(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プラットフォームの温度を調整するステップが、炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子の第1の部分及び第2の部分から熱を除去するためにプラットフォームから熱を除去するステップを含む、請求項1記載の方法。
炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子の第1の部分をe−ビーム放射光に露光させるステップ及び炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子の第2の部分をe−ビーム放射光に露光させるステップが、0.2MGy〜20MGyの累積ドーズ量でe−ビーム放射光を投射するステップを含む、請求項1又は請求項2記載の方法。
プラットフォームとe−ビーム放射光とのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させるステップが、回転の軸(X−X)の周りにプラットフォームを回転させるステップを含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
プラットフォームの第1の表面上に炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子を設置するステップをさらに含み、第1の表面が、プラットフォームの回転の軸(X−X)の周りに少なくとも部分的に広がる、請求項4記載の方法。
炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子の第1の部分をe−ビーム放射光に露光させるステップが、ビーム放射機構から放出されたe−ビーム放射光がプラットフォーム上の炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子を横切らない第1の配置からe−ビーム放射機構から放出されたe−ビーム放射光が炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子の第1の部分を横切る第2の配置へと、プラットフォームとe−ビーム放射光とのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させるステップを含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子の第1の部分をe−ビーム放射光に露光させるステップ及び炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子の第2の部分をe−ビーム放射光に露光させるステップが、10MGy〜20MGyの累積ドーズ量でe−ビーム放射光を投射するステップを含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の方法。
プラットフォームの温度を調整するステップが、炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子の第1の部分及び第2の部分から熱を除去するためにプラットフォームから熱を除去するステップを含む、請求項8記載の方法。
炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子の第1の部分をe−ビーム放射光に露光させるステップ及び炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子の第2の部分をe−ビーム放射光に露光させるステップが、0.2MGy〜20MGyの累積ドーズ量でe−ビーム放射光を投射するステップを含む、請求項8又は請求項9記載の方法。
炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子をプラットフォーム上に巻き付けることによって炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子がプラットフォーム上に設置され、炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子をプラットフォーム上に巻き付けることが、炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子を横切るe−ビーム放射光の方向に複数の層の積み重ねが形成されるように炭化ケイ素ファイバ前駆体高分子を巻き付けることを含む、請求項8乃至請求項10のいずれか1項記載
の方法。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素(SiC)は、電子材料として、エンジン中の金属に代わる並びに低密度及び高温における酸化、腐食と熱劣化に対する耐性と組合せて高強度が望まれる又は必要な様々な他の用途のための可能性のある置換材料として、現在かなり注目されているいくつかの先端セラミックス材料のうちの1つである。残念ながら、これらの極めて硬く溶融しないセラミックスは、従来の成形、機械加工、又はスピニング加工を適用することによって加工することが困難であり、これらの潜在的な用途の多くに対するこのセラミックスの使用を問題のあるものにしている。特に、e−ビーム照射を介してSiCファイバ高分子前駆体(ポリカルボシラン及びポリジシラザン)を架橋することは、炭化ケイ素ファイバ製造プロセスにおける最大のボトルネックである。
【0003】
SiCファイバ高分子前駆体(例えば、ポリカルボシラン及びポリジシラザン)を架橋することは、高分子を不溶融性にし、そのためファイバの寸法完全性を引き続く熱分解中に維持するであろう。現在、e−ビームは、SiCファイバ高分子前駆体を架橋することを実施するために使用される典型的な手法である。しかしながら、現在の架橋プロセスのスループットは、照射中に吸収したエネルギーのためにファイバが受ける温度上昇によってかなり制限される。結果として、放射線ドーズを十分にゆっくりとした速度で与えなければならず、SiCファイバ高分子前駆体がその溶融点に達しないこと、したがってその形状を失わないこと及び/又は一緒に溶融しないことを確実にする。
【0004】
典型的な配置では、放射線ドーズ量は、コンベヤシステムの使用を介して調節される又は制限される。プレセラミックSiCファイバの一部は、照射された後でもう1度少ないドーズ量で照射されるためにe−ビームに戻る前に、長いコンベヤに乗って周囲雰囲気中で冷却される。プレセラミックSiCファイバの部分は、効果的な架橋のために必要な累積ドーズ量を受けるのに十分な時間e−ビームの下を通り、これによってファイバの全体の長さを架橋する。大きなドーズ量(数MGy)が高分子ファイバを効果的に架橋するために必要である時には、照射プロセスは、非常に長いコンベヤシステム及び長い製造時間に必要とされる大きな資本投資のために法外に費用がかかるようになる。
【0005】
したがって、ファイバの寸法の完全性を維持しながら、e−ビームを介してSiCファイバ高分子前駆体(例えば、ポリカルボシラン及びポリジシラザン)を効率的に架橋するための方法及び装置に関する必要性が存在する。先行技術の方法及び装置よりもはるかに早い速度でこのようなファイバのe−ビーム硬化を容易にする方法及び装置は、フットプリントを縮小する必要条件とともに、大いに役立つ高いスループット、コスト効率の良い商用の炭化ケイ素ファイバ製造を提供するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記に提示する各実施形態は、本開示のある種の態様の説明を容易にし、本開示の範囲を限定するようには解釈されるべきではない。その上、明細書及び特許請求の範囲の全体を通してここで使用されるように、近似する言い回しを、定量的な表現が関係する基本的な機能に変化をもたらさずに変わることが許されるいずれかの定量的な表現を修飾するために適用することができる。したがって、「約(about)」などの1つ又は複数の用語によって修飾された値は、指定された正確な値に限定されない。いくつかの事例では、近似する言い回しは、値を測定するための機器の精度に対応することがある。様々な実施形態の要素を導入するときの「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」及び「前記(said)」という冠詞は、1つ又は複数の要素があることを意味するものとする。「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」及び「有している(having)」という用語は、包括的であり、列挙した要素の他にさらなる要素があってもよいことを意味するものとする。本明細書において使用するように、「してもよい(may)」及び「であることができる(may be)」という用語は、一連の状況の中での発生の可能性、指定された特性、特徴もしくは機能を保有することを示し、及び/又は修飾した動詞に関係する能力、性能もしくは可能性のうちの1つ又は複数を表すことによって別の動詞を修飾する。したがって、「してもよい」及び「であることができる」の使用は、示された能力、機能、又は使用に関して、修飾された用語が見かけ上適切である、可能である、又は適していることを示し、一方で、ある状況では、修飾された用語が、時には適切ではない、可能ではない、又は適していないことを考慮する。動作パラメータの任意の例は、開示した実施形態の他のパラメータを除外しない。いずれかの特定の実施形態に関して本明細書において記述した、図説した、又はそうでなければ開示した構成要素、態様、特徴、構成、配置、使用、等を、本明細書において開示したいずれかの他の実施形態に同様に適用することができる。
【0012】
「プレセラミックSiCファイバ」という用語(及びその文法的な変形)を、数パーセントの架橋をともなう、又はともなわない炭化ケイ素(SiC)ファイバ高分子前駆体又は炭化ケイ素グリーンファイバを呼ぶように本明細書では使用する。
【0013】
本開示の方法及び装置は、現在の技術水準によって実現することができるものよりはるかに大きい速度でのe−ビーム照射を介して炭化ケイ素(SiC)ファイバ高分子前駆体(例えば、ポリカルボキシラン及びポリシラザン)を架橋することを提供する。いくつかの実施形態では、ポリシラザンは、ポリジシラザンである。本明細書において開示する方法及び装置は、シングルe−ビーム設備を使用して、架橋したプレセラミックSiCファイバを毎年少なくとも約20トン、より好ましくは架橋したプレセラミックSiCファイバを毎年少なくとも約30トン生成することが可能である。架橋したプレセラミックSiCファイバのこのような製造速度は、現在の典型的なSiCファイバ高分子前駆体e−ビーム装置及び方法よりも少なくとも約500%の性能の優位性を提供する。いくつかの実施形態では、試験は、典型的なプレセラミックSiCファイバ架橋e−ビーム装置及び方法と比較して、架橋したプレセラミックSiCファイバのスループットにおける600%の増加をもたらした。本開示のプレセラミックSiCファイバ又はSiCファイバ高分子前駆体架橋方法及び装置は、コンベヤシステム内の典型的なバルクコンテナと比較して、処理した又は架橋したプレセラミックSiCファイバへのより高い放射線ドーズ一様性をやはり提供する。またさらに、本開示のプレセラミックSiCファイバ又はSiCファイバ高分子前駆体架橋方法及び装置は、以前のプレセラミックSiCファイバ高分子前駆体架橋装置及び方法と比較して同じ放射線ドーズ率で架橋プロセス中のプレセラミックSiCファイバのより低い動作温度を提供する。さらに別の一態様では、本開示のプレセラミックSiCファイバ架橋方法及び装置は、以前のSiCファイバ高分子前駆体架橋装置及び方法と比較してより少ない資本投資(例えば、より数少ないe−ビームユニット、より少ない設備基盤、より小さなフットプリント、等)を提供する。
【0014】
一態様では、本開示の方法及び装置は、SiCファイバ高分子前駆体がプラットフォームの上/中に設置され、e−ビーム照射を受けるプラットフォームに対して積極的な温度調整又は維持管理を行う。このようにして、プラットフォームの温度調整は、e−ビーム照射中に及びその後の両方で(例えば、伝導を介して)プラットフォーム上に設置されたプレセラミックSiCファイバを積極的にかつ連続的に調整する。架橋処理中には、吸収した照射エネルギーは、プレセラミックSiCファイバ内に熱を生成し、そして温度調整は、プラットフォームを冷却し、これによって部分的に架橋したプレセラミックSiCファイバを冷却することを含む。温度調整は、高分子前駆体の軟化点よりも低くプレセラミックSiCファイバの温度を維持管理する際に効果的である場合がある。照射プロセスは、プラットフォーム上に設置されたSiCファイバ高分子前駆体の第1の部分を照射することを含む。プラットフォーム及び/又はe−ビーム放射光を放出する放射機構の動きは、SiCファイバ高分子前駆体の第2の部分を照射させ、第1の部分がこれ以上照射を受けないようにさせることができる。熱をプラットフォームから、したがってプレセラミックSiCファイバから継続的に取り去ることができるので、e−ビーム放射光のより大きなドーズ率を、架橋プロセス中に実現することができる。さらに、プラットフォームを介したプレセラミックSiCファイバの温度調整は、先行技術の架橋方法及び装置と比較してスループットを増加させることができる。本開示の方法及び装置は、これによって冷却コンベヤシステムの必要性を排除し、したがって、先行技術のプレセラミックSiCファイバ架橋方法及び装置に付随する投資コスト及び必要なフットプリントを減少させる。
【0015】
プレセラミックSiCファイバを架橋するための例示的な装置、システム、方法、等を、
図1〜
図3Bに図示し、参照番号10によって全体として参照する。
図1に示したように、プレセラミックSiCファイバ架橋装置及び方法10は、いくつかの構成要素、特徴、等を含むことができる。
図1に示した例示的なSiCファイバ高分子前駆体架橋装置及び方法10は、e−ビーム放出機構12、ファイバプラットフォーム14、プレセラミックSiCファイバ16、及び移動機構18を含む。
【0016】
e−ビーム放出機構12を、プラットフォーム14上/中に設置されたプレセラミックSiCファイバ16へ、e−ビーム放射光の少なくとも1回のドーズを放出する際に効果的である任意の機構とすることができる。e−ビーム放出機構12から放出されたe−ビーム放射光20のドーズのビーム電流及び電子エネルギー計量は、SiCファイバ高分子前駆体16を少なくとも部分的に架橋する際に効果的であることがあり、したがって、多数の変数に依存することがある、又は少なくとも関係することがある。例えば、SiCファイバ高分子前駆体16の物理的特性(例えば、軟化点、溶融点、等)、プラットフォーム14上のプレセラミックSiCファイバ16の積み重ね厚さ及び/又は配置、プレセラミックSiCファイバ16とe−ビーム放射光20との間の相対移動速度及び方向、プラットフォーム14によって行われる温度維持管理又は冷却のレベル又は有効性、プレセラミックSiCファイバ16に当てられるe−ビーム放射光のドーズの数、並びに架橋の所望のレベルは、架橋プロセス中にe−ビーム放出機構12から放出されるe−ビーム放射光20の最小ドーズ量、最大ドーズ量、又は最も効果的なドーズ量に影響を及ぼすことがあるいくつかの要因又は変数である。
【0017】
いくつかの実施形態では、(装置10の他の構成要素と組合せて)e−ビーム放出機構12を、プレセラミックSiCファイバ16の個々の高分子に応じて、約0.2MGy〜約20MGy、好ましくは約5MGy〜約20MGyの累積ドーズ量でe−ビーム放射光を放出するように構成することができる。高分子としてポリジシラザンを利用するプレセラミックSiCファイバ16実施形態を用いると、(装置10の他の構成要素と組合せて)e−ビーム放出機構12を、約0.2MGyから約2MGyの範囲内の累積ドーズ量でe−ビーム放射光を放出するように構成することができる。高分子としてポリカルボシランを利用するプレセラミックSiCファイバ16実施形態を用いると、(装置10の他の構成要素と組合せて)e−ビーム放出機構12を、SiCファイバ16への前駆体がポリカルボシランである場合には5MGyよりも大きく、好ましくは約10MGyから約20MGyの範囲内の累積ドーズ量でe−ビーム放射光を放出するように構成することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、SiCファイバ16への前駆体を、プラットフォーム14上に2層以上の層の積み重ねに設置する。いくつかのこのような実施形態では、プラットフォーム14上のプレセラミックSiCファイバ又はSiCファイバ高分子前駆体16の厚さは、約1インチ(25.4mm)以下である。いくつかのこのような実施形態では、プラットフォーム14上/中のプレセラミックSiCファイバ16の厚さは、約0.5インチ(12.7mm)以下である。いくつかの実施形態では、プラットフォーム14上/中に設置されたプレセラミックSiCファイバ16の厚さは、プレセラミックSiCファイバ16を横切るe−ビーム放射光20の方向に沿って測定される。いくつかの実施形態では、e−ビーム放射光20が実質鉛直に又は垂直な向きにプレセラミックSiCファイバ16を横切るように、装置を構成することができる。
【0019】
上に述べたように、プレセラミックSiCファイバ16とSiCファイバ高分子前駆体架橋装置10のe−ビーム放射光20との間の相対的な速度及び向きは、架橋プロセス中にe−ビーム放出機構12から放出されるe−ビーム放射光20の最小ドーズ量、最大ドーズ量、又は最も効果的なドーズ量に影響を及ぼす、又は少なくとも関係することがある。
図1に示したように、SiCファイバ高分子前駆体架橋装置及び方法10は、移動機構18を含むことができる。プラットフォーム14(その中/上に収容されたプレセラミックSiCファイバ16を有する)とe−ビーム放射光20とのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させるように、移動機構18を構成することができ、その結果、プレセラミックSiCファイバ16の異なる部分がe−ビーム放射光20のドーズを受ける(例えば、プラットフォーム14上/中のプレセラミックSiCファイバ16の全体がe−ビーム放射光20の実質的に同じ1つ又は複数のドーズを受ける)。いくつかの実施形態では、移動機構18を、プラットフォーム14及びその上/中で運ばれるSiCファイバ16に対してe−ビーム放射光20を移動させるように構成することができる。いくつかのこのような実施形態では、e−ビーム放出機構12の一部分又はアスペクト(aspect)を、移動機構18によって移動させることができる。いくつかの実施形態では、e−ビーム放出機構12から放出されたe−ビーム放射光20を、移動機構18によって移動させることができる。例えば、移動機構18は、プレセラミックSiCファイバ16に対してe−ビーム放射光20を移動させるためにe−ビーム放出機構12から放出されたe−ビーム放射光20に電場/磁場を印加することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、
図2A及び
図2Bに示したように、プレセラミックSiCファイバ16を運ぶプラットフォーム14を、e−ビーム放出機構12から放出されたe−ビーム放射光20に対して移動機構18によって移動させることができる。具体的には、
図2A及び
図2Bに示したように、初めに、グリーンファイバ16がe−ビーム放出機構12から放出されたe−ビーム放射光20を受けない第1の位置からプレセラミックSiCファイバ16の少なくとも第1の部分16Aが第1のドーズ量のe−ビーム放射光20Aを受ける第2の位置まで、プレセラミックSiCファイバ16を運ぶプラットフォーム14を移動させるように、架橋装置10を構成することができる。このような移動を、直線的、円弧状、回転、又はe−ビーム放出機構12から放出されたe−ビーム放射光20受けるための位置にプレセラミックSiCファイバ16を設置する際に効果的な任意の他のタイプ、もしくは動きの方向とすることができる。いくつかの実施形態では、放出されたe−ビーム放射光20Aのサイズ、形状、向き、レイアウト、パターン、等は、放射光20を受けるプレセラミックSiCファイバ16のサイズ、形状、向き、レイアウト、パターン、等よりも小さくてもよい−すなわち、
図2A及び
図2Bに示したように、第1の時点においてプレセラミックSiCファイバ16の第1の部分16Aだけを、架橋プロセス中にe−ビーム放射光20Aに露光させることができる。例えば、放射光20が横切るプラットフォーム14上のプレセラミックSiCファイバ16の領域と比較して、より小さい領域を画定するパターン内にe−ビーム放射光20を放出するように、e−ビーム放出機構12を構成することができる。
【0021】
架橋プロセス中に、あるドーズ量のe−ビーム放射光20BでプレセラミックSiCファイバ16の第2の部分16Bを露光するために、グリーン又はプレセラミックSiCファイバ16を運ぶプラットフォーム14を、e−ビーム放出機構12から放出されたe−ビーム放射光20に対して移動機構18によって移動させることができる。このようにして、移動機構18は、e−ビーム放出機構12からの複数のドーズ量のe−ビーム放射光20でプレセラミックSiCファイバ16の全体(又は一部分)を露光させる際に効果的である場合がある。プレセラミックSiCファイバ16の全体にわたりe−ビーム放出機構12からのe−ビーム放射光20を複数回通過させ、これによって、放射光20の複数回のドーズをもたらす。下記にさらに論じるように、架橋装置及び方法10の温度維持管理機能は、高ドーズ量の放射光20の比較的速い送達を可能にする。
【0022】
プレセラミックSiCファイバ16の複数の部分が放射光20の少なくとも1回のドーズを受ける(すなわち、プレセラミックSiCファイバ16を架橋する)ように、グリーンファイバ16を収容するプラットフォーム14とe−ビーム放射光20とのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させることを、一定速度で又は可変速度で実行することができる。例えば、プラットフォーム14上のプレセラミックSiCファイバ16の配置又は向き(例えば、一定の積み重ね厚さ)は、移動機構18を介したプレセラミックSiCファイバ16とe−ビーム放射光20との間の一定移動速度がプレセラミックSiCファイバ16の全体にわたり放射光の実質的に一様なドーズをもたらすはずであることを、決定づけることができる。しかしながら、プラットフォーム14上の他の配置又は向きは、移動機構18を介したプレセラミックSiCファイバ16とe−ビーム放射光20との間の可変移動速度がプレセラミックSiCファイバ16の全体にわたり放射光の実質的に一様なドーズをもたらすはずであることを、決定づけることができる。さらに別の変形形態では、プレセラミックSiCファイバ16への放射光の一様でないドーズが望ましいことがあり、少なくとも一部が、移動機構18を介したプレセラミックSiCファイバ16とe−ビーム放射光20との間の相対的な移動の速度又は経路によって実現されることがある。いくつかの実施形態では、プレセラミックSiCファイバ16を収容しているプラットフォーム14とe−ビーム放射光20とのうちの少なくとも一方を他方に対して移動させ、その結果、プレセラミックSiCファイバ16とe−ビーム放射光20との間の移動速度が、実質的に一定であり、比較的大きくなるように、移動機構18を構成する。いくつかの実施形態では、プレセラミックSiCファイバ16とe−ビーム放射光20との間の移動速度を、少なくとも約100cm/minにすることができる。いくつかの実施形態では、プレセラミックSiCファイバ16とe−ビーム放射光20との間の移動速度を、少なくとも約500cm/minにすることができる。
【0023】
図2A及び
図2Bに示したプラットフォーム14の一部の周りに出ている例示的な方向矢印によって示したように、架橋プロセス中の移動機構18による(プラットフォーム14を介した)プレセラミックSiCファイバ16の移動は、直線的、円弧状、回転、もしくは任意の他のタイプとすることができる、又はプレセラミックSiCファイバ16の第2の部分16Bが照射されるような位置に(プラットフォーム14を介して)プレセラミックSiCファイバ16を設置する際に効果的である動きの方向とすることができる。
図2A及び
図2Bに示したような実施形態では、プレセラミックSiCファイバ16を、プラットフォーム14の実質的に平坦な表面上に設置する。このような実施形態では、
図2Aに示したように、実質的に直線的な面又は方向22に沿って、プラットフォーム14、したがって、その上のプレセラミックSiCファイバ16を移動させるように、移動機構18を構成することができる。プラットフォーム14、したがって、その上のプレセラミックSiCファイバ16を実質的に直線的な面又は方向22に沿って前後に移動させることによって、移動機構18は、e−ビーム放射光20のいくつかのドーズでプレセラミックSiCファイバ16の全体を照射する際に効果的である場合がある。
【0024】
プラットフォーム14上の可能性のあるグリーン又はプレセラミックSiCファイバ16レイアウト及びe−ビーム放出機構12から放出されたe−ビーム放射光20とプラットフォーム14(したがって、その上のプレセラミックSiCファイバ16)との間の相対的な移動のもう1つの例を、
図2Bに示す。
図2Bに示したように、いくつかの実施形態では、プレセラミックSiCファイバ16を、プラットフォーム14を通過する軸X−Xの周りに1層又は複数の層で円弧状、円形又はらせん状の配置にプラットフォーム14の表面上に設置することができる。同様に、いくつかの実施形態では、X−Xの周りの回転方向24に、プラットフォーム14、したがってその上のプレセラミックSiCファイバ16を移動させるように、移動機構18を構成することができる。移動機構18を介したプラットフォーム14、したがってその上のプレセラミックSiCファイバ16の回転運動24は、e−ビーム放射光20のいくつかのドーズ(回転当たり1ドーズ)でプレセラミックSiCファイバ16の全体を照射する際に効果的である場合がある。いくつかのこのような実施形態では、回転の軸X−Xの周りのプラットフォーム14の中央領域は、このようなプレセラミックSiCファイバ16が、回転の軸X−Xから遠い部分よりも放射光20の実質的により大きなドーズを受けるはずであるので、その上にプレセラミックSiCファイバ16を含まないことがある。いくつかのこのような実施形態では、プラットフォーム14、したがってプレセラミックSiCファイバ16の回転の軸X−Xをe−ビーム放射光20の方向に実質的に平行にすることができるように、架橋装置及び方法10を構成することができる。
【0025】
グリーン又はプレセラミックSiCファイバプラットフォーム14の例示的な構成又は配置を、
図1、
図3A及び
図3Bに示す。
図1に示したように、プラットフォーム14は、処理される(すなわち、照射されこれによって架橋される)グリーンSiCファイバ16を収容するためのチャンバ30を形成する又は含むことができる。チャンバ30中への、したがって、その中に収容されたプレセラミックSiCファイバ16上への又は周りへの、水分及び酸素の移動又はマイグレーションを処理中に実質的に防止するように、チャンバ30を実質的に密閉可能にする又は密閉することができる。いくつかの実施形態では、チャンバ30内に含まれる水分及び酸素が、処理中には約50ppm以下であり、ラジカルとの著しい反応を回避するように、チャンバ30を構成することができる。いくつかの実施形態では、チャンバ30内に含まれる酸素が、処理中には約10ppm以下であるように、チャンバ30を構成することができる。いくつかの実施形態では、チャンバ30は、実質的に気密に密閉可能である又は密閉される。
【0026】
チャンバ30を、
図1に示したように、少なくとも一部を、フランジ32、窓部材34、シール部材36及びベース38によって形成することができる。フランジ32には、開口部を形成することができ、この開口部を通り、e−ビーム放射光20を投射することができ、最終的に、プレセラミックSiCファイバ16により吸収させることができる。少なくとも部分的に、開口部を覆って窓部材34を結合させるために、フランジ32をやはり利用することができる。窓部材34を、チャンバ30内に収容されたプレセラミックSiCファイバ16を架橋する際に効果的であるレベルでe−ビーム放射光20によって侵入可能である任意の材料又は配置とすることができる。窓部材34をまた、架橋中に窓部材を通る、したがってチャンバ中への及びSiCファイバ16上への又は周りへの水分及び酸素の移動又はマイグレーションを実質的に防止するように構成される任意の材料又は配置とすることができる。いくつかの実施形態では、窓部材34は、チタン箔である。いくつかのこのような実施形態では、チタン箔は、約2ミル(50.8μm)厚である。
【0027】
いくつかの実施形態では、
図1に示したように、プレセラミックSiCファイバプラットフォーム14は、少なくとも1つのシール部材36を含むことができ、水分及び酸素が処理(すなわち、架橋)中にチャンバ30中へと侵入する又はマイグレートすることを実質的に防止することを確実にする。例えば、少なくとも部分的に、フランジ32及び/又はベース38に窓部材34を密着させるために、少なくとも1つのシール部材36を利用することができる。ベース38は、
図1に示したように、フランジ32と窓部材34とがベース38に結合されるときにベース38と窓部材34との間に空間を形成するように構成された、凹んだ処理表面39(又は他の形状)を含むことができる。このようにして、処理表面39を、その上にプレセラミックSiCファイバ16を受けるように構成することができる。
図1にやはり示したように、少なくともフランジ32及びベース38は、それぞれ対応するアパーチャ40A及び40Bを含むことができ、これらは締め具(図示せず)を介してチャンバ30を形成するためにフランジ32、窓部材34、シール部材36及びベース38を結合することを容易にする。さらに、ベース38は、チャンバ30を密閉したときに、チャンバ30の水分及び酸素を除去するために構成された1つ又は複数のポート42を含むことができる。例えば、密閉した後でチャンバ30からすべての水分及び酸素を真空排気するために、及び/又はプレセラミックSiCファイバ16の架橋を容易にする又は少なくとも妨害しない雰囲気をチャンバ30中へと導入するために、少なくとも1つのポート42を利用することができる。例えば、処理(例えば、照射)中に、チャンバ30が約50ppm以下の水分及び酸素、好ましくは約10ppm以下の酸素しか含有しないようにチャンバ30から水分及び酸素を真空排気するために、少なくとも1つのポート42を利用することができる。一旦、水分及び酸素がチャンバ30から実質的に除去される(及び/又は雰囲気がチャンバ30中へと入れられる)と、少なくとも1つのポート42を、実質的に密閉する(例えば、気密に密閉する)ことができ、これによって実質的に酸素及び水分のないチャンバ30を密閉することができる。
【0028】
図3Aに示したように、ベース38は、冷却剤注入口44、冷却剤排出口46、及びこれらの間に延びる冷却剤流路48を含むことができる。冷却剤注入口44、冷却剤排出口46及び冷却剤流路48は、伝熱材料又は冷却剤(図示せず)がベース38を通って流れることを可能にすることができる。
図1〜
図3Bに示した例示的な実施形態では、ベース38は、第1の底部部分52及び第2の上部部分54を含む2部品構成のものである。例示的な第2の上部部分54は、
図3Aに示したように、一方の側に処理表面39を含む又は形成し、反対側に冷却剤注入口44、冷却剤排出口46、及び冷却剤流路48の一部分を含む又は形成する。このような配置では、冷却剤流路48を通って流れる伝熱材料又は冷却剤は、処理表面39から、そして最終的には照射されたプレセラミックSiCファイバ16から第2の上部部分54(及び可能性として第1の底部部分52)を通って伝導する熱を吸収することができ、架橋中にプレセラミックSiCファイバの温度を維持管理する。組み立てるときに、
図3Bに示したように、第1の底部部分52及び第2の上部部分54は、その間に密閉部56を形成することができ、その結果、密閉された冷却剤流路が、(注入口44及び排出口46を除いて)ベース38を通り形成される。いくつかの実施形態では、伝熱材料又は冷却剤を、冷却剤流体とすることができる。1つ又は複数のポンプ又は同様の機構(図示せず)を、プラットフォーム14に結び付けることができ、冷却剤注入口44から冷却剤排出口46へとプラットフォーム14の冷却剤流路48を通る伝熱材料又は冷却剤の流れを強制することができる。このようにして、プラットフォーム14(又は装置もしくは方法10)は、架橋プロセス中に(すなわち、放射光のドーズ中に及び放射光の各ドーズの後で)e−ビーム放射光20のドーズと同時にプラットフォーム上のプレセラミックSiCファイバ16の温度を維持管理する又は調整する一体型熱交換器を含む。
【0029】
冷却剤流路48及び架橋中にその中を流れる冷却剤は、プレセラミックSiCファイバ16を溶融させずに比較的大きなドーズ率のe−ビーム放射光20を当てることを可能にする。いくつかの実施形態では、プラットフォーム14の一部分の温度を(例えば、伝導、対流、又はこれらの組合せを介して)維持管理する又は冷却することによって、e−ビーム放射光20が比較的大きなドーズ率(例えば、約12kGy/sec以上)である間、プレセラミックSiC高分子16の軟化点よりも低くプレセラミックSiCファイバ16の温度を維持管理する又は調整するように、冷却剤流路48及びその中を流れる冷却剤を構成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、冷却剤流路48を通って流れる伝熱材料又は冷却剤の温度を、プラットフォーム14上に設置されたプレセラミックSiCファイバ16の軟化点よりも低くすることができる。いくつかの実施形態では、プラットフォーム14の一部分の温度を(例えば、伝導、対流、又はこれらの組合せを介して)維持管理する又は冷却することによって、e−ビーム放射光20が比較的大きなドーズ率(例えば、約12kGy/sec以上)である間、プレセラミックSiCファイバ16の溶融点よりも低くプレセラミックSiCファイバ16の温度を維持管理する又は調整するように、冷却剤流路48及びその中を流れる冷却剤を構成することができる。いくつかの実施形態では、冷却剤流路48を通って流れる冷却剤の温度は、プラットフォーム14のチャンバ30内のプレセラミックSiCファイバ16の軟化点の少なくとも約50℃下である。いくつかの実施形態では、プラットフォーム14は、ポリシラザンSiCファイバ16を含み、そして冷却剤流路48を通って流れる冷却剤を、ポリシラザンSiCファイバ16の温度を維持管理する又はその温度が約100℃を超えることを防止するように(例えば、温度、流量、等を)構成する。いくつかの実施形態では、プラットフォーム14は、ポリカルボシランSiCファイバ16を含み、冷却剤流路48を通って流れる冷却剤を、ポリカルボシランSiCファイバ16の温度を維持管理する又はその温度が約200℃を超えることを防止するように(例えば、温度、流量、等を)構成する。
【0030】
もう1つの例示的なプレセラミックSiCファイバを架橋するための装置、システム、方法、等を
図4〜
図5Bに図示し、全体として参照符号110によって参照する。
図4〜
図5Bに示したように、プレセラミックSiCファイバ架橋装置及び方法110は、
図1〜
図3Bを参照して上に説明した例示的なプレセラミックSiCファイバ架橋装置、システム、方法、等10と同様に機能するいくつかの構成要素、特徴、等を含むことができ、したがって、数字「1」に続く類似の参照番号を、類似の要素、構成、特徴、機能、等を示すために使用する。他のプレセラミックSiCファイバ架橋装置、システム、方法、特徴、機能、等、及び代替実施形態(すなわち、修正形態、変形形態、等)に関する記載を含むこれらのサブアセンブリに関する上の説明は、プレセラミックSiCファイバ架橋装置、システム、方法、等110(及びこれらの任意の代替実施形態)に同様にあてはまる。
図4〜
図5Bに示したように、とりわけ、
図4〜
図5Bの例示的なプレセラミックSiCファイバ架橋装置、システム、方法、等110は、プレセラミックSiCファイバプラットフォーム114、プラットフォーム114上に設置されたプレセラミックSiCファイバ116、並びに架橋プロセス中のプレセラミックSiCファイバプラットフォーム114(したがって、その上に設置されたプレセラミックSiCファイバ116)及び/又はe−ビーム放射光120の移動の構成又は配置に関して
図1〜
図3Bの実施形態10とは異なる。
【0031】
図4に示したように、プレセラミックSiCファイバ架橋装置及び方法110は、移動機構118による回転の軸X−Xの周りのプラットフォーム114の回転124を介してプラットフォーム114上に設置されたプレセラミックSiCファイバ116を架橋するように(すなわち、照射するように)構成される。プラットフォーム上のプレセラミックSiCファイバ116を運ぶプラットフォーム114のベース138の処理用表面139は、回転の軸X−Xの周りに形成され、回転の軸を潜在的に規定する。例えば、ベース138は、
図4及び
図5Aに示したように、ドラム、スプール、シリンダ、等の形状を形成する又は含むことができ、その結果、処理用表面139は、円弧状であり、少なくとも部分的に、回転の軸X−Xの周りに広がる。いくつかの実施形態では、ベース138(及び/又はその処理用表面139)は、軸を形成し、そしてこのような軸を、処理用表面139の回転の軸X−Xと実質的に位置合わせすることができる。いくつかの実施形態では、プラットフォームのベース138の処理用表面139は、約3インチ(7.62cm)から約10フィート(304.8cm)の範囲内、好ましくは約6インチ(15.24cm)から約3フィート(91.44cm)の範囲内の直径を有するシリンダ形状を形成する。
図4及び
図5Bに示したように、いくつかの実施形態では、フランジ132及び窓部材134は、ドラム、スプール、シリンダ、等の形状を形成することができ、その結果、フランジ132は、少なくとも一部が、ベース138の円弧状の処理用表面139の周りに窓部材134を結合する。このようにして、フランジ132及び窓部材134は、少なくとも部分的に、プレセラミックSiCファイバ116をベース138に密閉することができる。
【0032】
プラットフォーム114は、
図5Aに示したように、伝熱材料又は冷却剤を流すための冷却用流路148を含む内側領域を含むことができる。いくつかの実施形態では、冷却用流路148を、注入口から排出口まで冷却剤が通って流れる導管又は通路として有効に機能する他の部材もしくは構成によって画定することができる。プラットフォーム114のベース138の処理用表面139、したがって、処理用表面139上に設置されたプレセラミックSiCファイバ116を維持管理する、調整する、又は冷却するように、冷却用流路148を構成することができる。いくつかの実施形態では、プラットフォーム114のベース138の処理用表面139を、ベース138の壁の外側表面上に形成することができ、冷却用流路148を、外側表面とは反対のベース138の壁の内側表面上に設けることができる。このようにして、熱は、処理用表面139からベース138の壁を通って内側表面へ、そして最終的には、冷却用流路148を通って流れる冷却剤まで、伝導(及び/又は別の熱伝達機構)を介して進むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、
図4〜
図5Bに示したように、キャップ部材152をベース138に結合することができる。キャップ部材152は、冷却用流路148を含む内側部分などの、ベース138の内側部分を取り囲むことができる。キャップ部材152は、プレセラミックSiCファイバ116のための密閉したチャンバ又は空洞を作るために、プレセラミックSiCファイバ116を覆ってフランジ132及び窓部材134の密閉部を形成することができる。上に記したように、プレセラミックSiCファイバ116を収容するためのプラットフォーム114のプレセラミックSiCファイバチャンバ、密閉容器、又は空洞を、実質的に気密にすることができ、チャンバからの水分及び酸素の除去を容易にするために(及び/又はチャンバ中へと雰囲気を導入するために)1つ又は複数のポートを含むことができる。
図4〜
図5Bに示したように、移動部材150を、キャップ部材152及びベース138と一体にすることができる。回転の軸X−Xの周りにプラットフォーム114(したがって、その上のプレセラミックSiCファイバ116)を移動させる(例えば、回転させる)ために移動機構118によって利用されるように、少なくとも1つの移動部材150を構成することができる。
【0034】
図5Aに示したように、プラットフォーム114のドラム状ベース138の処理用表面139に、プレセラミックSiCファイバ116を巻き付けることできる。いくつかの実施形態では、プラットフォーム114上のプレセラミックSiCファイバ116を、ファイバ巻き線の吐糸口から直接巻き付けることができる。多層のプレセラミックSiCファイバ116の積み重ねを形成するように、プレセラミックSiCファイバ116を巻き付けることができる。いくつかのこのような実施形態では、プラットフォーム114のプレセラミックSiCファイバ116の厚さを、約1インチ(25.4mm)以下にすることができる。いくつかの実施形態では、プラットフォーム114のプレセラミックSiCファイバ116の厚さを、約0.8インチ(20.3mm)にすることができる。
【0035】
一旦、プラットフォーム114がプレセラミックSiCファイバ116で巻き付けられると、
図5Aに示したように、キャップ部材152及び/又は移動部材150を、プラットフォーム114のベース138に結合することができる。一旦、キャップ部材152がSiCファイバ116を巻き付けたプラットフォーム114に結合されると、フランジ132及び窓部材134を、プラットフォーム114に結合させることができ、プレセラミックSiCファイバ116の周りに実質的に密閉された領域、空洞、密閉容器、又はチャンバを形成することができる。上に記したように、プレセラミックSiCファイバ116の周りの密閉された領域、空洞、密閉容器、又はチャンバは、酸素及び/又は水分を実質的に真空排気させることができる。さらに、プレセラミックSiCファイバ116の周りの密閉された領域、空洞、密閉容器、又はチャンバ中へと雰囲気を導入するために、1つ又は複数のポートを利用することができ、この雰囲気がe−ビーム放射光120を介したプレセラミックSiCファイバ116の架橋を容易にする。
図4に示したように、e−ビーム放射機構112から放出されたe−ビーム放射光120が窓部材134を通過しそしてプレセラミックSiCファイバ116を横切るように、密閉されたプラットフォーム114を、方向122に移動させることができる。いくつかの実施形態では、プラットフォーム114のこのような移動を、移動機構118によって行うことができる。やはり
図4に示したように、いくつかの実施形態では、e−ビーム放射光120が、プラットフォーム114の回転の軸X−Xに沿って延びる方向にプレセラミックSiCファイバ116の長さの全体、又は少なくともかなりの部分にわたって広がるように、e−ビーム放射機構112及びプラットフォーム114を配置する又は向けることができる。いくつかの実施形態では、e−ビーム放射機構112から放出されたe−ビーム放射光120は、プラットフォーム114の回転の軸X−Xを通り実質的に垂直に延びる方向に進む。このようにして、e−ビーム放射機構112から放出されたe−ビーム放射光120は、プラットフォーム114上のプレセラミックSiCファイバ116に実質的に垂直に又は鉛直に広がる。
【0036】
プレセラミックSiCファイバ架橋装置及び方法110のこのようなドラム状回転配置では、e−ビーム放射機構112は、e−ビーム放射光120を放出することができ、プラットフォーム114は、移動の軸X−Xの周りを回転移動する124ことができ、プレセラミックSiCファイバ116を照射し、これによってプレセラミックSiCファイバ116を(少なくとも部分的に)架橋することができる。いくつかの実施形態では、このような回転移動124を、移動機構118によって行うことができる。プラットフォーム114(したがって、その上のプレセラミックSiCファイバ116)が回転する速度、及びe−ビーム放射光120のドーズの強さを、プラットフォーム114の完全な1回転がプラットフォーム114の上に設置されたプレセラミックSiCファイバ116のすべてにe−ビーム放射光120の一様なドーズをもたらすように構成することができる。さらに、照射中には、冷却剤を、プラットフォーム114を通って延びる冷却用流路148を介してポンプで送る又はそうでなければ通過させることができて、巻き付けたプレセラミックSiCファイバ116と接触している処理用表面139を冷却することができる。このようにして、プレセラミックSiCファイバ116の特定の部分が、e−ビーム放射光120を受ける間、及びその部分がe−ビーム放射光120の第2のドーズを受ける前にその部分が回転の軸X−Xの周りを進む間の両者で、照射されたプレセラミックSiCファイバ116の温度を維持管理する又は調整するために、冷却用流路148及びその中の冷却剤を利用することができる。プラットフォーム114上のプレセラミックSiCファイバ116の全体、又は少なくともかなりの部分が、放射光120を介して所定のレベルまで架橋される(十分なドーズが当てられる)ように、このサイクルを繰り返すことができ、プレセラミックSiCファイバ116がその軟化点又は溶融点に達することを防止する。架橋の後で、フランジ132、窓部材134、移動部材150、及びキャップ部材152のうちの少なくとも1つを、プラットフォームから取り除くことができ、その結果、ドラム状プラットフォーム114が、利用可能な一巻きの架橋したプレセラミックSiCファイバ116を基本的に形成する。
【0037】
本明細書において論じた又は図示した構成要素の配置及び/又は形状は、セル構造を理解するための例示に過ぎず、本発明の範囲を限定することを意味しない。構成要素の正確な形状、位置、配置、向き、等は、変わることがある。
【0038】
上の説明が例示のためのものであり、限定するものではないことを、理解されたい。別記の特許請求の範囲及びその等価物によって規定されるような本発明の一般的な精神及び範囲から逸脱せずに、当業者なら数多くの変更及び修正をここで行うことができる。例えば、上記の実施形態(及び/又はその態様)を相互に組合せて使用することができる。加えて、教示の範囲から逸脱せずに様々な実施形態の教示に対する特定の状況又は材料に適合させるために、多くの修正を行うことができる。本明細書において説明した材料の寸法及びタイプが様々な実施形態のパラメータを規定するものである一方で、これらは限定するものではなく、単に例示である。多くの他の実施形態は、上の説明を見直すと当業者には明らかであろう。様々な実施形態の範囲は、したがって、別記の特許請求の範囲のほかに、このような特許請求の範囲が権利を与える等価物の全体の範囲を参照して判断されるべきである。別記の特許請求の範囲では、「含んでいる(including)」及び「そこでは(in which)」という用語は、「備えている(comprising)」及び「ここにおいて(wherein)」というそれぞれの用語の平易な英語の等価物として使用される。その上、下記の特許請求の範囲では、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」、等の用語は、単に符号として使用され、これらの対象物についての数値的な必要事項を課すものではない。また、結合された、接続された、接合された、密閉された、等の用語と合わせて「動作上で(operably)」という用語は、直接的又は間接的に結合される別々の、別個の構成要素からもたらされる接続、及び一体化して形成される(すなわち、一体もの、一体式又は単一の)構成要素の両者を呼ぶように本明細書においては使用される。さらに、下記の特許請求の範囲の限定は、このような特許請求の範囲の限定が「のための手段(means for)」という句に続いてさらなる構造を含まない機能の記述を明確に使用しない限りは、ミーンズ・プラス・ファンンクション形式では書かれておらず、米国特許法第112条の第6パラグラフに基づいて解釈されるものではない。上に説明したすべてのこのような目的又は利点を、いずれかの特定の実施形態にしたがって実現できることが必ずしも必要でないことを理解されたい。したがって、例えば、本明細書において教示され示唆されることがあるような他の目的又は利点を実現することを必要とせずに、本明細書において教示されたような1つの利点又は一群の利点を実現する又は最適化する方法で、本明細書において説明したシステム及び技術を、具体化する又は実行することができることを当業者なら認識するであろう。
【0039】
本発明を、ほんの限られた数の実施形態に関連して詳細に説明してきているが、本発明がこのような開示した実施形態に限定されないことが容易に理解されるはずである。むしろ、これまでに説明していないが、本発明の精神及び範囲にふさわしい、任意の数の変形形態、代替形態、置換形態、又は等価な配置を組み込むように、本発明を修正することができる。加えて、本発明の様々な実施形態を説明してきているとはいえ、本開示の態様が説明した実施形態のうちのいくつかだけを含むことができることを理解されたい。したがって、本発明は、前述の説明により限定されるようには見なされず、別記の特許請求の範囲の範囲によって限定されるだけである。
【0040】
この明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するための例、並びにいかなる当業者でも、任意のデバイス又はシステムを作成すること及び使用すること、及び任意の組み込んだ方法を実行することを含む本発明を実行することをやはり可能にするための例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者なら思い付く別の例を含むことができる。このような別の例が特許請求の範囲の文面から逸脱しない構造的要素を有する場合、又はこのような別の例が特許請求の範囲の文面とは実質的でない差異しか有さない等価な構造的要素を含む場合には、このような別の例は、特許請求の範囲の範囲内であるものとする。