(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405458
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】フローバルブ付きのドライヤ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20181004BHJP
H05B 3/14 20060101ALI20181004BHJP
B41F 23/04 20060101ALN20181004BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 451
B41J2/01 401
H05B3/14 A
!B41F23/04 A
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-515957(P2017-515957)
(86)(22)【出願日】2014年9月23日
(65)【公表番号】特表2017-535448(P2017-535448A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】US2014056918
(87)【国際公開番号】WO2016048277
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2017年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】スミス,デイヴィッド,イー
【審査官】
上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−068479(JP,A)
【文献】
特開2011−104863(JP,A)
【文献】
特開2002−361850(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0009546(US,A1)
【文献】
米国特許第4432147(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
H05B 3/14
B41F 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口部および第2の開口部を有するフレームを備えるヒータアセンブリと、
前記第1の開口部に位置する第1のヒータ要素と、
前記第2の開口部に位置する第2のヒータ要素と、
前記フレームに結合され、第1の位置から第2の位置まで移動可能なフローバルブとを含み、前記第1の位置にある場合、前記フローバルブが、前記第1の開口部を通る気流を遮断し、前記第2の位置にある場合、前記フローバルブが、前記第2の開口部を通る気流を遮断し、前記フローバルブが前記第1の位置と前記第2の位置との間にある場合、前記フローバルブが、前記第1の開口部を通る気流の少なくとも一部を遮断し且つ前記第2の開口部を通る気流の少なくとも一部を遮断する、ドライヤ。
【請求項2】
前記第1の開口部を通る気流および前記第2の開口部を通る気流の総量が、前記フローバルブの場所に無関係に本質的に一定のままである、請求項1に記載のドライヤ。
【請求項3】
動作中、前記第1のヒータ要素が一定温度に保持される、請求項1又は2に記載のドライヤ。
【請求項4】
前記第1のヒータ要素が正温度係数(PTC)セラミックヒータである、請求項1〜3の何れかに記載のドライヤ。
【請求項5】
前記第1の開口部を通る気流に対する抵抗が、前記第2の開口部を通る気流に対する抵抗に等しい、請求項1〜4の何れかに記載のドライヤ。
【請求項6】
前記第1のヒータ要素が120Vのヒータ要素であり、前記第2のヒータ要素が240Vのヒータ要素であり、前記第1のヒータ要素および前記第2のヒータ要素の一方のみが、一度に動作する、請求項1〜5の何れかに記載のドライヤ。
【請求項7】
入口および出口を有するファンであって、前記入口は、空気が前記ヒータアセンブリを通って引かれるように前記ヒータアセンブリに結合され、前記出口がプリンタの乾燥区域に隣接する、ファンと、
前記ファンの出口における空気の空気温度を測定するために、前記ファンの出口に隣接する温度センサと、
前記ファンの出口における前記空気温度を制御するように前記フローバルブの位置を調整するために、前記フローバルブ及び前記温度センサに結合されたコントローラとを更に含む、請求項1〜6の何れかに記載のドライヤ。
【請求項8】
前記フローバルブが、前記フレームに摺動可能に取り付けられたドアである、請求項1〜7の何れかに記載のドライヤ。
【請求項9】
前記フローバルブが前記第1の位置にある場合、少なくとも一部の空気が前記第1の開口部を通過する、請求項1〜8の何れかに記載のドライヤ。
【請求項10】
媒体を乾燥させる方法であって、
加熱アセンブリを通るように空気を引いて、前記空気を乾燥区域へ送り込み、前記加熱アセンブリが加熱ダクトに第1のヒータ要素、及びバイパスダクトに第2のヒータ要素を有し、
出口の空気温度を制御するために前記加熱ダクトと前記バイパスダクトとの間の気流の比率を制御するためにフローバルブを調整することを含み、第1の位置にある場合、前記フローバルブが、前記加熱ダクトを通る気流を遮断し、第2の位置にある場合、前記フローバルブが、前記バイパスダクトを通る気流を遮断し、前記フローバルブが前記第1の位置と前記第2の位置との間にある場合、前記フローバルブが、前記加熱ダクトを通る気流の少なくとも一部を遮断し且つ前記バイパスダクトを通る気流の少なくとも一部を遮断する、方法。
【請求項11】
前記第1及び第2のヒータ要素が、一定温度で動作している、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び第2のヒータ要素が、ニクロムヒータである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱ダクトを通る気流に対する抵抗が、前記バイパスダクトを通る気流に対する抵抗に等しい、請求項10〜12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
前記フローバルブが、前記加熱アセンブリに摺動可能に取り付けられた入力ダクトである、請求項10〜13の何れかに記載の方法。
【請求項15】
プリンタであって、
熱風が媒体上へ送られる乾燥区域と、
第1の開口部および第2の開口部を有するフレームを備えるヒータアセンブリと、
前記第1の開口部に位置する第1のヒータ要素と、
前記第2の開口部に位置する第2のヒータ要素と、
前記フレームに取り付けられ、第1の位置から第2の位置まで移動可能なフローバルブであって、前記第1の位置にある場合、前記フローバルブが、前記第1の開口部を通る気流を遮断し、前記第2の位置にある場合、前記フローバルブが、前記第2の開口部を通る気流を遮断し、前記フローバルブが前記第1の位置と前記第2の位置との間にある場合、前記フローバルブが、前記第1の開口部を通る気流の少なくとも一部を遮断し且つ前記第2の開口部を通る気流の少なくとも一部を遮断する、フローバルブと、
前記第1の開口部を通る気流および前記第2の開口部を通る気流の総量が、前記フローバルブの場所に無関係に本質的に一定のままであることと、
入口および出口を有するファンであって、前記入口は、空気が前記ヒータアセンブリを通って引かれるように前記ヒータアセンブリに結合され、前記出口が前記乾燥区域に結合されている、ファンと、
前記ファンの出口における空気の空気温度を測定するために、前記ファンの出口に隣接する温度センサと、
前記ファンの出口における前記空気温度を制御するように前記フローバルブの位置を調整するために、前記フローバルブ及び前記温度センサに結合されたコントローラとを含む、プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インクジェットプリンタは、1つ又は複数のプリントヘッドの複数のノズルから印刷流体を媒体上へ吐出するプリンタである。プリントヘッドは、サーマルインクジェットプリントヘッド、又は圧電プリントヘッド等とすることができる。印刷流体は、イメージを形成するために媒体上に付着される任意の流体であり、例えばプレコンディショナー、光沢剤、硬化剤、カラーインク、グレーインク、黒色インク、金属インク、及びオプティマイザ等である。インクジェットインクは、水性インク、又は溶剤型インク等とすることができる。
【0002】
幾つかのインクジェットプリンタは、印刷流体の付着後に媒体を乾燥させる。これにより、プリンタが印刷することができる速度が増加され、湿ったインクの染みのような画質の問題が低減され得る。幾つかのページは、乾燥させるためのエネルギーを他のページよりも多く必要とするかもしれない。ページ毎に必要とされるエネルギーの相違は、異なるイメージ濃度、異なるページ画線比率、及び使用されるプレコンディショナー又は光沢剤の量などに起因するかもしれない。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】ドライヤ用ヒータアセンブリ100の例に関する等角側面図である。
【
図2A】フローバルブが第1の位置にある加熱アセンブリの例に関する正面図である。
【
図2B】フローバルブが第1の位置と第2の位置の間にある加熱アセンブリの例に関する正面図である。
【
図2C】フローバルブが第2の位置にある加熱アセンブリの例に関する正面図である。
【
図3】明確にするためにフローバルブが取り除かれた状態の加熱アセンブリの例に関する正面図である。
【
図4】正温度係数(Positive Temperature Coefficient:PTC)加熱要素に関する抵抗対温度のグラフ例である。
【
図6】ドライヤを制御するための流れ図の例である。
【
図8A】可動入力ダクトが第1の位置にあるフローバルブの例に関する上面図である。
【
図8B】可動入力ダクトが第1の位置と第2の位置との間にあるフローバルブの例に関する上面図である。
【
図8C】可動入力ダクトが第2の位置にあるフローバルブの例に関する上面図である。
【0004】
詳細な説明
インクジェットプリンタは、単一の印刷ジョブで様々なページを印刷することができる。幾つかのページはテキストの数行だけを含むかもしれない。幾つかのページは、テキストに埋め込まれた画像(グラフィックス)又はイメージを含むかもしれない。他のページは、全ページのイメージを含むかもしれない。各種のページは、媒体上に付着された印刷流体を適切に乾燥させるために異なる量のエネルギーを必要とする可能性がある。ページを適切に乾燥させるために、ドライヤにより供給されるエネルギーは、媒体を過熱せずに又は完全に乾燥したページでエネルギーを浪費せずに、ページから流体の大部分を蒸発させるべきである。
【0005】
多くのインクジェットプリンタは、熱風を媒体にぶつけることにより媒体を乾燥させる。媒体にぶつかるエネルギーを変化させるための1つの方法は、熱風の温度を変更することである。熱風の温度は、加熱要素が熱くなる又は冷えるように、加熱要素への電力(パワー)を変更することにより変化する。ドライヤにより供給されるエネルギーの量を変更するための別の方法は、気流速度を変更することである。気流速度は、空気を媒体にぶつけるファンの速度を変更することにより変えられる。場合によっては、熱風の温度および気流速度の双方が変更される。
【0006】
加熱要素の温度を調整することにより熱風の温度を変更することは、多くの問題を有する。当該問題の1つは、加熱要素がパワーの変更をしなければならない応答時間が遅いことである。一般に、加熱要素は、それが冷めることができることよりも迅速に熱くなることができる。熱くなる又は冷めることのどちらにしても、加熱要素の温度変化は、プリンタの速度に比べて遅い。別の問題は、ドライヤを動かすのに必要な電力の変動である。電源は、ドライヤに最大電力を供給するような大きさになっている。ドライヤが最大電力未満で動いている場合、電源は、より低い効率で動作しているかもしれない。ドライヤを通じて気流速度を変更することは、同様の問題を有する。
【0007】
一例において、熱風の温度は、加熱ダクトとバイパスダクトとの間の気流の比率を変更するフローバルブを用いることにより制御される。加熱ダクトは加熱要素を含み、バイパスダクトは加熱されない。2つのダクト(管)への気流の量を制御するフローバルブを調整することにより、空気の比率が変更される。ドライヤの出口において空気温度を上昇させるために、全気流のうちのより多くの量が、加熱ダクトを通過するように導かれ、全気流のうちのより少ない量が、バイパスダクトを通過するように送られる。ドライヤの出口において空気温度を下げるために、全気流のうちのより少ない量が、加熱ダクトを通過するように導かれ、全気流のうちのより多くの量が、バイパスダクトを通過するように送られる。
【0008】
熱風(空気)の温度が加熱ダクト及びバイパスダクトを通過する空気の比率により制御されるので、出力された空気の温度は、加熱要素の温度を変更することができることより迅速に変更され得る。更に、当該空気温度は、周囲空気の温度と加熱要素のほぼ最高温度との間で変更され得る。当該空気温度がフローバルブを用いて変更されるので、一定温度の加熱要素、例えば正温度係数(Positive Temperature Coefficient:PTC)セラミック加熱要素が使用され得る。一例において、ドライヤを通過する全気流は本質的に、一定のままである。
【0009】
図1は、ドライヤ用ヒータアセンブリ100の例に関する等角側面図である。ヒータ(加熱)アセンブリは、フレーム102、フローバルブ104及び加熱要素110を含む。フレーム102は、フレームを貫通する2つの開口部(106と108)を形成する。この応用形態において、ヒータアセンブリのフレームを貫通する開口部は、穴、ダクト、又は空気通路などとして知られ得る。また、加熱アセンブリは、フローバルブを動かすためのモータ及び駆動システムも含むが、これら要素は、明確にするために図示されていない。
【0010】
通過する空気の温度を上昇させる空気通路は、加熱ダクトとして知られている。通過する空気の温度を上昇させない空気通路は、バイパスダクトとして知られている。フレームの左側の開口部106は、その中に配置された加熱要素110を有する。従って、この例において、この開口部106は加熱ダクトである。フレームの右側の別の開口部108は、開口部に配置された加熱要素を備えない。従って、この例において、この開口部108は、バイパスダクトである。
【0011】
フローバルブ104は、フレーム102に取り付けられ、軸112に沿って第1の位置と第2の位置との間で移動することができる。この例において、フローバルブは、2つの位置の間で摺動するドアである。
図2Aは、フローバルブが第1の位置にある加熱アセンブリの例に関する正面図である。第1の位置において、フローバルブは、加熱ダクト(開口部106)を通る気流を遮断する。
図2Bは、フローバルブが第1の位置と第2の位置との間にある加熱アセンブリの例に関する正面図である。フローバルブが第1の位置と第2の位置との間にある場合(
図2Bを参照)、フローバルブは加熱ダクト(開口部106)を通る気流の一部を遮断し、バイパスダクト(開口部108)を通る気流の一部を遮断する。
図2Cは、フローバルブが第2の位置にある加熱アセンブリの例に関する正面図である。第2の位置において、フローバルブは、バイパスダクト(開口部108)を通る気流を遮断する。
【0012】
動作中、空気は、フレームの内側から(
図1の矢印114により示されるように)加熱アセンブリを通過して、加熱アセンブリの外側へ(
図1の矢印116及び120により示されるように)と引かれる又は送り込まれる。加熱ダクト及びバイパスダクトを流れる空気の比率は、フローバルブ104の位置により制御される。幾つかの例において、加熱ダクトの気流に対する抵抗は、バイパスダクトの気流に対する抵抗に等しくすることができる。これは、フロー制御バルブ104の位置に無関係に一定の出力気流を生成する。この応用形態において、一方のダクトの気流が他方のダクトの気流の+/−5%以内である場合に、気流は等しいとみなされる。
【0013】
一例において、加熱ダクトの気流に対する抵抗は、開口部の双方に加熱要素を設けることにより、バイパスダクトの気流に対する抵抗に等しくされる。2つの加熱要素の一方のみが、任意の所与の時間に使用される。
図3は、明確にするためにフローバルブが取り除かれた状態の加熱アセンブリの例に関する正面図である。加熱アセンブリは、フレーム102、第1の加熱要素110A、第2の加熱要素110B、及び蛇行した(サーペンタイン)金属電極330を含む。
【0014】
フレーム102は、断熱材料(絶縁材料)から製作されることができ、ほぼ同じサイズを有する2つの開口部106及び108を形成する。加熱要素110Aは、左側開口部内にあり、120Vボルトで動作する。加熱要素110Bは右側開口部内にあり、240ボルトで動作する。双方の加熱要素は、蛇行した金属電極330間に挟まれる。ドライヤが120ボルトの電力系統をサポートする国で使用される場合、加熱要素110Aが媒体を乾燥させるために使用される。ドライヤが240ボルトの電力系統をサポートする国で使用される場合、加熱要素110Bが媒体を乾燥させるために使用される。電力系統の適切なタイプに設定されたスイッチが、AC主電圧を適切な加熱要素に接続する。媒体を乾燥させるために加熱要素110Aを使用する場合、開口部106が加熱ダクトと考えられ、開口部108がバイパスダクトと考えられる。
【0015】
2つの加熱要素(110A及び110B)は同じサイズと形状である。また、蛇行した金属電極330は、2つの開口部(106及び108)の間で同じである。これは、2つの開口部の間で気流に対して同じ抵抗をもたらす。加熱要素が1つだけ存在する場合の他の例において、加熱ダクトにおける気流に対する抵抗は、開口部の相対的サイズを調整することにより、又は加熱要素のサイズ及び形状に適合する特徴要素をバイパスダクト内へ追加することなどにより、バイパスダクトにおける気流に対する抵抗に等しくされ得る。
【0016】
幾つかの例において、正温度係数(PTC)セラミック加熱要素が、加熱アセンブリの加熱要素として使用される。
図4は、PTC加熱要素に関する、抵抗対温度のグラフ例である。垂直軸は、対数尺度を用いた抵抗である。水平軸は加熱要素の温度である。曲線440は、PTC加熱要素の例に関する抵抗対温度のグラフである。曲線440は、3つの領域、即ちNTC−1、PTC、及びNTC−2を有する。
【0017】
第1の領域(NTC−1)は、加熱要素の抵抗が温度の上昇と共に減少している領域(負の温度係数領域)である。この領域は一般に、室温から約200℃の臨界温度までである。加熱要素への電力量を変更することにより、この温度範囲において加熱要素の温度を変更することが可能である。加熱要素の温度が臨界温度まで上昇すると、加熱要素は第2の領域(PTC)に入る。
【0018】
この領域(PTC)において、加熱要素の抵抗は、加熱要素の温度の僅かな変化に応答して劇的に増加する(正温度係数領域)。この自己制御(self-limiting:自ら制限する)領域において、加熱要素の温度は、比較的一定であり、容易に変化することができない。この領域は一般に、200℃から始まって約280℃で終了する。約280℃及びそれより上で、加熱要素は最後の領域(NTC−2)に入る。この領域において、加熱要素の抵抗は再度、温度の上昇と共に減少する(第2の負の温度係数領域)。これは、熱暴走領域と考えられ、一般に避けられる。通常動作中、加熱要素の温度は、PTC領域に保持される。
【0019】
他の例において、ニクロム加熱要素が、加熱アセンブリに使用され得る。一例において、ニクロム加熱要素は、一定温度に制御され得る。別の例において、ニクロム加熱要素の温度は、フローバルブの位置の制御に加えて、温度制御サーボの一部分として変更され得る。
【0020】
図5はドライヤの例に関するブロック図である。ドライヤは、ヒータアセンブリ100、ファン552、乾燥区域554、及びコントローラ556を含む。ヒータアセンブリは、
図1に示されたヒータアセンブリとすることができる。ヒータアセンブリ100は、空気がヒータアセンブリを通って出力エリアへと引かれることを可能にする入力エリアを有する。出力エリアはファン552に結合され、その結果、ファンが空気を入力エリアから出力エリアへ引くことができる。ファンは、乾燥区域に結合され、その結果、ファンは、加熱アセンブリの出力エリアから空気を引いて、当該空気を乾燥区域へと送り込む。温度センサ558が乾燥区域に配置される。
【0021】
この例において、コントローラ556が温度センサ及び加熱アセンブリに結合される。コントローラは、ヒータアセンブリにおけるフローバルブの位置を調整して、乾燥区域の空気温度を所望の温度に調整する。所望の温度は、乾燥区域におけるページのタイプに依存することができる。この例において、ファン速度は、変更されることができず、一定速度に保持され得る。別の例において、コントローラはファンにも結合されることができ、乾燥区域の空気温度を制御するために、フローバルブの位置に加えて、ファン速度を調整することができる。
【0022】
また、コントローラ556は、ヒータアセンブリ内の加熱要素への電力を制御することができる。幾つかの例において、コントローラは、加熱要素に対する電源を単にオン及びオフすることができる。この例において、加熱要素は一般に、PTC加熱要素であろう。他の例において、コントローラは、加熱要素の温度をより能動的に制御するために使用され得る。幾つかの例において、PTC加熱要素は、気流無しの状態(即ち、全ての空気がバイパスダクトを流れる状態またはファンがオフの状態)で、電力を供給され得る。これは、ドライヤの非常に速いウォームアップを可能にすることができる。
【0023】
コントローラは、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサは、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はこれらデバイスの組み合わせを含むことができる。また、コントローラは、メモリを含むことができる。
【0024】
メモリは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、及び記憶装置を含むことができる。メモリは、持続性コンピュータ可読媒体である。不揮発性メモリの例には、以下に限定されないが、電気的消去可能ROM(EEPROM)及び読み出し専用メモリ(ROM)が含まれる。揮発性メモリの例には、以下に限定されないが、スタティックRAM、及びダイナミックRAM(DRAM)が含まれる。記憶装置の例には、以下に限定されないが、ハードディスクドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、光学式ドライブ、及びフラッシュメモリデバイスが含まれる。
【0025】
ドライヤは、メモリに格納された、一般にファームウェアと呼ばれるコンピュータ実行可能コードを有することができる。ファームウェアは、コンピュータ可読命令として、持続性コンピュータ可読媒体(即ち、メモリ)に格納される。プロセッサは一般に、ドライヤを動作させるために及び機能を実行するために、持続性コンピュータ可読媒体に格納された命令を読み出して実行する。一例において、プロセッサは、フローバルブの位置を変更することにより、乾燥区域の空気温度を所望の温度に制御するコードを実行する。
【0026】
図6は、ドライヤ、例えば
図5のドライヤを制御するための流れ図の例である。ブロック662において、空気が、加熱アセンブリ、例えば
図1の加熱アセンブリを通して引かれる。ブロック664において、加熱アセンブリのフローバルブの位置は、加熱ダクト及びバイパスダクトを流れる空気の比率を制御するために調整される。幾つかの例において、フローバルブは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。第1の位置にある場合、フローバルブは加熱ダクトを通る気流を完全に遮断することができる。第2の位置にある場合、フローバルブは、バイパスダクトを通る気流を完全に遮断することができる。フローバルブが第1の位置と第2の位置との間にある場合、フローバルブは、加熱ダクトを通る気流の少なくとも一部を遮断し、且つバイパスダクトを通る気流の少なくとも一部を遮断する。他の例において、フローバルブは、第1の位置にある場合に、加熱ダクトを通る気流を完全に遮断しなくてもよい。これは、少なくとも一部の気流が加熱ダクトを通ることを可能にし、加熱要素が過熱すること及び熱暴走領域に入ることを防止することに役立つことができる。
【0027】
図7は、プリンタの例に関する側面図である。プリンタは、2つのピンチローラ770、及び2つの巻き取りローラ772、プリントエンジン774、及びドライヤ778(例えば、
図5のドライヤ)を含む。また、プリンタは、媒体供給源、出力トレイ、制御パネル、コントローラ、及び媒体を移動させるためのドライブトレインなども含むが、これら要素は、明確にするために図示されない。媒体経路は、2つのピンチローラ770の間から、プリントエンジン774の下に、ドライヤ778の下に、及び2つの巻き取りローラ772の間に延びる。1枚の媒体784が媒体経路に示される。印刷方向としても知られている媒体送り方向は、矢印776により示される。他の例において、媒体は、連続ロールの状態とすることができる。媒体がプリントエンジン778の下に進むと、印刷流体782がプリントエンジンから媒体上へ付着される。媒体がドライヤ778の下に進むと、媒体が乾燥される乾燥区域780を、媒体が通過する。
【0028】
ドライヤ778は、加熱アセンブリ100及びファン552を含む(コントローラは図示されておらず、プリンタのコントローラの一部として一体化され得る)。加熱アセンブリ100の出力エリアは、配管によりファンに結合される。追加の配管が、気流を乾燥区域780へ集中させるために、ファンの出力に取り付けられる。動作中、空気は、矢印114により示されるように、ファンにより加熱アセンブリの入力エリアへ引かれる。当該空気は、フローバルブを移動させることにより、加熱ダクトとバイパスダクトとの間の気流の比率を変更することにより所望の温度にされる。次いで、空気は、媒体が乾燥される乾燥区域へ送り込まれる。
【0029】
上記の説明において、フローバルブは、2つの位置の間で移動することができるドアとして示された。フローバルブは、摺動ドアに制限されず、他の形態をとることができる。
図8A、
図8B及び
図8Cは、フローバルブの代替の形態を示す。この例において、フローバルブは、側面フランジを備える可動入力ダクトの形態をとる。
図8Aは、第1の位置にある可動入力ダクトを示す。第1の位置において、可動入力ダクトは、フレーム102の第1の開口部106と位置合わせされる。加熱要素110は、第1の開口部106内に位置し、そのためこの開口部は加熱ダクトである。可動入力ダクトは、可動入力ダクトと位置合わせされていない開口部を通る気流を遮断する側面フランジ890を有する。
【0030】
図8Cは、第2の位置にある可動入力ダクトを示す。第2の位置において、可動入力ダクトはフレーム102の第2の開口部108と位置合わせされる。第2の開口部108は加熱要素を含んでおらず、そのためこの開口部はバイパスダクトである、
図8Bは、第1の位置と第2の位置との間にある可動入力ダクトを示す。この位置において、空気は、加熱ダクト及びバイパスダクトの双方を流れることができる。