(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、清涼飲料等の液体飲料が充填されるPETボトル等の容器には、通常、商品名や内容物表示等が印刷されたシュリンクフィルムからなる筒状のラベルが装着されている。
このラベルは、容器を所定の搬送路に沿って搬送するコンベヤと、コンベヤによって搬送される容器に未収縮の筒状ラベルを被嵌するラベル被嵌装置と、容器に被嵌された筒状ラベルを加熱収縮させる加熱収縮装置とを備えたラベル装着システムによって連続的に容器に装着されるのが一般的である。
【0003】
こういったラベル装着システムに設けられる加熱収縮装置は、筒状ラベルが被嵌された容器を搬送するコンベヤを覆うようにして設置される加熱処理室と、この加熱処理室を通過する容器に被嵌された筒状ラベルを熱風や水蒸気によって加熱する加熱手段とを備えており、容器が加熱処理室を通過する間に筒状ラベルを加熱収縮させることが行われている。
【0004】
ここで、熱風によって筒状ラベルを加熱する場合、ヒータによって100〜200℃程度に加熱した空気を容器に被嵌された筒状ラベルに局部的に噴き付けることになるので、筒状ラベル全体を均一に熱収縮させることができず、筒状ラベルに印刷されているデザインや文字が歪み、綺麗に仕上げることができないという問題があった。
【0005】
これに対し、水蒸気によって筒状ラベルを加熱すると、筒状ラベル全体を均一に熱収縮させることができるので、筒状ラベルに印刷されているデザインや文字が歪みにくく、綺麗に仕上げることができるが、筒状ラベルや容器の表面に水滴が付着し、箱詰めされたときに段ボール箱等が濡れてしまうという問題がある。
【0006】
上述したような熱風および水蒸気による筒状ラベルの加熱収縮による問題を解消するため、例えば特許文献1には、高温の過熱水蒸気を用いて筒状ラベルを加熱収縮させるシュリンクフィルムの加熱収縮装置が開示されている。
【0007】
このように過熱水蒸気を用いてシュリンクフィルムを加熱収縮させることにより、シュリンクフィルムに印刷されているデザインや文字が歪みにくく綺麗に仕上げることができるとともに、飽和水蒸気は容易に潜熱(蒸発のエンタルピー)を放出して容易に凝縮してしまうが、過熱水蒸気はそのエンタルピーが大きいためにラベル収縮のためにエンタルピーの一部が減少しても飽和温度までは凝縮することがないので、シュリンクフィルムや物品の表面に水滴が付着することなく筒状ラベルの装着が行えると記載されている。
【0008】
また、過熱水蒸気は飽和水蒸気に比べて熱容量が大きくシュリンクフィルムを瞬時に限界収縮率まで熱収縮させることができるので、加熱処理室の長さを短くすることができて省スペース化を図ることができ、しかも、加熱処理室への供給量を飽和水蒸気の場合よりも少なくすることができると記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0022】
以下においては、シュリンクフィルムが装着される物品が、飲料を収容するPETボトルやビール瓶などのボトル容器、カップ麺等の食品を収容するカップ容器であるものとして説明するが、これに限定されるものではなく、シュリンクフィルムを熱収縮させて周囲に密着させることにより包装される物品はどのようなものであってもよい。
【0023】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態であるシュリンクフィルムの加熱収縮装置(以下、適宜に加熱収縮装置とだけいう)10の全体を概略的に示す正面図である。また、
図2は、
図1におけるA−A断面図である。
【0024】
加熱収縮装置10は、シュリンクフィルムSが被嵌されたボトル容器Bを搬送するコンベヤ2を囲んで設けられ、シュリンクフィルムSを加熱により収縮させてボトル容器の周囲に装着するためのものである。ボトル容器Bは、コンベヤ2上に所定間隔を空けて載置された状態で、矢印E方向に連続的に搬送されるようになっている。
【0025】
コンベヤ2によって加熱収縮装置10に搬入されるボトル容器B(
図1中の右側に図示)の周囲には、筒状のシュリンクフィルムSが被嵌されている。シュリンクフィルムSは、図示しないフィルム被嵌装置において、長尺状の筒状フィルムを所定長さごとに切断したものを略円筒状に開口させ、この状態で開口したシュリンクフィルムSの内側にボトル容器Bが挿入されることにより被嵌される。シュリンクフィルムSには、例えば、延伸ポリスチレンフィルム、高収縮ポリエチレンテレフタレートフィルム、一般の熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが好適に用いられる。
【0026】
加熱収縮装置10は、シュリンクフィルムSが被嵌されたボトル容器Bを搬送するコンベヤ2に沿って設けられる加熱収縮ゾーンを形成するためのトンネル状のカバー12を備える。カバー12は、例えば金属板によって形成され、
図1および
図2に示すように、コンベヤ2を挟んだ両側と上方とを覆って設けられている。
【0027】
加熱収縮装置10は、フレーム状の脚部14によって支持されて、工場内の床面上において適当な高さ位置となるように設置されている。また、加熱収縮装置10を構成するカバー12の天井部には、複数の排気ダクト16が設けられている。排気ダクト16は、加熱収縮装置10の内部において用いられた水蒸気を外部に排気するためのものである。排気ダクト16から排気された水蒸気は、後述する蒸気発生装置に循環供給されるようにしてもよい。このようにすることで、水蒸気の発生や加熱に用いられる電力および水を節約することができ、資源およびランニングコストを低減できる利点がある。
【0028】
加熱収縮装置10は、ボトル容器Bに被嵌されたシュリンクフィルムSの熱収縮のさせ方が異なる3つのゾーンに区画されている。具体的には、コンベヤ2によるボトル容器Bの搬送方向上流側から順に、ボトル容器Bに被嵌されたシュリンクフィルムSの一部分を収縮させる部分収縮ゾーンZ1、シュリンクフィルムSの全体の大部分を収縮させる全体収縮ゾーンZ2、および、シュリンクフィルムの収縮不足部分を追加的に収縮させる追加収縮ゾーンZ3に分けられる。
【0029】
また、加熱収縮装置10は、蒸気発生装置18および蒸気加熱装置20を備えている。
蒸気発生装置18は、各ゾーンZ1〜Z3に供給するための第1水蒸気を生成するためのものである。蒸気発生装置18で生成された100℃以下の第1水蒸気は、配管22,24を介して部分収縮ゾーンZ1および追加収縮ゾーンZ3に供給されるとともに、配管26を介して蒸気加熱装置20に供給される。
【0030】
蒸気加熱装置20は、蒸気発生装置18から供給される第1水蒸気を常圧で加熱して約150℃〜180℃の第2水蒸気(または過熱水蒸気)を生成するためのものである。第2水蒸気を生成するための加熱手段としては、例えば、電磁加熱誘導式のものを用いることができる。蒸気加熱装置20により生成された第2水蒸気は、配管28を介して全体収縮ゾーンZ2に供給される。
【0031】
加熱収縮装置10のカバー12の少なくとも一方の側面には、複数の窓13が形成されている。本実施形態では、各々ゾーンZ1〜Z3に窓13がそれぞれ2つずつ設けられている。窓13は、カバー12の側面に形成された略長方形状の開口部に例えば、ガラス製または樹脂製の透明板を配置することによって構成される。これにより、加熱収縮装置10のオペレータは、窓13を介して内部でのシュリンクフィルムSの収縮具合を各ゾーンZ1〜Z3に直接視認またはカメラ撮影による画像によって確認することができる。
【0032】
また、加熱収縮装置10のカバー12には、それぞれ一対のハンドル30およびノブ32が設けられている。ハンドル30およびノブ32は、後述するノズルによる水蒸気の噴き付け状態をオペレータがカバー外側から調整可能にするためのものである。その詳細について、
図2に加えて
図3も参照して、次に説明する。
【0033】
図3は、加熱収縮装置10の部分収縮ゾーンZ1に設けられたノズル対34を示す正面図である。本実施形態では、
図2に示すようなノズル対34がコンベヤ2を挟んだ両側に、コンベヤ2の長手方向に沿って配置されているが、
図3では一方のノズル対34だけが示されている。
【0034】
図2に示すように、加熱収縮装置10の部分収縮ゾーンZ1には、コンベヤ2を挟んで両側にノズル対34がそれぞれ設置されている。ノズル対34は、蒸気発生装置18から配管22を介して供給された100℃以下の第1水蒸気を、コンベヤ2によって搬送されるボトル容器Bに被嵌されたシュリンクフィルムSの一部分に噴き付けて収縮させるようになっている。
【0035】
より詳しくは、ノズル対34は、
図3に示すように、2つのノズル部材34a,34bを有している。各ノズル部材34a,34bは、それぞれ角形金属管によって構成されており、コンベヤ2に対向する側面にはノズル孔36が一列に並んで形成されている。本実施形態における加熱収縮装置10の部分収縮ゾーンZ1において、ノズル部材34a,34bは、ノズル孔36の列がコンベヤ2による容器搬送方向に沿い、かつ、ボトル容器Bに被嵌されたシュリンクフィルムSの下端部に対向する向きで設置されている。
【0036】
なお、ノズル孔36の形状、大きさ、および配列ピッチ等は、シュリンクフィルムSの熱収縮特性等に応じて適宜に設定することができる。また、ノズル孔36が形成された側面をノズル部材34a,34bにボルト等で取り付けられるノズルプレートとして構成し、このノズルプレートを交換することによって第1水蒸気の噴き付け量等を変更するようにしてもよい。
【0037】
図2および
図3に示すように、ノズル部材34a,34bは、略L字状の正面形状を有するブラケット38の下端部にボルト締めによって取り付けられている。このブラケット38に形成されるノズル部材34a,34bの取付孔40は、略円弧状をなす長孔として形成されている。これにより、ボルトを緩めた状態で取付孔40中をボルトが移動することが可能となり、その結果、ノズル部材34a,34bをブラケット38に対して回動させて個別に角度を調整できるようになっている。
【0038】
上記ノズル部材34a,34bが取り付けられているブラケット38の上部は上方に細長く延在しており、その一方側縁部にラック42が形成されている。このラック42には、ピニオンギヤ44が噛合している。ピニオンギヤ44は、
図2において図示を省略しているが、カバー12の外側に設けられたハンドル30に連結されて加熱収縮装置10内で回転可能に支持されている軸部材46に固定されている。
【0039】
また、加熱収縮装置10の内部では、脚部14の上に支持フレーム50が立設されており、この支持フレーム50の上部には支持プレート52がコンベヤ2による容器搬送方向と直交する方向に延在するように取り付けられている。支持プレート52には、略T字状をなすノズル保持プレート54の上部がボルト55によって取り付けられている。そして、支持プレート52の下部56は垂下して延在しており、その下部56には上記ノズル部材34a,34bが取り付けられているブラケット38が上方方向にガイドされながら移動できるように設けられている。
【0040】
このような構成により、カバー外側でオペレータがハンドル30を回転操作すると、軸部材46を介してピニオンギヤ44が回転し、その回転に応じてラック42が上下方向に移動する。これにより、ノズル部材34a,34bの高さ位置、すなわち筒状のシュリンクフィルムSの軸方向に関する第1水蒸気の噴き付け位置を、個別に調整することができるように構成されている。
【0041】
さらに、ノズル保持プレート54の上部は、支持プレート52上にボルト55によってスライド移動可能に取り付けられている。コンベヤ2を挟んで両側に設置されるノズル対34をそれぞれ保持する2つのノズル保持プレート54は、支持プレート52に回転可能に軸支されたリンク機構58によって連結されている。そして、カバー12の外側から加熱収縮装置10の内部に延びるノブ32の端部がコンベヤ2の前側にあるノズル保持プレート54の上端縁部に連結されている。
【0042】
このような構成により、加熱収縮装置10のオペレータがノブ32を押し込み操作すると、リンク機構58を介して2つのノズル保持プレート54が互いに接近する方向に移動し、反対にノブを引っ張り操作すると2つのノズル保持プレート54が互いに遠ざかる方向に移動する。これにより、本実施形態では、カバー12の外側から、ノズル部材34a,34bとボトル容器Bに被嵌されたシュリンクフィルムSとの間の距離Dを調整することができる。このことは、ノズル部材34a,34bから噴き出される第1水蒸気はノズル部材34a,34bから遠ざかるほど広がることから、シュリンクフィルムSに対する第1水蒸気の噴き付け幅を調整可能になっているといえる。
【0043】
次に、
図4を参照して、加熱収縮装置10の全体収縮ゾーンZ2について説明する。
図4は、全体収縮ゾーンZ2に設けられるノズル対34を示す正面図である。全体収縮ゾーンZ2におけるノズル対34の角度調整機構、高さ調整機構、および、噴き付け幅調整機構については、部分収縮ゾーンZ1と同様であるため説明を省略する。ここでの相違点は、ノズル部材のノズル孔が数列形成されていること、および、シュリンクフィルムSに第2水蒸気が噴き付けられることであるため、これらについてのみ説明する。
【0044】
全体収縮ゾーンZ2におけるノズル対34は、2つのノズル部材34c,34dを含む。各ノズル部材34c,34dのコンベヤ2側に向いた側面には、ノズル孔36の列が上下方向に例えば4〜6列並んで設けられている。このようにノズル孔36を数列で配置することで、シュリンクフィルムSの軸方向に関する噴き付け面積(または噴き付け幅)を大きく確保することができる。
【0045】
また、全体収縮ゾーンZ2では、2つのノズル部材34c,34dをコンベヤ2に対してそれぞれ所定角度傾けて一直線状に並ぶように設定されている。より詳しくは、コンベヤ2によって搬送されるボトル容器Bの周囲のシュリンクフィルムSに対して下から上へと全体的に過熱水蒸気を噴き付けて、シュリンクフィルムSを熱収縮させてボトル容器Bに密着した状態に装着するようにしている。
【0046】
次に、
図5を参照して、加熱収縮装置10における追加収縮ゾーンZ3について説明する。
図5は、加熱収縮装置10の追加収縮ゾーンに設けられるノズル対34を示す正面図である。追加収縮ゾーンZ3の構成は、ノズル部材34a,34bの構成および第1水蒸気を用いることを含めて部分収縮ゾーンZ1と同じであるため、ここでの重複する説明は行わない。
【0047】
図5に示すように、ノズル対34に含まれる2つのノズル部材34a,34bは、異なる高さ位置でコンベヤ2による容器搬送方向と平行にそれぞれ設置されている。上述したように、追加収縮ゾーンZ3は、シュリンクフィルムSの収縮不足部分を追加的に収縮させるための領域である。そのため、
図5では、2つのノズル部材34a,34bのうち容器搬送方向(矢印E方向)の上流側に位置するノズル部材34aは、ボルト容器Bに被嵌されたシュリンクフィルムSの上下方向の中間位置に向けて第1水蒸気が噴出されるようにノズル孔36の高さ位置に設定されている例が示される。また、下流側に位置するノズル部材34bは、シュリンクフィルムSの上端部に第1水蒸気を噴き付けて、ボトル容器Bの胴部から口部に向かって傾斜が急になる部分にシュリンクフィルムSの上端部が密着するように収縮させる例が示されている。
【0048】
続いて、
図6を参照して、上記構成からなる加熱収縮装置10におけるシュリンクフィルムの熱収縮による装着動作について説明する。
図6(a)〜(e)は例えばPETボトルであるボトル容器Bに装着されるシュリンクフィルムSが熱収縮して装着される状態を段階的に示す図である。
【0049】
図6(a)に示すように、未収縮のシュリンクフィルムSが被嵌されたボトル容器Bは、コンベヤ2によって、まず、加熱収縮装置10の部分収縮ゾーンZ1に搬入される。
【0050】
部分収縮ゾーンZ1を通過する間に、ノズル部材34a,34bのノズル孔36から噴出する第1水蒸気がボトル容器Bの下端部外周に位置するシュリンクフィルムSの下端部に噴き付けられる。これにより、
図6(b)に示すように、シュリンクフィルムSの下端部が熱収縮してボトル容器Bの外周面に接触して固定される。その結果、ボトル容器Bに対するシュリンクフィルムSの軸方向の位置が決められることになる。
【0051】
また、ボトル容器Bの側面に補強やデザイン性向上のためのリブ(または段部)や凹部がある場合、例えば2つのノズル部材34a,34bのうちの下流側のノズル部材34bを上記段部に対応する高さ位置に設定してもよい。このようにすることで、シュリンクフィルムSのリブに対応する部分を若干収縮した状態とすることができる。その結果、過熱水蒸気によってシュリンクフィルムSを一気に熱収縮させるとシュリンクフィルムSが食い込み過ぎた状態となってフィルムに印刷されているデザインや文字の歪みが大きくなることがあるが、このように部分収縮ゾーンZ1と次の全体収縮ゾーンZ2の2段階で熱収縮させることでフィルムの食い込み状態を緩和することができる。
【0052】
続いて、ボトル容器Bは、コンベヤ2によって搬送されて、全体収縮ゾーンZ2を通過する。この間に、ノズル部材34c,34dのノズル孔36から噴出する第2水蒸気がボトル容器Bに被嵌されたシュリンクフィルムSに下から上へと順に全体的に噴き付けられる。これにより、シュリンクフィルムSは、
図6(c)および(d)に示すように、下端側から上端側へと順に全体が熱収縮してボトル容器Bの外周面に密着してボトル容器Bに装着されることになる。ここで、シュリンクフィルムSに噴き付けられる第2水蒸気は、第1水蒸気に比べて熱容量が大きいためにシュリンクフィルムSを瞬時に大きな収縮率でもって収縮させることができ、しかも、第1水蒸気で収縮させる場合のように水滴がシュリンクフィルムSおよびボトル容器Bに付着することがない。
【0053】
そして、全体収縮ゾーンZ2においてシュリンクフィルムSの全体が熱収縮したボトル容器Bは、コンベヤ2によって搬送されて、最後のゾーンである追加収縮ゾーンZ3を通過する。この追加収縮ゾーンZ3では、ノズル部材34a,34bのノズル孔36から噴出した第1水蒸気が、全体収縮ゾーンZ2を通過した後のシュリンクフィルムSにおいて収縮が不足した部分に向けて噴き付けられる。
【0054】
ここでは、
図6(d)に示すように、ボトル容器Bの直径差が大きくなる肩部に対応する部分であるシュリンクフィルムSの上端部S1がボトル容器Bに対する密着度合いが不十分である例を示す。したがって、追加収縮ゾーンZ3では、シュリンクフィルムSの上端部に向けて第1水蒸気を噴き付けることによって、追加的に熱収縮させることで、ボトル容器Bの外周面に十分に密着した状態とすることができる。
【0055】
また、
図6(a)において一点鎖線で示すように、ボトル容器Bの胴部がくびれている形状である場合には、追加収縮ゾーンZ3においてシュリンクフィルムSの高さ方向中間部に向けて第1水蒸気を噴き付けて、追加的に熱収縮させてボトル容器Bに密着させるようにしてもよい。
【0056】
このように加熱収縮装置10の3つのゾーンZ1〜Z3を通過してシュリンクフィルムSが装着されたボトル容器Bは、コンベヤ2によって加熱収縮装置10から搬出されて、例えば、箱詰め等の後工程へと搬送される。
【0057】
上述したように本実施形態のシュリンクフィルムの加熱収縮装置10によれば、シュリンクフィルムSが装着されるボトル容器Bの形状に応じて、比較的低温の第1水蒸気による熱収縮と比較的高温の第2水蒸気による熱収縮とを組み合わせて用いることで、シュリンクフィルムSの好適な装着状態を実現できる。
【0058】
具体的には、ボトル容器Bに被嵌されたシュリンクフィルムSについて、第1水蒸気を用いて下端部を熱収縮させて位置決め固定し、第2水蒸気を用いて全体を迅速に収縮させて装着状態とし、最後に第1水蒸気を用いて収縮不足部分を補うように追加収縮させることで、シュリンクフィルムSの装着状態を綺麗に仕上げることができる。
【0059】
また、部分収縮ゾーンZ1および追加収縮ゾーンZ3において、第2水蒸気ではなく第1水蒸気を用いることで、適度な収縮によるシュリンクフィルムSの位置決め、食い込み緩和、および装着状態の仕上げを行うことができる。
【0060】
さらに、本実施形態の加熱収縮装置10における全体収縮ゾーンZ2では第2水蒸気が用いられるため、湯気によって視界不良の状態となる第1水蒸気の場合に比べてオペレータが窓13を介してシュリンクフィルムSの収縮状態をはっきりと確認することができる。そのため、シュリンクフィルムSの収縮不足部分に向けて追加収縮ゾーンZ3で第1水蒸気を噴き付けるように、ハンドル30およびノブ32の少なくとも一方を操作してシュリンクフィルムSの収縮状態を容易に調整することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、加熱収縮装置10の全体収縮ゾーンZ2では、シュリンクフィルムSを下から上へと収縮させるようにしたが、ノズル部材34c,34dを逆の傾斜(すなわち容器搬送方向下流側に向けて下り傾斜)となるように設定して、シュリンクフィルムSを上から下へと収縮させるようにしてもよい。この場合、部分収縮ゾーンZ1では、シュリンクフィルムSの上端部を熱収縮させて位置決め固定するのが好ましい。
【0062】
<第2実施形態>
次に、
図7および
図8を参照して、第2実施形態の加熱収縮装置10Aについて説明する。
図7は、第2実施形態であるシュリンクフィルムの加熱収縮装置10Aの全体を概略的に示す正面図である。
図8(a)〜(e)は加熱収縮装置10Aにおいてビール瓶型の容器Bにシュリンクフィルムが熱収縮して装着される状態を段階的に示す図である。本実施形態の加熱収縮装置10Aは、上記第1実施形態とほぼ同様の構成を有するため、同一構成には同一符号を用いて重複説明を行わず、主として相違点について説明する。
【0063】
本実施形態の加熱収縮装置10Aでは、
図7に示すように、追加収縮ゾーンZ3には蒸気加熱装置20から配管28を介して第2水蒸気が供給されてノズル部材34a,34bから噴出されるようになっている。また、本実施形態の加熱収縮装置10AにおいてシュリンクフィルムSが被嵌される物品は、ビール瓶型のボトル容器Bであり、具体的には胴部と口部近傍との間の直径差が大きい形状の容器である。
【0064】
続いて、
図8を参照して、本実施形態の加熱収縮装置10Aにおけるシュリンクフィルムの熱収縮による装着動作について説明する。
【0065】
図8(a)に示すように、未収縮のシュリンクフィルムSが被嵌されたボトル容器Bは、コンベヤ2によって、まず、加熱収縮装置10Aの部分収縮ゾーンZ1に搬入される。
【0066】
そして、部分収縮ゾーンZ1を通過する間に、ノズル部材34a,34bのノズル孔36から噴出する第1水蒸気がボトル容器Bの下端部外周に位置するシュリンクフィルムSの下端部に噴き付けられる。これにより、
図8(b)に示すように、シュリンクフィルムSの下端部が熱収縮してボトル容器Bの外周面に接触して固定される。その結果、ボトル容器Bに対するシュリンクフィルムSの軸方向の位置が決められることになる。
【0067】
続いて、ボトル容器Bは、コンベヤ2によって搬送されて、全体収縮ゾーンZ2を通過する。この間に、ノズル部材34c,34dのノズル孔36から噴出する第2水蒸気がボトル容器Bに被嵌されたシュリンクフィルムSに下から上へと順に全体的に噴き付けられる。これにより、シュリンクフィルムSは、
図8(c)および(d)に示すように、下端側から上端側へと順に全体が熱収縮してボトル容器Bの外周面に密着して装着されることになる。
【0068】
それから、全体収縮ゾーンZ2においてシュリンクフィルムSの全体が熱収縮したボトル容器Bは、コンベヤ2によって搬送されて、最後のゾーンである追加収縮ゾーンZ3を通過する。この追加収縮ゾーンZ3では、ノズル部材34a,34bのノズル孔36から噴出した第2水蒸気が、全体収縮ゾーンZ2を通過した後のシュリンクフィルムSにおいて収縮が不足した部分に向けて噴き付けられる。
【0069】
ここでは、
図8(d)に示すように、ボトル容器Bの直径差が大きくなる肩部から首部にかけての部位に対応する部分であるシュリンクフィルムSの上端部S2がボトル容器Bに対する密着度合いが不十分である例を示す。したがって、追加収縮ゾーンZ3では、シュリンクフィルムSの上端部に向けて第2水蒸気を噴き付けることによって追加的にしっかりと熱収縮させることで、ボトル容器Bの外周面に十分に密着した状態とすることができる。
【0070】
このように本実施形態のシュリンクフィルムの加熱収縮装置10Aにおいても、第1実施形態と同様に、シュリンクフィルムSが装着されるボトル容器Bの形状に応じて、比較的低温の第1水蒸気による熱収縮と比較的高温の第2水蒸気による熱収縮とを組み合わせて用いることで、シュリンクフィルムSの好適な装着状態を実現できる。
【0071】
具体的には、ボトル容器Bに被嵌されたシュリンクフィルムSについて、第1水蒸気を用いて下端部を熱収縮させて位置決め固定し、第2水蒸気を用いて全体を迅速に収縮させて装着状態とし、最後に第2水蒸気を用いて収縮不足部分を補うように追加収縮させることで、シュリンクフィルムSの装着状態を綺麗に仕上げることができる。
【0072】
また、部分収縮ゾーンZ1において、第2水蒸気ではなく第1水蒸気を用いることで、適度な収縮によるシュリンクフィルムSの位置決めを行うことができる。
【0073】
さらに、本実施形態の加熱収縮装置10における全体収縮ゾーンZ2では第2水蒸気が用いられるため、湯気によって視界不良の状態となる第1水蒸気の場合に比べてオペレータが窓13を介してシュリンクフィルムSの収縮状態をはっきりと確認することができる。そのため、シュリンクフィルムSの収縮不足部分に向けて追加収縮ゾーンZ3で第2水蒸気を噴き付けるように、ハンドル30およびノブ32の少なくとも一方を操作してシュリンクフィルムSの収縮状態を容易に調整することができる。
【0074】
<第3実施形態>
次に、
図9および
図10を参照して、第3実施形態の加熱収縮装置10Bについて説明する。
図9は、第3実施形態の加熱収縮装置10Bの全体を概略的に示す正面図である。
図10(a)〜(d)は、加熱収縮装置10Bにおいてカップ容器Cにシュリンクフィルムが熱収縮して装着される状態を段階的に示す図である。本実施形態の加熱収縮装置10Bは、上記第1実施形態とほぼ同様の構成を有するため、同一構成には同一符号を用いて重複説明を行わず、主として相違点について説明する。
【0075】
本実施形態の加熱収縮装置10Bでは、
図9に示すように、部分収縮ゾーンZ1において蒸気加熱装置20から配管28を介して第2水蒸気が供給されてノズル部材34a,34bから噴出されるようになっている。また、全体収縮ゾーンZ2では、蒸気発生装置18から配管25を介して第1水蒸気が供給されてノズル部材34c,34dから噴出されるようになっている。なお、追加収縮ゾーンZ3において第1水蒸気が用いられるのは第1実施形態の場合と同様である。
【0076】
さらに、本実施形態では、コンベヤ2によって搬送される冶具4にカップ容器Cが底部を上に向けた状態で被嵌されている。このように冶具4によって保持されたカップ容器Cの側面周囲に筒状のシュリンクフィルムSが被嵌された状態で、コンベヤ2によって加熱収縮装置10Bへと搬入される。
【0077】
ここで、カップ容器Cは、例えばヨーグルト等の食品を収容するための樹脂製の容器であり、これに被嵌されるシュリンクフィルムSの容器開口部側の端部内面には感熱接着剤層が予め設けられている。
【0078】
なお、加熱収縮装置10B内を搬送される間、冶具4の容器保持部分を回転させるように構成してもよい。このようにすれば、シュリンクフィルムSの熱収縮を周方向に均等に行わせることができ、局部的に皺が寄った状態で装着されるのを防止または抑制することができる。
【0079】
続いて、
図10を参照して、本実施形態の加熱収縮装置10BにおけるシュリンクフィルムSの熱収縮による装着動作について説明する。
【0080】
図10(a)に示すように、未収縮のシュリンクフィルムSが被嵌されたカップ容器Cは、コンベヤ2によって、まず、加熱収縮装置10Bの部分収縮ゾーンZ1に搬入される。
【0081】
そして、部分収縮ゾーンZ1を通過する間に、ノズル部材34a,34bのノズル孔36から噴出する第2水蒸気がボトル容器Bの下端部外周に位置するシュリンクフィルムSの下端部に噴き付けられる。このように高温で熱容量が大きい第2水蒸気が噴き付けられることで、
図10(b)に示すように、シュリンクフィルムSの下端部が熱収縮するとともに、
図10中に点描領域として示されるフィルム内側の感熱接着剤層が活性化されて粘着性を発現する。これにより、シュリンクフィルムSの下端部がカップ容器Cのフランジ部に隣接する位置で容器側面に接着して固定される。その結果、テーパー状の側面形状を有するカップ容器CにおいてもシュリンクフィルムSが軸方向に位置ずれすることなく所望位置に装着することができる。また、シュリンクフィルムSの下端部に対向するカップ容器Cの側面は平坦で凹部がないため、高温の第2水蒸気で熱収縮させて密着させても凹部等にフィルムが食い込み過ぎるといった問題は生じない。
【0082】
続いて、カップ容器Cは、コンベヤ2によって搬送されて、全体収縮ゾーンZ2を通過する。この間に、ノズル部材34c,34dのノズル孔36から噴出する第1水蒸気がカップ容器Cに被嵌されたシュリンクフィルムSに下から上へと順に全体的に噴き付けられる。これにより、シュリンクフィルムSは、
図10(b)および(c)に示すように、下端側から上端側へと順に全体が熱収縮してカップ容器Cの外周面に密着して装着されることになる。
【0083】
それから、全体収縮ゾーンZ2においてシュリンクフィルムSの全体が熱収縮したカップ容器Cは、コンベヤ2によって搬送されて、最後のゾーンである追加収縮ゾーンZ3を通過する。この追加収縮ゾーンZ3では、ノズル部材34a,34bのノズル孔36から噴出した第1水蒸気が、全体収縮ゾーンZ2を通過した後のシュリンクフィルムSにおいて収縮が不足した部分に向けて噴き付けられる。
【0084】
ここでは、
図10(c)および(d)に示すように、カップ容器Cの側面から底面にかけての部位に対応するシュリンクフィルムSの上端部S2が曲がり込んで密着するように、追加収縮ゾーンZ3ではシュリンクフィルムSの上端部に向けて第1水蒸気を噴き付けることで追加的に熱収縮させることが好ましい。
【0085】
上述したように本実施形態のシュリンクフィルムの加熱収縮装置10Bにおいても、第1および第2実施形態と同様に、シュリンクフィルムSが装着されるカップ容器Cの形状に応じて、比較的低温の第1水蒸気による熱収縮と比較的高温の第2水蒸気による熱収縮とを組み合わせて用いることで、シュリンクフィルムSの好適な装着状態を実現できる。
【0086】
具体的には、カップ容器Cに被嵌されたシュリンクフィルムSについて、第2水蒸気を用いて下端部を熱収縮させるとともに接着させて位置決め固定し、第1水蒸気を用いて全体を収縮させて装着状態とし、最後に第1水蒸気を用いて収縮不足部分を補うように追加収縮させることで、シュリンクフィルムSの装着状態を綺麗に仕上げることができる。
【0087】
また、部分収縮ゾーンZ1において、第1水蒸気ではなく第2水蒸気を用いることで、シュリンクフィルムSの下端部において迅速な熱収縮と感熱接着層の活性化とを生じさせて、位置決めすることができる。
【0088】
なお、本発明に係るシュリンクフィルムの加熱収縮装置は、上述した第1ないし第3実施形態の構成およびその変形例に限定されるものではなく、種々の改良や変更が可能であることは勿論である。
【0089】
例えば、上記第1および第3実施形態の加熱収縮装置10,10Bにおいて、第1水蒸気を用いた追加収縮ゾーンZ3を通過した際に付着した水分または湿り気を除去するために、容器搬送方向の最下流側に例えば熱風ヒータ等を用いた乾燥ゾーンを並設してもよい。このようにすれば、シュリンクフィルムが装着された容器を乾燥した状態で後工程に直ちに供給することができる。
【0090】
上記の各加熱収縮装置10,10A,10Bにおいて、全体収縮ゾーンZ2における加熱でシュリンクフィルムSを十分に収縮させて装着できるのであれば、追加収縮ゾーンZ3を省略してもよい。そうした場合、加熱収縮装置の設置スペースが小さくなるとともに、使用する水蒸気量も低減でき省エネルギー化も図れる利点がある。
【0091】
また、上記においては、追加収縮ゾーンZ3では、第1水蒸気または第2水蒸気を噴き付けてシュリンクフィルムSを追加的に収縮させるものと説明したが、これに限定されるものではなく、ノズル部材34a,34bから高温の空気である熱風を噴出してシュリンクフィルムの収縮不足部分に噴き付けるようにしてもよい。
【0092】
さらに、上記においては、ノズル部材の高さ位置および噴き付け幅の両方がカバー外側から調整可能であるものと説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも一方が調整可能になっていてもよい。
【0093】
さらにまた、上記においては、各ゾーンZ1〜Z3に設けられたノズル対34の2つのノズル部材34a,34bまたは34c,34dが個別に高さ位置および角度を調整可能に構成されるものと説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも一方が個別に調整可能になっていてもよい。