(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405386
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】取り外し可能な電子支払い装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/36 20120101AFI20181004BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
G06Q20/36
G07G1/12 321L
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-548123(P2016-548123)
(86)(22)【出願日】2016年2月18日
(65)【公表番号】特表2017-516166(P2017-516166A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】US2016018421
(87)【国際公開番号】WO2016134117
(87)【国際公開日】20160825
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】62/118,719
(32)【優先日】2015年2月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/046,819
(32)【優先日】2016年2月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォールナー、ジョージ
【審査官】
山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−280656(JP,A)
【文献】
特開2004−295902(JP,A)
【文献】
特開2013−257878(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0226815(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G07G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル装置のモバイル・ウォレットに関連し、クレジット/デビット支払いトランザクションに使用される支払いカード・データを記憶するメモリと、
ドッキング・モード及び取り外しモードを含む非接触支払い送信プロセッサであって、前記ドッキング・モードは、支払い装置が前記モバイル装置に物理的に結合されているときに有効化されて前記モバイル・ウォレットから支払いカード・データを受信するように構成され、前記取り外しモードは、前記支払い装置が前記モバイル装置から物理的に取り外されたときに有効化されてPOS(販売時点情報管理)装置に、前記ドッキング・モード中に前記モバイル・ウォレットから受信した支払いカード・データを無線で伝えて支払いトランザクションを行うように構成される非接触支払い送信プロセッサとを備える、支払い装置。
【請求項2】
前記支払い装置が前記モバイル装置に物理的に結合しているときに前記モバイル装置から充電される電源をさらに備える、請求項1に記載の支払い装置。
【請求項3】
前記ドッキング・モードが、支払いカード・データを前記POS装置に無線で伝えるようにさらに構成される、請求項1に記載の支払い装置。
【請求項4】
前記支払いカード・データが、静的カード・データ、動的要素を有する静的カード・データ、少なくとも部分的にトークン化されたデータ、又は、動的暗号文を有する少なくとも部分的にトークン化されたデータのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の支払い装置。
【請求項5】
トリガ・イベントが発生した後に前記非接触支払い送信プロセッサが前記POS装置に支払いカード・データを伝える、請求項1に記載の支払い装置。
【請求項6】
モバイル・ウォレットを含み、前記モバイル・ウォレットがクレジット/デビット支払いトランザクションに使用される支払いカード・データを含む、モバイル装置と、
前記モバイル装置から取り外すことができるように取り付けることができる取り外し可能な支払い装置とを備え、前記取り外し可能な支払い装置が前記モバイル装置に結合されたときに前記支払い装置が前記モバイル・ウォレットから支払いカード・データを受信し、前記支払い装置が前記モバイル装置から分離されたときに前記支払い装置がPOS(販売時点情報管理)装置に無線で、前記支払い装置が前記モバイル装置に結合されている時に前記モバイル・ウォレットから受信した支払いカード・データを伝えて支払いトランザクションを行う、システム。
【請求項7】
前記取り外し可能な支払い装置が前記モバイル・ウォレットから無線で支払いカード・データを受信する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記取り外し可能な支払い装置が短距離の非接触送信を使用して支払いカード・データを前記POS装置に伝える、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記取り外し可能な支払い装置が前記モバイル装置に結合されているときに、前記取り外し可能な支払い装置と前記モバイル装置の両方が前記モバイル・ウォレットの支払いカード・データを前記POS装置に伝える、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記取り外し可能な支払い装置のために有線又は無線の電源から充電される電源をさらに備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記取り外し可能な支払い装置が前記POS装置の閾値近傍距離内にあるときに、前記支払い装置が支払いカード・データを自動的に前記POS装置に伝える、請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
トリガ・イベントが発生すると、前記取り外し可能な支払い装置が支払いカード・データを前記POS装置に伝える、請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
前記トリガ・イベントが、前記取り外し可能な支払い装置のボタンが相互作用されたこと、前記取り外し可能な支払い装置の指紋スキャナが相互作用されたこと、又は前記モバイル装置から遠隔コマンドが発行されたことのうち少なくとも1つである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記取り外し可能な支払い装置が電子ペンの形状であり、前記取り外し可能な支払い装置が電子ペンの機能を行う、請求項6に記載のシステム。
【請求項15】
前記支払いカード・データが動的暗号文を有する完全にトークン化されたカード・データを少なくとも1つ含む、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年2月20日に出願された米国特許仮出願第62/118719号の優先権を主張する2016年2月18日に出願された米国特許出願第15/046819号の優先権を主張し、その両方の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に電子支払い装置に関し、より詳細にはモバイル・ウォレットを利用する電子装置に関する。
【背景技術】
【0003】
モバイル・ウォレットが物理的な支払いカードに置き換わりつつある。携帯電話及びタブレットにインストールされたモバイル・ウォレット、アプリケーション、及び関連する非接触送信ハードウェアは、消費者がデビットカード及びクレジットカードの電子等価物を記憶し、それらを使用して、販売時点情報管理(POS:point−of−sale)端末の近傍にモバイル装置をかざすことによって非接触支払いを行うための手段となる。
【0004】
モバイル・ウォレット及びモバイル支払いには従来の支払いカードに勝る多くの長所がある。しかし携帯電話及びタブレットは極めて個人的な使用を目的とする装置であり、支払いカードのような手軽に扱える性質を欠く。顧客対面形式で支払いカードを受け取るPOS端末を備える小売りの現場、又は、そのような端末が顧客の手の届く範囲にある場所ではモバイル・ウォレットは簡単に使用できるが、携帯電話及びタブレットは極めて個人的な使用を目的とする装置なので、支払いカードの代わりに施設の従業員に手渡すにはあまり適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9022285号、「System and Method for Securely Loading, Storing and Transmitting Magnetic Stripe Data in a Device Working with a Mobile Wallet System」
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0363771号「Mobile Checkout Systems and Methods」
【発明の概要】
【0006】
本開示は一般に、モバイル装置から取り外すことが可能で、また、そのモバイル装置のモバイル・ウォレットに関連する支払いトランザクションを行うように構成されている支払い装置を提供する。取り外し可能な支払い装置は、例えば、通常の支払いカードの形態(すなわち四角形)又はスタイラス(stylus:鉄筆)/電子ペンの形態で実装されてもよい。モバイル装置、モバイル装置のモバイル・ウォレット及びPOS端末と通信するために、取り外し可能な支払い装置は、Bluetooth(登録商標)、近距離通信(NFC)又は、磁気セキュア送信(MST:Magnetic secure transmissions)などの短距離の非接触送信を使用してもよい。
【0007】
支払い装置はドッキング・モード(docked mode)及び、ドッキング解除(undocked)された非接触送信モードを有してもよい。例えば、ドッキング・モードでは、支払い装置は、その装置がドッキングされているモバイル装置のモバイル・ウォレットから支払いカード・データを受信してもよい。加えて、支払い装置はドッキングされている間、支払いカード・データをPOS端末の受信器に送信してもよく、それによってモバイル装置と一体化したモバイル支払いユニットとして機能してもよい。支払い装置は、ドッキング解除時/取り外し時にはモバイル装置から独立して動作して、モバイル装置からの補助を必要とせずに非接触支払いトランザクションを完了してもよい。ただし、取り外されている間でも、支払い装置の動作は、支払い装置とモバイル装置との間の無線接続によって補われてもよい。
【0008】
装置、システム及び方法の実施例が添付図面の図に示されているが、これらは例示のためのものであって限定するものではなく、同様の参照番号は同様又は対応する部分を指すことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示により、取り外し可能な支払い装置を使用してモバイル・ウォレット・トランザクションを行うためのシステムを示す。
【
図2A】本開示の一実施例による取り外し可能な支払い装置を含むモバイル装置の前面図である。
【
図2B】本開示による、
図2Aの取り外し可能な支払い装置を含むモバイル装置の背面図である。
【
図3A】本開示の別の実施例による取り外し可能な支払い装置を含むモバイル装置の前面図である。
【
図3B】本開示による、
図3Aによって実装可能な取り外し可能な支払い装置を示す図である。
【
図4】本開示による取り外し可能な支払い装置の構成要素の実例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に定める本開示の詳細な記載は添付図面を参照し、これらの図面は説明として様々な実施例を示す。これらの様々な実施例は当業者が本開示を実施するために十分詳細に説明されているが、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、他の実施例が実現されてもよいし、論理的及び物理的な変更が行われてもよい。したがって、本明細書の詳細な記載は制限ではなく説明のみを目的として提示される。例えば、方法又はプロセスの説明のいずれにおいて述べるステップも、提示された順序以外の順序で行われてもよく、提示された順序に制限されることもない。さらに、単一の実施例への参照は複数の実施例を含むことがあり、複数の構成要素への参照は単一の実施例を含むこともある。
【0011】
本開示は一般に、モバイル装置から取り外すことができ、そのモバイル装置のモバイル・ウォレット又はその取り外し可能な装置に記憶されたモバイル・ウォレットに関連する支払いトランザクションを行うことができる支払い装置に関する。参照により本明細書にその全体が組み込まれる米国特許第9022285号、「System and Method for Securely Loading, Storing and Transmitting Magnetic Stripe Data in a Device Working with a Mobile Wallet System」に、モバイル・ウォレット・アプリケーション及びモバイル・ウォレット・システムの使用の実例が記載されている。取り外し可能な支払い装置は、例えば、通常の支払いカードの形状(すなわち四角形)、キーホルダ(fob)様、又はスタイラス/電子ペンの形状など、様々な形状及びサイズで実装されてもよい。モバイル装置、モバイル装置のモバイル・ウォレット及びPOS端末と通信するために、取り外し可能な支払い装置は、Bluetooth、近距離通信(NFC)又は、磁気セキュア送信(MST)などの短距離の非接触送信を使用してもよい。
【0012】
ドッキング・モードにある間、支払い装置はモバイル装置のモバイル・ウォレットから支払いカード・データを受信し、POS端末の受信器に支払いカード・データを送信してもよく、それによってモバイル装置と一体化したモバイル支払いユニットとして機能してもよい。ドッキング解除モードにあるときは、支払い装置はモバイル装置からの補助なしで非接触支払いトランザクションを完了してもよい。
【0013】
モバイル・ウォレットはモバイル装置(例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、又はタブレット)内に実装されたソフトウェア・モジュール又はハードウェアであり、モバイル装置のユーザがモバイル・ウォレットに電子的に記憶されたデジタル形式のクレジット、及びクレジットカード/デビットカードを使用して、クレジット/デビット支払いを行うことを可能にする。モバイル・ウォレットは、店頭購買及び、モバイル装置上のソフトウェア・アプリケーションを通した電子購買を行うために使用されてもよい。モバイル・ウォレットは支払いカード又はトークンに関する情報を安全に記憶し、この情報には、カード番号、有効期限、カード名義、カードのタイプ、カード発行者、カード照合値(CVV:card verification value)番号、その他の暗号認証要素などの情報が含まれる。参照により本明細書にその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2015/0363771号、「Mobile Checkout Systems and Methods」に、モバイル・ウォレット・アプリケーションの使用及びモバイル・ウォレット・システム内での支払いカード又はトークンに関連する情報の保障の実例が記載されている。
【0014】
通常のモバイル・ウォレット・トランザクションを行うためには、モバイル装置がPOS装置の閾値距離内に置かれ、閾値距離はモバイル装置及び/又はPOS装置の短距離無線送信能力によって測定される。加えて、いくつかのモバイル・ウォレット・トランザクションでは、ユーザが指紋又は何らかの他の個人特定情報をモバイル装置に提供することによって、トランザクション対象のカードの所有者であることを立証する必要がある。
【0015】
モバイル・ウォレット・トランザクションでは短距離無線送信を利用してデータを伝達するので、多くのトランザクションで、POS装置がモバイル装置のユーザの手の届かないところにある場合は営業施設の従業員にモバイル装置を手渡さなければならない。モバイル装置は極めて個人的な使用を目的としており、人々は通常、極めて個人的な使用を目的とする物品を他人に手渡すことを好まない。少なくともその理由から、この状況は満足されるものではない。このような背景に対して、本開示はモバイル・ウォレット・トランザクションを行うために使用できる取り外し可能な支払い装置を提供し、それによって従業員にモバイル支払い装置を手渡す必要をなくす。手渡されるのは、取り外し可能な支払い装置のみである。
【0016】
図1は、本開示により、取り外し可能な支払い装置を使用してモバイル・ウォレット・トランザクションを行うためのシステム100を示す。システム100はモバイル装置102、取り外し可能な支払い装置104、及びPOS(販売時点情報管理)装置106を含む。本明細書で下記において、支払い装置104の実例は、
図2A〜2B及び
図3A〜3Bの104a及び104bとして、それぞれ表される。
【0017】
モバイル装置102はモバイル・ウォレット108を備える。モバイル・ウォレット108は、モバイル装置102内にハードウェア又はソフトウェアとして実装されてもよく、非接触支払いトランザクションで使用可能な支払いカード・データを記憶する。モバイル装置102は、モバイル・ウォレットを備え、それを操作することのできるスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、又は同様のモバイル装置であってもよい。
【0018】
支払い装置104は、本明細書で下記に説明するように、モバイル装置102に取り外し可能に結合する。支払い装置104はモバイル装置102と、物理的接点のセットなどの物理的手段を介して通信してもよい。例えば、モバイル装置102にドッキングされているとき、支払い装置104はモバイル装置102から物理的な電気接点を介して電力を引き出し、それによって支払い装置104の内部電源を充電してもよい。支払い装置104はまた、Bluetooth又はその他の無線通信/接続を介してモバイル装置102と通信してもよい。例えば、モバイル装置102にドッキングされているとき、支払い装置104はモバイル装置102のモバイル・ウォレット108から支払いカード・データを受信してもよい。
【0019】
取り外し可能な支払い装置104は非接触支払い送信のハードウェア又はソフトウェアを備え、それを使用してモバイル・ウォレット108に関連する支払いカード・データをPOS端末/装置106に送信する。支払い装置104がPOS装置106と通信するために使用できる非接触送信には、例えば、近距離通信(NFC)、磁気セキュア送信(MST)、又はPOS装置106が認識して受信することができる同様の短距離の非接触送信が含まれる。
【0020】
取り外し可能な支払い装置104はドッキング・モード及び取り外しモードを有してもよく、各モードでは、個別の処理/機能が支払い装置104によって実施可能になる。例えば、ドッキング・モードでは支払い装置104がモバイル装置102から電力を受け、それによって支払い装置104の内部電源/バッテリを充電することが可能になってもよい。支払い装置104に伝えられる電力は、支払い装置104をモバイル装置102に電気接続する物理的接点を介して送信されてもよいし、又は、支払い装置がドッキングされているモバイル装置からバッテリ充電電力を受け取ってもよい。さらに、ドッキング・モードでは、支払い装置104がモバイル装置102と一体化したモバイル支払いユニットとして動作可能になってもよい。つまり、支払い装置104がドッキングされているときは、モバイル・ウォレット108の支払いカード・データは、支払い装置104とモバイル装置102の両方によって、短距離の非接触送信を介してPOS装置106に送信されてもよい。
【0021】
取り外しモードでは、支払い装置104はモバイル装置102と独立に動作できるようになる(すなわち、支払い装置104はモバイル装置102からの補助なしでPOS装置106との非接触支払いトランザクションを完了してもよい)。ただし、取り外しモードが支払い装置104をそのように制限する必要はないことを理解されたい。例えば、取り外しモードが有効になっているとき、支払い装置104は、Bluetooth又はその他の類似する無線通信/接続を通してモバイル装置102によって補われながらトランザクションを完了/実施してもよい。
【0022】
モバイル装置は2つの異なるモードで使用することができる。一方のモードでは、ウォレットはモバイル装置上にあり、取り外し可能な装置はそのウォレットの単なる拡張部分である。カード記憶、プロビジョニング(ほとんどのセキュリティを含む)などのすべての主要機能がモバイル装置内で行われる。他方のモードでは、モバイル・ウォレットは取り外し可能な装置内にあり、モバイル装置(及び、その上で実行するウォレット・アプリケーション)は、取り外し可能な装置を制御及び管理するため、並びに広域ネットワーク(電話網、WiFiなど)及びインターネットへの接続性を提供するために使用される。
【0023】
取り外し可能な支払い装置104は、支払いカード・データをPOS装置106に自動的に送信するように構成されてもよい(例えば、支払い装置104がPOS装置106の一定の近傍距離内に置かれると、支払いカード・データを送信する)。近傍距離は、支払い装置104及び/又はPOS装置106の無線送受信能力によって決められてもよい。取り外し可能な支払い装置104は、トリガ・イベントが発生したときに支払いカード・データを送信するように構成されてもよい。例えば、支払いカード・データはユーザが支払い装置104のボタンと相互作用したとき、又はその後に送信されてもよい。別の実例では、支払いカード・データはユーザが支払い装置104の指紋スキャナと相互作用したとき、又はその後に送信されてもよい。さらに別の実例では、支払いカード・データはモバイル装置102から発せられた遠隔コマンド(例えば、ボタン又は指紋スキャナとの相互作用)に応答して送信されてもよい。支払い装置104からの支払いカード・データの送信を起動するために使用されるトリガ・イベントは、実装に応じて異なってもよい。例えば、より高いセキュリティ/暗号化が支払いカード・データに望まれる場合には、複数のトリガ・イベントが使用されてもよい。
【0024】
図2A及び2Bは、本開示による、支払いカード形状、すなわち四角形の取り外し可能な支払い装置104aを含むモバイル装置102を示す。モバイル装置102は凹部(図示せず)を有するハウジング204を備え、この凹部の中に支払い装置104aをドッキングしてもよい。或いは、支払い装置104aは、例えば磁気的、物理的、及びその他の同様の取り付け手段を使用して、ハウジング204の凹んでいない部分でモバイル装置102にドッキングしてもよい。
【0025】
支払い装置104aは、支払い装置104aが本明細書に記載されたとおりに、充電され及び支払いカード・データを受け取ることができる任意の位置でモバイル装置102にドッキングしてもよい。例えば、支払い装置104aは、モバイル装置102の上部、中間部、又は底部にドッキングしてもよい。さらに、支払い装置104aは、モバイル装置102の側縁部、中ほど(すなわち、モバイル装置102の縁部から離れた位置)、又は上若しくは下の縁部、或いはその近くにドッキングしてもよい。加えて、支払い装置104aはモバイル装置102の後面/背面にドッキングするように示されているが、支払い装置104aが本開示の範囲から逸脱することなくモバイル装置102の前側又は縁部にドッキングしてもよいことは当業者には理解される。
【0026】
図3A及び3Bは、本開示による、スタイラス形状の取り外し可能な支払い装置104bを含むモバイル装置102を示す。支払い装置104bは、従来のスタイラスの機能を行うようには構成されずに単にスタイラスの形態をとるだけであってもよい。或いは、支払い装置104bはスタイラスの形状であり、従来のスタイラスの機能を行い、本明細書に記載される支払い機能を行ってもよい。
【0027】
支払い装置104aと同様に、支払い装置104bはモバイル装置102に取り外し可能にドッキングするように構成される。支払い装置104bはモバイル装置102の凹部の中にドッキングしてもよい。或いは、支払い装置104bは、磁気的又はその他の同様の取り付け手段を使用して、ハウジング204の凹んでいない部分でモバイル装置102にドッキングしてもよい。支払い装置104bは、支払い装置104bが本明細書に記載されたとおりに電荷及び支払いカード・データを受け取ることができる任意の位置でモバイル装置102にドッキングしてもよい。例えば、支払い装置104bは、モバイル装置102の上部、中間部、又は底部にドッキングしてもよい。さらに、支払い装置104bは、モバイル装置102の側縁部、中ほど(すなわち、モバイル装置102の縁部から離れた位置)、又は上若しくは下の縁部、或いはその近くにドッキングしてもよい。加えて、支払い装置104bはモバイル装置102の後面/背面にドッキングするように示されているが、支払い装置104bが本開示の範囲から逸脱することなくモバイル装置102の前側又は縁部にドッキングしてもよいことは当業者には理解される。
【0028】
取り外し可能な支払い装置104(並びに104a及び104b)はモバイル装置104に取り付け可能であると説明されているが、支払い装置104は独立型の(すなわち、モバイル装置102に物理的に取り付けることができない)装置でもよいことを理解されたい。支払い装置104が独立型の装置である場合は、独立した専用電源を有してもよい。さらに、独立型の場合、支払い装置104はモバイル・ウォレット108との通信をBluetooth又は他の無線通信/接続を介して維持してもよい。
【0029】
加えて、取り外し可能な支払い装置104(並びに104a及び104b)はモバイル装置102及びモバイル・ウォレット108と有線通信/接続を介して通信するように構成されてもよい。そのような実装形態では、有線通信/接続はモバイル装置102及び/又は支払い装置104に恒久的に結合され得る。加えて、又は、代わりに、有線通信/接続手段はモバイル装置102及び/又は支払い装置104に切り離し可能に結合されてもよい。
【0030】
取り外し可能な支払い装置104は、モバイル装置102及びモバイル・ウォレット108との間でBluetooth、その他の同様の無線通信、又は有線通信を通して利用状況及び位置の報告及びコマンドをやりとりするように装備されてもよい。例えば、ウェイターがPAY(支払い)ボタンを押した時点で、そのことを示す利用状況報告が発生してもよい。位置報告には、トランザクションが行われる大陸、トランザクションが行われる州、トランザクションが行われる国、トランザクションが行われる都市、トランザクションの確立、及びモバイル装置が利用できるGPS能力の機能として利用可能な同様の情報などのデータが含まれてもよい。モバイル装置との間でやりとりされるコマンドには、どのカードがアクティブ化されたか、NFCが実行されたか、トランザクションの量などが含まれてもよい。そのようなコマンド及び報告には、利用状況報告、位置警告、及び警報が含まれてもよい。
【0031】
取り外し可能な支払い装置104(並びに104a及び104b)は、専用のメモリ及び暗号処理装置を備えて支払いカード情報を記憶し、例えば、Bluetooth若しくは他の無線通信手段の範囲外にあるとき、又は、モバイル装置102がオフにされているか動作不能なときに、そのような支払いカード情報を使用して、モバイル装置102及びモバイル・ウォレット108とは独立して非接触支払いを行ってもよい。支払い装置104によって記憶及び送信される支払いカード情報又は信用情報は、磁気ストライプ・カード又はチップ・カードの磁気ストライプに記憶されたカード・データなどの静的カード・データで構成されていてもよい。また、支払いカード情報又は信用情報は、動的CVVなどの動的要素を有する静的カード・データで構成されていてもよい。加えて、支払いカード情報又は信用情報は、一部又は完全にトークン化され、動的暗号化されているか、又は動的暗号化されていないカード・データであってもよい。そのような信用情報は、モバイル・ウォレット108を介してモバイル装置102に予めロードすることもできるし、又は、モバイル・ウォレット108を介してロードされたキー若しくはその他のデータに基づいてローカルで生成することもできる。
【0032】
さらに、取り外し可能な支払い装置104(並びに104a及び104b)は、USBコネクタなどの通信接点のセットを備えてもよく、ラップトップ・コンピュータ又はタブレットなどの消費者装置に支払いカード・データ又はトークンを配信して安全な電子商取引支払いを可能にするために使用されてもよい。
【0033】
取り外し可能な支払い装置104(並びに104a及び104b)はまた、支払いカード、信用情報、トークン、及びキーの安全なストレージとして使用されてもよく、支払い装置104はそれらを、モバイル装置102のモバイル・ウォレット108からオンデマンドで利用可能になるようにしてもよい。例えば、ウォレット及びキーを含む取り外し可能な装置を使用してインターネット商取引のためのトークン化カード・データを生成して、そのカード・データをモバイル装置のディスプレイを介してユーザに提示することもできる。
【0034】
図4は、支払い装置104(支払い装置104a及び104bをも表す)の構成要素の実例を示す。支払い装置104は動作時には、下記に詳細を説明するように、支払い装置104上に存在するコンピュータ可読でコンピュータ実行可能な命令を含んでもよい。
【0035】
図4に示されるように、支払い装置104は入力/出力(I/O)装置インタフェース402を備え、このインタフェースは支払い装置104に接続性及びプロトコルのサポートを提供する。例えば、POS端末のアンテナ404を使用して、支払い装置104とPOS端末/装置106との間の接続性が提供されてもよい。同じアンテナ404又は別のモバイル装置アンテナ406を使用して、支払い装置104とモバイル装置102との間の接続性が提供されてもよい。加えて、物理的接点408を使用して、支払い装置104とモバイル装置102との間の物理的接続性が提供されてもよい。接点408は、モバイル装置102の電気接点に直接結合するように構成されてもよいし、又は、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、FireWire、Thunderbolt、又はその他の有線接続プロトコルなどの外部周辺装置接続を介して間接的にモバイル装置102に結合されるように構成されてもよい。
【0036】
説明したように、I/O装置インタフェース402はアンテナ404、406のために様々なプロトコルをサポートしてもよい。例えば、アンテナ404、406はBluetooth、WiFiダイレクト、又はNFC送信を発信及び受信してもよい。代替例では、アンテナ404、406は高周波(RF)を使用する代わりに、超音波通信又は赤外線通信などの他の技術に基づいてもよい。
【0037】
支払い装置104は、支払い装置104の構成要素間でデータを搬送するためにアドレス/データ・バス410を備えてもよい。支払い装置104内の各構成要素はまた、バス410を介して他の構成要素に接続されることに加えて(又はその代わりに)、他の構成要素に直接接続されてもよい。
【0038】
支払い装置104は非接触支払い送信プロセッサ412を備えてもよく、このプロセッサが中央処理ユニット(CPU)を備えて、支払い装置104が本明細書に記載されるとおりにモバイル・ウォレット・トランザクションを実行できるようにするデータ及びコンピュータ可読命令を処理してもよい。支払い装置104はまた、データ(例えば支払いカード・データ)及び命令を記憶するためにメモリ414を備えてもよい。メモリ414は、揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、不揮発性読出し専用メモリ(ROM)、不揮発性磁気抵抗メモリ(MRAM)及び/又はその他のタイプのメモリを含んでもよい。支払い装置104はまた、データ(例えば支払いカード・データ)及びコントローラ/プロセッサ実行可能な命令(例えば、本明細書に記載されるとおりに支払い装置104によって行われる処理を行うための命令)を記憶するために、データ・ストレージ構成要素416を備えてもよい。データ・ストレージ構成要素416は、磁気ストレージ、光ストレージ、半導体ストレージなどの1つ又は複数の不揮発性タイプのストレージを含んでもよい。
【0039】
取り外し可能な支払い装置104は、電源418をさらに備える。電源418は、再充電可能なリチウムイオン・バッテリ、又はその他の同様のバッテリでもよい。
【0040】
動作時には、モバイル・ウォレット・トランザクションを行うときに、モバイル装置102、取り外し可能な支払い装置104、及びPOS装置106との間で通信が伝送される。モバイル装置102は、特定のカード・データ・シーケンスを送信するよう命令するコマンドを、取り外し可能な支払い装置104に送ってもよい。コマンドは、カードIDだけを含んでもよいし(ウォレットが取り外し可能な装置内にある場合)、又は、認証パラメータを含むカード・シーケンス全体を含んでもよい。モバイル装置102と取り外し可能な支払い装置104との間の通信は暗号化される。加えて、取り外し可能な支払い装置104は、それに対応するアカウント並びに、モバイル装置102及びモバイル装置上にあるウォレット・アカウントに暗号によって結びつけられている。その他の通信には、カード・プロビジョニング、カード取り出し、及びカード固有キーの更新が含まれてもよい。
【0041】
開示される技法の様々な適用例は、モバイル・ウォレットを実装するコンピューティング機器及び、それらの様々な適用例が実装される技術環境の機能を著しく改善する。さらに、本明細書では添付図面を参照しながら本開示を説明してきたが、本開示はそれらの教示のとおりに制限されるのではなく、その他の様々な変更及び修正が、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく当業者によって行われてもよいことが理解される。