(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405453
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】ボビンアセンブリ及びボビンアセンブリを生成する方法
(51)【国際特許分類】
H01F 27/32 20060101AFI20181004BHJP
H05G 1/08 20060101ALI20181004BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
H01F27/32 150
H05G1/08 T
H01F30/10 E
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-511669(P2017-511669)
(86)(22)【出願日】2015年9月1日
(65)【公表番号】特表2017-532773(P2017-532773A)
(43)【公表日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】EP2015069961
(87)【国際公開番号】WO2016034588
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2018年4月11日
(31)【優先権主張番号】14183204.8
(32)【優先日】2014年9月2日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】リュルケンス,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア トルモ,アルベルト
【審査官】
五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−17334(JP,A)
【文献】
特開平4−348507(JP,A)
【文献】
特開2001−267153(JP,A)
【文献】
実開昭52−82848(JP,U)
【文献】
特開2008−258239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/32
H01F 30/10
H05G 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の巻取スロットと、複数の分離スロットと、巻線とを含むボビンアセンブリであって、
− 前記複数の巻取スロットのそれぞれが、1つの層あたりひと巻きのみの複数の巻線の輪を含み、
− 前記複数の分離スロットのそれぞれが、単一の前記巻線の輪を含み、
前記分離スロットのそれぞれが、前記複数の巻取スロットのうち少なくとも1つの巻取スロットに隣接し、さらに、前記巻取スロットのそれぞれが、前記複数の分離スロットのうち少なくとも1つの分離スロットに隣接し、
前記複数の巻取スロットのうちそれぞれの巻取スロット、及び、前記複数の分離スロットのうちそれぞれの分離スロットが、ビルディングブロックによって形成される、ボビンアセンブリ。
【請求項2】
前記複数の巻取スロットのうちそれぞれの巻取スロット、及び、前記複数の分離スロットのうちそれぞれの分離スロットが、前記巻線として二次巻線を受けるように構成される、請求項1に記載のボビンアセンブリ。
【請求項3】
前記ビルディングブロックのうちそれぞれのビルディングブロックが、第1の連結モジュール及び第2の連結モジュールを含み、さらに、前記第1の連結モジュール及び前記第2の連結モジュールは、隣接するビルディングブロックと結合するように構成される、請求項1に記載のボビンアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の連結モジュールは内側のねじ山であり、さらに、前記第2の連結モジュールは外側のねじ山である、請求項3に記載のボビンアセンブリ。
【請求項5】
前記ビルディングブロックのうちそれぞれのビルディングブロックが、前記巻線を通過させるように構成された開口部を含む、請求項3乃至4のいずれか一項に記載のボビンアセンブリ。
【請求項6】
前記ビルディングブロックのうちそれぞれのビルディングブロックが、実質的に円板状である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のボビンアセンブリ。
【請求項7】
前記ビルディングブロックのうちそれぞれのビルディングブロックが、円板部分及び管部分を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のボビンアセンブリ。
【請求項8】
1kVまでの、好ましくは10kVまでの、特に好ましくは80kVまでの電圧で作動させられるように構成される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のボビンアセンブリ。
【請求項9】
一次巻線のボビンアセンブリをさらに含む、二次巻線のボビンアセンブリである請求項1乃至8のいずれか一項に記載のボビンアセンブリを含む変圧器であって、上昇巻数比が、1よりも大きい、好ましくは4よりも大きい、特に好ましくは、10よりも大きい、変圧器。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のボビンアセンブリを含む、少なくとも1つのコイルを含む誘導電気要素。
【請求項11】
請求項9に記載の変圧器を少なくとも1つ含む、又は、請求項10に記載の誘導電気要素を少なくとも1つ含む、医用イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルのためのボビンの分野に関する。特に、本発明は、ボビンアセンブリ、及び、ボビンアセンブリを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧発生のための変圧器は、変圧器の二次側のポートの末端間の電圧差を意味する数十キロボルトの範囲の電圧をもたらす。内部で、この電圧差は、二次巻線における巻き全てにわたって等しく分布されるため、電圧は、ワイヤに沿って累進的に蓄積される。典型的に、二次側のボビンは、例えば1mmの幅を有する、長くて薄い壁を有した多くのスロットを含む。
【0003】
特許文献1は、機械的に結合可能なボビンを有した誘導コイルを記載している。そこに記載されている誘導コイルは、ボビンの端面フランジのうちの1つから突き出た2つの軸上の突起を有する、及び、該フランジのうちもう一方の外側表面に形成された2つのくぼみを有するボビンの胴部の上に絶縁電線の主巻線を含む。
【0004】
特許文献2は、変圧器及びその巻線ユニットを記載している。そこに記載されている変圧器は、強磁性のコアユニット;強磁性のコアユニットと結合したボビン;一次巻線として、少なくとも巻取ユニット、及び、二次巻線として、少なくともプレート;を含む。また、巻取ユニットの一部が二次巻線として作用することができる。少なくとも巻取ユニット及び少なくともプレートは、千鳥状の様式で二者択一的に積み重ねられる。導線が、巻取ユニットの周りに巻き付けられる。
【0005】
特許文献3は、ボビン構造体及びボビン構造体を有する変圧器を記載している。そこに記載されているボビン構造体は、互いに接続された複数のモジュールのボビン部材を含む。各モジュールのボビン部材は、貫通チャンネル、貫通チャンネルの1つの末端に配置され且つ貫通チャンネルに対して垂直に置かれた第1のバッフル、及び、貫通チャンネルのもう一方の末端に配置され且つ第1のバッフルと向かい合って置かれた第2のバッフルを含む。
【0006】
特許文献4は、コイルによって巻かれる内側のボビンの外側の周囲表面を覆う外側のボビンの数、及び、外側のボビンの周りの他のコイルを巻くことにより出力端子の数を増やすことによって、1つの変圧器を用いて複数のランプを駆動させることができる変圧器を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US4 462 016 A1
【特許文献2】US2008/0284551 A1
【特許文献3】US2011/0115598 A1
【特許文献4】US2010/0214049 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コイルのためのボビンを改善する必要があり得る。これらの必要性は、独立請求項の発明特定事項によって応じられる。さらなる例証的な実施形態が、従属請求項及び以下の記載から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の
第1の態様は、複数の巻取スロットであり、それぞれが、1つの層あたりひと巻きの多数の巻線の輪を有した巻線を含む、巻取スロットと、複数の分離スロットであり、それぞれが、単一の巻線の輪を含む、分離スロットとを含むボビンアセンブリであって、分離スロットのそれぞれが、複数の巻取スロットのうち少なくとも1つに隣接し、さらに、巻取スロットのそれぞれが、複数の分離スロットのうち少なくとも1つに隣接している、ボビンアセンブリに関する。
【0010】
言い換えると、分離スロットは、通常、単一の巻線の輪を含んでもよい。
【0011】
本発明のさらなる第2の態様は、本発明の第1の態様による、又は、本発明の第1の態様のいかなる実行様式による少なくとも1つのボビンアセンブリを含む誘導電気要素に関する。
【0012】
本発明のさらなる第3の態様は、本発明の第2の態様による、又は、本発明の第2の態様のいかなる実行様式による少なくとも1つの誘導電気要素を含む医用イメージングシステムに関する。
【0013】
本発明のさらなる第4の態様は、ボビンアセンブリを生成する方法であって:第1の開口部を含む第1のビルディングブロックを提供し、さらに、第1の開口部を通して第1のビルディングブロック内にワイヤを導くステップ;第1の開口部よりも大きい第2の開口部を含む第2のビルディングブロックを提供し、さらに、第2の開口部を通して第2のビルディングブロック内にワイヤを導くステップ;並びに、第1及び第2のビルディングブロックを使用して、ボビンアセンブリを組み立てるステップであり、ボビンアセンブリは:複数の巻取スロットであり、それぞれが、1つの層あたりひと巻きの多数の巻線の輪を有した巻線を含む、巻取スロット;及び、複数の分離スロットであり、それぞれが、単一の巻線の輪を含む、分離スロット;を含む、ステップ;を含む方法に関する。
【0014】
本発明は、有利に、いかなる所与のスロットにおいても1つの層あたりひと巻きのみを有する巻線を提案している。それぞれの巻きは、そのすぐ隣において1つ又は2つのみの他の巻きを有することになる。
【0015】
本発明は、有利に、多数の狭いスロットを含む、二次巻線のためのボビンを提供する。本発明は、有利に、隣接する巻き間の電圧が最小の可能な値を有することになるということを可能にする。本発明は、有利に、静電容量が最小限にされ、さらに、フラッシュオーバーの危険性も最小限にされるということを可能にする。
【0016】
本発明は、有利に、減少した数の誤り及び偏差が巻き取り構成の製造の間に発生し得るということを可能にし、さらに、その間により大きな電圧を有した巻きを互いに隣に置くことはできない。
【0017】
本発明は、有利に、高周波数にて作動する高電圧変圧器は、認められたコアの誘導に順応するために多くの巻きを必要としないということを可能にし、いくつかの巻きのみある場合でさえも、層間の電圧は非常に高くなるということを意味している。
【0018】
本発明は、有利に、巻き取り工程が1つのスロットから次のスロットまで進む、すなわち、巻きですでに満たされたスロットには戻らない場合に、間違った巻き取りが巻き取り構成において発生し得ることはなく、さらに、その間により大きな電圧を有した巻きを互いに隣に置くことはできないということを定める。
【0019】
本発明によって使用される場合「隣接する(隣接している)」という用語は、例えば、第1のビルディングブロックが第2のビルディングブロックの隣に配置され、さらに、第1のビルディングブロックを、第2のビルディングブロックに結合することができる構成を意味してもよい。
【0020】
本発明の例証的な実施形態によると、複数の巻取スロットのうちそれぞれの巻取スロット、及び、複数の分離スロットのうちそれぞれの分離スロットが、巻線として二次巻線を受けるように構成される。
【0021】
これは、有利に、発生している電圧差を、隣接する巻線のワイヤ間の減少した電圧差に制限する。
【0022】
本発明の例証的な実施形態によると、複数の巻取スロットのうちそれぞれの巻取スロット、及び、複数の分離スロットのうちそれぞれの分離スロットは、ビルディングブロックによって形成される。これは、有利に、例えばシステムの要素を分離し且つ再度組み合わせることができる程の高度なモジュール性等、改善されたモジュールの構築を提供することを可能にする。
【0023】
本発明の例証的な実施形態によると、ビルディングブロックのうちそれぞれが、第1の連結モジュール及び第2の連結モジュールを含み、さらに、第1の連結モジュール及び第2の連結モジュールは、隣接するビルディングブロックと結合するように構成される。これは、有利に、ボビンアセンブリを作製するためのモジュールのアプローチを可能にしている。
【0024】
本発明の例証的な実施形態によると、第1の連結モジュールは内側のねじ山であり、さらに、第2の連結モジュールは外側のねじ山である。
【0025】
これは、有利に、機械的に安定した隣接するビルディングブロックの結合を可能にしている。
【0026】
本発明の例証的な実施形態によると、ビルディングブロックのうちそれぞれが、巻線を通過させるように構成された開口部を含む。これは、有利に、確実且つ安全な巻き取り工程を可能にしている。
【0027】
本発明の例証的な実施形態によると、ビルディングブロックのうちそれぞれが、実質的に円板状である。これは、有利に、ボビンアセンブリから作製されるコイルの効率を高めることを可能にしている。
【0028】
本発明によって使用される場合「実質的に円板状」という用語は、半径が厚さよりも、例えば5倍等、何倍も大きい、例えば回転体又は円板、円筒等、円形を有した物体を意味してもよい。
【0029】
本発明の例証的な実施形態によると、ビルディングブロックのうちそれぞれが、円板部分及び管部分を含む。これは、有利に、所望の巻線層の幅に従って管部分の長さを調整することによって、厚い巻線層を蓄積することを可能にしている。
【0030】
本発明の例証的な実施形態によると、ボビンアセンブリは、1kVまでの、好ましくは10kVまでの、特に好ましくは80kVまでの電圧で作動させられるように構成される。これは、有利に、X線発生装置の一部である高電圧カスケードに交流電圧を供給することを可能にしている。高電圧カスケードは、交流電圧を増幅、整流及びなめらかにしてもよく、さらに、結果として生じる直流電圧をX線管に供給してもよい。
【0031】
本発明の
さらなる第5の態様は、一次巻線のボビンアセンブリをさらに含む
、二次巻線のボビンアセンブリであ
る本発明の第1の態様によるボビンアセンブリを含む変圧器に関し、上昇巻数比は、1よりも大きい、好ましくは4よりも大きい、特に好ましくは、10よりも大きい。これは、有利に、高電圧発生装置の効率を改善することを可能にしている。
【0032】
本発明のより完全な正しい理解及びその付随の利点が、原寸に比例していない以下の概略図を参照することによってより明らかに理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の例証的な実施形態による
2つのビルディングブロックの概略図である。
【
図2】
モジュールのセパレータを有した例証的な実施形態によるボビンアセンブリの概略図である。
【
図3】本発明の例証的な実施形態によるモジュールの
セパレータの概略図である。
【
図4】本発明の例証的な実施形態によるボビンアセンブリの概略図である。
【
図6】本発明の例証的な実施形態によるボビンアセンブリを生成する方法の流れ図を示した概略図である。
【
図7】本発明の例証的な実施形態による医用イメージングシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図面における例示は、単に概略的であり、スケーリング関係又はサイズ情報を提供するとして意図しない。異なる図面において、類似又は同じ要素には、同じ参照番号が提供される。概して、同じ部分、ユニット、実在物又はステップには、説明において同じ参照記号が提供される。
【0035】
図1は、本発明の例証的な実施形態によるモジュールのビルディングブロックの概略図を示している。
【0036】
ビルディングブロック100は、円板部分100−1及び管部分100−2を含んでもよい。さらに、ビルディングブロック100は、第1の連結モジュール100−3及び第2の連結モジュール100−4を含んでもよい。
【0037】
第1の連結モジュール100−3は、円板状のビルディングブロックの場合の内側のねじ山として構築されてもよい。第2の連結モジュール100−4は、円板状のビルディングブロック100の場合の外側のねじ山の形で構築されてもよい。ビルディングブロックは、巻線をそこに通過させるように構成される開口部100−5をさらに含んでもよい。
【0038】
図1において、右側には、第2のタイプのビルディングブロックが示されており、
図1の左側に示された第1のタイプのビルディングブロック100とは対照的に、開口部100−5の代わりに異なる開口部100−6を含む。
【0039】
第2の種類の開口部100−6は、第1のタイプの開口部100−5と比較してより大きい。言い換えると、
図1において示されている2つの円板又はビルディングブロック100のうち、1つの円板が、外径にて小さい開口部100−5を有して、完全に巻かれたスロットからの巻線ワイヤに対する出口を具体化している。例えば第2のタイプ等、他のタイプは、前の巻取チャンバからのワイヤに対する入口として長いスロットの開口部を有し、新しいチャンバを満たし始めている。
【0040】
本発明の例証的な実施形態によると、ねじ山は、ボビンアセンブリの回転対称の軸に関して小さい及び長い開口部を180°シフトことができるように、いかなる位置の変化もなく円板をロックする。
【0041】
本発明の例証的な実施形態によると、ビルディングブロック100は、一次ボビン及びコアが内側の空間において収容され得るように空洞であってもよい。ビルディングブロック100は、他のモジュールの要素と連結されるように内側のねじ山を有し;管は、他のモジュールの要素に連結されるように外側のねじ山で終わっている。
【0042】
図2は
、ボビンアセンブリを示している。
【0043】
ビルディングブロック100、及び、後に
図3において詳細に示されるモジュールのセパレータ200を使用することによって、ボビンアセンブリを
図2において示されているように構築することができる。ボビンは、下に大きな開口部を有したビルディングブロック100の形のモジュールの円板から始まっている。モジュールのセパレータ200の形のセパレータが、十分なスロット幅を提供して全ての巻きを収容するために使用される。次に、ビルディングブロック100の形の別のモジュールの円板が使用され、これは、小さい開口部を上に有しており、開口部は下の大きい開口部よりも小さくあってもよいために小さい。次に、モジュールのセパレータ200が続き、ビルディングブロック100とモジュールのセパレータ200との対が、要求される限り何度も繰り返される。
【0044】
本発明の例証的な実施形態によると、巻かれたスロット間のギャップが、絶縁性を提供している。モジュールの終わりの円板300の形の終わりの円板を、2つの内側のねじ山を含んでもよく且つ開口部は含まなくてもよいボビンアセンブリの終わりの部分として使用してもよい。
【0045】
本発明の例証的な実施形態において、界磁制御電極20も使用することができる。界磁制御電極20は、滑らかな外縁を有した金属リングの点から構築されてもよい。金属リングは、円板に連結されるように外側のねじ山も有してよい。
【0046】
本発明の例証的な実施形態によると、ボビンアセンブリは、複数の分離スロット及び複数の巻取スロットを含んでもよく、ここで、巻取スロット及び分離スロットは、二者択一的に配置される。
【0047】
本発明の例証的な実施形態によると、ビルディングブロック100の形のモジュールの円板は、例えば管の部分100−2なしで円板部分100−1の上のねじ山だけ等、内蔵の管なしで使用されてもよい。スロットの幅は、必要に応じて狭くあり得る。
【0048】
その中心の鉄心脚(leg)が(例えば四角等)丸くないコアに対しては、ねじ山は使用されることはない。ピン又はいかなる他の連結装置も、丸くないビルディングブロックに対して使用することができる(外部の留め金が必要であってもよく、又は、モジュールの要素を接着してもよい)。ねじ山の利点は、追加の機械的頑強性を提供するということである。
【0049】
本発明の例証的な実施形態によると、同形の円板がビルディングブロック100として使用され、ここでは、大きい開口部及び小さい開口部は、180°+/−5°の回転角度によって離されており、大きい開口部及び小さい開口部は、典型的には、互いに反対側にあり、すなわち、180°+/−5°又は180°+/−15°の回転角度によって離されている。
【0050】
さらに、ねじ山の終わりは、隣接する円板の開口部が、少なくとも90°によって離されるように構成されてもよい。隣接する円板は、例えば小さい及び大きい等、異なる開口部を有してもよく:それらの開口部のうち1つは大きい開口部を含んでもよく、さらに、もう一方は小さい開口部を有してもよい。さらに、ねじ山の代わりに、他の連結手段が使用されてもよく、この手段は、角度のあるロック特徴を有したスナップで留める手段のような、互いに対して固定された向きの部分になる。
【0051】
ねじ山又は他の連結手段は、大きい開口部を有する円板を互いに連結する、又は、小さい開口部を有する円板を互いに連結することが実行不可能であるように形作られてもよい。これは、有利に、所望の且つ有益な大きい開口部及び小さい開口部の交互を確実にする。さらに、ビルディングブロックの連続は、以下のように輪郭が描かれてもよい。最初は大きい開口部を有する円板、次にスロットの幅を画定するセパレータ、後に小さい開口部を有する円板、次に分離スロットの幅を画定するセパレータが提供される。さらに、大きい開口部を有する円板が提供され、セパレータ等が続く。セパレータが省かれた場合には、(分離)スロットの幅は円板の大きさによって画定されてもよい。
【0052】
図3は、本発明の例証的な実施形態によるモジュールのセパレータを示している。
図3において示されているモジュールのセパレータ200は、別のモジュールのブロックとして使用されてもよい。モジュールのセパレータ200の形状又は構造は、ビルディングブロック100に似ているが、円板部分100−1はない。
【0053】
本発明の例証的な実施形態によると、モジュールのセパレータ200は、スロットにさらなる幅を提供して、幅が広いスロット及び狭いスロットを作るのを可能にするように構成される。モジュールのセパレータ200は、モジュールの円板又はビルディングブロック100の第2の連結モジュール100−4に対応する第1の連結モジュール200−2も含む。第1の連結モジュール200−2は、外側のねじ山として形成されてもよい。
【0054】
本発明の例証的な実施形態によると、ねじ山は、同じ位置にてロックすることができ、これは、セパレータがモジュールの円板の間で連結される場合でさえも、小さい開口部は依然として上側にあり、さらに、大きい開口部は下側にある。これらのセパレータは小さく、より小さい空間を要求し、さらに、製造するのが簡単であるため、スロットの幅は、特定の幅を有する(いくつかの)セパレータを使用することによって調整されるべきである。
【0055】
モジュールのセパレータ200は、第2の連結モジュールの点から可視ではない内側のねじ山をさらに含んでもよい。モジュールのセパレータ200は、管部分200−1を含んでもよい。
【0056】
モジュールのセパレータ200は、ビルディングブロックに結合されてもよく、さらに、ボビンアセンブリの終わりにて使用されてもよい。
【0057】
図4は、本発明の例証的な実施形態によるボビンアセンブリの概略図を示している。
【0058】
誘導電気要素400が、
軟磁性コア1000−1、一次巻線1000−2及び二次巻線のボビンアセンブリ1000−3を含んでもよい。
【0059】
軟磁性コア1000−1に対しては、広範囲の高透磁率材料が使用されてもよい。高透磁率材料は強磁性であり、さらに、焼結したフェライトコア、例えばフェロシリコン、非晶質若しくはナノ結晶の材料等から作製される積層されたか若しくはストリップが巻かれた磁気コア、又は、例えばカルボニル鉄から作製される圧粉コアが、大きい渦電流を回避するために使用されてもよい。
【0060】
一次巻線1000−2は、巻線40のいくつかの巻きを含む。巻線40は、通常、リッツ線、すなわち、いくつかの単線の平行ストランド30を有するワイヤを使用して作製される。
【0061】
本発明の例証的な実施形態によると、二次巻線のボビンアセンブリ1000−3は、複数の巻取スロット1000−4及び複数の分離スロット1000−5、並びに、巻線10を含む。
【0062】
本発明の例証的な実施形態によると、巻線スロット1000−4は、1つの層あたりひと巻きの巻線10を含んでもよい。分離スロット1000−5は、単一の巻線10の輪を含んでもよい。二次巻線のボビンアセンブリ1000−3は、いかなる所与のスロットにおいても1つの層あたりひと巻きのみを有する巻線を使用して構築される。
【0063】
本発明の例証的な実施形態によると、それぞれの巻きは、そのすぐ隣において1つ又は2つのみの他の巻きを有することになる。さらに、隣接する巻き間の電圧は、最小の可能な値を有することになる。これの結果として、静電容量は最小限にされることになり、さらに、フラッシュオーバーの危険性も最小限にされる。
【0064】
図5は、本発明を説明するためのボビンアセンブリの概略図を示している。
図5は、高電圧の変圧器2000の設計を示している。高電圧の変圧器2000は、
軟磁性コア2000−1、並びに、一次巻線2000−2及び二次巻線のボビンアセンブリ2000−3を含んでもよい。
【0065】
二次巻線のボビンアセンブリ2000−3の巻取スロットは、多くの巻線10で満たされ、二次巻線のボビンアセンブリ2000−3の分離スロットは、完全な巻線のひと巻きを保持していなくてもよい。分離スロットは、隣接するスロットにおける巻線の巻きを連結する短いワイヤの一部を保持していてもよい。通常、分離スロットにおけるワイヤの長さは、ひと巻きの半分であってもよい。これは、隣接する円板における大きい開口部と小さい開口部とを離している180°の回転角度に対応している。
【0066】
二次巻線のボビンアセンブリ2000−3は、(高さが)長くて薄い(1mm以下の幅が標準である)壁を有する多くのスロットを含んでもよい。特に絶縁目的のスロットは、スロットの幅も(約1mmと)非常に小さくあり得る。
【0067】
二次巻線のボビンアセンブリ2000−3は、それぞれのスロット内の電圧差(従って、隣接する巻き間の電圧差)が、二次側のポートにおいてそのうちのわずかのみになるように、多数のスロットに分けられてもよい。巻取スロット間の絶縁の薄いスロットは、ボビンの表面に広まる放電を回避するのに必要であり得る。
【0068】
本発明の例証的な実施形態によると、これらの絶縁スロットは、1つのスロットの上から次のスロットの下まで巻線ワイヤを戻すためにも使用される。絶縁スロット及びスロット壁自体の幅のため、利用可能な巻線の長さは減る。結果として、スロットの高さは増やされる必要がある。
【0069】
高周波数にて作用する高電圧の変圧器は、認められたコアの誘導に順応するために多くの巻きを必要とせず、いくつかの巻きのみがある場合でさえも、層間の電圧は非常に高くなるということを意味する。
【0070】
二次ボビンの上にワイヤを巻き取る場合、ワイヤが意図した層内ではなくその下の層内に偶然にも位置するということが起こり得る。次に、ワイヤは、スロット内のさらに深くに位置する層における巻線の巻きと接触することになる。これらの巻線の巻きに対する電圧差はフラッシュオーバーが発生するほど大きくあり得る。
【0071】
さらに、スロットを有する通常の二次巻線の小さい静電容量でさえも、所望の高周波数での作動には小さすぎる共振周波数をもたらし得る。
【0072】
図6は、本発明の例証的な実施形態によるボビンアセンブリを生成する方法の流れ図の概略図を示している。
【0073】
当該方法の第1のステップとして、第1の開口部100−5を含む第1のビルディングブロック100を提供し、さらに、第1の開口部100−5を通して第1のビルディングブロック100内にワイヤを導くステップS1を行うことができる。言い換えると、ワイヤは、第1の開口部を介して下の巻取スロット内に導かれる。次に、この下の巻取スロットは、巻線の巻きで満たされる。
【0074】
当該方法の第2のステップとして、第1の開口部100−5よりも大きい第2の開口部100−6を含む第2のビルディングブロック100を提供し、さらに、第2の開口部100−6を通して第2のビルディングブロック100内にワイヤを導くステップS2が行われる。ワイヤは、開口部を介して隣接する分離スロット内に導かれる。
【0075】
当該方法の第3のステップとして、第1及び第2のビルディングブロック100を使用して、複数の巻取スロット1000−4及び複数の分離スロット1000−5を含む二次巻線のボビンアセンブリ1000−3を組み立てるステップS3が行われる。
【0076】
当該方法のステップは、ボビンアセンブリのモジュールの作製のために繰り返されてもよい。
【0077】
図7は、本発明の例証的な実施形態による医用イメージングシステムの概略図を示している。医用イメージングシステム500は、二次巻線のボビンアセンブリ1000−3を有した少なくとも1つの誘導電気要素400を含んでもよい。
【0078】
本発明の実施形態は、異なる発明特定事項を参考にして記載されるということに留意しなくてはならない。特に、一部の実施形態は、方法のタイプの請求項を参考にして記載され、他の実施形態は、装置のタイプの請求項を参考にして記載される。
【0079】
しかし、当業者は、通知されない限り、上記の記載から、1つのタイプの発明特定事項に属する特徴のいかなる組み合わせにも加えて、異なる発明特定事項に関する特徴間のいかなる組み合わせも、本願を用いて開示されていると考慮されるということを推測することになる。
【0080】
しかし、全特徴を組み合わせて、これらの特徴の単なる合計以上の共同作用効果を提供することができる。
【0081】
本発明は、図面及び上記の説明において詳細に例示及び記述されてきたけれども、そのような例示及び記述は、例示的又は例証的であり、拘束性はないと考慮されることになる。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変化は、請求された発明を実行する際に、図面、明細書、及び付随の特許請求の範囲の調査から当業者により理解する及びもたらすことができる。
【0082】
特許請求の範囲において、「含む」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞はその複数形を除外しない。特許請求の範囲におけるいかなる参照番号も、その範囲を限定するとして考慮されるべきではない。