特許第6405511号(P6405511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6405511バックライト装置及びこれを備えた液晶ディスプレイ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6405511
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】バックライト装置及びこれを備えた液晶ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20181004BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20181004BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   H05B37/02 L
   F21S2/00 400
   H05B37/02 F
   G02F1/13357
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-544367(P2017-544367)
(86)(22)【出願日】2017年3月13日
(86)【国際出願番号】JP2017010051
【審査請求日】2018年3月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515190180
【氏名又は名称】株式会社YAMATODA
(74)【代理人】
【識別番号】100110652
【弁理士】
【氏名又は名称】塩野谷 英城
(72)【発明者】
【氏名】山戸田 浩一
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−169493(JP,A)
【文献】 特開2010−123946(JP,A)
【文献】 特開2014−54290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
F21S 2/00
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルの背面に装備され当該液晶パネルを背面から照明するバックライト装置であって、
装置内に固定された複数の赤色LED,緑色LED及び青色LEDと、当該赤色LED,緑色LED及び青色LEDに電気的に接続し当該各LEDを駆動して照明光を照射させる駆動部と、この駆動部に電気的に接続し前記青色LEDの出力を調節する制御信号を当該駆動部に入力する制御部とを備え、
前記駆動部は、前記制御信号に応じて前記青色LEDの出力を調節する、バックライト装置において、
前記青色LEDの出力を経時的に調整するスケジュールを記憶するスケジュール記憶部を備え、
前記制御部は、前記スケジュール記憶部に記憶された前記スケジュールに応じて前記青色LEDの出力を経時的に調整する、バックライト装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記制御信号に応じて前記青色LEDの出力を0%から100%まで調節可能とした、請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記制御部は、スイッチの操作に応じた前記制御信号を前記駆動部に入力する、請求項1又は2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記スケジュールは、午前中の青色LEDの出力を基準よりも強くする、請求項に記載のバックライト装置。
【請求項5】
前記スケジュールは、夕方から夜にかけて青色LEDの出力を漸減させる、請求項に記載のバックライト装置。
【請求項6】
液晶パネルの背面に請求項1乃至のいずれか1項に記載のバックライト装置を装備した液晶ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト装置に係り、特に、液晶ディスプレイを背面から照明するバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、コンピュータのディスプレイを一日中見続ける仕事が増えている。その仕事は、プログラマーやデザイナーだけでなく電子データを扱う経理担当者などにも広がっている。これらの仕事に用いられるディスプレイのほとんどは液晶ディスプレイ(LCD)であり、その画面も大型になり、利用者が浴びるブルーライトが時間・量ともに増えている。
【0003】
ブルーライトによる人体への影響の問題が顕著化しつつある今、この問題の解決方法として行われているのは、第1に、利用者がブルーライトカット眼鏡等を掛けることである。この方法は非常に手軽であり、ブルーライトを60%ほどカットできる。しかし、眼鏡に慣れていない人が一日中掛けているのは辛いことである。
【0004】
第2に、ブルーライトカットフィルタをディスプレイに貼る方法である。液晶ディスプレイにフィルタが貼られていれば、利用者は常にブルーライトを気にすることなくディスプレイを利用することができ、ブルーライトを最大で100%カットすることも可能である。しかし、フィルタが常にブルーライトをカットするため、それによって変更された色味を元に戻すことができない、という不都合がある。
【0005】
第3に、LCDを制御することにより電子的にディスプレイの青色の出力を弱める方法がある。この場合も青色のLCDの出力を変更するため、色味が変わってしまうが、スイッチの操作によりカット率を0%〜50%ぐらいの間で調整することが可能である。
【0006】
ここで、ブルーライトの発生源は、バックライトである。現在バックライトには、近UV−LEDに黄色の蛍光剤を組合わせて得られる擬似白色が用いられている。このため、ブルーライト成分は、LCDの青色だけでなく、赤色及び緑色にも含まれている。よって、上述した第3の方法により、LCDを制御して青色の出力を抑えたとしても、LCDの赤色及び緑色に含まれているブルーライト成分はカットできないため、上記のようにブルーライトのカット率は精々50%ぐらいが上限となる。
【0007】
なお、バックライトには、赤色LED、緑色LED及び青色LEDをそれぞれ適所に配置して発光させることにより白色光を得るタイプもある(例えば、特許文献1)。また、小さいパッケージに赤色LED、緑色LED及び青色LEDを個別に内蔵したワンパッケージの白色LEDが製品化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−21649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来に比べ高いブルーライトカット率を実現すると共に、当該カット率を調節可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採る。即ち、液晶パネルの背面に装備され当該液晶パネルを背面から照明するバックライト装置において、装置内に固定された複数の赤色LED,緑色LED及び青色LEDを備える。また、当該赤色LED,緑色LED及び青色LEDに電気的に接続し当該各LEDを駆動して照明光を照射させる駆動部を有する。さらに、この駆動部に電気的に接続し青色LEDの出力を調節する制御信号を当該駆動部に入力する制御部を備える。そして、駆動部は、制御信号に応じて青色LEDの出力を調節する、という構成を採っている。
【0011】
ここで、赤色LED,緑色LED及び青色LEDは、ワンパッケージの白色LED製品に内蔵されていてもよい。また、この白色LED製品を上記装置内に複数固定することによって、上記「装置内に固定された複数の赤色LED,緑色LED及び青色LED」を構成してもよい。
【0012】
これによると、バックライトを照射する赤色LED,緑色LED及び青色LEDのうち、青色LEDの出力を独立して調節することができるので、バックライトのブルーライト成分を抑えることができる。よって、LCDの赤色、緑色及び青色のすべての出力からブルーライトを低減することができる。従来技術の第3の方法では、LCDで青色の出力を抑えても、LCDの赤色及び緑色の出力に含まれるブルーライト成分をカットできなかったが、本発明によれば、LCDの赤色、緑色及び青色のすべての出力でブルーライト成分を抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
よって、本発明によれば、従来に比べ高いブルーライトカット率を実現すると共に、当該カット率を調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明を含む液晶ディスプレイ装置の概略構成図である。
図2図2は、図1に示す駆動部および制御部の詳細を示す構成図である。
図3図3は、図2のスケジュール記憶部に登録されるスケジュールの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図1を参照して説明する。図1において、液晶ディスプレイ装置20は、液晶パネル4を備えている。液晶パネル4の背面には、バックライト装置10が装備されている。バックライト装置10は、液晶パネル4を背面から照明する。
【0016】
バックライト装置10は、バックライトユニット1と、駆動部2と、制御部3とを備えている。バックライトユニット1は、内部の適所に配置された複数の赤色LED,緑色LED及び青色LEDを備え、赤色LED,緑色LED及び青色LEDの3原色による照射光(白色光)により液晶パネル4を背面から照明する。駆動部2は、赤色LED,緑色LED及び青色LEDに電気的に接続し当該各LEDを駆動して上記の照射光を出力させる。制御部3は、この駆動部2に電気的に接続し青色LEDの出力(強さ、輝度)を調節するPWM等の制御信号BCを当該駆動部2に入力する。駆動部2は、制御信号BCに応じて青色LEDの出力を調節する。
【0017】
これを更に詳述すると、本実施形態において、駆動部2は、制御信号BCに応じて青色LEDの出力を0%から100%まで調節する。制御部3は、ユーザのスイッチ操作に応じた制御信号BCを駆動部2に入力する。
【0018】
そして、ユーザがスイッチを操作すると、制御部3から出力される制御信号BCが変化し、この制御信号BCの変化に応じて、駆動部2は、青色LEDの出力を0%〜100%の間で調節する。よって、液晶ディスプレイ装置20から照射されるブルーライトのカット率を0%から100%まで調節することができる。
【0019】
以上説明した実施形態によれば、バックライトを照射する赤色LED,緑色LED及び青色LEDのうち、青色LEDの出力を独立して0%から100%まで調節することができるので、バックライトのブルーライト成分を完全にカットすることも可能である。よって、LCDの赤色、緑色及び青色のすべての出力からブルーライトを完全にカットすることも可能であり、本実施形態によれば、従来に比べ高いブルーライトカット率を実現すると共に、当該カット率を調節することが可能となる。
【0020】
図2は、駆動部2及び制御部3の詳細な構成を示す。駆動部2は、Rドライバ21(赤色LEDドライバ)、Gドライバ22(緑色LEDドライバ)及びBドライバ23(青色LEDドライバ)を備えている。Rドライバ21は、複数の赤色LED11に駆動電圧を印加する電気回路である。同様に、Gドライバ22は、複数の緑色LED12に駆動電圧を印加する電気回路である。Bドライバ23は、複数の青色LED13に駆動電圧を印加する電気回路である。
【0021】
また、制御部3は、B制御部31(ブルーライト制御部)、タイマ32、ユーザ操作部33及びBスケジュール記憶部34(ブルーライトスケジュール記憶部)を備えている。B制御部31は、演算装置を含むプロセッサを備え、決められたプロセスの実行により各種の機能を実現する。タイマ32は、現在の時刻をB制御部31に与える。ユーザ操作部33は、ユーザの操作に応じた信号をB制御部31に入力する入力装置である。Bスケジュール記憶部34は、ブルーライトの強さの経時的な変化(スケジュール)を1ないし複数記憶するメモリ等の記憶装置である。電源5は、Rドライバ21、Gドライバ22及びB制御部31に電力を供給する。
【0022】
B制御部31は、デフォルトで又はユーザ操作部33の操作により、通常モードに設定される。通常モードにおいて、B制御部31は、ユーザ操作部33からブルーライトの強さを強める操作又は強さを弱める操作を受け付ける。B制御部31は、受け付けた操作に応じた制御信号を、操作の都度、Bドライバ23に入力する。Bドライバ23は、入力された制御信号に応じて、操作の都度、ブルーライトの強さを一段階強める又は一段階弱めるように、複数の青色LED13に入力する駆動信号を変化させる。これにより、バックライト装置10は、ブルーライトの強さをユーザの操作に応じて、ユーザの希望する強さに設定することができる。
【0023】
また、B制御部31は、ユーザ操作部33の操作により、スケジュールモードに設定される。スケジュールモードにおいて、B制御部31は、Bスケジュール記憶部34に記憶されたブルーライトの強さのスケジュールを参照し、タイマ32から取得する現在の時刻に応じて、ブルーライトの強さを経時的に変化させる。B制御部31は、スケジュールに応じてブルーライトの強さが経時的に変化するように、適時に適切な制御信号をBドライバ23に入力する。Bドライバ23は、入力される制御信号に応じて複数の青色LED13が出力するブルーライトの強さをスケジュール通りに経時的に変化させる。
【0024】
ブルーライトは、目に悪い影響を与えると言われるが、それだけでなく、体内時計を狂わせることが知られている。海外出張などで、時差ボケを朝日を浴びて治すことがあるが、それを利用したものである。ブルーライトには、脳を覚醒する性質がある。そこで、本願では、バックライトのブルーライトを制御することにより、ブルーライトのカットだけでなく、覚醒作用を利用することを提案する。
【0025】
例えば、図3に示すように、ブルーライトの強さのスケジュールを設定する。P0は基準のブルーライトの強さを示す。P1は基準よりも強いブルーライトの強さを示す。P2は基準よりも弱いブルーライトの強さを示す。午前中は、脳を覚醒させるために、基準よりも強めのブルーライトを浴びせる。夕方(帰宅時間近く)になると、基準から徐々にブルーライトをカットし、夜に向けて睡眠導入を図り、体調を整える。
【0026】
この例のように、本実施形態によれば、ブルーライトの強さをスケジュールに応じて自動的に変化させることにより、ブルーライトを積極的に利用することが可能となる。
【0027】
B制御部31は、ユーザ操作部33が受け付けた操作に応じて、スケジュールを設定し、Bスケジュール記憶部34に登録してもよい。また、B制御部31は、ユーザ操作部33が受け付けた操作に応じて、Bスケジュール記憶部34に登録されている複数のスケジュールから適用する1のスケジュールを選択してもよい。
【0028】
ここで、本発明の範囲は、請求の範囲に記載した範囲であり、上記の実施形態に限られるものではない。例えば、バックライト装置10は、上記実施形態のように青色の出力を制御するが、これに加え、赤色や緑色の出力を制御する機能を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 バックライトユニット
2 駆動部
3 制御部
4 液晶パネル
5 電源
10 バックライト装置
11 複数の赤色LED
12 複数の緑色LED
13 複数の青色LED
20 液晶ディスプレイ装置
21 Rドライバ
22 Gドライバ
23 Bドライバ
31 B制御部
32 タイマ
33 ユーザ操作部
34 Bスケジュール記憶部
【要約】
【課題】従来に比べ高いブルーライトカット率を実現すると共に、当該カット率の調節を可能にすること。【解決手段】液晶パネル(4)の背面に装備され当該液晶パネル(4)を背面から照明するバックライト装置(10)において、装置内に固定された複数の赤色LED,緑色LED及び青色LEDを備える。また、当該赤色LED,緑色LED及び青色LEDに電気的に接続し当該各LEDを駆動して照明光を照射させる駆動部(2)を有する。さらに、この駆動部(2)に電気的に接続し青色LEDの出力を調節する制御信号BCを当該駆動部(2)に入力する制御部(3)を備える。そして、駆動部(2)は、制御信号BCに応じて青色LEDの出力を調節する。【選択図】図1
図1
図2
図3