(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一画素部および前記第二画素部の各々は、さらに、前記駆動トランジスタから供給される駆動電流に応じて発光する発光素子と、前記駆動トランジスタのゲートソース間に接続された容量素子とを備え、
前記駆動トランジスタはN型であり、前記駆動トランジスタのソース電極と前記発光素子のアノード電極とが接続されており、ブートストラップ動作時に、前記容量素子に蓄積される電圧が前記駆動トランジスタのゲートソース間に形成される寄生容量およびゲートドレイン間に形成される寄生容量により変化する、
請求項1〜6の何れか1項に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(課題の詳細)
上述した課題の詳細について、
図1〜
図13を用いて説明する。
【0010】
(比較例1)
図1は、比較例1における有機ELディスプレイの外観の一例を示す図である。
図2は、比較例1における有機ELディスプレイの構成の一例を示す図である。
【0011】
図1および
図2に示すように、有機ELディスプレイ1は、有機ELパネル10と、データ線駆動回路20と、走査線駆動回路30と、TCON(タイミングコントローラ)40とを備えている。なお、データ線駆動回路20、走査線駆動回路30およびTCON40については、課題とは直接的に関連しないため、実施の形態で説明する。
【0012】
有機ELパネル10は、行列状に配置された複数の画素部Pを備えている。複数の画素部Pの各々は、赤色(R)用の光を出すサブ画素部PR、緑色(G)用の光を出すサブ画素部PG、および、青色(B)用の光を出すサブ画素部PBを備えている。
【0013】
図3は、サブ画素部PRの構成の一例を示す回路図である。
図3に示すように、サブ画素部PRは、駆動電流に応じて発光する有機EL素子OELと、データ信号線DRの電圧に応じた電荷を蓄積する容量素子Csと、データ信号線DRと容量素子Csの一端との導通および非導通を切り替える選択トランジスタTrsと、容量素子Csに蓄積された電荷の量に応じた駆動電流を有機EL素子OELに供給する駆動トランジスタTrdとを備えている。駆動トランジスタTrdのゲートドレイン間には、寄生容量Cgdが形成され、ゲートソース間には寄生容量Cgsが形成されている。
【0014】
図4は、比較例1における有機ELパネルの一部におけるレイアウトパターンの一例を示す図である。
図4では、2点鎖線で囲んだ6つの長方形状の領域の各々に形成された6個のサブ画素部P101〜P106を示している。サブ画素部P101〜P106は、それぞれ、赤色(R)用の光を出すサブ画素部PR、緑色(G)用の光を出すサブ画素部PG、および、青色(B)用の光を出すサブ画素部PBのいずれかに対応している。サブ画素部P101〜P106は、行方向に一行に並んで配置されている。
【0015】
各サブ画素部には、ゲートメタル層101と、半導体層102と、チャネル保護膜108と、ドレインメタル層103およびソースメタル層104を構成するメタル配線層と、電源配線105と、データ信号線106とが形成されている。
【0016】
ゲートメタル層101は、ゲート電極およびゲート電極に続くゲート配線を含んで構成されている。チャネル保護膜108は、エッチングストッパとして機能する層であり、上面視においてトランジスタのチャネル領域を含んで構成されている。ドレインメタル層103は、ドレイン電極およびドレイン電極に続く配線を含んで構成されている。ソースメタル層104は、ソース電極およびソース電極に続く配線を含んで構成されている。
【0017】
図4に示すサブ画素部P101〜P106の各々では、電源配線105は、列方向に延伸する長尺状の配線であり、長方形状の領域の図面右側に配置されている。データ信号線106は、列方向に延伸する長尺状の配線であり、長方形状の領域の図面左側に配置されている。ドレインメタル層103は半導体層102の右側に位置し、ソースメタル層104は半導体層102の左側に位置している。このため、ソースドレイン間に流れる電流の向きは、
図4の矢印で示すように、電源配線105に垂直な方向であり、図面右側から左側となる。
【0018】
(比較例2)
ここで、有機ELパネル10において、各サブ画素部の面積を低減して集積度を向上させるために、2つのサブ画素部の境界に電源配線105を配置するように構成した有機ELパネルがある(例えば、特許文献1参照)。
【0019】
図5は、比較例2における有機ELパネル10のレイアウトパターンの一例を示す図である。
図5に示すレイアウト図には、行方向に隣り合う第一サブ画素部P201および第二サブ画素部P202と、電源配線105とが含まれている。第一サブ画素部P201と第二サブ画素部P202とは、各構成要素の形状、大きさおよび配置が、当該2つのサブ画素部の境界線に対して対称となっている。電源配線105は、第一サブ画素部P201と第二サブ画素部P202との境界線上に配置された1本の第一主電源配線105aと、第一主電源配線105aから第一サブ画素部P201を構成する駆動トランジスタTrdaのドレイン電極に延びる第一副電源配線105cと、第一主電源配線105aから第二サブ画素部P202を構成する駆動トランジスタTrdbのドレイン電極に延びる第二副電源配線105dとを備えている。
【0020】
また、奇数列のサブ画素部P201、P203およびP205は、
図4のサブ画素部P101と同じ構成となっている。偶数列のサブ画素部P202、P204およびP206は、
図4のサブ画素部P101に対し、各構成要素が電源配線105に対して線対称に配置されている。
【0021】
このため、比較例2の場合、ソース電極とドレイン電極の配置の位置が、対になる2つのサブ画素部で対称(逆)となっている。したがって、ソースドレイン間に流れる電流の向きは、奇数列のサブ画素部P201、P203およびP205では図面右側から左側となるのに対し、偶数列のサブ画素部P202、P204およびP206では図面左側から右側となる。
【0022】
(アライメントのずれによるソースドレイン間に流れる電流量の変化、および画素回路の入出力特性の変化)
ここで、アライメントのずれにより、ゲートメタル層、半導体層およびチャネル保護膜と、ソースメタル層およびドレインメタル層との間で位置ずれが生じる場合がある。そうすると、チャネル保護膜−ソースメタル層のオーバーラップ面積とチャネル保護膜−ドレインメタル層のオーバーラップ面積、あるいは、ゲートメタル層−半導体層−ソースメタル層とゲートメタル層−半導体層−ドレインメタル層のオーバーラップ面積のそれぞれついて、理想的には等しいはずのオーバーラップ面積が異なってしまう。ここで、比較例2の場合、ソース電極とドレイン電極の配置の位置が、対になっている2つのサブ画素部の間で逆となっている。このため、比較例2では、対になっている2つのサブ画素部のうちの一方では、ソース側のオーバーラップ面積がドレイン側のオーバーラップ面積よりも大きくなり、他方では、ソース側のオーバーラップ面積がドレイン側のオーバーラップ面積よりも小さくなる。つまり、対になっている2つのサブ画素部の間でトランジスタの特性、およびトランジスタに付随する寄生容量の大きさが異なってしまうという問題がある。以下、アライメントのずれによる複数のトランジスタの特性のばらつきと、寄生容量のばらつきによる画素回路の入出力特性のばらつきについて、さらに具体的に説明する。
【0023】
図6は、ボトムゲート型のCES構造トランジスタTrの構成の一例を示す図である。なお、
図6では、XY平面に平行な面が、ガラス基板100に平行な面、言い換えると、有機ELパネル10の表面に平行な面となっている。
図6の(a)は、トランジスタTrの構成の一例を示す断面図であり、XZ平面に平行な面の断面を示している。
図6の(b)は、トランジスタTrを構成要素のうち、ゲートメタル層101と、半導体層102と、チャネル保護膜108と、ドレインメタル層103と、ソースメタル層104とを示す図であり、有機ELパネル10をZ軸の正側から見た図となっている。
【0024】
図6の(a)および(b)に示すように、ボトムゲート型のCES構造トランジスタTrは、ガラス基板100と、ゲートメタル層101と、ゲート絶縁膜107と、半導体層102と、チャネル保護膜108と、オーミックコンタクト層109dおよび109sと、ドレインメタル層103と、ソースメタル層104とを備えている。
【0025】
ゲートメタル層101は、ガラス基板100上に配置されている。ゲート絶縁膜107は、ゲートメタル層101およびガラス基板100の一部を覆うように形成されている。半導体層102は、ゲート絶縁膜107上に形成されている。半導体層102のX軸方向の長さおよびY軸方向の長さは、
図6の(b)に示すように、ゲートメタル層101のX軸方向の長さおよびY軸方向の長さよりも短く、半導体層102は、XY平面においてゲートメタル層101の領域内に配置されている。
【0026】
チャネル保護膜108は、半導体層102上の一部に形成されている。オーミックコンタクト層109dは、半導体層102およびチャネル保護膜108と、ドレインメタル層103との間に形成されている。オーミックコンタクト層109sは、半導体層102およびチャネル保護膜108と、ソースメタル層104との間に形成されている。なお、ゲートメタル層101とソースメタル層104とがZ軸の正側から見て重なっているオーバーラップ領域に、寄生容量Cgsが形成されている。寄生容量Cgsは、次の3つの領域から構成される。3つの領域の1つ目は、ゲートメタル層101−ゲート絶縁膜107−半導体層102−チャネル保護膜−オーミックコンタクト層109d−ソースメタル層104のオーバーラップ領域Sgs0aである。3つの領域の2つ目は、ゲートメタル層101−ゲート絶縁膜107−半導体層102−オーミックコンタクト層109d−ソースメタル層104のオーバーラップ領域Sgs0bである。3つの領域の3つ目は、ゲートメタル層101−ゲート絶縁膜107−ソースメタル層104のオーバーラップ領域Sgs0cである。各領域の容量の総和を寄生容量Cgsと呼ぶ。ドレイン側も同様であり、ゲートメタル層101とドレインメタル層103とがZ軸の正側から見て重なっている領域に、寄生容量Cgdが形成されている。
【0027】
(アライメントのずれによるソースドレイン間に流れる電流量の変化)
図7は、アライメントのずれによるオーバーラップ面積の違いを示す平面図の一例である。
図8および
図9は、トランジスタの製造工程において、露光装置のレンズの向きのアライメントずれに起因する露光パターンのずれを示す図である。
【0028】
図8および
図9に示すように、トランジスタTrを形成する際、レンズ200の向きがずれると、マスク210によって露光形成されるパターンとガラス基板100との間で位置ずれが生じる。つまり、レンズ200の向きのアライメントずれによって、マスク210の位置合わせ精度がずれた場合と同じような、露光形成パターンのずれが生じていることがわかる。この様に、露光形成パターンの位置精度については、マスク210のアライメントだけでなく、レンズ200の向きのアライメントも重要であると言える。
【0029】
図6の(b)は、理想的にアライメントが行われた場合を示しているのに対し、
図7の(a)および(b)は、ゲートメタル層101および半導体層102およびチャネル保護膜108と、ドレインメタル層103およびソースメタル層104との間で位置ずれが生じた場合を示している。
図6の(b)では、オーバーラップ領域Sgs0aとオーバーラップ領域Sgd0a、オーバーラップ領域Sgs0bとオーバーラップ領域Sgd0b、オーバーラップ領域Sgs0cとオーバーラップ領域Sgd0cはそれぞれほぼ同じ大きさである。しかし、
図7の(a)では、オーバーラップ領域Sgs1a<オーバーラップ領域Sgd1a、
図7の(b)では、オーバーラップ領域Sgs2a>オーバーラップ領域Sgd2aとなる。また、それぞれの寄生容量について、
図6の(b)では、寄生容量Cgs0とCgd0とはほぼ同じ大きさであるが、
図7の(a)では、Cgs1<Cgd1、
図7の(b)では、Cgs2>Cgd2となっている。
【0030】
図10Aは、チャネル保護膜108と、ドレインメタル層103との合わせずれ(アライメントのずれ)量とソースドレイン間に流れるトランジスタの電流Idsとの関係を示すグラフである。
図10Aに示すように、ドレインメタル層103およびソースメタル層104について、X軸の正側へのアライメントのずれ量が大きくなるほど、つまり、ドレイン側のチャネル保護膜108と、ドレインメタル層103とのオーバーラップ領域Sgd0a、Sgd1a、Sgd2aが増加するほど、ソースドレイン間に流れる電流Idsが増加する。これは、チャネル領域上のドレイン側のオーバーラップ領域の面積が変化すると、当該オーバーラップ領域においてキャリア濃度が変化する(電流密度が変化する)ため、実効的なゲート長Lが変化することに起因する。つまり、CES構造のトランジスタでは、アライメントのずれによりチャネル領域上のドレイン側のオーバーラップ領域の面積が変化することで、ソースドレイン間に流れる電流Idsが変化する。
【0031】
図4に示す比較例1の場合、アライメントのずれによりオーバーラップ領域Sgs0aとSgd0aとが異なる大きさになっても、ソース電極およびドレイン電極の並び方向が同じであるため、オーバーラップ領域Sgs0aおよびSgd0aの変化の方向が全てのトランジスタで同じになる。このため、駆動トランジスタのソースドレイン間の電流量Idsは全てのサブ画素部で同じ方向に変化することから、サブ画素部の間で駆動トランジスタの特性が同じになる。ただし、各サブ画素部のレイアウト面積を十分に低減できないという問題がある。
【0032】
これに対し、
図5に示す比較例2の場合、各サブ画素部のレイアウト面積を小さくして集積度を向上させることができる。しかし、比較例2の場合、アライメントのずれにより、オーバーラップ領域Sgs0aおよびSgd0aのずれ方向が奇数列と偶数列とで反対になるため、駆動トランジスタのソースドレイン間の電流は奇数列と偶数列とで逆向きに変化する。具体的には、
図7の(a)の場合は、ドレイン側のオーバーラップ領域Sgd1aの面積が増加するため、電流Idsが増加し、
図7の(b)の場合は、ドレイン側のオーバーラップ領域Sgd2aの面積が減少するため、電流Idsが減少する。
【0033】
したがって、同じ階調値を指定した場合、奇数列および偶数列の一方が比較的明るく表示され、他方が比較的暗く表示されるという問題がある。
図7の(a)の場合は比較的明るく表示され、
図7の(b)の場合は比較的暗く表示される。これにより、有機ELパネル10に筋むらが発生する場合がある。
【0034】
(画素回路の入出力特性の変化)
一方、
図10Bは、寄生容量Cgdの大きさと、
図3の画素回路において特性の階調を表示している際に、駆動トランジスタTrdを介して有機EL素子OELに流れ込む画素電流Ipixの大きさとの関係を示すグラフである。
図11に示すように、ドレインメタル層103およびソースメタル層104について、X軸の正側へのアライメントのずれ量が大きくなるほど、つまり、ドレイン側の寄生容量Cgdが増加する程、画素電流Ipixは減少する。これは、以下の式1および式2を用いて説明することが出来る。
【0036】
式1および式2は、
図3の画素回路の入出力特性を示している。式1において、μは駆動トランジスタTrdの移動度、Coxはゲート酸化膜の単位面積当たり容量、Wは駆動トランジスタTrdのゲート幅、Lはゲート長であり、Cs、Cgs、Cgdはそれぞれ容量素子Cs、寄生容量Cgs、Cgdの容量値を表す。また、Vdataはデータ信号線DRから選択トランジスタTrsを介して容量素子Csに書込まれる信号電圧を、VELはカソード電極に入力される電圧を、Vemitは発光時の有機EL素子OELのアノード電極とカソード電極間電圧を、Vs_writeは信号電圧書込み時に高電位側の電源配線(
図3中の電源電圧VTFTを供給する配線)から駆動トランジスタTrdを介して、Trdのソース側に設定される電位を、それぞれ表している。
【0037】
式1および式2から分かるように、寄生容量Cgdが大きくなるほどVgsが小さくなるため、画素電流Ipixが低下する。これは、ブートストラップ動作と呼ばれる現象に起因するものである。ブートストラップ動作とは、信号電圧書込み後から発光開始時に掛けて、駆動トランジスタTrdのソース側の電位が変化する際に、駆動トランジスタTrdのゲート側の電位も追従して変化する現象を示す(特許文献2参照)。この時、駆動トランジスタTrdのゲート側の電位は、完全に駆動トランジスタTrdのソース側の電位変動に追従するわけでは無く、蓄積容量Csおよび駆動トランジスタTrdの寄生容量CgsとCgdに応じた電圧のロスが発生する。式1および式2はブートストラップ動作による電圧ロスを考慮した画素回路の入出力特性を示している。つまり、
図3の様に、寄生容量Cgs、Cgdを備えるようなトランジスタ構造を持ち、かつブートストラップ動作を行う画素回路では、アライメントのずれにより寄生容量の大きさが変化することで、画素電流Ipixが変化する。
【0038】
前述のオーバーラップ領域の場合と同様、
図4に示す比較例1の場合、アライメントのずれにより寄生容量Cgs0とCgd0とが異なる大きさになっても、ソース電極およびドレイン電極の並び方向が同じであるため、寄生容量Cgs0およびCgd0の変化の方向が全てのサブ画素回路で同じになる。このため、画素電流量Ipixは全てのサブ画素部で同じ方向に変化することから、サブ画素部の間で画素回路の入出力特性が同じになる。ただし、各サブ画素部のレイアウト面積を十分に低減できないという問題がある。
【0039】
これに対し、
図5に示す比較例2の場合、各サブ画素部のレイアウト面積を小さくして集積度を向上させることができる。しかし、比較例2の場合、アライメントのずれにより、寄生容量Cgs0およびCgd0のずれ方向が奇数列と偶数列とで反対になるため、画素電流は奇数列と偶数列とで逆向きに変化する。具体的には、
図7の(a)の場合は、ドレイン側寄生容量Cgd1が増加するため、画素電流Ipixが減少し、
図7の(b)の場合は、ドレイン側寄生容量Cgd2の面積が減少するため、画素電流Ipixが増加する。
【0040】
したがって、同じ階調値を指定した場合、奇数列および偶数列の一方が比較的明るく表示され、他方が比較的暗く表示されるという問題がある。
図7の(a)の場合は比較的暗く表示され、
図7の(b)の場合は比較的明るく表示される。これにより、有機ELパネル10に筋むらが発生する場合がある。
【0041】
図11は、筋むらの一例を示す図である。比較例2では、列単位でトランジスタの特性の特性に差異が生じる、つまり、電流Idsが増加する列と減少する列とが交互に生じるため、列方向に筋むらが生じる。
【0042】
さらに、有機ELパネル10では、赤、青、緑の3列が繰り返し配置されることから、同じ色のサブ画素部列に着目すると、明るく表示されるサブ画素部列と暗く表示されるサブ画素部列とが交互に配置されることになり、同じ色に対応しているサブ画素部の間で色差がばらつくという問題がある。この場合、例えば、ソフトウェア的に階調値を補正することも考えられるが、列ごとに異なる補正を行う必要が生じ、有機ELディスプレイの処理負荷を増大させる。
【0043】
さらに、大型の有機ELディスプレイ1では、単一のレンズ(露光源)ではなく、複数のレンズを用いてソースメタル層、ドレインメタル層およびゲートメタル層が形成される場合がある。このような場合には、レンズ間でのアライメントのずれ量が異なるため、単一のレンズに比べて筋むらが目立ちやすいという問題がある。
【0044】
なお、チャネル保護膜108とドレインメタル層103とのオーバーラップ領域Sgd0a、Sgd1a、Sgd2a、およびソースメタル層104とのオーバーラップ領域Sgs0a、Sgs1a、Sgs2aの変化によるトランジスタ電流Idsの変化と、寄生容量CgsおよびCgdの変化による画素回路の入出力特性の変化とは、独立に発生する可能性があり、上述の説明は一例である。なぜなら、アライメントずれが発生するレイヤーはランダムであり、必ずしも
図7の様な組み合わせで発生するとは限らないからである。よって、トランジスタ電流Idsの変化と、画素回路の入出力特性の変化の両方について対策を行うことが重要である。
【0045】
(比較例3)
図12は、比較例3における有機ELパネルのレイアウトの一例を示す図である。
図12では、2行×3列のサブ画素部P301〜P306を示している。サブ画素部P301〜P306を構成する構成要素の形状、大きさおよび配置はほぼ同じである。
【0046】
図12では、
図4に示す比較例1と同様に面積の低減が十分ではないという問題がある。このため、
図5に示す比較例2のように、サブ画素部を行ごとに対称にレイアウトし、境界線上に電源配線を構成する主電源配線を配置する構成にすることで、集積度を向上させることが考えられる。
【0047】
(比較例4)
図13は、比較例4における有機ELパネルのレイアウトの一例を示す図である。
図13では、列方向に隣接する2つのサブ画素部P401およびP402が対称にレイアウトされている。比較例4では、電源配線105は、列方向に延びる長尺状の第一主電源配線105aと、行方向に延びる長尺状の第二主電源配線105bと、第一主電源配線105aからサブ画素部P401の駆動トランジスタのTrdaのドレイン電極に向けて延びる第一副電源配線105cと、第一主電源配線105aからサブ画素部P402の駆動トランジスタのTrdbのドレイン電極に向けて延びる第二副電源配線105dとを備える。第一主電源配線105aと第二主電源配線105bとはコンタクトにより接続されている。また、第二主電源配線105bは、列方向に隣接するサブ画素部P401とサブ画素部P402との境界線上に配置されている。
【0048】
比較例4では、第二主電源配線105bを1行ごとではなく2行ごとに設けているため、サブ画素部の面積の低減を図り、集積度を向上させている。
【0049】
しかし、
図13に示すように、比較例4の場合でも、比較例2の場合と同様に、ソース電極とドレイン電極の配置が図面上下方向において対称になっているため、アライメントのずれにより、トランジスタの特性および画素回路の入出力特性が行単位で異なってしまうという問題がある。この場合、有機ELパネル10において、行方向に筋むらが生じると考えられる。
【0050】
したがって、集積度を向上させることができ、かつ、アライメントのずれによるサブ画素部間での特性のずれを防止することができる技術が望まれている。
【0051】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0052】
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0053】
(実施の形態)
以下、
図1〜
図3、
図14を用いて、実施の形態を説明する。本実施の形態では、表示装置が有機ELディスプレイである場合を例に説明する。
【0054】
本実施の形態の有機ELディスプレイでは、駆動トランジスタに駆動電圧を供給する電源配線の主電源配線を隣接する2つのサブ画素部の境界線上に配置することにより集積度を向上させる。さらに、本実施の形態の有機ELディスプレイでは、駆動トランジスタのソースドレイン間に流れる電流の向きを揃えることにより、アライメントのずれによるサブ画素部間での特性のずれを防止する。すなわち、本実施の形態では、上記2つのサブ画素について駆動トランジスタの向きを同じにすることで、このような効果を奏する。
【0055】
なお、電流の向きは、有機ELパネルにおける物理的な向き(レイアウト上の向き)であり、ドレイン電極からソース電極に向かう方向である。また、駆動トランジスタの向きが同じであるとは、駆動トランジスタの有機ELパネルにおける物理的な向き(レイアウト上の向き)が同じであることを指す。すなわち、上記2つのサブ画素の駆動トランジスタについてドレイン電極からソース電極に向かう方向が同じである場合、これら駆動トランジスタの向きが同じであるとされる。
【0056】
本実施の形態において、有機ELディスプレイ1の外観および基本構成は比較例1と同じである。有機ELディスプレイ1は、
図1および
図2に示すように、有機ELパネル10と、データ線駆動回路20と、走査線駆動回路30と、タイミングコントローラ(以下、「TCON」と略称する)40とを備えている。
【0057】
[1.有機ELパネルの構成]
有機ELパネル10は、
図2に示すように、列方向に延伸するデータ信号線DR1、DG1およびDB1〜DRn、DGnおよびDBnと、行方向に延伸する走査信号線Scan1〜Scanmと、複数のデータ信号線と複数の走査信号線との交点の各々に配置された画素部Pとを備えている。言い換えると、複数の画素部Pは、m行n列のマトリクス状に配置されている。
【0058】
画素部Pは、赤色(R)用の光を出すサブ画素部PR、緑色(G)用の光を出すサブ画素部PG、および、青色(B)用の光を出すサブ画素部PBを備えている。サブ画素部PR、PGおよびPBの基本的な構成は、比較例1と同じである。
【0059】
以下、サブ画素部PR、PGおよびPBの構成について、
図3を用いて説明する。ただし、サブ画素部PR、PGおよびPBの構成は、カラーフィルタ以外は同じ構成である。このため、カラーフィルタ以外の構成については、サブ画素部PRについて説明し、他のサブ画素部の説明は省略する。
【0060】
図3は、サブ画素部PRの構成の一例を示す回路図である。
図3に示すように、サブ画素部PRは、有機EL素子OELと、容量素子Csと、選択トランジスタTrsと、駆動トランジスタTrdとを備えている。
【0061】
有機EL素子OELは、駆動電流に応じて発光する発光素子である。本実施の形態において、有機EL素子OELは、白色の光を出力する発光素子である。駆動電流は、駆動トランジスタTrdから供給される。有機EL素子OELは、アノード電極が駆動トランジスタTrdのソース電極にそれぞれ接続され、カソード電極に電源電圧VEL(VELは、例えば、接地電圧)が入力されている。
【0062】
容量素子Csは、データ信号線DRの電圧に応じた電荷が蓄積される容量素子である。容量素子Csは、第一電極が駆動トランジスタTrdのゲート電極に、第二電極が有機EL素子OELのアノード端子と駆動トランジスタTrdのソース電極との接続ノードNsにそれぞれ接続されている。
【0063】
なお、式1および式2で示されるように、容量素子Csに蓄積される電圧は、駆動トランジスタTrdのゲートソース間に形成される寄生容量Cgsおよびゲートドレイン間に形成される寄生容量Cgdにより変化する。
【0064】
駆動トランジスタTrdは、データ信号線DRの電圧に応じて蓄積された容量素子Csの電荷の量に応じた駆動電流を有機EL素子OELに供給する。駆動トランジスタTrdは、薄膜トランジスタであり、ゲート電極が容量素子Csの第一電極に、ソース電極が有機EL素子OELのアノード電極にそれぞれ接続され、ドレイン電極に電源電圧VTFTが入力されている。なお、駆動トランジスタTrdのゲートドレイン間には、寄生容量Cgdが形成され、ゲートソース間には寄生容量Cgsが形成されている。
【0065】
選択トランジスタTrsは、走査信号線Scanの電圧に応じてデータ信号線DRと容量素子Csの第一電極との導通および非導通を切り替えるスイッチ素子である。より詳細には、選択トランジスタTrsは、薄膜トランジスタであり、ゲート電極が走査信号線Scanに、ソース電極がデータ信号線DRに、ドレイン電極が容量素子Csの第一電極と駆動トランジスタTrdのゲート電圧との接続ノードNgにそれぞれ接続されている。
【0066】
さらに、
図2に示すように、本実施の形態では、画素部P内において、サブ画素部PR、PGおよびPBは、行方向にこの順に並べられている。
【0067】
サブ画素部PRが形成されている領域には、有機EL素子OELの正面側に、赤色の波長の光を通過させるカラーフィルタが形成されている。同様に、サブ画素部PGが形成されている領域には、有機EL素子OELの正面側に、緑色の波長の光を通過させるカラーフィルタが形成されている。サブ画素部PBが形成されている領域には、有機EL素子OELの正面側に、青色の波長の光を通過させるカラーフィルタが形成されている。このように構成することにより、サブ画素部PR、PGおよびPBを形成することができる。
【0068】
なお、カラーフィルタは、例えば、マスク蒸着により形成することが考えられるが、これに限定されるものではない。例えば、青色発光の有機EL素子を形成し、青色光を、R、G、Bの各色に変換する色変換層(CCM:カラーチェンジミディアムズ)を設けても良い。
【0069】
また、本実施の形態では、全てのサブ画素部を白色の有機EL素子OELで構成し、サブ画素部に各色の光を通過させるカラーフィルタを設ける場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、対応する色に応じた材料を用いて有機EL素子OELを形成しても構わない。
【0070】
また、本実施の形態では、選択トランジスタTrsおよび駆動トランジスタTrdが薄膜トランジスタである場合を例に説明したが、これに限るものではない。選択トランジスタTrsおよび駆動トランジスタTrdは、FET、MOS−FET、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ等であっても構わない。さらに、選択トランジスタTrsは、トランジスタに限定するものではなく、アナログスイッチ等であっても構わない。
【0071】
[2.データ線駆動回路、走査線駆動回路およびTCONの構成]
データ線駆動回路20は、TCON40からの第一制御信号に応じたデータ信号をソース線に印加する回路である。
【0072】
走査線駆動回路30は、走査信号線Scanのそれぞれに対し、TCON40からの第二制御信号に応じて、走査信号線Scanに接続された選択トランジスタTrsをON状態またはOFF状態にするための走査信号を印加する。
【0073】
TCON40は、複数の画素部Pを用いた映像の表示を制御する制御部の一例である。TCON40は、データ線駆動回路20および走査線駆動回路30の制御を行う機能を有する。表示動作時において、TCON40は、外部から入力された映像信号に応じた電圧値を有する第一制御信号をデータ線駆動回路20に対して出力し、走査線駆動回路30に対して第二制御信号を出力する。
【0074】
なお、TCON40は、本実施の形態では、専用のLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)により構成されている場合を例に説明するが、これに限るものではない。TCON40は、例えば、マイクロプロセッサ(MPU)、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムで構成されていても構わない。この場合は、マイクロプロセッサが、上述した各動作を実行させるためのコンピュータプログラムに従って動作することにより、上述した各動作を実現できる。
【0075】
[3.レイアウト]
図14は、本実施の形態にかかる画素部のレイアウトを示すレイアウト図である。
【0076】
図14に示すように、有機ELパネル10は、隣接して配置されたサブ画素部P01(第一画素部の一例)およびサブ画素部P02(第二画素部の一例)を備えている。さらに、有機ELパネル10は、サブ画素部各々の駆動トランジスタに電源電圧VTFTを供給する電源配線を備えている。当該電源配線は、列方向に延伸する第一主電源配線105aと、行方向に延伸する第二主電源配線105bと、第一主電源配線105aから駆動トランジスタTrdaのドレイン電極に向けて延びる第一副電源配線105cと、第一主電源配線から駆動トランジスタTrdbのドレイン電極に向けて延びる第二副電源配線105dとを備えている。
【0077】
なお、
図14に示すレイアウト図では、6つの行方向に一行に並んだサブ画素部P01〜P06を示している。サブ画素部P01とP02とが対に、P03とP4とが対に、P05とP06とが対になっている。このため、以下の説明では、サブ画素部P01とP02の対について説明する。他の対については、サブ画素部P01およびP02の対と同じであるため、説明を省略する。
【0078】
サブ画素部P01およびP02は、第一副電源配線105cおよび第二副電源配線105d、駆動トランジスタTrdaおよびTrdb以外の構成は、サブ画素部P01およびP02の境界線AAに対し対称に配置されている。さらに、サブ画素部P01の第一副電源配線105cおよび駆動トランジスタTrda以外の構成要素各々の形状および大きさと、サブ画素部P02の第二副電源配線105dおよび駆動トランジスタTrdb以外の構成要素各々の形状および大きさとは、境界線AAを軸心として反転した形状となっている。境界線AAは、列方向(Y軸)に平行な線となっている。
【0079】
図14では、電源配線と、
図6の(b)に示すゲートメタル層101、半導体層102、ドレインメタル層103およびソースメタル層104に対応する層を示している。
【0080】
図14に示す層のうち、ゲートメタル層101に対応する層(ゲートメタル層101a〜101c)と、第二主電源配線105bとが同層に配置されている。これらの層のZ軸正側には、半導体層102a〜102dが同層に配置されている。半導体層102a〜102dが配置された層のさらにZ軸正側には、メタル層110aおよび110b、第一主電源配線105a、第一副電源配線105c、第二副電源配線105d、データ信号線106aおよび106b、メタル層111aおよび111bが配置されている。
【0081】
ゲートメタル層101aは、駆動トランジスタTrdaのゲート電極および当該ゲート電極から延びるゲート配線を形成するゲートメタル層である。ゲートメタル層101aのXY平面に平行な面の形状は、長方形状である。ゲートメタル層101aの短辺の長さ(X軸に平行な辺の長さ)は、後述するデータ信号線106aと第一主電源配線105aとの間隔(X軸方向の長さH_sub_sd)よりも短い。ゲートメタル層101aの長辺の長さ(Y軸に平行な辺の長さ)は、ゲートメタル層101cと第二主電源配線105bとの間隔(Y軸方向の長さL_sub_sd)よりも短い。ゲートメタル層101aは、サブ画素部P01の中央の領域に、データ信号線106a、第一主電源配線105a、ゲートメタル層101cおよび第二主電源配線105bとは重ならないように配置されている。
【0082】
ゲートメタル層101bは、駆動トランジスタTrdbのゲート電極および当該ゲート電極から延びるゲート配線を形成するゲートメタル層である。ゲートメタル層101bの形状、大きさおよび配置は、ゲートメタル層101aを境界線AAに対して反転させた形状、大きさおよび配置となっている。
【0083】
ゲートメタル層101cは、選択トランジスタTrsaのゲート電極、選択トランジスタTrsbのゲート電極およびこれらに接続される走査信号線(
図2の走査信号線Scanのいずれかに対応)を形成するゲートメタル層である。ゲートメタル層101cは、
図14に示すように、行方向(X軸方向)に延伸する長尺状の層である。ゲートメタル層101cは、1行ごとに、行方向に並ぶ複数のサブ画素部に共通に設けられている。ゲートメタル層101cは、サブ画素部のY軸正側の端部の領域に配置されている。
【0084】
第二主電源配線105bは、電源電圧VTFT(
図3参照)を複数のサブ画素部に供給する電源配線である。第二主電源配線105bは、
図14に示すように、行方向に延伸する長尺状の電源配線である。第二主電源配線105bは、1行ごとに設けられ、行方向に並ぶ複数のサブ画素部に電源電圧VTFTを供給する。第二主電源配線105bは、サブ画素部のY軸負側の端部の領域を通るように配置されている。第二主電源配線105bは、コンタクト120aおよび120bにより、第一主電源配線105aに接続されている。
【0085】
半導体層102aは、サブ画素部P01の駆動トランジスタTrdaを構成する半導体層である(
図6の半導体層102に対応)。
図14に示すように、半導体層102aのXY平面に平行な面の形状は、長方形状である。半導体層102aの面積は、ゲートメタル層101aの面積よりも相当小さい。半導体層102aは、Z軸の正側からみてゲートメタル層101aの領域内であって、ゲートメタル層101aの図面下側(Y軸の負側)に配置されている。
【0086】
半導体層102bは、サブ画素部P02の駆動トランジスタTrdbを構成する半導体層である(
図6の半導体層102に対応)。
図14に示すように、半導体層102bのXY平面に平行な面の形状は、長方形状である。半導体層102bの面積は、半導体層102aとほぼ同じであり、ゲートメタル層101bの面積よりも相当小さい。半導体層102bは、Z軸の正側からみてゲートメタル層101bの領域内であって、ゲートメタル層101bの図面下側(Y軸の負側)に配置されている。
【0087】
半導体層102cは、サブ画素部P01の選択トランジスタTrsaを構成する半導体層である。半導体層102cのXY平面に平行な面の形状は、長方形状である。半導体層102cは、Z軸の正側からみてゲートメタル層101cの領域内であって、データ信号線106aの近傍に配置されている。
【0088】
半導体層102dは、サブ画素部P02の選択トランジスタTrsbを構成する半導体層である。半導体層102dの形状、大きさおよび配置は、半導体層102cを境界線AAに対して反転させた形状、大きさおよび配置となっている。
【0089】
メタル層110a(ソースメタル層104a)は、サブ画素部P01を構成する駆動トランジスタTrdaのソース電極および当該ソース電極から延びる配線を形成する層である。メタル層110aのXY平面に平行な面の形状は、図面右下(Y軸の負側およびX軸の正側)の角部が長方形状に切り欠かれた長方形状の形状となっている。メタル層110aのX軸方向およびY軸方向の長さは、ゲートメタル層101aのX軸方向およびY軸方向の長さよりも短い。メタル層110aは、ゲートメタル層101aの領域内に配置されている。言い換えると、ゲートメタル層とソースメタル層とがZ軸方向において重なるように配置されている。
【0090】
なお、メタル層110aの切り欠き部分に、半導体層102aが配置されている。半導体層102aは、左辺(X軸の負側の辺)を含む一部の領域が、メタル層110aの切り欠き部分を構成するY軸に平行な辺の一部と重なるように配置されている。
【0091】
メタル層110b(ソースメタル層104b)は、サブ画素部P02を構成する駆動トランジスタTrdbのソース電極および当該ソース電極から延びる配線を形成する層である。メタル層110bのXY平面に平行な面の形状は、図面右下(Y軸の負側およびX軸の正側)の角部が長方形状に切り欠かれた長方形状の形状となっている。メタル層110bのX軸方向およびY軸方向の長さは、ゲートメタル層101bのX軸方向およびY軸方向の長さよりも短い。なお、メタル層110bの形状は、メタル層110aと対称ではない。メタル層110bは、ゲートメタル層101bの領域内に配置されている。言い換えると、ゲートメタル層とソースメタル層とがZ軸方向において重なるように配置されている。
【0092】
なお、メタル層110bの切り欠き部分に、半導体層102bが配置されている。半導体層102bは、左辺(X軸の負側の辺)を含む一部の領域が、メタル層110bの切り欠き部分を構成するY軸に平行な辺の一部と重なるように配置されている。
【0093】
第一主電源配線105aは、電源電圧VTFTを複数のサブ画素部に供給する電源配線である。第一主電源配線105aは、列方向に延伸する長尺状の電源配線である。第一主電源配線105aは、1列ごとではなく、2列ごとに設けられており、2列のサブ画素部に電源電圧VTFTを供給している。第一主電源配線105aは、サブ画素部P01およびP02の境界線AA上に配置されている。また、上述したように、第一主電源配線105aは、コンタクト120aおよび120bにより、第二主電源配線105bに接続されている。
【0094】
第一副電源配線105cは、第一主電源配線105aからサブ画素部P01の半導体層102aに向けて延びる長方形状の電源配線である。当該第一副電源配線105cの先端が、半導体層102aの右辺を含む一部の領域に重なっており、駆動トランジスタTrdaのドレインメタル層103aを形成している。
【0095】
第二副電源配線105dは、第一主電源配線105aからサブ画素部P02の半導体層102bに向けて延びる鉤状の電源配線である。当該第二副電源配線105dの先端が、半導体層102bの右辺を含む一部の領域に重なっており、駆動トランジスタTrdbのドレインメタル層103bを形成している。詳細には、第二副電源配線105dは、第一主電源配線105aからX軸の正側に向けて、半導体層102bの右辺よりもX軸の正側の位置まで延びる第一部分と、第一部分の先端からY軸の正側に向けて、半導体層102bの近傍まで延びる第二部分と、第二部分の先端から半導体層102bの右辺(X軸の正側の端部)に向けてX軸の負側に延びる第三部分とを有する。
【0096】
つまり、第一主電源配線105aから駆動トランジスタTrdaの半導体層102aに向けて延びる第一副電源配線105cと、電源配線105から駆動トランジスタTrdbの半導体層102bに向けて延びる第二副電源配線105dとは、形状が異なっている。
【0097】
データ信号線106aは、サブ画素部P01が属するサブ画素部列に、映像信号の階調値に応じた電圧を供給するための信号線である(
図2のデータ信号線DR、DGおよびDBのいずれかに対応)。データ信号線106aは、
図14に示すように、列方向に延伸する長尺状の信号線であり、列方向に並ぶ複数のサブ画素部に共通設けられている。データ信号線106aは、サブ画素部P01のX軸負側の端部の領域を通るように配置されている。データ信号線106aには、半導体層102cに向けて延びる第一副データ配線106cが形成されている。第一副データ配線106cの先端は、半導体層102cの左辺(X軸の負側の端部)に重なっている。
【0098】
データ信号線106bは、サブ画素部P02が属するサブ画素部列に、映像信号の階調値に応じた電圧を供給するための信号線である(
図2のデータ信号線DR、DGおよびDBのいずれかに対応)。
図14に示すように、データ信号線106bの形状、大きさおよび配置は、データ信号線106aを境界線AAに対して反転させた形状、大きさおよび配置となっている。データ信号線106bには、データ信号線106aと同様に、半導体層102dに向けて延びる第二副データ配線106dが形成されている。第二副データ配線106dの先端は、半導体層102dの右辺(X軸の正側の端部)に重なっている。
【0099】
メタル層111aは、選択トランジスタTrsaのドレイン電極および当該ドレイン電極から延びる配線を形成するドレインメタル層である(
図3のノードNgを含む配線部分に対応)。
図14に示すように、メタル層111aのXY平面に平行な面の形状は、略長方形状であり、左辺の中央部分に長方形状の切り欠きが形成されている。メタル層111aは、Y軸の正側の端部における左側の一部の領域がゲートメタル層101cおよび半導体層102cと重なっている。また、メタル層111aは、Y軸の負側の端部がゲートメタル層101aと重なるように配置され、コンタクト121aによりゲートメタル層101aに接続されている。言い換えると、コンタクト121aにより、選択トランジスタTrsaのドレイン電極が、駆動トランジスタTrdaのゲート端子に接続されている。
【0100】
メタル層111bは、選択トランジスタTrsbのドレイン電極および当該ドレイン電極から延びる配線を形成するドレインメタル層である(
図3のノードNgを含む配線部分に対応)。
図14に示すように、メタル層111bの形状、大きさおよび配置は、メタル層111aを境界線AAに対して反転させた形状、大きさおよび配置となっている。また、メタル層111bは、Y軸の負側の端部がゲートメタル層101bと重なるように配置され、コンタクト121bによりゲートメタル層101bに接続されている。言い換えると、コンタクト121bにより、選択トランジスタTrsbのドレイン電極が、駆動トランジスタTrdbのゲート端子に接続されている。
【0101】
[4.効果等]
上記実施の形態の有機ELディスプレイ1は、隣接して配置されたサブ画素部P01(第一画素部に相当)およびサブ画素部P02(第二画素部に相当)の各々が、駆動トランジスタTrda、Trdbを有している。また、有機ELディスプレイ1では、第一主電源配線105aがサブ画素部P01およびP02の境界線上に設けられている。これにより、第一主電源配線105aは、1列ごとではなく、2列ごとに設ければよいので、第一主電源配線105aの本数を減らすことができ、有機ELパネル10のレイアウト面積を低減して集積度を向上させることができる。第一主電源配線105aを境界線上に配置しない場合に比べて低減できる面積は、領域130に相当する分の面積である。
【0102】
さらに、上記実施の形態の有機ELディスプレイ1は、サブ画素部P01の駆動トランジスタTrdaのソースドレイン間に流れる電流の向きと、サブ画素部P02の駆動トランジスタTrdbのソースドレイン間に流れる電流の向きとが同じである。すなわち、本実施の形態では、サブ画素部P01の駆動トランジスタTrdaの向きとサブ画素部P02の駆動トランジスタTrdbの向きとが同じである。
【0103】
具体的には、
図14から分かるように、本実施の形態のサブ画素部P01およびP02は、いずれも、X軸に平行に(境界線AAに対して垂直に)、ドレイン電極とソース電極とがX軸の負側に向けてこの順に配置されている。つまり、本実施の形態のサブ画素部P01およびサブ画素部P02は、いずれも、ソースドレイン間を流れる電流の向きがX軸の負側に向う方向になっている。すなわち、本実施の形態では、サブ画素部P01の駆動トランジスタTrdaの向きとサブ画素部P02の駆動トランジスタTrdbの向きとが、サブ画素部P01とサブ画素部P02との境界線AAに対して垂直である。
【0104】
したがって、マスクおよび露光レンズのアライメントのずれにより、駆動トランジスタにおいて、チャネル保護膜とソース電極間、およびチャネル保護膜とドレイン電極間とで、オーバーラップ領域の面積に差が生じた場合、および、ゲートソース間に形成された寄生容量とゲートドレイン間に形成された寄生容量との間で容量差が生じた場合でも、サブ画素部P01とP02との間では駆動トランジスタの特性および画素回路の入出力特性に差が生じない。これにより、サブ画素部間での色差および輝度のばらつきを低減できる。なお、有機ELディスプレイ間では、駆動トランジスタの特性および画素回路の入出力特性に差が生じる場合があるが、1つの有機ELパネル内では、あるいは、複数のサブ画素部を複数のグループに分割してグループごとにメタル層を形成する場合におけるグループ内では、アライメントのずれによりIds特性および画素回路の入出力特性がばらつくのを防止し、色差および輝度がばらつくのを防止することができる。
【0105】
本実施の形態は、駆動トランジスタTrdaおよびTrdbが、Channel Etching Stopper(CES)構造を有するボトムゲート型のトランジスタである場合を例に説明したが、Back Channel Etching(BCH)構造を有するボトムゲート型のトランジスタであっても同様である。
【0106】
CES構造およびBCH構造では、チャネル領域上のドレイン側のオーバーラップ領域の面積が変化すると、当該オーバーラップ領域においてキャリア濃度が変化する(電流密度が変化する)ため、実効的なゲート長Lが変化することになる。つまり、CES構造およびBCH構造の駆動トランジスタTrdaおよびTrdbでは、アライメントのずれによりチャネル領域上のドレイン側のオーバーラップ領域の面積が変化することで、ソースドレイン間に流れる電流量が変化する。CES構造およびBCH構造の駆動トランジスタTrdaおよびTrdbを有する有機ELパネル10に本実施の形態を適用することで、アライメントのずれによるサブ画素部間での駆動トランジスタの特性に差異が生じるのを防止することができる。
【0107】
また、ボトムゲート型のトランジスタでは、ゲート電極とソース電極およびゲート電極とドレイン電極とがそれぞれオーバーラップするため、トップゲート型のトランジスタと比較して大きな寄生容量が形成される。よって、アライメントのずれにより寄生容量のサイズが変化することで、画素回路の入出力特性が変化する。ボトムゲート型の駆動トランジスタを有する有機ELパネルに本実施の形態を適用することで、アライメントのずれによるサブ画素部間での画素回路の入出力特性に差異が生じるのを防止することができる。
【0108】
なお、駆動トランジスタTrdaおよびTrdbは、Lightly−Doped−Drain(LDD)構造またはオフセットゲート構造を有していても構わない。
【0109】
LDD構造の駆動トランジスタでは、ゲートメタル層101上にフォトマスクを用いて形成するレジスト膜の形成においてアライメントのずれが生じると、ドレイン側のLDD領域およびソース側のLDD領域の一方の面積が大きくなり、他方の面積が小さくなる場合がある。
【0110】
ソースドレイン間の電流の向きがサブ画素部間で異なる場合、ドレイン側のLDD領域の面積が大きくなるサブ画素部と、ソース側のLDD領域の面積が大きくなるサブ画素部とが混在してしまう。この場合、ドレイン側のLDD領域の面積が大きいサブ画素部ではソースドレイン間の電流が大きくなり、ソース側のLDD領域の面積が大きいサブ画素部ではソースドレイン間の電流が小さくなる。そうすると、サブ画素部間でLDD構造のトランジスタのソースドレイン間に流れる電流Idsの特性が異なってしまうという問題がある。
【0111】
本実施の形態では、ソースドレイン間の電流の向きが同じであるため、ドレイン側のLDD領域の面積が大きくなるサブ画素部と、ソース側のLDD領域の面積が大きくなるサブ画素部とが混在せず、いずれか一方が存在することになる。これにより、サブ画素部間で電流Idsの特性を同じにすることができる。
【0112】
また、
図14では、
図5に示す比較例2と比べ、第一主電源配線105aから延びる第二副電源配線105dの形状を異ならせるのみで電流の向きを揃えることができる。このため、レイアウト工程の複雑化を抑えることができる。
【0113】
[5.変形例1]
実施の形態の変形例1について、
図15を用いて説明する。本変形例では、実施の形態とは、ソースドレイン間に流れる電流の向きが異なる場合について説明する。
【0114】
図15は、本変形例にかかる画素部のレイアウトを示すレイアウト図である。
図15に示す本変形例のレイアウト図では、6つの行方向に一行に並んだサブ画素部P11〜P16を示している。
【0115】
本変形例の有機ELディスプレイ1は、実施の形態とは、駆動トランジスタTrdaおよびTrdbを構成するメタル層110aおよび110b、第一副電源配線105cおよび第二副電源配線105dの構成が異なる。その他の構成については、実施の形態と同じである。
【0116】
メタル層110aは、実施の形態で説明したように、サブ画素部P11のソース電極を形成するソースメタル層である。メタル層110aは、XY平面に平行な面の形状が長方形状であり、Y軸の負側の短辺に長方形状の凸部が形成されている。メタル層110aは、当該凸部の先端部分が半導体層102aの上辺(Y軸の正側の端部)を含む一部の領域と重複している。
【0117】
第一副電源配線105cは、本変形例ではL字状に形成されている。第一副電源配線105cは、第一主電源配線105aからX軸の負側に延びる部分と、当該部分の先端からY軸の正側に延びる部分とで構成されている。当該第一副電源配線105cの先端が、半導体層102aの下辺(Y軸の負側の端部)を含む一部の領域と重なるように形成されている。
【0118】
第二副電源配線105dは、本変形例ではL字を左右逆にした形状を有している。第二副電源配線105dは、第一主電源配線105aからX軸の正側に延びる部分と、当該部分の先端からY軸の正側に延びる部分とで構成されている。なお、第一副電源配線105cの形状、大きさおよび配置と、第二副電源配線105dの形状、大きさおよび配置とは、境界線AAに対して対称となっている。
【0119】
メタル層110bは、実施の形態で説明したように、サブ画素部P02のソース電極を形成するソースメタル層である。メタル層110bの形状、大きさおよび配置は、メタル層110aを境界線AAに対して反転させた形状、大きさおよび配置となっている。
【0120】
上記実施の形態と同様に、第一主電源配線105aがサブ画素部P11およびP12の境界線上に配置されているので、第一主電源配線105aは2列ごとに設ければよい。この場合、第一主電源配線105aが境界線上に配置されておらず1列単位で設けられている場合に比べ、領域130に相当する分の面積を低減できる。
【0121】
また、
図15において、矢印で示すように、本実施の形態のサブ画素部P11およびP12は、いずれも、ソースドレイン間を流れる電流の向きが、Y軸の正側の向き(境界線AAに対して平行)となっている。これにより、アライメントのずれが生じた場合でも、サブ画素部P11とP12との間でトランジスタの特性および画素回路の入出力特性に差異が生じるのを防止することができる。
【0122】
すなわち、このように構成された本変形例であっても、サブ画素部P11の駆動トランジスタTrdaの向きとサブ画素部P12の駆動トランジスタTrdbの向きとが同じであるため、上記実施の形態と同様の効果を奏する。具体的には、本変形例では、サブ画素部P11の駆動トランジスタTrdaの向きとサブ画素部P12の駆動トランジスタTrdbの向きとが、サブ画素部P11とサブ画素部P12との境界線AAに対して平行である。
【0123】
[6.変形例2]
実施の形態の変形例2について、
図16を用いて説明する。実施の形態および変形例1では、行方向に隣接する2つのサブ画素部が対になっている場合について説明したが、本変形例では、列方向に隣接する2つのサブ画素部が対になっている場合について説明する。
【0124】
図16は、本変形例にかかる画素部のレイアウトを示すレイアウト図である。
図16に示す本変形例のレイアウト図では、2行×3列の6つのサブ画素部P21〜P26を示している。サブ画素部P21と、サブ画素部P21にY軸の負側から隣接するサブ画素部P22とが対になっている。同様に、サブ画素部P23とP24とが対に、サブ画素部P25とP26とが対になっている。サブ画素部P23〜P26については、サブ画素部P21およびP22の対と同じであるため、説明を省略する。
【0125】
本変形例の有機ELパネル10は、行方向に延伸する第二主電源配線105bが、サブ画素部P21とサブ画素部P22との境界線上に配置されている。また、本変形例の有機ELパネル10では、サブ画素部P21およびサブ画素部P22の駆動トランジスタTrdaおよびTrdb以外の構成については、形状、大きさおよび配置が境界線BBに対し対称となっている。境界線BBは、X軸に平行な線となっている。
【0126】
図16では、実施の形態および変形例1と同様に、電源配線と、
図6の(b)に示すゲートメタル層101、半導体層102、ドレインメタル層103およびソースメタル層104に対応する層を示している。
【0127】
図16に示す層のうち、ゲートメタル層101に対応する層(ゲートメタル層101aおよび101b、ゲートメタル層101eおよび101f)と第二主電源配線105bとが、同層に配置されている。これらの層のZ軸正側には、半導体層102a〜102dが同層に配置されている。半導体層102a〜102dが配置された層のさらにZ軸正側には、メタル層110aおよび110b、第一主電源配線105a、データ信号線106、メタル層111aおよび111bが配置されている。
【0128】
ゲートメタル層101aおよび101bの構成は、実施の形態のゲートメタル層101aおよび101bの構成と同じである。
【0129】
ゲートメタル層101eは、選択トランジスタTrsaのゲート電極および当該ゲート電極に接続される走査信号線(
図2のScan)を形成するゲートメタル層である。ゲートメタル層101eは、行方向(X軸方向)に延伸する長尺状の層である。ゲートメタル層101eは、1行ごとに設けられており、行方向に並ぶ複数のサブ画素部に接続されている。ゲートメタル層101eは、サブ画素部P21のY軸正側の端部の領域を通るように配置されている。
【0130】
ゲートメタル層101fは、選択トランジスタTrsbのゲート電極および当該ゲート電極に接続される走査信号線(
図2のScan)を形成するゲートメタル層である。ゲートメタル層101fの形状、大きさおよび配置は、ゲートメタル層101eを境界線BBに対して反転させた形状、大きさおよび配置となっている。つまり、ゲートメタル層101fは、サブ画素部P22のY軸負側の端部の領域を通るように配置されている。
【0131】
第二主電源配線105bは、電源電圧VTFTを複数のサブ画素部に供給する電源配線である。第二主電源配線105bは、本変形例では、行方向に延伸する長尺状の電源配線である。第二主電源配線105bは、1行単位ではなく、2行単位で設けられており、2行のサブ画素部に対し電源電圧VTFTを供給している。第二主電源配線105bは、サブ画素部P21およびサブ画素部P22の境界線BB上に配置されている。また、第二主電源配線105bは、コンタクト120aおよび120bにより、第一主電源配線105aに接続されている。
【0132】
半導体層102aおよび102cは、サブ画素部P21の構成要素であり、実施の形態と同じ構成である。半導体層102bおよび102dは、サブ画素部P22の構成要素である。半導体層102bおよび102dの形状、大きさおよび配置は、半導体層102aおよび102cを境界線BBに対して反転させた形状、大きさおよび配置となっている。
【0133】
メタル層110aは、サブ画素部P01のソース電極および当該ソース線に接続される配線を形成するソースメタル層である。メタル層110aのXY平面に平行な面の形状は、図面右下の角部が長方形状に切りかかれた長方形状の形状となっている。メタル層110aのX軸方向およびY軸方向の長さは、ゲートメタル層101aのX軸方向およびY軸方向の長さよりも短い。メタル層110aは、ゲートメタル層101aの領域内に配置されている。言い換えると、ゲートメタル層とソースメタル層とがZ軸方向において重なるように配置されている。
【0134】
なお、メタル層110aの切り欠き部分に、半導体層102aが配置されている。メタル層110aには、切り欠き部分のY軸に平行な辺の一部から、半導体層102aの上辺に向けて延びる第一副ソース線110cが形成されている。第一副ソース線110cの先端が、半導体層102aの上辺を含む一部の領域に重なるように配置されている。
【0135】
メタル層110bは、サブ画素部P22のソース電極および当該ソース線に接続される配線を形成するソースメタル層である。メタル層110bのXY平面に平行な面の形状は、図面右上の角部が長方形状に切りかかれた長方形状の形状となっている。メタル層110bのX軸方向およびY軸方向の長さは、ゲートメタル層101bのX軸方向およびY軸方向の長さよりも短い。メタル層110bは、ゲートメタル層101bの領域内に配置されている。言い換えると、ゲートメタル層とソースメタル層とがZ軸方向において重なるように配置されている。
【0136】
なお、メタル層110bの切り欠き部分に、半導体層102bが配置されている。メタル層110bには、切り欠き部分のY軸に平行な辺の一部から、半導体層102bの上辺に向けて延びる第二副ソース線110dが形成されている。第二副ソース線110dの先端が、半導体層102bの上辺を含む一部の領域に重なるように配置されている。
【0137】
第一副ソース線110cと第二副ソース線110dとは、形状および大きさが同じであり、配置される位置は境界線BBに対して線対称とはなっていない。
【0138】
第一主電源配線105aは、電源電圧VTFTを複数のサブ画素部に供給する電源配線である。第一主電源配線105aは、列方向に延伸する長尺状の電源配線である。第一主電源配線105aは、1列ごとに設けられ、1列のサブ画素部に対し電源電圧VTFTを供給している。また、上述したように、第一主電源配線105aは、コンタクトにより、第二主電源配線105bに接続されている。
【0139】
第一主電源配線105aには、サブ画素部P21の半導体層102aの下辺に向けて延びる長方形状の第一副電源配線105cが形成されている。第一副電源配線105cの先端が、半導体層102aの下辺を含む一部の領域に重なっており、駆動トランジスタTrdaのドレイン電極を形成している。
【0140】
さらに、第一主電源配線105aには、サブ画素部P22の半導体層102bの下辺に向けて延びる第二副電源配線105dが形成されている。第二副電源配線105dの先端が、半導体層102bの下辺を含む一部の領域に重なっており、駆動トランジスタTrdbのドレイン電極を形成している。
【0141】
データ信号線106は、サブ画素部P21および22が属するサブ画素部列に、映像信号の階調値に応じた電圧を供給するための信号線である。データ信号線106は、列方向に延伸する長尺状の信号線であり、列方向に並ぶ複数のサブ画素部に共通に設けられている。データ信号線106は、サブ画素部P21およびP22のX軸負側の端部の領域を通るように配置されている。
【0142】
なお、データ信号線106には、半導体層102cに向けて延びる第一副ソース線が形成されている。第一副ソース線の先端は、半導体層102cのX軸の負側の端部に重なっている。さらに、データ信号線106には、半導体層102dに向けて延びる第二副ソース線が形成されている。第二副ソース線の形状、大きさおよび配置は、第一副ソース線を境界線BBに対して反転させた形状、大きさおよび配置となっている。第二副ソース線の先端は、半導体層102dのX軸の負側の端部に重なっている。
【0143】
メタル層111aの構成は、実施の形態のメタル層111aの構成と同じである。
【0144】
メタル層111bの形状、大きさおよび配置は、メタル層111aを境界線BBに対して反転させた形状、大きさおよび配置となっている。
【0145】
実施の形態および変形例1と同様に、サブ画素部P11およびP12の境界線上に第二主電源配線105bが配置されているので、第二主電源配線105bは2行ごとに設ければよく、1行ごとに第二主電源配線105bを設ける場合に比べ、領域131に相当する分の面積を低減できる。
【0146】
また、
図16において、矢印で示すように、本実施の形態のサブ画素部P21およびP22は、いずれも、ソースドレイン間を流れる電流の向きが、Y軸の正側の向き(境界線BBに対して垂直)となっている。これにより、アライメントのずれが生じた場合でも、サブ画素部P21とP22との間でトランジスタの特性および画素回路の入出力特性に差異が生じるのを防止することができる。
【0147】
すなわち、このように構成された本変形例であっても、サブ画素部P21の駆動トランジスタTrdaの向きとサブ画素部P22の駆動トランジスタTrdbの向きとが同じであるため、上記実施の形態と同様の効果を奏する。具体的には、本変形例では、サブ画素部P21の駆動トランジスタTrdaの向きとサブ画素部P22の駆動トランジスタTrdbの向きとが、サブ画素部P21とサブ画素部P22との境界線BBに対して垂直である。
【0148】
[7.変形例3]
実施の形態の変形例3について、
図17を用いて説明する。本変形例では、変形例2と同様に、列方向に隣接する2つのサブ画素部が対になっているが、ソースドレイン間の電流の向きが異なる場合について説明する。
【0149】
具体的には、変形例2では、ソースドレイン間に流れる電流の向きがY軸の正側の向きである場合について説明したが、本変形例では、ソースドレイン間に流れる電流の向きがX軸の負側の向きである場合について説明する。
【0150】
図17は、本変形例にかかる画素部のレイアウトを示すレイアウト図である。
図17に示す本変形例のレイアウト図では、2行×3列の6つのサブ画素部P31〜P36を示している。サブ画素部P31と、サブ画素部P31にY軸の負側から隣接するサブ画素部P32とが対になっている。他のサブ画素部については、サブ画素部P31またはP32と同じ構成であるため、説明を省略する。
【0151】
さらに、本変形例の第二主電源配線105bは、サブ画素部P31およびP32の境界線BB上に配置されており、サブ画素部P31およびP32の各構成要素の形状、大きさおよび配置は、サブ画素部P31およびP32の境界線BBに対し対称な形状、大きさおよび配置となっている。このため、本変形例では、サブ画素部P31について説明し、サブ画素部P32については説明を省略する。
【0152】
なお、
図17に示す有機ELパネル10のサブ画素部P31は、
図16に示す変形例2の有機ELパネル10のサブ画素部P21とは、メタル層110aおよび第一主電源配線105aの形状が異なる。本変形例のサブ画素部P31における他の層の形状、大きさおよび配置は、変形例2のサブ画素部P21における対応する各層の形状、大きさおよび配置と同じである。
【0153】
図17に示すように、本変形例のメタル層110aは、右下(X軸の正側およびY軸の負側)の角部が長方形状に切り欠かれた長方形状の形状を有している。当該切り欠き部分には、半導体層102aが配置されている。切り欠き部分のY軸に平行な辺の一部が、半導体層102aの左辺側の端部の領域に重なっている。また、第一主電源配線105aから、半導体層102aの右辺に向けて長方形状の第一副電源配線105cが延びている。
【0154】
なお、実質的に、本変形例におけるサブ画素部P31のメタル層110a、半導体層102aおよび第一副電源配線105cの形状、大きさおよび配置は、
図14に示す実施の形態におけるサブ画素部P01のメタル層110a、半導体層102aおよび第一副電源配線の形状、大きさおよび配置と同じである。
【0155】
実施の形態、変形例1および2と同様に、サブ画素部P31およびP32の境界線BB上に第二主電源配線105bが配置されているので、行ごとに第二主電源配線105bが配置されている場合に比べ、領域131に相当する分の面積を低減できる。
【0156】
また、
図17において、矢印で示すように、本実施の形態のサブ画素部P31およびP32は、いずれも、ソースドレイン間を流れる電流の向きが、X軸の負側の向き(境界線BBに対して平行)となっている。これにより、アライメントのずれが生じた場合でも、サブ画素部P31とP32との間でトランジスタの特性および画素回路の入出力特性に差異が生じるのを防止することができる。
【0157】
すなわち、このような本変形例の構成であっても、サブ画素部P31の駆動トランジスタTrdaの向きとサブ画素部P32の駆動トランジスタTrdbの向きとが同じであるため、上記実施の形態と同様の効果を奏する。具体的には、本変形例では、サブ画素部P31の駆動トランジスタTrdaの向きとサブ画素部P32の駆動トランジスタTrdbの向きとが、サブ画素部P31とサブ画素部P32との境界線BBに対して平行である。
【0158】
[8.適用方法]
上述した実施の形態および変形例1〜3のレイアウトを適用する上で好ましい有機ELパネルの条件について、
図18〜
図21を用いて説明する。
図18〜
図21は、実施の形態および変形例1〜3の適用例について説明するレイアウト図である。
【0159】
図18および
図19は、行方向に隣接する2つのサブ画素部が対になっている場合の画素部のレイアウトを示すレイアウト図である。
【0160】
図18に示すレイアウトでは、矢印で示すソースドレイン間の電流の向きが境界線AAに対して垂直になっている。
図18に示すレイアウトは、以下の式3を満たすときに適用可能である。
【0161】
W_sd>H_sub_sd−space_sd×2・・・(式3)
【0162】
W_sdは、駆動トランジスタのゲート幅である。H_sub_sdは、データ信号線106aと第一主電源配線105aとの距離(X軸方向の間隔)である。space_sdは、同層配線を分離するために必要な長さである。space_sdは、
図18では、データ信号線106aとメタル層110aとのX軸方向の間隔、メタル層110aと第一主電源配線105aとのX軸方向の間隔に対応している。
【0163】
つまり、駆動トランジスタの幅W_sdが、電源配線とデータ信号線との間の長さH_sub_sdから、同層配線を分離するために必要な長さspace_sd2倍を減算した長さよりも大きい場合に、
図18に示すレイアウトを適用することが好ましい。
【0164】
図19に示すレイアウトでは、矢印で示すソースドレイン間の電流の向きが境界線AAに対して平行になっている。
図19に示すレイアウトは、以下の式4を満たすときに適用することが好ましい。
【0165】
L_sd>H_sub_sd−space_sd×2・・・(式4)
【0166】
L_sdは、駆動トランジスタのゲート長である。つまり、駆動トランジスタの長さL_sdが、電源配線とデータ信号線との間の長さH_sub_sdから、同層配線を分離するために必要な長さspace_sd2倍を減算した長さよりも大きい場合に、
図19に示すレイアウトを適用することが好ましい。
【0167】
図20および
図21は、列方向に隣接する2つのサブ画素部が対になっている場合の画素部のレイアウトを示すレイアウト図である。
【0168】
図20に示すレイアウトでは、矢印で示すソースドレイン間の電流の向きが境界線BBに対して垂直になっている。
図20に示すレイアウトは、以下の式5を満たすときに適用することが好ましい。
【0169】
L_sd>H_sub_sd−space_sd×2・・・(式5)
【0170】
つまり、駆動トランジスタの長さL_sdが、電源配線とデータ信号線との間の長さH_sub_sdから、同層配線を分離するために必要な長さspace_sd2倍を減算した長さよりも大きい場合に、
図20に示すレイアウトを適用することができる。
【0171】
図21に示すレイアウトでは、矢印で示すソースドレイン間の電流の向きが境界線BBに対して平行になっている。
図21に示すレイアウトは、以下の式6を満たすときに適用することが好ましい。
【0172】
W_sd>H_sub_sd−space_sd×2・・・(式6)
【0173】
つまり、駆動トランジスタの幅W_sdが、電源配線とデータ信号線との間の長さH_sub_sdから、同層配線を分離するために必要な長さspace_sd2倍を減算した長さよりも大きい場合に、
図18に示すレイアウトを適用することが好ましい。
【0174】
上述した
図18〜
図21のレイアウトのどのレイアウトを利用するかは、駆動トランジスタのゲート長およびゲート幅に応じて決めることができる。上記条件は、簡単な式で構成されているため、適用可能なレイアウトを簡単に求めることができる。
【0175】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態、変形例1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態および変形例1〜3で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0176】
例えば、上記実施の形態および変形例1〜3では、境界線上に主電源配線が配置されている場合について説明したが、中央に境界線が通るように主電源配線を配置する必要はない。主電源配線は、境界線を含む領域に配置されていればよい。
【0177】
また、上記実施の形態および変形例1〜3では、有機ELディスプレイの場合について説明したが、これに限られるものではない。本開示は、画素部の各々が駆動トランジスタを備える表示装置、例えば、プラズマディスプレイあるいは液晶テレビ等にも適用可能である。
【0178】
また、上記実施の形態および変形例1〜3では、画素部は赤色、緑色および緑色のそれぞれに対応するサブ画素部を備えるとしたが、画素部の構成はこれに限らない。例えば、画素部はこれら3つのサブ画素に加え、白色(W)用の光を出すサブ画素を備えてもかまわない。また、画素部におけるサブ画素の配置は特に限定されず、列方向に同色のサブ画素が並ぶように配置されても構わないし、あるいは、行方向に同色のサブ画素が並ぶように配置されてもかまわない。さらには、画素部は、列方向または行方向に互いに異なる色のサブ画素が配列されるペンタイル配列等にしたがって配置されていてもかまわない。
【0179】
また、上記実施の形態および変形例1〜3では、隣接して配置された第一画素部および第二画素部はいずれも一の画素部におけるサブ画素として説明したが、第一画素部および第二画素部の構成はこれに限らない。例えば、第一画素部および第二画素部は、一方が一の画素部におけるサブ画素であり、他方が当該一の画素部に隣り合う他の一の画素部におけるサブ画素であってもかまわない。また、例えば、第一画素部および第二画素部は、同色(例えば、白色)の光を出すサブ画素であってもかまわない。
【0180】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0181】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0182】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。