(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光演出具は、前記発光演出具の相互の接触を検知する手段を備え、該発光演出具の相互の接触があったとき、一方の発光演出具の発光態様を他方の発光演出具の発光態様に倣って変化させる機能を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光演出具の制御方式。
前記電波の周波数は、300MHz帯、400MHz帯、900MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯のいずれかであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の発行演出具の制御方式。
前記集中発光制御装置は指向性のあるアンテナを備えて指向性のある発光制御信号を発生し、前記発光演出具の集団の一部のみに特定の発光制御信号を与えて、該集団の一部の発光態様を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発光演出具の制御方式。
前記集中発光制御装置は複数個より成り、それぞれ指向性の強い発光制御信号を発信して前記発光演出具の集団の異なる部分に到達するようにし、前記発光演出具の集団の異なる部分が異なる発光をするように制御することを特徴とする請求項5に記載の発光演出具の制御方式。
前記集中発光制御装置は、比較的指向性の弱い発光制御信号を発生する第1の装置と、比較的指向性の強い発光制御信号を発生する第2の装置を含み、前記第1の装置によって制御される発光演出具の集団の内の一部に対しては更に前記第2の装置による制御を加えて異なる発光態様を与えることを特徴とする請求項5に記載の発光制御装置の制御方式。
前記発光演出具は、その運動の態様の少なくとも1つを検出し、運動信号として出力する運動センサを備えており、前記発光制御回路は、受信した前記発光制御信号と前記運動信号の双方に基づいて前記発光体の発光態様を制御することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の発光演出具の制御方式。
前記発光制御回路は、前記受信装置が前記発光制御信号を検出しない場合においても、前記運動信号のみに基づいて前記発光体の発光態様を制御することを特徴とする請求項8に記載の発光演出具の制御方式。
前記発光制御回路は、前記運動信号が所定の値を超えたときは、前記集中発光制御装置が要求する所定の発光態様とは異なる発光態様となるように、前記発光体の発光を制御することを特徴とする請求項8又は9のいずれかに記載の発光演出具の制御方式。
前記制御送信信号作成装置は、所定の者の運動に基づく信号を検知し、該信号に基づき所定の発光態様の制御信号を作成する機能を有することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の発光演出具の制御方式。
前記制御送信信号作成装置は、所定の者が所持する発光演出具の運動に基づく信号を検知し、該信号に基づき所定の発光態様の制御信号を作成する機能を有することを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の発光演出具の制御方式。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、制御信号を含む赤外信号を発光する発光部を観覧エリア内に設置し、多数の観客が携帯する演出具が赤外信号を受けてそれに含まれる制御信号を復調し、発光部が指示する所定の動作を行うものである。
【0005】
しかし、赤外線の送受信装置は電子機器のリモコンなどで多用されているため比較的安価に入手できるメリットはあるが、一方では信号の直進性が高く、小さな遮蔽物があっても受信器への到達が妨げられ、一部制御できない演出具も残りやすい。その対策として、発光部を観客の頭上高所に設定しなければならず、会場の設営にとって好ましくない。また、赤外線が観客らの目に必然的に入るので、視覚障害への恐れもあり得るであろう。
【0006】
また特許文献2には、うちわの柄の中にLEDと電源電池を収納し、LEDの光を透明な骨に入射させ、広い扇面から多数の輝点として発光させるうちわの構造が記載されている。
【0007】
そのうちわは使用者個々が発光させるもので、外部からの制御はない。しかし、発光演出具としては広い扇面からの発光など有利な面も備えている。そこで、これを集団演出具として利用することを図る必要がある。なお、特許文献1に例示されている発光演出具は、広い発光面を持つものではない。
【0008】
本発明の目的は、第1に、発光の集団的制御が容易かつ確実であって、会場や健康上の問題がない光演出具の制御方式を提供することである。第2に、効果的な演出を行うことができる発光うちわの構成を含めた光演出具の制御方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光演出具の制御方式は、下記の特徴を備える。
【0010】
集団をなす多数の発光演出具と、該発光演出具の外部に設けた集中発光制御装置とを用い、前記発光演出具は携帯容易な大きさおよび重さを有し、電源と、発光体と、外部から発せられた発光制御信号を検出し受信する受信装置と、該受信装置が受信した受信信号に基づいて前記発光体の発光態様、即ち発光の有無、強度、色、それらの時間的変化のパターンの少なくとも1つを所定のものとなるようにする発光制御回路とを備え、
前記集中制御装置は電波を搬送波とする発光制御信号を発信する制御送信信号作成装置を備え、前記発光制御信号を前記発光演出具の集団の全部または一部に対して送信することにより、前記発光演出具の集団の少なくとも一部の発光の態様を一斉に変化させる
ようにした発光演出具の制御方式において、
前記発光演出具は、該発光演出具の相互間の距離を検知する手段と、前記検知された相互間の距離が所定値よりも小さいとき、一方の発光演出具の発光態様を他方の発光演出具の発光態様に倣って変化させる機能を備えることを特徴とする。
【0011】
このように構成することによって、光演出具の制御を容易かつ確実にし、また会場に設置の問題や安全性の障害に対する懸念をなくすことができると
共に、多数の発光演出具の間である発光態様が順次伝播する効果を得ることができる。
【0012】
前記電波の周波数は、300MHz帯、400MHz帯、900MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯のいずれかであることを特徴とする。
【0013】
このように構成することによって、
電波に実用的かつ具体的な周波数を与えることができる。
【0014】
前記集中発光制御装置は指向性のあるアンテナを備えて指向性のある発光制御信号を発生し、前記発光演出具の集団の一部のみに特定の発光制御信号を与えて、該集団の一部の発光態様を制御することを特徴とする。
【0015】
このように構成することによって、光による演出効果を
更に高めることができる。
【0016】
前記集中発光制御装置は複数個より成り、それぞれ指向性の強い発光制御信号を発信して前記発光演出具の集団の異なる部分に到達するようにし、前記発光演出具の集団の異なる部分が異なる発光態様をするように制御することを特徴とする。
【0017】
このように構成することによって、光による演出効果を光演出具のある場所により異ならせ、更に高めることができる。
【0018】
前記集中発光制御装置は、比較的指向性の弱い発光制御信号を発生する第1の装置と、比較的指向性の強い発光制御信号を発生する第2の装置を含み、前記第1の装置によって制御される発光演出具の集団のうちの一部に対しては更に
前記第2の装置による制御を加えて異なる発光態様を与えることを特徴とする。
【0019】
このように構成することによっても、光による演出効果を場所によって多様化することができる。
【0020】
前記発光演出具は、その運動の態様の少なくとも1つを検出し、運動信号として出力する運動センサを備えており、前記発光制御回路は、受信した前記発光制御信号と前記運動信号の双方に基づいて前記発光体の発光態様を制御することを特徴とする。
【0021】
このように構成することによって、光による演出効果に更なる多様な変化を与えることができる。
【0022】
前記発光制御回路は、前記受信装置が前記発光制御信号を検出しない場合においても、前記運動信号のみに基づいて前記発光体の発光態様を制御することを特徴とする。
【0023】
このように構成することによって、集中発光制御制御装置がない場合でも光による演出効果を得ることができる。
【0024】
前記発光制御回路は、前記運動信号が所定の値を超えたときは、前記集中発光制御装置が要求する所定の発光態様とは異なる発光態様となるように、前記発光体の発光を制御することを特徴とする。
【0025】
このように構成することによって、観客等の反応(発光演出具の使用者の意思の表現)を加味した光演出効果が得られる。
【0026】
前記制御送信信号作成
装置は、所定の者の運動に基づく信号を検知し、該信号に基づき所定の発光態様の制御信号を作成する機能を有することを特徴とする。
【0027】
このように構成することによって、指揮者が発光演出具の発光態様を制御することができる。
【0028】
前記制御送信信号作成
装置は、所定の者が所持する発光演出具の運動に基づく信号を検知し、該信号に基づき所定の発光態様の制御信号を作成する機能を有することを特徴とする。
【0029】
このように構成することによって、指揮者が発光演出具の発光態様を更に自由かつ直接的に制御することができる。
【0030】
前記発光演出具は、
前記発光演出具の相互の接触を検知する手段を備え、該発光演出具の相互の接触があったとき、一方の発光演出具の発光態様を他方の発光演出具の発光態様に倣って変化させる機能を備えることを特徴とする。
【0031】
このように構成することによって、多数の発光演出具の間である発光態様が
接触により順次伝播する効果を得ることができる。
【0032】
指揮者が持つ前記発光演出具の発光態様が他の前記発光演出具に対して順次伝達されることを特徴とする。
【0033】
このように構成することによって、
発光演出具の特定の発光態様を指揮者から発生させ他に伝播させることができる。
【発明の効果】
【0040】
多数の発光演出具
が集団的制御される場合であっても、またそうでなくても、多数の発光演出具の間である発光態様が順次伝播する発光演出効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
制御方式の実施例1、実施例2と、本発明に用いる発光演出具の2つの実施例について、以下図面に基づいて順次説明する。
【実施例1】
【0043】
図1は実施例1のブロック図で、本発明は(a)に示す集中発光制御装置100と、(b)に示す発光演出具200の2種類の装置から構成される。
【0044】
集中発光制御装置100は、発光演出を必要とするイベントなどが行われる会場や場所に固定的または半固定的に設置されるものである。主として主催者側で操作されることを想定した装置で、発光演出具200が行う発光の態様、即ち発光の有無や点滅、強度、色、それらの時間的変化のパターンのうちの少なくとも1つを主催者側が意図する所定のものとなるように制御するため、電波を搬送波とする制御送信信号を発信する動作を行う。
【0045】
操作装置110は、操作者(主催者側)が、自らの実時間的な操作によって、あるいは事前のプログラミングによって制御送信信号を作成する装置で、そのためのスイッチ類やキーボードやパソコン等の機器を含む。その信号出力を受けた制御送信信号作成装置120は、所定の信号を搬送波として作成した電波に乗せて、制御送信信号として出力する。
【0046】
制御送信信号が重畳された電波信号は、送信アンテナ130から発光演出具200の集団に向けて発信される。搬送波としての電波は、到達距離、指向性、受信の容易性、近隣機器への影響等を考慮してその周波数や強度が選ばれる。その周波数は例えば、300MHz帯、400MHz帯、900MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯のいずれかから選択される。
【0047】
電波を信号の媒体として用いる理由は、発光演出具200と送信アンテナ130との間に遮蔽物(人体や機器、その他の物体)があってもその影響を受けにくく、送信アンテナを邪魔にならない高度に設置することが容易であること、多数の相手にむらなく伝達することが容易であること、送信可能な情報量が大きいこと、送信から受信までのタイムラグが無視できること等による。また、想定される電波強度では、人体に悪影響のないことはもちろんである。
【0048】
発光演出具200は、個々の使用者(例えば観客等の参加者)によって携帯されることを想定した発光器具で、制御送信信号が含まれる電波を受信する受信アンテナ210、受信信号を復調して制御出力信号を抽出する受信回路220、その出力である発光制御信号によって発光体240の発光態様を制御する発光制御回路230、例えばLED等である発光体240を含む。260は電源で、例えば軽量の電池であり、各回路および発光体に電力を供給する。なお受信アンテナ210と受信回路220は受信装置を構成する。
【0049】
運動センサ250は発光演出具200の一部に取り付けられた、加速度センサあるいは角速度センサ、あるいはひずみセンサや力センサ(例えば力センサとして、柄など持ち手の部分に貼って設けることができるフィルム状の圧力センサがある)であり、発光演出具200に加えられる運動の種類(併進運動か、回転運動か、またその運動や回転軸の方向)や強度に応じた信号、あるいは運動による発光演出具200の変形、又は腕から発光演出具200に伝わる力等の情報の少なくとも1つを運動信号として出力する。
【0050】
この運動信号は上記の外部から来た発光制御信号と共に発光制御回路230に入力され、その内部で両者が判定され、運動信号が所定の強度よりも強いか、運動に所定の特徴があるとき(例えば発光演出具が強く振られる、特定の軸回りに回転させられる、又は持ち手を握る力が変化するなど)には発光の態様を外部からの制御とは異なるかあるいは更に変調した態様に変化させる。
【0051】
この構成により、例えば、音楽演奏に観客が共感し、それを表現したい場合、発光演出具を強く振るとか強く握るなどすれば、発光の強度を増したり、発光のリズムをより細かくする変調を加えて、使用者の感情や意思を表明することができる。もちろん外部からの制御信号がなくても、運動センサ250のみで発光態様を制御することも可能としておく。
【0052】
<実施例1の変形例1>
集中制御装置100の操作装置110にイコライザー機能を含ませ、その出力による発光制御を行わせる。即ち、音源からの音響信号(周波数、音量等)に基づいて制御信号を作成、し、又は設定済みの制御信号を修正する。例えば、音響信号の周波数帯域が低域(例えば1〜10Hz)でかつ所定の音響レベル以上ならば発光演出具200に青色を発光させ、より高い帯域(例えば10〜100Hz)でかつ所定の音量レベル以上ならば緑色を発光させ、更に高い周波数が強勢となれば赤色を発光させる等である。点滅の制御もよい。上記音響信号は、CDや楽曲メモリー等から事前に入力し記録したものでもよいし、演奏会場からマイクロフォン等で実時間的に検出したものでもよい。このようにすれば、曲想にマッチした発光制御を行うことができる。
【0053】
<実施例1の変形例2>
また操作装置110は楽曲中の例えば音声信号を抽出して分析する機能を備え、歌曲のうちの通常部が歌われている時間帯では発光演出具200に青色を発光させ、サビの部分であると検出されたら発光を赤色とかピンク色で行わせる、あるいは点滅の周期を変えるといったことも可能である。この音声信号も、記録された音源からあらかじめ得て登録しておいてもよいし、イベントから実時間で得てもよい。このようにすれば、歌手の感情をより高めて聴衆に伝えることもできる。
【実施例2】
【0054】
次に、図面を用いないが、実施例2について述べる。本例は、送信アンテナ130の構造を指向性の強い電波を発信できるようなものとし、更に使用する電波の周波数や強度も適宜選択して、制御送信信号が、発光演出具の集団の全部ではなく一部のみに到達するようにしたものである。こうすることにより、発光演出具の一部に対して、他(残部)と異なる発光態様を与えて、光による演出効果に場所により異なる特徴を与えて変化をつけることができる。またアンテナを動かして、制御信号が作用する発光演出具の集団を時間とともにずらしてもよい。
【0055】
通常、指向性のあるとされるアンテナは、所定の中心軸方向でゲイン(到達エネルギ)が最も強く、アンテナの位置を等距離で取り巻く測定点の方向が中心軸を外れるほどゲインが低下する。ゲイン曲線(レーダーチャート)のメインローブは、アンテナ位置を長軸端とするほぼ楕円形をなすか、発音点を尖点とし、中心軸上に鈍頂点を有する水滴状をなす。(メインローブよりも短いサイドローブやバックローブを伴う場合がある。)ゲインが中心軸上の半分(−3dB)となる中心軸の両側2方向の間の角度を半値幅とし、指向性を表す指標とする場合が多い。角度が半値幅の外になると、一般にゲインは急激に減少する。
【0056】
指向性は、使用する周波数、アンテナの構造、同種アンテナのアレイ配置、反射器の設置(パラボラ型を含む)等の条件により異なり、無指向性とされるものでは、多くは一平面内でアンテナの周囲及び背後まで全周にあまりゲインの変化がない。指向性とされるものは例えば半値幅は、小さいものでは例えば20°〜30°のものもあり、より大きいものもある。
【0057】
イベント会場において、通常、観客席は舞台の周囲にほぼ平面的に大きな角度(90°〜360°)で広がっているため、水平方向の指向性が重要である。(観客席は舞台方向に降り傾斜していたり、2、3階席がある場合もあるが、垂直方向の角度は比較的小さいし、アンテナの中には、水平方向に指向性が強いが垂直方向には弱いものがあるので、考慮しなくてもよい場合も多いと考えられる。)
【0058】
このようにほぼ平面的に広がった観客が所持する発光演出具200の総数に対し、その一部のグループのみの発光態様に変化を与えようとする場合、そのグループに属する発光演出具200の個数(発光演出具200の向きによっては受信アンテナ210の感度が低下して受信が不成功となる場合も個別には考えられるから、発光演出具200が正しい状態(向きその他)にあれば受信可能となるエリア内に存在する発光演出具200の数)は、光演出効果の観点から、上限は総数の7割程度、下限は総数の1割程度であろう。5割から2割の範囲であることも好ましい。
【0059】
制御送信信号を送信する送信アンテナ130は、例えば舞台上に設置したり、舞台よりも奥の方などに設置したりされるであろうが、音響変換器200が既述のような範囲の指向性(例えば半値幅が20°以上の範囲)を持てば、観客席が舞台の周囲を例えば90°から360°の間のいずれかの角度で取り巻くものとして、好ましい部分発光的光演出効果が得られることが明らかである。
【0060】
また、指向性を有する送信アンテナ130の向いている方向(設置角度)を時間と共に変更することにより、他と異なる発光態様をなす一部のグループが、観客席の内部を移動するような効果を得ることができる。また、角度変化だけでなく位置を変えてもよい。例えば、前方に強い指向性を有する送信アンテナ130を舞台の前縁に置き、ゲインが最高となる方向をほぼ正面に向けたまま、観客席の前列に沿ってレール(直線又は曲線状)の上などを移動させるようにしてもよい。
【0061】
<実施例2の変形例1>
指向性のある電波を発信する集中発光制御装置100を複数個用い、それぞれに発光演出具200の異なる集団を受け持つと共に異なる信号で制御させるようにすると、光による演出効果に顕著な特異性を与えることができる。
【0062】
<実施例2の変形例2>
指向性の少ない電波を発信する集中発光制御装置200と、指向性の強い集中発光制御装置200とを併設して用い、両者の制御内容を異ならせておく。この構成により、例えば発光演出具の集団の一部分に、他と異なる態様の発光を与え、光演出効果にまた更なる多様性を与えることができる。ただし、発光演出具200の一部は異なる制御信号を含む電波を受信することとなるので、受信回路220や発光制御回路230は異なる信号の双方に対応できる構成とする。
【実施例3】
【0063】
<発光演出具の具体例1>
図2〜4は、発光演出具200の具体例1の構造を示すものである。
図2(a)は全体の正面図、(b)はその側面図、
図3の(a)は骨格の正面図、(b)はその側面図、
図4はその扇面板の正面図である。
【0064】
発光演出具200は、スティック状やペンライト状、あるいはその他の任意の形態であってもよいが、本実施例のように発光うちわの形態とすることもできる。発光うちわは発光する扇面が大きいので、小型の発光演出具よりも光演出効果が大きい。まずその基本的な構造(そのかなりの部分は特許文献2に記載された発光うちわとの共通性がある)を述べ、その中で本実施例特有の構成も説明する。
【0065】
図2及び3において1はうちわの骨格であり、アクリル樹脂等の透明な材質から成形され、その主要部は厚さの大きい骨格基部1a(正面図の外形は左右が尖った楕円形をなす)、その上方の基部上端1cから、それよりもやや厚さの薄い多数の放射骨1g(それらの中間は部材のない窓部1hである)、その先端を結ぶほぼ円形の縁部材1fより成っている。骨格基部1aの部分には、その両面に多数の浅い凹部1jがあり、それらの中間部は疑似骨1kとして残っている。放射骨1g、疑似骨1k、凹部1jの放射中心となる部位近辺に光入射部1bが切り込まれ、その左右に取付部1d,飾りの長穴1iが形成されている。骨格1は光源から発する光の主要な導光体となっている。
【0066】
うちわの柄4は扇面を挟む2つの部材で構成され、骨格1の下部を挟んで組み立てられる。図の下方では柄4は円筒形に組み上げられ、内部に電源となる単4型等の電池3eが収容される。上方の左右に膨大した形状の結合部4aは、その内部のピン状突起(図示省略)と骨格1の取付部1dの固定穴1eとを嵌合させて、骨格1と強固に結合される。
【0067】
結合部4aの内部空間には、
図1の発光体240となるLED3a、また骨格1の一方の側に重なるように発光制御回路230が収納される。受信回路220の配置は図示されていないが、発光制御回路230と一体化されていてもよい。受信アンテナ210も図示されていないが、小さなサイズであれば発光制御回路230の基板上にそのパターンを設けることもできるし、大きなサイズが必要ならば、扇面板2の表面や、骨格1の周縁部(縁部材1f上)に導体(透明な導電材料で形成することもできる)によるアンテナ用のパターンを形成してもよい。
【0068】
なお、発光体240に相当するLED3aは1個のみ図示されているが、その発光色は単色とは限らず、複数色であることが望ましい。即ち、1個のパッケージ内に発光色の異なる複数個のLEDチップを内蔵させてもよいし、発光色の異なるLEDチップを内蔵したパッケージを近接させて配置し、発光体240としてもよい。光源の各色は、発光制御回路230によって独立に発光を制御される。
【0069】
LED3aの各端子、直列にされた電池3e上端の正極、同じく電池3eの下端の電池バネ3fからメインスイッチ機構を経由して柄4の内部を上方に伸びる負極リード線3dの上端は、いずれも発光制御回路230に接続している(詳細構造は図示せず)。
【0070】
柄4の下端に嵌めこまれたキャップ5は電源のメインスイッチを兼ねている。電池を収納後キャップ5を回動すると、その内部突起5bと柄4の下端に設けたカム溝との作用でキャップ5の内部のバネ台座5aに嵌めた円錐状のコイル形に巻かれた電池バネ3fと負極リード線3dの下端が接触し電源回路が閉じる。逆に回すと電源が切れる。なおキャップ5の下端に設けた吊輪部5cは、紐や鎖などを通してうちわを首や手首に掛けておくためのものである。
【0071】
光源LED3aの発光部は光入射部1b部で骨格基部1aの厚みの中央に位置し、光束は骨格1の内部に入射し、放射状に扇面全体に広がる。その過程で骨格1に断面変化のある部分、特に急激に断面が縮小変化している部分があると、そこから外部に放射されて輝く。
図2の各輝点は主な発光点となる断面減少部位を示す。輝点6aは凹部1jの下端、輝点6bは基部上端1cから放射骨1gに移る部分、輝点6cは光が縁部材1fの外端に達した部分である。
【0072】
多数の各主要な発光点は本例では数本の円弧上に密接して並んでおり、暗所ではこれら輝点が曲線状に連なって極めて美しい。なお他の各部や骨格の表面の凹凸部分からもいくらか発光する。扇面板2も発光を拡散する。これらはオーラのように美しく見える。また横骨を設けても発光点を増すことができよう。なお骨格1の断面厚さや幅が骨格基部1aから縁部材1fに向けて段階的に小さくなることは、発光上もうちわの強度上も好都合である。
【0073】
光源LED3aの発光は強いため、直接目視すると眩しさを感じることがある。柄4はLED3aの両側を包んでいるので、その材質の光透過性を選択することによってその難点を克服できる。すなわちLED3aを覆う部材(本例では結合部4a)の材質に不透明なものを用いてもよいが、光減衰性の、すなわち透明ではあるが暗色の樹脂材料で成形すると眩しさが適度に抑制され、しかも光源の存在を明示して更なる美的効果を加えることもできる。
【0074】
透明又は半透明の薄いフィルムあるいはシート状である扇面板2は放射骨1gと縁部材1fの両面に貼られ、表面には模様2aを有する。これはうちわの扇ぎ動作による風起し面である他、明所でのうちわの美的効果を発揮し、また暗所では扇面の発光を極力妨げない役割を有する。透明なホログラムシートが最適であった。
【0075】
運動センサ250の配置については、本例では図示を省略したが、発光制御回路と同様に柄4の膨大した取付部1dの内部空間に配置するのが最適である。しかし、もし運動センサがうちわを強くあおぐことによる扇面のたわみを検出する薄膜状のひずみセンサである場合には扇面板2の上面に設けてもよいし、柄4の握りの強さを検知する力センサの場合には柄4に配置してもよい。またLED3aは複数個を設け、それらの発光色を異ならせたり、発光の態様を別個に制御し、光演出効果を増してもよい。
【0076】
なお、LED3aの発光は、集中発光制御装置100の発する発光制御信号や、発光演出具自身の有する運動センサにより制御されるばかりでなく、使用者の単純なスイッチ操作やその他の信号によっても可能としておくことが望ましい。
【実施例4】
【0077】
<発光演出具の具体例2>
図5は発光演出具200の具体例2の構造を示す。(a)は全体の正面図、(b)は側面図である。また
図6はその骨格であって、(a)は正面図、(b)と(c)はある1つの放射骨の断面変化の2つの形態例を示す部分断面図と部分正面図である。
【0078】
本例も発光うちわであって、透光性のある骨格1と透光性のある扇面板2を用い、柄4に電源を内蔵する点で
図2〜4の発光演出具の実施例1と共通性がある。前例との主なる相違点は、柄4と骨格1の結合部4aが円板型(リング型)の扇体の中央部にあり、その内部から正面図のほぼ全方位(柄の占める方向を除く)に向けて発光体の発光を行わせることである。なお前例と共通性のある構成要素には共通する符号を付した。
【0079】
効果上の差異は、まず柄4の上端が円板型の扇面の中央付近まで達しているため、前例と同じ本数の電池を内蔵させても、うちわの上下方向の全長がより短くてすみ、うちわが全体としてコンパクトになること、また発光の全方位を複数に分割してそれぞれの角度範囲を別個のLED3aに受け持たせたため、それらLEDを全て点灯すれば、柄4の方向を除いた広い角度範囲に強い発光が得られ、外部からの視認性も高く、優れた光演出効果が得られることである。
【0080】
まず各放射骨1gが単純な長い直方体的形状である場合、本例の発光部位となる輝点は2種類で、円形の骨格基部1aの外周にある放射骨1gの中間点である6bと、放射骨1gの延長上で縁部材1fの外端である6cである。なお、結合部4aの外径は骨格基部1aの径よりもやや小さくして、輝点6bの発光をよく見せることが望ましい。
【0081】
また放射骨1gに断面変化を与えて、骨の途中から発光させることもできる。
図6(b)は扇面の厚さ方向に階段状の断面変化を与えた場合、
図6(c)は幅方向に断面変化を与えた形状を示す。いずれの場合も、放射骨1gの中間で断面が急変する点6dから骨内を通る光が漏れ、それぞれが輝点となる。
【0082】
リング状の扇面に生じる輝点6dは、
図6(a)に示すように、その連なりが図形50を想起させる。本図の場合は3個の同形の菱形が視認される。これら図形50を個別に照明している3個のLED3aを適当な繰り返し速度で順次切り替えて点灯させるときは、扇面上で図形50も順次点滅し、そのため図形50が回転しているようなアニメーション的な効果が得られる。LED3aの個数と図形50の個数を増せば、動きはより滑らかになる。個数が2個のときは交互点灯となる。
【0083】
発光制御回路230(及び受信回路220)、運動センサ250は、
図5(a)に示すように、柄の結合部4aの内部に収納することが好ましい。
【0084】
また、輝点の他の形成構造として、図示しないが、骨格基部1aの径を結合部4aの外径よりも大きくし、生じたリング状のスペースに浅い凹部を設けてもよい。また骨格1を放射骨のない透明な平板とし、この平板に図形を彫り込んで発光のための断面変化を与えるようにしてもよい。
【実施例5】
【0085】
イベント会場の多数の観客がそれぞれ持っている発光演出具200の発光態様を、観客が目にする一人又は少数から成る指揮者(例えばイベントの主役となるアーティストや歌手など、普通は主催者側の要員が想定される)が自由に制御することができる構成である。指揮者は運動センサと検出された運動情報を外部に送信する送信機を携帯するか身体に装着する。送信する送信機と集中発光制御装置100の間の信号伝達は、電波、音波、あるいは光(例えば赤外線)等の無線手段が移動時の制約が少ないので好ましいが、有線によってもよい。
【0086】
集中発光制御装置100の制御送信信号作成
装置120は、発信機の信号を受信する手段と、その信号に含まれる運動情報を判別する手段を備え、その運動情報に基づいて、観客の所持する発光演出具200に対し、所定の制御送信信号を送信する機能を有する。即ち、信号出力が変化したことを検出すると、集中発光制御装置100は予め登録してある発光パターンを選択して発光演出具200が発光するように制御を行う。
【0087】
運動センサ(一般にはモーションセンサとも呼ばれている)における「運動」は広い概念を有する。その数例を示す。まず、〔実施例1〕の説明において述べたような、装着された物体に作用する加速度、角速度、ひずみや力(それぞれ1軸から3軸方向で検出可能)を検知するセンサがある。
【0088】
また人体の発する赤外線を検出して、位置情報まで検出可能な受光型の焦電センサも利用できる(センサは例えば固定位置に置く)。また赤外線や電磁波(マイクロ波等)を発射し、人体からの反射光又は反射波を検出する反射型のセンサもある。更に対象物(人体)からの反射光又は反射波の位相差を検出することによって、対象の位置やその変化を検出することが可能となる。また反射波の検出器をアレイ状に配置して、複数の対象物の運動を識別することもできる。
【0089】
このような構成により、簡単な例を挙げれば、指揮者が加速度を検出する運動センサを仕込んだ指揮棒や杖、スティック等を持つか、指揮者自身の腕に運動センサを装着する。その杖等や腕を強く振って運動センサの出力がある閾値を超えると、全観客の所持する発光演出具200の発光色を一斉に瞬時に赤く変えるといったような演出が容易に行える。また指揮者が舞台上を動いて所定の位置に来たとき、多数の発光演出具の発光態様を一斉に変化させることもできる。
【0090】
また、指揮者自身も自ら発光態様を操作できる発光演出具を所持し、その発光演出具に運動センサを内蔵させて指揮者の動きを集中発光制御装置100に送信する。そして、指揮者が予定した通りに又は即興的に行った発光の動作を集中発光制御装置100が検出し、同じパターンで観客の発光演出具200を同期的に発光させることができる。
【0091】
また、指揮者が与えたきっかけによって生成された発光の制御信号を集中発光制御装置100が発光演出具200に向けて送信する際、指向性を備えた送信アンテナ130を用い、かつその指向性の方向を時間的に自動又は手動で変化させることにより、例えば、光の塊がイベント会場の端から端まで移動するように、スウィープ的又はウェーブ的に発光させることもできる。
【0092】
なお、指揮者の持つ発光演出具には、加速度センサ等連続的に運動を計測する運動センサを敢えて内蔵せず、発光スイッチを押したことを集中発光制御装置100に伝えるだけであっても、その信号送信装置が指揮者のスイッチ操作の運動を検出する簡易型運動センサとしての作用を有することになる。
【実施例6】
【0093】
また、集中発光制御装置100と発光演出具200は、既述の実施例のいずれかを基本的機能として備え、それに加えて、指揮者や観客の所持する発光演出具200自体に、相互間の距離に応じて発光態様を変化させる装置を搭載しかつ機能させることにより、発光演出効果を更に多彩にすることができる。
【0094】
多数の発光演出具200の相互間の連続的な距離変化を検出することはもちろん原理的に可能であるが、それが容易ではなければ、2つの発光演出具200が接触したことを検出してもよい。この場合には、接触のあった発光演出具に急激な力や加速度やひずみが生じるので、発光演出具200に備えられた運動センサ250が利用できる。
【0095】
一方は発光し、他方は未発光である(又は異なる発光形態〔例えば異なる発光パターンや色〕を呈していてもよい)2つの発光演出具200が互いに接触し、あるいは所定の距離以内に接近したとき、例えば発光スイッチが手動操作されていて発光している発光演出具200をマスターとし、その発光態様を発光操作がされていないスレーブとなる後者の発光演出具200に伝えることが可能である。これは、(強制)発光操作によって発光態様が固定され、(強制)発光操作がなされていない場合は他の信号に従う受動的な発光態様を取る構成とすれば実現できる。この機能は、発光制御回路230に持たせる。
【0096】
この構成によると、指揮者が持つ発光演出具200を最初のマスターとして、まず最前列の観客の持つ発光演出具200(スレーブ)に対して発光色やパターンの伝達を行い、伝達を受けた観客は次に自分の発光演出具200をマスターとし、後列の観客の発光演出具200をスレーブとして同じ発光態様を伝達する。これが反復されると、会場の前縁から後方に向かって、所定の発光パターンや色がウェーブ状に移動し変化する効果が得られる。
【0097】
伝達に際し発光色や発光パターンを特定しておくには、制御送信信号作成
装置120でその信号を作成し集中発光制御装置100から各発光演出具200に送信しておくか、又はあらかじめ各発行演出具200の側で手動スイッチ等を用いて設定しておく。なお、各発光演出具200がマスターの発光色や発光パターンを直接認識できるセンサを備えていてもよい。
【0098】
以上、発光制御信号の媒体として電波の利用について述べたが、発光制御信号の搬送波として、音波又は赤外線を用いることも可能である。電波、音波及び光線(赤外線)は、到達距離や範囲、指向性、遮蔽のされ易さ、他からの妨害、送信や受信装置の実現の容易性等についてそれぞれ得失がある。それぞれの特徴を勘案し、信号の媒体としてそれらのいずれかを用い、又は併用し得るようにしておき、状況に応じて切り替えて使えるように、集中発光制御装置と発光演出具を構成してもよい。また既述の諸実施例や各変形例の構成を組み合わせることによって、特徴ある発光演出効果を得ることができる。