(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の反射部材は、マイクロ波反射性を有する材料で構成されており、前記照射手段が照射するマイクロ波を透過させない複数の孔を備えた板状の形状を有している請求項1から請求項4いずれか一項記載の処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、処理装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0046】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における処理装置の一例を示す斜視図(
図1(a))、およびそのIb−Ib線による断面図(
図1(b))である。ただし、
図1(b)においては、バルブの断面等は省略している。
【0047】
図2は、本実施の形態における処理装置の第一のフィルタを斜め上方からみた斜視図(
図2(a))、第一の反射部材を斜め上方からみた斜視図、(
図2(b))、第一の反射部材と、第一の反射部材上に配置された状態の第一のフィルタとを斜め上方からみた斜視図(
図2(c))、および反射部材と、反射部材上に配置された状態のフィルタとを斜め下方からみた斜視図(
図2(d))である。
【0048】
処理装置1は、容器101、照射手段102、第一のバルブ103a、第二のバルブ103b、第一のフィルタ105、第一の反射部材106、第二のフィルタ107、および第二の反射部材108を備えている。容器101は、第一の開口部1011a、第二の開口部1011b、第三の開口部1011c、および照射開口部1013を有している。
【0049】
本実施の形態においては、処理装置1が、固相樹脂に結合されたペプチドを合成する固相合成に用いられる処理装置である場合を例に挙げて説明する。ただし、処理装置1は、後述するように、ペプチドの固相合成以外の処理に用いられる処理装置であっても良い。
【0050】
ここでは、まず、ペプチドの固相合成の一例について簡単に説明する。ただし、本実施の形態の処理装置1を用いて行なわれる固相合成は、以下に述べる固相合成に限定されるものではなく、他の固相合成であっても良い。例えば、以下に述べる物質以外の物質を用いて行なわれる固相合成であっても良い。
【0051】
ペプチドの固相合成は、ペプチドを化学的に合成する方法のひとつであり、ペプチド固相合成法とも呼ばれる。固相合成においては、固相の樹脂を用い、適切な溶媒に懸濁させた固相樹脂の表面に所望のアミノ酸を結合させ、そのアミノ酸に対して更に所望のアミノ酸を順次、脱水反応によって結合させて、ペプチド鎖を伸長することで、固相樹脂に結合されたペプチドを合成する。そして、例えば、この固相樹脂に結合されたペプチドを固相樹脂から切り離すことで、目的のペプチドを得ることができる。
【0052】
固相合成においては、C末端側からN末端側へ向かってペプチドの合成が進められるため、まず、固相樹脂の表面に、C末端アミノ酸を結合させることで、合成が開始される。固相表面とアミノ酸との反応が終了した後、固相樹脂を溶媒で洗浄して、残ったアミノ酸などを除去する。除去後、固相樹脂に結合しているアミノ酸の保護基を除去(脱保護)すると、次の反応点となるアミノ基が再び固相樹脂の表面に出現する。更に、N末端が保護されたアミノ酸を加えて、固相樹脂の表面に出現したアミノ酸のN末端側に、N末端が保護されたアミノ酸のC末端側を脱水反応により結合させる。そして、使用するアミノ酸を順次変更しながらこれらの手順を繰り返すことで、目指す配列をもつペプチドを精度よく合成することができる。
【0053】
上記の固相合成に用いられる材料等について一例を説明する。固相樹脂としては、例えば、ポリスチレンや、ポリアミド等のポリマーが用いられる。ただし、固相樹脂はこれら以外の樹脂であっても良い。固相樹脂としては、例えば、直径が10μm〜1000μmの粒状(例えば、ビーズ状)の樹脂が用いられる。固相樹脂を懸濁させる溶媒としては、例えば、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)が用いられる。ただし、他の溶媒を用いても良い。固相樹脂は、例えば、ペプチド等を結合して合成するための固相合成用担体として用いられる。
【0054】
なお、固相樹脂にC末端アミノ酸を直接、結合させる代りに、リンカー分子等を介して固相樹脂とC末端アミノ酸とを間接的に結合させても良い。リンカー分子としては、例えば、4−ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸(HMP)、又はベンズヒドリルアミン誘導体が挙げられる。
【0055】
アミノ酸の保護基としては、例えば、Boc(t−ブトキシカルボニル)や、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)等が利用される。
【0056】
保護基の除去、即ち脱保護は、例えば、ピペリジン等を脱保護剤として用いた塩基処理によって行なわれる。
【0057】
固相樹脂にアミノ酸を順次結合していく処理は、アミノ酸を含む溶液内において行なわれる。例えば、固相樹脂にアミノ酸を順次結合していく処理は、アミノ酸と、活性化剤と、ラセミ化抑制剤等を有する溶液内で行なわれる。活性化剤は、脱保護された固相樹脂に結合されたアミノ酸(固相樹脂に結合しているペプチドの末端のアミノ酸も含む)と、溶液中のN末端が保護されたアミノ酸との結合を促進するために用いられる。活性化剤は、縮合剤とも呼ばれる。また、ラセミ化抑制剤は、ラセミ化の発生を抑制して、ラセミ化による反応の低下等を防ぐために用いられる。活性化剤としては、例えば、DIPCI(N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド)またはHBTU(N,N,N',N'−テトラメチル−O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート)等が用いられる。また、ラセミ化抑制剤としては、例えば、Oxyma(エチル(ヒドロキシイミノ)シアノアセタート)等が用いられる。
【0058】
固相合成において行なわれる様々な処理においては、マイクロ波を照射することで、処理の促進や、処理の高速化を図ることができる。例えば、特許文献1等にも開示されているように、固相樹脂に結合しているアミノ酸のN末端から、保護基を除去する際、即ち脱保護する際に、マイクロ波を照射することにより、脱保護の工程を促進して、処理時間を短縮できることが知られている。なお、固相樹脂に結合しているアミノ酸とは、固相樹脂に結合しているペプチドの末端のアミノ酸も含むと考えてよい。かかることは以下においても同様である。また、固相樹脂に結合している脱保護したアミノ酸と、溶液中のアミノ酸とを縮合させる際に、マイクロ波を照射することにより、縮合の処理時間を短縮させることができることが知られている。
【0059】
本実施の形態の処理装置1は、このような固相合成を構成する複数の処理の1以上を実行するために用いられる装置である。例えば、本実施の形態の処理装置1を用いて行なわれる2以上の処理は、連続した2以上の処理であってもよく、不連続の2以上の処理であっても良い。本実施の形態の処理装置1を用いて行なわれる1以上の処理は、固相合成の複数の処理のうちのどの処理であっても良い。本実施の形態の処理装置1を用いて行なわれる1以上の処理は、例えば、固相樹脂を懸濁した液に対して、マイクロ波照射が行なわれる処理を含む1以上の処理であることが好ましい。例えば、この1以上の処理は、固相樹脂に結合されたN末端が保護されたアミノ酸に対して、脱保護を行なう処理を含んでいても良い。また、この1以上の処理は、固相樹脂に結合された脱保護されたアミノ酸に対して、脱水反応を行なうことによって、アミノ酸を縮合させる処理を含んでいても良い。また、本実施の形態の処理装置1を用いて行なわれる1以上の処理は、固相樹脂を濾過により分離する処理を含む1以上の処理であることが好ましい。ここでの固相樹脂は、例えば、1以上のアミノ酸が連結された固相樹脂である。例えば、アミノ酸を結合させた後の固相樹脂が懸濁された液から、固相樹脂を濾過する処理であってもよく、N末端が保護されたアミノ酸が結合された固相樹脂に対して脱保護の処理を行なった後、固相樹脂が懸濁された液から、固相樹脂を濾過により分離する処理であってもよい。また、固相樹脂を洗浄用の液体(例えば溶媒)等で洗浄した後、固相樹脂を濾過する処理であっても良い。また、本実施の形態の処理装置1で行なわれる1以上の処理は、上記で述べた処理の2以上の組合せであっても良い。例えば、本実施の形態の処理装置1を用いて行なわれる1以上の処理は、N末端が保護されたアミノ酸が結合された固相樹脂に対して脱保護を行なう処理と、脱保護を行なった固相樹脂を濾過し、洗浄する処理と、洗浄後の固相樹脂の脱保護されたアミノ酸に、N末端が保護されたアミノ酸を縮合させる処理と、この固相樹脂を濾過し、洗浄する処理と、で構成される一のペプチド鎖の伸長処理の繰り返し等であっても良い。
【0060】
容器101は、固相合成の1以上の処理が内部で行なわれる容器である。容器101内には、例えば、固相合成に用いられる物質や、中間生成物や、溶媒等が供給され、保持される。固相合成に用いられる物質は、例えば、固相樹脂、アミノ酸、脱保護剤、活性化剤、ラセミ化抑制剤等である。この固相樹脂は、例えば、1以上のアミノ酸が予め連結済みの固相樹脂であってもよく、リンカー分子と、1以上のアミノ酸とが連結済みの固相樹脂であってもよく、アミノ酸が連結されていない固相樹脂であっても良い。また、この固相樹脂は、リンカー分子だけが結合された状態の固相樹脂であっても良い。例えば、容器101にはこれらの物質や中間生成物が、適切な溶媒とともに保持される。また容器101内には、例えば、固相合成において洗浄等に用いられる液体や撹拌等に用いられる気体等が外部から供給されてもよい。なお、容器101に対する内容物の供給と、内容物の排出とを連続的に行なうようにして、容器101内に内容物を流した状態で連続的に処理を行なうようにしてもよい。
【0061】
容器101は、マイクロ波反射性を有する材料により構成されている。マイクロ波反射性を有する材料とは、例えば、導電体である。導電体は、例えば、金属である。容器101は、耐腐食性に優れた材料であることが好ましい。例えば、容器101は、ステンレス製であることが好ましい。容器101の外壁等の厚さは問わない。容器101の内壁は、マイクロ波透過性が高く、耐腐食性等に優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やガラス等の材料でコーティングされていても良い。例えば、容器101は、内壁が、これらのマイクロ波透過性が高く、耐腐食性等に優れた材料で構成され、外壁が、ステンレス等のマイクロ波反射性材料で構成された二重構造の容器であってもよい。
【0062】
容器101は、内部にマイクロ波を照射している際に、マイクロ波を外部に漏洩しない構造であることが好ましい。例えば、容器101は、マイクロ波を照射中に、容器101内部が密封可能な構造であることが好ましい。
【0063】
容器101は、第一の端部1015aと第二の端部1015bとを有している。端部は、例えば、容器101の端となる部分や領域である。端部は点であっても良く、線であっても良く、面であっても良い。第一の端部1015aおよび第二の端部1015bは、例えば、互いに対向している。第一の端部1015aおよび第二の端部1015bは、例えば、容器101の長手方向における両端の部分である。ここでは、容器101が、縦型の容器である場合について説明する。縦型の容器とは、例えば、長手方向が略鉛直方向である容器である。容器101は、上下が半球形状であり、その間の部分が円筒形状であるカプセル形状を有している。このため、容器101の鉛直方向に切断した断面形状において、長手方向の端部が、
図1(b)に示すように、半円形状を有している。ここでは、第一の端部1015aが容器101の下端部、第二の端部1015bが上端部である場合について例を挙げて説明する。容器101の下端部は、容器101の下側の端部である。下端部は、例えば、容器101の下面となる部分や底と考えてもよい。また、容器101の上端部は、容器101の上側の端部である。上端部は、例えば、容器101の上面となる部分と考えてもよい。ここでは、容器101の第一の端部1015a側の部分(例えば、下端部)が、第一の端部1015aに近づくに従って、連続的に大きさが小さくなる形状を有している場合について説明する。また、容器101の第二の端部1015b側の部分(例えば、上端部)が、第二の端部1015bに近づくに従って、連続的または段階的に大きさが小さくなる形状を有している場合について説明する。
【0064】
なお、容器101は、どのような形状であっても良く、例えば、上記以外の形状であっても良い。例えば、容器101の形状は、カプセル形状以外の形状であっても良く、例えば、円筒形状であっても良く、多角形柱形状であっても良く、円錐形状であっても良く、これらの形状の組合せ等であっても良い。また、容器101の上端部側の形状は、半円球でなくてもよく、例えば、平面であっても良い。容器101は、例えば、鉛直方向または水平方向に伸びる軸を回転の中心として、所望の形状(例えば、円形や楕円や角丸四角形等)を回転させた形状を有していることが好ましいが、回転させた形状を有していなくても良い。また、容器101は、長手方向に対して垂直な面に対して、面対称となる形状であっても良く、面対称となる形状でなくても良い。容器101の第一の端部1015a側の部分(例えば、下端部)は、例えば、第一の端部1015aに近づくに従って、連続的または段階的に大きさが小さくなる形状であることが好ましい。また、容器101の第二の端部1015b側の部分(例えば、上端部)は、例えば、第二の端部1015bに近づくに従って、連続的または段階的に大きさが小さくなる形状であることが好ましい。ここでの容器101の第一の端部1015a側の部分の大きさ、および容器101の第二の端部1015b側の部分の大きさとは、例えば、容器101の太さと考えても良く、容器101の長手方向に垂直な断面の大きさ(例えば、断面積等)と考えても良く、容器101の長手方向に垂直な方向の長さと考えても良く、容器101の幅と考えてもよい。
【0065】
本実施の形態の容器101のサイズは、直径が1m、高さが2mであるが、このサイズは、一例であり、容器101は、これよりも大きくても良く、小さくても良く、容器101の大きさは問わない。また、容器101の高さと、幅と、奥行きの比率等は問わない。
【0066】
容器101の形状や、大きさ等は、例えば、容器101に照射されるマイクロ波の分布等に応じて決定される。例えば、容器101の形状や大きさは、容器101内におけるマイクロ波のモードがマルチモードとなるように、形状や大きさが設定されていることが好ましい。マイクロ波のマルチモードとは、例えば、容器101内でマイクロ波の定在波が発生しないモードである。
【0067】
容器101の外周には、図示していないが、容器101の温度を調整するための温水ジャケットや、冷水ジャケット、ヒータ等が設けられていても良い。
【0068】
照射手段102は、容器101が有する第一の端部1015aと第二の端部1015bとの間の位置から容器101内にマイクロ波を照射する。ここでは、第一の端部1015aが容器101の下端部であり、第二の端部1015bが容器101の上端部であるため、照射手段102は、容器101の下端部と上端部との間の位置から容器101内にマイクロ波を照射する。具体的には、照射手段102は、容器101の長手方向の位置が、容器101の第一の端部1015aと第二の端部1015bとの間となる位置から容器101内にマイクロ波を照射する。照射手段102は、例えば、上記のような位置から容器101内にマイクロ波の照射を行なうことができるよう容器101に取付けられている。照射手段102は、マイクロ波発振器1021と、マイクロ波発振器1021と一方の端部が接続された導波管1022との組を1組有しており、1箇所から容器101内にマイクロ波を照射する。照射手段102の導波管1022は、一方の端部の開口部が、容器101の第一の端部1015aと第二の端部1015bとの間に設けられた開口部である照射開口部1013と連通するよう、容器101に取り付けられている。照射開口部1013は、例えば、容器101内にマイクロ波を照射するために用いられる開口部である。照射開口部1013は、例えば、容器101内にマイクロ波を導入するための導入口や、容器101内に照射されるマイクロ波が出射される部分、すなわちマイクロ波の出射部等と考えてもよい。照射開口部1013は、容器101の長手方向における位置が、容器101の第一の端部1015aと第二の端部1015bとの間となる位置に設けられている。容器101の長手方向の位置は、ここでは容器101の高さ方向の位置と考えてもよい。照射開口部1013は、容器101の内部と外部とを連通するよう開口している。照射開口部1013のサイズや形状は問わない。導波管1022の容器101の照射開口部1013と接続された端部は、例えば、導波管1022の、マイクロ波発振器1021と接続された端部とは反対側の端部である。各導波管1022の容器101の照射開口部1013と接続された端部が、照射手段102がマイクロ波を出射する端部であり、この端部が接続されている位置が、例えば、照射手段102がマイクロ波を出射する位置である。ここでは、照射開口部1013が、容器101の高さ方向の中央付近の側面に設けられている場合を例に挙げて説明する。ただし、照射開口部1013の位置は、この照射開口部1013に取付けられた照射手段が容器101の第一の端部1015aと第二の端部1015bとの間から容器101内にマイクロ波が照射可能となるような位置であれば、その位置は問わない。マイクロ波発振器1021が容器101内にマイクロ波を照射する位置(例えば、照射開口部1013が設けられている位置等)は、例えば、容器101の形状や、容器101に保持される内容物の高さ、照射手段102が出射するマイクロ波の波長等に応じて決定される。また、ここでは、導波管1022の軸方向が、容器101の長手方向に対し垂直となるよう、容器101の側面に取付けられている場合について説明するが、導波管1022が容器101の側面に対して取付けられている角度等は問わない。例えば、導波管1022は、軸方向が容器101の長手方向に向かって傾斜するよう取付けられていてもよい。
【0069】
マイクロ波発振器1021は、マイクロ波を発生する。マイクロ波発振器1021が発生したマイクロ波は、マイクロ波発振器1021に接続された導波管1022を伝送され、導波管1022の容器101と接続された端部から、照射開口部1013を介して容器101内にそれぞれ出射される。このため、通常、マイクロ波発振器1021が発生するマイクロ波が、照射手段102が出射するマイクロ波となる。マイクロ波発振器1021が出射するマイクロ波の周波数や強度等は問わない。各マイクロ波発振器1021が出射するマイクロ波の周波数は、例えば、915MHzであっても良く、2.45GHzであってもよく、5.8GHzであってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数であっても良い。マイクロ波発振器1021は、例えば、マグネトロン、クライストロン、ジャイロトロン、または半導体型発振器等である。
【0070】
導波管1022は、マイクロ波を伝送する伝送部として用いられる。導波管1022は、通常、マイクロ波発振器1021が発生するマイクロ波の周波数に合わせた形状のものが用いられる。なお、導波管1022の端部と接続される照射開口部1013は、マイクロ波透過性の高いPTFE等のフッ素化ポリマー、ガラス、ゴム、およびナイロン等の材料で塞がれていても良い。例えば、これらの材料で構成されたプレート等で塞がれていても良い。照射手段102が、容器101内にマイクロ波を出射する位置は、例えば、導波管1022の容器101と接続される端部の開口部の中心と考えてもよい。なお、導波管1022は、容器101側の端部が、容器101内に突出するよう容器101に取付けられていてもよい。例えば、導波管1022の容器101側の端部が、照射開口部1013内を通って、容器101内に突出していても良い。また、導波管1022の容器101側の端部は、PTFE等のフッ素化ポリマー、ガラス、ゴム、およびナイロン等のマイクロ波透過性の高い材料で塞がれていることが好ましい。例えば、これらの材料で構成されたプレート等で塞がれていても良い。導波管1022を塞ぐ位置は、容器101側の部分(例えば、容器101側の端部)であるが、他の位置で塞いでいても良い。なお、照射開口部1013がマイクロ波透過性の高い材料で塞がれていてもよく、この場合も、結果的に、導波管1022が塞がれていると考えてもよい。
【0071】
なお、照射手段102は、マイクロ波を容器101内に照射可能なものであれば、上記以外のものであっても良い。また、例えば、照射手段102は、一カ所から容器101内にマイクロ波を照射するものに限られるものではなく、容器101の第一の端部1015aである下端部と第二の端部1015bである上端部との間の1または2以上の位置から、容器101内にマイクロ波を照射するものであれば良い。例えば、照射手段102は、マイクロ波発振器1021と、容器101の下端部と上端部との間に設けられた2以上の照射開口部1013のそれぞれと接続された導波管1022との、2以上の組を有しており、各マイクロ波発信器1021が発生するマイクロ波を、導波管1022を介して、容器101の第一の端部1015aと第二の端部1015bとの間の位置から容器101内に出射するようにしても良い。
【0072】
また、一のマイクロ波発振器1021に対して、2以上に分岐した構造を有する導波管1022を接続するようにし、分岐した導波管1022の端部を、容器101の第一の端部1015aである下端部と第二の端部1015bである上端部との間となる位置に設けられた異なる照射開口部1013に接続し、一のマイクロ波発振器1021から発生したマイクロ波を、導波管1022により複数に分岐して、容器101の下端部と上端部との間の複数の位置から、容器101内に出射するようにしても良い。
【0073】
また、照射手段102は、例えば、導波管1022の容器101と接続された端部、あるいは、この端部が接続された照射開口部1013に接続されたアンテナ(図示せず)を更に有していても良い。このアンテナは、マイクロ波を容器101に出射するためのものであり、容器101内に設置される。この場合、このアンテナが照射手段102のマイクロ波を出射する部分となり、照射手段102がマイクロ波を出射する位置は、例えば、このアンテナのマイクロ波を出射する位置と考えてもよい。
【0074】
また、上記の照射手段102において、マイクロ波発振器1021が発生するマイクロ波を伝送する伝送路として、導波管1022の代わりに、同軸ケーブル等の他の伝送部を用いるようにしても良い。例えば、一端をマイクロ波発振器1021と接続した同軸ケーブルの他端を、容器101に設けられた照射開口部1013に挿入することで、同軸ケーブルを介して容器101内にマイクロ波を照射することが可能となる。また、導波管1022等の伝送部を使用せずにマイクロ波発振器1021が発生するマイクロ波を容器101内に照射できる場合、伝送部は省略しても良い。
【0075】
また、照射手段102は、例えば、同軸ケーブル等の伝送部の、容器101と接続された端部(あるいは、この端部と接続された照射開口部1013)に接続されたアンテナ(図示せず)を更に有していても良い。このアンテナは、マイクロ波を容器101に出射するためのものであり、容器101内に設置される。この場合、このアンテナが照射手段102のマイクロ波を出射する部分となり、照射手段102がマイクロ波を出射する位置は、例えば、このアンテナのマイクロ波を出射する位置と考えてもよい。
【0076】
また、照射手段102は、異なる周波数のマイクロ波を容器101内に出射するものであっても良い。例えば、照射手段102が発生するマイクロ波の周波数が異なる複数のマイクロ波発振器1021を有するようにし、各マイクロ波発振器1021から異なるマイクロ波を出射するようにしても良い。照射手段102は、異なる周波数のマイクロ波を、容器101内に同時に出射しても良く、異なる周波数のマイクロ波を切替えて異なるタイミングに出射するようにしてもよい。また、照射手段102が、出射するマイクロ波の周波数を変更可能な1以上のマイクロ波発振器1021を有するようにして、各マイクロ波発振器1021が照射するマイクロ波の周波数を適宜変更するようにして、容器101内に照射されるマイクロ波を異なる周波数のマイクロ波としても良い。
【0077】
第一のフィルタ105は、固相合成に用いられる固相樹脂を容器101内の内容物から分離するものである。固相合成に用いられる固相樹脂は、ここでは、例えば、内容物中の分離対象となる固形物と考えてよい。第一のフィルタ105は、例えば、濾過によって、内容物から固相樹脂よりもサイズ(例えば粒径等)が小さいもの(例えば、液体や、固相樹脂よりもサイズが小さい固体等)と、固相樹脂以上の大きさの固体を分離するためのものである。第一のフィルタ105は、ここでは、マイクロ波透過性材料により構成されている。マイクロ波透過性材料とは、例えば、マイクロ波透過性が高い材料である。マイクロ波透過性が高い材料は、例えば、比誘電損失が小さい材料である。また、マイクロ波透過性材料は、例えば、耐腐食性に優れた化学的に不活性な材料で構成されていることが好ましい。例えば、第一のフィルタ105は、PTFE等のフッ素化ポリマーや、ポリプロピレン、石英、ガラス、ナイロン、ゴム等で構成されている。
【0078】
第一のフィルタ105は、例えば、固相合成に用いられる固相樹脂を容器101内の内容物から分離するための複数の孔を有する。孔は、例えば、上面1051から裏面に連通している孔である。第一のフィルタ105の上面1051は、ここでは、第一のフィルタ105の第二の端部1015b側の面である。第一のフィルタ105は、例えば、多孔質材料により構成されている。ただし、第一のフィルタ105は、メッシュ等であっても良い。容器101内の内容物は、例えば、上述したような、固相合成を行なうために用いられる固相樹脂を含む液体(例えば、懸濁液)である。この液体は、例えば、固相合成に用いられる上述したような活性化剤やアミノ酸等が溶解または懸濁している液体である。また、固相樹脂を含む液体は、固相樹脂と固相樹脂を洗浄するための溶媒等の液体の懸濁液等であっても良い。第一のフィルタ105が有する複数の孔は、例えば、内容物に含まれる固相樹脂を通過させないサイズの孔であって、内容物の固相樹脂以外を通過させることができるサイズの孔である。なお、この複数の孔は、例えば、内容物の固相樹脂以外の全てを通過させることができるサイズの孔であってもよく、内容物の固相樹脂以外の一部を通過させることができるサイズの孔であってもよい。内容物の固相樹脂以外とは、例えば、溶媒や、溶媒に溶けた状態の固相合成に用いられる活性化剤、脱保護剤等の物質や、溶媒に溶解または懸濁している状態のアミノ酸等であり、固相樹脂よりもサイズが小さいものである。第一のフィルタ105が有する複数の孔は、例えば、内容物に含まれる固相樹脂よりもサイズが小さく、内容物の固相樹脂以外よりもサイズが大きい孔である。例えば、第一のフィルタ105が有する複数の孔は、内容物に含まれる固相樹脂の粒径よりもサイズが小さい孔である。これにより、容器101内の内容物のうちの、固相樹脂だけが、濾過により分離されて第一のフィルタ105の上面1051に残り、溶媒に溶解している活性化剤や脱保護剤等や、溶媒に溶解または懸濁しているアミノ酸等は、溶媒とともに、第一のフィルタ105が有する孔を通過することとなる。例えば、固相樹脂として、直径が50μm〜150μmの粒状の固相樹脂を用いる場合、第一のフィルタ105の孔の直径は、これらよりも小さい値、例えば、50μm未満等であることが好ましい。
【0079】
なお、第一のフィルタ105により濾過されて分離される固相樹脂とは、固相樹脂単体であっても良く、リンカー分子や、1以上のアミノ酸や、ペプチド等が結合した状態の固相樹脂であってもよい。例えば、上述した第一のフィルタ105は、アミノ酸やペプチドが結合した状態の固相樹脂を、容器101内の内容物から分離するための複数の孔を有しているものと考えてもよい。内容物から第一のフィルタ105で分離される固相樹脂を、リンカー分子や、1以上のアミノ酸や、ペプチド等が結合されているか否かに関わらず、固相樹脂を含有する固体である樹脂含有固体と呼ぶようにしても良い。例えば、第一のフィルタ105は、容器101内の内容物から樹脂含有固体を分離するものと考えてもよい。かかることは、後述する第一の反射部材106の説明においても同様である。
【0080】
第一のフィルタ105は、容器101の第一の端部1015aと、照射手段102がマイクロ波を出射する位置との間に、容器101を仕切るよう配置されている。第一の端部1015aは、上述したように、ここでは容器101の下端部である。照射手段102がマイクロ波を出射する位置を、以下、出射位置と称す。出射位置は、例えば、照射開口部1013の位置と考えても良く、上述した出射部の位置と考えてもよい。また、出射位置に対する第一のフィルタ105や、後述する第一の反射部材106、第二のフィルタ107、第二の反射部材108等の位置関係は、照射開口部1013や出射部に対する位置関係と読み替えてもよい。第一のフィルタ105は、容器101の長手方向(ここでは、高さ方向)において第一の端部1015aから離れた位置に配置されている。第一のフィルタ105を第一の端部1015aと出射位置との間に配置するということは、例えば、第一のフィルタ105の容器101の長手方向における位置が、第一の端部1015aと出射位置との間となるように第一のフィルタ105を配置することである。第一のフィルタ105が容器101を仕切るよう配置されている、ということは、例えば、第一のフィルタ105で仕切られた2つの領域間において、容器101内の内容物が第一のフィルタ105を通ることなく移動しないように第一のフィルタ105を設けることである。本実施の形態においては、第一のフィルタ105の外周部分と容器101の側面との間に間隙が生じないよう第一のフィルタ105が設けられている例を示している。第一のフィルタ105は、例えば、表面が略平面である場合、この表面が、容器101の長手方向に対して、垂直となるよう配置されていることが好ましい。第一のフィルタ105が、第一の開口部1011aと照射手段102がマイクロ波を出射する位置との間に、容器101を仕切るよう配置されている、ということは、例えば、第一のフィルタ105が、第一の開口部1011aと、照射手段102がマイクロ波を出射する位置と、の間に配置されるとともに、容器101の内容物が、第一のフィルタ105に対して照射手段102側となる領域と、第一のフィルタ105に対して第一の開口部1011a側となる領域との間で、第一のフィルタ105を通ることなく移動しないように、第一のフィルタ105が配置されることである。
【0081】
本実施の形態においては、一例として、PTFE製の多孔質材料で構成されるシート状の第一のフィルタ105を用いている場合について説明する。第一のフィルタ105は、上面1051が略平坦であり、上面1051が水平となるよう、容器101内に配置されている。本実施の形態においては、このように第一のフィルタ105を配置することで、第一のフィルタ105で容器101を上下に仕切っている。ただし、第一のフィルタ105の上面1051は、略平坦でなくても良く、例えば、凹凸が設けられていてもよい。また、第一のフィルタ105は、上面1051が水平に対して傾斜して配置されていても良い。
【0082】
なお、ここでは第一のフィルタ105がシート状である場合について説明しているが、第一のフィルタ105は、平板状等のシート状以外の形状の第一のフィルタであっても良い。また、第一のフィルタ105の厚さや、強度等は問わない。第一のフィルタ105は、略均等な厚さを有していることが好ましいが、不均一な厚さを有していても良い。
【0083】
なお、第一のフィルタ105は、容器101の高さの1/4以下の高さとなる位置に配置されることが、固相成長の処理が行なわれる領域を十分に確保するうえで好ましいが、1/4より高い高さ位置に第一のフィルタ105を配置しても良い。
【0084】
第一の反射部材106は、容器101の第一の端部1015aと、出射位置との間に、容器101を仕切るよう配置されている。第一の反射部材106は、容器101の長手方向(ここでは、高さ方向)において第一の端部1015aから離れた位置に配置されている。第一の反射部材106を第一の端部1015aと出射位置との間に配置するということは、例えば、第一の反射部材106の容器101の長手方向における位置が、第一の端部1015aと出射位置との間となるように第一の反射部材106配置することである。ここでは、第一の反射部材106が、容器101内の第一のフィルタ105と第一の端部1015aとの間に、容器101を仕切るように配置されている例を示している。ここでは、特に、第一の反射部材106上、すなわち第一の反射部材106の第二の端部1015b側に、第一のフィルタ105が重ねて配置されている例を示している。
【0085】
第一の反射部材106が容器101を仕切るように配置されているということは、例えば、出射位置から容器101内に出射されたマイクロ波が、第一の反射部材106よりも下方、すなわち第一の端部1015a側に透過しないように、第一の反射部材106が容器101内に配置されていることである。第一の反射部材106の表面が略平面である場合、第一の反射部材106は、例えば、この表面が、容器101の長手方向に対して、垂直となるよう配置されていることが好ましい。ここでは、第一の反射部材106の上面1061が水平となるよう、容器101内に第一の反射部材106を配置されており、第一の反射部材106で容器101が上下方向に仕切られている。
【0086】
第一の反射部材106上に重ねて配置されるということは、例えば、第一の反射部材106の第二の端部1015b側の面である上面1061に配置されることである。ここでは、第一の反射部材106は、平板状の部材であり、その上面1061は略平坦であり、上面1061が水平となるよう容器101内に配置されており、その上面1061上に第一のフィルタ105が重ねて配置されている。第一の反射部材106の上面1061は、シート状や平板状の第一のフィルタ105が安定して載置可能な形状であることが好ましい。なお、第一の反射部材106の上面1061は、略平坦でなくても良い。また、第一の反射部材106は、上面1061が水平に配置されていなくても良い。また、第一の反射部材106は、平板状の部材でなくても良い。
【0087】
第一の反射部材106の材料は、マイクロ波反射性を有する材料であるステンレスである。第一の反射部材106は、少なくとも第一のフィルタ105を通過する容器101内の内容物が通過可能なサイズの、平面形状が円形である複数の孔106aを有している。孔106aは、例えば、上面1061から裏面1062に連通している孔である。各孔106aの直径は、少なくとも第一のフィルタ105を通過する容器101内の内容物が通過可能なサイズで、かつ、照射手段102が出射するマイクロ波を反射させるサイズに設定されている。少なくとも第一のフィルタ105を通過する容器101内の内容物が通過可能なサイズとは、例えば、容器101内の内容物のうちの、第一のフィルタ105を通過する内容物が通過可能なサイズ以上のサイズであれば良く、例えば、容器101内の内容物の、第一のフィルタ105で分離される固相樹脂を除いた部分が通過可能なサイズであっても良く、固相樹脂も含めた内容物が通過可能なサイズであっても良い。マイクロ波反射性を有する材料で構成されたプレートに設けられた孔の直径や、マイクロ波反射性を有する材料で構成されたメッシュの開口部の最も広い部分の幅が、照射手段102が出射するマイクロ波の半波長よりも小さければ、このプレートや、メッシュにおいてマイクロ波が反射されることから、第一の反射部材106に設けられた複数の孔106aの直径を、例えば、照射手段102が出射するマイクロ波の半波長よりも小さく、第一のフィルタ105を通過する内容物が通過可能なサイズよりも大きいサイズとすればよい。なお、第一の反射部材106の孔106aのサイズは、例えば、照射手段102が出射するマイクロ波の半波長よりも小さいサイズであって、第一のフィルタ105を通過した内容物の通過を妨げないサイズであることが好ましい。複数の孔106aの数や配列パターン等は問わない。本実施の形態においては、第一の反射部材106の一例として、照射手段102が出射するマイクロ波を反射させるサイズの複数の孔106aを有するステンレス製のパンチングメタルを用いている。これにより、第一の反射部材106は、照射手段102が出射するマイクロ波を反射するようになっている。通常の固相合成においては、固相樹脂が、容器101内の内容物の中ではサイズが最も大きいため、第一の反射部材106を固相樹脂が通過可能であれば、固相樹脂以外の内容物も第一の反射部材106を通過可能となる。なお、
図2(b)、
図2(d)等は説明のための図であって、これらの図の第一の反射部材106に設けられている複数の孔のサイズと、第一の反射部材106のサイズとの関係や、孔106aの配置や、孔106aの数等は、説明のためのものであり、実際の第一の反射部材106とは必ずしも同じではない。
【0088】
なお、ここでの第一の反射部材106によるマイクロ波の反射は、第一の反射部材106に照射されたマイクロ波の全ての反射であっても良いが、全ての反射でなくても良い。例えば、照射されたマイクロ波の一部が第一の反射部材106を通過して、その残りが反射しても良く、また、照射されたマイクロ波の一部が、第一の反射部材106によって吸収されてもよい。
【0089】
なお、第一の反射部材106は、照射手段102が出射するマイクロ波を反射するものであれば、どのような材料で構成されていてもよく、また、どのような形状およびサイズを有していても良い。例えば、第一の反射部材106は、ステンレス以外のマイクロ波反射性の材料(例えば、ステンレス以外の金属等)で構成されていても良い。ただし、第一の反射部材106の材料は、耐腐食性に優れ、化学的に安定な材料であることが好ましい。なお、第一の反射部材106の材料として、金属を用いるとともに、その表面を、PTFE等の耐腐食性を有するマイクロ波透過性を有する材料でコーティングすることで、マイクロ波反射性を損ねることなく、耐腐食性を向上させても良い。また、第一の反射部材106に設けられた複数の孔の平面形状は、マイクロ波を反射可能なサイズを有するものであれば、上述した丸形以外の形状(例えば、多角形形状)であってもよい。第一の反射部材106は、例えば、マイクロ波反射性を有する材料で構成されており、照射手段102が出射するマイクロ波を透過させない複数の孔を備えた板状の形状を有している部材であってもよい。
【0090】
また、第一の反射部材106は、少なくとも第一のフィルタ105を通過した容器101内の内容物が通過可能であって、マイクロ波を反射可能な形状を有するものであれば、上記のような複数の孔を有する平板状の部材でなくても良く、どのような形状およびサイズを有するものであっても良い。例えば、第一の反射部材106は、マイクロ波を通過させないサイズの孔である開口部を複数有するマイクロ波反射性の材料で構成されたメッシュ等であっても良い。また、第一の反射部材106は、少なくとも第一のフィルタ105を通過した内容物が通過可能であって、マイクロ波を反射可能なものであれば、上記以外のものであってもよく、例えば、固相樹脂を通過可能な孔を有する多孔質の金属製のフィルタ等であっても良い。なお、第一の反射部材106によって、第一のフィルタ105を下から補強し、支持する場合、第一の反射部材106の材料は、金属等の強度の高い材料であることが好ましい。
【0091】
第二のフィルタ107は、容器101の第二の端部1015bと、出射位置との間に、容器101を仕切るよう配置されている。第二の端部1015bは、上述したように、ここでは容器101の上端部である。第二のフィルタ107は、容器101の長手方向(ここでは、高さ方向)において第二の端部1015bから離れた位置に配置されている。第二のフィルタ107を第二の端部10115bと出射位置との間に配置するということは、例えば、第二のフィルタ107の容器101の長手方向における位置が、第二の端部1015bと出射位置との間となるように第二のフィルタ107を配置することである。第二のフィルタ107を容器101を仕切るよう配置するということは、例えば、第一のフィルタ105を、容器101を仕切るように配置する場合と同じように、第二のフィルタ107を配置することと考えてよい。
【0092】
第二のフィルタ107は、固相合成に用いられる固相樹脂を容器101内の内容物から分離するものである。第二のフィルタ107としては、例えば、上述した第一のフィルタ105と同様のものを用いることができるため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、第二のフィルタ107は、第一のフィルタ105と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。例えば、第二のフィルタ107の材質は、マイクロ波透過性材料であれば、第一のフィルタ105と同じ材質であってもよく、異なる材質であっても良い。また、例えば、第二のフィルタ107が有する複数の孔は、固相合成に用いられる固相樹脂を容器101内の内容物から分離することが可能なサイズや形状等であれば、第一のフィルタ105と同じサイズや形状等の孔であっても良く、異なるサイズや形状等の孔であってもよい。
【0093】
なお、第二のフィルタ107は、容器101の高さの3/4以上の高さとなる位置に配置されることが、固相成長の処理が行なわれる領域を十分に確保するうえで好ましいが、3/4より低い位置に第二のフィルタ107を配置しても良い。
【0094】
第二の反射部材108は、容器101の第二の端部1015bと、出射位置との間に、容器101を仕切るよう配置されている。第二の反射部材108は、容器101の長手方向(ここでは、高さ方向)において第二の端部1015bから離れた位置に配置されている。ここでは、第二の反射部材108が、容器101内の第二のフィルタ107と第二の端部1015bとの間に、容器101を仕切るように配置されている例を示している。ここでは、特に、二の反射部材108が、第二のフィルタ107上、すなわち第二のフィルタ107の第二の端部1015b側に重ねて配置されている例を示している。
【0095】
第二の反射部材108は、例えば、出射位置から容器101内に出射されたマイクロ波が、第二の反射部材108よりも上方、すなわち第二の反射部材108よりも第二の端部1015b側に透過しないように配置される点が異なることを除けば、第一の反射部材106と同様に、容器101を仕切るように配置されている。
【0096】
第二の反射部材108は、第一のフィルタ105が第一の反射部材106上に重ねて配置される場合と同様に、第二のフィルタ107上、すなわち第二のフィルタ107の第二の端部1015b側、に重ねて配置される。なお、第二のフィルタ107が、第二の反射部材108の下側、すなわち第一の端部1015a側、に重なるよう配置されるため、第二のフィルタ107は、第二の反射部材108の第一の端部1015a側に固定されることが好ましい。固定はどのように行なっても良く、例えば、第二のフィルタ107がシート状のフィルタである場合のように、第二のフィルタ107の硬さが不足している場合、第二のフィルタ107を、第二の反射部材108の下側に接着剤等で接着しても良く、留め具(図示せず)等で第二の反射部材108の下側に落下しないよう留めるようにしてもよい。
【0097】
第二の反射部材108は、少なくとも第二のフィルタ107を通過する容器101内の内容物(例えば、合成に用いられる固相樹脂を第二のフィルタ107で分離した後の内容物)が通過可能であって、照射手段102が出射するマイクロ波を反射するものである。第二の反射部材108の材料は、例えば、マイクロ波反射性を有する材料であるステンレスである。第二の反射部材108は、例えば、少なくとも第二のフィルタ107を通過する容器101内の内容物が通過可能なサイズの、平面形状が円形である複数の孔108aを有している。第二の反射部材108としては、例えば、上述した第一の反射部材106と同様のものを用いることができるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0098】
なお、第二の反射部材108は、第一の反射部材106と同じものであってもよく、異なるものであってもよい。例えば、第二の反射部材108の材質は、マイクロ反射性を有する材料であれば、第一の反射部材106と同じ材質であってもよく、異なる材質であっても良い。また、例えば、第二の反射部材108が有する複数の孔は、固相合成に用いられる固相樹脂を除去した内容物を通過させることが可能なサイズや形状等であれば、第一の反射部材106と同じサイズや形状等の孔であっても良く、異なるサイズや形状等の孔であってもよい。
【0099】
容器101の、第一のフィルタ105および第一の反射部材106よりも第一の端部1015a側には、第一の開口部1011aが設けられている。第一のフィルタ105および第一の反射部材106よりも第一の端部1015a側に、第一の開口部1011aが設けられているということは、第一のフィルタ105よりも第一の端部1015a側であり、かつ第一の反射部材106よりも第一の端部1015a側である位置に、第一の開口部1011aが設けられていることを意味する。第一のフィルタ105および第一の反射部材106よりも第一の端部1015a側とは、例えば、第一のフィルタ105および第一の反射部材106の両方よりも第一の端部1015a側と考えてもよい。第一の開口部1011aは、容器101の内容物を排出するための開口部である。ここでの内容物の排出は、内容物の全ての排出でなくてもよい。容器101内の内容物とは、例えば、上述したような固相合成に用いられる物質や、溶媒等や、洗浄用の液体(例えば溶媒)等である。液状の内容物は、溶液および懸濁液等を含む概念である。第一の開口部1011aから排出される内容物は、例えば、排出前に容器101内に保持されていた内容物から、後述する第一のフィルタ105で濾過された部分であり、内容物から濾過により分離された固相樹脂を除いた部分である。ここでは、第一の開口部1011aが一つ設けられている例を示しているが、複数の第一の開口部1011aが設けられていても良い。第一の開口部1011aは、容器101内の内容物が、自然に排出されるよう、容器101の最下部に設けられていることが好ましい。第一の開口部1011aのサイズおよび形状は問わない。なお、第一の開口部1011aの大きさは、容器101の、第一の端部1015aから離れた部分(例えば、長手方向の中心近傍部分や、第一のフィルタ105または第一の反射部材106が設けられている部分)の大きさよりも小さくなっていることが好ましい。第一の端部1015aから離れた部分は、例えば、容器101の長手方向において第一の端部1015aから離れた部分である。第一の端部1015aから離れた部分は、第一の開口部1011aから離れた部分と考えてもよい。
【0100】
容器101の、第二のフィルタ107および第二の反射部材108よりも第二の端部1015b側、すなわち上端部側には、第二の開口部1011bが設けられている。第二のフィルタ107および第二の反射部材108よりも第二の端部1015b側に、第二の開口部1011bが設けられているということは、第二のフィルタ107よりも第二の端部1015b側であり、かつ第二の反射部材108よりも第二の端部1015b側である位置に、第二の開口部1011bが設けられていることを意味する。第二のフィルタ107および第二の反射部材108よりも第二の端部1015b側とは、例えば、第二のフィルタ107および第二の反射部材108の両方よりも第二の端部1015b側と考えてもよい。かかることは、一の開口部等が、二つの部材よりも、ある一の側に設けられている他の状況においても同様である。第二の開口部1011bは、容器101内への内容物の供給が行なわれる開口部である。第二の開口部1011bから供給される内容物は、例えば、固相合成に用いられる物質や溶媒、洗浄用の液体、気体等である。第二の開口部1011bから供給される内容物は、容器101内に供給される内容物の全てであっても良く、一部であってもよい。第二の開口部1011bから供給される内容物は、例えば、第二のフィルタ107を通過可能な内容物である。第二の開口部1011bから供給される内容物は、例えば、固相樹脂以外の、固相合成に用いられる物質や溶媒、洗浄用の液体、気体等である。ここでは、第二の開口部1011bが一つ設けられている例を示しているが、複数の第二の開口部1011bが設けられていても良い。第二の開口部1011bのサイズおよび形状は問わない。第二の開口部1011bは、後述する第二のバルブ103b等がない場合、内容物の供給時以外は、図示しないキャップや、蓋、栓等により塞がれているようにしてもよい。なお、第二の開口部1011bの大きさは、容器101の、第二の端部1015bから離れた部分(例えば、長手方向の中心近傍部分や、第二のフィルタ107または第二の反射部材108が設けられている部分)の大きさよりも、小さくなっていることが好ましい。第二の端部1015bから離れた部分は、例えば、容器101の長手方向において第二の端部1015bから離れた部分である。第二の端部1015bから離れた部分は、第二の開口部1011bから離れた部分と考えてもよい。
【0101】
容器101の、第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二のフィルタ107および第二の反射部材108とに挟まれた領域には、第三の開口部1011cが設けられている。第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二のフィルタ107および第二の反射部材108とに挟まれた領域とは、例えば、第一のフィルタ105および第一の反射部材106の両方と、第二のフィルタ107および第二の反射部材108の両方とに挟まれた領域である。例えば、第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二のフィルタ107および第二の反射部材108とに挟まれた領域とは、第一のフィルタ105および第一の反射部材106のうちの、第二の端部1015bに近いものと、第二のフィルタ107および第二の反射部材108のうちの、第一の端部1015aに近いものとに挟まれた領域である。第三の開口部1011cは、容器101内に、固相合成に用いられる物質や溶媒、洗浄用の液体、気体等を容器101内に供給するため開口部である。第三の開口部1011cから供給される内容物は、例えば、固相合成に用いられる物質や溶媒、洗浄用の液体、気体等である。第三の開口部1011cから供給される内容物は、容器101内に供給される内容物の全てであっても良く、一部であってもよい。第三の開口部1011cから供給される内容物は、例えば、第一のフィルタ105および第二のフィルタ107を通過できない内容物である。第三の開口部1011cから供給される内容物は、例えば、固相樹脂や、固相樹脂を含む固相合成に用いられる物質や溶媒等である。例えば、容器101内の第一のフィルタ105と第二のフィルタ107とで仕切られた領域には、第二の開口部1011bから固相樹脂が供給できないため、この領域には、第三の開口部1011cから固相樹脂が供給される。ここでは、第三の開口部1011cが一つ設けられている例を示しているが、複数の第三の開口部1011cが設けられていても良い。第三の開口部1011cのサイズおよび形状は問わない。
【0102】
第三の開口部1011cは、供給時以外は、図示しないキャップや、栓等により塞ぐことが可能なものであることが好ましい。第三の開口部1011cには、容器101内に供給する内容物を第三の開口部1011cまで送るための配管(図示せず)等がバルブ(図示せず)等を介して接続されていてもよい。また、第三の開口部1011cには、容器101内に内容物等を供給するための、容器101内に向かって伸びる1以上のノズル(図示せず)等が設けられていても良い。このノズルは着脱可能なものであっても良い。ここでは、第三の開口部1011cが開閉可能な蓋1012aで閉じられている場合を示している。
【0103】
なお、容器101内には、内容物を撹拌する撹拌手段(図示せず)が設けられていても良い。撹拌手段は、例えば、撹拌翼と、この撹拌翼の回転中心に取付けられた回転軸と、この回転軸を回転させるモータ等の回転装置とで実現されても良い。撹拌翼の数や、形状等は問わない。また、回転軸の伸びる方向は、鉛直方向であっても良く、水平方向であっても良く、これら以外の方向であっても良い。また、撹拌手段は、液状の内容物内に気泡を噴出させることで内容物を気泡により撹拌(即ち、バブリングにより撹拌)する手段であってもよい。撹拌手段は、例えば、内容物の下部や、側面等に設けられた、窒素等の不活性ガスを吹き出す開口部やノズルと、これらと配管等を介して接続され、これらに対してガスを供給するボンベ等のガス供給手段との組み合わせ等であっても良い。なお、不活性ガスの代りに、固相合成に影響を与えない、あるいは影響が少ないガスを用いても良い。
【0104】
なお、容器101は、内部や外部に、温度センサ等の容器101内の温度を測定するための手段(図示せず)を備えていても良い。また、容器101内の温度を、この温度を測定する手段が取得した値を用いてフィードバック制御するようにしても良い。また、容器101内には、圧力センサ等の温度センサ以外のセンサ等が設けられていてもよい。また、容器101には、容器101の内部をのぞくためのぞき窓(図示せず)が設けられていても良い。のぞき窓は、例えば、マイクロ波反射性の高い材料で構成されており、容器101内のマイクロ波が漏洩しないようなサイズを有しており、ガラス等で塞がれている筒状の部材で実現可能である。ただし、のぞき窓の構造等は問わない。また、容器101は内部の圧力を変更可能なものであっても良い。例えば、容器101は、内部を減圧したり、加圧したりできるものであっても良い。容器101は、例えば、容器101内の圧力を変更するポンプ等の手段(図示せず)等と接続されていても良い。
【0105】
容器101の第一の開口部1011aには、第一のバルブ103aが取付けられている。第一のバルブ103aは、更に配管104aと接続されている。第一のバルブ103aは、第一の開口部1011aからの容器101内の内容物の排出を制御するための排出手段として用いられる。第一のバルブ103aを開くことで、容器101内の内容物が、第一のバルブ103aに接続された配管104aを通って、容器101内から排出される。第一のバルブ103aを閉じることで、容器101内に内容物が保持される。第一のバルブ103aは、手動弁であっても良く、電磁弁等の自動弁であってもよい。第一のバルブ103aの材料は問わない。第一のバルブ103aから容器101内の内容物を直接排出する場合、配管104aを省略しても良い。また、第一のバルブ103aは、上記のように、第一の開口部1011aに直接取付けられても良く、図示しない配管等を介して間接的に取付けられても良い。
【0106】
また、本実施の形態においては、第一のバルブ103aを設けた場合について説明したが、容器101の第一の開口部1011aに取付けられ、容器101内の内容物の排出を制御することができる排出手段であれば、第一のバルブ103a以外の他の排出手段を設けるようにしても良い。例えば、排出手段として、第一の開口部1011aを開閉可能な栓や蓋等を設けるようにしても良い。例えば、容器101の第一の開口部1011aを開閉可能な自動排水栓等を排出手段として第一の開口部1011aに取付けてもよい。なお、本実施の形態においては、第一のバルブ103aが、処理装置1の一部である場合を例に挙げて説明したが、第一のバルブ103a等の排出手段は、処理装置1の一部と考えても良く、処理装置1の一部ではなく、処理装置1の外部に取付けられているもの等と考えてもよい。
【0107】
容器101の第二の開口部1011bには、第二のバルブ103bが取付けられている。第二のバルブ103bは、更に配管104bと接続されている。第二のバルブ103bは、第二の開口部1011bからの容器101内への内容物の供給を制御するための供給手段として用いられる。第二のバルブ103bを開くことで、第二のバルブ103bに接続された配管104aを通って、容器101内へ内容物が供給される。第二のバルブ103bを閉じることで、容器101内への内容物の供給が停止する。第二のバルブ103bとしては、第一のバルブ103aと同様のものが用いられる。第一のバルブ103aから容器101内に内容物を直接供給する場合、配管104bを省略しても良い。また、第二のバルブ103bは、上記のように、第二の開口部1011bに直接取付けられても良く、図示しない配管等を介して間接的に取付けられても良い。
【0108】
また、本実施の形態においては、第二のバルブ103bを設けた場合について説明したが、容器101の第二の開口部1011bに取付けられ、容器101内への内容物の供給を制御することができる供給手段であれば、第二のバルブ103b以外の他の供給手段を設けるようにしても良い。また、第一の開口部1011aから直接、内容物を容器101内に供給する場合、第二のバルブ103b等を設けないようにしてもよい。この場合、第二の開口部1011bを開閉可能な栓や蓋等を設けるようにしても良い。また、例えば、第二の開口部1011bに直接、配管104bを接続して、配管104bを経由して、内容物を容器101内に供給できるようにしても良い。なお、本実施の形態においては、第二のバルブ103bが、処理装置1の一部である場合を例に挙げて説明したが、第二のバルブ103b等の供給手段は、処理装置1の一部と考えても良く、処理装置1の一部ではなく、処理装置1の外部に取付けられているもの等と考えてもよい。
【0109】
本実施の形態の処理装置1においては、マイクロ波反射性の材料により構成された容器101内に、照射手段102からマイクロ波を照射することにより、容器101内にマイクロ波を閉じ込めることができ、内容物に効率良くマイクロ波を照射することができる。また、容器101内のマイクロ波をマルチモードとすることができ、シングルモードと比べて、一箇所にマイクロ波を集中させないようにすることができ、内容物に対して、シングルモードの場合よりも均等にマイクロ波を照射することができる。このため、容器101を大型化しても効率良く均等にマイクロ波を内容物に照射することができることとなる。これにより、本実施の形態においては、容器101を大型化して、固相合成によるペプチド等の処理量を増加させることが可能となる。
【0110】
また、本実施の形態の処理装置1は、第一のフィルタ105を備えていることにより、第一のフィルタ105と、第二のフィルタ107との間に供給した内容物から、固相樹脂を分離して容器101内に残すことができる。これにより、固相樹脂を分離した容器101内に、洗浄用の溶媒を供給して、固相樹脂を洗浄したり、固相樹脂を分離した容器101内に他の材料や溶媒、溶液等を供給して、一旦、固相樹脂を取り出すことなく、固相合成を構成する他の処理を行なうことが可能となる。
【0111】
ここで、大量の内容物を処理可能な大型の容器においては、排出口の大きさは、容器101全体の大きさに対して小さくなる場合が多い。このため、本実施の形態の処理装置1のように、排出時に内容物が排出しやすいよう、容器101の第一の端部101a側の部分である下部が、第二の端部101b側である上方から第一の開口部1011aに向かうに従って、太さが細くなる形状とする場合が多い。このような場合、上記のような固相樹脂を分離するための第一のフィルタ105を、排出口として用いられる第一の開口部1011aに近い場所に、容器101を上下に仕切るように配置すると、第一のフィルタ105を第一の開口部1011aから離れた位置に配置した場合に比べて、第一のフィルタ105の上面の面積が小さくなってしまう。このように第一のフィルタ105の上面1051の面積が小さくなると、内容物を排出する際に、内容物を濾過するスピードが低下するとともに、濾過されて第一のフィルタ105上に残る固相樹脂によって、第一のフィルタ105の孔が塞がれやすくなり、濾過のスピードが更に遅くなったり、濾過が止まってしまうことが考えられる。このため、本実施の形態のように、第一のフィルタ105は、上記のように、第一の開口部1011aから高さ方向において離れた位置に容器101を上下に仕切るように配置することが、第一のフィルタ105の上面の面積を広くするうえで好ましい。
【0112】
このような処理装置1において、固相合成に用いられる固相樹脂や溶媒等を含む内容物が、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107との間の領域に供給されると、容器101内の第一のフィルタ105よりも第一の端部1015a側の領域である下方の領域には、第一のフィルタ105が設けられているため、第一のフィルタ105の上方の領域に保持される内容物から固相樹脂を除いたものが第一のフィルタ105を通して供給されることとなる。なお、ここでの領域は、空間と考えてもよい。
【0113】
しかしながら、本実施の形態の処理装置1のように、固相樹脂を通過させない第一のフィルタ105がマイクロ波透過性を有している処理装置においては、第一の反射部材106を設けなかった場合、固相合成の処理を促進するために、第一のフィルタ105の第二の端部101b側である上方から照射されたマイクロ波は、マイクロ波透過性を有する第一のフィルタ105を透過して、第一のフィルタ105の下方の領域の内容物にも照射されることとなる。この第一のフィルタ105の下方の領域の内容物には、アミノ酸の結合に用いられる固相樹脂を含まないため、この第一のフィルタ105の下方の領域の内容物にマイクロ波を照射しても、固相合成の処理が行なわれることはなく、マイクロ波が、直接、固相合成に寄与せず、無駄なエネルギーを消費することとなる。特に、固相合成の処理量を増加させるために、容器101を大型化した場合、第一のフィルタ105の下方の領域も大型化すると考えられることから、マイクロ波を効率的に利用できなくなることが考えられる。
【0114】
これに対し、本実施の形態の処理装置1においては、第一のフィルタ105の第一の端部側101側である下側に、マイクロ波を反射する第一の反射部材106を設けていることにより、第一のフィルタ105の上方から照射されたマイクロ波は、マイクロ波透過性を有する第一のフィルタ105を透過するが、その下の第一の反射部材106で反射されて、固相樹脂を含む内容物が保持されている第一のフィルタ105よりも上方の領域に戻されることとなるため、マイクロ波は、第一のフィルタ105よりも下方の固相合成が行なわれない領域に照射されにくくすることができるとともに、第一の反射部材106で反射されたマイクロ波も固相合成に利用でき、マイクロ波を効率的に固相合成に利用することが可能となる。特に、固相合成の処理量を増加させるために、容器101を大型化した場合、第一のフィルタ105の下方の領域も大型化すると考えられることから、本実施の形態の処理装置1においては、無駄なエネルギー消費を抑えて、効率良く固相合成を行なうことが可能となる。また、第一の反射部材106は、第一のフィルタ105を通過した内容物が通過可能な形状およびサイズを有しているため、第一の反射部材106が、内容物の排出等を妨げることはない。
【0115】
また、例えば、固相合成に用いられる材料等の内容物を、容器の上端部に達しないように容器内に供給して、上端部側に空間が空いた状態で、容器内にマイクロ波を照射して固相合成の処理を行なう場合、マイクロ波が内容物の存在しない上端部側にまで照射されることとなる。上端部側には、固相樹脂の合成に用いられる内容物が含まれていないため、この部分に照射されたマイクロ波は、直接、固相合成に寄与せず、無駄なエネルギーを消費することとなると考えられる。特に、固相合成の処理量を増加させるために、容器101を大型化した場合、上端部側の内容物が存在しない領域も大型化することも考えられることから、マイクロ波を効率的に利用できなくなることが考えられる。
【0116】
これに対し、本実施の形態の処理装置1においては、第二のフィルタ107と第二の反射部材108とが設けられているため、マイクロ波照射手段が照射したマイクロ波は、第二の反射部材108で反射されて、第二の反射部材108よりも第二の端部1015b側の領域、すなわち、上端部側の領域には照射されにくく、内容物が存在せず固相合成が行なわれない容器101の上端部側の領域へのマイクロ波の照射を防いて、マイクロ波を効率良く利用することができる。また、第二のフィルタ107が、マイクロ波の照射位置と、第二の反射部材108との間に配置されているため、仮に、容器101内に第二の反射部材108よりも高い位置まで内容物が充填されていたとしても、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107との間に供給された固相樹脂が、第二のフィルタ107よりも上方の領域、すなわち、第二の端部1015b側の領域に移動せず、マイクロ波が照射されにくい容器101内の、第二の反射部材108と第二の端部1015bとの間の領域には存在しないため、固相樹脂は、容器101内のマイクロ波が照射される第一の反射部材106と第二の反射部材108とで挟まれた領域に存在することとなり、固相合成に寄与しない固相樹脂を減らして、効率的に固相合成を行なうことができる。
【0117】
また、固相樹脂が、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107との間の領域に供給されてこの領域に存在するとともに、これらと重なるように配置された第一の反射部材106と第二の反射部材108との間にマイクロ波を反射させることができることから、容器101内の第一のフィルタ105と第二のフィルタ107とを取付ける位置によって、固相樹脂が存在する領域を設定するとともに、この領域をマイクロ波が照射される領域に設定して固相合成を行なうことができるため、容器101のサイズ等を変更しなくても、容器101内の固相樹脂が存在する領域のサイズを所望のサイズに設定してこの領域で固相合成を行なうことができ、無駄なエネルギー消費をなくすことができる。例えば、固相合成に用いる固相樹脂の数等にあわせて固相樹脂の存在する領域のサイズを設定して、ほぼこの領域だけにマイクロ波を照射することで、固相合成を行なう領域を固相樹脂の数等に適したサイズに設定でき、無駄なエネルギー消費をなくすことができる。
【0118】
また、本実施の形態の処理装置1においては、第一のフィルタ105が、金属等の反射性材料で構成された第一の反射部材106上に重ねて配置されるため、第一の反射部材106によって、その第二の端部1015b側の面である上面1061に配置される第一のフィルタ105を補強し、支持することができる。このため、例えば、単独では容器101を仕切るように配置することが困難な硬度の低い材料で構成された第一のフィルタ105や、シート状の第一のフィルタ105等を、容器101内を仕切るように配置することができる。これにより、第一のフィルタ105の選択の幅を広げることができる。
【0119】
また、本実施の形態の処理装置1においては、第二のフィルタ107に、金属等の反射性材料で構成された第二の反射部材108が重ねて配置されるため、第二の反射部材108によって、その第一の端部1015b側の面である下面側に配置される第二のフィルタ107を補強し、支持することができる。このため、例えば、単独では容器101を仕切るように配置することが困難な硬度の低い材料で構成された第二のフィルタ107や、シート状の第二のフィルタ107等を、容器101内を仕切るように配置することができる。これにより、第二のフィルタ107の選択の幅を広げることができる。
【0120】
以下、本実施の形態の処理装置1を用いた固相合成の処理の一例について説明する。ここでは、N末端が保護されたアミノ酸が結合されている固相樹脂に対して、脱保護を行なって、更にアミノ酸を脱水反応により結合させる処理について説明する。ただし、ここで固相合成に用いられる物質や、その配合等は一例であり、これ以外の物質等を用いても良いことはいうまでもない。また、ここで行なわれる処理の手順等も一例であり、これ以外の手順で処理を行なっても良い。また、容器101内において、ここで述べる処理以外の固相合成の処理を行なっても良いことはいうまでもなく、ここで述べる処理の一部の処理だけを行なっても良いことはいうまでもない。
【0121】
まず、第一のバルブ103aを閉じて第一の端部1015a側に設けられた第一の開口部1011aから内容物が排出されないようにした状態で、第一のフィルタ105よりも上方であって、第二のフィルタ107よりも下方に設けられた第三の開口部1011cを介して、N末端がFmoc基等で保護されたアミノ酸が結合されている固相樹脂を容器101内に供給し、蓋1012aを閉じる。また、容器101の、第二のフィルタ107および第二の反射部材108よりも第二の端部1015b側である上端部側に設けられた第二の開口部1011bからDMF等を溶媒としたピペリジン溶液等の脱保護溶液を供給する。容器101内には、脱保護溶液を、第二の反射部材108よりも高い位置まで供給する。そして、図示しないノズル等を介して窒素ガスを容器101内の内容物に供給して気泡により撹拌しながら、照射手段102から915MHzのマイクロ波を照射して、脱保護処理を行なう。容器101には、第一のフィルタ105および第二のフィルタ107が設けられているため、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107との間には、脱保護溶液と固相樹脂とが保持され、第一のフィルタ105の下方の領域(すなわち第一のフィルタ105と第一の端部1015aとの間の領域)、および第二のフィルタ107の上方の領域(すなわち第二のフィルタ107と、第二の端部1015bとの間の領域)には脱保護溶液だけが保持される。ただし、脱保護溶液は、第一のフィルタ105、第一の反射部材106、第二のフィルタ107、および第二の反射部材108を通過して移動する。照射手段102が出射したマイクロ波は、第一の反射部材106と第二の反射部材108とにより第一の反射部材106と第二の反射部材108とにより挟まれた領域に反射され、第一のフィルタ105よりも下方の固相樹脂が存在しない領域および第二のフィルタ107よりも上方の固相樹脂が存在しない領域、即ち脱保護処理が不要な領域には、マイクロ波が照射されにくくすることができる。
【0122】
脱保護処理が完了した後、第一のバルブ103aを開くと、容器101内の内容物のうちの、第二の反射部材108の上方の脱保護溶液は、第二の反射部材108、第二のフィルタ107、第一のフィルタ105、第一の開口部1011a、第一のバルブ103a、および配管104aを経て外部に排出され、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107との間の脱保護溶液は、第一のフィルタ105、第一の反射部材106、第一の開口部1011a、第一のバルブ103a、および配管104aを経て外部に排出され、第一の反射部材106の下方の脱保護溶液は、第一の開口部1011a、第一のバルブ103a、および配管104aを経て外部に排出される。容器101内の内容物のうちの脱保護された固相樹脂は、脱保護溶液から分離されて、第一のフィルタ105の上面1051に残る。
【0123】
次に、第二のバルブ103bを開いて、配管104bにより供給されるDMFを、第二の開口部1011bから容器101内に供給して保持した後、DMFを排出して、第一のフィルタ105の上面1051に残った脱保護された固相樹脂を洗浄する。この洗浄処理は複数回行なわれる。
【0124】
次に、脱保護された固相樹脂にアミノ酸を結合するために、HBTU(N,N,N',N'−テトラメチル−O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート)、DIPEA、Fmoc基でN末端が保護された結合用のアミノ酸、および溶媒として用いられるDMFを、第二のバルブ103bを開いて第二の開口部1011bから容器101内に供給し、DMFに、HBTU、DIPEA、結合用のアミノ酸を溶解し、照射手段102からマイクロ波を照射して、N末端が保護されたアミノ酸と、固相樹脂に結合された脱保護されたアミノ酸とを、脱水反応により結合する。上記と同様に、容器101には、第一のフィルタ105および第二のフィルタ107が設けられているため、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107とで挟まれた領域には、DMFに、HBTU、DIPEA、結合用のアミノ酸を溶解させた結合用の溶液と、脱保護された固相樹脂とが保持され、第一のフィルタ105の下方の領域および第二のフィルタ107の上方の領域には結合用の溶液だけが保持される。ただし、結合用の溶液は、第一のフィルタ105、第一の反射部材106、第二のフィルタ107、および第二の反射部材108を通過して移動する。照射手段102が出射したマイクロ波は、第一の反射部材106と第二の反射部材108とにより第一の反射部材106と第二の反射部材108とにより挟まれた領域に反射され、第一のフィルタ105よりも下方の固相樹脂が存在しない領域および第二のフィルタ107よりも上方の固相樹脂が存在しない領域、即ちアミノ酸を結合する処理が不要な領域には、マイクロ波が照射されにくくすることができる。
【0125】
アミノ酸の結合が終了した後、第一のバルブ103aを開くと、結合用の溶液は、容器101内から排出され、第一のフィルタ105の上面1051に、N末端が保護されたアミノ酸が新たに結合された固相樹脂が排出されずに残る。
【0126】
その後、上記と同様にDMFを用いた洗浄処理を複数回繰り返す。
【0127】
これにより、第一のフィルタ105の上面1051に、固相樹脂と結合されたペプチドを得ることができる。
【0128】
更に、ペプチドに新たなアミノ酸を結合させる場合には、上記の脱保護の処理と、アミノ酸を結合する一連の処理を繰り返すようにすればよい。
【0129】
第一のフィルタ105の上面1051に残った固相樹脂に結合されたペプチドからの固相樹脂を切り離す場合、例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)とH
2Oとで第一のフィルタ105の上面1051に残った固相樹脂を処理すればよい。また、切り離したペプチドは、例えば、エチルエーテル等で沈殿させ、乾燥すること等により収集する。
【0130】
以上、本実施の形態によれば、マイクロ波反射性を有する容器101内に、マイクロ波を照射するようにしたことにより、容器101を大型化して、固相合成によるペプチド等の処理量を増加させることが可能となる。
【0131】
また、本実施の形態によれば、第一の反射部材106上に、第一のフィルタ105を重ねて配置し、第二の反射部材108を、第二のフィルタ107上に重ねて配置したことにより、第一の反射部材106が第一のフィルタ105を透過したマイクロ波を反射し、第二の反射部材108が第二のフィルタ107を透過したマイクロ波を反射して、第一のフィルタ105の下方および第二のフィルタ107の上方の、固相樹脂が含まれない内容物にマイクロ波が照射されにくくすることができ、マイクロ波を効率良く固相合成の処理に利用することができる。
【0132】
また、本実施の形態によれば、第一の反射部材106上に、第一のフィルタ105を重ねて配置したことにより、第一の反射部材106により、第一のフィルタ105を補強することができ、これにより、例えば、第一のフィルタ105に求められる強度や硬さ等の制限を緩和して、第一のフィルタ105の選択の幅を広げることができる。
【0133】
また、本実施の形態によれば、第二の反射部材108を、第二のフィルタ107に重ねて配置したことにより、第二の反射部材108により、第二のフィルタ107を補強することができ、これにより、例えば、第二のフィルタ107に求められる強度や硬さ等の制限を緩和して、第二のフィルタ107の選択の幅を広げることができる。
【0134】
(第一の変形例)
図3(a)〜
図3(c)は、本実施の形態の処理装置の第一の変形例を説明するための断面図であり、
図1(b)に相当する断面図である。
【0135】
上記実施の形態においては、第一のフィルタ105を第一の反射部材106上、すなわち第一の反射部材106の第二の端部1015b側に重ねて配置した場合について説明したが、第一のフィルタ105と第一の端部1015aとの間、好ましくは、第一のフィルタ105と第一の開口部1011aとの間に第一の反射部材106が配置されれば、第一のフィルタ105を第一の反射部材106上に直接重ねて配置しなくてもよい。
【0136】
例えば、
図3(a)に示すように、第一のフィルタ105と第一の反射部材106とが直接重ならないよう配置しても良い。このような場合においても、第一のフィルタ105を透過したマイクロ波を、第一のフィルタ105の下方に配置された第一の反射部材106で反射して、第一の反射部材106よりも下方の領域にマイクロ波が照射されることを防いで、マイクロ波を効率的に固相合成に利用することができる。ただし、この場合、第一のフィルタ105と、第一の反射部材106との間の、固相樹脂を含まない内容物には、マイクロ波が照射されることとなるため、第一のフィルタ105を第一の反射部材106上に重ねた場合に比べて、マイクロ波を効率的に利用できないことが考えられる。また、この場合、第一の反射部材106により、第一のフィルタ105を補強できないため、第一のフィルタ105として、補強しなくても十分な強度を有する第一のフィルタ105を用いるか、第一のフィルタ105に対して別途、マイクロ波透過性を有する材料の補強部材(例えば、補強フレーム等)を取付けるようにすること等が必要となり、第一のフィルタ105として利用できる材料や構造に制限が生じたり、補強部材等を設けることで構成が複雑化してコスト等が上昇することが考えられる。
【0137】
また、第一のフィルタ105と第一の端部1015aとの間、好ましくは、第一のフィルタ105と第一の開口部1011aとの間に第一の反射部材106が配置する代りに、
図3(b)に示すように、第一のフィルタ105と、マイクロ波の出射位置との間に第一の反射部材106を配置してもよく、このような場合においても、第一の反射部材106でマイクロ波を反射することで、第一のフィルタ105よりも下方の領域に、マイクロ波が照射されにくくして、マイクロ波を効率良く利用することが可能となる。ただし、この場合、第一のフィルタ105よりも上方の領域に固相樹脂が存在するよう、第一の反射部材106は固相樹脂を通過可能なものとする。例えば、第一の反射部材106として、固相樹脂を通過可能な形状およびサイズの複数の孔を有するものを用いるようにする。なお、この場合、第一の反射部材106と、第一のフィルタ105との間に存在する固相樹脂を含む内容物に対して、マイクロ波が照射されにくくなるため、第一の反射部材106と第一のフィルタ105との間の距離が広くなると、固相合成の処理の効率が低下する可能性がある。また、この場合、第一のフィルタ105は、マイクロ波透過性材料以外の材料で構成されていてもよい。
【0138】
また、第一のフィルタ105と、マイクロ波の出射位置との間に第一の反射部材106を配置する場合の一態様として、
図3(c)に示すように、第一のフィルタ105の上面側に第一の反射部材106を重ねて配置するようにしても良い。第一のフィルタ105の上面側とは、第一のフィルタ105の下端部側と考えてもよい。この場合、第一の反射部材106と第一のフィルタ105との間の距離をなくして、上記のような固相合成の処理の効率低下を防ぐことができるとともに、第一のフィルタ105を、第一の反射部材106の下面に対して、接着剤等で接着したり、図示しない留め具や、ネジ等で留めることによって固定することで、第一のフィルタ105を、第一の反射部材106で補強することが可能となる。上記の実施の形態や、
図3(c)のように、第一のフィルタ105と、第一の反射部材106とを、重なるように配置することにより、第一のフィルタ105を、第一の反射部材106で補強することができ、第一のフィルタ105の選択の幅を広げることができる。
【0139】
(第二の変形例)
図4(a)〜
図4(c)は、本実施の形態の処理装置の第二の変形例を説明するための断面図であり、
図1(b)に相当する断面図である。
【0140】
上記においては、第一のフィルタ105と第一の反射部材106とに関する変形例について説明したが、以下に説明するように、第二のフィルタ107と第二の反射部材108とを上記の第一の変形例と同様に変形しても良い。
【0141】
例えば、上記実施の形態においては、第二のフィルタ107上に第二の反射部材108を重ねて配置した場合について説明したが、第二のフィルタ107と第二の端部1015bとの間、好ましくは、第二のフィルタ107と第二の開口部1011bとの間に第二の反射部材108が配置されれば、第二のフィルタ107上に第二の反射部材108を直接重ねて配置しなくてもよい。
【0142】
例えば、
図4(a)に示すように、第二のフィルタ107と第二の反射部材108とが直接重ならないよう配置しても良い。このような場合においても、第二のフィルタ107を透過したマイクロ波を、第二のフィルタ107の上方に配置された第二の反射部材108で反射して、第二の反射部材108よりも上方の領域にマイクロ波が照射されることを防いで、マイクロ波を効率的に固相合成に利用することができる。ただし、この場合、第二のフィルタ107と、第二の反射部材108との間に存在する、固相樹脂を含まない内容物には、マイクロ波が照射されることとなるため、第二のフィルタ107を第二の反射部材108上に重ねた場合に比べて、マイクロ波を効率的に利用できないことが考えられる。また、この場合、第二の反射部材108により、第二のフィルタ107を補強できないため、第二のフィルタ107として、補強しなくても十分な強度を有する第二のフィルタ107を用いるか、第二のフィルタ107に対して別途、マイクロ波透過性を有する材料の補強部材(例えば、補強フレーム等)を取付けるようにすること等が必要となり、第二のフィルタ107として利用できる材料や構造に制限が生じたり、補強部材等を設けることで構成が複雑化してコスト等が上昇することが考えられる。
【0143】
また、第二のフィルタ107と第二の端部1015bとの間、好ましくは、第二のフィルタ107と第二の開口部1011bとの間に、第二の反射部材108を配置する代りに、
図4(b)に示すように、第二のフィルタ107とマイクロ波が出射される出射位置との間に、第二の反射部材108を配置してもよく、このような場合においても、第二の反射部材108でマイクロ波を反射することで、第二のフィルタ107よりも上方の領域、すなわち第二のフィルタ107と第二の端部1015bとの間の領域にマイクロ波が照射されにくくして、マイクロ波を効率良く利用することが可能となる。この場合、第二のフィルタ107で、第二のフィルタ107よりも第二の端部1015b側の領域への固相樹脂の移動を防ぐことができるため、第二の反射部材108は固相樹脂を通過可能なものを用いてもよい。例えば、第二の反射部材108として、固相樹脂を通過可能な形状およびサイズの複数の孔を有するものを用いてもよい。なお、この場合、第二の反射部材108と、第二のフィルタ107との間に存在する固相樹脂を含む内容物に対して、マイクロ波が照射されにくくなるため、第二の反射部材108と第二のフィルタ107との間の距離が広くなると、固相合成の処理の効率が低下する可能性がある。また、この場合、第二のフィルタ107は、マイクロ波透過性材料以外の材料で構成されていてもよい。
【0144】
また、第二のフィルタ107と、マイクロ波の出射位置との間に第二の反射部材108を配置する場合の一態様として、
図4(c)に示すように、第二のフィルタ107の第一の端部1015a側に第二の反射部材108を重ねて配置するようにしても良い。つまり、第二の反射部材108上に、第二のフィルタ107を重ねて配置しても良い。この場合、第二の反射部材108と第二のフィルタ107との間の距離をなくして、上記のような固相合成の処理の効率低下を防ぐことができるとともに、第二のフィルタ107を、第二の反射部材108上に配置して、第二の反射部材108で補強することが可能となる。上記の実施の形態や、
図4(c)のように、第二のフィルタ107と、第二の反射部材108とを、重なるように配置することにより、第二のフィルタ107を、第二の反射部材108で補強することができ、第二のフィルタ107の選択の幅を広げることができる。
【0145】
なお、上記実施の形態においては、第一のフィルタ105が、容器101の第一の端部1015aと、照射手段102のマイクロ波の出射位置との間に配置されており、第一の反射部材106が、第一の端部1015aと、出射位置との間に配置されており、第二のフィルタ107が、容器101の第二の端部1015bと、出射位置との間に配置されており、第二の反射部材108が、容器101の第二の端部1015bと、出射位置との間に配置されている場合について説明したが、第一のフィルタ105が、容器101の第一の端部1015aと、第二の端部1015bとの間に、容器101を仕切るよう配置されており、第一の反射部材106が、第一の端部1015aと、出射位置との間に配置されており、第二のフィルタ107が、第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二の端部1015bとの間に、容器101を仕切るように配置されており、第二の反射部材108が、第一のフィルタ105および出射位置と、第二の端部1015bの間に、容器101を仕切るよう配置されていればよく、このような場合においても、容器101内に照射されたマイクロ波が、第一の反射部材105と第一の端部1015aとの間、および第二の反射部材107と第二の端部1015bとの間に照射されにくくなり、上記実施の形態と同様の効果を奏する。この場合も、固相樹脂等の分離対象となる固形物は、例えば、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107との間に供給するようにすればよい。
【0146】
なお、第二のフィルタ107が、第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二の端部1015bとの間に配置されている、ということは、例えば、第二のフィルタ107が、第一のフィルタ105と第二の端部1015bとの間となり、かつ第一の反射部材106と第二の端部1015bとの間となる位置に配置されていることを意味する。第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二の端部1015bとの間とは、例えば、第一のフィルタ105および第一の反射部材106の両方と、第二の端部1015bとの間と考えてもよい。同様に、第二の反射部材108が、第一のフィルタ105および出射位置と、第二の端部1015bの間に配置されている、ということは、例えば、第二の反射部材108が、第一のフィルタ105と第二の端部1015bとの間となり、かつ出射位置と第二の端部1015bとの間となる位置に配置されていることを意味する。第一のフィルタ105および出射位置と、第二の端部1015bの間とは、第一のフィルタ105および出射位置の両方と、第二の端部1015bの間と考えてもよい。なお、かかることは、ある部材が、2つの部材と1つの部材との間に配置されている他の状況においても同様である。
【0147】
例えば、
図3(a)のように、第一の反射部材106が第一のフィルタ105よりも第一の端部1015a側に配置されており、第一のフィルタ105と第一の反射部材106とが離れて配置されている場合、マイクロ波の出射位置が、容器101の第一のフィルタ105と第一の反射部材106との間となる位置となるようにしてもよい。固相樹脂等の分離対象となる固形物は、例えば、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107との間に供給する。この構成においては、上述したように、第一のフィルタ105は、容器101の第一の端部1015aと、第二の端部1015bとの間に配置され、第二のフィルタ107は、第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二の端部1015bとの間に配置され、第二の反射部材108が、第一のフィルタ105および出射位置と、第二の端部1015bの間に配置されることとなる。容器101の第一のフィルタ105と第一の反射部材106との間となる位置とは、例えば、容器101の高さ方向の位置が、第一のフィルタ105と第一の反射部材106との間となる位置である。例えば、容器101の第一のフィルタ105と第一の反射部材106との間となる位置に照射開口部1013を設けるようにして、この照射開口部1013から照射手段102が容器101内にマイクロ波を照射するようにすれば良い。
【0148】
また、例えば、
図4(a)のように、第二の反射部材108が第二のフィルタ107よりも第二の端部1015b側に配置されており、第二のフィルタ107と第二の反射部材108とが離れて配置されている場合、マイクロ波の出射位置が、容器101の第二のフィルタ107と第二の反射部材108との間となる位置となるようにしてもよい。固相樹脂等の分離対象となる固形物は、例えば、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107との間に供給する。この構成においては、上述したように、第一のフィルタ105は、容器101の第一の端部1015aと、第二の端部1015bとの間に配置され、第二のフィルタ107は、第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二の端部1015bとの間に配置され、第二の反射部材108が、第一のフィルタ105および出射位置と、第二の端部1015bの間に配置されることとなる。ここでの容器101の第二のフィルタ107と第二の反射部材108との間となる位置とは、例えば、容器101の高さ方向の位置が、第二のフィルタ107と第二の反射部材108との間となる位置である。例えば、容器101の第二のフィルタ107と第二の反射部材108との間となる位置に照射開口部1013を設けるようにし、この照射開口部1013から照射手段102が容器101内にマイクロ波を照射するようにすれば良い。
【0149】
なお、上記実施の形態1およびその第一の変形例の処理装置1の、第二のフィルタ107および第二の反射部材108として、上記の第二の変形例において
図4(a)〜
図4(c)を用いてそれぞれ説明した第二のフィルタ107と第二の反射部材108との組み合わせのいずれか一つを用いてもよい。また、上記実施の形態1およびその第二の変形例の、第一のフィルタ105および第一の反射部材106として、上記の第一の変形例において
図3(a)〜
図3(c)を用いてそれぞれ説明した第一のフィルタ105と第一の反射部材106との組み合わせのいずれか一つを用いてもよい。例えば、処理装置1は、上記実施の形態1およびその第一の変形例において説明した第一のフィルタ105と第一の反射部材106との組み合わせのいずれか一つと、上記実施の形態1およびその第二の変形例において説明した第二のフィルタ107と第二の反射部材108との組合せのいずれか一つとを有するものであればよい。
【0150】
(実施の形態2)
本実施の形態の処理装置は、上記実施の形態1において説明した処理装置1において、第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二のフィルタ107と第二の反射部材108と、の代りに、それぞれ、マイクロ波を反射するフィルタを用いるようにしたものである。
【0151】
図5は、本実施の形態における処理装置の一例を示す斜視図(
図5(a))、およびそのVb−Vb線による断面図(
図5(b))である。ただし、
図5(b)においては、バルブの断面等は省略している。
【0152】
本実施の形態の処理装置2は、容器101、照射手段102、第一のバルブ103a、第二のバルブ103b、第一の反射フィルタ205、および第二の反射フィルタ206を備える。容器101は、第一の開口部1011a、第二の開口部1011b、第三の開口部1011c、照射開口部1013を備える。なお、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206以外の構成については、上記実施の形態1と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0153】
第一の反射フィルタ205は、第一のフィルタ105と第一の反射部材106とが一体化されて構成されたフィルタであり、固相樹脂を容器101内の内容物から分離し、照射手段102により容器内に照射されるマイクロ波を反射するフィルタである。第一の反射フィルタ205は、マイクロ波反射性材料であるステンレスで構成されたフィルタであり、固相樹脂を容器101内の内容物から分離するための複数の孔を有している。ただし、第一の反射フィルタ205は、マイクロ波を反射するものであって、固相樹脂を容器101内の内容物から分離できるものあれば、その材料および形状等は問わない。第一の反射フィルタ205は、例えば、ステンレス以外の金属等のマイクロ波反射性材料で構成されていても良い。ただし、第一の反射フィルタ205は、耐腐食性に優れた化学的に安定な材料で構成されていることが好ましい。例えば、第一の反射フィルタ205は、表面を、PTFE等の耐腐食性を有するマイクロ波透過性を有する材料でコーティングした金属製のフィルタ等であっても良い。第一の反射フィルタ205が有する固相樹脂を容器101内の内容物から分離するための複数の孔のサイズ等については、上記実施の形態の第一のフィルタ105が有する孔と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。ステンレス等の金属製のフィルタとしては、例えば、ステンレス製等の金属製のメッシュや、複数の金属メッシュ等を重ねて焼結して一体化した金属フィルタ等が知られている。
【0154】
第一の反射フィルタ205は、第一のフィルタ105と第一の反射部材106を一体化したものであることから、第一のフィルタ105が配置可能な位置であり、かつ第一の反射部材106が配置可能な位置に配置すればよい。このため、第一の反射フィルタ205は、上記実施の形態の第一の反射部材106と同様に、第一の端部1015aと照射手段102がマイクロ波を出射する出射位置との間に、容器101を仕切るよう配置されている。なお、第一の開口部1011aは、第一の反射フィルタ205よりも下端部側、すなわち第一の端部1015a側に設けるようにすればよい。
【0155】
第二の反射フィルタ206は、第二のフィルタ107と第二の反射部材108とが一体化されて構成されたフィルタであり、固相樹脂を容器101内の内容物から分離し、照射手段102により容器内に照射されるマイクロ波を反射するフィルタである。第二の反射フィルタ206としては、第一の反射フィルタ205と同様のものが利用可能である。第一の反射フィルタ205と、第二の反射フィルタ206とは同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
【0156】
第二の反射フィルタ206は、第二のフィルタ107と第二の反射部材108とを一体化したものであることから、第二のフィルタ107が配置可能な位置であり、かつ第二の反射部材108が配置可能な位置に配置すればよい。このため、第二の反射フィルタ206は、上記実施の形態の第二の反射部材108と同様に、第二の端部1015bと、照射手段102がマイクロ波を出射する出射位置と、の間に配置されている。なお、第二の開口部1011bは、第二の反射フィルタ206よりも上端部側、すなわち第二の端部1015b側に設けるようにすればよい。
【0157】
なお、第一の反射フィルタ205が、ステンレス等の金属製のフィルタである場合、厚さによっては単独で容器101内にフィルタを配置することが可能であるが、硬さや強度が不足していることにより、第一の反射フィルタ205を、単独で容器101内に配置することが困難である場合には、補強用のフレーム等を第一の反射フィルタ205に取付けるようにしてもよい。かかることは、第二の反射フィルタ206についても同様である。
【0158】
このような本実施の形態においても、上記実施の形態と同様に、容器101を大型化して、固相合成によるペプチド等の処理量を増加させることができる。また、第一の反射フィルタ205を設けたことにより、内容物から固相樹脂を分離することができる。また、容器101内の第一の反射フィルタ205の下方の領域および第二の反射フィルタ206の上方の領域には、第一の反射フィルタ205と第二の反射フィルタ206との間に存在する固相樹脂が移動しないようにして、これらの領域に固相樹脂が含まれないようにし、第一の反射フィルタ205と第二の反射フィルタ206とにより、照射手段102から照射されたマイクロ波を、第一の反射フィルタ205と第二の反射フィルタ206とで挟まれた領域に反射することにより、第一の反射フィルタ205の下方および第二の反射フィルタ206上方の固相樹脂が含まれない内容物にマイクロ波が照射されにくくすることができ、マイクロ波を効率良く固相合成の処理に利用することができる。
【0159】
なお、上記実施の形態2の第一の反射フィルタ205を、
図1および
図4(a)〜
図4(c)に示したような、実施の形態1およびその第2の変形例においてそれぞれ説明した処理装置1が有する第一のフィルタ105と第一の反射部材106との代わりに用いるようにしてもよく、上記実施の形態2の第二の反射フィルタ206を、
図1および
図3(a)〜
図3(c)に示したような、実施の形態1およびその第一の変形例においてそれぞれ説明した処理装置1が有する第二のフィルタ107と第二の反射部材108との代わりに用いるようにしても良い。例えば、処理装置は、上記実施の形態1およびその第一の変形例においてそれぞれ説明した第一のフィルタ105と第一の反射部材106との組み合わせ、および第一の反射フィルタ205のいずれか一つと、上記実施の形態1およびその第二の変形例においてそれぞれ説明した第二のフィルタ107と第二の反射部材108との組み合わせ、および第二の反射フィルタ206のいずれか一つと、を有するものであればよい。
【0160】
なお、上記各実施の形態において説明した処理装置1および2を用いた固相合成により合成される1つのペプチドに合成されるアミノ酸の数は、2以上であればよく、その数は問わない。例えば、1つのペプチドに合成されるアミノ酸の数は、2個以上21個未満であっても良く、21個以上50個未満であっても良く、50個以上であっても良い。例えば、上記実施の形態において説明した処理装置1および2を用いた固相合成により合成されるペプチドは、合成されたアミノ酸数が2個から約20個未満であるオリゴペプチドであっても良く、合成されたアミノ酸数が、約20個以上であるポリペプチドであっても良い。また、合成されるペプチドは、約50個以上のアミノ酸が結合されたポリペプチドの一態様であるタンパク質であっても良い。また、1つのペプチドに合成されるアミノ酸の種類や、1つのペプチドに合成されるアミノ酸の配列順番等は問わない。
【0161】
また、上記各実施の形態において説明した処理装置1および2を、任意の物質の作製に用いられる1または2以上のペプチドの固相合成に用いてもよい。例えば、上記各実施の形態1および2の処理装置を、抗体の作製に用いられる1または2以上のペプチド(例えば、オリゴペプチドやポリペプチド)の固相合成に用いてもよい。例えば、上記各実施の形態1および2の処理装置を、抗体の原料として用いられる1または2以上のペプチドの固相合成に用いてもよく、抗体を構成する1または2以上のペプチドやその一部(例えば、抗体を構成する1または2以上のポリペプチドやその一部)の固相合成に用いてもよい。
【0162】
また、上記各実施の形態において説明した処理装置1および2を、ペプチドの固相合成を含む処理に用いてもよい。例えば、処理装置1または2の処理装置を用いて所定のペプチドを固相合成した後、更に、処理装置1または2の処理装置を用いてこの固相合成した所定のペプチドに更に所定の物質(例えば、糖など)を結合させるようにしてもよい。例えば、処理装置1および2を、糖ペプチドの固相合成に用いてもよい。
【0163】
なお、上記各実施の形態においては、処理装置1および2を固相樹脂に結合されたペプチドを合成する固相合成に用いる場合について説明したが、処理装置1および2を用いて行なわれる処理は、ペプチドの固相合成の処理に限られるものではなく、処理装置1および処理装置2はペプチドの固相合成以外の処理に用いられる処理装置であってもよい。例えば、ペプチドの固相合成以外の固相合成に用いられる処理装置であっても良く、固相合成以外の処理に用いられる処理装置であっても良い。
【0164】
例えば、処理装置1および処理装置2は、固相合成のように、容器101内の内容物から固形物を分離する工程を含む処理に利用可能である。内容物から分離する固形物は、例えば、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107との間に存在している固形物や、第一の反射フィルタ205と第二の反射フィルタ206との間に存在している固形物である。例えば、処理装置1および処理装置2をこのような固形物を分離する工程を含むペプチドの固相合成以外の処理に用いる場合、上記各実施の形態における処理装置1および処理装置2の固相樹脂に関連した説明は、分離対象である固形物に関連した説明に読み換えるようにすればよい。例えば、上記各実施の形態における固相樹脂のサイズに応じて決定される構成は、分離対象である固形物のサイズに応じて決定される構成に変更すればよい。
【0165】
例えば、上記各実施の形態において説明した処理装置1および2において、第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206が、分離対象となる固形物を分離するための複数の孔を有するフィルタとすることで、処理装置1および2を、容器101内の内容物から、分離対象となる固形物を分離する工程を含む処理に利用できるようにしても良い。
【0166】
ここでの容器101内の内容物は、例えば、液体を有する内容物である。内容物が有する液体は、例えば、原料等の処理対象であってもよく、溶媒等であっても良く、その成分等は問わない。この液体は、例えば、溶媒等に物質が溶解した溶液であっても良い。容器101内の内容物は、例えば、液体と、分離対象となる固形物とを有していてもよい。内容物は、例えば、分離対象となる固形物の懸濁液であっても良い。ここでの固形物とは、例えば、固体の状態のものである。なお、固形物は、流動性を有さないものであって、フィルタ等で分離できるものと考えてもよい。例えば、ゲル状のものを、固形物と考えてもよい。分離対象となる固形物は、例えば、内容物の液体中において、流動性を有するような形状やサイズを有していることが好ましい。分離対象となる固形物は、例えば、粒状や、小片状、粉体状の固形物である。内容物から固形物を分離する工程を含む処理に利用される処理装置1および2が有する分離対象となる固形物を分離するための複数の孔を有する第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206は、例えば、液体および分離対象となる固形物よりも小さいサイズの固形物を通過させて、分離対象となる固形物以上のサイズの固形物を通過させないフィルタである。例えば、分離対象となる固形物を分離するための複数の孔を有す第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206は、分離対象となる固形物のサイズよりも小さい孔であって、液体および分離対象となる固形物よりも小さいサイズの固形物を通過可能なサイズの孔を複数有するフィルタである。第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206を通過する内容物は、例えば、内容物中の分離対象となる固形物を除いた部分である。第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206を通過する内容物は、例えば、内容物中の液体である。なお、容器101内の内容物は、例えば、分離対象の固形物よりもサイズが小さい分離対象以外の固形物を有していても良い。この場合、第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206を通過する内容物は、例えば、内容物中の液体および分離対象の固形物よりもサイズが小さい分離対象以外の固形物である。
【0167】
上記のように第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205と、第二のフィルタ107または第二の反射フィルタ206とを、分離対象となる固形物を分離するためのフィルタ、(例えば、分離対象となる固形物を分離するための複数の孔を有するフィルタ)とした処理装置1および2は、例えば、容器101内にマイクロ波を照射する工程と、容器101内の液体を有する内容物から、分離対象となる固形物を分離する工程とを含む処理に利用可能な装置である。ペプチドの固相合成もこのような処理の一例と考えてもよい。
【0168】
例えば、処理装置1の容器101内の、第一のフィルタ105よりも第一の端部1015a側の領域、および第二のフィルタ107よりも第二の端部1015b側の領域に対して、マイクロ波を照射して処理を行なったとしても、この領域内に存在する固形物については、処理後に第一のフィルタ105および第二のフィルタ107で内容物から分離して、処理により得られた生成物や中間生成物等として容器101内に残すことができない。このため、これらの領域において、マイクロ波を照射して固形物に関して処理を行なうことは無駄となる場合がある。しかしながら、上記のような構成とすることで、分離対象となる固形物を分離するための第一のフィルタ105よりも第一の端部1015a側の領域のうちの、第一の反射部材106よりも第一の端部1015a側となる領域、および分離対象となる固形物を分離するための第二のフィルタ107よりも第二の端部1015b側の領域のうちの、第二の反射部材108よりも第二の端部1015b側となる領域にマイクロ波が照射されにくくして、固形物が分離できない領域や固形物が存在しない領域等にマイクロ波が照射されにくくすることができ、マイクロ波を効率的に利用することができる。上記実施の形態2の処理装置2を、固形物を分離する工程を含む処理に用いる場合においても同様である。
【0169】
第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206を用いて分離される分離対象となる固形物は、例えば、マイクロ波を照射する処理等を行なう前から内容物に含まれていた固形物であっても良く、容器101内においてマイクロ波を照射する処理等を行なうことによって生成された固形物であっても良い。
【0170】
マイクロ波を照射する処理等を行なう前から内容物に含まれていた分離対象となる固形物とは、例えば、流動床の固体触媒や、マイクロ波の吸収性を調節するために用いられる流動性が得られるサイズ等を有するサセプタや、他の物質を吸着する吸着材や、固相担体等の処理に利用される固形物である。流動床の固体触媒としては、例えば、パラジウム炭素(Pd/C)触媒、白金炭素(Pt/C)触媒、固体酸触媒、ゼオライト系触媒等が挙げられる。また、マイクロ波を照射する処理等を行なう前から内容物に含まれていた分離対象となる固形物とは、固形状の不純物等であってもよい。
【0171】
マイクロ波を照射する処理等を行なうことによって生成された分離対象となる固形物とは、例えば、マイクロ波を照射した容器101内で、内容物中の液体から化学反応等により生成された固形物であってもよく、マイクロ波を照射した容器101内で、内容物中の液体が固化したり、結晶成長したりすることによって生成された固形物であっても良い。
【0172】
また、マイクロ波を照射する処理等を行なうことによって生成された固形物とは、例えば、マイクロ波を照射した容器101内で、マイクロ波を照射する処理等を行なう前から内容物に含まれていた固形物と他の物質とを化学反応させること等により生成した固形物であってもよく、マイクロ波を照射した容器101内で、マイクロ波を照射する処理等を行なう前から内容物に含まれていた固形物を化学反応させること等によって分解した固形物であってもよく、マイクロ波を照射する処理等を行なう前から内容物に含まれていた固形物の表面に、マイクロ波を照射して、同じ物質または異なる物質が、吸着、接着、成長させることで生成した固形物であってもよい。なお、ここで述べた他の物質や同じ物質は、固体であっても良く、液体であっても良く、気体であってもよい。なお、マイクロ波を照射する処理等を行なう前から内容物に含まれている固形物は、容器101内の、第一のフィルタ105と第二のフィルタ107との間、または第一の反射フィルタ205と第二の反射フィルタ206との間に入れられているようにすることが好ましい。
【0173】
分離対象となる固形物は、処理装置1および2を用いた処理の対象となる固形物や、処理によって生成される固形物等の処理の目的物であっても良く、触媒やサセプタ等の処理に利用される固形物であっても良く、不要物であっても良く、これらの2以上が混合されているものであっても良い。分離対象となる固形物のサイズ等は問わない。分離対象となる固形物は、例えば、析出物であっても良い。分離対象となる固形物は、内容物中の、浮遊物や沈殿物であっても良い。処理装置1および2において行なわれる処理がペプチドの固相合成である場合の分離対象となる固形物は、例えば、固相樹脂である。
【0174】
上記のように、処理装置1および2を用いて行なわれる内容物から固形物を分離する処理は、例えば、内容物から分離対象となる固形物を分離する工程を1以上含む処理であればよい。例えば、このような処理装置1および2を用いて行なわれる処理は、液体を含む内容物に対してマイクロ波を照射する工程と、第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206のいずれか一つを用いて内容物から分離対象となる固形物を分離する工程の後に、容器101内に内容物として液体等を追加する工程と、容器101内にマイクロ波を照射する工程と、第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206のいずれか一つを用いて内容物から分離対象となる固形物を分離する工程との組、および容器101内に内容物として液体等を追加する工程と、第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206のいずれか一つを用いて内容物から分離対象となる固形物を分離する工程との組、の少なくとも一方が1以上行なわれる処理であってもよい。
【0175】
以下、上記各実施の形態において説明した処理装置1および2の処理装置を、ペプチドの固相合成以外の処理に用いる具体例について説明する。
【0176】
(A)固形物と液体とを用いて固形物を生成する処理に用いる例
上記各実施の形態において説明した処理装置1および2を、例えば、水熱合成によるゼオライト合成に用いても良い。例えば、Al(アルミニウム)源として、金属アルミニウムやアルミン酸ソーダ、水酸化アルミニウムなどを用い、Si(ケイ素)源としてシリカ粉末やシリカゲルなどを用い、アルカリ(水酸化ナトリウムや水酸化カリウム)と水存在下、マイクロ波照射による高温高圧熱水条件にて反応を行なうことで、結晶性アルミノケイ酸塩のゼオライト多結晶膜を生成することができる。処理が終了した後、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205で、固形物であるゼオライト多結晶膜を分離することで、生成された物質を内容物から分離することができる。この場合、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205としては、分離対象となる固形物であるゼオライト多結晶膜を分離するための複数の孔を備えたフィルタを用いる。
【0177】
(B)固形物の触媒を用いた処理に用いる例
(B−1)
上記各実施の形態において説明した処理装置1および2を、例えば、バイオディーゼル燃料として利用可能なメチルエステルを生成する処理に用いても良い。例えば、容器101に、廃食用油などの油脂(トリグリセリド)を多く含む物質と、流動床の固体触媒とを入れ、容器101内にマイクロ波を照射することで、上記の物質のエステル交換反応と、遊離脂肪酸のエステル化反応とが一の容器内で同時に行なわれて、メチルエステルが生成される。ここで用いる固体触媒は、例えば、照射するマイクロ波に適した誘電損失係数・磁性損失係数の大きい特性をもつ物質と反応活性点を有する物質を組み込んだハイブリッド固体触媒である。この処理においては、容器101内に処理対象となる物質等を入れるとともに、固体触媒を、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205と、第二のフィルタ107または第二の反射フィルタ206と、の間に入れるようにして、マイクロ波を照射し、生成物の生成が終了した後、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205で、固形物である固体触媒を分離することで、生成された物質を含む内容物から固体触媒を除去することができる。
【0178】
なお、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205としては、分離対象となる固形物である固体触媒を分離するための複数の孔を備えたフィルタを用いる。かかることは、以下に説明するような他の流動床の固体触媒を用いた処理においても同様である。
【0179】
(B−2)
上記各実施の形態において説明した処理装置1および2を、例えば、鈴木−宮浦カップリングに代表されるPd(パラジウム)固体触媒反応に用いても良い。この処理は、例えば、ハロゲン化合物と有機ボロン酸化合物を原料とし、マイクロ波の吸収能が高い活性炭などの表面に金属Pdを担持させた流動床のPd/C(パラジウム/カーボン)固体触媒を用いて、トルエン等のマイクロ波吸収能の低い溶媒中でマイクロ波を照射してクロスカップリングを行なうことにより、ビアリール化合物などの芳香環−芳香環結合を有する物質を生成する処理である。この処理においては、容器101内に処理対象となる物質等を入れるとともに、固体触媒を、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205と、第二のフィルタ107または第二の反射フィルタ206と、の間に入れるようにして、マイクロ波を照射し、生成物の生成が終了した後、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205で、固形物である固体触媒を分離することで、生成された物質を含む内容物から固体触媒を除去することができる。
【0180】
(B−3)
上記各実施の形態において説明した処理装置1および2を、例えば、アルミナ、シリカゲルなどの固相担体の広い表面を利用した、マイクロ波照射無溶媒反応に用いても良い。例えば、アルミナ、シリカゲルなどの多孔質の固相担体と触媒と塩基とを混合した流動床の固体触媒に、原料を混合したものを用いて、無溶媒で、マイクロ波を照射して種々の有機合成を行なうことで、種々の合成生成物を得ることができる。この処理においては、固体触媒を、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205と、第二のフィルタ107または第二の反射フィルタ206との間とに入れるようにして、マイクロ波を照射し、生成物の生成が終了した後、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205で、固形物である固体触媒を分離することで、生成された物質を含む内容物から固体触媒を除去することができる。
【0181】
(C)マイクロ波サセプタを用いた処理に用いる例
上記各実施の形態において説明した処理装置1および2を、例えば、マイクロ波を吸収しやすいSiC(炭化ケイ素)や、カーボン、フェライトなどのマイクロ波サセプタ(固形物)を利用する合成反応に用いても良い。例えば、マイクロ波吸収能の低いトルエン溶媒等の溶媒中において、原料と、マイクロ波サセプタの小片を共存させた状態で、マイクロ波を照射して加熱することで、種々の合成生成物を得ることができる。この処理において、原料を容器101内に入れるとともに、マイクロ波サセプタを、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205と、第二のフィルタ107または第二の反射フィルタ206との間に入れるようにしてマイクロ波を照射し、処理が終了した後、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205で、固形物であるマイクロ波サセプタを分離することで、生成された物質を含む内容物からマイクロ波サセプタを除去することができる。この場合、第一のフィルタ105または第一の反射フィルタ205と、第二のフィルタ107または第二の反射フィルタ206としては、分離対象となる固形物であるマイクロ波サセプタを分離するための複数の孔を備えたフィルタを用いる。
【0182】
(D)ペプチドの固相合成以外の固相合成に用いる例
例えば、上記各実施の形態において説明した処理装置1および2を、ペプチドの固相合成以外の固相樹脂等を用いた固相合成、例えば、DNAの固相合成に用いても良い。DNA等の固相合成については、公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0183】
なお、上記の各実施の形態において説明した処理装置1および2を、ペプチドの固相合成以外の固相合成に用いる場合、上記各実施の形態における、ペプチドの固相樹脂についての説明は、例えば、ペプチド以外の固相合成に用いられる固相樹脂についての説明に読み替えるようにすればよい。例えば、
図1や、
図3(a)〜
図3(c)、
図4(a)〜
図4(c)に示した実施の形態1やその変形例の処理装置1をペプチドの固相合成以外の固相合成に用いる場合、ペプチドの固相合成に用いられる固相樹脂を内容物から分離する第一のフィルタ105および第二のフィルタ107は、ペプチド以外の固相合成に用いられる固相樹脂を内容物から分離する第一のフィルタ105および第二のフィルタ107とすればよい。例えば、第一のフィルタ105および第二のフィルタ107が有する複数の孔は、内容物に含まれるペプチド以外の固相合成に用いられる固相樹脂を通過させないサイズの孔であって、内容物の固相樹脂以外を通過させるサイズの孔とすればよい。また、
図3(b)や、
図3(c)に示した実施の形態1の変形例の処理装置1をペプチドの固相合成以外の固相合成に用いる場合、ペプチドの固相合成に用いられる固相樹脂を通過可能な第一の反射部材106は、ペプチド以外の固相合成に用いられる固相樹脂を通過可能な第一の反射部材106と読み替えるようにしてもよい。例えば、第一の反射部材106として、ペプチド以外の固相合成に用いられる固相樹脂を通過可能なサイズの孔を有するものを用いるようにすればよい。また、
図5に示した実施の形態2の処理装置2をペプチドの固相合成以外の固相合成に用いる場合、ペプチドの固相合成に用いられる固相樹脂を内容物から分離するための複数の孔を有する第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206は、例えば、ペプチド以外の固相合成に用いられる固相樹脂を内容物から分離するための複数の孔を有する第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206とすればよい。なお、第一のフィルタ105、第二のフィルタ107、第一の反射部材106、第二の反射部材108、第一の反射フィルタ205および第二の反射フィルタ206等の材質等は、上記各実施の形態の処理装置1および2と同様とすればよい。
【0184】
また、各実施の形態において説明した処理装置1および2を、固相合成以外の処理に用いる場合、上記のペプチド以外の固相合成に用いる場合と同様に、上記各実施の形態における固相樹脂についての説明は、容器101内の内容物に含まれる分離対象となる固形物についての説明と読み替えるようにしてもよい。
【0185】
(実施の形態3)
以下、上記実施の形態1において説明した
図1に示した処理装置1を、ペプチドの固相合成以外の固相合成の処理であるマイクロ波を照射して行なわれるヌクレオチド鎖の固相合成に用いた場合について説明する。マイクロ波を照射して行なわれるヌクレオチド鎖の固相合成とは、例えば、マイクロ波を照射して行なわれる工程を1以上含むヌクレオチド鎖の固相合成である。
【0186】
なお、上記実施の形態1の固相樹脂についての説明は、例えば、ヌクレオチド鎖の固相合成に用いられる固相樹脂についての説明と読み替えるようにすればよい。例えば、
図1に示した実施の形態1の処理装置1をヌクレオチド鎖の固相合成に用いる場合、ペプチドの固相合成に用いられる固相樹脂を内容物から分離する第一のフィルタ105は、ヌクレオチド鎖の固相合成に用いられる固相樹脂を内容物から分離する第一のフィルタ105とすればよい。例えば、第一のフィルタ105が有する複数の孔は、内容物に含まれるヌクレオチド鎖の固相合成に用いられる固相樹脂を通過させないサイズの孔であって、内容物のヌクレオチド鎖の固相合成に用いられる固相樹脂以外を通過させるサイズの孔とすればよい。なお、第一のフィルタ105、第一の反射部材106、第二のフィルタ107、および第二の反射部材108等の材質等は、例えば、上記実施の形態の処理装置1と同様とすればよい。
【0187】
ヌクレオチド鎖とは、2以上のヌクレオチドが結合したものである。ヌクレオチド鎖とは、例えば、2以上のヌクレオチドがホスホジエステル結合したものである。一のヌクレオチド鎖を構成するヌクレオチドの数は2以上であればその数は問わない。ヌクレオチド鎖は、例えば、約20以下の数のヌクレオチドが結合したオリゴヌクレオチドであっても良く、オリゴヌクレオチド以上の数のヌクレオチドが結合したポリヌクレオチドであっても良い。一のヌクレオチド鎖を構成する複数のヌクレオチドがそれぞれ有する塩基の種類や、一のヌクレオチド鎖を構成する複数のヌクレオチドの塩基の配列順番等は問わない。一のヌクレオチド鎖を構成する複数のヌクレオチドが有する糖は、例えば、デオキシ−D−リボースや、D−リボースであるが、これ以外の糖であってもよい。ヌクレオチド鎖は、例えば、複数のリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドが結合されたものである。ヌクレオチド鎖は、例えば、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)等の核酸である。なお、本実施の形態で合成されるヌクレオチド鎖の固相樹脂と結合されている側とは反対側に結合されているヌクレオチドの末端は、例えば、図示しない保護基等が結合されたり、リン酸基等がまだ付加されていない状態となっていること等により、通常のヌクレオチドの末端とは、異なる構造を有していても良い。
【0188】
固相樹脂にヌクレオチドを結合させてヌクレオチド鎖を伸長させていく固相合成の方法としては、リン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、ホスホロアミダイト法などがあり、現在ではホスホロアミダイト法を用いた固相合成が最も使われている。ホスホロアミダイト法は、以下の(I)〜(IV)に示す4工程で構成され、これらの工程を繰り返し行って目的のヌクレオチド鎖が合成される。
【0189】
ヌクレオチド鎖の固相合成に用いられる固相樹脂としては、上記実施の形態で説明したペプチドの固相合成に用いられる固相樹脂と材質およびサイズ等が同様のものが用いられる。ただし、ヌクレオチド鎖の固相合成に利用可能なものであれば、どのような固相樹脂を用いるかは問わない。
【0190】
以下、ホスホロアミダイト法について簡単に説明する。なお、固相合成に用いられる固相樹脂としては、上記各実施の形態と同様の固相樹脂が利用可能である。ただし、固相樹脂のサイズや、材質等は、ペプチドの固相合成に用いられるものと同じものであっても良く、異なるものであっても良い。
【0191】
(I)トリクロロ酢酸溶液等の脱保護剤により、固相樹脂に結合したヌクレオシドの5'−OH基の保護基であるDMTr(ジメトキシトリチル)基を外す。
【0192】
(II)テトラゾール等のアクチベーターにより活性化したヌクレオシドホスホロアミダイト化合物を、上記の脱保護された固相樹脂に結合されたヌクレオシドと縮合させる。
【0193】
(III)固相樹脂に結合されたヌクレオシドの、ヌクレオシドホスホロアミダイト化合物が結合しなかった5'−OH基を無水酢酸等によりアセチル化して保護する。
【0194】
(IV)ヨウ素等の酸化剤により、亜リン酸トリエステルを酸化してリン酸トリエステルにする。
【0195】
なお、上記(I)から(IV)までの工程は、例えば、それぞれマイクロ波を照射する処理を有している。上記(I)から(IV)までの工程を、1または2回以上繰り返し行うことで、目的の配列をもつヌクレオチド鎖を合成する。そして、最後に、ヌクレオチド鎖が結合した固相樹脂に濃アンモニア水等を加え、ヌクレオチドを固相樹脂から切り出すとともに脱保護を行う。
【0196】
以下、上記実施の形態1において説明した
図1に示した処理装置1を、ヌクレオチド鎖の1つであるDNAの固相合成に用いた場合の処理の一例について具体的に説明する。ここでは、ホスホロアミダイト法を用いた固相合成を例に挙げて説明する。ただし、ここで説明するDNAの固相合成は一例であり、処理の内容等は適宜変更しても良い。
【0197】
第一のバルブ103aを閉じて第一の開口部1011aから内容物が排出されないようにした状態で、第三の開口部1011cを介して、5'末端がDMTr基で保護されたヒドロキシ基が結合されている固相樹脂を容器101内に供給し、蓋1012aを閉じる。また、第二のバルブ103bを開き、配管104bから塩化メチレンなどを溶媒としたトリクロロ酢酸溶液を第二の開口部1011bを介して容器101内に供給する。窒素ガスを容器101内の内容物に供給して気泡により撹拌しながら、照射手段102から915MHzのマイクロ波を照射して脱保護を行う。この工程は、上述した工程(I)に相当する。脱保護が完了した後、第一のバルブ103aを開くと、容器101の内容物のうちの脱保護溶液は外部に排出される。容器101内の内容物のうちの脱保護された固相樹脂は脱保護溶液から分離されて、第一のフィルタ105の上面1051に残る。
【0198】
容器101内に、第二の開口部1011bからアセトニトリルを供給して保持した後、第一の開口部1011aからアセトニトリルを排出して、第一のフィルタ105の上面1051に残った脱保護された固相樹脂を洗浄する。この洗浄は複数回行われる。
【0199】
次に、固相樹脂上の5'末端が脱保護されたヌクレオシドとヌクレオシドホスホロアミダイトを縮合させるために、例えばアクチベーターとして1H−テトラゾール、カップリングに用いる5'末端が保護されたヌクレオシドホスホロアミダイト化合物および溶媒として用いられるアセトニトリルを第二の開口部1011bから容器101内に供給し、アセトニトリルに1H−テトラゾール、ヌクレオシドホスホロアミダイト化合物を溶解し、照射手段102からマイクロ波を照射して、ヌクレオシドホスホロアミダイトと固相樹脂に結合された5'位が脱保護されたヌクレオシドを結合し、亜リン酸トリエステルを得る。この工程は、上述した工程(II)に相当する。ヌクレオシドホスホロアミダイトの連結が終了した後、第一のバルブ103aを開くと、結合用の溶液は容器101から排出され、第一のフィルタ105の上面1051に、5'末端が保護された亜リン酸トリエステルが結合した固相樹脂が排出されずに残る。上記と同様にアセトニトリルを用いた洗浄処理を複数回繰り返す。
【0200】
次に、固相樹脂上の未反応のヌクレオシドの5'位を保護するために、例えば無水酢酸、2,6−ルチジンのTHF(テトラヒドロフラン)溶液とN−メチルイミダゾールのTHF溶液を第二の開口部1011bから容器101内に供給し、照射手段102からマイクロ波を照射して、固相樹脂に連結したヌクレオシドの5'−OH基をキャッピングする。この工程は、上述した工程(III)に相当する。キャッピングが終了した後、第一のバルブ103aを開くと、キャッピング用の溶液は容器101から排出され、第一のフィルタ105の上面1051に、5'末端が保護された固相樹脂が排出されずに残る。上記と同様にアセトニトリルを用いた洗浄処理を複数回繰り返す。
【0201】
次に、亜リン酸トリエステルを酸化するために、例えばヨウ素/ピリジン/水混合物を第二の開口部1011bから容器101内に供給し、照射手段102からマイクロ波を照射して、亜リン酸トリエステルを酸化してヌクレオチドを得る。この工程は、上述した工程(IV)に相当する。酸化が終了した後、第一のバルブ103aを開くと、酸化用の溶液は第一の開口部1011aを経て容器101から排出され、第一のフィルタ105の上面1051に、ヌクレオチドが連結された固相樹脂が排出されずに残る。上記と同様にアセトニトリルを用いた洗浄処理を複数回繰り返す。
【0202】
ヌクレオチドをさらに伸長させる場合には、上記の脱保護およびヌクレオシドホスホロアミダイトの連結、未反応の5'末端ヒドロキシ基の保護、酸化の一連の処理を繰り返せばよい。
【0203】
ヌクレオチド鎖の伸長を終了し、第一のフィルタ105の上面1051に残った固相樹脂に結合されたヌクレオチド鎖の脱保護および固相樹脂からの切り出し行う場合、例えば濃アンモニア水を第二の開口部1011bから容器101内に供給し、照射手段102からマイクロ波を照射して、処理すればよい。脱保護および切り出したヌクレオチド鎖は、エタノールなどで沈殿させ、乾燥することなどにより収集する。
【0204】
上記のように、DNAの固相合成に上記実施の形態1の処理装置1を用いることで、上記実施の形態1と同様に、固相合成によるDNA合成の処理量を増加させることができる。また、第一の反射部材106が第一のフィルタ105を透過したマイクロ波を反射し、第二の反射部材108が第二のフィルタ107を透過したマイクロ波を反射することで、第一のフィルタ105の下方および第二のフィルタ107の上方の、固相樹脂が含まれない内容物にマイクロ波が照射されにくくすることができ、マイクロ波を効率良く固相合成の処理に利用することができる。
【0205】
また、上記のように、DNAの固相合成においては、工程(I)〜(IV)がそれぞれ終了する毎に、内容物から固相樹脂を分離して容器101内に残し、溶媒等を排出し、更に、容器101内に残した固相樹脂を、洗浄用の溶媒等で洗浄する必要があるが、固相合成に上記実施の形態1の処理装置1を用いることで、第一のフィルタ105により、内容物から固相樹脂を分離して容器101内に残すことができる。これにより、容器101内に洗浄用の溶媒等を供給して、固相樹脂を洗浄したり、固相樹脂を分離した容器101内に他の材料や溶媒、溶液等を供給して、一旦、固相樹脂を取り出すことなく、固相合成の他の工程等を行なうことが可能となる。ここで分離される固相樹脂は、例えば、生成物等が結合された固相樹脂である。
【0206】
なお、上記で説明した固相合成において、マイクロ波を照射して行なわれる複数の処理のうちの一部だけをマイクロ波照射を行なって行なうようにし、他の処理は、マイクロ波照射を行なわずに行なうようにしてもよい。このような場合もマイクロ波を用いた固相合成と考えてもよい。
【0207】
なお、上記においては、上記実施の形態1の処理装置1を、ホスホロアミダイト法によるDNAの固相合成に用いた場合について説明したが、上記実施の形態1の処理装置1を、リン酸トリエステル法や、H−ホスホネート法等の、ホスホロアミダイト法以外のDNAの固相合成に用いるようにしてもよく、このような場合においても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。
【0208】
また、上記においては、DNAの固相合成に用いた場合について説明したが、上記実施の形態1の処理装置1は、DNA以外の他のヌクレオチド鎖の固相合成に用いるようにしてもよく、このような場合においても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。上記実施の形態1の処理装置1により固相合成可能なヌクレオチド鎖は、例えば、DNAおよびRNA等の核酸や、ポリヌクレオチド鎖や、オリゴヌクレオチド鎖等である。
【0209】
なお、上記のように実施の形態1の処理装置1を用いてヌクレオチド鎖を固相合成する場合において、1つのヌクレオチド鎖に合成されるヌクレオチドの数は、2以上であれば、その数は問わない。例えば、上記実施の形態1の処理装置1を、DNAの固相合成に用いる場合において、1つのDNAに合成されるデオキシリボヌクレオチドの数は、2以上であればその数は問わない。例えば、上記実施の形態1の処理装置1を、RNAの固相合成に用いる場合において、1つのDNAに合成されるリボヌクレオチドの数は、2以上であればその数は問わない。
【0210】
また、上記においては、実施の形態1の処理装置1をDNAの固相合成に用いた場合について説明したが、例えば、
図3(a)〜
図3(c)、および
図4(a)〜
図4(c)に示したような、上記実施の形態1の変形例の処理装置1、または
図5に示したような、上記実施の形態2の処理装置2を、DNAや、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド等のヌクレオチド鎖の固相合成に用いるようにしてもよく、このような場合においても、上記実施の形態1の各変形例や実施の形態2と同様の効果を奏する。
【0211】
なお、
図3(a)〜
図3(c)および
図4(a)〜
図4(c)に示したような上記実施の形態1の変形例の処理装置1、または
図5に示したような上記実施の形態2の処理装置2を、ヌクレオチド鎖の固相合成に用いる場合においては、例えば、上記実施の形態1の変形例および上記実施の形態2の、固相樹脂についての説明を、ヌクレオチド鎖の固相合成に用いられる固相樹脂についての説明に読み替えるようにすればよい。
【0212】
なお、上記各実施の形態においては、処理装置1および2を用いて行なわれる固相合成に固相樹脂を用いる場合について説明したが、固相合成に利用可能な固相合成用担体であれば、固相樹脂以外の固相合成用担体を用いてもよい。固相樹脂の代わりに、固相樹脂以外の固相合成用担体を用いる場合、例えば、上述した固相樹脂についての説明は、固相樹脂以外の固相合成担体に読み替えるようにすればよい。
【0213】
また、上記各実施の形態においては、第一の開口部1011aを容器101内の内容物を排出する開口部として用いる場合について説明したが、第一の開口部1011aは、内容物の排出を行う開口部として用いてもよく、内容物の供給を行う開口部として用いてもよく、そのいずれとして用いるかは問わない。また、上記各実施の形態においては、第二の開口部1011bを容器101内に内容物を供給する開口部として用いる場合について説明したが、第二の開口部1011bは、内容物の供給を行う開口部として用いてもよく、内容物の排出を行う開口部として用いてもよく、そのいずれとして用いるかは問わない。例えば、第一の開口部1011aを容器101内に内容物を供給する開口部として用いて容器101の下端部側から内容物を供給し、第二の開口部1011bを容器101内の内容物を排出する排出口として用いて容器101の上端部側から内容物を排出するようにしても良い。また、処理装置1または2を用いて行う処理のうちの一以上の処理を、第一の開口部1011a側から内容物を供給し、第二の開口部1011bから内容物を排出して行うようにし、この処理を除く他の一以上の処理を、第二の開口部1011b側から、内容物を供給し、第一の開口部1011aから内容物を排出して行うようにしてもよい。なお、これらの処理においては、内容物の供給および排出を連続的に行なっても良く、内容物の供給および排出を非連続に行なっても良い。内容物の供給および排出を非連続に行なうということは、例えば、内容物の供給および排出を一時停止させる状態を含むことである。内容物の供給および排出を非連続に行なうということは、例えば、内容物の供給および排出を断続的に行なうことと考えてもよい。
【0214】
なお、例えば、容器101の第一の端部1015a側の一部に開閉可能な扉が設けられている場合や、容器101の第一の端部1015a側が取り外し可能である場合等のように、容器101が、第一の端部1015a側から内容物等の供給や排出等を行なうための他の手段を有する場合等においては、第一の開口部1011aは、省略しても良い。また、同様に、第二の開口部1011bは、例えば、容器101が、第二の端部1015b側から内容物等の供給や排出等を行なうための他の手段等を有する場合等においては、省略しても良い。また、同様に、第三の開口部1011cは、他の手段により容器101内に固相合成に用いられる物質や液体等が供給可能であれば、省略しても良い。例えば、容器101の上部や側面等が着脱可能な構造である場合、第二の開口部1011bおよび第三の開口部1011cの少なくとも一方を省略しても良い。例えば、容器101内に供給する固相樹脂以外の固相合成に用いられる材料等を、第三の開口部1011cから供給する場合、第二の開口部1011bを設けないようにしてもよい。
【0215】
また、容器101内には、第一の開口部1011aと第二の開口部1011bとの間で、内容物が流れるようにしても良い。例えば、第一の開口部1011aから容器101内に内容物を連続的に供給するとともに、第二の開口部1011bから容器101内の内容物を連続的に排出して、容器101内に、第一の開口部1011a側から、第二の開口部1011b側に向かって内容物を流れるようにしても良い。また、第二の開口部1011bから容器101内に内容物を連続的に供給するとともに、第一の開口部1011aから容器101内の内容物を連続的に排出して、容器101内に、第二の開口部1011b側から、第一の開口部1011a側に向かって内容物が流れるようにしても良い。この場合、例えば、第二のフィルタ107が、容器101内の固相樹脂等の固形物が内容物とともに第二の開口部1011bから排出されることを防ぐフィルタとなる。
【0216】
また、上記のように、容器101内に内容物を連続的に流した状態で、照射手段102がマイクロ波を照射するようにしてもよい。例えば、処理装置1または2を用いて行う処理のうちのマイクロ波を照射しながら行なう一以上の処理を、容器101内に連続的に内容物を流しながら行うようにしてもよい。例えば、容器101内に、第一の開口部1011a側から、第二の開口部1011b側に向かって連続的に内容物を流しながら、照射手段102からマイクロ波を照射するようにしてもよい。例えば、処理装置1および2を、容器内を流れる内容物に対して処理を行なういわゆるフロー式の処理装置として用いてもよい。
【0217】
また、処理装置1または2を用いて行う複数の処理のうちの一以上の処理を、容器101内に、第一の開口部1011a側から、第二の開口部1011b側に向かって内容物を流しながら行うようにし、この1以上の処理を除く他の一以上の処理を、容器101内に、第二の開口部1011b側から、第一の開口部1011a側に向かって内容物を流しながら行うようにしてもよい。ここでの1以上の処理は、照射手段102がマイクロ波を照射しながら行なわれる処理である。なお、複数の処理の1以上の処理は、一の処理に含まれる複数の工程の1以上の工程と考えても良い。
【0218】
また、上記各実施の形態においては、第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二のフィルタ107および第二の反射部材108とを有する場合について説明したが、第一のフィルタ105および第一の反射部材106と、第二のフィルタ107および第二の反射部材108と、のいずれか一方のみを有するようにしても良い。かかることは、第一のフィルタ105および第一の反射部材106とを一体化した第一の反射フィルタ205と、第二のフィルタ107および第二の反射部材108とを一体化した第二の反射フィルタ206とを用いる場合においても同様である。
【0219】
また、上記各実施の形態においては、第一の端部1015aが容器101の下端部であり、また、第二の端部1015bが容器101の上端部である場合を例に挙げて説明したが、第一の端部1015aが容器101の上端部であり、第二の端部1015bが容器101の下端部であってもよい。また、第一の端部1015aおよび第二の端部1015bが、容器101の上端部および下端部のいずれでもなくても良い。例えば、第一の端部1015aおよび第二の端部1015bが、容器101の略水平方向の両端であっても良い。
【0220】
また、上記各実施の形態においては、容器101が縦型の容器である場合について説明したが、容器101の形状はどのような形状であってもよく、例えば、横型の容器であっても良い。横型の容器は、例えば、長手方向が横方向である容器である。容器101が横型の容器の場合、容器101が有する第一の端部および第二の端部は、容器101の長手方向である横方向における両端となる部分である。なお、容器101が、例えば横型の容器である場合においても、照射位置と、容器101の第一の端部との間に第一のフィルタ105および第一の反射部材106を設け、照射位置と、容器101の第二の端部との間に、第二のフィルタ107および第二の反射部材108とを設けることで、固相樹脂等の内容物が有する固形物が存在する領域を、容器101のサイズ等を変更すること無く設定し、照射されるマイクロ波の多くをこの領域に照射することができるため、固相樹脂等の量等にあわせた適切なマイクロ波照射を行うことが可能となる。ただし、容器101が横型の容器である場合、長手方向が、水平方向に対して、30度程度まで傾斜していてもよい。例えば、容器101が傾斜した状態で載置される台(図示せず)や、容器101を配置しても良く、容器101が傾斜するよう、つり下げるつり下げ装置等の容器保持手段等を有していても良い。
【0221】
なお、上記各実施の形態の容器101は、複数の部材で構成されていても良い。また、例えば、容器101が縦型の容器101である場合であって、第二の端部1015bが容器101の上端部である場合、容器101は、上部が開口しており、下部が第一の端部となる第一の部材(図示せず)と、この第一の部材の上部の開口している部分に連結され、上部に第二の開口部1011bを有する第二の部材(図示せず)とにより構成されていてもよい。この場合、第二の部材は第一の部材の上部に連結される配管状の部材であってもよい。また、この場合、第二のフィルタ107および第二の反射部材108が、第一の部材の上部側に配置されるようにしてもよく、さらに、そのうちの一方が、第一の部材の上部の開口している部分を塞ぐように設けられているようにしても良い。
【0222】
また、上記各実施の形態においては、処理装置が照射手段102を有している場合について説明したが、処理装置は照射手段102を有していても良く、照射手段102を有していなくても良い。例えば、処理装置1から照射手段102を除いた部分を処理装置と考え、照射手段102は、処理装置とは別の装置等と考えてもよい。この場合、処理装置を用いてマイクロ波を照射する処理を行なう際には、例えば、処理装置とは別の照射手段102を別途用意して、処理装置に取付けるようにすればよい。
【0223】
また、上記実施の形態においては、容器101が照射開口部1013を有しており、この照射開口部1013からマイクロ波を照射する例について説明したが、容器101は、容器101内に照射されるマイクロ波の出射部(図示せず)を有していればよく、この出射部から容器101内にマイクロ波を照射することができればよい。マイクロ波の出射部は、容器101内に照射するマイクロ波を出射する部分である。出射部は、例えば、照射手段102が照射するマイクロ波を容器101内に出射(言い替えれば、導入)することが可能であれば、どのような構造や形状等を有していても良い。例えば、上記各実施の形態の照射開口部1013を、出射部と考えてもよい。また、この出射部の位置を、上述したマイクロ波の出射位置と考えてもよい。
【0224】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【解決手段】容器101内に第一の端部と第二の端部との間の出射位置からマイクロ波を照射する照射手段102と、第一の端部と出射位置との間に容器101を仕切るよう配置され固形物を容器101内の内容物から分離する第一のフィルタ105と、第一の端部と出射位置との間に容器101を仕切るよう配置され第一のフィルタを通過する内容物が通過可能であり、マイクロ波を反射する第一の反射部材106と、第二の端部と出射位置との間に容器101を仕切るよう配置されて固形物を内容物から分離する第二のフィルタ107と、第二の端部と出射位置との間に容器101を仕切るよう配置され第二のフィルタ107を通過する内容物が通過可能であり、マイクロ波を反射する第二の反射部材108と、を備えた。