【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記及びその他の目的は、本明細書中に記載され、特許請求の範囲に定義されている、方法、防腐性製品、防腐性無機粉末組成物、防腐性ポリマー製品及び微生物汚染に対して有効な防腐性製品の製造のための1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせた1種以上のリチウムイオン源の使用によって解決することができる。
【0008】
本出願の1つの側面によって、防腐性製品を製造する方法が提供される。この方法は次のステップを含む:
a)少なくとも1種の無機充填材料を準備するステップ、
b)1種以上のリチウムイオン源を準備するステップ、
c)1種以上のナトリウムイオン源を準備するステップ、
d)最終の防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜60000ppmとなるような量で、ステップa)の少なくとも1種の無機充填材料をステップb)の1種以上のリチウムイオン源と組み合わせるステップ、
e)最終の防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜20000ppmとなるような量で、ステップa)の少なくとも1種の無機充填材料をステップc)の1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせるステップ。ここで、方法ステップd)及びe)は同時に、又は別々に任意の順序で実施され、防腐性製品中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1〜1:10であり、且つ防腐性製品の含水率は防腐性製品の総重量を基準にして<15.0wt%である。
【0009】
欧州特許出願公開第2374353号は、鉱物材料の水性調製物を保存する方法に言及している。1種以上のリチウムイオン源並びに1種以上のナトリウム及び/又はカリウム及び/又はマグネシウムイオン源を少なくとも1種の鉱物材料の水性調製物に添加することが記載されている。
【0010】
実際、1種以上のリチウムイオン源と1種以上のナトリウムイオン源とを、好ましくは乾燥材料として組み合わせることができ、この混合物は乾燥製品と同様に多種多様な液体中で実現し、こうして防腐特性を提供することができることは本発明の顕著な利点である。また、驚くべきことに、1種以上のリチウムイオン源を特定のモル比で1種以上のナトリウムイオン源と共に含む混合物が湿気と接触したときに防腐特性を有することが見出された。
【0011】
本発明に従って、1種以上のナトリウムイオン源のナトリウムイオンと組み合わせた1種以上のリチウムイオン源のリチウムイオンは抗菌活性又は防腐効果を有する物質とみなすことができる。従って、以後抗菌活性又は防腐効果を有する物質に言及するとき、1種以上のナトリウムイオン源のナトリウムイオンと特定のモル比で組み合わせた1種以上のリチウムイオン源のリチウムイオンを意味する。
【0012】
本発明の意味において、「防腐性製品」又は「抗菌活性」を有する製品、「防腐効果」又は「微生物汚染に対して有効な」とは、少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種の酵母の株及び/又は少なくとも1種のカビの株に対して有効な製品をいう。用語「有効な」とは、防腐性製品中又は防腐性製品の表面上の少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種の酵母の株及び/又は少なくとも1種のカビの株の総数を減少させ、及び/又は増殖又は蓄積を防止若しくは低減させる防腐性製品の能力をいう。
【0013】
本発明によると、「総数を減少させる」という表現は、抗菌活性をもたない製品又は製品表面上と比較して、抗菌活性を有する防腐性製品中又は防腐性製品の表面上で、少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種の酵母の株及び/又は少なくとも1種のカビの株の総数における減少が観察されることを意味する。少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種の酵母の株及び/又は少なくとも1種のカビの株の総数は、当業者に公知の標準的な微生物学的技術を用いて測定することができ、例えば、実施例の欄に記載されるようにトリプチックソイ寒天(TSA)上へのプレートアウトによって測定することができる。
【0014】
本発明によると、「増殖又は蓄積を防止又は低減させる」という表現は、防腐性製品中又は防腐性製品の表面上で、少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種の酵母の株及び/又は少なくとも1種のカビの株の有意な増殖又は蓄積が観察されないことを意味する。少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種の酵母の株及び/又は少なくとも1種のカビの株の「有意な増殖又は蓄積」は、その差、即ち少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種の酵母の株及び/又は少なくとも1種のカビの株の増殖が、本明細書中実施例の欄に記載される細菌数法に従って、−週間以内に試験し、トリプチックソイ寒天(TSA)上のプレートアウトによりプレートを30℃でインキュベートし、48時間後に評価することで測定する測定技術に伴う誤差を超えた場合に観察される。
【0015】
本発明によると、液体製剤中のリチウム及びナトリウムイオン含量は、膜ろ過(細孔径0.2ミクロン)及び/又は加圧ろ過により製剤中の固体をろ過し、イオンクロマトグラフィー及び/又は誘導結合プラズマ原子発光分光分析(ICP−OES)によりろ液中のリチウムイオン含量を測定することによって評価することができる。乾燥製品中のリチウム及びナトリウムの含量は、酸性分解による乾燥製品の可溶化及びICP−OESによるイオンの定量化によって測定することができる。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲で用語「含む」が使用されている場合、他の要素が排除されることはない。本発明の目的からみて、用語「からなる」は用語「含む」の好ましい実施形態であると考えられる。以後ある群が少なくとも幾つかの数の実施形態を含むと定義されている場合、これはまた好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も開示しているものと理解されたい。
【0017】
単数形態に対して不定冠詞又は定冠詞、例えば「a」、「an」又は「the」が使用されている場合、これは特に断らない限りそのものの複数の場合も包含している。
【0018】
「得ることができる」又は「定義することができる」及び「得られた」又は「定義された」のような用語は互換的に使用されている。例えば、前後関係から明らかに別の意味が示されない限り、用語「得られた」は、例えばある実施形態が、例えば用語「得られた」に続いて記載されている一連のステップによって得られなければならないことを示す意味ではないが、かかる限定された理解は常に好ましい実施形態として用語「得られた」又は「定義された」に包含されることを意味している。
【0019】
また、本発明は、別の側面において、本方法により得ることができる防腐性製品、好ましくは塗料若しくはコーティング製剤、非水性スラリー、化粧品製剤、クリーム、ゲル、殺菌性壁用石膏製剤、フィルム、プラスター、オムツ、ティッシュペーパー、プラスチック製品又は水性及び/若しくは有機流体のための吸着剤に関する。
【0020】
本発明の更なる側面によると、防腐性無機粉末組成物が提供される。防腐性無機粉末組成物は、
a)本明細書中に定義されている少なくとも1種の無機充填材料、
b)防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして20〜20000ppmの1種以上のナトリウムイオン源、及び
c)防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして20〜60000ppmの1種以上のリチウムイオン源
を含んでおり、
防腐性無機粉末組成物中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1〜1:10であり、防腐性無機粉末組成物の含水率は防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして<15.0wt%である。
【0021】
本防腐性無機粉末組成物の1つの実施形態によると、防腐性無機粉末組成物の含水率は、防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして、≦5.0wt%、好ましくは≦1.0wt%、より好ましくは≦0.2wt%、最も好ましくは0.03〜0.15wt%である。
【0022】
本防腐性無機粉末組成物の別の実施形態によると、防腐性無機粉末組成物は疎水性の表面特性を有する。
【0023】
本発明のもう1つ別の側面によると、防腐性ポリマー製品が提供される。防腐性ポリマー製品は、
a)
熱可塑性プラスチック(以下、「サーモプラスト
」ともいう。)、
熱硬化性プラスチック(以下、「デュロプラスト
」ともいう。)、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂を含む有機ポリマー組成物、
b)防腐性ポリマー組成物の総重量を基準にして20〜20000ppmの1種以上のナトリウムイオン源、
c)防腐性ポリマー組成物の総重量を基準にして20〜60000ppmの1種以上のリチウムイオン源、並びに
d)場合により、本明細書中に定義されている少なくとも1種の無機充填材料
を含んでおり、
防腐性ポリマー製品中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1〜1:10であり、防腐性ポリマー製品の含水率は防腐性ポリマー製品の総重量を基準にして≦1.0wt%である。
【0024】
本防腐性ポリマー製品の1つの実施形態によると、少なくとも1種の有機ポリマー樹脂は、ハロゲン化ポリマー樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、バイオポリマー、コポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリラクチド、アクリロニトリルブタジエンスチレン、合成ゴム、天然ゴム及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0025】
本防腐性ポリマー製品のもう1つ別の実施形態によると、少なくとも1種の無機充填材料はナトリウムイオン及び/又はリチウムイオン源.に対する担体である。
【0026】
本防腐性ポリマー製品及び/又は防腐性無機粉末組成物のなおもう1つ別の実施形態によると、1種以上のナトリウムイオン源及び/又はリチウムイオンは、対応する炭酸塩である。
【0027】
本発明の更に別の側面によると、1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせた1種以上のリチウムイオン源の、微生物汚染に対して有効な防腐性製品の製造のための使用が提供される。防腐性製品は、
a)防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜60000ppmとなるような量の1種以上のリチウムイオン源、及び
b)防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜20000ppmとなるような量の1種以上のナトリウムイオン源
を含んでいる。
【0028】
本使用の1つの実施形態によると、更なる殺生物剤は使用しない。
【0029】
本方法の1つの実施形態によると、ステップa)の少なくとも1種の無機充填材料は、重質天然炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、改質炭酸カルシウム(MCC)、カオリン、カオリン質粘土、焼成カオリン質粘土、タルク、硫酸カルシウム、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ケイ藻土、微粉シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸塩、軽石、セピオライト、ドロマイト、雲母、二酸化チタン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは大理石、石灰石、チョーク又はこれらの混合物のような重質天然炭酸カルシウム(GCC)、改質炭酸カルシウム(MCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、ドロマイト、カオリン、カオリン質粘土、焼成カオリン質粘土及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0030】
本方法のもう1つ別の実施形態によると、少なくとも1種の無機充填材料が、ステップd)において、防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜30000ppmとなるような量で1種以上のリチウムイオン源と組み合わせられる。
【0031】
本方法のなおもう1つ別の実施形態によると、少なくとも1種の無機充填材料が、ステップe)において、防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜10000ppmとなるような量で1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせられる。
【0032】
本方法の1つの実施形態によると、方法ステップd)及びe)は同時に行われ、好ましくは方法ステップd)及びe)は少なくとも1種の無機充填材料が1種以上のリチウムイオン源と1種以上のナトリウムイオン源からなるブレンドと組み合わせられるように行われる。
【0033】
本方法の別の実施形態によると、この方法は更に、i)ステップd)及びe)の実施中及び/又はステップd)及びe)の後に得られた少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物を乾式粉砕すること、及び/又はii)ステップd)及びe)の後に得られた少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物を、水及び/又は少なくとも1種の分散剤と接触させること、又はiii)ステップd)及びe)の後に得られた少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物を、サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂を含む有機ポリマー組成物と接触させ、得られた組成物を防腐性ポリマー製品に転化させる条件に付すことの、ステップf)を含む。
【0034】
本方法のなおもう1つ別の実施形態によると、ステップd)及び/又はe)の後の少なくとも1種の無機充填材料は、乾式レーザー回折法に従って測定して0.5〜25.0μm、好ましくは0.7〜5.0μm、より好ましくは1.0〜4.0μm、最も好ましくは1.5〜3.5μmの体積中央直径d
50値を有する。
【0035】
本方法の1つの実施形態によると、1種以上のリチウムイオン源を1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせることによって生成する防腐効果のほかに更なる殺生物剤を防腐性製品中に使用しない。
【0036】
本方法の別の実施形態によると、本防腐性製品は非水性のスラリー、塗料若しくはコーティング製剤、化粧品製剤、クリーム、ゲル、殺菌性壁用石膏製剤、フィルム、プラスター、オムツ、ティッシュペーパー、プラスチック製品又は水性及び/若しくは有機の流体のための吸着剤である。
【0037】
本方法のなおもう1つ別の実施形態によると、防腐性製品は少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種のカビの株及び/又は少なくとも1種の酵母の株に対して防腐効果を有し、好ましくは少なくとも1種の細菌の株はエシェリヒア属の種(Escherichia sp.)、スタフィロコッカス属の種(Staphylococcus sp.)、テルムス属の種(Thermus sp.)、プロピオニバクテリウム属の種(Propionibacterium sp.)、ロドコッカス属の種(Rhodococcus sp.)、パンニノバクター属の種(Panninobacter sp.)、カウロバクター属の種(Caulobacter sp.)、ブレブンディモナス属の種(Brevundimonas sp.)、アスチッカカウリス属の種(Asticcacaulis sp.)、スフィンゴモナス属の種(Sphingomonas sp.)、リゾビウム属の種(Rhizobium sp.)、エンシフェル属の種(Ensifer sp.)、ブラディリゾビウム属の種(Bradyrhizobium sp.)、テピジモナス属の種(Tepidimonas sp.)、テピジセラ属の種(Tepidicella sp.)、アクアバクテリウム属の種(Aquabacterium sp.)、ペロモナス属の種(Pelomonas sp.)、アルカリゲネス属の種(Alcaligenis sp.)、アクロモバクター属の種(Achromobacter sp.)、ラルストニア属の種(Ralstonia sp.)、リンノバクター属の種(Limnobacter sp.)、マシリア属の種(Massilia sp.)、ヒドロゲノファガ属の種(Hydrogenophaga sp.)、アシドボラクス属の種(Acidovorax sp.)、クルビバクター属の種(Curvibacter sp.)、デルフチア属の種(Delftia sp.)、ロドフェラックス属の種(Rhodoferax sp.)、アリシェワネラ属の種(Alishewanella sp.)、ステノトロフォモナス属の種(Stenotrophomonas sp.)、ドクドネラ属の種(Dokdonella sp.)、メチロシヌス属の種(Methylosinus sp.)、ヒフォミクロビウム属の種(Hyphomicrobium sp.)、メチロスルホモナス属の種(Methylosulfomonas sp.)、メチロバクテリア属の種(Methylobacteria sp.)、シュードモナス属の種(Pseudomonas sp.)、エンテロコッカス属の種(Enterococcus sp.)、ミロイデス属の種(Myroides sp.)、ブルコールデリア属の種(Burkholderia sp.)、アルカリゲネス属の種(Alcaligenes sp.)及びこれらの混合物からなる群から選択され、及び/又は、少なくとも1種のカビの株はアクレモニウム属の種(Acremonium sp.)、アルテルナリア属の種(Alternaria sp.)、アスペルギルス属の種(Aspergillus sp.)、クラドスポリウム属の種(Cladosporium sp.)、フザリウム属の種(Fusarium sp.)、ムコル属の種(Mucor sp.)、ペニシリウム属の種(Penicillium sp.)、リゾプス属の種(Rhizopus sp.)、スタキボトリス属の種(Stachybotrys sp.)、トリコデルマ属の種(Trichoderma sp.)、デマチアセアエ属の種(Dematiaceae sp.)、ポーマ属の種(Phoma sp.)、ユーロチウム属の種(Eurotium sp.)、スコプュラリオプシス属の種(Scopulariopsis sp.)、アウレオバシジウム属の種(Aureobasidium sp.)、モニリア属の種(Monilia sp.)、ボツリチス属の種(Botrytis sp.)、ステムフィリウム属の種(Stemphylium sp.)、カエトミウム属の種(Chaetomium sp.)、ミセリア属の種(Mycelia sp.)、ニューロスポラ属の種(Neurospora sp.)、ウロクラジウム属の種(Ulocladium sp.)、パエシロミセス属の種(Paecilomyces sp.)、ウォレミア属の種(Wallemia sp.)、クルブラリア属の種(Curvularia sp.)及びこれらの混合物を含む群から選択され、及び/又は、少なくとも1種の酵母の株はサッカロミケス亜門(Saccharomycotina)、タフリナ菌亜門(Taphrinomycotina)、シゾサッカロミケス綱(Schizosaccharomycetes)、担子菌門(Basidiomycota)、ハラタケ亜門(Agaricomycotina)、シロキクラゲ綱(Tremellomycetes)、サビキン亜門(Pucciniomycotina)、ミクロボトリウム菌綱(Microbotryomycetes)、カンジダ属の種(Candida sp.)、例えばカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・ギリエルモンジィ(Candida guilliermondii)、カンジダ・ビスワナチイ(Candida viswanathii)、レアカンジダ(Candida lusitaniae)及びこれらの混合物、ヤロウィア属の種(Yarrowia sp.)、例えばヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、クリプトコッカス属の種(Cryptococcus sp.)、例えばクリプトコッカス・ガッティ(Cryptococcus gattii)及びクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neofarmans)、チゴサッカロミセス属の種(Zygosaccharomyces sp.)、ロドトルラ属の種(Rhodotorula sp.)、例えばロドトルラ・ムチラギノーザ(Rhodotourla mucilaginosa)、及びこれらの混合物を含む群から選択され、より好ましくは少なくとも1種の細菌の株は大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)、シュードモナス・シュードアルカリゲネス(Pseudomonas pseudoalcaligenes)、シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、メチロバクテリウム・エキストロクエンス(Methylobacterium extorquens)、メチロバクテリウム・ラジオトレランツ(Methylobacterium radiotolerants)、メチロバクテリウム・ジクロロメタニクム(Methylobacterium dichloromethanicum)、メチロバクテリウム・オルガノフィル(Methylobacterium organophilu)、ハイフォミクロビウム・ザバルヂニ(Hyphomicrobium zavarzini)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ミロイデス・オドラツス(Myroides odoratus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・オリジハビタンス(Pseudomonas orizyhabitans)、ブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)及びスフィンゴモナス・パウシモビリス(Sphingomonas paucimobilis)並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
上に述べたように、防腐性製品を製造するための本発明の方法はステップa)、b)、c)、d)及びe)を含む。以下、本発明、殊に防腐性製品を製造するための本発明の方法の上記ステップの更なる詳細に言及する。当業者には理解されるように、本明細書に記載されている多くの実施形態は組み合わせたり、又は一緒に適用したりすることができる。
【0039】
〈ステップa)の特徴付け:少なくとも1種の乾燥無機充填材料の準備〉
本発明の方法のステップa)によると、少なくとも1種の無機充填材料を準備する。
【0040】
本発明の意味で用語「少なくとも1種の」無機充填材料は、その無機充填材料が1種以上の無機充填材料を含む、好ましくは1種以上からなることを意味する。
【0041】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1種の無機充填材料は、好ましくは無機充填材料からなる。或いは、少なくとも1種の無機充填材料は、好ましくは2種以上の無機充填材料からなる。例えば、少なくとも1種の無機充填材料は2種又は3種の無機充填材料を含み、好ましくは2種又は3種からなる。好ましくは、少なくとも1種の無機充填材料は1種の無機充填材料を含み、好ましくは1種からなる。
【0042】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1種の無機充填材料は、重質天然炭酸カルシウム(GCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、改質炭酸カルシウム(MCC)、カオリン、カオリン質粘土、焼成カオリン質粘土、タルク、硫酸カルシウム、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ケイ藻土、微粉シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸塩、軽石、セピオライト、ドロマイト、雲母、二酸化チタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
例えば、少なくとも1種の無機充填材料は、大理石、石灰石、チョーク又はこれらの混合物のような重質天然炭酸カルシウム(GCC)、改質炭酸カルシウム(MCC)、沈降炭酸カルシウム(PCC)、ドロマイト、カオリン、カオリン質粘土、焼成カオリン質粘土及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
好ましくは、少なくとも1種の無機充填材料は、大理石、石灰石、チョーク又はこれらの混合物のような重質天然炭酸カルシウム(GCC)、及び/又は沈降炭酸カルシウム(PCC)を含み、より好ましくはからなる。
【0045】
本発明の意味で「重質炭酸カルシウム」(GCC)は、石灰石、大理石又はチョークのような天然源から得られ、湿式及び/又は乾式の、例えばサイクロン又は分級器による粉砕、スクリーニング及び/又は細分化のような処理によって処理された炭酸カルシウムである。
【0046】
本発明の意味で「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は、一般に、水性の環境における二酸化炭素と石灰の反応後の沈降により、又は水中でのカルシウム及び炭酸イオン源の沈降により得られる、合成された材料である。
【0047】
本発明の意味で「改質炭酸カルシウム」(MCC)は、内部の構造改変又は表面反応生成物を有する天然の粉砕又は沈降炭酸カルシウムと特徴付けられる。本発明の好ましい実施形態によると、改質炭酸カルシウムは表面反応した炭酸カルシウムである。
【0048】
本発明の意味で「ドロマイト」及びドロマイトを含有する大理石とは、CaMg(CO
3)
2(「CaCO
3・MgCO
3」)又はCaMg(CO
3)
2とCaCO
3とのブレンドの化学組成を有する炭酸塩含有カルシウム−マグネシウム−鉱物である。
【0049】
「粘土」とは、主としてアルミニウムの含水ケイ酸塩の結晶性又は非晶質の小さい粒子をいい、時としてアルミニウムの全て又は一部がマグネシウム、カルシウム及び/又は鉄で置換されている。粘土鉱物の主要なグループは:カオリナイト、すなわちカオリンの主要な成分;ハロイサイト;イライト;モンモリロナイト及びバーミキュライトである。本明細書で使用される用語「カオリン質粘土」は主として鉱物カオリナイトで構成される軟質白土を意味する。
【0050】
「カオリン」は殊に製紙産業で使用され、紙及びボール紙を被覆し充填し、最終製品の光沢、不透明度又は輝きのような光学的な特性の幾つかを改良するために使用されている。しかしながら、カオリンをベースとする製品には、塗料、農業用組成物、グラスファイバー製品、ポリマー及びゴム組成物、セラミック用途、触媒担体、医薬品、化粧品、接着剤、ろ過助剤、その他多くのものがある。
【0051】
天然の重質炭酸カルシウム及び/又は改質炭酸カルシウム(MCC)及び/又は沈降炭酸カルシウム(PCC)は更に、例えばステアリン酸のような脂肪酸及び対応するカルシウム塩で表面処理されてもよい。
【0052】
少なくとも1種の無機充填材料は好ましくは少なくとも1種の乾燥無機充填材料である。
【0053】
用語少なくとも1種の「乾燥」無機充填材料とは、少なくとも1種の無機充填材料の総重量を基準にして<15.0wt%、好ましくは≦5.0wt%、より好ましくは≦1.0wt%、更により好ましくは≦0.5wt%、最も好ましくは≦0.3wt%の全含水率を有する充填材料粒子をいう。
【0054】
少なくとも1種の無機充填材料は、製造されるタイプの製品に含まれる材料に対して従来から使用されている粒度分布を有し得る。一般に、90.0vol%の粒子が11.0マイクロメートル(μm)未満のesd(球相当径、周知の乾式レーザー回折法により、好ましくはMalvern Instruments Ltd.、United Kingdom製のAero S乾燥粉末分散機を含むMastersizer 3000を用いて測定される)を有する。粗い無機充填材料は通常(即ち、少なくとも90.0vol%が)3.0〜11.0ミクロンの範囲の粒子esdを有し得る。微細な乾燥無機充填材料は、乾式レーザー回折法に従って、好ましくはMalvern Instruments Ltd.、United Kingdom製のAero S乾燥粉末分散機を含むMastersizer 3000を用いて測定して、一般に3.0μm未満、例えば50.0〜99.0vol%が3.0μm未満、好ましくは60.0〜90.0vol%が3.0μm未満の粒子esdを有し得る。
【0055】
少なくとも1種の無機充填材料が、乾式レーザー回折法に従って、好ましくはMalvern Instruments Ltd.、United Kingdom製のAero S乾燥粉末分散機を含むMastersizer 3000を用いて測定して、0.5〜25.0μm、好ましくは0.7〜5.0μm、より好ましくは1.0〜4.0μm、最も好ましくは1.5〜3.5μmの体積中央粒度d
50値を有するのが好ましい。
【0056】
本文書を通じて、顔料粒子の「粒度」はその粒度の分布によって記述されている。値d
xは、x体積%の粒子がd
x未満の直径を有する直径を表す。これの意味するところは、d
20値は全ての粒子の20.0vol%がそれより小さい粒度であり、d
75値は全ての粒子の75.0vol%がそれより小さい粒度であるということである。従って、d
50値は体積中央粒度であり、即ち全ての粒子の50.0vol%がこの粒度より大きいか又は小さい。本発明の目的から、粒度は他に示さない限り体積中央粒度d
50として規定される。体積中央粒度d
50値を決定するには、乾式レーザー回折法、好ましくはMalvern Instruments Ltd.、United Kingdom製のAero S乾燥粉末分散機を含むMastersizer 3000を使用することができる。
【0057】
〈ステップb)の特徴付け:1種以上の乾燥リチウムイオン源の準備〉
本発明の方法のステップb)によると、1種以上のリチウムイオン源を準備する。
【0058】
本発明の1つの実施形態において、1種以上のリチウムイオン源は1種のリチウムイオン源を含み、好ましくは1種からなる。或いは、1種以上のリチウムイオン源は2種以上のリチウムイオン源を含み、好ましくは2種以上からなる。例えば、1種以上のリチウムイオン源は2種又は3種のリチウムイオン源を含み、好ましくは2種又は3種からなる。好ましくは、1種以上のリチウムイオン源は1種のリチウムイオン源を含み、好ましくは1種からなる。
【0059】
本発明の意味で用語1種以上の「リチウムイオン源」は、リチウムイオン、即ちリチウムカチオンを含む化合物を指す。好ましくは、用語「リチウムイオン源」は、例えば結晶性又は非晶質形態の塩の一部としてリチウムイオンを含む。
【0060】
本方法のステップb)で準備される1種以上のリチウムイオン源は水に可溶性のリチウムイオンを含む化合物であり得ることが理解される。従って、1種以上のリチウムイオン源は好ましくは1種以上の「水溶性の」リチウムイオン源である。
【0061】
本発明の意味で用語「水溶性の」リチウムイオン源又は「水に可溶性」とは、リチウムイオン源の少なくとも一部が水と溶液を形成し得る、即ち少なくとも1種のリチウムイオン源の粒子の少なくとも一部が溶媒に溶解する系をいう。
【0062】
本発明の1つの実施形態において、1種以上のリチウムイオン源は好ましくは1種以上のリチウム塩の形態で準備される。好ましくは、1種以上のリチウム塩のアニオン性の基は、炭酸イオン、ハロゲンイオン、例えば塩素、フッ素、臭素又はヨウ素イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、クエン酸イオン、C
6〜C
24脂肪酸イオン、例えばマレイン酸イオン、ステアリン酸イオン及びこれらの混合物を含む群から選択される。特に、1種以上のリチウム塩は、炭酸リチウム、ハロゲン化リチウム、例えば塩化リチウム、フッ化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、硫酸リチウム、硫酸水素リチウム、クエン酸リチウム、C
6〜C
24脂肪酸のリチウム塩、例えばマレイン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、及びこれらの混合物から選択される。
【0063】
加えて又は代わりに、1種以上のリチウムイオン源は一価、二価又は三価のリチウムイオン源として準備することができる。好ましくは、1種以上のリチウムイオン源は一価又は二価のリチウムイオン源として準備される。より好ましくは、1種以上のリチウムイオン源は二価のリチウムイオン源として準備される。
【0064】
炭酸リチウム及び/又はステアリン酸リチウム、より好ましくは炭酸リチウムが、1種以上のリチウム塩、即ち本発明の1種以上のリチウムイオン源として好ましいことが理解される。
【0065】
1種以上のリチウムイオン源は好ましくは1種以上の乾燥リチウムイオン源である。
【0066】
用語1種以上の「乾燥」リチウムイオン源とは、1種以上のリチウムイオン源の総重量を基準にして<15.0wt%、好ましくは≦5.0wt%、より好ましくは≦1.0wt%、更により好ましくは≦0.5wt%、最も好ましくは≦0.3wt%の全含水率を有するリチウムイオン源を指す。
【0067】
本発明の1つの実施形態において、前記1種以上のリチウムイオン源は、ステップb)において、最終の防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜60000ppmとなるような量で準備される。好ましくは、1種以上のリチウムイオン源は、ステップb)において、最終の防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜30000ppmとなるような量で準備される。より好ましくは、1種以上のリチウムイオン源は、ステップb)において、最終の防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜10000ppmとなるような量で準備される。
【0068】
上述の数字は、無機充填材料を含む製品に本方法によって添加されるリチウムイオンの量を反映しており、防腐性製品中に天然に存在することがあるリチウムイオンを含まないことに留意されたい。しかしながら、例えば炭酸カルシウムスラリー又はプラスチック製品中に天然に存在するリチウムイオンの量は通常無視することができ、それぞれの製品の無機充填材料含量を基準にしてずっと低い。
【0069】
規定された範囲内で使用するべき最適な量は、実験室規模の予備試験及び試験シリーズ並びに補足運用試験によって容易に決定することができる。
【0070】
〈ステップc)の特徴付け:1種以上のナトリウムイオン源の準備〉
本発明の方法のステップc)によると、1種以上のナトリウムイオン源を準備する。
【0071】
本発明の1つの実施形態において、1種以上のナトリウムイオン源は1種のナトリウムイオン源を含み、好ましくは1種からなる。或いは、1種以上のナトリウムイオン源は2種以上のナトリウムイオン源を含み、好ましくは2種以上からなる。例えば、1種以上のナトリウムイオン源は2種又は3種のナトリウムイオン源を含み、好ましくは2種又は3種からなる。好ましくは、1種以上のナトリウムイオン源は1種のナトリウムイオン源を含み、好ましくは1種からなる。
【0072】
本発明の意味で用語1種以上の「ナトリウムイオン源」は、ナトリウムイオン、即ちナトリウムカチオンを含む化合物を指す。好ましくは、用語「ナトリウムイオン源」は、例えば結晶性又は非晶質形態の塩の一部としてナトリウムを含む。
【0073】
本方法のステップc)で準備される1種以上のナトリウムイオン源は水に可溶性のナトリウムイオンを含む化合物であり得ることが理解される。従って、1種以上のナトリウムイオン源は好ましくは1種以上の「水溶性の」ナトリウムイオン源である。
【0074】
本発明の意味において用語「水溶性の」ナトリウムイオン源又は「水に可溶性」とは、ナトリウムイオン源の少なくとも一部が水と溶液を形成し得る、即ち少なくとも1種のナトリウムイオン源の粒子の少なくとも一部が溶媒に溶解する系をいう。
【0075】
本発明の1つの実施形態において、1種以上のナトリウムイオン源は好ましくは1種以上のナトリウム塩の形態で準備される。好ましくは、1種以上のナトリウム塩のアニオン性の基は炭酸イオン、塩素、クエン酸イオン、C
6〜C
24脂肪酸イオン、例えばマレイン酸イオン、ステアリン酸イオン及びこれらの混合物を含む群から選択される。特に、1種以上のナトリウム塩は炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、C
6〜C
24脂肪酸ナトリウム、例えばマレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、及びこれらの混合物から選択される。
【0076】
炭酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウム、より好ましくは炭酸ナトリウムが、1種以上のナトリウム塩、即ち本発明の1種以上のナトリウムイオン源として好ましいと理解される。
【0077】
加えて又は代わりに、1種以上のナトリウムイオン源は一価、二価又は三価のナトリウムイオン源として準備することができる。好ましくは、1種以上のナトリウムイオン源は一価又は二価のナトリウムイオン源として準備される。より好ましくは、1種以上のナトリウムイオン源は二価のナトリウムイオン源として準備される。
【0078】
本発明の1つの実施形態において、1種以上のナトリウムイオン源及び1種以上のリチウムイオン源は別々のイオン源として準備され、即ち1種以上のナトリウムイオン源及び1種以上のリチウムイオン源はナトリウム及びリチウムイオンを含む1つのイオン源の形態で準備されない。即ち、1種以上のナトリウムイオン源及び1種以上のリチウムイオン源は2種以上のイオン源、即ちナトリウムイオンを含む1種以上のイオン源及びリチウムイオンを含む1種以上のイオン源として準備される。
【0079】
1種以上のナトリウムイオン源は好ましくは1種以上の乾燥ナトリウムイオン源である。
【0080】
用語1種以上の「乾燥」ナトリウムイオン源は、1種以上のナトリウムイオン源の総重量を基準にして<15.0wt%、好ましくは≦5.0wt%、より好ましくは≦1.0wt%、更により好ましくは≦0.5wt%、最も好ましくは≦0.3wt%の全含水率を有するナトリウムイオン源をいう。
【0081】
本発明の1つの実施形態において、前記1種以上のナトリウムイオン源は、ステップc)において、最終の防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜20000ppmとなるような量で準備される。好ましくは、1種以上のナトリウムイオン源は、ステップc)において、最終の防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜10000ppmとなるような量で準備される。より好ましくは、1種以上のナトリウムイオン源は、ステップc)において、最終の防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜5000ppmとなるような量で準備される。
【0082】
上述の数字は、無機充填材料を含む製品に本方法によって添加されるナトリウムイオンの量を反映しており、製品中に天然に存在し得るナトリウムイオンを含まないことに留意されたい。
【0083】
規定された範囲内で使用するのに最適な量は実験室規模の予備試験及び試験シリーズ並びに補足の運用試験によって容易に決定することができる。
【0084】
〈ステップd)及びe)の特徴付け:少なくとも1種の無機充填材料を1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせる〉
本発明の方法のステップd)によると、ステップa)の少なくとも1種の無機充填材料をステップb)の1種以上のリチウムイオン源と組み合わせる。少なくとも1種の無機充填材料を、最終の防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜60000ppmとなるような量の1種以上のリチウムイオン源と組み合わせることは本方法の1つの要件である。
【0085】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1種の無機充填材料は、最終の防腐性製品のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜30000ppm、好ましくは20〜10000ppmとなるような量で1種以上のリチウムイオン源と組み合わせられる。
【0086】
本発明の方法のステップe)によると、ステップa)の少なくとも1種の無機充填材料をステップc)の1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせる。少なくとも1種の無機充填材料を、最終の防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜20000ppmとなるような量で1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせることは本方法の1つの要件である。
【0087】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1種の無機充填材料は、最終の防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜10000ppm、好ましくは20〜5000ppmとなるような量で1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせられる。
【0088】
ステップb)の前記1種以上のリチウムイオン源及びステップc)の前記1種以上のナトリウムイオン源は、任意の順序でステップa)の少なくとも1種の無機充填材料に添加することができることが理解される。即ち、リチウムイオン源及びナトリウムイオン源は、当業者に公知のやり方で、同時に又は別々に任意の順序で少なくとも1種の無機充填材料に添加することができる。
【0089】
本発明の1つの実施形態において、方法ステップd)及びe)は同時に行われる。例えば、方法ステップd)及びe)は、少なくとも1種の無機充填材料を、1種以上のリチウムイオン源と1種以上のナトリウムイオン源とからなるブレンドと組み合わせるようにして行われる。即ち、ステップb)の前記1種以上のリチウムイオン源及びステップc)の前記1種以上のナトリウムイオン源は、ステップa)の前記少なくとも1種の無機充填材料に添加する前に予め混合することができる。
【0090】
代わりの実施形態において、ステップb)の前記1種以上のリチウムイオン源及びステップc)の前記1種以上のナトリウムイオン源は別々に添加される。例えば、ステップb)の1種以上のリチウムイオン源は、ステップc)の1種以上のナトリウムイオン源の前にステップa)の少なくとも1種の乾燥無機充填材料に添加することができる。或いは、ステップb)の1種以上のリチウムイオン源は、ステップc)の1種以上のナトリウムイオン源の後にステップa)の少なくとも1種の乾燥無機充填材料に添加することができる。
【0091】
ステップb)の1種以上の乾燥リチウムイオン源及びステップc)の1種以上の乾燥ナトリウムイオン源は、混合しながらステップa)の少なくとも1種の無機充填材料に添加するのが好ましい。
【0092】
方法ステップd)及びe)は一回以上繰り返すことができることが理解される。
【0093】
最終の防腐性製品に防腐効果を得るために、ナトリウムイオン及びリチウムイオンを特定のモル比で準備することは本発明の1つの要件である。従って、防腐性製品中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1〜1:10であることが必要である。例えば、防腐性製品中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1.1〜1:10、好ましくは1:1.5〜1:10、最も好ましくは1:2〜1:8である。
【0094】
更に、本方法によって得られる防腐性製品は防腐性製品の総重量を基準にして<15.0wt%の含水率を有することが理解される。例えば、防腐性製品の含水率は防腐性製品の総重量を基準にして≦5.0wt%、好ましくは≦1.0wt%、より好ましくは≦0.2wt%、最も好ましくは0.03〜0.15wt%である。
【0095】
1つの実施形態において、ステップd)及び/又はe)の後の少なくとも1種の無機充填材料は、乾式レーザー回折法に従って、好ましくはMalvern Instruments Ltd.、United Kingdom製のAero S乾燥粉末分散機を含むMastersizer 3000を用いて測定して0.5〜25.0μm、好ましくは0.7〜5.0μm、より好ましくは1.0〜4.0μm、最も好ましくは1.5〜3.5μmの体積中央直径d
50値を有する。
【0096】
〈追加の方法ステップ〉
1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源に加えて、慣用の殺生物剤をステップa)の少なくとも1種の無機充填材料に更に加えてもよい。しかしながら、より好ましい実施形態において、本発明の方法では、1種以上のリチウムイオン源を1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせることにより形成される防腐効果のほかに、いかなる殺生物剤も使用しない。
【0097】
従って、1種以上のリチウムイオン源を1種以上のリチウムイオン源と組み合わせることによって形成される防腐効果に加えて、抗菌活性を有する防腐性製品には、更なる殺生物剤を使用しないことが理解される。
【0098】
慣用の更なる殺生物剤を使用するより好ましくない実施形態において、前記更なる殺生物剤は殺菌剤であるのが好ましく、その場合1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源より前に前記殺菌剤を加えるのが最も好ましい。前記殺菌剤は更に、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の添加後に調合してもよい。
【0099】
更なる殺生物剤は好ましくは、フェノール類、ハロゲン化フェノール、ハロゲン含有化合物、ハロゲン放出性化合物、イソチアゾリノン類、アルデヒド含有化合物、アルデヒド放出性化合物、グアニジン類、スルホン類、チオシアネート類、ピリチオン類、抗生物質、例えばβ−ラクタム系抗生物質、第四級アンモニウム塩、過酸化物、過塩素酸塩、アミド、アミン、重金属、殺生物性酵素、殺生物性ポリペプチド、アゾール類、カルバメート類、グリホセート類、スルホンアミド類及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0100】
フェノール殺生物剤は好ましくは2−フェニルフェノール(OPP)(CAS NO 90−43−7)及び/又はナトリウム塩(CAS NO 132−27−4)又はカリウム塩(CAS NO 13707−65−8)のようなアルカリ金属塩の形態の2−フェニルフェノール(OPP)である。
【0101】
本発明のハロゲン化フェノール系殺生物剤は好ましくは4−クロロ−3−メチルフェノール(CAS NO 59−50−7)及び/又は4−クロロ−2−メチルフェノール(CAS NO 1570−64−5)である。
【0102】
ハロゲン含有又はハロゲン放出性化合物である殺生物剤は好ましくはブロノポール(CAS NO 52−51−7)、ブロニドックス(CAS NO 30007−47−7)、2,2−ジブロモ−3−ニトリルプロピオンアミド(DBNPA)(CAS NO 10222−01−2)、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン(CAS NO 35691−65−7)、モノクロロアミン(CAS NO 10599−90−3)、臭化アンモニウム(CAS NO 12124−97−9)、次亜塩素酸カルシウム(CAS NO 7778−54−3)、ヨウ素(CAS NO 7553−56−2)、三ヨウ化物(CAS NO 14900−04−0)、ヨウ素酸カリウム(CAS NO 7758−05−6)及びこれらの混合物から選択される。
【0103】
本発明に従って、「ハロゲン含有殺生物剤」とは、1以上のハロゲン基を有する殺生物剤をいう。本発明に従って、「ハロゲン放出性殺生物剤」とは、ハロゲン基を放出又は移動することができる化合物をいう。
【0104】
イソチアゾリノン殺生物剤は好ましくは、イソチアゾリノン(IT)(CAS NO 1003−07−2)、ベンゾイソチアゾリノン(BIT)(CAS NO 2634−33−5)、5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(CMIT)(CAS NO 26172−55−4)、2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(MIT)(CAS NO 2682−20−4)、オクチルイソチアゾリノン(OIT)(CAS NO 26530−20−1)、ジクロロオクチルイソチアゾリノン(DOIT)(CAS NO 64359−81−5)及びこれらの混合物を含む群から選択される。例えば、イソチアゾリノン殺生物剤CMIT/MIT(CAS NO 55965−84−9)は5−クロロ−2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(CMIT)及び2−メチル−2H−イソチアゾリン−3−オン(MIT)の重量比3:1の混合物である。
【0105】
アルデヒド含有化合物は好ましくは、ホルムアルデヒド(CAS NO 50−00−0)、アセトアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド(CAS NO 111−30−8)、2−プロペナール、フタルジアルデヒド及びこれらの混合物を含む群から選択され、好ましくはホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド又はこれらの混合物である。
【0106】
本発明に従って、「アルデヒド含有殺生物剤」とは、1以上のアルデヒド基を有する殺生物剤をいう。
【0107】
アルデヒド放出性殺生物剤は好ましくは、ホルムアルデヒド放出性殺生物剤、アセトアルデヒド放出性殺生物剤、スクシンアルデヒド放出性殺生物剤、2−プロペナール放出性殺生物剤及びこれらの混合物を含む群から選択され、好ましくはホルムアルデヒド放出性殺生物剤から選択される。ホルムアルデヒド放出性殺生物剤は好ましくは、ベンジルアルコールモノ(ポリ)−ヘミホルマール(CAS NO 14548−60−8)、テトラメチロールアセチレン二尿素(CAS NO 5395−50−6)、チアジアジンチオン−テトラヒドロジメチル(DAZOMET)(CAS NO 533−74−4)、(エチレンジオキシ)ジメタノール(EDDM)(CAS NO 3586−55−8)、2−クロロ−N−(ヒドロキシメチル)アセトアミド(CAS NO 2832−19−1)、ジメチルオキサゾリジン(DMO)(CAS NO 51200−87−4)、ヘキサメチレンテトラミン(CAS NO 100−97−0)、ビス[テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム]硫酸塩(THPS)(CAS NO 55566−30−8)、1−(cis−3−クロロアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロリド(CAS NO 51229−78−8)、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(ヒドロキシエチル)−s−トリアジン(CAS NO 4719−04−4)及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0108】
本発明に従って、「アルデヒド放出性殺生物剤」とは、モノ、ジ、及び/又はトリアルデヒドを放出することができる化合物をいう。
【0109】
グアニジン殺生物剤は好ましくは、グアニジンドデシルモノクロリド(CAS NO 13590−97−1)及び/又はポリエトキシエトキシエチルグアニジニウムヘキサクロリド(CAS NO 374572−91−5)から選択される。スルホン殺生物剤は好ましくは、ヘキサクロロジメチルスルホン(CAS NO 3064−70−8)及び/又は4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(CAS NO 80−08−0)である。チオシアネート殺生物剤は好ましくはメチレンビス(チオシアネート)(CAS NO 6317−18−6)及び/又は(ベンゾチアゾール−2−イルチオ)メチルチオシアネート(CAS NO 21564−17−0)である。抗生物質である殺生物剤は好ましくは、β−ラクタム抗生物質、例えばペニシリンG(CAS NO 69−57−8)及び/又はアンピシリン(CAS NO 69−53−4)及び/又はビアペネム(CAS NO 120410−24−4)及び/又はセフィキシム(CAS NO 79350−37−1)から選択される。アミド殺生物剤は好ましくは2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)(CAS NO 10222−01−2)である。アゾール殺生物剤は好ましくはクリンバゾール(CAS NO 38083−17−9)、ミコナゾール(CAS NO 22916−47−8)、クロトリマゾール(CAS NO 23593−75−1)、及びミコナゾール硝酸塩(CAS NO 22832−87−7)のような塩の形態の殺生物剤を含むこれらの混合物から選択することができる。カルバメート殺生物剤は好ましくは、ヨードプロピニルブチルカルバメート(CAS NO 55406−53−6)、アルジカルブ(CAS NO 116−06−3)、カルボフラン(CAS NO 1563−66−2)及びこれらの混合物から選択することができる。グリホセート殺生物剤は好ましくは、N−(ホスホノメチル)グリシン(CAS NO 1071−83−6)及び/又はアンモニウム塩又はイソプロピルアンモニウム塩のような塩の形態のN−(ホスホノメチル)グリシン(CAS NO 40465−66−5及びCAS NO 38641−94−0)から選択される。
【0110】
ピリチオン殺生物剤は好ましくはナトリウムピリチオン(CAS NO 3811−73−2)及び/又は亜鉛ピリチオン(CAS NO 13463−41−7)である。
【0111】
更なる殺生物剤は、好ましくは、第四級アンモニウム塩、過酸化物、過塩素酸塩、トリブチルスズ、重金属、殺生物性酵素、殺生物性ポリペプチド、スルホンアミド類及びこれらの混合物から選択することもできる。
【0112】
本発明の1つの実施形態において、本方法は更に、方法ステップd)及びe)の実施中及び/又は方法ステップd)及びe)の後に得られたステップa)の少なくとも1種の無機充填材料、ステップb)の1種以上のリチウムイオン源及びステップc)の1種以上のナトリウムイオン源の混合物を乾式粉砕するステップf)を含む。
【0113】
例えば、本方法は更に、方法ステップd)及びe)の実施中及び方法ステップd)及びe)の後に得られた、ステップa)の少なくとも1種の無機充填材料、ステップb)の1種以上のリチウムイオン源及びステップc)の1種以上のナトリウムイオン源の混合物を乾式粉砕するステップf)を含む。或いは、本方法は更に、方法ステップd)及びe)の実施中又は方法ステップd)及びe)の後に得られた、ステップa)の少なくとも1種の無機充填材料、ステップb)の1種以上のリチウムイオン源及びステップc)の1種以上のナトリウムイオン源の混合物を乾式粉砕するステップf)を含む。好ましくは、本方法は更に、方法ステップd)及びe)の後に得られたステップa)の少なくとも1種の無機充填材料、ステップb)の1種以上のリチウムイオン源及びステップc)の1種以上のナトリウムイオン源の混合物を乾式粉砕するステップf)を含む。
【0114】
本発明の意味で用語「乾式粉砕された」又は「乾式粉砕する」とは、ミルを用いた(例えば、ボールミル、ピンミル、ロッドミル及び/又はジェットプレートミルを用いた)固体の材料の粉砕で、粉砕される材料がその材料の総重量を基準にして<15.0wt%、好ましくは≦5.0wt%の全含水率を有する粉砕をいう。
【0115】
本発明の目的には、当技術分野で知られているいかなる適切なミルも使用され得る。しかしながら、前記少なくとも1つの粉砕装置は好ましくはボールミルである。乾式粉砕は、少なくとも1つの粉砕装置、好ましくは1つの粉砕装置を用いて行われ、即ち、例えばボールミル、半自生粉砕ミル、ピンミル又は自生粉砕ミルから選択され得る一連の粉砕装置を使用することも可能であることが理解される。
【0116】
粉砕される少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物中に存在する水の量は、前記混合物の総重量を基準とする全含水率によって表わされ得る。通例、乾式粉砕プロセスは前記混合物の総重量を基準にして<15.0wt%の全水分を有する混合物を用いて行われる。
【0117】
1つの実施形態によると、乾式粉砕の間の前記混合物中の全含水率は前記混合物の総重量を基準にして≦5.0wt%、好ましくは≦1.0wt%、より好ましくは≦0.2wt%である。
【0118】
もう1つ別の実施形態によると、乾式粉砕の間の前記混合物中の全含水率は前記混合物の総重量を基準にして≦5.0wt%、好ましくは≦1.0wt%、より好ましくは≦0.2wt%、最も好ましくは≦0.15wt%であり、この乾式粉砕の間の混合物中の全含水率は好ましくは前記混合物の総重量を基準にして0.03wt%の下限値を有する。
【0119】
乾式粉砕は広い温度範囲で行うことができる。本発明の目的から、20℃〜200℃の範囲の温度が適切であり、より好ましくは20℃〜150℃、最も好ましくは20℃〜80℃を乾式粉砕の間使用することができる。
【0120】
少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物の乾式粉砕は少なくとも1つの粉砕装置で行われ、乾式粉砕された材料が得られる。
【0121】
1つの実施形態において、乾式粉砕ステップf)の後に得られる乾式粉砕された材料は、乾式レーザー回折法に従って、好ましくはMalvern Instruments Ltd.、United Kingdom製のAero S乾燥粉末分散機を含むMastersizer 3000を用いて測定して0.1〜10.0μm、好ましくは0.2〜5.0μm、より好ましくは0.3〜3.0μm、最も好ましくは0.5〜3.0μmの範囲の体積中央粒子d
50を有する。
【0122】
加えて、又は代わりに、乾式粉砕ステップf)の後に得られる乾式粉砕された材料は、乾式レーザー回折法に従って、好ましくはMalvern Instruments Ltd.、United Kingdom製のAero S乾燥粉末分散機を含むMastersizer 3000を用いて測定して、粒子の80.0vol%〜95.0vol%が通常11.0μm未満、50.0〜90.0vol%が5.0μm未満、40.0〜90.0vol%が3.0μm未満のesdを有するような粒度分布を有する。1つの実施形態において、乾式レーザー回折法に従って、好ましくはMalvern Instruments Ltd.、United Kingdom製のAero S乾燥粉末分散機を含むMastersizer 3000を用いて測定して、乾式粉砕ステップf)の後に得られる乾式粉砕された材料の粒子の80.0〜90.0vol%が11.0μm未満、50.0〜70.0vol%が5.0μm未満、40.0〜50.0vol%が3.0μm未満の粒子esdを有する。
【0123】
加えて、又は代わりに、本方法は更に、ステップd)及びe)の後に得られた少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物を水及び/又は少なくとも1種の分散剤と接触させるステップf)を含む。
【0124】
本発明によると適切な分散剤は例えばポリ(アクリル酸)及び/又はポリ(メタクリル酸)の塩である。
【0125】
加えて、又は代わりに、ステップd)及びe)の後に得られた少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物はまた、無機充填材料を含む水性懸濁液を得るために、水と接触させてもよい。
【0126】
得られる水性懸濁液の固形分は85.0wt%以下であることができることが了解される。例えば、水性懸濁液の固形分は水性懸濁液の総重量を基準にして10.0〜82.0wt%、より好ましくは20.0〜80.0wt%である。
【0127】
ステップd)及びe)の後に少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物を水と接触させる場合、前記接触は当技術分野で公知の方法により、例えば、水不溶性の固体、好ましくは少なくとも1種の無機充填材料を、適当であれば、少なくとも1種の分散剤及び、適当であれば更なる添加剤を添加して、水中に分散、懸濁又はスラリー化させることによって行うことができる。
【0128】
ステップd)及びe)の後に得られた少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物を水と接触させることによって得られた水性懸濁液は、更に、塗料又はコーティング製剤、スラリー、化粧品製剤、クリーム、ゲル、殺菌性壁用石膏製剤などのような水性の無機充填材料を含む調製物に通例見られる添加剤と接触させてもよいことが理解される。
【0129】
或いは、本方法は更に、ステップd)及びe)の後に得られた少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物、又は場合により前記混合物を乾式粉砕した後に得られた混合物を、サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂を含む有機ポリマー組成物と接触させ、得られた組成物が防腐性ポリマー製品に転化される条件に付すというステップf)を含む。
【0130】
本発明の意味で用語「有機」ポリマー樹脂とは、炭素を含むポリマー樹脂をいう。
【0131】
サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂は、好ましくは、ハロゲン化ポリマー樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂のようなポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、バイオポリマー、コポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリラクチド、アクリロニトリルブタジエンスチレン、合成ゴム、天然ゴム及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0132】
例えば、サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂は、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル、天然ゴム、合成ゴム及びこれらの混合物である。
【0133】
ステップd)及びe)の後に得られた少なくとも1種の乾燥無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物、又は場合により前記混合物を乾式粉砕した後に得られた混合物と、サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂を含む有機ポリマー組成物とは、当業者に知られている任意の慣用手段によって接触させることができる。
【0134】
ステップd)及びe)の後に得られた少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源の混合物をサーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂を含む有機ポリマー組成物と接触させるステップは、好ましくは混合条件下で行われる。熟練者は、これらの混合条件及びバンバリーミキサー、二軸式ミキサー、コ−ニーダー又はこの操作に適した他のあらゆるデバイスのような混合デバイスの設定を必要に応じて適合させる。しかしながら、ここに挙げたデバイスは限定するものと考えるべきできない。
【0135】
得られた組成物は、当業者に公知のポリマー製品を製造するのに適したいずれかの方法によって防腐性ポリマー製品に転化することができる。
【0136】
サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂を含む有機ポリマー組成物は、更に、かかる組成物又はフィルム、プラスター、オムツ、ティッシュペーパー、塗料、コーティング、プラスチック製品又は水性及び/又は有機の流体用の吸着剤のような製造されるべき対応のポリマー製品に通例見られる添加剤を含んでいてもよいことが理解される。
【0137】
当技術分野では、かかるポリマー製品の製造のための多くの方法が知られている。これらの方法には、限定されることはないが、押出法、共押出法、押出コーティング法、射出成形法、ブロー成形法、混合法、カレンダー法、二軸押出法及び熱成形法がある。
【0138】
〈防腐性製品〉
本発明のもう1つ別の目的は本発明の方法により得ることができる抗菌活性を有する防腐性製品にある。
【0139】
本発明によると、防腐性製品は、少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種のカビの株及び/又は少なくとも1種の酵母の株に対して抗菌活性を有するのが殊に好ましい。これは、少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種の酵母の株及び/又は少なくとも1種のカビの株の増殖若しくは蓄積を防止するか、又は防腐性製品内若しくは上のcfu値(コロニー形成単位)を低下させる。
【0140】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1種の細菌の株はグラム陰性細菌、グラム陽性細菌及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0141】
グラム陽性及びグラム陰性細菌は当技術分野で周知であることが理解され、例えばBiology of Microorganisms、“Brock”、Madigan MT、Martinko JM、Parker J、1997、8th Editionに記載されている。特に、かかる細菌は、各々が多くの細菌の科を含む細菌の進化上非常に遠く離れた綱を表す。グラム陰性細菌は2つの膜(外膜及び内膜)により特徴付けられ、一方グラム陽性細菌は1つの膜を含有するのみである。通常、前者は多量のリポ多糖及び薄い単層のペプチドグリカンを含有し、後者は事実上リポ多糖をもたず、多層の厚いペプチドグリカンを有し、コートはタイコ酸を含有している。これらの差のため、グラム陽性及びグラム陰性の細菌は環境の影響に対して異なって反応する。グラム陽性及びグラム陰性細菌を識別する方法には、DNA配列決定技術又は生化学的特性決定による種同定がある。或いは、膜の数は薄片透過電子顕微鏡法によって直接決定することができる。
【0142】
本発明の意味で用語「少なくとも1種の細菌の株」は、その細菌株が細菌の1以上の株を含み、好ましくは1以上の株からなることを意味する。
【0143】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1種の細菌の株は細菌の1種の株を含み、好ましくは1種の株からなる。或いは、少なくとも1種の細菌の株は細菌の2種以上の株を含み、好ましくは2種以上の株からなる。例えば、少なくとも1種の細菌の株は細菌の2種又は3種の株を含み、好ましくは2種又は3種の株からなる。好ましくは、少なくとも1種の細菌の株は細菌の2種以上の株を含み、好ましくは2種以上の株からなる。
【0144】
例えば、少なくとも1種の細菌の株は、エシェリヒア属の種、スタフィロコッカス属の種、テルムス属の種、プロピオニバクテリウム属の種、ロドコッカス属の種、パンニノバクター属の種、カウロバクター属の種、ブレブンディモナス属の種、アスチッカカウリス属の種、スフィンゴモナス属の種、リゾビウム属の種、エンシフェル属の種、ブラディリゾビウム属の種、テピジモナス属の種、テピジセラ属の種、アクアバクテリウム属の種、ペロモナス属の種、アルカリゲネス属の種、アクロモバクター属の種、ラルストニア属の種、リンノバクター属の種、マシリア属の種、ヒドロゲノファガ属の種、アシドボラクス属の種、クルビバクター属の種、デルフチア属の種、ロドフェラックス属の種、アリシェワネラ属の種、ステノトロフォモナス属の種、ドクドネラ属の種、メチロシヌス属の種、ヒフォミクロビウム属の種、メチロスルホモナス属の種、メチロバクテリア属の種、シュードモナス属の種、エンテロコッカス属の種、ミロイデス属の種、ブルコールデリア属の種、アルカリゲネス属の種及びこれらの混合物を含む、好ましくはからなる群から選択される。
【0145】
好ましくは、少なくとも1種の細菌の株は、エシェリヒア属の種、例えば大腸菌、スタフィロコッカス属の種、例えば黄色ブドウ球菌、シュードモナス属の種、例えばシュードモナス・プチダ、シュードモナス・メンドシナ、シュードモナス・オレオボランス、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナス・アルカリゲネス、緑膿菌、シュードモナス・オリジハビタンス、シュードモナス・シュードアルカリゲネス、シュードモナス・エントモフィラ、シュードモナス・シリンガエ、メチロバクテリア属の種、例えばメチロバクテリウム・エキストロクエンス、メチロバクテリウム・ラジオトレランツ、メチロバクテリウム・ジクロロメタニクム、メチロバクテリウム・オルガノフィル、ヒフォミクロビウム属の種、例えばハイフォミクロビウム・ザバルヂニ、エンテロコッカス・フェカリス、ミロイデス・オドラツス、ブルクホルデリア・セパシア、アルカリゲネス・フェカリス及びスフィンゴモナス・パウシモビリス並びにこれらの混合物を含む、好ましくはからなる群から選択される。
【0146】
加えて、又は代わりに、少なくとも1種の酵母の株は、サッカロミケス亜門、タフリナ菌亜門、シゾサッカロミケス綱、担子菌門、ハラタケ亜門、シロキクラゲ綱、サビキン亜門、ミクロボトリウム菌綱、カンジダ属の種、例えばカンジダ・アルビカンス、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・ステラトイデア、カンジダ・グラブラータ、カンジダ・クルセイ、カンジダ・ギリエルモンジィ、カンジダ・ビスワナチイ、レアカンジダ及びこれらの混合物、ヤロウィア属の種、例えばヤロウィア・リポリティカ、クリプトコッカス属の種、例えばクリプトコッカス・ガッティ及びクリプトコッカス・ネオフォルマンス、チゴサッカロミセス属の種、ロドトルラ属の種、例えばロドトルラ・ムチラギノーザ、並びにこれらの混合物を含む群から選択される。
【0147】
本発明の意味で用語「少なくとも1種の酵母の株」は、酵母の株が酵母の1種以上の株を含み、好ましくは1種以上の株からなることを意味する。
【0148】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1種の酵母の株は酵母の1種の株を含み、好ましくは1種の株からなる。或いは、少なくとも1種の酵母の株は酵母の2種以上の株を含み、好ましくは2種以上の株からなる。例えば、少なくとも1種の酵母の株は酵母の2種又は3種の株を含み、好ましくは2種又は3種の株からなる。好ましくは、少なくとも1種の酵母の株は酵母の2種以上の株を含み、好ましくは2種以上の株からなる。
【0149】
加えて、又は代わりに、少なくとも1種のカビの株は、アクレモニウム属の種、アルテルナリア属の種、アスペルギルス属の種、クラドスポリウム属の種、フザリウム属の種、ムコル属の種、ペニシリウム属の種、リゾプス属の種、スタキボトリス属の種、トリコデルマ属の種、デマチアセアエ属の種、ポーマ属の種、ユーロチウム属の種、スコプュラリオプシス属の種、アウレオバシジウム属の種、モニリア属の種、ボツリチス属の種、ステムフィリウム属の種、カエトミウム属の種、ミセリア属の種、ニューロスポラ属の種、ウロクラジウム属の種、パエシロミセス属の種、ウォレミア属の種、クルブラリア属の種、及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0150】
本発明の意味において用語「少なくとも1種のカビの株」は、カビの株がカビの1種以上の株を含み、好ましくは1種以上の株からなることを意味する。
【0151】
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1種のカビの株はカビの1つの株を含み、好ましくは1つの株からなる。或いは、少なくとも1種のカビの株はカビの2種以上の株を含み、好ましくは2種以上の株からなる。例えば、少なくとも1種のカビの株はカビの2種又は3種の株を含み、好ましくは2種又は3種の株からなる。好ましくは、少なくとも1種のカビの株はカビの2種以上の株を含み、好ましくは2種以上の株からなる。
【0152】
防腐性製品は、無機充填材料を含む製品中又は上に存在するとき少なくとも1種の細菌の株及び少なくとも1種の酵母の株及び少なくとも1種のカビの株に対して抗菌活性を有するのが好ましい。
【0153】
或いは、防腐性製品は、無機充填材料を含む製品中又は上に存在するとき少なくとも1種の細菌の株又は少なくとも1種の酵母の株又は少なくとも1種のカビの株に対して抗菌活性を有する。
【0154】
或いは、防腐性製品は、防腐性製品中又は上に存在するとき少なくとも1種の細菌の株及び少なくとも1種の酵母の株又は少なくとも1種のカビの株に対して抗菌活性を有するか、又は、防腐性製品は、防腐性製品中又は上に存在するとき少なくとも1種の細菌の株又は少なくとも1種の酵母の株及び少なくとも1種のカビの株に対して抗菌活性を有する。
【0155】
好ましくは、防腐性製品は、防腐性製品中又は上に存在するとき少なくとも1種の細菌の株又は少なくとも1種の酵母の株又は少なくとも1種のカビの株に対して抗菌活性を有する。より好ましくは、防腐性製品は、防腐性製品中又は上に存在するとき少なくとも1種の細菌の株又は少なくとも1種の酵母の株に対して抗菌活性を有する。最も好ましくは、防腐性製品は、防腐性製品中又は上に存在するとき少なくとも1種の細菌の株に対して抗菌活性を有する。
【0156】
抗菌活性を有する防腐性製品は、最終の防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜60000ppm、好ましくは20〜30000ppm、最も好ましくは20〜10000ppmとなるような量の1種以上のリチウムイオン源、及び最終の防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜20000ppm、好ましくは20〜10000ppm、最も好ましくは20〜5000ppmとなるような量の1種以上のナトリウムイオン源を含むと理解される。
【0157】
好ましくは、抗菌活性とは、防腐性製品が、少なくとも1種の細菌の株及び/又は少なくとも1種のカビの株及び/又は少なくとも1種の酵母の株で汚染されたとき10
4cfu/ml未満、より好ましくは10
3cfu/ml未満、更により好ましくは10
2cfu/ml未満のcfu/ml値を維持することを意味する。
【0158】
本発明の方法によって得ることができる抗菌活性を有する前記最終の防腐性製品は、塗料又はコーティング製剤、非水性スラリー、化粧品製剤、クリーム、ゲル、殺菌性壁用石膏製剤、フィルム、プラスター、オムツ、ティッシュペーパー、プラスチック製品又は水性及び/又は有機の流体、例えばヒト及び/又は動物の液体、例えば尿、血液、血清、汗、唾液、間質液、脳脊髄液、乳、精液、膣液など、又は有機の液体、例えば野菜ジュース及び果汁の吸着剤であり得る。
【0159】
上記に鑑みて、防腐性製品は防腐性無機粉末組成物及び/又は防腐性ポリマー製品であることができる。
【0160】
従って、本発明は更なる側面において防腐性無機粉末組成物に関する。
【0161】
防腐性無機粉末組成物は、
a)少なくとも1種の無機充填材料、
b)防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして20〜20000ppmの1種以上のナトリウムイオン源、及び
c)防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして20〜60000ppmの1種以上のリチウムイオン源
を含んでおり、
防腐性無機粉末組成物中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1〜1:10であり、防腐性無機粉末組成物の含水率は防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして<15.0wt%である。
【0162】
少なくとも1種の無機充填材料、1種以上のナトリウムイオン源、1種以上のリチウムイオン源及びそれらの好ましい実施形態の定義に関しては、本発明の方法の技術的詳細について上に提供された説明を参照されたい。
【0163】
防腐性無機粉末組成物は、最終の防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして20〜60000ppm、好ましくは20〜30000ppm、最も好ましくは20〜10000ppmとなるような量の1種以上のリチウムイオン源、及び最終の防腐性無機粉末組成物中のナトリウムイオンの総量が防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして20〜20000ppm、好ましくは20〜10000ppm、最も好ましくは20〜5000ppmとなるような量の1種以上のナトリウムイオン源を含むことが認識される。
【0164】
防腐性無機粉末組成物中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)が1:1〜1:10であることは本防腐性無機粉末組成物の1つの特定の要件である。例えば、防腐性無機粉末組成物中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1.1〜1:10、好ましくは1:1.5〜1:10、最も好ましくは1:2〜1:8である。
【0165】
更に、防腐性無機粉末組成物は防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして<15.0wt%の含水率を有することが認識される。例えば、防腐性無機粉末組成物の含水率は防腐性無機粉末組成物の総重量を基準にして≦5.0wt%、好ましくは≦1.0wt%、より好ましくは≦0.2wt%、最も好ましくは0.03〜0.15wt%である。
【0166】
1つの実施形態において、防腐性無機粉末組成物中の少なくとも1種の無機充填材料は、乾式レーザー回折法に従って、好ましくはMalvern Instruments Ltd.、United Kingdom製のAero S乾燥粉末分散機を含むMastersizer 3000を用いて測定して0.5〜25.0μm、好ましくは0.7〜5.0μm、より好ましくは1.0〜4.0μm、最も好ましくは1.5〜3.5μmの体積中央直径d
50値を有する。
【0167】
加えて、又は代わりに、防腐性無機粉末組成物中の1種以上のナトリウムイオン及び/又はリチウムイオン源は対応する炭酸塩である。好ましくは、防腐性無機粉末組成物中の1種以上のナトリウムイオン及びリチウムイオン源は対応する炭酸塩である。或いは、防腐性無機粉末組成物中の1種以上のナトリウムイオン又はリチウムイオン源は対応する炭酸塩である。最も好ましくは、防腐性無機粉末組成物中の1種以上のナトリウムイオン及びリチウムイオン源は対応する炭酸塩である。
【0168】
本発明の1つの実施形態において、防腐性無機粉末組成物は疎水性の表面特性を有する。
【0169】
防腐性無機粉末組成物の「疎水性の表面特性」は、前記無機粉末組成物の大部分の沈殿に必要とされるメタノール−水混合物中の最小のメタノール/水比を決定することによって評価されることが認識され、ここで前記無機粉末組成物は家庭用ティーシーブを通過させることによって前記メタノール−水混合物の表面上に載せられる。
【0170】
本発明の防腐性無機粉末組成物は、10:1の水:メタノール比の体積に基づく溶液を用いて前記防腐性無機粉末組成物の大部分が沈殿しなければ疎水性の表面特性を有する。
【0171】
本発明のもう1つ別の側面は防腐性ポリマー製品に関する。
【0172】
防腐性ポリマー製品は、
a)サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂を含む有機ポリマー組成物、
b)防腐性ポリマー組成物の総重量を基準にして20〜20000ppmの1種以上のナトリウムイオン源、
c)防腐性ポリマー組成物の総重量を基準にして20〜60000ppmの1種以上のリチウムイオン源、並びに
d)場合により少なくとも1種の無機充填材料
を含み、
防腐性ポリマー製品中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1〜1:10であり、防腐性ポリマー製品の含水率は防腐性ポリマー製品の総重量を基準にして≦1.0wt%である。
【0173】
1つの実施形態において、防腐性ポリマー製品は、
a)サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂を含む有機ポリマー組成物、
b)防腐性ポリマー組成物の総重量を基準にして20〜20000ppmの1種以上のナトリウムイオン源、並びに
c)防腐性ポリマー組成物の総重量を基準にして20〜60000ppmの1種以上のリチウムイオン源
を含み、好ましくはからなり、
防腐性ポリマー製品中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1〜1:10であり、防腐性ポリマー製品の含水率は防腐性ポリマー製品の総重量を基準にして≦1.0wt%である。
【0174】
もう1つ別の実施形態において、防腐性ポリマー製品は、
a)サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂を含む有機ポリマー組成物、
b)防腐性ポリマー組成物の総重量を基準にして20〜20000ppmの1種以上のナトリウムイオン源、
c)防腐性ポリマー組成物の総重量を基準にして20〜60000ppmの1種以上のリチウムイオン源、並びに
d)少なくとも1種の無機充填材料
を含み、好ましくはからなり、
防腐性ポリマー製品中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1〜1:10であり、防腐性ポリマー製品の含水率は防腐性ポリマー製品の総重量を基準にして≦1.0wt%である。
【0175】
有機ポリマー組成物、1種以上のナトリウムイオン源、1種以上のリチウムイオン源、少なくとも1種の無機充填材料及びそれらの好ましい実施形態の定義に関しては、本発明の方法の技術的詳細について述べた際に上に提供された説明を参照されたい。
【0176】
サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂は、好ましくは、ハロゲン化ポリマー樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリカーボネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂のようなポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、バイオポリマー、コポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリラクチド、アクリロニトリルブタジエンスチレン、合成ゴム、天然ゴム及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0177】
例えば、サーモプラスト、デュロプラスト、エラストマー及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー樹脂は、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル、天然ゴム、合成ゴム及びこれらの混合物である。
【0178】
防腐性ポリマー製品は、最終の防腐性ポリマー製品中のリチウムイオンの総量が防腐性ポリマー製品の総重量を基準にして20〜60000ppm、好ましくは20〜30000ppm、最も好ましくは20〜10000ppmとなるような量の1種以上のリチウムイオン源、及び最終の防腐性ポリマー製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性ポリマー製品の総重量を基準にして20〜20000ppm、好ましくは20〜10000ppm、最も好ましくは20〜5000ppmとなるような量の1種以上のナトリウムイオン源を含むことが認識される。
【0179】
防腐性ポリマー製品中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1〜1:10であることが本防腐性ポリマー製品の1つの特定の要件である。例えば、防腐性ポリマー製品中のナトリウムイオン:リチウムイオンのモル比(Na:Li)は1:1.1〜1:10、好ましくは1:1.5〜1:10、最も好ましくは1:2〜1:8である。
【0180】
更に、防腐性ポリマー製品は防腐性ポリマー製品の総重量を基準にして<1.0wt%の含水率を有することが認識される。例えば、防腐性ポリマー製品の含水率は防腐性ポリマー製品の総重量を基準にして≦0.8wt%、好ましくは≦0.5wt%、より好ましくは≦0.2wt%、最も好ましくは0.03〜0.15wt%である。
【0181】
1つの実施形態において、防腐性ポリマー製品中の少なくとも1種の無機充填材料は、乾式レーザー回折法に従って、好ましくはMalvern Instruments Ltd.、United Kingdom製のAero S乾燥粉末分散機を含むMastersizer 3000を用いて測定して0.5〜25.0μm、好ましくは0.7〜5.0μm、より好ましくは1.0〜4.0μm、最も好ましくは1.5〜3.5μmの体積中央直径d
50値を有する。
【0182】
加えて、又は代わりに、防腐性ポリマー製品中の1種以上のナトリウムイオン及び/又はリチウムイオン源は対応する炭酸塩である。好ましくは、防腐性ポリマー製品中の1種以上のナトリウムイオン及びリチウムイオン源は対応する炭酸塩である。或いは、防腐性ポリマー製品中の1種以上のナトリウムイオン又はリチウムイオン源は対応する炭酸塩である。最も好ましくは、防腐性ポリマー製品中の1種以上のナトリウムイオン及びリチウムイオンは対応する炭酸塩である。
【0183】
防腐性ポリマー製品が少なくとも1種の充填材料を含むならば、少なくとも1種の無機充填材料は好ましくはナトリウムイオン及び/又はリチウムイオン源に対する担体である。即ち、1種以上のナトリウムイオン源、1種以上のリチウムイオン源及び少なくとも1種の無機充填材料は好ましくはブレンドとして防腐性ポリマー製品中に存在する。
【0184】
〈1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせた1種以上のリチウムイオン源の、防腐性製品の製造のための使用〉
本発明はまた、1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせた1種以上のリチウムイオン源の、微生物汚染に対して有効な防腐性製品の製造のための使用にも関する。
【0185】
最終の防腐性製品が、
a)防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜60000ppmとなるような量の1種以上のリチウムイオン源、及び
b)防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜20000ppmとなるような量の1種以上のナトリウムイオン源
を含むように、1種以上のリチウムイオン源を1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせて使用することが本使用の1つの要件である。
【0186】
好ましくは、防腐性製品は、最終の防腐性製品中のリチウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜30000ppm、最も好ましくは20〜10000ppmとなるような量の1種以上のリチウムイオン源、及び最終の防腐性製品中のナトリウムイオンの総量が防腐性製品の総重量を基準にして20〜10000ppm、最も好ましくは20〜5000ppmとなるような量の1種以上のナトリウムイオン源を含む。
【0187】
1つの実施形態において、1種以上のリチウムイオン源及び1種以上のナトリウムイオン源はブレンド内に使用される。
【0188】
本発明の1つの実施形態において、1種以上のリチウムイオン源を1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせることによって形成される防腐効果に加えていかなる更なる殺生物剤も防腐性製品中に使用しない。
【0189】
1種以上のリチウムイオン源、1種以上のナトリウムイオン源及び防腐性製品並びにそれらの好ましい実施形態の定義に関しては、本発明の方法及び防腐性製品の技術的詳細について述べたときに上で提供された説明を参照されたい。
【0190】
以下の実施例は本発明を更に例証するものであるが、本発明を例示された実施形態に制限する意味はない。以下の実施例は、本発明の防腐性製品に使用したときの1種以上のナトリウムイオン源と組み合わせた1種以上のリチウムイオン源の良好な防腐効果を示す。