又は、実質的に100%は、マトリックスの一部を成形する;
−前記マトリックスの窒素性結晶性部分と相補的なマトリックスの部分は、水硬バインダー、樹脂、特に熱硬化性樹脂、又はこれらの構成要素の混合物を含むか、又はこれで構成される;
−窒素性結晶性部分はマトリックスの質量の50%を超えるか、又は、80%を超えるか、又は90%超えさえするか、又は95%を超えるか、又は実質的に100%を表し、100%への残りが、例えば、残留する金属及び酸化物、特にアルミナにより構成される;
−上記に定義されている式SixAlgOuNvの相は、マトリックスの質量の50%を超えるか、又は、80%を超えるか、又は90%超えさえするか、又は95%を超えるか、又は実質的に100%を表し、100%への残りが、例えば、残留する金属及び酸化物、特にアルミナにより構成される;
−マトリックス中のコランダム相は、マトリックスの質量の10%未満、5%未満、又は2%未満さえ、又は1%未満さえを表す;
−シリコン金属は、マトリックスの質量の10%未満、5%未満、又は2%未満さえ、1%未満さえを表す;
−AlN相は、マトリックスにおいて、マトリックスの質量の5%未満、好ましくは3%未満を表す;
−アルミナ、シリコン金属及び上記に定義されている式SiAlの相は、合計でマトリックスの質量の80%超を表す;
−β'サイアロン相は、マトリックスの質量の60%を超えるか、又は70%を超えるか、又は75%超さえを表す;
−β'サイアロン相及びAlN15Rタイプの相は、合計でマトリックスの質量の80%を超えるか、又は、90%を超えさえするか、又は95%を超えさえするか、又は99%超えさえするか、又は実質的に100%を表し、100%への残りが、好ましくは他の窒素性相、特にはBN、TiN、Si、ZrN、SiON、z > 0 である式Si2−zAlz+12−zのO´SiAlON又はXサイアロン(US 5521129参照)、場合によって、アルミニウム又はシリカの痕跡量、不純物、及びアルミナ及び/又はシリコン金属の任意的な痕跡量から構成される;
−マトリックス中のALN15R相、及び/又はSiON相及び/又はAlN相及び/又はSi相及び/又は六方晶BN相の含有量は、前記マトリックスに基づいた質量パーセンテージとして、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.5%未満、又は実質的にゼロでさえある;
−1の実施形態において、マトリックスは、マトリックス中に分散された炭化ケイ素SiC粒子を含む。好ましくは、SiC粒子は、0.1〜100ミクロン、好ましくは30ミクロン未満、好ましくは、10ミクロン未満さえのメディアン径を有する。
【0022】
本発明は、特に窒素の還元性雰囲気下での反応性焼結によって、本発明に従う製品へと導くために適した組成を有するプリフォームにも関し、前記プリフォームが、乾いた無機物質に基づいた質量パーセンテージとして、直径が3μm未満、好ましくは2μm未満、好ましくは1μm未満のアルミナ粒子の5%を超えるか、好ましくは8%を超えるか、好ましくは10%を超え、且つ好ましくは25%未満、20%未満、15%未満を含有する。
【0023】
1の実施形態において、本発明は焼結ブロックに関し、その少なくとも部分又は全てさえが、本発明に従う製品により構成される。本発明に従う焼結ブロックは、以下の任意的特徴の一つ以上を有することもできる:
−本発明によるブロックは、色々な形、特に小さな片又はレンガ、大きなブロック又は薄板の形を有することができる;
−焼結ブロックは、100mm未満、50mm未満又は25mm未満さえの厚さ(e)を有する。それは特に板の形であることができ、それの少なくとも部分、好ましくは全ては本発明に従う焼結製品により構成される;
−ブロックは、凸の一般的形状の外面、例えば平行六面体の形状、又は凹面を有する一般的形状を有する外面を有する。換言すれば、ブロックの外面は、その一般的形状を変更する凹面を有する。例えば、ブロックは、「U」形であるか、「+」形であるか、「X」形の断面を有することができる。ブロックは、局所的に、一つ以上の穴(貫通する、又は貫通しない)を有し、それは歯槽状又は円筒状であることができ、直線でも直線でなくてもよく、例えば流体(液体又はガス)の任意的な通過を容易にするか又は熱交換のための表面積を増加させるために設けられている;
−ブロックは、少なくとも120mm、好ましくは少なくとも150mm、又は200mmさえ、又は300mmさえ、又は400mmさえ、又は600mmさえ、又は800mmさえ、又は1000mmさえの少なくとも一つの寸法(厚み、長さ、又は幅)を有する「大きな」ブロックである。特に、大きなブロックの厚み、長さ、及び幅は少なくとも、120mm、又は150mmでさえ、又は300mmでさえ、又は400mmでさえ、600mm又は800mmでさえ、又は1000mmでさえあっても良い。大きなブロックの使用は、有利に、耐火煉瓦のアセンブリに比べジョイントの数を減らすことを可能にする。ジョイントを介した腐食侵食は、このように制限される。大きなブロックの使用はまた、耐火性コーティングの迅速な設置を許容する。最後に、大きなブロックの製造は、プリフォーム周辺で環境を変更せずに、非常に効果的な不均一なブロックを製造することを可能にする。この種の不均一なブロックにおいて、中央域のみが、好ましくは、本発明に従う焼結製品でできている;
−特に大きなブロックの製造のために、粒状体の粗粒のメディアン径は、2mmを超えるか、又は4mm超えさえするか及び/又は15mm未満、10mm未満、又は6mm未満である;
−特に板のような薄い製品の製造のために、粒子のメディアン径は、5μmを超えるか、又は10μm超えさえするか、30μmを超えるか、又は50μmを超え、及び/又は3mm未満、2mm未満、1mm未満、500μm未満、又は100μm未満でさえある;
−焼結ブロックの中央領域は、本発明に従う焼結製品でできている;
−焼結ブロックの周辺の領域は、本発明に従う焼結製品でできていない;
−その周辺の領域は、本発明に従う焼結製品でできている;
−1の実施形態において、表面から、1mmを超えるか、好ましくは5mmを超えるか、好ましくは20mmを超える厚みを超えて伸びている表面境界層を除いて、全ての焼結ブロックは本発明に従う焼結製品でできている。
【0024】
本発明はまた、本発明に従う焼結製品、特に焼結ブロックの製造方法にも関し、前記方法は次の逐次工程を有する:
a)乾いた無機物質の質量パーセンテージとして、5%〜20%、好ましくは5%を超えるか、好ましくは10%を超え、及び/又は15%未満の、メディアン径が3μm未満のアルミナ粒子の粉末、特に反応性アルミナの粉末、及び好ましくは1%〜15%の、板状アルミナ粒子の粉末を含む出発供給原料を調製すること、そして70°C未満、好ましくは60°C未満、好ましくは50°C未満に維持される温度で混合すること;
b)前記出発供給原料を型に注入すること、
c)型の中で出発供給原料を圧縮して、2.5%〜5.0%の水分含量を持つプリフォームをつくること、
d)型から前記プリフォームを取り出すこと、
e)任意的に、好ましくは残留水分量が0〜0.5%になるまでプリフォームを乾燥させること、
f)窒素の還元雰囲気下で、又は出発供給原料によって窒素が供給される場合には非酸化雰囲気下で、好ましくは1300〜1600°Cの温度で、プリフォームを焼成して前記焼結製品を得ること。
【0025】
色々な実施形態において、本発明に従う方法は、以下の任意的特徴の一つ以上を有することもできる:
−工程a)において、出発供給原料の構成要素は、以下の順序で好ましくは導入される:
1.粒状体及び一時的な添加剤(焼結の間に消失する)、及び特にバインダー及び可塑剤の添加;
2.水の添加;
3.微粒子の添加;
導入のこの順序は、有利には出発供給原料の大きな均一性を得ることを可能にする、
−工程c)において、出発供給原料に働かされる圧力は、350〜850kg/cmである;
−工程c)において、プリフォームは、2.6%〜3.8%の水分含量を有する;
−好ましくは、出発供給原料は5%を超えるか、10%を超えるか、15%を超えるか、又は20%よりさえ超え、及び/又は30%未満、25%未満の0.1〜1mmの直径の粒子を含有する;
−好ましくは、20ミクロン未満、又は15ミクロン未満でさえあり、且つ1ミクロンを超えるか、3ミクロンを超えるメディアン径を有するアルミナ粒子、特に焼成アルミナ粒子の粉末が5%未満、2%未満、又は1%未満さえの量で出発供給原料に加えられる;
−好ましくは、3ミクロン未満、好ましくは1ミクロン未満、好ましくは0.5μm未満のメディアン径を有するアルミナ粒子の粉末、特に反応性アルミナ粒子の粉末が5%を超えるか、7%を超えるか、10%を超え及び/又は15%未満の量で出発供給原料に加えられる;
−好ましくは、50〜400μm、好ましくは80〜300μmのメディアン径を有するアルミナ粉末が2%を超えるか、3%を超え及び/又は20%未満の量で、出発供給原料に加えられる。好ましくは、このアルミナは、板状アルミナである;
−好ましくは、反応性アルミナ粒子の粉末が5%を超えるか、好ましくは10%を超え及び/又は15%未満の量で、出発供給原料に加えられる;
−好ましくは、出発供給原料は、5%を超えるか、7%を超え及び/又は20%未満、15%未満のシリコン金属を含有する;
−好ましくは、出発供給原料は、1%を超えるか、2%を超え及び/又は10%未満、5%未満のアルミニウム金属を含有する;
−好ましくは、出発供給原料は、0.1%を超え及び/又は5%未満、4%未満、2%未満、1%未満、又は0.5%未満、0.3%未満さえのイットリウム化合物を含有する;
−前記イットリウム化合物は、酸化イットリウム、硝酸イットリウム、任意的に水和した形のY(NO3・O、リン酸イットリウム、例えばYPO、YAGs、ケイ酸イットリウム、及びフッ化イットリウム、例えばYF、好ましくは酸化イットリウムYから構成される群から選択される;
−好ましくは、出発供給原料は、0.1%を超え及び/又は5%未満、4%未満、2%未満、1%未満、又は0.5%未満、0.3%未満さえのランタン化合物を含有する;
−前記ランタン化合物は、酸化ランタン、硝酸ランタン、リン酸ランタン、ケイ酸ランタン、フッ化ランタン、好ましくは酸化ランタンLaから構成される群から選択される。
【0026】
最後に、本発明は、本発明に従う、又は本発明に従う方法に従って製造され、又は製造され得る製品を有するか、構成されさえする、以下から選択される製造物に関する:
−炉、特に冶金炉、特に溶鉱炉の耐火性の内側の裏張り、及び特にシャフトの下方傾斜部、又はノズルのスカート又はるつぼの内側のコーティング;
−特に電気分解のための、例えばアルミニウムの電気分解の為のアノード焼成炉、又は金属の再融又は岩石の溶融のためのキューポラ炉のコーティング;
−熱交換器のコーティング;
−家庭廃棄物焼却装置のコーティング;
−耐摩耗性コーティング;
−鋳鉄又は熔鋼流を保護するか又は調節する装置、例えばスライディングコアシャッター板、流れ保護装置、浸入ノズル又はストッパー・ロッドに含められるセラミック成分;
−機械的混合又はガスの注入による混合のためのどちらかのための、溶融金属への混合装置に含められるセラミック成分;
−家庭、及びガス注入装置、又は金属流、更にはポケットインパクト厚板又はタンディッシュ厚板を調節するための注入装置を補助するのに役立つシーティングブロック;
−溶鉱炉のシャフトの下方傾斜部、ノズルのスカート、るつぼ、ウエスト又はタンク;
−鋳鉄、鋼及び特殊鋼のための鋳造付属物、例えばノズル、ブラックヘッド又は樋;
−セラミック製品又は金属粉末、好ましくは薄い製品の形で焼成するための支持体。
【0027】
本発明は、炉、熱交換器、及びセラミック製品を焼成する為の支持体から選択される製造物にも関し、その製造物は本発明に従う製品を有するという点で、注目に値する。炉は、特に焼却炉、冶金炉、特に溶鉱炉又はアノード焼成炉でもよい。熱交換器は、特に家庭廃棄物焼却装置のそれでもよい。
【0028】
定義
「粗粒」及び「微粒子」は共に、「粒子」を構成する。
【0029】
語「焼結」は、粗粒がマトリックスによってしっかり一体的に保たれている粒状体で構成されるミクロ構造を、本製品がそれを介して構成するようにする熱処理を意味する。本発明に従う焼結製品は、出発供給原料の構成要素の少なくとも1つによって窒素が供給される場合好ましくは1300〜1600°Cの温度で、非酸化雰囲気下での焼結により又は窒素下での焼結により得られる、上記定義の通りの式SiAlの少なくとも一つのサイアロン相を含むマトリックスを有し、後者のタイプの方法は、反応性焼結を可能にし、当業者に周知である。
【0030】
語「窒素下での焼結」は、容量パーセンテージとして、90%を超えるか、好ましくは95%以上を超えるか、又は好ましくは、実質的に100%の窒素から成るガス状の環境における焼結を意味する。この種のガス状の環境は、「窒素性環境」として公知である。
【0031】
「残留する」という語は、出発供給原料に存在し、かつ出発供給原料から得られる焼結製品中にまだ存在する成分を言う。
【0032】
本発明に従う焼結製品において、語「粒状体」は、焼結の間に、出発供給原料においてそれらが有していたところの形および化学的性質を実質的に保持し、マトリックスにより結合された耐火性粗粒のすべてを指す。このように、その粒子の寸法に応じて、例えば、粉末、例えばアルミナの粉末は、粒状体として又はマトリックスの前駆体として考えられ得る。特に、粒状体の粗粒は、焼結の間、完全に溶解しないか又は変換されない。
【0033】
ひいては、語「粒状体」は、出発供給原料に存在したままの、これらの粗粒の全ても指す。本発明に従う焼結製品の粒状体の性質は、粒状体の粗粒が耐火材で作られる、すなわち1500°Cを超える融解点又は解離温度を有する限り、特に制限されない。
【0034】
本発明の一実施形態では、粒状体は、マトリックスの構成要素と異なる物質である。
【0035】
本発明の他の実施形態において、粒状体は、マトリックスの構成要素のいくつかと同一の物質でできている。例えば、粒状体は、サイアロン相を有する窒素性結晶相を有することができる。しかしながら、断面の観察は、製造プロセスを知らなくても粒状体のマトリックスを区別することを可能にし、粒状体は一般に少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は、少なくとも10倍超えさえ大きいメディアン径を有している。
【0036】
語「マトリックス」は、粒状体の粗粒の間の実質的に連続な構造を与え、出発供給原料の構成要素から、および任意的にこの出発供給原料のガス状の環境の構成要素から、焼結の間に得られる結晶性であるか非晶質の相を意味する。マトリックスは、粒状体の粗粒を実質的に囲み、すなわちコーティングする。焼結製品において、マトリックス及び粒状体は合計で、本製品の100%の質量を与える。
【0037】
「マトリックス」は、焼結から生じるバインダー相を意味し、このように、焼結の前に存在してもよいバインダー相、例えば水硬バインダーの活性化又は樹脂の重合によるものから区別されなければならない。サイアロンでできた粒状体の焼結は、サイアロン「マトリックス」をもたらさない。例えば、EP 0 242 849、JP 07126072、US 4 871 698又はJP 07069744に記載されている製造プロセスは、サイアロン・マトリックスをもたらさない。
【0038】
反応性焼結によって、得られたマトリックスは、特定の特徴を有する。特に、反応性焼結の間、窒素性結晶相の前駆体金属の窒化物成形が起こる。結果として生じる容積の増加、典型的には1%〜30%の増加は有利に、マトリックスの孔を充填する、及び/又は粗粒の焼結によって生じる収縮を補うことを可能にする。このように反応性焼結は、焼結製品の機械的強度を改善することを可能にする。反応により焼結された製品は、同様の温度及び圧力条件のもとでの他の焼結製品の開放及び/又は密閉気孔率よりも著しく小さい気孔率を有する。焼結するうえで、反応による焼結製品は、実質的には収縮を示さない。
【0039】
語「マトリックス前駆体」は、製造された焼結製品のマトリックス中に見出され、又は、この製造の間、前記マトリックスの構成要素に変換される、出発供給原料の構成要素を指す。
【0040】
マトリックスは、出発供給原料に加えられ、焼結の間反応しなかった粒子を有することができる。例えば、走査顕微鏡、及びEDS又はEDX又はX線マイクロ回折タイプの技術による観察により、コランダム粒状体を有する製品のマトリックスがアルミナ粒子を一般に有することが示される。同様に、酸化物耐火性粒状体、例えば結晶アルミナ、及び特にコランダム及び/又は板状アルミナを有する製品のマトリックスは、炭化ケイ粒子を有することができる。
【0041】
製品の「窒素性結晶性部分」は、製品の結晶相の全てを含む。X線回折による製品の組成の研究は、結晶相の全てに基づくパーセンテージに導く。X線回折も、結晶相の性質を決定し、このように窒素性結晶性部分に基づいて組成を決めることを可能にする。
【0042】
サイアロン式において、インデックス、例えばインデックスx、y、u及びvは化学量論的であり、1とされる最大値に相対的に正規化される。サイアロン相のこの定義は特に、Si及びSiONを除外する。しかしながら、Si及びSiONは、本製品、特に粒状体に存在してもよい。
【0043】
一般式により定義される「1つの」相、例えば式SiAl又はβ'サイアロン又はAlN15Rの1つの相が言及されるとき、この式を満たしている結晶相の全てが言及される。
【0044】
細孔容積(Vi)は、本製品の1ブロックからとられた1cmのサンプルにおいて、Micromeritics 9500 Autopore IVシリーズ水銀ポロシメータを用いて2000バールの水銀圧入で測定され、典型的にはブロックの表面から500ミクロンまで伸びている表面層は、サンプリング領域から除外される。適用できる標準は、ISO 15901−1.2005パート1である。高圧までの圧力の増加は、水銀がますますより小さいサイズの孔に「圧入される」ように導く。水銀圧入は通常、2つの工程で実施される。第一段階において、水銀圧入は、水銀を最も大きな孔(>4μm)中へと導入する為に、空気の圧力を使用して44psia(約3バール)までの低圧で実行される。第2の段階において、高圧圧入は、30 000 psia(約2000バール)の最大圧力まで、オイルにより実施される。
【0045】
標準ISO 15901−1.2005パート1に記載のWashburn法則を適用することによって、水銀ポロシメータは、容積ベースの細孔径分布を決めることをこのように可能にする。
【0046】
押出による細孔容積(Ve)は、以下の方法に従って測定されることができる:
前記の圧入工程終了後、それが大気圧(1バール)に戻るまで減圧され、これはサンプルの細孔から水銀の一部の排出をもたらす。ポアサイズの関数としての容積分布の検量線において、押出による細孔容積(Ve)は、2000バールで孔に注入された容量(Vi)と、大気圧に減圧する間の1バールの圧力での残留水銀の容量の間の違いに対応する。
【0047】
粉末において、粒径は通常、例えばレーザー粒径分析器によって、粒度分布キャラクタリゼーションによって与えられる。このキャラクタリゼーションは、粉末のメディアン径及び最大直径をも与える。
【0048】
プリフォームにおいて、一組の粒子の粒径は、対応する粉末(すなわち成形の前の全ての粒子)のそれである。
【0049】
焼結製品において、粗粒の又は微粒子のサイズは、本製品の断面の光学顕微鏡又は、走査顕微鏡による観察で測定される。粗粒の、又は微粒子のサイズは、断面において測定される前記粗粒又は微粒子の最も小さい寸法と最も大きなの寸法の平均に対応する。
【0050】
反応性且つ板状の焼成アルミナは、当業者にまったくありふれており、且つ市販されている。
【0051】
焼成アルミナは、水和物を除去するために、及び主にαAl型に結晶化された粉末を得るために、バイヤー法に従って処理され、続いて典型的には1000〜1250°Cの温度で焼成されたボーキサイトから得られる。
【0052】
板状アルミナは、その収縮がそれ以上増加しないために十分長い間、1600°Cより上の温度で空気中で焼結された焼成アルミナである。細長い六角形の菱形のようなこのアルミナの結晶の形態は、それがそう呼ばれるゆえんである。
【0053】
反応性アルミナは通常、焼成アルミナを挽くことによって得られる。反応性アルミナ粒子の粉末は通常、2ミクロン未満、好ましくは1ミクロン未満のメディアン径を有する。
【0054】
パーセンタイル又は「分位数」10(A10)、50(A50)、90(A90)及び99.5(A99.5)、及びより一般的には母集団、例えば粒子又は孔の母集団の特性Aの「n」Anは、この特性に関する累積分布曲線上での、数値的なパーセンテージ10%、50%、90%、99.5%及びn%にそれぞれ対応する値であり、この特性に対応する値は、昇順で分類される。例えば、粒子の10質量%は10パーセンタイル未満のサイズを有し、粒子の90質量%はこのパーセンタイル以上のサイズを有する。
【0055】
特に、パーセンタイルは、サイズ又は粒径に関する。このように、パーセンテージは、質量による。
【0056】
50パーセンタイルは、「メディアン」パーセンタイルとして従来公知である。
【0057】
99.5パーセンタイルは、「最大の」パーセンタイルとして従来公知である。
【0058】
語「圧縮」は、任意の成形方法、特に押圧、押出、注型、振動、粉砕、又はこれらの種々の技術を組み合わせた任意の技術を意味する。
【0059】
語「大きなブロック」は、前記ブロックの容積において内接する最大の形が少なくとも150mmの直径を有するような形を有するブロックを意味する。換言すれば、少なくとも150mmの直径を有する中実な物質形が大きなブロックから抜き出せる。
【0060】
他に言及されない限り、焼結又は非焼結製品、マトリックス、粉末又は出発供給原料に関するすべてのパーセンテージは、質量パーセンテージである。
【0061】
他に言及されない限り、出発供給原料のすべてのパーセンテージは、乾いた無機物質に基づいて与えられる。
【0062】
語「・・・を含有する」は、特に明記しない限り、「少なくとも・・・を含有する」意味として理解されなければならない。例えば、本発明に従う製品のマトリックスは、いくつかのサイアロン相を含有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
以下の詳細な説明を読み、添付の図面を検討することで、本発明の他の特性及び利点は、より明確になるであろう:
図1】本発明に従う製品の断面を表す;
図2図1の詳細を図式的に表す;
図3】ある実施例の本製品の孔分布曲線を表す; x軸はポアサイズであり、y軸は、総容積パーセンテージとしての、孔に導入され、そして押出された水銀の累積的な容積である。
【0064】
詳細な説明
本発明に従う焼結耐火物を製造するために、プロセスが前記の工程に従って実行されることができる。
【0065】
工程a)において、均質混合物が得られるまで、粒状物質が従来のように混合される。
【0066】
出発物質の性質及び量は、工程f)の終結で得られた耐火物でできているブロックが本発明に従っているように、決定される。
【0067】
出発供給原料の構成要素の比率を決定するための方法は、まったく当業者に公知である。例えば、出発供給原料に存在する炭化ケイ素が焼結製品中に見いだされることを、当業者は知っている。当業者はまた、どの構成要素がマトリックスを構成するために変換されるかについて決定する方法を知っている。
【0068】
製品を製造するために通常用いられる添加剤、例えば焼結剤、分散剤例えばアルカリ金属ポリリン酸塩又はメタクリレート誘導体によって、ある種の酸化物が提供される。存在する添加剤の量及び性質の及び使用される出発物質の純度の関数として、出発供給原料の組成は、このように変化し得る。
【0069】
粒状体の性質は、特に制限されない。
【0070】
粒状体は、質量で70%を超えるか、又は、80%超えさえするか、又は90%超えさえするか、又は実質的に100%でさえある、アルミナ、及び特に黒か白のコランダム、又は板状アルミナ、ムライト、ムライト前駆体、及び/又は酸化クロム、及び/又はジルコニア、及び/又はジルコン及び/又は窒化物、及び特に窒化ケイ素Si、及び/又はカーバイド、及び特に炭化ケイ素SiCから構成される、上述の構成要素の混合物で構成される粗粒によって、それは構成されることもできる。
【0071】
1の実施形態において、粒状体は、コランダムの及び/又は炭化ケイ素SiCの粗粒を含むか、又はこのような粗粒から構成さえされる。
【0072】
1の実施形態、及び特に高熱伝導性が追求される時、例えばアルミニウム電解を目的とするアノードを製造するための炉の壁、又は家庭廃棄物焼却装置、又は熱交換器のコーティングを製造するために、粒状体は、炭化ケイ素SiCの粗粒を含有するか、又はこのような粗粒で構成さえされる。そして、本製品に基づいた質量パーセンテージとして、本製品は5%を超えるSiC粗粒を含有することができる。
【0073】
1の実施形態において、本製品の粒状体の粗粒の少なくとも90質量%は、150μm〜15mmのサイズを有する。
【0074】
粒状体の他に、好ましくは、出発供給原料の乾いた無機物質の物質に基づいた質量パーセンテージとして、出発供給原料は、5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは1%未満の量の焼成アルミナを含有することができる。焼成アルミナの源は10ミクロン未満のメディアン径を有するのが望ましい。
【0075】
本発明に従い、出発供給原料は5%〜20%の反応性アルミナを含有する。
【0076】
好ましくは、出発供給原料は、の1%〜15%の板状アルミナを含有する。
【0077】
出発供給原料の乾燥した無機物質に基づく質量パーセンテージとして、好ましくは5%を超えるか、好ましくは7%を超えるか、好ましくは9%を超えるか、好ましくは10%を超え、及び/又は20%未満、好ましくは15%未満、好ましくは13%未満、好ましくは12%未満の、100ミクロン未満及び/又は20ミクロンを超えるか、50ミクロンを超えさえするメディアン径を好ましくは有するシリコン金属を、出発供給原料は含有することもできる。
【0078】
出発供給原料の乾いた無機物質に基づく質量パーセンテージとして、好ましくは0.5%を超えるか、好ましくは1.0%を超えるか、好ましくは1.5%を超えるか、好ましくは2%を超え、及び/又は10%未満、好ましくは7%、好ましくは5%未満、好ましくは4.5%未満、好ましくは4%未満、好ましくは3.5%未満、好ましくは3%未満の、好ましくは100ミクロン未満及び/又は20ミクロンを超えるか、又は50ミクロンを超えさえするメディアン径で好ましくは存在するアルミニウム金属を、出発供給原料は含有することもできる。
【0079】
好ましくは、出発供給原料中のアルミニウム金属の量に対するシリコン金属の質量比は、1.0を超えるか、好ましくは1.5を超えるか、好ましく2.0を超えるか、好ましくは2.5を超えるか、3.0を超えさえし、及び/又は6.0未満、好ましくは5.0未満、好ましくは4.5未満、好ましくは4.0未満である。
【0080】
シリコン及びアルミニウムは、少なくとも部分的には金属合金AlSiの形で用意されることができる。
【0081】
アルミナ、シリコン金属、及びアルミニウム金属の量は、過酷な熱衝撃への抵抗を改善するのに特別に適していると証明された。
【0082】
成形添加剤が、用いられることが可能である。これらの添加剤は、可塑剤、例えば改質された澱粉又はポリエチレングリコール及び潤滑剤、例えば可溶油又はステアラート誘導体を含有する。
【0083】
その機能が、工程c)の終わりまでその形を保持するために十分に堅固な塊を供給原料の出発物質と共に成形することである一つ以上のバインダーを、添加剤は通常また有する。バインダーの選択は、所望の形に依存する。任意の公知のバインダー又は公知のバインダーの混合物が用いられることが可能である。バインダーは、好ましくは「一時的」である。すなわちそれらは、部分又は全部が、部品乾燥及び焼成工程の間に取り除かれる。より好ましくは、一時的なバインダーの少なくとも1つは、変性デンプン誘導体溶液、デキストリン又はリグノン誘導体の水溶液、特にカルボキシメチルセルロース又はリグノ硫酸カルシウムの水溶液、合成剤、例えばポリビニルアルコール、フェノール樹脂又はエポキシタイプの他の樹脂のような合成物質の溶液、フルフリルアルコール、又はそれらの混合物である。
【0084】
より好ましくは、バインダー、特に一時的なバインダー及び/又は可塑剤の量は、出発供給原料の乾いた無機物質の物質に基づいた質量パーセンテージとして、0.5%〜7%、好ましくは4%未満である。
【0085】
成形した後に大きなブロックの形の本製品の硬度を保つために、及び焼結製品に良好な機械的強度を与えるために、石灰に基づくセメントタイプの水硬バインダー例えば耐火セメントは有利であり得る。出発供給原料中のアルカリ土類金属酸化物、及び特にCaOの総容量は、出発供給原料の乾いた無機物質量と比較した質量パーセンテージとして、0.2%を超えてもよい。
【0086】
マトリックスのシリコンは、少なくとも部分的にシリコン金属粉末によって、特に用意されることができる。有利には、アルミニウム金属の使用は、焼結の後、粒状体の粗粒を満足にとり囲む安定なマトリックスを満足に得ることを可能にする。シリコン及び/又はアルミニウム元素を含んでいる混合合金が使われることもできる。
【0087】
乾燥出発供給原料は、均質な混合物を得るために、十分にドライ混合される。好ましくは、構成要素は、特定の順番で導入される:粒状体、そして添加剤、そして水、そして微粒子の粉末の順番であり、ここで該複数の添加は、均質化するために混合により分離される。
【0088】
好ましくは、水は、混合機が稼働している間に、混合機中に徐々に加えられる。1の実施形態において、乾燥出発供給原料の無機物質量と比較した質量パーセンテージとして、2%を超えるか、好ましくは2.5%を超え及び/又は10%未満、又は8%未満、又は代わりに5%未満の水が加えられる。実質的に均一な湿ったの混合物が得られるまで、出発供給原料の混合は続けられる。
【0089】
金属粉の反応は、温度の増加をもたらし得る。好ましくは、混合物の温度は、それが常に70°C未満、好ましくは60°C未満、又は50°C未満でさえあるように、調節される。この調節は、添加剤の劣化及び反応性アルミナの不十分な分散を回避する。調節は、混合強度の調節、又は外部冷却、例えば換気により行われる。
【0090】
工程b)において、所望の寸法を有する製品を製造するのに適している型に、湿った混合物は注入される。
【0091】
次に圧縮工程c)において、好ましくは押圧されることによって、型中の混合物は圧縮される。大きなブロックの場合、適切な技法は振動又は「振動注型」による成形であり、特に通常、土木工学において使用されるような振動針が使用される。
【0092】
次にプリフォームは、型から取り出され(工程d)、乾燥される(工程e)。乾燥は、適度に高い温度で実施されることができる。好ましくは、それは110〜200°Cの温度で、好ましくは空気中又は水分コントロールされた雰囲気で実施される。通常は、プリフォームのフォーマットに応じて1週間と10時間の期間、好ましくはプリフォームの残留水分量が1%未満好ましくは0.5%未満になるまで、それは持続する。
【0093】
型からはがされたプリフォームは、有利には、取り扱われ、運搬され、任意的に組み立てられることが可能な充分な機械的強度を有する。
【0094】
工程f)において、工程e)の終結に得られたプリフォームは、炉中に置かれる。焼成の期間は、通常、冷から冷まで約3〜15日であり、物質ばかりでなくブロックのサイズ及び形状の関数として可変的である。焼成は、純粋な二窒素ガス(一般に「窒素」と呼ばれる)の下で、好ましくは実施される。焼成サイクルは、融解点又は粒状体の解離温度未満の温度で好ましくは実施される。それは約1バール周辺の絶対窒素圧で好ましくは実施されるが、より高い又はより低い圧力で且つ1300°C〜1600°Cの温度も使用に適することができる。
【0095】
プリフォームの周辺領域は、窒素環境と接触している。焼成の間、この環境の窒素がプリフォームの構成要素のいくつか、特に焼成アルミナ、ミクロン形の二酸化ケイ素及び金属粉末と反応して(「反応性焼結」)マトリックスを成形して、粒状体の粗粒を結合する。この反応は、「窒化物形成」として公知である。
【0096】
焼成工程の終結で、本発明に従う焼結ブロックは得られる。
【0097】
変化形として、これが実際には困難であると証明され得るにもかかわらず、工程e)の終結で得られたプリフォームは焼結されることなく操作位置に置かれることができる。現場で行われる焼結は、マトリックスにより結合された粒状体で構成される本発明に従う焼結製品をもたらす。
【0098】
焼結終了時、減少した開放気孔率及び著しい冷間粉砕強さ及び冷間曲げ強さを有する、本発明の焼結製品が得られる。より正確に言えば、焼結製品は、50MPa超、又は100MPaを超えさえするか、又は150MPaより大きくさえある冷間粉砕強さを有することができる。本発明に従う焼結ブロックの形は、特に制限されない。
【0099】
焼結ブロックは、少なくとも、120mm、好ましくは少なくとも、150mm、又は200mmでさえ、又は300mmでさえ、又は400mmでさえ、又は600mmでさえ、又は800mmでさえ、又は1000mmでさえある少なくとも一つの寸法(厚み、長さ、全体の横長さ又は幅)をこのように有することができる。焼結ブロックの厚み、長さ、及び幅は、少なくとも、120mm、又は150mmでさえ、又は300mmでさえ、又は400mmでさえ、600mm又は800mmでさえ、又は1000mmでさえあっても良い。
【0100】
本発明に従う製品は、薄い製品を製造するために用いられることもできる。
【0101】
図1に示されるように、本発明に従う製品のミクロ構造は、特有である。特にそれは、マトリックス12により結合された粗粒10を、通常有する。
【0102】
粗粒10の周辺で、層14が見られる。このコーティングの性質は同定されなかったが、発明者らに従えば、それは本発明に従う本製品に特有である。
【0103】
粗粒をコーティングしている層は、粗粒と窒素性マトリックスの間の結合力を高める。
【0104】
理論に束縛されずに、発明者らは、粗粒の周辺の反応性アルミナの非常に良好な分布によって、この層の存在を説明する。
【0105】
この層の平均厚さは好ましくは100〜300μmである。
【0106】
100ミクロン未満で、本製品の機械的強度の改善は低く、300ミクロンを上回ると、本製品は、非常に均一であるが、より高い開放気孔率を有する。
【0107】
ポロジメトリによるキャラクタリゼーションは、詳細な細孔分布も示す(図3参照)。
特に、約5〜100ミクロンのサイズを有する孔は、従来技術に従う製品より、本発明に従う製品で比較的多い。
【0108】
顕著な様式で、10〜100ミクロンのサイズを有する孔の容積割合は、孔の総容積の4%を超えるか、又は7%よりさえ大きいことを、図3はまた示している。この割合は、上記で説明したように、2000バールの圧力での水銀圧入ポロシメトリで測定されている。典型的には、サイズが10〜100ミクロンである孔の容積は、測定された孔の総容積の6%〜15%である。
【0109】
図3に従い、充填又は圧入曲線及び押出曲線がヒステリシスを構成することが観察される。本発明の実施例2において、水銀の90%は、1バールの圧力に復帰する押出の後に、サンプルの小孔に残っている。押出された水銀の体積は、このように10%である。これは、30%の押し出された水銀体積を有する比較例1の製品のそれと非常に異なる孔構造を反映している。
【0110】
ポロシメトリの特性又は粗粒をコーティングしている層の存在が本発明に従う方法の特徴であると、発明者らは考える。
【0111】
本発明に従う製品は、顕著な様式で、200MPaを超えるか、好ましくは220MPaを超えるか、好ましくは230MPaを超えるか、好ましくは240MPaを超えるか、好ましくは250MPaを超えるか、好ましくは260MPaを超える冷間粉砕機械的強度を有する。
【0112】
冷間粉砕機械的強度測定の分散が低く、典型的には30%未満であるか、又は25%未満でさえ、20%未満、又は17%未満でさえあることを(分散は標準偏差と平均との、パーセンテージとしての比である)、同じ出発供給原料からの本発明に従う製品のいくつかの試料の製造は示す。
【0113】
さらに、イットリウムでのドーピングは、アルカリ腐食に対する耐性のために有利である。この理論に束縛されずに、残留するアルミナを中和する、特にYAG相(特別に安定である)を成形するイットリウムの能力によって、得られた結果を、発明者らは説明する。
【0114】
ランタンの添加も、イットリウムの添加と類似の効果を有する。
【実施例】
【0115】
混合物の調製
【0116】
工程a)からf)に従い製造された以下の実施例は、例示目的として提供されており、本発明をいかなる形であれ制限しない。
【0117】
ブロックは、前記方法の工程a)からf)に従って製造された。粉末形態で加えられた各種の構成要素の乾式混合によって、出発供給原料は製造された。成形のための適切な粘稠度の混合物を得るように、混合機が作動中に、水が混合機に徐々に加えられた。
【0118】
以下の物質が用いられた:
−97%のアルミナAlを含んでいる茶色のコランダムA1の粒状体であって、それらのすべての粒子は2mmを超え且つ5mm未満のメディアン径を有する、
−97%のアルミナAlを含んでいる茶色のコランダムA2の粒状体であって、それらのすべての粒子は1mmよりおおきく且つ3mm未満のメディアン径を有する、
−97%のアルミナAlを含んでいる茶色のコランダムA3の粒状体であって、それらのすべての粒子は0.1mmよりおおきく且つ1mm未満のメディアン径を有する、
−48メッシュ(0−0.5mm)グレードの板状アルミナ、
−約6ミクロンのメディアン径を有する焼成アルミナ、
−約0.5ミクロンのメディアン径を有する反応性アルミナ、
−75ミクロン未満のメディアン径を有するアルミニウム金属の粉末、
−75ミクロン未満のメディアン径を有するシリコン金属の粉末、
−Saint-GobainMaterialsにより供給される1ミクロン未満のメディアン径を有する炭化ケイ素の粉末、
−起泡剤:Aqualon社により供給されるデキストリンタイプのバインダー及びヒドロキシエチルセルロースタイプの可塑剤、
−Denka社で製造された、75ミクロン未満のメディアン径を有するBC粉末、
−Altichemにより供給される、約5ミクロンのメディアン径を有する酸化イットリウムの粉末(Y>99.99質量%)、
−Altichemにより供給される、約5ミクロンのメディアン径を有する酸化ランタンの粉末(La2O3>99.99質量%)、
【0119】
各種の比較例及び本発明に従う実施例のための出発供給原料の処方は、下表に示される。
【0120】
比較例2は、WO 2011/070524に記載されているような、ホウ素ドープサイアロン・マトリックスを有する耐火物の例に対応する。
【0121】
茶色のコランダムの粗粒を起泡剤と1分間混ぜ合わせ、3分間水を加え、さらに微粉末、マトリックス前駆体(処方に依存して、Al金属、Si金属、アルミナ、酸化イットリウム、酸化ランタン、炭化ホウ素)を、Eirich RV02強力混合機で15分間添加することにより、各製品は得られる。得られた混合物の水分含有量は、約3.2%である。
【0122】
混合物の温度は、混合物の表面で、40°C未満に保たれる。もしも混合が強すぎると、混合終了時の温度はより高く成りえて、それは金属粉末のあり得る活性化を反映する。
【0123】
700kgf/cm応力での一軸油圧加圧の工程が、出発供給原料を圧縮するために、型中の出発原料に適用された。作製されたブロックのサイズは、120×100×400mmである。
【0124】
すべてのブロックは型から取り出されて、その後残留する水分含有量が0.2%未満に落ちるように、空気中で、110°Cでの乾燥に付された。最後に、乾燥ブロックは、窒素下、1470°Cで少なくとも10時間焼かれた。
【0125】
キャラクタリゼーション及び試験
【0126】
種々の分析が、このように調製されたブロックに実施され、それの結果は以下の表に示されている。
【0127】
標準ISO 5017に従い、開放気孔率が測定された。
【0128】
焼結製品中の元素窒素(N)の含有量は、LECOアナライザ(LECO TC 436DR、LECO CS 300)により測定された。測定値は、質量パーセンテージとして与えられる。
【0129】
残留するシリコンは、当業者に公知であり、ANSI B74−151992(R2000)と言われる方法に従って測定された。
【0130】
結晶相、特に窒素性結晶相はX線回折で測定されて、Rietveld方に従って定量化された。
【0131】
冷間圧縮機械的強度(MPa)は、標準NFB−40−322に従って測定された。標準偏差は、平均値に相対的な分散を評価する。
【0132】
図3に示される孔サイズの容積分布、特に、10〜100ミクロンの孔の容積割合、及び孔容積Vi及びVeは、前記の方法に従ってMicromeritics Autopore IVシリーズ9500水銀ポロシメータを使用して、測定された。
【0133】
これらのブロックからとられた試料は、さらに腐食及び酸化試験に付された:
【0134】
これらの試験において、比較製品は、表2の「比較例1」である。
【0135】
アルゴン下、2cm/秒の線速度の回転で、25 × 25 × 180 mm3の寸法の試料を、高炉スラグ及び液体鋳鉄を含んでいる液体中に1550°Cで4時間置くことにより、「ディップフィンガー」タイプの動的腐食試験「A」は実施された。当初の厚み(25mm)のパーセンテージとして、試料の厚さ減少を測定することによって、侵食の程度は評価される。測定は、鋳鉄−スラグ界面で、スライディングカリパスにより行われる。厚さ減少がゼロに近いほど、本製品は、より安定及び、使用においてより良好であると考えられる。この試験のために、このパーセンテージと比較製品で得られたパーセンテージとの比を、以下の表は提示する。そして、この比は100倍されている:
試験試料の試験Aの結果×100/比較製品の試験Aの結果
【数1】
【0136】
試験Aの結果は、このように比較製品については100である。100未満の結果は、比較製品より動的腐食に対する耐性が良好なことを示す。
【0137】
標準ASTM C863に従って、水蒸気下で、1100°Cの温度で72時間、酸化試験「B」は、25×25×70のmmの試料に実施された。第一の長さのパーセンテージとして表される、酸化試験の前後の棒の長さの変化(当初の長さのパーセンテージとして表される)を測定することによって、酸化安定性は評価される。長さにおける変化がゼロに近づくほど、本製品は、より安定及び、しようにおいてより良好であると考えられる。この試験のために、このパーセンテージと比較製品で得られたパーセンテージとの間の比を、以下の表は提示する。この比は100倍されている。試験Bの結果は、このように比較製品の場合は100である。100未満の結果は、比較製品より酸化に対する耐性が良好なことを示す。
【0138】
腐食試験「C」(「Bethleem Steel試験」として知られている)は、高炉の裏張りにおいて遭遇するようなアルカリ腐食にさらされる耐火材の安定性を特徴づけるためにアメリカの冶金会社Bethleem Steelにより開発された用途試験である。閉じられた環境で、複数の25×25×150mmの耐火棒をコークスの層の下のKCO(炭酸カリウム)腐食に付すことから、この試験は成る。耐火性鋼でできているサガー中で、棒はKCOの層の下に埋設され、この層は次に、約1mmのメディアン径を有するコークスでおおわれている。腐食している焼成相の全体にわたって還元環境を維持するように、サガーは耐火性の蓋により封止されている。焼成は925°Cで6時間持続する。焼成の終結において、浸食された棒は回収されて、洗浄されて、乾燥され、それらの長さが計量される。当初の長さ、すなわち焼成の前に測定された長さのパーセンテージとして、長さにおける変化は表される。長さにおける変化がゼロに近づくほど、本製品は、より安定及び、使用においてより良好であると考えられる。この試験のために、このパーセンテージと比較製品で得られたパーセンテージとの間の比を、以下の表は提示する。この比は100倍されている:試験Cの結果は、このように比較製品の場合は100である。100未満の結果は、比較製品よりアルカリ腐食に対する耐性が良好なことを示す。
【0139】
試験「D」は、過酷な熱サイクルに対する耐性試験である。この試験(DIN−51068)において、円筒状サンプル(h=50mm及びΦ=50 mm)は、110°Cで30分間の前乾燥され、その後950°Cの炉の中に15分間、置かれる。その後、これらの円筒は、約5分間室温の水のタンクに浸される。水の浸漬の第二サイクルを再開するために炉に戻される前に、円筒は、30分間の乾燥のためにストーブ中に直接戻される。可能ならば30サイクルが実施されるまで、操作はこのように続く。サイクルの全体にわたって、各サンプルは目により観察されることができ、表面亀裂の出現が容易に特定される。最大サイクル数は、物質が2つより多い断片に崩壊せずに耐えることができる連続したサイクルの数に対応する。
【0140】
検出閾値「DT」は、使用する測定機に依存する。
閾値は次のとおりである:
−X線回折に関して、Rietveld方法:0.5%
−蛍光X線分析による化学分析に関して、残留するSi以外のすべての元素について:0.05%
−LECO(窒素、炭素)に関して:0.05%、
−残留するシリコンに関して:<0.01%。
【0141】
マトリックスはXRD相分析によりコランダムとして現れないすべてに、対応すると考えられる。
【0142】
下記の表は、実施された試験及び得られた結果をまとめている。より正確には、表1は使用された出発供給原料の組成、及びプリフォームの密度を与え、表2は得られた本製品の特徴、更にはそれらの性能の評価を与える。
【表1】
【表2】
【0143】
本発明に従う実施例(実施例1〜8及び11)が非常に高い冷間圧縮機械的強度、熱サイクルに対する良好な耐性(試験D)、及び試験A、B及びCの結果の総計により評価される意図される応用における耐食性を有し、そしてそれはアルカリ性製品による侵食に対する耐性に関しては著しく、又は素晴らしくさえあり、試験Cにおいては50未満の結果であることを、表2は示す。
【0144】
比較例2も優れた性能を提示するが、熱サイクルに対しては、本発明に従う製品のそれより非常に低い耐性を有する。加えて、その機械的強度は、改善されない。
【0145】
鋳鉄及びスラグによる動的な腐食に対して、本発明に従うある製品は、比較製品のそれらより少ない試験Aの耐性能を有する。これらの製品は、それにもかかわらず大きく優れた機械的強度を有し、意図される応用のために、機械的強度と改良された耐食性の間の妥協点を提供する。
【0146】
実施例2〜4の製品(イットリウムによってドープされている)は、最良の耐食性を有する。しかしながら、実施例5(4.35%の酸化イットリウムを有する)は、イットリウムによってドープされている他の実施例のそれより低い試験A及びBの耐食性を有する。
【0147】
実施例6及び7の製品(ランタンによってドープされている)は、実施例2及び11とともに、最良の機械的強度を有する。それらの耐食性は、素晴らしく、特に例えば実施例6(0.10%の酸化ランタンを有する)はそうである。
【0148】
本発明に従う実施例8と比較例10の比較は、出発供給原料における反応性アルミナの存在の顕著な効果を例示する。
【0149】
特に、この比較は、焼成アルミナを反応性アルミナに置き換えることと関連した技術的な効果を示す。
【0150】
本発明に従う実施例8と比較例9の比較は、すべての特性にとって、出発供給原料における反応性アルミナの存在と協働する板状アルミナの存在の顕著な効果を例示する。
【0151】
試験A+B+Cの耐食性の全体のインデックスが許容できるにもかかわらず、混合物中の板状アルミナの量が過度に増加するときに、耐酸化性が崩壊することを、実施例1に対する実施例11の比較は示す。
【0152】
出発供給原料が0.1〜1mmの直径を有する粗粒を有することが好ましいことを、本発明に従う実施例8と他の実施例との比較も示す。
【0153】
特に比較例との比較は、粒状体の最大直径を制限することの重要性を示している。
【0154】
今明らかにわかるように、本発明は耐食性、熱サイクルに対する耐性、及び機械的強度の間の優れた妥協点を有する耐火物を用意する。この製品が意図される応用に完全に適していることを、試験は示している。
【0155】
言うまでもなく、本発明は記載されている実施形態に限られず、それは非限定的な例示として与えられている。
【0156】
特に、溶鉱炉以外の応用、例えば金属の溶融に使用される炉のためのコーティングとして、耐摩耗コーティングとして、又は熱交換器において、本発明の焼結製品は使用できる。
図1
図2
図3