(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基台の前記係合部と前記装着体の前記被係合部とは、前記基台の前記接合面の下方と前記装着体の前記接合面の下方とに設けられており、一方は上下方向に突出した突起であり、他方は前記突起を上下方向に係脱自在に係合する穴及び穴壁部であることを特徴とする請求項1、3、4のいずれか1項に記載の連結具。
前記基台の前記係合部と前記装着体の前記被係合部とは、前記基台の前記接合面の上方と前記装着体の前記接合面の上方とに設けられており、一方は前記接合面から突出したフック部であり、他方は接合方向相対移動により前記フック部が出退可能な開口部及びこの開口部に突出していて前記フック部が係合する係止部であることを特徴とする請求項1、2、4のいずれか1項に記載の連結具。
前記ロック機構は、前記基台に摺動自在に取り付けた操作ノブと、この操作ノブの摺動によって前記係合ピンを前記開口部から後退させる連動部材とを有することを特徴とする請求項8に記載の連結具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のスリングの連結具では、分離可能構造でないため、取付対象としての肩掛けベルトに被取付物としてのカメラを着脱する際に困難な場合がある。すなわち、肩掛けベルトとカメラとを連結する際には、連結具の雄ねじ部をカメラの雌ねじ部に対して正確に位置決めして雄ねじ部を雌ねじ部にねじ込まなければならない。その作業は、暗いなど、視野の限られた場所や、狭いあるいは足元が悪いなど、動作が不安定になる場所等において、困難な場合がある。
【0005】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、取付対象に被取付物を容易に着脱することができる連結具を提供することを目的とする。
本発明は、取付対象に装着した基台に、被取付物に取り付けられた装着体を磁石により簡単かつ容易に磁着して、取付対象に被取付物を簡単かつ容易に着脱することができる連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、取付対象に固定される基台と、被取付物に固定されていて基台に着脱自在に接合される装着体とを有しており、基台は、装着体と接合する接合面と、この接合面に装着体を磁着する磁石と、装着体と係合する係合部とを有し、装着体は、基台と接合する接合面と、この接合面に基台
の磁石に磁着される磁石と、基台の係合部と係脱自在に係合して基台からの離隔を規制する被係合部とを有していることを特徴とする。
【0007】
この構成によって、磁石を介して基台に装着体を着脱すると、取付対象に被取付物を簡単かつ容易に着脱可能になる。
第2に、基台の裏面には、取付対象に固定する固定部材を有し、装着体の表面には、被取付物に取り付ける取付具を有していることを特徴とする。
この構成によって、基台の取付対象への装着、装着体への被取付物の取り付けが容易になる。
【0008】
第3に、基台の磁石は表面磁極が異なる2個を有し、装着体の磁石は基台
の磁石に吸着誘導される2個を有していることを特徴とする。
この構成によって、基台への装着体の位置合わせが容易になる。
第4に、基台は、磁着時に装着体の左右方向の位置を誘導する左右側ガイド部と下方向の位置を誘導する下ガイド部とを形成したガイド部材を有することを特徴とする。
【0009】
この構成によって、装着体を基台に対して適正位置に接合可能になる。
第5に、基台の係合部と装着体の被係合部とは、基台の接合面の下方と装着体の接合面の下方とに設けられており、一方は上下方向に突出した突起であり、他方は突起を上下方向に係脱自在に係合する穴及び穴壁部であることを特徴とする。
この構成によって、基台から装着体の下部が不本意に離隔するのを規制できる。
【0010】
第6に、基台の係合部と装着体の被係合部とは、基台の接合面の上方と装着体の接合面の上方とに設けられており、一方は接合面から突出したフック部であり、他方は接合方向相対移動によりフック部が出退可能な開口部及びこの開口部に突出していてフック部が係合する係止部であることを特徴とする。
この構成によって、基台から装着体の上部が不本意に離隔するのを規制できる。
【0011】
第7に、基台には、係止部に係合したフック部の離脱方向の相対移動を規制するロック機構を設けていることを特徴とする。
この構成によって、装着体の不本意な離隔を規制し、基台と装着体との連結を確実に維持できる。
第8に、装着体にはフック部が形成され、基台には開口部と係止部とが形成されており、ロック機構は、フック部に形成した係止穴と、基台に設けられていて、開口部に突出することにより係止穴に挿入されてフック部の離脱方向の相対移動を規制する係合ピンと、この係合ピンを突出方向に付勢するスプリングとを有することを特徴とする。
【0012】
この構成によって、ロック機構を簡単かつ容易に構成できる。
第9に、ロック機構は、基台に摺動自在に取り付けた操作ノブと、この操作ノブの摺動によって係合ピンを開口部から後退させる連動部材とを有することを特徴とする。
この構成によって、係合ピンの係脱操作を操作ノブの摺動操作で行うことが可能になる。
【0013】
第10に、基台にはフック部が形成され、装着体には開口部と係止部とが形成されており、ロック機構は、基台に設けられていて、係止部を挟んでフック部と対向することによりフック部の離脱方向の相対移動を規制する作動体と、この作動体をフック部と対向する位置に付勢するスプリングと、このスプリングに抗して作動体をフック部と対向する位置から後退させる操作ノブとを有することを特徴とする。
【0014】
この構成によって、操作ノブの摺動でフック部の離脱方向の相対移動を規制及び解除する機構を簡単かつ容易に構成でき、かつ装着体の接合面側を突起のない平坦面に形成できる。
第11に、取付具は、装着体に回動可能に設けられかつ被取付物に螺合可能な雄ねじ部、または装着体の表面に設けられかつ被取付物を挟持可能な可動爪を有することを特徴とする。
【0015】
この構成によって、被取付物への装着体の着脱を容易にできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、取付対象に装着した基台に、被取付物に取り付けた装着体を磁石により簡単かつ容易に磁着して、取付対象に被取付物を簡単かつ容易に着脱できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1〜6は本発明の第1実施形態を示しており、連結具1は、大別して取付対象SLに装着する基台10と、被取付物CAに取り付けられていて前記基台10の接合面10aに着脱自在に連結される装着体20とを有しており、それぞれ金属、軽金属又は樹脂等で形成されている。
【0019】
前記基台10と装着体20とには、基台10に対して装着体20を磁着する磁石50、60と、基台10に対して装着体20の磁着位置を誘導する誘導機構6と、磁着状態の装着体20が基台10から離隔するのを規制する規制機構7(7D、7U)とが設けられている。
取付対象SLは、カメラのユーザーが両手をフリーにした状態で被取付物(カメラ)CAを携帯するために用いられるスリング、ベルト等であり、
図4では、肩掛けベルトSL及び胸装着ベルトSLにカメラCAを分離可能に連結している。
【0020】
なお、連結具1は被取付物CA装着側を表面側とし、胸装着ベルトSL携帯状態を表面(正面)側から見て上下及び左右と規定する。
図1〜3、5、6の矢印Aが装着方向を表す。
前記基台10は連結具1のベースとなる第1の連結部材であり、本体110と、この本体110の表面側を塞ぐガイド部材112と、本体110の裏面にヒンジ部126を有して開閉可能になった固定部材120とを有している。
【0021】
前記固定部材120は固定板122と可動板124とをヒンジ部126で連結しており、固定板122と可動板124とで取付対象SLを挟むことにより、基台10を取付対象SLに装着する。
前記固定板122は本体110の裏面にビス140を介して固定され、背面に突出する複数本のリブ122bを有し、下部は本体110より下方に長く突出し、一対の貫通穴122aが形成されている。
【0022】
前記可動板124はスリット状の切欠部124aにより逆U字形状になっており、切欠部124aは、取付対象SLの縫合部があればそれを受け入れることができる。可動板124の左右下部には一対のねじ穴124bが形成され、貫通穴122aから挿入した固定ねじ130の雄ねじ部130aを螺合して、可動板124を固定板122に固定する。
前記本体110は左右方向に長い2個の板状磁石50及び板状バックヨーク80を上下2段に配置している。この2個の磁石50は磁力線が表裏方向に磁化されている。
【0023】
ガイド部材112は、摺動性及び耐磨耗性が良好な材料(例えば、エンジニアプラスチック)によって形成され、その表面が接合面10aとなっており、その表面の周囲に装着体20側へ突出するように、平行に延びる左右一対の側ガイド部112aと、側ガイド部112aの下端を繋ぐ下ガイド部112bとが形成されている。
側ガイド部112aは装着体20を接合(
図2、3、5に矢印C方向で示す。)するときに左右方向位置を誘導し、下ガイド部112bは装着体20を接合するときに下位置を設定するものであり、基台10に対して装着体20の磁着位置を誘導する誘導機構6を構成している。
【0024】
前記ガイド部材112の下ガイド部112bには上下に貫通する貫通穴112cが穿孔され、この貫通穴112cの装着体20側の壁が穴壁部112dとなっており、装着体20の下部に形成した突起212とともに下側の規制機構7Dを構成している。下側規制機構7Dは、貫通穴112c及び穴壁部112dを係合部とすると、それらに係合する突起212が被係合部となる。
【0025】
この本体110の上部には、開口部310と、この開口部310の下縁から上向き突出した係止部311とが形成され、装着体20の上部に形成したフック部320とともに上側の規制機構7Uを構成している。上側規制機構7Uは、開口部310及び係止部311を係合部とすると、それらに係合するフック部320が被係合部となる。
前記基台10の上部は、開口部310の左右両側が本体110とガイド部材112とが合体して構成されており、開口部310の左右一方(右側)の本体110内にはロック機構330が設けられている。
【0026】
ロック機構330は、開口部310へ出退自在な係合ピン332と、この係合ピン332を突出方向に付勢するスプリング338と、係合ピン332の基部に連結されていて係合ピン332の引き抜き操作をする操作部336と、本体110とガイド部材112の右上端に形成されていて引き抜き操作した操作部336の戻りを規制する支持部334とを有している。
【0027】
係合ピン332は、本体110の上端部において、突出方向(
図5に矢印B方向で示す。)に摺動可能に且つ軸線周りに回動可能に支持されており、その先端が開口部310に挿入される装着体20のフック部320の係止穴322に係合する。
図5に示すように、リングで形成された操作部336は、垂直にした状態で一対の支持部334の間に入り込み、係合ピン332の先端は開口部310内に突出し、スプリング338に抗して操作部336を引っ張ると、係合ピン332の先端は基台10内に没入する。操作部336を引っ張った状態で垂直姿勢から水平姿勢に回動すると、支持部334の係止溝334aに係合可能になり、操作部336を係止溝334aに係合すると戻り動作が規制され、係合ピン332の没入が維持され、ロック解除状態になる。
【0028】
図6において、装着体20のフック部320は先細り形状になっていて、左右側面、少なくとも係合ピン332に面する側面は先端へいくに従って係合ピン332から離れる傾斜面324となっており、このフック部320が開口部310に挿入していくと、傾斜面324が開口部310内に進出している係合ピン332と当接して、この係合ピン332をスプリング338に抗して押動する。フック部320の係止穴322が係合ピン332に対向することにより、スプリング338の弾発によって係合ピン332が係止穴322に入り、フック部320が係止部311に係合した状態を分離不能(ロック)にする。
【0029】
前記装着体20は連結具1の着脱側となる第2の連結部材であり、基台10に対面する装着本体210と、被取付物CAを取り付ける取付具230と、この取付具230を装着本体210に保持する保持部材270とを有している。
装着本体210は内部に基台10の磁石50と吸引磁着する板形状の磁石60及びバックヨーク90を配置し、蓋板211で覆っており、この蓋板211の表面が基台10と接合する接合面20aとなっている。前記磁石60は2個の磁石50に跨る大きさであり、磁力線は板厚方向に向けられている。
【0030】
前記磁石60を1個の大きい磁石で形成する場合、その表面磁極(接合面20a側磁極で、例えば、N極)は2個の基台磁石50の表面磁極(接合面10a側磁極で、例えば、S極)と異極とする。前記装着体磁石60は基台磁石50と同様に、上下2個の磁石で形成することができ、その場合は、基台磁石50を上下にN・S極を配置し、装着体磁石60を上下にS・N極を配置する。
【0031】
前記基台10の磁石50と装着体20の磁石60の磁着位置は一定であり、互いにずれた状態から磁着するときには、ずれを修正するように引っ張りあい、磁力線が最短になる位置で基台10と装着体20とは連結される。従って、磁石50、60が装着体20を磁着位置に誘導する誘導機構6となっている。
前記磁石50、60による誘導機構6は、基台10に装着体20を磁着するときに、突起212を貫通穴112cに挿入し、かつフック部320を開口部310に挿入して係止部311と係合させる誘導作用もする。バックヨーク90は磁石60の被取付物CA側への磁気をシールドして、カメラや電子機器に磁気の悪影響を与えるのを抑制する。
【0032】
前記装着本体210は、下端の左右方向中央に下方(
図1〜3、5、6矢印A方向)に突出した突起212が形成されており、基台10の貫通穴112cに上側から挿入することにより、穴壁部112dによって基台10から離隔する方向の移動が規制(下側規制機構7D)されるように構成されている。
前記装着本体210は、上部の左右方向中央に裏側(
図2、3、5に矢印C方向で示す。)へ突出した先細り状のフック部320が形成されており、フック部320は左右側面が前記傾斜面324になっており、このフック部320を基台10に近づけながら開口部310に挿入し、さらに開口部310内で下方へ移動することにより開口部310の下縁から上向き突出した係止部311と係合する。フック部320は係止部311と係合することにより、装着体20の上部が基台10から離隔移動するのが規制(上側規制機構7U)される。
【0033】
取付具230は、円盤状の回転操作部231と、その中心部から突出する雄ねじ部233とを有する。雄ねじ部233は、保持部材270を貫通して表面側に突出し、被取付物(カメラ等)CAの背面又は下面に形成されたねじ穴に螺合可能になっており、被取付物CAを装着体20に取り付け可能に構成している。
保持部材270は背面の上下に厚肉状のスペーサ部250を有し、この上下スペーサ部250の位置で装着本体210の表面側にビス294を介して固定され、上下スペーサ部250の間に取付具230の回転操作部231を配置する空間を形成している。なお、前記保持部材270はスペーサ部250を別個の部材で形成してもよい。
【0034】
保持部材270の上下中央部の左右幅は回転操作部231の直径より狭くなっていて、回転操作部231の外周を露出しており、これにより回転操作部231を人手で回転できるようになっている。
前記連結具1の使用方法を説明する。
図3、5、6に示す基台10・装着体20の分離状態で、基台10の固定部材120で取付対象SLを挟んで、基台10を取付対象SLに装着し、装着体20の取付具230を被取付物CAに取り付ける。
【0035】
被取付物CAを取り付けた装着体20を基台10に前上方から近づけ、装着体20の下部の突起212を基台10の接合面10aに宛がいながら下方へ滑らし、装着体20の上部を基台10の接合面10aに近づけていく。このとき、装着体20の左右側部は基台10の側ガイド部112aに当接することによって左右方向が誘導され、接合面10a、20aが左右方向適正位置に位置合わせされる。
【0036】
この状態で装着体20をさらに基台10に近づけながら下方(
図1〜3、5、6に矢印A方向で示す。)へ移動していくと、装着体20の下部の突起(被係合部)212が基台10の貫通穴(係合部)112cに挿入され、装着体20の下面が下ガイド部112bに当接することによって下方向の位置が設定され、これと同時に装着体20のフック部(被係合部)320が基台10の開口部310に挿入されかつ係止部(係合部)311と係合する。
【0037】
装着体20を基台10に近づけていく途中から両者の磁石50、60が吸引し合い、装着体20を基台10に磁着させると同時に磁石60が磁石50に対して磁力線が最短になる位置へ誘導され、両接合面10a、20aが接合され、装着体20は適正位置で基台10に連結される。
前記連結状態で、装着体20は下部が突起212と穴壁部112dの係合によって、上部がフック部320と係止部311との係合によって、それぞれ基台10から離れる方向の移動が規制され、上下規制機構7D、7Uが作用状態になる。
【0038】
またロック機構330を設けていると、装着体20のフック部320が基台10の開口部310に挿入されてくると、フック部320の側面の傾斜面324が係合ピン332を開口部310から後退させながら係止部311に係合し、係止部311に係合したとき、フック部320の傾斜面324に形成した係止穴322に後退していた係合ピン332が侵入し、装着体20が基台10に対して上方向へ移動するのを阻止し、ロック機構330が作用状態になる。
【0039】
ロック機構330を作用させないとき、及び装着体20を基台10から離脱させるときは、ロック機構330の係合ピン332を操作部336を介して引っ張って、フック部320と係合しない没入位置へ移動させ、操作部336を支持部334の係止溝334aに係止させておく。
ロック機構330の解除状態で、装着体20を基台10から上方へ移動すると、装着体20は突起212が穴壁部112dから離脱し、フック部320が係止部311から離脱する。その状態で装着体20の上部を基台10から離すと、磁石50、60による吸引力も弱まり、装着体20付きの被取付物CAを取付対象SLから分離できる。
[第2実施形態]
図7〜11は本発明の第2実施形態を示しており、連結具2は、取り付け用のねじ穴をもたない被取付物CA、例えば小銃等を携帯可能にするものであり、第1実施形態と同様に、取付対象SLに装着する基台10と、被取付物CAに取り付けられていて前記基台10の接合面10aに着脱自在に連結される装着体20と、ロック機構330とを有する。
【0040】
前記基台10は本体110と、この本体110の表面側を塞ぐガイド部材112と、本体110の裏面に被取付物CAを取り付ける固定部材120とを有しており、本体110の下部はガイド部材112の下端から下方に突出している。
前記固定部材120は、本体110の裏面を利用していて、本体110の裏面にビス142を介して上部が固着された押さえ板128と、この押さえ板128の下部を本体110の下部に固定する締結用部材129とを有する。押さえ板128は切欠部128aのある逆U字状に形成され、本体110の裏面との間に取付対象SLを挿入するスリット128bを形成しており、締結用部材129は押さえ板128の2本の脚部分と重合する長さを有し、その中央にねじ穴129aが形成されている。
【0041】
本体110の下部に挿通穴114が穿孔されていて、この挿通穴114に固定ねじ130の雄ねじ部130aを挿入し、固定ねじ130の押圧部130bを本体110に当接しながら雄ねじ部130aを押さえ板128のねじ穴129aに螺合することにより、被取付物CAを挟んだ状態で押さえ板128を固定できる。
前記本体110は板状磁石50及び板状バックヨーク80を収容している。この磁石50は上下方向に長い2個を左右に並列している。磁石50は1枚の大きい板形状の磁石にしてもよい。
【0042】
本体110は接合面10aの下方部分に下ガイド部112bが形成され、この下ガイド部112bに貫通穴112cとこの貫通穴112cの周囲の穴壁部112dとが形成され、装着体20の下部の突起212とともに下側規制機構7Dを構成している。
ガイド部材112は、その表面が接合面10aとなっており、その左右側部に一対の側ガイド部112aが形成され、この左右側ガイド部112aの下端は前記本体110に形成されている下ガイド部112bの左右両端と連続するように配置されている。
【0043】
左右側ガイド部112aは装着体20を接合(
図7、8、10に矢印C方向で示す。)するときに左右方向位置を誘導し、下ガイド部112bは装着体20を下向き移動(
図7、8、10に矢印A方向で示す。)して接合するときに下位置を設定するものであり、基台10に対して装着体20の磁着位置を誘導する誘導機構6を構成している。前記基台10の磁石50と装着体20の磁石60も装着体20を磁着位置に誘導する誘導機構6になっている。
【0044】
この本体110の上部は、前記第1実施形態と同様に、開口部310と、この開口部310の下縁から上向き突出した係止部311とが形成され、装着体20の上部に形成したフック部320とともに上側の規制機構7Uを構成しており、開口部310の左右一方(右側)の本体110内にロック機構330が設けられている。
前記装着体20は、基台10に対面する装着本体210と、被取付物CAを取り付ける取付具230とを有している。装着本体210は内部に基台10の磁石50と吸引磁着する板形状の磁石60及びバックヨーク90を配置し、蓋板211で覆っており、この蓋板211の表面が基台10と接合する接合面20aとなっている。前記磁石60は2個の磁石50より表面積が小さくかつ上下方向の中心が上側に偏位しており、磁力線は板厚方向に向けられており、その表面磁極は2個の磁石50の表面磁極と反対になっている。
【0045】
左右2個の磁石50の表面磁極をN・Sとし、左右2個の磁石60の表面磁極をS・Nとすると、2個の磁石50に2個の磁石60に近づけていくとき、異極同士は吸引力が作用し、同局同士は反発力が作用し、互いに正対面位置に正確に磁着する。
前記取付具230は、装着本体210にねじ止めされた上下一対の固定爪232と、各固定爪232に対して遠近移動可能な可動爪234と、この可動爪234を固定爪232に対して遠近移動させるボルト236とを有する。
【0046】
固定爪232と可動爪234とは表面側が爪形状であり、両者で小銃等の被取付物CAの一部を着脱自在に挟持するクランプとなっている。
前記装着本体210は、下端に下方突出した突起212が形成され、上部の左右方向中央に裏側へ突出した先細り状のフック部320が形成されている。
前記連結具2は、磁石50と磁石60との吸引により、装着本体210の突起212が基台10の貫通穴112cの表面側の穴壁部112dに係合し、装着本体210のフック部32が基台10の開口部310に入って係止部311に係合して、基台10と装着体20とが接合して正規の連結状態になる。
【0047】
基台10の磁石50と装着体20の磁石60とは、
図8に示すように、磁石60が磁石50より中心が上側に偏位しており、磁石50と磁石60とが吸引するときその磁力線が最短になるように作用するので、装着体20は下向きに吸引され、装着体20が穴壁部112dの手前で停止するのを抑制するとともに、突起212が貫通穴112cに侵入して穴壁部112dに当接する位置へ装着体20を付勢することができる。
[第3実施形態]
図12〜15は本発明の第3実施形態を示しており、連結具3は、小銃等の取り付け用の雌ねじをもたない被取付物CAを取付角度変更可能に携帯するものであり、第2実施形態と同様に、取付対象SLに装着する基台10と、被取付物CAに取り付けられていて前記基台10の接合面10aに着脱自在に連結される装着体20と、ロック機構330とを有している。
【0048】
前記基台10は本体110と、この本体110の表面側を塞ぐガイド部材112と、本体110の裏面に被取付物CAを取り付ける固定部材120とを有しており、本体110とガイド部材112とは上下方向の寸法が略同じになっている。
前記固定部材120は、本体110の裏面に固定の受け板127と、この受け板127の裏面にビスを介して上部が固着された押さえ板128と、この押さえ板128の下部を受け板127の下部に固定する締結用部材129とを有する。
【0049】
受け板127及び押さえ板128は基台10から下方へ大きく突出する長さに形成されており、両者は上部でビス結合されるとともに、上部ビス150を中心に基台10に角度変更可能に取り付けられている。
押さえ板128は切欠部128aのある逆U字状に形成され、本体110の裏面との間に取付対象SLを挿入するスリット128bを形成しており、締結用部材129は押さえ板128の2本の脚部分と重合する長さを有し、その中央にねじ穴129aが形成されている。
【0050】
受け板127は下部に上下方向の長穴131が形成されていて、この長穴131に固定ねじ130の雄ねじ部130aを挿入し、固定ねじ130の押圧部130bを受け板127に当接しながら雄ねじ部130aを押さえ板128のねじ穴129aに螺合することにより、被取付物CAを挟んだ状態で押さえ板128を受け板127に固定できる。固定ねじ130及び締結用部材129は長穴131の長さの範囲内で上下位置調整ができ、広幅の被取付物CAを挟持できる。
【0051】
押さえ板128の下部には左右一対の位置決め用突起132が形成され、受け板127には突起132に対向して係合孔133が形成され、突起132が係合孔133に係合することにより、挟持時に受け板127と押さえ板128の位置決めができる。
前記受け板127は上部ビス150から離れた位置で固定ビス160によって基台10に取り付けられる。基台10の背面には複数の雌ねじ孔134が上部ビス150を中心に円弧配列されている。
【0052】
前記固定ビス160は押さえ板128の切欠部128aから挿入して受け板127を貫通していずれかの雌ねじ孔134に螺合される。雌ねじ孔134は基台10の上部ビス150を通る左右方向の中心線上の位置と、その中心線から左右に角度α(
図13に示す。)傾斜した位置、例えば左右に22.5°、45°傾斜した位置に形成されており、固定部材120を基台10に対して角度変更、即ち、基台10を取付対象SLに固定の固定部材120に対して角度変更し、被取付物CAを携帯姿勢変更可能にしている。
【0053】
前記基台10の上部には、ロック機構330の係合ピン332を兼用する第2のロック機構500が設けられている。この第2のロック機構500は単独でもロック・解除操作可能であるが、第1のロック機構330の解除補助に使用されている。
図14、15において、本体110の側面(ロック機構330配置側と反対側)に側ガイド部501が形成され、操作ノブ510が上下摺動自在に係合され、この操作ノブ510と第1のロック機構330の係合ピン332との間にL字形状の連動部材520が設けられている。
【0054】
連動部材520の一片は垂直部524で、係合ピン332の中間部のフランジ332aより先端側で係合ピン332と係合していて、係合ピン332の突出動作で押動可能になっており、他片は開口部310の下方に位置する水平部522で、その先端は操作ノブ510の内部まで延設されている。
操作ノブ510は、側ガイド部501に対向する側に下部から上部にいくに従って本体110に近づく傾斜カム面512を形成しており、この傾斜カム面512の上端には上端凹部512aが形成され、下端には下端凹部512bが形成されている。連動部材520の水平部522の先端は傾斜カム面512と摺動可能に当接し、上端凹部512a及び下端凹部512bに係合可能になっている。
【0055】
操作ノブ510の上部と側ガイド部501の上部とには、操作ノブ510を上部の非操作位置に保持するための保持手段530が設けられている。保持手段530は本体110に取り付けられた磁石532と側ガイド部501に取り付けられた吸着板534とを備えている。
図14、15において、前記第1のロック機構330がロック作用状態であるとき、第2のロック機構500は操作ノブ510が保持手段530により側ガイド部501の上部に位置しており、この状態で操作部336を引っ張って、係合ピン332をフック部320から後退させることができ、そのとき連動部材520は自由になるが、操作ノブ510は保持手段530によって不動となっている。
【0056】
前記ロック作用状態のときに、操作ノブ510を保持手段530に抗して側ガイド部501の下方へ摺動すると、連動部材520の水平部522の先端が当接している傾斜カム面512が、側ガイド部501から離れた部位から近づいた部位に変化するので、連動部材520の水平部522は傾斜カム面512によって押動され、垂直部524が係合ピン332を後退移動させ、ロック解除状態にする。
【0057】
垂直部524で係合ピン332を後退移動させた状態で、傾斜カム面512の上側の上端凹部512aを水平部522の先端に係合させると、上端凹部512aが移動抵抗となって、操作ノブ510は小さな力で上動できなくなり、連動部材520をロック解除位置に維持し、第1のロック機構330の操作部336を支持部334の係止溝334aに係止させた状態と同じ、ロック解除維持状態(
図14仮想線で示す。)にできる。
【0058】
前記ロック解除維持状態から上端凹部512aの移動抵抗に抗して操作ノブ510を大きな力で上動すると、第2のロック機構500はロック作用状態となる。
前記第2のロック機構500の操作ノブ510は、基台10を挟んで、第1のロック機構330の操作部336と左右反対側に配置されており、操作部336を操作する左手が使いにくい状況(例えば左手を負傷した場合)においても、右手で操作ノブ510を操作することにより、ロック機構330のロック・ロック解除をワンタッチで行うことができる。したがって、被取付物CAが小銃である場合に取付対象(スリング)SLから取り外して戦闘態勢に移行することができる。
【0059】
なお、前記第2のロック機構500は操作部336を割愛するとにより、第1のロック機構330を備えない単独のロック機構となる。
[第4実施形態]
図16〜21は本発明の第4実施形態を示しており、連結具4は、カメラ等の取り付け用の雌ねじをもつ被取付物CAを携帯するものであり、取付対象SLに装着する基台10と、被取付物CAに取り付けられていて前記基台10の接合面10aに着脱自在に連結される装着体20と、ロック機構600とを有している。
【0060】
前記基台10は本体110と、ガイド部材112と、固定部材120とを有しており、本体110の下部110aはガイド部材112の下端から下方に大きく突出している。
前記固定部材120は、本体110の裏面を利用していて、本体110の裏面に上部が固着された押さえ板128と、押さえ板128の下部を本体110の下部110aに固定する締結用部材129とを有する。
【0061】
押さえ板128は切欠部128aを有し、本体110の裏面との間に取付対象SLを挿入するスリット128bを形成しており、締結用部材129は中央にねじ穴129aが形成されている。
本体110の下部110aの長穴131に固定ねじ130の雄ねじ部130aを挿入し、固定ねじ130の押圧部130bを本体110の下部110aに当接しながら雄ねじ部130aを押さえ板128のねじ穴129aに螺合することにより、取付対象SLに本体110に固定できる。固定ねじ130及び締結用部材129は長穴131の長さの範囲内で上下位置調整ができ、広幅の被取付物CAを挟持できる。
【0062】
押さえ板128の下部の位置決め用突起132を本体110の下部110aの係合孔133に係合することにより、挟持時に本体110と押さえ板128の位置決めができる。
本体110は磁石50収容部の略中央に三脚取付用の雌ねじ孔117を有し、この雌ねじ孔117の周囲に上下2個の板状の磁石50及び板状バックヨーク80を収容している。この2個の磁石50は磁力線が表裏方向に磁化されていて、一方は表面磁極がN極であり、他方は表面磁極がS極になっている。
【0063】
本体110は、第2実施形態と同様に、磁石50収容部の下部に下ガイド部112bが形成され、この下ガイド部112bに貫通穴112cと穴壁部112d(係合部)とが形成され、装着体20の突起212(被係合部)とともに下側の規制機構7Dを構成する。
ガイド部材112は、左右一対の側ガイド部112aが形成され、本体110に形成されている下ガイド部112bの左右両端と連続するように配置され、装着体20を接合(矢印C方向)するときに左右方向位置を誘導する。下ガイド部112bは装着体20を下向き移動(矢印A方向)して接合するときに下位置を設定する。これらによって、基台10に対して装着体20の磁着位置を誘導する誘導機構6を構成している。
【0064】
この本体110の上部は、前記第1、2、3実施形態と異なり、開口部の代わりに上向きのフック部340(係合部)が形成されており、装着体20の方にフック部340が突入可能な開口部352と、この開口部352の上縁から下向き突出した係止部354(被係合部)とが形成され、基台10の上部に上側の規制機構7Uと、この上側規制機構7Uを解除不能にするロック機構600とが設けられている。
【0065】
前記装着体20は、装着本体210と、上下2個の磁石60及びバックヨーク90と、被取付物CAを取り付ける取付具230と、この取付具230と上下2個の磁石60とバックヨーク90とを装着本体210に保持する保持板280とを有している。
装着本体210は内部に上下2個の磁石60及びバックヨーク90を配置し、保持板280で覆っており、この保持板280の表面が基台10と接合する接合面20aとなっている。装着本体210の裏面は接合面20aと面一であり、装着体20は裏面全体が平坦面になっている。
【0066】
前記上下2個の磁石60は、一方は表面磁極がN極であり、他方は表面磁極がS極になっており、基台10の2個の磁石50の表面磁極(接合面10a側磁極)と反対になっている。従って、基台10に対して装着体20は上下適正姿勢でしか磁着しなく、誤装着が防止される。
取付具230は、ねじ頭状の回転操作部235と雄ねじ部233とを有しており、回転操作部235は保持板280に形成した開放孔280aからコイン等のドライバを係合して回動操作可能であり、雄ねじ部233は、装着本体210を貫通して表面側に突出し、被取付物CAのねじ穴に螺合可能になっており、被取付物CAを装着体20に取り付け可能に構成している。
【0067】
前記装着本体210は、下端の突起212を基台10の貫通穴112cに上側から挿入して、穴壁部112dによって基台10から離隔する方向の移動が規制(下側規制機構7D)されている。
前記装着本体210は、上部の左右方向中央に表裏を貫通した開口部352が形成され、開口部352の上縁には下向き突出した係止部354と、開口部352の側縁から横向き突出したロック部355とが形成され、開口部352の下縁にはフック部340の挿入を容易にするための角取り面353が形成され、基台10の上部に形成したフック部340とともに上側の規制機構7Uを構成している。フック部340の下面側にも挿入容易にするための傾斜面344が形成されている。
【0068】
また、前記磁石50、60による誘導機構6は、基台10に装着体20を磁着するときに、突起212を貫通穴112cに挿入し、かつフック部340を開口部352に挿入して係止部354と係合させる誘導作用もする。
図17〜21において、本体110の上部に設けられたロック機構600は、本体110の上部に形成されたガイド溝601と、このガイド溝601に案内されて左右移動可能な操作ノブ602及び作動体603と、作動体603を弾圧するスプリング604と、前記装着本体210の開口部352のロック部355とを有する。
【0069】
作動体603は操作ノブ602に係合されていて一体移動自在であり、この作動体603には接合面10a側に突出した階段突起610が形成され、この階段突起610の先端はフック部340の右端に対向しており、右端面に外上向きの傾斜当面610aが形成されている。
装着本体210には開口部352の上縁とロック部355との間に切欠溝612が形成されており、この切欠溝612は開口部352にフック部340が入るときに前記階段突起610が侵入可能になっている。
【0070】
前記ロック部355は接合面20a側から装着本体210の厚さ方向に凹んだ階段凹部356が形成され、この階段凹部356の開口部352側の面は下から上にいくにしたがって装着本体210の中央側となる傾斜受面356aが形成されている。
前記ロック部355の階段凹部356は開口部352をフック部340に嵌合するときに作動体603の階段突起610と係合可能であり、これらが係合しながら接合面10a、20aが接合するように移動すると、階段突起610の傾斜当面610aと階段凹部356の傾斜受面356aとが当接し、作動体603がスプリング604に抗して押動され、階段突起610が切欠溝612に入る。
【0071】
階段突起610が切欠溝612に入ると、階段突起610はロック部355の上縁と当接することになり、基台10と装着体20との相対上下移動は阻止され、フック部340と係止部354の係合が離脱解除不能となり、ロック作用状態になる。
前記第4実施形態の連結具4は、装着体20の裏面がフック部等の突出部分のない平坦面であるので、カメラ等の被取付物CAを取り付けた装着体20を基台10から取り外し、接合面20aを下にして机上に置くと、カメラを傾斜させることなく安定載置することができる。
【0072】
なお、本発明は前記実施形態における各部材の形状及びそれぞれの前後・左右・上下の位置関係は、
図1〜21に示すように構成することが最良である。しかし、前記実施形態に限定されるものではなく、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、基台10と装着体20とはどちらか一方に永久磁石を設け、他方に吸着板を設けてもよく、基台10及び装着体20のどちらに設ける磁石も、板形状のものを1個又は小形状のものを複数個にしてもよい。
【0073】
また、取付対象SLと被取付物CAとは、自動車のルーフとルーフラック又はルーフボックス、車両構成部材とパニアケース、スマートフォン又はカーナビゲーション、作業ベストと工具又は無線機等でもよい。
また、基台10に被取付物CAを取り付け、装着体20を取付対象SLに取り付けることも可能であり、装着体20側にロック機構330を設けることもできる。
【0074】
誘導機構6は磁石50、60の磁力のみで構成し、ガイド部材112を割愛してもよく、また、上下規制機構7D、7Uはどちらか一方を割愛してもよい。上側規制機構7Uを割愛する場合は、係止部311を削除し、フック部320の代わりに開口部310に入る突起を形成しておけば、ロック機構330を構成できる。
さらに、下規制機構7Dは、基台10の接合面10aの下方に上向きの突起を設け、装着体20の接合面20aの下方に前記突起を上側から係脱自在に係合する穴及び穴壁部を設けて構成してもよい。
【0075】
また、基台10の磁石50用のバックヨーク80及び装着体20の磁石60のバックヨーク90は、例えば、磁石を吸着面と平行な方向に挟み込むように配置された一対のヨークや、磁石の吸着面と反対側の面と対向するとともに、磁石を吸着面と平行な方向に挟み込むように形成された断面コの字形のヨーク等を用いることができ、いずれか一方のみにしてもよい。