(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、図面を参照し、本発明のモータ制御装置および反力発生装置の実施形態について説明する。一実施形態における反力出力装置は、例えば、車両の加速を指示するために設けられたアクセルペダル等の操作子に対し、踏み込む力(踏力)とは逆向きの力(反力)を出力する装置である。反力出力装置を使用することにより、アクセルフィーリングを向上させたり、燃費を節約したアクセルワークを促すよう伝達したり、種々の安全制御を行ったりすることができる。安全制御としては、カーブの手前や市街地、スクールゾーン等において、過剰な加速を抑制するために、比較的大きい反力を出力する制御が挙げられる。また、単に基準を超えた急なアクセルペダルの操作がなされた場合には、誤操作と判断して大きい反力を出力する制御が行われてもよい。また、本実施形態における反力の出力対象である操作子は、アクセルペダルに限定されず、ブレーキペダル、ステアリングホイール、或いはゲーム機の操作デバイス等であってもよい。
【0017】
図1は、一実施形態に係る反力出力装置10を備えるアクセルペダル装置1の外観構成の一例を示す図である。
アクセルペダル装置1は、運転席の足元前方に設置されるペダル本体ユニット2と、ペダル本体ユニット2の上方に設置される反力出力装置10と、を備えている。
【0018】
ペダル本体ユニット2は、車体に取り付けられる保持ベース2aと、保持ベース2aに設けられた支軸2bに基端が回動可能に支持されるペダルアーム4と、ペダルアーム4の先端部に設けられ、運転者によって踏力を付与されるペダル本体部6とを備え、保持ベース2aには、ペダルアーム4を初期位置に常時付勢する図示しないリターンスプリングが設けられている。
【0019】
ペダルアーム4には、ペダルアーム4の操作量(回動角度)に応じて内燃機関(エンジン)の図示しないスロットルバルブの開度を操作するための図示しないケーブルが接続されている。ただし、内燃機関が電子制御スロットルを採用する場合には、ペダル本体ユニット2にペダルアーム4の回動角度を検出するための回転センサを設け、その回転センサの検出信号を基にしてスロットルバルブの開度を制御するようにしてもよい。また、ペダルアーム4の基端の近傍部には、ペダルアーム4の延出方向とほぼ相反する方向に延出する反力伝達レバー8が一体に連結されている。
【0020】
また、反力出力装置10の駆動部材である出力レバー12の先端部と反力伝達レバー8の先端部とは、当接可能となっている。反力出力装置10の駆動部材である出力レバー12の回動力は、反力伝達レバー8を介してペダルアーム4に出力される。このように反力出力装置10は、踏力の方向とは逆方向の反力を操作子に出力する。
【0021】
図2は、一実施形態に係る反力出力装置10の内部構造の一例を示す図である。
図2では、ハウジング部材14の上面のカバーを取り去り、ハウジング部材14(反力出力装置10)の内部状態を示している。本実施形態における反力出力装置10は、反力を作り出すための駆動源であるモータ20と、ハウジング部材14に回動可能に軸支される反力出力軸16と、ギア減速機構30と、回路基板50とを備えている。ギア減速機構30は、モータ20の回転子の回転を減速しモータ20側から出力するトルクTを増大させ、モータの回転軸22方向から反力出力軸16方向へと偏向して増大させたトルクTを出力レバー12に伝達する。反力出力軸方向の一端部は、ハウジング部材14の側面から外側に突出し、その突出した端部に出力レバー12が一体に連結されている。
【0022】
モータ20の回転子の回転は、回路基板50に実装された制御回路によって制御される。回路基板50には、後述する上位ECU(Electronic Control Unit)と制御回路とで信号を送受信するための図示しないCAN(Controller Area Network)ケーブルが接続されている。また、回路基板50とモータ20とは図示しないケーブルを介して接続されており、回路基板50から送られる制御信号に基づいて、モータ20の回転子の回転が制御される。また、モータ20の回転子を覆う筐体には小孔やスリット等が設けられ、小孔やスリット等にはホールIC(Integrated Circuit)が嵌込設置されている。ホールICは、小孔やスリット等を透過する磁束強度を検出し、検出した磁束強度に応じたパルス状の電圧を出力する。ホールICによって検出される磁束強度は、モータ20内の回転子の回転に応じて変化する。このため、反力出力装置10は、ホールICの出力電圧に基づいて回転子の回転量(例えば回転数n[rpm])を検出することができる。
【0023】
図3は、一実施形態に係る反力出力装置10の制御回路を中心とした機能構成の一例を示す図である。
図3において、反力出力装置10は、モータ20と、上位ECU70との間でCAN通信を行うCAN制御回路54と、マイクロコントローラ(マイコン)56と、モータドライバIC58と、パワーFET(Field Effect Transistor)60と、ホールIC64U、64V、64Wと、第1の電流検出センサ66Aと、第2の電流検出センサ66Bとを備える。
【0024】
なお、第1の電流検出センサ66Aと、第2の電流検出センサ66Bと、マイコン56とは、モータドライバIC58に与える制御量である電流指令値を決定するモータ制御装置52である。また、以下において、ホールIC64U、64V、64Wを特に区別しない場合、総称してホールIC64と記載し、第1の電流検出センサ66Aと、第2の電流検出センサ66Bとを特に区別しない場合、総称して電流検出センサ66と記載する。
【0025】
上位ECU70は、例えば、ペダルアーム4の操作量に応じてスロットルバルブの開度等を制御することで、エンジン72の駆動制御を行う。エンジン72は、出力軸であるクランクシャフトが車軸に連結され、車両の走行駆動力を出力する。なお、走行駆動部としては、エンジン72に走行用モータを加えた構成であってもよいし、エンジン72を備えず走行用モータのみにより走行駆動力を出力する構成であってもよい。
【0026】
マイコン56は、CAN制御回路54を介して上位ECU70とCAN通信を行う。マイコン56は、反力出力装置10が作り出す反力の大きさの基準となる反力設定値Pを、上位ECU70から受信する。反力設定値Pとは、「入力値」の一例である。反力設定値Pは、例えば、反力出力装置10が搭載される車両の車速に応じて大きくなるように決定されてもよいし、燃費を向上させるために急なアクセル操作を抑制するために決定されてもよい。また、反力設定値Pは、反力出力装置10が搭載される車両と先行車両との車間距離が短くなる程大きくなるように決定されてもよい。車間距離は、例えば、車両のフロント部に設置されたミリ波レーダや音波センサ、フロントガラス上部等に設置されたステレオカメラ装置等によって取得される。本発明の適用上、反力設定値Pの決定手法について特段の制限は存在しない。
【0027】
マイコン56は、反力設定値Pに基づいて、モータドライバIC58に与える制御量として電流指令値を決定する。この際、マイコン56は、例えば、電流指令値と反力設定値Pとの関係を示した関係式に基づき、電流指令値を決定する。モータドライバIC58は、電流指令値に基づいてPWM制御時のパルス幅やデューティ比等を決定し、パワーFET60へ通電させる電流を制御し、モータ20を回転させる。
【0028】
マイコン56には、モータ20へ通電される電流を検出するための電流検出センサ66と、モータドライバIC58とが接続されている。マイコン56は、電流検出センサ66により検出された検出値を示す信号を受信する。マイコン56は、電流検出センサ66により検出された検出値を示す信号およびモータドライバIC58から出力された信号から算出したモータ20の回転数nに基づき、モータドライバIC58に与える電流指令値を決定する。なお、マイコン56の機能および電流検出センサ66の機能構成の詳細については後述する。
【0029】
パワーFET60は、U相、V相、W相のそれぞれのパワーFET60U、60V、60Wを備え、各パワーFETは、モータ20の対応する相のコイルにそれぞれ接続されている。モータドライバIC58は、各相のパワーFETを循環的にオン/オフすることで各相のコイルに磁界を発生させ、モータ20の回転子を回転させる。
【0030】
モータドライバIC58の入力端には、マイコン56に加え、3つのホールIC64U、64V、64Wが接続されており、モータドライバIC58は、ホールIC64U、64V、64W各々が出力する電圧の変化を受け付ける。モータドライバIC58は、ホールIC64U、64V、64Wからの入力に基づいて、モータ20の回転数nを示す信号をマイコン56に出力する。これによって、マイコン56は、モータ20の回転数nを検出する。
【0031】
図4は、電流検出センサ66の一例を示す図である。第1の電流検出センサ66Aは、モータ20が消費する電流に対応する検出値(電圧値)を第1の範囲で出力する。第2の電流検出センサ66Bは、モータ20が消費する電流に対応する検出値を、第1の範囲とは異なる第2の範囲で出力する。電流検出センサ66Aは、抵抗67Aと、増幅器68Bとを有する。抵抗67Aは、第2の電流検出センサ66Bの抵抗67Bと直列に接続されている。抵抗67Aは、電流検出を行うためのシャント抵抗であり、抵抗値は比較的低く設定されている。増幅器68Aは、抵抗67Aの両端と電気的に接続されており、抵抗67Aに印加される電圧が入力される。増幅器68Aは、入力された電圧を予め設定された増幅率で増幅し、増幅した検出値をマイコン56へ出力する。第2の電流検出センサ66Bの構成は、第1の電流検出センサ66Aと同様であるため、説明を省略する。また、第2の電流検出センサ66Bの機能構成は、第1の電流検出センサ66Aが有する機能構成に付した符号「A」を符号「B」で表す。第1の電流検出センサ66Aの抵抗67Aおよび第2の電流検出センサ66Bの抵抗67Bの抵抗値は、例えば33mΩである。また、例えば増幅器68Aの増幅率は
18倍であり、増幅器68Bの増幅率は
45倍である。
【0032】
マイコン56は、第1の電流検出センサ66Aまたは第2の電流検出センサ66Bにより出力された検出値をアナログ量として取得し、取得したアナログ量を量子化することでモータ20により消費された電流値を導出する。具体的には、マイコン56は、第1の電流検出センサ66Aまたは第2の電流検出センサ66Bにより出力された検出値を量子化し、予め設定された第1の電流検出センサ66Aまたは第2の電流検出センサ66Bの機能構成、電流検出センサ66により出力された検出値およびモータ20が消費する電流値との関係を示した関係式またはデータテーブルとに基づいて、モータ20により消費された電流値を導出する。
【0033】
図5は、マイコン56が電流検出センサ66により出力された検出値を量子化する場合の一例を示す図である。ここでは、説明を簡略化するために、マイコン56が、電流検出センサ66により出力される検出値の最小値から最大値の間おいて刻み数が5で離散化させる場合について説明する。
図5(a)は、マイコン56が、第1の電流検出センサ66Aから出力された検出値を量子化する場合の一例である。マイコン56は、第1の範囲V1の範囲を、刻み数を5で離散化させる。マイコン56は、第1の電流検出センサ66Aの検出値が図中、Aの範囲内にある場合、例えば検出値を四捨五入により図中、Aの上限値または下限値の値として近似値化する。
【0034】
図5(b)は、マイコン56が、第2の電流検出センサ66Bから出力された検出値を量子化する場合の一例である。マイコン56は、第2の範囲V2の範囲を、刻み数を5で離散化させる。マイコン56は、検出値が図中、Bの範囲内にある場合、例えば検出値を四捨五入により図中、Bの上限値または下限値の値として近似値化する。このように刻み数が同数の場合、Aの上限値から下限値は、Bの上限値から下限値より小さくなるため、マイコン56が検出する検出値の範囲が小さくなる程、検出誤差が小さくなる。この結果、マイコン56が検出する検出値の範囲が小さくなる程、電流検出センサ66から出力された検出値から導出するモータ20が消費する電流値の検出精度が高くなる。
【0035】
なお、マイコン56は、例えば自身に搭載した10ビット型の逐次変換式のA/Dコンバータを用いて、最小値から最大値の範囲において刻み数1024で離散化を行ってもよい。また、マイコン56は、電流検出センサ66から出力された検出値から電流値を導出し、導出した電流値を量子化することで電流値を算出してもよい。
【0036】
これまで、マイコン56は、1つ電流検出センサ(例えば検出値が0からV2の出力値である第2の電流検出センサ66B)が出力する検出値に基づいて電流値を導出していた。これに対して、
図5に示したように本実施形態では、2つの電流検出センサ(66A、66B)が出力する検出値に基づいて電流値を導出する。検出値がV1の範囲内の場合には、モータ20が消費する電流値を精度良く導出することができる。
【0037】
図6は、マイコン56が実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず、マイコン56は、モータドライバIC58に与えた電流指令値(第1の電流指令値)を取得する(ステップS100)。次に、マイコン56は、第1の電流指令値が所定値(例えば2A)以下であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0038】
第1の電流指令値が所定値以下である場合、マイコン56は、第1の電流検出センサ66Aにより出力された検出値を採用する(ステップS104;第1の検出処理)。第1の電流指令値が所定値を超える場合、マイコン56は、第2の電流検出センサにより出力された検出値を採用する(ステップS106;第2の検出処理)。前述した
図5で示したように、第1の電流指令値が所定値以下である場合、第1の電流検出センサ66Aにより出力された検出値を採用することにより、電流値を精度良く検出することができる。
【0039】
次に、マイコン56は、採用した検出値に基づいて電流値を導出する(ステップS108)。マイコン56は、導出した電流値に基づいてフィードバック制御を実行する(ステップS110)。マイコン56は、モータ20が消費する電流値が所望の電流指令値に近づくように新たに電流指令値を決定し、新たに決定した第2の電流指令値をモータドライバIC58に与える。これにより本フローチャートの処理は終了する。
【0040】
このように、モータ20に与えられた第1の電流指令値が所定値以下の場合、第2の電流検出センサ66Bにより出力された検出値を採用せずに、第1の電流検出センサ66Aにより出力された検出値を採用して、フィードバック制御を実行して第2の電流指令値を決定するため、精度良くモータ20を制御することができる。この結果、反力出力装置の追従性を向上させることができる。
【0041】
図7は、マイコン56がモータドライバIC58へ与える第2の電流指令値について説明するための概念図である。縦軸は、第2の電流指令値を示し、横軸は、第1の検出処理に基づくフィードバック制御であるか、または第2の検出処理に基づくフィードバック制御であるかを示している。図中、Lは、マイコン56が決定した第2の電流指令値である。マイコン56は、第1の電流指令値が所定値Th(例えば2A)を超える場合、第2の電流検出センサ66Bにより出力された検出値に基づいて、フィードバック制御を実行する。また、マイコン56は、第1の電流指令値が所定値Th以下の場合、第1の電流検出センサ66Aにより出力された検出値に基づいて、フィードバック制御を実行する。この場合、マイコン56は、第2の電流検出センサ66Bから出力された検出値に基づいて電流値を導出するよりも小さい刻み幅で電流値を導出することができる。すなわち、マイコン56は、第1の電流検出センサ66Aが出力する検出値(例えば0から2A)の範囲内では、高い分解能で電流値を検出することができる。このため、図示するように第1の検出処理によるフィードバック制御では、第2の検出処理によるフィードバック制御を行う場合に較べて、小さい刻み幅で第2の電流指令値を決定することができる。また、マイコン56は、第1の電流検出センサ66Aから出力された検出値に基づいて電流値を導出することにより、小さい刻み幅で電流値を導出することができるため、導出した電流値と実際にモータ20が消費している電流値との検出誤差を小さくすることもできる。この結果、モータ20を精度良く制御することもできる。なお、後述する
図8、
図9においても縦軸、横軸の項目は
図7と同様である。
【0042】
図8は、第1の検出処理および第2の検出処理を比較するための図である。図中、L1は、マイコン56が決定した第2の電流指令値を近似値化した直線である。マイコン56は、第1の電流指令値が所定値Th(例えば2A)以下の場合、第2の検出処理を実行すると、第1の検出処理により電流値を導出する場合より電流値の刻み幅が大きくなる。マイコン56は、第2の検出処理に基づいてフィードバック制御を実行し第2の電流指令値を決定すると、図中、領域Cに示すように、第2の電流指令値は第1の検出処理により決定される第2の電流指令値より急な勾配となる。この結果、モータ20の駆動も急な変化が生じることとなる。
【0043】
これに対して、マイコン56は、第1の電流指令値が所定値Th(例えば2A)以下の場合、第1の検出処理を実行すると第2の検出処理により電流値を導出する場合よりも小さい刻み幅で電流値を導出することができる。マイコン56は、第1の検出処理に基づいてフィードバック制御を実行し第2の電流指令値を決定すると、図中、領域C#に示すように、第2の電流指令値は第2の検出処理により決定される第2の電流指令値より緩やかな勾配となる。この結果、モータ20の駆動を滑らか変化させることができる。また、反力出力装置10が適用されたアクセルペダル装置1の運転者へ与えるアクセルフィーリングを向上させることができる。
【0044】
図9は、本実施形態のマイコン56が実行する処理により決定される第2の電流指令値の傾向の一例を示す図である。図中、L2は、マイコン56が決定した第2の電流指令値を近似値化した直線である。本実施形態のマイコン56は、第1の電流指令値が所定値Th以下の場合、図中、領域C##で示すように第1の検出処理に基づいて第2の電流指令値を決定する。
【0045】
このように、第1の電流指令値が所定値Th以下の場合、第1の検出処理により第2の電流指令値を決定することにより、第2の電流指令値の近似直線は緩やかな勾配になる。この結果、モータ20の制御を精度良く行うことができ、反力出力装置の追従性を向上させることができる。また、第1の電流検出センサ66Aから出力された検出値に基づいて電流値を導出することで、電流値を導出する刻み幅は小さくなり、実際に消費されている電流値と導出される電流値との誤差を小さくすることができる。この結果、より精度の高いモータ20の制御を行うことができる。
【0046】
なお、マイコン56は、第1の検出処理および第2の検出処理を適用する条件を、下記のように変更してもよい。例えば、マイコン56は、直近に取得した第1の電流指令値が所定値以下、且つ直近に取得した第1の電流指令値が直近より前に取得した第1の電流指令値より小さい場合には、第2の検出処理を実行するようにしてもよい。例えば
図9のL2#で示すように、マイコン56が決定した第2の電流指令値が下降傾向であった場合、マイコン56は第2の検出処理を実行してもよい。
【0047】
なお、本実施形態では、電流検出センサ66が2つの場合について説明したが、電流検出センサを3つ以上設けて、各電流検出センサ66が出力する検出値を異なる値としてもよい。これにより、3つ以上の分解能で電流値を検出することができるため、より小さい刻み幅で第2の電流指令値を決定することができる。
【0048】
また、本実施形態では、第1の電流検出センサ66Aと第2の電流検出センサ66Bとが備える抵抗67A、67Bの抵抗値を同程度にし、増幅器68A、68Bの増幅率を異なる値としたが、増幅器68A、68Bの増幅率を同程度にし、抵抗67A、67Bの抵抗値を異なる値としてもよい。この場合、抵抗67A、67Bの少なくとも1つ以上の抵抗値を高くすると高抵抗の両端の電圧降下幅が大きくなるため、増幅器により増幅された検出値が小さくなり回路特性上の誤差を拡大しにくくなる。しかし、抵抗67A、67Bの少なくとも1つ以上の抵抗値を高くすると、モータ20へ印加される電圧降下が大きくなり、モータ20の駆動能力が低下する場合がある。一方、抵抗67A、67Bの抵抗値を低くすると、増幅器の増幅率を大きくする必要があるため、回路特性上の誤差が大きくなり、電流の検出精度が低下する場合がある。このため、抵抗の抵抗値と増幅器の増幅率とを決定する際には、電圧降下により生じるモータ20への影響と、電流値の検出精度とを考慮する必要がある。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る
反力出力装置10によれば、
駆動部材を駆動することで、人により操作される操作子に対し、操作方向とは逆方向の力を出力する駆動部と、駆動部を駆動させる駆動力を出力するモータ20と、モータ20を制御するモータ制御装置52とを備える反力出力装置10において、モータ制御装置52は、モータ20が消費する電流に対応する検出値を第1の範囲で出力する第1の検出部66Aと、モータ20が消費する電流に対応する検出値を、第1の範囲とは異なる第2の範囲で出力する第2の検出部66Bと、モータを駆動させるために与えられる第1の電流指令値
が所定値以下の場合には、第1の検出部66Aを選択し、第1の電流指令値が所定値を超える場合には、第2の検出部66Bを選択し、
直近に取得した前記第1の電流指令値が所定値以下、且つ前記直近に取得した前記第1の電流指令値が前記直近より前に取得した第1の電流指令値より小さい場合には、前記第2の検出部を選択し、前記選択した検出部が出力可能な範囲を、一定の刻み数で離散化させることで、前記選択した検出部が出力した検出値に対応する電流値を導出し、
導出された電流値を、前記第1の電流指令値にフィードバックさせて、前記モータを駆動させるために与える第2の電流指令値を決定する。この結果、マイコン56は、モータ20が消費する電流値を精度良く検出すると共に、検出した電流値に基づいて、フィードバック制御を行い新たな電流指令値を決定するため、追従性を向上させることが可能な
反力出力装置10を提供することができる。
【0050】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。