特許第6405375号(P6405375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405375
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】インプラントを配送するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/08 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   A61F2/08
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-523936(P2016-523936)
(86)(22)【出願日】2014年10月15日
(65)【公表番号】特表2016-533225(P2016-533225A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】US2014060683
(87)【国際公開番号】WO2015057833
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2016年4月15日
(31)【優先権主張番号】61/892,057
(32)【優先日】2013年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/514,052
(32)【優先日】2014年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】ゴダード ジェイムズ エム
(72)【発明者】
【氏名】リー ジェイミー
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−508632(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0059217(US,A1)
【文献】 特表2004−526483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/02
A61F 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイス組立体であって、
支持部分及びアーム部分を有するインプラントと、
拡張器と、
前記拡張器に結合されたスリーブと、
前記インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び前記拡張器に結合された第2の部分を有し、且つ、前記スリーブ内で前記アーム部分に沿って外側ループを形成する第1の縫合糸と、を含み、前記外側ループは、第1のストランド及び第2のストランドを有し、
更に、前記インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び前記拡張器に結合された第2の部分を有し、且つ、前記スリーブ内で前記アーム部分に沿って内側ループを形成する第2の縫合糸み、前記内側ループは、前記外側ループの第1のストランドと第2のストランドの間に配置される、医療デバイス組立体。
【請求項2】
前記スリーブは、空洞を有
前記インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、前記スリーブの空洞内に配置される、請求項1に記載の医療デバイス組立体。
【請求項3】
前記スリーブは、空洞を有し
前記インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、前記スリーブの空洞内に配置され、前記第1の縫合糸の少なくとも一部分は、前記スリーブの空洞内に配置され、前記第2の縫合糸の少なくとも一部分は、前記スリーブの空洞内に配置される、請求項1に記載の医療デバイス組立体。
【請求項4】
更に、前記拡張器に結合され、前記医療デバイス組立体を配送デバイスに連結させるように構成された連結部材を含む、請求項1に記載の医療デバイス組立体。
【請求項5】
前記第1の縫合糸の第1の部分は、前記アーム部分の第1の位置で前記インプラントのアーム部分に結合され、前記第2の縫合糸の第1の部分は、前記第1の位置と異なる前記アーム部分の第2の位置で前記インプラントのアーム部分に結合される、請求項1に記載の医療デバイス組立体。
【請求項6】
前記第1の縫合糸の第1の部分は、前記アーム部分の第1の位置で前記インプラントのアーム部分に結合され、前記第2の縫合糸の第1の部分は、前記第1の位置と異なる前記アーム部分の第2の位置で前記インプラントのアーム部分に結合され、前記第1の位置は、前記第2の位置と前記インプラントの支持部分との間に配置される、請求項1に記載の医療デバイス組立体。
【請求項7】
前記第1の縫合糸の外側ループの一部分は、前記インプラントの第1の位置で前記インプラントのアーム部分の一部分の中を通して縫わ、前記第2の縫合糸の内側ループの一部分は前記インプラントの第2の位置で前記インプラントのアーム部分の一部分の中を通して縫われる、請求項1に記載の医療デバイス組立体。
【請求項8】
前記第2の縫合糸の両端部は、前記拡張器の内壁に結合され、第1の縫合糸の両端部は、前記前拡張器の内壁に結合される、請求項1に記載の医療デバイス組立体。
【請求項9】
前記第1の縫合糸の少なくとも一部分は、前記インプラントのアーム部分の一部分の中を通して縫われ、前記第2の縫合糸の少なくとも一部分は、前記インプラントのアーム部分の長手方向軸線に沿って縫われる、請求項1に記載の医療デバイス組立体。
【請求項10】
前記インプラントのアーム部分は、第1のアーム部分であり、前記拡張器は、第1の拡張器であり、前記インプラントは、第2のアーム部分を含み、
前記医療デバイス組立体は、更に、
第2の拡張器と、
前記インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び前記拡張器に結合された第2の部分を有する第3の縫合糸と、
前記インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び前記拡張器に結合された第2の部分を有する第4の縫合糸と、を含む請求項1に記載の医療デバイス組立体。
【請求項11】
医療デバイス組立体であって、
支持部分及びアーム部分を有するインプラントと、
拡張器と、
前記拡張器に結合されたスリーブと、
前記インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び前記拡張器に結合された第2の部分を有し、且つ、前記スリーブ内で前記アーム部分に沿って外側ループを形成する第1の縫合糸と、を含み、前記外側ループは、第1のストランド及び第2のストランドを有し、
更に、前記インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び前記拡張器に合された第2の部分を有し、且つ、前記スリーブの一部分及び前記インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われ、且つ、前記スリーブ内で前記アーム部分に沿って内側ループを形成する第2の縫合糸み、前記内側ループは、前記外側ループの第1のストランドと第2のストランドの間に配置される、医療デバイス組立体。
【請求項12】
前記スリーブは、空洞を有し、前記インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、前記スリーブの空洞内に配置される、請求項11に記載の医療デバイス組立体。
【請求項13】
前記スリーブは、空洞を有し、前記インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、前記スリーブの空洞内に配置され、前記第1の縫合糸の少なくとも一部分は、前記スリーブの空洞内に配置される、請求項11に記載の医療デバイス組立体。
【請求項14】
前記第1の縫合糸の第1の端部分は、前記拡張器の内壁に結合され、前記第1の縫合糸の第2の端部分は、前記拡張器の内壁に結合され、前記第1の縫合糸は、前記外側ループを形成するために、前記アーム部分の第1の位置で戻されループを形成し、
前記第2の縫合糸の第1の端部分は、前記拡張器の内壁に結合され、前記第2の縫合糸の第2の端部分は、前記拡張器の内壁に結合され、前記第2の縫合糸は、前記内側ループを形成するために、前記アーム部分の第2の位置で戻されループを形成する、請求項11に記載の医療デバイス組立体。
【請求項15】
前記第1の縫合糸の少なくとも一部分は、前記インプラントのアーム部分の一部分の中を通して縫われる、請求項11に記載の医療デバイス組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、「インプラントを配送するためのデバイス及び方法」という名称の2014年10月14日出願の米国非仮特許出願第14/514,052号に対する優先権を主張し、かつその継続出願であり、これは、次に、「インプラントを配送するためのデバイス及び方法」という名称の2013年10月17日出願の米国仮特許出願第61/892,057号に対する優先権を主張するものであり、これらの両方は、その全体が本明細書に引用によって組み込まれている。
【0002】
本出願はまた、2013年10月17日出願の米国仮特許出願第61/892,057号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、その全体が本明細書に引用によって組み込まれている。
【0003】
いくつかの実施形態は、一般的に医療デバイスに関し、より具体的には、インプラントと様々な骨盤機能不全を処置するために患者の骨盤領域内にインプラントを配送する方法とに関する。
【背景技術】
【0004】
尿失禁を処置する手順を含み、かつ子宮脱、膀胱脱、直腸ヘルニア、及び膣円蓋脱出のような様々な脱出症を矯正する様々な医療手順が、様々な女性骨盤機能不全を処置するために行われる。
【0005】
女性は、多くの場合、年齢又は他のファクタにより膣脱を体験する。例えば、女性は、膀胱脱、直腸ヘルニア、及び/又は子宮脱を体験する場合がある。膀胱脱は、膣の中に膀胱が出っ張る時に起こり、直腸ヘルニアは、膣の中に直腸が出っ張る時に起こる。子宮脱は、子宮が膣内に下降する時に起こる。腸ヘルニア(小腸脱出)はまた、小腸が膣の上部壁を通して押す時に起こる可能性がある。子宮脱及び膀胱脱、又は子宮脱及び直腸ヘルニア、又はそれらの他の組合せが同時に起こることは比較的一般的である。異なるタイプの脱出が比較的急速な連続で起こることも一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一部の処置は、支持又は懸架のための縫合手順又はインプラントの使用を含む。子宮脱は、多くの場合に、子宮摘出術に続いて膣円蓋懸架で処置される。様々なデバイス及び手順を使用して骨盤領域内の様々な異なる解剖学的構造内に骨盤インプラントが配送されて固定される。インプラントは、1又は2以上の膣切開部を通して及び/又は患者内の外部切開部(腹部切開部のような)を通して骨盤領域に配送することができる。一部のインプラントは、アーム部分のサイズ、形状、材料、個数、及び位置を含む多くの方法で、かつそれらが骨盤領域内に配送されて置かれる方法で異なっている。例えば、様々なインプラントは、ある一定の要素間に結合部又はタック溶接部を含み、医師は、インプラントを骨盤領域内に置きながらそれらの結合部又はタック溶接部を壊さなければならない。しかし、一部の場合では、そのような結合部又はタック溶接部の破壊は、必ずしも容易ではなく、かつ必ずしも再現可能な結果を有するとは限らない。一部の場合では、結合部又はタック溶接部の破壊は、周囲組織に損傷をもたらす場合がある。すなわち、インプラントが、結合部又はタック溶接部を使用せずに滑らかに解除され、それによって患者の身体へ又は埋込み中のインプラントへの損傷を減少又は防止することができるように、骨盤インプラント及びそのようなインプラントに関連付けられた配送工程の強化を提供することが望ましいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態において、医療デバイス組立体は、支持部分とアーム部分とを有するインプラントを含む。医療デバイス組立体は、拡張器、第1の縫合糸、及び第2の縫合糸を更に含む。第1の縫合糸は、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分と、拡張器に結合された第2の部分とを有する。第2の縫合糸も、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分と、拡張器に結合された第2の部分とを有する。医療デバイス組立体は、拡張器に結合されたスリーブを更に含む。スリーブは、空洞を形成し、インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、スリーブによって形成された空洞内に配置される。
【0008】
別の実施形態において、医療デバイス組立体は、支持部分とアーム部分とを有するインプラントを含む。医療デバイス組立体は、拡張器、第1の縫合糸、及び第2の縫合糸を更に含む。第1の縫合糸は、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分と、拡張器に結合された第2の部分とを有する。第2の縫合糸も、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分と、拡張器に結合された第2の部分とを有する。医療デバイス組立体は、拡張器に結合されたスリーブを更に含む。スリーブは、空洞を形成し、インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、スリーブによって形成された空洞内に配置される。第2の縫合糸は、スリーブの一部分及びインプラントのアーム部分の一部分を通して縫われる。
【0009】
更に別の実施形態において、インプラントを患者の身体内に置く方法を開示する。本方法は、患者の身体の中に組立体を組立体の第1の部分が患者の身体内に配置され、かつ組立体の第2の部分が患者の身体外に配置されるように挿入する段階を含む。組立体は、支持部分及びアーム部分を有するインプラントと、拡張器と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第1の縫合糸と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第2の縫合糸とを含む。第1の縫合糸は、ループを形成し、第1の縫合糸の少なくとも一部分は、インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われる。本方法は、インプラントの少なくとも一部分が患者の身体内に残るようにインプラントから拡張器を分離するために、第1の縫合糸を切断する段階と、次に第2の縫合糸を切断する段階とを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による医療デバイス組立体の概略図である。
図2】本発明の一実施形態による医療デバイス組立体の平面図である。
図3A図2の医療デバイス組立体の一部分の平面図である。
図3B】本発明の別の実施形態による医療デバイス組立体の一部分の平面図である。
図4】患者の身体内に医療デバイス組立体を置くための配送ツールの斜視図である。
図5】患者の身体内に医療デバイス組立体を置く配送ツールの概略図である。
図6】本発明の一実施形態による医療デバイス組立体の一部分の斜視図である。
図7】本発明の一実施形態による医療デバイス組立体の一部分の平面図である。
図8】本発明の一実施形態による医療デバイス組立体の一部分の平面図である。
図9】本発明の一実施形態による医療デバイス組立体の一部分の平面図である。
図10図9の医療デバイス組立体の部分の側面図である。
図11】本発明の一実施形態によるインプラントの平面図である。
図12】本発明の一実施形態により患者の身体内にインプラントを置く方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの実施形態において、医療デバイス組立体は、インプラント及び拡張器を含む。インプラントは、支持部分と支持部分から延びるアーム部分とを有する。支持部分は、患者の身体の一部分を支持するように構成される。アーム部分は、患者組織の中に挿入されるように構成される。医療デバイス組立体は、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分と拡張器に結合された第2の部分とを有する第1の縫合糸及び第2の縫合糸を更に含む。拡張器に結合されたスリーブは、空洞を定め、インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、スリーブによって形成された空洞内に配置される。スリーブは、患者の身体内でインプラントの挿入を容易にする。第1の縫合糸及び第2の縫合糸は、スリーブ内でアーム部分を定位置に維持し、患者の身体内でインプラントのより滑らかな配送を可能にする。
【0012】
いくつかの実施形態において、医療デバイス組立体は、支持部分とアーム部分とを有するインプラントと、拡張器と、拡張器に結合されたスリーブと、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第1の縫合糸と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第2の縫合糸とを含む。第2の縫合糸は、スリーブの一部分及びインプラントのアーム部分の一部分を通して縫われる。スリーブは、空洞を形成する。インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、スリーブによって形成された空洞内に配置される。第1の縫合糸の少なくとも一部分は、スリーブによって形成された空洞内に配置される。
【0013】
いくつかの実施形態は、患者の身体内にインプラントを置く方法に関する。本方法は、患者の身体の中に組立体を組立体の第1の部分が患者の身体内に配置され、かつ組立体の第2の部分が患者の身体外に配置されるように挿入する段階を含む。組立体は、支持部分とアーム部分とを有するインプラントと、拡張器と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第1の縫合糸と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第2の縫合糸とを含む。その後に、本方法は、第1の縫合糸を切断する段階と第2の縫合糸を切断する段階を含む。拡張器は、次に、インプラントの少なくとも一部分が患者の身体内に残るようにインプラントから分離される。
【0014】
本明細書に使用される時に、用語近位部分又は近位端は、医療処置を行う時に医療専門家(例えば、医師)に最も近いデバイスのそれぞれ部分又は端部を指す。用語遠位部分又は遠位端は、医療処置中に医師から最も遠いデバイスのそれぞれ部分又は端部を指す。例えば、最初に患者の身体の内側に挿入されたインプラント又はスリーブの端部は、インプラント又はスリーブの遠位端であると考えられるが、最後に患者の身体に入るインプラント又はスリーブの端部は、医療デバイスの近位端であると考えられる。
【0015】
インプラントは、実施形態により、例えば、膣切開部を通して埋込むことができる。インプラントを配備する手順は、前部膣切開のような単一膣切開を含むことができる。インプラントは、様々な異なる配送デバイスを使用して患者の骨盤領域に配送することができ、本明細書ではそれらの一部の例のみを説明する。様々な配送補助具も説明され、それらの一部は、インプラントの一部として含むことができ(例えば、組み立てた状態で医師に提供され)、また、それらの一部は、埋込み直前にインプラントに結合又は連結させることができる。そのような配送補助具は、典型的には、インプラントの1又は2以上のアーム部分を望ましい組織固定位置に置いた後に取出され、アーム部分を組織と係合してインプラントの支持部分を支持したままに残す。例えば、スリーブ組立体は、組織を通して仙棘靭帯又は骨盤筋膜腱弓のような体内位置(すなわち、患者の身体内)にインプラント又はインプラントのアーム部分を誘導するのに使用することができる。他の実施形態において、スリーブ組立体は、閉鎖膜又は閉鎖筋を通してかつ患者内の外部切開部を通って出るような組織を通して体外位置(患者の身体外)までインプラント又はインプラントのアーム部分を誘導するのに使用することができる。
【0016】
図1は、1つの実施形態による医療デバイス組立体100の概略図である。医療デバイス組立体100は、インプラント102及び拡張器104を含む。インプラント102は、支持部分106及びアーム部分108を含む。医療デバイス組立体100は、アーム部分108に結合された第1の部分と拡張器104に結合された第2の部分とを有する第1の縫合糸110を更に含む。医療デバイス組立体100はまた、アーム部分108に結合された第1の部分と拡張器104に結合された第2の部分とを有する第2の縫合糸112を含む。1つの実施形態において、第1の縫合糸の第1の部分は、第1の位置でインプラントのアーム部分に結合され、第2の縫合糸の第1の部分は、第1の位置と異なる第2の位置でインプラントのアーム部分に結合される。
【0017】
スリーブ114は、拡張器104に結合され、アーム部分108の少なくとも一部分は、スリーブ114によって定められる空洞内に配置される。第1の縫合糸110及び第2の縫合糸112の少なくとも一部分は、スリーブ114の空洞内に配置される。医療デバイス組立体100は、拡張器104に結合された連結部材116を更に含む。連結部材116は、医療デバイス組立体100を配送デバイスのようなデバイスに連結させるように構成される。配送デバイスは、患者の身体内へのインプラント102の埋込みを容易にするのを補助するように構成された他のデバイスの任意の種類の針とすることができる。配送デバイスの例は、以下の図4と共により詳細に説明する。
【0018】
支持部分106は、患者の身体内に置かれるように構成され、かつ人体の一部分を支持するように構成される。支持部分106は、特定のインプラントの使用目的に応じて様々な異なる形状、サイズ、及び構成とすることができる。いくつかの実施形態において、支持部分106は、実質的に矩形、正方形、長円形、又は楕円形を有することができる。支持部分106は、膀胱(例えば、膀胱脱を処置するために)、及び/又は膀胱頸部及び/又は子宮(例えば、子宮脱を処置するために)、及び/又は直腸(例えば、直腸ヘルニアを処置するために)を支持するような形状かつ大きさにすることができる。例えば、支持部分106は、例えば、埋込むためにインプラント102をサイズ変更するように1又は2以上のマーキングに沿って切断することによって取り除くことができるインプラント102の各部分(支持部分106の各部分のような)を定める1又は2以上のマーキングを含むことができる。
【0019】
更に、支持部分106は、メッシュ材料を用いて形成され、埋込み後に組織がインプラント102に対して成長することを可能にする。例えば、一部の場合では、治癒する組織は、埋込まれたメッシュの多孔性開口部を通って成長し、それによって組織をメッシュと同化して構造的一体性を組織に追加することができる。メッシュは、天然及び/又は合成材料を含むことができるポリマー材料で作ることができる。例示的なポリマー材料は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、PVC、及びポリスチレンなどである。メッシュは、好ましくは、不織ポリマー材料で作られる。いくつかの実施形態において、支持部分106の一部又は全ては、Boston Scientific Corporationによって各々が提供される「Advantage(登録商標)メッシュ」又は「Polyform(登録商標)合成メッシュ」材料で形成することができる。「Polyform(登録商標)合成メッシュ」は、被覆なしモノフィラメントポリプロピレン繊維で編まれたマクロ多孔性メッシュである。メッシュはまた、生体材料又は死体組織から作ることができる。典型的に、メッシュは、医療的相互作用中に隣接する身体組織に対する刺激を回避/低減するように滑らかな表面を有する。これに加えて、メッシュは、人体の移動に適応するように伸縮性又は可撓性とすることができる。
【0020】
アーム部分108は、支持部分106に結合され、かつそこから延びる。アーム部分108は、アーム部分108が患者組織の中に挿入される時にインプラント102の支持部分106を支持するように構成される。更に、支持部分106及びアーム部分108は、様々な材料から形成することができ、様々な異なる構成及び/又は異なるサイズ(例えば、長さ、幅)を有することができる。アーム部分108は、支持部分106とモノリシックに形成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、アーム部分108及び支持部分106は、両方とも一片のメッシュ材料から形成される。
【0021】
他の実施形態において、アーム部分108は、支持部分106とは別々に形成され、次に、支持部分106に結合することができる。例えば、アーム部分108及び支持部分106は、当接関係で結合されてもよいし、重なり関係で結合されてもよいし、ブリッジを用いて結合されてもよい。アーム部分108は、例えば、熱結合、接着剤、ファスナ使用、及び/又は縫製によって支持部分106に結合することができる。いくつかの実施形態において、アーム部分108は、その長さ又はその長さの一部分に沿ってヒートシールを含み、アーム部分108の延伸を防止又は低減するのを補助する。
【0022】
いくつかの実施形態において、アーム部分108は、患者の身体組織内にアーム部分を係止するのを補助するように構成された突起部を含む。本明細書に使用される時の用語「突起した」又は「突起部」は、織られた又は編まれたメッシュ材料を切断することによって得られるような粗い又はギザギザの縁部又は区域を意味する。他の実施形態において、アーム部分108は、患者の身体組織と係合するように構成された返し部、窪み、及び/又は他の突起を含み、患者の身体内の所定位置にインプラント102を保持するのを補助する。他の実施形態において、他の機構を使用してアーム部分108を身体組織に結合することができる。
【0023】
インプラント102のスリーブ114は、骨盤領域へのインプラント102の挿入中に使用され、配送手順中にアーム部分108が組織と早期に係合するのを防止することができる。いくつかの実施形態において、スリーブ114は、アーム部分108を越えて且つ支持部分106から離れるように延びる。スリーブ114はまた、配送中の損傷からアーム部分108を保護することができる。スリーブ114は、透明、半透明、着色、非着色、又はその組合せとすることができる。スリーブ114は、例えば、先細、平坦、及び/又は管状とすることができる。スリーブ114は、例えば、透明で薄い可撓性の生体適合性ポリマーで形成することができ、スリーブ114内に配置されたインプラント102(例えば、アーム部分108)を調べる又は見ることを可能にするように構成することができる。
【0024】
スリーブ114は、スリーブ114をアーム部分108から切り離すことができるようにアーム部分108に解除可能に結合することができる。例えば、いくつかの実施形態において、以下により詳細に説明するように、スリーブ114は、縫合糸を介してアーム部分108に結合することができる。
【0025】
拡張器104も、スリーブ114に結合することができ、骨盤領域へのインプラント102の配送を助けるために使用することができる。例えば、拡張器104は、様々な異なる長さ、形状、直径などとすることができる。いくつかの実施形態において、例えば、拡張器104は、徐々に先細になる長い部分を有する。いくつかの実施形態において、徐々に先細になる長い部分は、拡張器104が身体組織の中を通して引っ張られる時の応力を最小にする。拡張器104は、挿入中に組織の中を通る通路を拡張し、組織の開口部のスリーブ114及びインプラント102の断面への移行を容易にすることができる。拡張器104は、任意の生体適合性材料で形成することができ、任意の断面形状のものとすることができる。
【0026】
図示の実施形態は、2つの縫合糸110及び112を示すが、いくつかの実施形態において、医療デバイス組立体は、組立体の部分を互いに結合するように構成された2よりも多い縫合糸を含む。例えば、いくつかの実施形態において、デバイスは、3、4、又はそれよりも多くの縫合糸を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、縫合糸によって形成されたループは、同じ平面に配置することができる。他の実施形態において、縫合糸は、同じ平面内にないループを形成することができる。換言すると、縫合糸は、必ずしも完全に単一平面に配置されるわけではない。
【0028】
いくつかの実施形態において、医療デバイス組立体は、複数の位置でインプラントを通して縫われる単一縫合糸を含む。例えば、いくつかの実施形態において、単一縫合糸は、2又はそれ以上の位置でインプラントを通して縫われる場合がある。そのような実施形態において、縫合糸における単一切断は、縫合糸をインプラントの様々な位置から切り離すことを可能にすることになる。
【0029】
図2は、本発明の1つの実施形態による医療デバイス組立体200の平面図である。医療デバイス組立体200は、2つの前部アーム部分234、2つの中央アーム部分236、及び2つの後部アーム部分238を含む6つのアーム部分を更に含むインプラント220を含む。図2は、恥骨後方向に(恥骨の背後に)又は恥骨前方向(恥骨の前に)膣切開部(例えば、経腟的手法)を通して骨盤領域の中に配送するためのインプラント220を示している。他の実施形態において、インプラント220は、必要に応じて、他の解剖学的構造に対して置くことができる。骨盤インプラントを配備する手順は、前部膣切開及び/又は後部膣切開のような単一膣切開を含むことができる。いくつかの実施形態において、手順は、腹部切開のような外部切開を行うことを含むことができる。
【0030】
インプラント220はまた、前部アーム部分234と中央アーム部分236の間の前部支持部分244と、インプラント220の端部225と後部アーム部分238の間を延びる後部支持部分246とを有する支持部分222を含む。患者の骨盤領域内の望ましい位置にインプラント220を位置決めするのを補助するように使用することができる中心マーキング239が、支持部分222の中心線に沿って含まれている。
【0031】
この実施形態において、アーム部分234、236、238の各々の長さは、各アーム部分をその意図する組織固定部位に固定するのに十分であるが、例えば経腟的手法を使用して骨盤領域へのインプラント220の配送中にアーム部分が膣の外に延びるほど長くない。例えば、インプラント220の前部ストラップ234は、腱弓、骨盤内の筋膜を通して置くことができ、又は恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋、肛門挙筋又は内閉鎖筋又は外閉鎖筋の遠位腱弓、又は骨盤領域内の閉鎖膜又は他の組織位置に近いか又はそこの組織又は靱帯を通して置くことができる。中央ストラップ236は、各々例えば尾骨筋、腱弓又は閉鎖筋又は膜内に置くことができる。後部ストラップ238は、例えば、仙棘靭帯又は尾骨筋に置くことができる。いくつかの実施形態において、アーム部分のそのような長さは、配置後にアーム部分の大部分を切り取る必要性を排除又は低減し、またインプラント220の配置中に膣及び/又は骨盤領域の混乱を低減することができる。
【0032】
前部アーム部分234はまた、様々な異なる構成に置くことができる窪み240のようなテクスチャ面を含むことができる。実施形態において、前部アーム部分234は、前部アーム部分234の上面及び下面に窪み240を含む。窪み240は、前部アーム部分234の上面及び下面上に交互する反対方向に配置することができる。窪み240は、周囲組織に係合する追加の把持強度を与える。窪み240の数は、異なる場合があり、かつインプラント220の他のストラップ及び/又は支持部分222の一部又は全ての上に含めることができる。ストラップ234、236、238はまた、上述のように突起部を含むことができ、及び/又は身体組織と係合するように構成された返し部又は他の突起を含むことができる。
【0033】
窪み240は、それらの基部から窪み240の端部まで先細にすることができる。例えば、窪み240は、それらの先端又は端部における直径よりもそれらの基部において大きい直径を有するドーム形とすることができる。窪み240は、例えば、それらの先端及び/又は基部において約0.02cm(0.008インチ)〜0.04cm(0.02インチ)の幅(例えば、直径)を有することができる。例えば、窪み240の幅は、その基部において約0.36cm(0.14インチ)とすることができ、かつ端部又は先端において約0.22cm(0.087インチ)まで狭くするか又は先細にすることができる。窪み240は、例えば、約0.15cm(0.059インチ)〜0.23cm(0.091インチ)の長さ又は高さを有することができ、かつ互いに約0.6cm(0.2インチ)離間させることができる(例えば、1つの窪みの中心線から別の窪みの中心線まで)。いくつかの実施形態において、窪み240はまた、それらが互いに接触し、重なり、又は互いに異なる距離で離間するように位置付けることができる。他の実施形態において、窪み240は、先細にしない場合がある。アーム部分は、例えば、1〜1000の窪みを含むことができる。窪み240は、アーム部分材料の熱スタンピングによって形成することができる。他の実施形態において、窪み240又は他の面テクスチャは、例えば、型打ち、押出し、成形、又はウィービングのような他の方法により生成することができる。
【0034】
スリーブ226は、アーム部分234、236、238の各々の少なくとも一部分の上に配置されるか又はそれらを覆う。いくつかの実施形態において、スリーブ226は、アーム部分の少なくとも一部分を受入れる内腔又は空洞を形成する。拡張器228は、例えば、圧着、ヒートシール、縫い合わせ、延伸、先端ティッピングなどによってスリーブ226に結合することができる。これに代えて、スリーブ226は、先細の拡張器を形成する一部分を含むように形成することができる。拡張器228は、組織を通した挿入中に通路を拡張又は拡大し、スリーブ226の断面又はサイズへの移行を容易にするのに使用することができる。図示の実施形態において、スリーブ226も先細にされ、これも組織を通した導入を提供するのを補助する。
【0035】
図3Aに示すように、スリーブ226は、第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254でアーム部分234に固定される。同様に、第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254の配置を使用して、スリーブ226をアーム部分236及び238に固定することができる。図3Aは、図2の医療デバイス組立体の一部分の平面図である。第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254の各々は、アーム部分234、236、238の各々の中を通してループ状にされる。この実施形態において、第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254の両方は、アーム部分234、236、238の中を通して縫われる。例えば、図3Aにおいてアーム部分234を示すように、第1の縫合糸242は、位置Aでアーム部分234及びインプラント220の中を通して縫われてループを形成し、第2の縫合糸254は、位置Bでアーム部分234の中を通して縫われてループを形成する。図示の実施形態において、位置Aは、位置Bに対して近位に配置される。従って、位置Bは、アーム部分234の終端234Aと位置Aの間に配置される。
【0036】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸242は、インプラントの支持部分に隣接して配置することができる位置Aでアーム部分234を通して縫われるように構成される。いくつかの実施形態において、第1の縫合糸234は、デバイスを患者の身体内に置く時にアーム部分234の延伸の防止を補助する(アーム部分234を身体内に引く又は置く力は、インプラントの支持部分に隣接して又はそこに配置することができる位置Aに位置付けられるので)。
【0037】
いくつかの実施形態において、第2の縫合糸254は、位置Bでアーム部分234を通して縫われるように構成される。いくつかの実施形態において、第2の縫合糸254は、アーム部分234がスリーブ226内で塊にされるか又は折り畳まれるのを防止するのを補助する。従って、いくつかの実施形態において、第2の縫合糸254は、アーム部分234をスリーブ226内で平坦又は平面に維持するのを補助するように構成かつ配列される。第2の縫合糸254は、何回でもアーム部分234を通して編むか又は織ることができる。例えば、第2の縫合糸254は、2回、3回、又は3回よりも多くアーム部分234を出入りして編むことができる。これに加えて、いくつかの実施形態において、第1の縫合糸242を編むこと及び第2の縫合糸254を編むことは、十字形又は「x」形状を形成することができる。
【0038】
上述のように、第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254の結合は、アーム部分が延伸するのを低減又は防止するのを助けることができ、かつアーム部分がスリーブ内で塊にされるか又は折り畳まれるのを防止するのを助けることもできる。第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254は、これに代えて、例えば、圧着、ヒートシール、縫い合わせ、延伸、先端ティッピングなどによってアーム部分234、236、238に結合することができる。
【0039】
更に、いくつかの実施形態において、第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254は、例えば、結節によってアーム部分に対して縫われるか又はそれに固定することができる。第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254のストランド(スリーブ226を通るループを形成する)は、拡張器228の内腔(図示せず)の中を通って延び、例えば、位置Cで拡張器228の内壁に圧着して閉じられ、かつ熱結合される。
【0040】
いくつかの実施形態において、第2の縫合糸254は、アーム部分234、236、238の端部をスリーブ226内の定位置に維持するのを補助する。これは、拡張器104及びスリーブ226が患者の身体内へのインプラントの配送又は埋込み中に骨盤領域内の様々な組織部位を通過する時に、アーム部分234、236、238がスリーブ226と共に進行することを保証する。例えば、インプラント220の前部ストラップ234は、腱弓、骨盤内の筋膜を通して置くことができ、又は恥骨尾骨筋、恥骨直腸筋、肛門挙筋又は内閉鎖筋又は外閉鎖筋の遠位腱弓、又は骨盤領域内の閉鎖膜又は他の組織位置に近いか又はそこの組織又は靱帯を通して置くことができる。中央ストラップ236は、各々、例えば、尾骨筋、腱弓、又は閉鎖筋又は膜内に置くことができる。後部ストラップ238は、例えば、仙棘靭帯(SSL)又は尾骨筋に置くことができる。
【0041】
インプラント220が置かれた状態で、医師は、スリーブ226の一部分、例えば位置D又はEにある第1の縫合糸242の1つのストランド、及び例えば位置F又はGにある第2の縫合糸254の1つのストランドを切断し、それによって身体からのスリーブ226及び拡張器228の取出しを可能にする。次に、スリーブ226、並びに第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254の各々の切られていないストランドを引くことにより、スリーブ226(及びスリーブ226に結合された拡張器228)をアーム部分234から離れるように引くことができる。第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254の切断部分も、アーム部分234の中を通して引くことが自由であることになる。従って、第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254は、スリーブ226に固定されたままであり、アーム部分234からそれら自体で簡単にほどけるか又は抜けることになる。アーム部分234からスリーブ226が取出されると、アーム部分234は、周囲身体組織と係合することができる。例えば、いくつかの実施形態において、アーム部分234上の窪み240は、アーム部分234がその中に置かれる周囲組織と係合し、アーム部分234を身体組織(仙棘靭帯)に結合することができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸242の1つのストランド及び第2の縫合糸254の1つのストランドは、スリーブ226を切断することなく切断することができる。例えば、いくつかの実施形態において、スリーブは、医師が縫合糸242及び254のストランドにアクセスして切断することができる窓又は開口部を有することができる。他の実施形態において、図3Bに示すように、縫合糸242B及び254Bの一部分は、スリーブ226Bによって形成された開口部266Bを通って延び、スリーブ226Bの外側(スリーブによって形成された内腔又は空洞の外側のような)の位置で医師が縫合糸242B及び254Bのストランドにアクセスして切断することを可能にすることができる。従って、いくつかの実施形態において、縫合糸は、同じ時に又は同時に医師によって切断することができる。いくつかの実施形態において、縫合糸をマーキングして切断すべき縫合糸の好ましい部分又は好ましい位置を識別することができる。そのような切断位置は、アームから縫合糸を取出し、及び/又はスリーブを解除するのに最適であると考えられる。いくつかの実施形態において、スリーブは、同様の理由で縫合糸を切断するのに好ましい位置である区域にマーキングすることができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、縫合糸242及び254を切断するのではなく、縫合糸242及び254を引裂くか又は壊すことができる。例えば、いくつかの実施形態において、縫合糸242及び254を引っ張って縫合糸242及び254を引裂くか又は壊すことができる。いくつかの実施形態において、縫合糸242及び254は、大きい引く力を縫合糸上に掛ける時に引裂かれるか又は壊れるように構成された脆弱部分を含むことができる。例えば、縫合糸242及び254は、縫合糸の残りの部分よりも薄い部分又は区画を含むことができ、又は縫合糸の2つの区画の間に焼き鈍まされた部分を含むか又は弱い結合を有することができる。
【0044】
先導縫合糸230は、拡張器228の各々に結合され、かつそこから遠位に延びる。これに代えて、第1の縫合糸242及び/又は第2の縫合糸254の先導部分は、拡張器228から遠位に延びることができる。トロカール針232は、先導縫合糸230の各々の遠位端に結合される。トロカール針232を使用して、インプラント220を図4と共に以下に説明する「BSC Capio(登録商標)」デバイスのような配送デバイスに連結させることができる。
【0045】
拡張器228は、後端310における第1の直径から前端312における第2のより小さい直径まで先細である。第1の直径は、例えば、約0.2〜0.5cm(0.08インチ〜0.2インチ)とすることができ、第2の直径は、例えば、約0.03〜0.2cm(0.01インチ〜0.08インチ)とすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、第1の直径は、約0.37cm(0.15インチ)とすることができ、対応する第2の直径は、約0.03cm(0.01インチ)とすることができる。拡張器228は、例えば、モールディング、押出し、キャスティング、焼結、鍛造、機械加工、又は他の公知の従来技術又はそのような医療デバイスを製造する後に開発される方法によって形成することができる。
【0046】
インプラント220(医療デバイス組立体200)の様々なアーム部分(例えば、234、236、238)の各々は、図4に示すように、例えば、縫合配送デバイス400を使用して骨盤組織の中を通して配送することができる。アーム部分(234、236、238)のうちの1つのトロカール針232は、配送デバイス400のキャリア402内に装填される。次に、配送デバイス400を使用して、トロカール針232及びアーム部分(それに取りつけられたスリーブ組立体と共に)は、骨盤組織の中を通過させることができる。具体的には、配送デバイス400のキャリア402が、選択された組織部位に隣接して位置決めされ、キャリア402が、トロカール針232が組織を通るように作動される。トロカール針232と先導縫合糸230の遠位端とは、組織を通過した後に配送デバイス400のキャッチ404によって捕捉され又は取出される。次に、配送デバイス400は、膣を通して取出され、トロカール針232は、キヤッチ404から取出される。スリーブ226及び拡張器228は、組織の中を通して引かれる。例えば、アーム部分が組織内に配置されるように、医師は、組織の中を通して先導縫合糸230又は拡張器228を引くことができる。次に、この手順は、インプラント220の他のアーム部分に対して繰返される。インプラントの各アーム部分は、選択された組織部位の中を通して引かれ、アーム部分は、身体組織に対して調節又は移動されて支持部分222を位置決めして張力を付与する。各アーム部分は、同じ配送デバイスを使用して順次配送することができ、又は個別の配送デバイスをアーム部分の一部又は全てに対して使用することができる。アーム部分234、236、238(スリーブ226及び拡張器228が依然として取りつけられている)には、膣切開部を通した正確な張力に関して支持部分222の位置決めを医師が観察する時に視覚的ガイダンスを使用して張力を付与することができる。
【0047】
先導縫合糸230の長さ(スリーブ226の先細部分の遠位端から測定された)は、異なる場合がある(図3Aを参照)。例えば、いくつかの実施形態において、先導縫合糸230の長さは、選択された組織係止部位を通して置かれ(膣切開部を通して骨盤領域に入った後に)、スリーブ226の先細部分が選択された組織係止部位と係合する必要なく(例えば、骨盤領域内の組織を通過した後に)膣切開部を通って出るのに十分に長い。例えば、先導縫合糸230は、SSLと膣開口部(VO)の間の長さよりも長くすることができる。
【0048】
図5は、患者の身体内に医療デバイス組立体506を置く配送ツールの概略図である。図5に示すように、いくつかの実施形態において、SSL502とVO504の間の長さは、長さ約10cmである。他の実施形態において、先導縫合糸230の長さは、選択された組織係止部位の中を通して置かれ(膣切開部の中を通して骨盤領域に入った後に)、スリーブの先細部分が膣に入る必要なく(例えば、骨盤領域内の組織を通過した後に)膣切開部の中を通って出るのに十分に長い。例えば、先導縫合糸230は、SSL502とVO504の間の長さの2倍よりも長くすることができる。いくつかの実施形態において、これは、長さが約20cmである。そのような長さを有する先導縫合糸230は、先導縫合糸230が選択された係止部位の中を縫うように進み、スリーブが膣切開部に入る前に膣切開部の中を通って出ることを可能にする。従って、複数のアーム部分及び先導縫合糸を有する実施形態において、先導縫合糸は、それらのそれぞれの係止部位に置かれ、かつインプラントが身体に入る前に膣切開部を通って出ることができる。これは、先導縫合糸を身体内の複数の係止部位の中に挿入するための医師の可視性を増大することができる。
【0049】
図6は、本発明の1つの実施形態による医療デバイス組立体600の一部分の斜視図である。医療デバイス組立体600は、アーム部分602とスリーブ組立体604(スリーブ及び拡張器を含む)とを含む。アーム部分602は、第1の縫合糸606及び第2の縫合糸608を使用してスリーブ組立体604に取りつけられる。スリーブ組立体604は、係合ノッチを有する配送デバイス、例えば、Boston Scientific Corporationによって全て製造された「Obtryx(登録商標)Curve」デバイス、「Obtryx(登録商標)Halo」デバイス、Curve、又は「Lynx(登録商標)」デバイスに連結させるためのループコネクタ610を含む。他の実施形態において、ループコネクタ610は、配送デバイスを通過した針に結合するように構成することができる。いくつかの実施形態において、医療デバイス組立体600は、上述の医療デバイス組立体200に構造的に及び機能的に類似している。いくつかの実施形態において、医療デバイス組立体600を使用して、患者の身体の任意の部分を支持するのを助けることができる。例えば、いくつかの実施形態において、組立体600を使用して、骨盤臓器脱を修復することができる。
【0050】
図7は、本発明の1つの実施形態による医療デバイス組立体700の一部分の平面図である。医療デバイス組立体700は、インプラント220に類似である場合があるインプラント(図示せずと)、拡張器702と、スリーブ704及びインプラント(又はインプラントの本体部分)から延びるアーム部分706とを含む。第1の縫合糸708及び第2の縫合糸710は、アーム部分706を拡張器702及びスリーブ704に解除可能に接続する。第1の縫合糸708は、アーム部分を通して縫われてループを形成する。第2の縫合糸710も、アーム部分を通して縫われてループを形成する。
【0051】
1又は2以上のセパレータ712が、第1の縫合糸708及び第2の縫合糸710の各々の2つのストランドの間のスリーブ704の遠位端の近くに配置される。1又は2以上のセパレータ712は、第1の縫合糸708及び第2の縫合糸710の各々によって形成されたループのストランドの分離を維持する。第1の縫合糸708及び第2の縫合糸710のストランドの分離は、患者の身体内へのインプラントの埋込み又は配置中に第1の縫合糸708及び第2の縫合糸710の各々の単一ストランドだけによって切断を行えるようにするか又はそれを容易にするのに役に立つ。この実施形態において、1又は2以上のセパレータ712は、例えば、スリーブ704の両面を互いに熱スタンピングすることによって形成することができる円形密封構成である。例えば、スリーブ704内に結合された個別の構成要素、又は熱溶接、ヘッドタック、材料又は縫合糸の縫い合わせ、又は接着剤のような他のタイプのセパレータをこれに代えて使用し、ストランド間の位置で互いにスリーブ704の両面を結合することができる。
【0052】
図8は、本発明の1つの実施形態による医療デバイス組立体800の一部分の平面図である。医療デバイス組立体800は、インプラント220に類似である場合があるインプラント(図示せず)と、拡張器802と、スリーブ804と、アーム部分806とを含む。第1の縫合糸808及び第2の縫合糸810は、アーム部分806を拡張器802及びスリーブ804に解除可能に接続する。第1の縫合糸808は、2つのストランドを有するアーム部分806を通したループを形成する。第2の縫合糸810は、アーム部分806の遠位端に接続された単一ストランドを含む。第2の縫合糸810は、様々な公知の従来技術又は後に開発される技術を使用してアーム部分806に接続することができ、例えば、第2の縫合糸810は、縫われ、結ばれ、ヒートシールされ、接着剤でアーム部分806に結合することができる。
【0053】
1又は2以上のセパレータ812及び814が、スリーブ804の遠位端の近くに配置される。1又は2以上のセパレータ812は、第1の縫合糸808の第1のストランドと第2の縫合糸810との間に配置される。同様に、1又は2以上のセパレータ814は、第1の縫合糸808の第2のストランドと第1の縫合糸808の第2のストランドの間に配置される。上記で図7と共に説明されているように、第1の縫合糸808のストランドの分離は、第1の縫合糸808の単一ストランドだけによって切断を行えるようにするか又はそれを容易にするのに役に立つ。次に、スリーブ804(及びスリーブ804に結合された拡張器802)は、スリーブ804及び第1の縫合糸808の切られていないストランドを引くことによってアーム部分806を引いて離すことができる。第1の縫合糸808の切断部分は、アーム部分806を通して自由に引かれることになる。従って、第1の縫合糸808は、スリーブ804に固定されたままであり、アーム部分806から簡単にほどけるか又は抜けることになる。これに加えて、第2の縫合糸810を引いてアーム部分806とのその結合を壊すことができる。例えば、いくつかの実施形態において、第2の縫合糸810は、編み模様によってアーム部分806に摩擦によって結合される。いくつかの実施形態において、熱溶接、接着剤、締まり嵌め、制御可能に引き裂き可能な部分、及び/又は機械的係合のような解除可能な継手を使用して第2の縫合糸810をアーム部分806に結合する場合に、医師は、予め決められた力を及ぼして第2の縫合糸810をアーム部分806から壊して離すか又は解除する必要がある場合がある。
【0054】
図9は、本発明の1つの実施形態による医療デバイス組立体900の一部分の平面図である。医療デバイス組立体900は、拡張器902、スリーブ904、及びアーム部分906を含む。第1の縫合糸908及び第2の縫合糸910は、拡張器902及びスリーブ904に一端で結合される。第1の縫合糸908及び第2の縫合糸910の他端は、アーム部分906に向けて戻る。アーム部分906において、第1の縫合糸908及び/又は第2の縫合糸910は、図10に示すように(これは図9の医療デバイス組立体の側面図である)、スリーブ904及びアーム部分906の中を通して縫われる。織ることは、医師が拡張器902及びスリーブ904を引く時の解除時にアーム部分906に抵抗を与える。第2の縫合糸910は、アーム部分906の区域内に終端する(接続又は固定されていない)。実施形態において、第1の縫合糸908は、ループを形成し、第1の縫合糸908の少なくとも一部分は、アーム部分906の一部分の中を通して縫われ、第2の縫合糸910の少なくとも一部分は、アーム部分906の長手方向軸線に沿って縫われる。
【0055】
インプラントが置かれた状態で、医師は、第1の縫合糸908の単一ストランドを切断する。次に、スリーブ904(及びスリーブ904に結合された拡張器902)は、スリーブ904及び第1の縫合糸908の切られていないストランドを引くことによってアーム部分906を引いて離すことができる。第1の縫合糸908の切断部分は、アーム部分906を通して引かれることが自由であることになる。従って、第2の縫合糸910は、アーム部分906及びスリーブ904を通して縫われ、第2の縫合糸910も、自由に引き出されることになる。従って、第1の縫合糸908及び第2の縫合糸910は、スリーブ904に固定されたままであり、アーム部分906からそれら自体で簡単にほどけるか又は抜けることになる。
【0056】
図11は、1つの実施形態によるインプラント1100の平面図である。インプラント1100は、支持部分1102、第1のアーム部分1104、及び第2のアーム部分1106を含む。インプラント1100の支持部分1102は、上述のインプラント220の支持部分222に機能的に類似している。第1のアーム部分1104及び第2のアーム部分1106は、上述のインプラント220のアーム部分234に機能的に類似している。第1のアーム部分1104及び第2のアーム部分1106は、第1のアーム部分1104及び第2のアーム部分1106が患者組織内に配置された時に支持部分1102を支持するように構成される。
【0057】
2つのアーム部分を示すが、インプラント110は、任意の形状のものとすることができ、身体の様々な位置に使用することができる。これに加えて、インプラント1100は、任意の数のアーム部分を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、インプラント1100は、単一アーム部分を含む。他の実施形態において、インプラント1100は、2よりも多いアーム部分を含む。いくつかの実施形態において、インプラント1100は、子宮又は膣円蓋を支持するために使用することができるちょうど2つのアーム部分を含む。
【0058】
第1のアーム部分1104は、第1のスリーブ及び第1の拡張器を使用してSSLの第1の部分の中に挿入される。第1の縫合糸は、第1のアーム部分1104に結合された第1の部分と第1の拡張器に結合された第2の部分とを有する。第2の縫合糸も、第1のアーム部分1104に結合された第1の部分と第1の拡張器に結合された第2の部分とを有する。上述のような配送デバイスは、第1のアーム部分1104をSSLの中に挿入するのに役に立つように使用することができる。第1のアーム部分1104(依然としてスリーブによって覆われている)がSSL内に配置された状態で、第2のアーム部分1106は、第2のスリーブ及び第2の拡張器を使用してSSLの第2の部分の中に挿入することができる。第3の縫合糸は、第2のアーム部分1106に結合された第1の部分と第2の拡張器に結合された第2の部分とを有する。第4の縫合糸は、第2のアーム部分1106に結合された第1の部分と第2の拡張器に結合された第2の部分とを有する。
【0059】
第1及び第2のスリーブが、それぞれ、第1のアーム部分1104及び第2のアーム部分1106から取出された状態で、第1のアーム部分1104及び第2のアーム部分1106は、患者の骨盤領域において周囲組織と係合して支持部分1102を支持する。アーム部分の任意の余剰部分は、切断され及び/又は取除くことができる。
【0060】
図12は、本発明の実施形態により患者の身体内に医療デバイス組立体を置く方法1200の流れ図である。上述のように、医療デバイス組立体は、支持部分及びアーム部分を有するインプラントと、拡張器と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第1の縫合糸と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第2の縫合糸とを含む。実施形態において、第1の縫合糸は、ループを形成し、第1の縫合糸の少なくとも一部分は、インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われる。更に、第2の縫合糸の少なくとも一部分は、インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われる。
【0061】
段階1202において、医療デバイス組立体の第1の部分が患者の身体内に配置され、医療デバイス組立体の第2の部分が患者の身体外に配置されるように、医師は、患者の身体の中に医療デバイス組立体を挿入する。実施形態において、アーム部分234(図3Aを参照)は、選択された組織部位を通して置かれて上述したように調節される。
【0062】
従って、段階1204において、医師は、スリーブ226内で第1の縫合糸242を切断する。例えば、第1の縫合糸242によって形成されたループの1つのストランドが切断される。同様に、段階1206において、医師は、スリーブ226内で第2の縫合糸254を切断する。いくつかの実施形態において、縫合糸242及び254は、同じ時に又は同時に医師によって切断することができる。この場合も、第2の縫合糸254によって形成されたループの1つのストランドが切断される。アーム部分234は、第1及び第2の縫合糸242及び254を通じてスリーブ226に結合されるので、縫合糸242及び254を切断することにより、対応するアーム部分234に対するスリーブ226の自由な移動を可能にする。
【0063】
最後に、段階1208において、医師は、スリーブ組立体(スリーブ226及び拡張器228を含む)及びアーム部分234をスリーブ組立体及び第1の縫合糸242及び/又は第2の縫合糸254の切られていないストランド引くことによって分離する。切断された第1の縫合糸242及び切断された第2の縫合糸254はまた、アーム部分234を通して引かれることが自由であることになる。従って、第1の縫合糸242及び第2の縫合糸254は、スリーブ組立体に固定されたままであり、アーム部分234からそれ自体で簡単にほどけるか又は抜けることになる。スリーブ226を取り除く時に、アーム部分234、236、238は、アーム部分234、236、238が置かれている周囲組織と係合する。アーム部分234、236、238上の突起部又は窪みも、周囲組織と係合することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では(図2のような形状にされたインプラント)、後部支持部分246は、スリーブ226をアーム部分234、236、238から取り除く前又は後に膣カフの周りに位置決めすることができる。後部膣切開を行って、後部支持部分246を位置決めするためのアクセスを与えることができる。例えば、医師は、後部切開により後部支持部分246にアクセスすることができ、手を使用することで、患者の膣と直腸の間の骨盤の後部領域において膣カフの周りに後部支持部分246を押し込むか又は包み込むことができる。後部支持部分246はまた、任意的に、骨盤領域内の組織又は靭帯に固定することができる。例えば、後部支持部分は、直腸膣中隔又は会陰体に縫合、すなわち、縫い合わせることができる。
【0065】
更に別の実施形態において、アーム部分(234、236、238)を置く順序は異なる場合がある。アーム部分を配送する順序の一例では、後部アーム部分238は、骨盤領域の各側面に最初に配送されて、例えば、SSL内に置かれる。次に、中央アーム部分236が配送され、腱弓内に置かれる。次に、前部アーム部分234が配送され、腱弓又は閉鎖筋(例えば、閉鎖筋又は膜)のいずれかの内部に置かれる。配送工程中の拡張器228の位置を使用して、拡張器228がどの組織(例えば、腱弓、閉鎖筋)を通過したかを明確に識別することができる。例えば、膣に対して(例えば、側部に沿って、上部の近くで、又は下部の近くで)膣前部切開部を出た拡張器の位置は、どの組織固定部位がどの拡張器に対応するかを示すのを助けることができる。例えば、膣の側部から出た拡張器は、拡張器が患者の腱弓を通して置かれたことを示すことができる。
【0066】
アーム部分の引っ張りの順序も異なる場合がある。更に別の実施形態において、前部アーム部分234に最初に、次に中央アーム部分236に、かつ最後に後部アーム部分238に張力を付与することができる。前部アーム部分234を使用して、前部支持部分244を縦方向に及び横方向に位置決めすることができる。例えば、中央アーム部分236を使用して、後部支持部分148を調節して位置決めすることができる。後部アーム部分238は、膣支持のための「より深い」係止点及び適正な角度を提供することができる。
【0067】
いくつかの実施形態において、医療デバイス組立体は、支持部分及びアーム部分を有するインプラントと、拡張器と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第1の縫合糸と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第2の縫合糸とを含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、組立体は、スリーブを含む。スリーブは、拡張器に結合される。スリーブは、空洞を形成する。インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、スリーブによって形成された空洞内に配置される。
【0069】
いくつかの実施形態において、組立体は、スリーブを含む。スリーブは、拡張器に結合される。スリーブは、空洞を形成する。インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、スリーブによって形成された空洞内に配置される。第1の縫合糸の少なくとも一部分は、スリーブによって形成された空洞内に配置される。第2の縫合糸の少なくとも一部分も、スリーブの空洞内に配置される。
【0070】
いくつかの実施形態において、組立体は、拡張器に結合された連結部材を含む。連結部材は、組立体を配送デバイスに連結させるように構成される。
【0071】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸の第1の部分は、第1の位置でインプラントのアーム部分に結合され、第2の縫合糸の第1の部分は、第1の位置と異なる第2の位置でインプラントのアーム部分に結合される。
【0072】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸の第1の部分は、第1の位置でインプラントのアーム部分に結合され、第2の縫合糸の第1の部分は、第1の位置と異なる第2の位置でインプラントのアーム部分に結合され、第1の位置は、第2の位置とインプラントの支持部分との間に配置される。
【0073】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸は、インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われてループを形成し、第2の縫合糸は、インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われてループを形成する。
【0074】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸は、ループを形成し、第2の縫合糸は、拡張器に結合された第1の端部と拡張器から離して配置された第2の端部とを有する。
【0075】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸は、ループを形成し、第2の縫合糸は、拡張器に結合された第1の端部とインプラントのアーム部分に結合された第2の端部とを有する。
【0076】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸は、ループを形成し、第1の縫合糸の少なくとも一部分は、インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われ、第2の縫合糸の少なくとも一部分は、インプラントのアーム部分の長手方向軸線に沿って縫われる。
【0077】
いくつかの実施形態において、インプラントのアーム部分は、第1のアーム部分であり、拡張器は、第1の拡張器であり、インプラントは、第2のアーム部分を含み、組立体は、第2の拡張器と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第3の縫合糸と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第4の縫合糸とを更に含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、医療デバイス組立体は、支持部分及びアーム部分を有するインプラントと、拡張器と、拡張器に結合されたスリーブと、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第1の縫合糸と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有し、スリーブの一部分及びインプラントのアーム部分の一部分を通して縫われる第2の縫合糸とを含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、スリーブは、空洞を形成し、インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、スリーブによって形成された空洞内に配置される。
【0080】
いくつかの実施形態において、スリーブは、空洞を形成し、インプラントのアーム部分の少なくとも一部分は、スリーブによって形成された空洞内に配置され、第1の縫合糸の少なくとも一部分も、スリーブによって形成された空洞内に配置される。
【0081】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸の第1の端部分は、拡張器に結合され、第1の縫合糸の第2の端部分は、第1の縫合糸がループを形成するように拡張器に結合される。いくつかの実施形態において、第1の縫合糸は、ループを形成する。
【0082】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸は、ループを形成し、第1の縫合糸の少なくとも一部分は、インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われる。
【0083】
いくつかの実施形態において、患者の身体内にインプラントを置く方法は、組立体の第1の部分が患者の身体内に配置され、かつ組立体の第2の部分が患者の身体外に配置されるように患者の身体の中に組立体を挿入する段階であって、組立体が、支持部分及びアーム部分を有するインプラントと、拡張器と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第1の縫合糸と、インプラントのアーム部分に結合された第1の部分及び拡張器に結合された第2の部分を有する第2の縫合糸とを含む上記挿入する段階と、第1の縫合糸を切断する段階と、第2の縫合糸を切断する段階と、インプラントから拡張器をインプラントの少なくとも一部分が患者の身体内に残るように分離する段階とを含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸は、ループを形成し、第1の縫合糸の少なくとも一部分は、インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われる。
【0085】
いくつかの実施形態において、第1の縫合糸は、ループを形成し、第1の縫合糸の少なくとも一部分は、インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われ、第2の縫合糸の少なくとも一部分も、インプラントのアーム部分の一部分を通して縫われる。
【0086】
様々な実施形態を上述したが、それらは単に例示的に提示されたものであり、限定ではないことを理解しなければならない。上述の方法が、ある一定の順序で起こるある一定の事象を示す場合に、ある一定の事象の順序は修正することができる。これに加えて、事象のある一定のものは、可能な時には並行工程で同時に行うことができ、並びに上述のように順番に行うこともできる。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12