(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、簡易な包装形態であっても、自立性を有し、包まれ感を演出でき、しかも、被包装物を容易に安定して支持することができる包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る包装体は、
被包装物が台紙の前面に取り付けられ、該台紙の下部に自立性底部が形成されている包装体であって、台紙は、一枚のシートから構成されており、該台紙は
、メインパネル部と、該メインパネル部の下側に連設され、該メインパネル部に対して
折り曲げ線で前側に折り曲げられて前記自立性底部の一部を構成する前片部とを備え、該前片部には、
前記折り曲げ線を両端とする切り込み線によって挿入孔が形成され、該挿入孔を被包装物の下部が挿通しており、切り込み線の両端の間には、メインパネル部から下方に向けて下方延在片部が延びており、台紙の前面は、切り込み線の両端の間においてメインパネル部から下方延在部にかけて段差のない状態で上下方向に連続しており、
収縮性を有するプラスチックフィルムからなる筒状フィルムが被包装物に装着されており、筒状フィルムは台紙のメインパネル部に接着されており、筒状フィルムの下端は前記折り曲げ線を越えて延びており、被包装物は、筒状フィルムを介して台紙のメインパネル部に保持されていることを特徴とする。
【0008】
該構成の包装体にあっては、台紙の下部に自立性底部が形成されているので、その自立性底部によって容易に自立させて陳列することができる。また、被包装物が取り付けられたメインパネル部の下側には自立性底部の一部を構成すべく前片部が連設されていて前側に折り曲げられており、該前片部の挿入孔を被包装物の下部が挿通しているので、被包装物の下部が台紙に包まれているように見え、また奥行き感も出る。また、その挿入孔は前片部の折り曲げ位置を両端としたU字状等の各種形状の切り込み線によって形成されたものであるので、挿入孔の開口縁部の一部は前片部の折り曲げ位置にあり、更に、その切り込み線の両端の間にはメインパネル部から下方に向けて下方延在片部が延びているので、被包装物を後側から支持する支持面は、前片部の折り曲げ位置において止まったり段差のある不連続なものとなったりすることなく、メインパネル部から下方延在片部へと前片部の折り曲げ位置を下方に越えて縦方向に連続的に延長されることになり、その長い区間を有する支持面によって被包装物を下部まで安定して支持することができる。また、メインパネル部から下方延在片部へと支持面が連続していることから、折り曲げ位置で支持面が止まっている構成に比して視覚的にも良好な見栄えが得られる。
【0009】
特に、前片部が斜め下方に傾斜していることが好ましい。例えば前片部が前方に向けて水平に延びている構成とすることもできるが、前片部が下方に傾斜していると、包装体を前から見た場合、挿入孔を下方に挿通している被包装物の下部が前片部の挿入孔を介して見えやすくなる。また、前片部が手前に位置する一方、その奥側に被包装物の下部が位置し、両者の間に前後方向の空間ができることから、奥行き感や立体感をより一層効果的に演出することができる。しかも、前片部の奥側に被包装物のみが存在するのではなくて下方延在片部も存在していてそれが被包装物と共に挿入孔から見えるので、前片部と下方延在片部との間の空間によって奥行き感や包まれ感がより一層高まることになる。
【0010】
また、収縮性を有するプラスチックフィルムからなる筒状フィルムが被包装物に装着され、該筒状フィルムが台紙のメインパネル部に接着されて該筒状フィルムを介して被包装物が台紙に取り付けられていることが好ましい。熱収縮性を有するシュリンクフィルムや自己収縮性(自己伸縮性)を有するストレッチフィルムからなる筒状フィルムを包装フィルムとして使用することにより、被包装物の少なくとも側周面の全体を容易に覆うことができ、そして、筒状フィルムがメインパネル部に接着されることで被包装物を台紙に容易に保持することができる。
【0011】
尚、筒状フィルムが被包装物に装着され且つ該筒状フィルムが台紙のメインパネル部に接着された状態とするには、主として次のような二つの方法がある。例えば筒状フィルムがシュリンクフィルムである場合を例にすると、台紙に未収縮のシュリンクフィルムを取り付けてシュリンクフィルム付き台紙(筒状フィルム付き台紙)を作製し、そのシュリンクフィルムに被包装物を挿入して該シュリンクフィルムを熱収縮させる方法と、未収縮のシュリンクフィルムに被包装物を挿入して該シュリンクフィルムを熱収縮させてシュリンクフィルム付きの被包装物を作製した後、該シュリンクフィルム付きの被包装物を台紙に取り付ける方法である。尚、台紙に未収縮のシュリンクフィルムを接着する場合やシュリンクフィルムで覆われた被包装物を台紙に接着する場合には、折り起こされていない扁平状態の台紙に接着することが好ましい。但し、若干製造工程が複雑にはなるものの、先に台紙を折り起こしたうえで、その台紙に既に接着されているシュリンクフィルムに被包装物を挿入したり、あるいは、シュリンクフィルム付きの被包装物を台紙に接着するようにして包装体を形成してもよい。
【0012】
そしてこのように台紙に筒状フィルムが接着された構成においては、筒状フィルムを台紙に接着している接着部が、メインパネル部と共に下方延在片部にも設けられていることが好ましい。接着部を下方延在片部にも設けてメインパネル部と共に下方延在片部にも被包装物を筒状フィルムを介して接着することにより、被包装物はメインパネル部のみならず下方延在片部に対しても筒状フィルムを介して一体化されることになる。その結果、下方延在片部が前片部の折り曲げ位置即ちその基端部で前後に折れ曲がったりすることが防止されると共に、被包装物が縦方向に長い寸法を有しているものであってもメインパネル部から下方延在片部までの長い区間に亘って後方からしっかりと支えて安定させることができる。
【0013】
更に、前記接着部がメインパネル部から下方延在片部まで連続的に形成されていることが好ましい。メインパネル部から下方延在片部まで連続的に被包装物と台紙が筒状フィルムを介して一体化されることになって、より一層安定した支持状態が得られる。
【0014】
一方、被包装物の少なくとも前側を包装フィルムで覆う構成としては上述したような筒状フィルムを用いる構成の他、被包装物を包装フィルムでスキンパックして台紙のメインパネル部及び下方延在片部に取り付けることも好ましい。このようなスキンパックによっても容易に被包装物を包装フィルムで包装することができると同時に台紙に被包装物を保持一体化させることができる。尚、この場合、スキンパックした後に包装フィルムと共に前片部に切り込み線を入れるが、下方延在片部が存在しているので、前片部を前方に折り曲げても、被包装物の下部をスキンパックした状態はそのまま維持される。従って、台紙によって包まれ感や立体感あるいは奥行き感を演出しつつも被包装物の下部まで包装フィルムを密着させると同時に台紙に被包装物をその下部まで一体化させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る包装体にあっては、簡易な包装形態であっても、自立性底部によって安定した自立性が得られ、挿入孔を有する前片部によって被包装物の包まれ感を効果的に演出することができ、しかも、下方延在片部を設けて支持面に連続性を与えることで被包装物をその下部まで容易に安定的に支持することができると共に視覚的にも良好な見栄えが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る包装体について
図1〜
図3を参酌しつつ説明する。
図1に示す包装体は、台紙1に筒状のシュリンクフィルム2が取り付けられ、該シュリンクフィルム2で各種容器等の被包装物3が包装された台紙付きシュリンクフィルム包装体である。本実施形態における被包装物3は上下方向の軸線を有する円筒状体あるいは円柱状体としているが、その形状や大きさは任意であり、また個数についても任意である。
【0018】
該被包装物3を包装するためのシュリンクフィルム付き台紙は、包装前において
図3に示すような展開状態にある。即ち、該シュリンクフィルム付き台紙は、一枚の台紙1と、該台紙1に取り付けられたシュリンクフィルム2とから構成されている。
【0019】
台紙1は、被包装物3の大きさや表示内容等によってそのサイズが決定され、その前面及び後面あるいはその一方には被包装物3に関する表示部(図示省略)が印刷によって施されている。
【0020】
台紙1は、
図3に示すような展開形状の一枚のシートからなる。該台紙1は、前側本体部10と、前片部11と、底面部12と、連結片13と、後側本体部14と、差込片部15とからなる。前側本体部10と前片部11と底面部12と連結片13は順に縦方向に連設されている。前側本体部10の隣に縦方向の折り曲げ線50を介して後側本体部14が連設されており、該縦方向の折り曲げ線50で後側本体部14が山折りに折り返されて前側本体部10の後側に重ね合わせられて互いに接着されて使用される。但し、前側本体部10と後側本体部14とが縦方向に連設され、横方向の折り曲げ線で山折りに折り返すことで前側本体部10の後側に後側本体部14を重ね合わせて互いに接着する構成としてもよい。
【0021】
前側本体部10は、後側本体部14と縦方向の折り曲げ線50で連設されたメインパネル部16と、該メインパネル部16よりも幅狭であってメインパネル部16の下端から下方に延設された舌片状の下方延在片部17とからなる。メインパネル部16の下端には横方向の折り曲げ線51が形成され、該折り曲げ線51を介してその下側に前片部11が連設されている。メインパネル部16の下端の折り曲げ線51は幅方向両端部に分かれて左右一対形成されている。即ち、両折り曲げ線51は互いに左右に離間しており、両折り曲げ線51間には折り曲げ線が形成されていない領域が存在している。そして、両折り曲げ線51間に下方延在片部17が下方に向けて延設されている。
【0022】
メインパネル部16の下側に連設された前片部11には、メインパネル部16の下端における両折り曲げ線51の各内側の端部を起点として下方に延びるU字状の切り込み線18が形成されている。即ち、U字状の切り込み線18の両端は前片部11の折り曲げ位置にあり、該U字状の切り込み線18が形成されることによって下方延在片部17が前片部11から区画される。また、U字状の切り込み線18によって区画された下方延在片部17の下部所定領域は展開形状において既に切断除去されていて、その切断除去された領域にはカット孔25が形成されている。該カット孔25の形状は任意であるが、その一例としては半円状である。但し、U字状の切り込み線18の内側に更に別途の切り込み線を形成して下方延在片部17を形成してもよい。また、切り込み線18の形状はU字状に限らず、その両端が前片部11の折り曲げ位置にある種々の形状であってよく、被包装物3の形状によって適宜設定されるものである。また、カット孔25の大きさも任意であり、組み立てられた状態において少なくとも下方延在片部17が底面部12と干渉しない程度にカットされていればよく、また、干渉しない場合にはカット孔25を設けなくてもよい。
【0023】
前片部11の下側には横方向の折り曲げ線52を介して底面部12が連設され、該底面部12には横方向の折り曲げ線53を介して連結片13が連設されている。尚、前片部11と底面部12との間には左右一対の脚用小突片19が形成されている。前片部11と底面部12との間の脚用小突片19は前片部11の一部を底面部12側に延長するようにして形成されている。同様に、底面部12と連結片13との間にも脚用小突片19が左右一対形成されており、該脚用小突片19は連結片13の一部を底面部12側に延長するようにして形成されている。また、底面部12と連結片13との間には、連結片13を底面部12に対して折り曲げることによって差込孔20が形成されるように孔用小突片21が形成されている。該孔用小突片21は底面部12の一部を連結片13側に延長するようにして形成されている。
【0024】
後側本体部14は、メインパネル部16と同一幅、好ましくは、重ね合わせた際に後側本体部14がメインパネル部16から突出しないように若干幅狭である。後側本体部14の縦方向の長さは、メインパネル部16の長さよりも長く、メインパネル部16と前片部11を合わせた長さよりも短い。該後側本体部14の下端部中央位置には、該後側本体部14の下端縁14aよりも若干上方に位置する横方向の折り曲げ線54を介して差込片部15が突設されており、上記差込孔20に差込片部15を差し込むことができる。また、折り曲げ線54が後側本体部14の下端縁14aよりも若干上方に位置していることから、
図2のように折り曲げ線54で差込片部15を前側に折り曲げると、折り曲げ線54の箇所には後側本体部14の下端縁14aに対して若干上方に凹んだ凹部が形成されることになる。一方、連結片13を底面部12に対して上方に折り曲げると、孔用小突片21が連結片13よりも後方に突出する。そして、この後方に突出する孔用小突片21が、上記凹部に係合することになる。尚、前側本体部10と後側本体部14を貫通するように吊り下げ孔22が形成されている。
【0025】
尚、台紙1を構成するシートは特には限定されないが、例えば各種の樹脂製シートや紙材をシート基材とするシートを用いることができる。シート基材が紙材である場合、例えば、紙のみからなる厚紙や、紙製シートに各種樹脂をコーティングしたり樹脂製シートや蒸着シートを張り合わせたりした合成紙等が一例として挙げられ、その厚さは、例えば0.2〜2mm程度、特に0.5〜1.5mm程度が好ましい。また、台紙1に形成した折り曲げ線50等には、押し罫線やミシン目等、各種の折り曲げ罫線が使用できる。
【0026】
かかる台紙1の前側本体部10に筒状のシュリンクフィルム2がその軸線方向が上下方向となるようにして接着剤により接着されている。シュリンクフィルム2を台紙1に接着するための接着部23は縦長に形成されていて、メインパネル部16から折り曲げ線51の位置を下方に越えて延び、下方延在片部17まで連続的に形成されている。このようにメインパネル部16の下部から下方延在片部17の上部まで縦方向に延びる接着部23によってシュリンクフィルム2はメインパネル部16から下方延在片部17にかけて接着されている。尚、
図3では展開状態の台紙1にシュリンクフィルム2を接着しているが、後側本体部14を折り曲げて前側本体部10に接合一体化した後に、前側本体部10にシュリンクフィルム2を接着するようにしてもよい。
【0027】
シュリンクフィルム2を台紙1に接着するための接着剤には各種の接着剤を使用することができ、例えば、エラストマー系接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、およびホットメルト接着剤等が挙げられる。特に加熱塗工でき、常温で粘着性を有するホットメルト接着剤が好適である。特に、台紙1のシート基材が紙材の場合には、紙への接着性の観点から湿気反応型ホットメルト接着剤が好適である。但し、接着剤ではなく両面テープ等で接着してもよい。尚、接着剤を使用する場合、該接着剤が台紙1に強く接着するようにするため、台紙1の接着剤が塗布される部分に、微細な凹凸を形成しておいてもよい。この微細な凹凸は、例えば、台紙1の外面に、無数の刻みを入れる、あるいは、エンボス加工を施す等によって形成できる。同様に、接着剤がシュリンクフィルム2に強く接着するようにするため、シュリンクフィルム2の接着剤が塗布される部分に、微細な凹凸を形成しておいてもよい。
【0028】
筒状のシュリンクフィルム2は前後方向に潰れた扁平状であってその左右両側縁が折れ線となって扁平状に折り畳まれた状態にある。シュリンクフィルム2の軸線方向の長さは、好ましくは被包装物3の略全長を覆うことができる長さであり、被包装物3の側面略全体を被覆可能である。シュリンクフィルム2の上端2aはメインパネル部16の上端まで到達しておらず、シュリンクフィルム2の下端2bは下方延在片部17の下端まで到達していない。シュリンクフィルム2の上下両端2a,2bは何れも開口しているが、シュリンクフィルム2の上下両端2a,2bが被包装物3の側面からそれぞれ被包装物3の上面3a及び底面3bに回り込んで上面3aの周縁部と底面3bの周縁部を覆う。被包装物3の上面3aの中央部と底面3bの中央部については何れもシュリンクフィルム2で覆われずに開放状態のまま残る。但し、上端2aが閉塞したシュリンクフィルム2を使用して被包装物3の上面3aの全体を覆うようにしてもよく、シュリンクフィルム2の下端2bが被包装物3の底面3bに巻き込んで底面3bの略全体を覆うようにしてもよい。尚、筒状のシュリンクフィルム2には、被包装物3を容易に取り出すための図示しないミシン目が例えば縦方向に亘って形成されている。
【0029】
シュリンクフィルム2には種々のフィルムを使用でき、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、並びにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、およびポリ塩化ビニル等の樹脂からなるフィルムが使用できる。これらの中でも適切な収縮応力と高い透明性を有することからポリエステル系、ポリ乳酸系、ポリスチレン系のフィルムが好ましく、特にポリエステル系フィルムが好ましい。また、これらの樹脂を二種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもでき、二種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。また、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムを使用できるが、軸線方向にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。フィルムの主延伸方向の熱収縮率は、90℃の温水に10秒間浸漬したときに20〜80%であることが好ましく、30〜80%であることが特に好ましい。
【0030】
以上のように構成された台紙付きシュリンクフィルム2によって被包装物3が包装される。例えば、後側本体部14を前側本体部10に接合一体化した台紙1にシュリンクフィルム2を接着し、被包装物3をシュリンクフィルム2の例えばその下端2b側から挿入し、その後シュリンクフィルム2を熱収縮させて被包装物3に密着させ、しかる後に台紙1の下部を組み立てる。具体的には、後側本体部14を折り返して前側本体部10の後側に接着する。後側本体部14は前側本体部10と下方延在片部17に接着される。従って、前側本体部10の全領域は後側本体部14と合わせて二枚重ねのシート構造となる。この台紙1の前側本体部10に筒状のシュリンクフィルム2をホットメルト接着剤により接着した後、被包装物3をシュリンクフィルム2に挿入して特定の位置に位置決めし、シュリンクトンネルなどで熱収縮させて、シュリンクフィルム2を被包装物に密着させる。
【0031】
次に、台紙1の下部を組み立てて
図1及び
図2に示すような自立
性底部4を形成する。まず、前片部11を横方向の折り曲げ線51で前方に折り曲げて下方に傾斜した状態とする。また、底面部12を後側に折り曲げ、連結片13を上側に折り曲げて後側本体部14の下部の前側に重ねるようにし、差込片部15を前側に折り曲げて差込孔20に差し込む。上述したように差込片部15の基端部に位置する折り曲げ線54が後側本体部14の下端縁14aよりも若干上方に位置しているため、折り曲げ線54で差込片部15を前側に折り曲げると、折り曲げ線54の箇所には後側本体部14の下端縁14aに対して若干上方に凹んだ凹部が形成されることになる。一方、連結片13を底面部12に対して上方に折り曲げると孔用小突片21が連結片13よりも後方に突出するので、この後方に突出した孔用小突片21が、折り曲げ線54の箇所に形成された凹部に下側から係合することになる。このように、後側本体部14の下部と差込片部15と、前片部11と底面部12と連結片13から自立
性底部4が構成される。
【0032】
自立姿勢において、後側本体部14は載置面に対して略垂直な状態にあり、底面部12は略水平な状態にあり、前片部11は、下側に向かう程、下方延在片部17及び後側本体部14から前方に離間した傾斜状態にある。自立
性底部4は、前片部11と底面部12と後側本体部14の下部とから、横方向の軸線を有する縦断面視三角形状の筒体となっている。尚、後側本体部14と前片部11及び底面部12は同じ横幅寸法を有しており、組立状態の台紙1は、自立
性底部4の左右両開口端面によって三角形状の仮想的な側面を有することになる。
【0033】
以上のように構成された包装体においては、台紙1の下部に自立
性底部4が形成されているので、安定した自立姿勢が得られる。また、台紙1の下部から自立
性底部4が形成されているので、被包装物3を載置面に載置させる必要がなく、被包装物3を目立つポジションである台紙1の上下方向中央部近傍に位置させることができ、高いアピール力が得られる。しかも、自立
性底部4が横方向に軸線を有する筒体であるので高い強度が得られ、特に縦断面視三角形状の筒体であるので形状安定性にも優れ、前片部11と底面部12と後側本体部14の下部が何れも互いに突っ張りとして機能して形状安定化に寄与する。また、後側本体部14と前片部11が同じ横幅であり、更には底面部12も同じ横幅であるので、この自立
性底部4の左右両開口端面によって台紙1には三角形状の仮想的な側面が形成される。従って、包装体を前後方向に並べて載置して陳列する際に、包装体が正面に対して斜めを向いた状態にはなりにくく、正面を向いた正規の姿勢で整列させやすくなり、見栄え良く陳列することができる。
【0034】
また、台紙1の下部に筒状の自立
性底部4が存在することによって台紙1があたかも簡易的なケースのようにも見える。そして、U字状の切り込み線18によって前片部11には挿入孔24が形成され、該挿入孔24を被包装物3の下部が下方に挿通しているので、被包装物3の下部が台紙1に包まれているように見え、包まれ感を効果的に演出することができる。
【0035】
特に、前片部11が斜め下方に傾斜しているので、前方から包装体を見た場合に、被包装物3の下部が前片部11の挿入孔24を介して見えやすいという利点がある。しかも、前片部11が手前に位置する一方、その奥側に被包装物3の下部が位置し、両者の間には前後方向の空間ができることから、奥行き感や立体感をより一層効果的に演出することができる。また、メインパネル部16から下方延在片部17にかけて連続したデザインを施すと共に、メインパネル部16から前片部11にかけても連続したデザインを施すと、前片部11のデザインと下方延在片部17のデザインとによって奥行き感や立体感のある表現力が得られる。このような台紙1のデザインの観点からも前片部11が傾斜していることが好ましい。
【0036】
また、その挿入孔24は前片部11の折り曲げ位置を両端としたU字状の切り込み線18によって形成されたものであるので、挿入孔24の開口縁部の一部は前片部11の折り曲げ位置にあり、更に、そのU字状の切り込み線18の両端の間にはメインパネル部16から下方に向けて下方延在片部17が延びているので、被包装物3を後側から支持する支持面は、前片部11の折り曲げ位置において止まったり、段差のある不連続なものとなったりすることがなく、メインパネル部16から下方延在片部17へと前片部11の折り曲げ位置を下方に越えて縦方向に延長されることになる。そして、この長い区間を有する連続した支持面によって被包装物3をその下部まで安定して支持することができる。また、下方延在片部17の後方には後側本体部14が存在していて該後側本体部14に接合一体化されているので、下方延在片部17が折れ曲がったりすることなく安定する。そして、メインパネル部16及び下方延在片部17が後側本体部14と一体となって二重シート構造となっているので、被包装物3をしっかりと支持することができると共に自立姿勢も安定する。
【0037】
更に、メインパネル部16から下方延在片部17へと支持面が連続していることから、折り曲げ位置で支持面が止まっている構成に比して視覚的にも良好な見栄えが得られることになる。従ってメインパネル部16から下方延在片部17にかけて連続したデザインを施すことが好ましい。
【0038】
また更に、接着部23がメインパネル部16から下方延在片部17まで連続的に形成されているので、被包装物3がメインパネル部16から下方延在片部17まで連続的にシュリンクフィルム2を介して一体化されることになり、安定した支持状態が得られる。従って、縦方向に長い形状の被包装物3において効果的である。また、メインパネル部16から下方延在片部17が下方に延びている構成であっても、下方延在片部17が折り曲げ線51の位置で折れ曲がったりすることが防止される。
【0039】
尚、
図4のように、後側本体部14に見開き片27を他の領域と区画して見開き可能とするためのミシン目26(切離線)を形成してもよい。該ミシン目26によって見開き片27を他の領域から分離するようにしながら例えば折り曲げ線50を支点として回動させて開くことで、予め前側本体部10の裏面や見開き片27の裏面に付しておいた表示を見ることができる。このように後側本体部14に見開き片27を形成することにより、表示面積を拡大することができる。また、キャンペーン用としても使用することができ、例えば、前側本体部10の裏面や見開き片27の裏面に、くじ情報や、インターネット用のID番号、マトリックス型二次元コード等の応募表示を付しておいてもよい。尚、
図4において、二つ折りにした台紙1を接着する箇所を符号40で示している。
【0040】
尚、自立
性底部4は種々の設計変更可能であり、上記実施形態では差込片部15を連結片13の差込孔20に差し込むことで縦断面視三角形状の筒体としたが、
図5〜
図8のように連結片13を延長すると共にその連結片13に差込孔30,31を上下二箇所形成し、上下の差込孔30,31に下方延在片部17を差し込むようにして三角形状を保持するようにしてもよい。尚、
図5では、シュリンクフィルム2及びそれによって被覆された被包装物3は二点鎖線で示されている。
【0041】
詳細には、
図8に示すように、この台紙1では全てのシート領域が縦方向に一列に連設された構成となっており、上述したような後側本体部14や差込片部15は設けられていない。下方延在片部17は、前片部11に形成されたU字状の切り込み線18により区画される領域よりも小さい面積であって、下方延在片部17の先端部とU字状の切り込み線18との間には所定形状の開口部32が形成されている。また、連結片13に形成された上下二箇所の差込孔30,31は、
図5〜
図7のような組立状態においては上下方向に互いに離間した状態にある。組立状態において上側に位置する差込孔30は横長のスリット状の開口を有するものであり、下側に位置する差込孔31は上向きの横長U字状の切り込み線により形成されている。
【0042】
そして、
図5〜
図7に示しているように、底面部12に対して連結片13が上方に折り曲げられ、下方延在片部17は、連結片13における上側の差込孔30に前側から後側へと差し込まれ、更に下側の差込孔31に後側から前側へと差し込まれる。尚、連結片13は
図7のように前片部11の折り曲げ位置である折り曲げ線51の位置よりも上方に越えて延びており、下方延在片部17の基端部を連結片13が後方から支える構成にもなっている。尚、連結片13を更に上方に延長してメインパネル部16の上端まで達するようにしてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では台紙1を組み立てる際にそのシート片同士を連結して環状とすることで筒状の自立
性底部4を形成したが、予め環状にしておいてもよい。例えば、
図11のように一枚の展開形状の台紙1を縦長形状とし、それを上下に二つ折りに折り畳んで接着する。二つ折りにした台紙1を接着する箇所を符号40で示しているが、この箇所や個数は任意である。台紙1は、前側本体部10と前片部11と前壁部41と底面部12と後側本体部14とが順に縦方向に一列に連設された構成である。尚、前片部11と前壁部41との間には折り曲げ線56が形成され、前壁部41と底面部12との間には折り曲げ線57が形成され、底面部12と後側本体部14との間には折り曲げ線58が形成されている。
【0044】
そして、底面部12の中央部近傍に二つ折りにするための横方向の折り曲げ線55が形成されており、その折り曲げ線55で台紙1を二つ折りにすると
図12に示すような組み立て前の状態となる。この構成では、前片部11と前壁部41と底面部12と後側本体部14の下部から筒状の自立
性底部4が構成される。
図12に示した状態は扁平に折り畳まれた状態であるが、前片部11と前壁部41と底面部12と後側本体部14とは互いに接着されていないので既にそれらは前後に押し潰された環状となっている。
【0045】
前片部11と前壁部41を後側本体部14から前方に離間させるようにしつつ二つ折り状態の底面部12を展開させると
図9及び
図10に示すような組み立て後の包装状態となり、自立
性底部4は筒状に広げられた状態となる。尚、前片部11と底面部12との間に前壁部41が設けられており、
図10に示すように自立
性底部4は縦断面視三角形状ではなく縦断面視矩形となっている。また、前壁部41と底面部12との間に脚用小突片19が形成され、底面部12と後側本体部14との間にも脚用小突片19が形成されている。
【0046】
更に、底面部12の左右両側には折り曲げ線59を介して側壁部42がそれぞれ形成されており、該側壁部42を底面部12から上方に立ち上げるように折り曲げることで、側壁部42が前壁部41と後側本体部14との間で突っ張りとして機能する。即ち、側壁部42によって底面部12が二つ折りの状態に戻ることが防止されて自立
性底部4は広げられた筒状の状態に維持される。
【0047】
また、
図9〜
図12に示している実施形態のように下方延在片部17を斜め下方に延設してもよい。また、接着部23も斜め方向に形成して被包装物3も斜めに傾斜させてもよい。
【0048】
尚、上記実施形態では、未収縮状態のシュリンクフィルム2を台紙1に取り付けてシュリンクフィルム付き台紙を形成したうえで、そのシュリンクフィルム2に被包装物3を挿入して熱収縮させたが、シュリンクフィルム2を台紙1に取り付ける前に先に被包装物3をシュリンクフィルム2に挿入して熱収縮させ、その後、その収縮後のシュリンクフィルム2を被包装物3と共に台紙1に取り付けるようにしてもよい。
【0049】
また、筒状フィルムとして熱収縮性を有するプラスチックフィルムからなるシュリンクフィルム2を使用したが、自己収縮性(自己伸縮性)を有するストレッチフィルムを使用してもよい。
【0050】
更に、被包装物3の少なくとも前側を包装フィルムで覆う構成としては上述したような筒状フィルムを用いる構成の他、被包装物3を平坦な包装フィルムでスキンパックする構成であってもよい。
【0051】
図13には、二点鎖線で示している被包装物3が包装フィルム60によりスキンパックされて展開形状の台紙1に一体化された状態が示されている。縦長の被包装物3は包装フィルム60によってスキンパックされて台紙1のメインパネル部16及び下方延在片部17に取り付けられて密着一体化している。このように被包装物3をスキンパックすることで、被包装物3を包装フィルム60で容易に包装することができると同時に台紙1と一体化させることができる。
【0052】
台紙1は、
図3に示した形態のものと似た左右二つ折りの構成である。向かって右側には前側本体部10と前片部11と前壁部41と底面部12と差込片部15が順に縦方向に一列に連設されており、向かって左側には後側本体部14と連結片13が縦方向に連設されており、
図3のものと同様にメインパネル部16の隣に縦方向の折り曲げ線50を介して後側本体部14が連設されている。組み立てられると
図14のように前片部11と前壁部41と底面部12と後側本体部14の下部とから、縦断面視矩形の自立
性底部4が形成される。組み立てにおいては、後側本体部14に対して連結片13を前方に折り曲げて、底面部12から差込片部15を上方に折り曲げつつ差込孔20に差し込む。尚、脚用小突片19は、前壁部41と底面部12との間、及び、後側本体部14と連結片13との間に形成され、後側本体部14と連結片13との間には折り曲げ線61が形成されている。
【0053】
尚、スキンパックした後に、台紙1を構成するシートを包装フィルム60と共に裁断して所定形状に形成すると共に、前片部11のU字状の切り込み線18や、各折り曲げ線50等、脚用小突片19や差込孔20を形成するための切り込み線を包装フィルム60の上から形成する。下方延在片部17は、被包装物3の下部よりも大きい形状であるので、前片部11を折り曲げても、包装フィルム60は下方延在片部17から剥がれることがなく、被包装物3の下部の側面や底面3bに密着している。
【0054】
尚、包装フイルム60には、スキンパックに用いられる各種のプラスチックフィルムを使用することができる。例えば、無色透明又は有色透明の単層又は複層の樹脂フィルムが好適であり、その材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン等のポリアミド系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH);軟質塩化ビニル;等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0055】
尚、自立性底部4の形態は上述したものには限られず種々の形態であってよく、下方延在片部17を備えているものであればよい。